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明細書 :スパッタリング装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5131665号 (P5131665)
公開番号 特開2010-156015 (P2010-156015A)
登録日 平成24年11月16日(2012.11.16)
発行日 平成25年1月30日(2013.1.30)
公開日 平成22年7月15日(2010.7.15)
発明の名称または考案の名称 スパッタリング装置
国際特許分類 C23C  14/34        (2006.01)
C23C  14/24        (2006.01)
C23C  14/35        (2006.01)
C23C  16/08        (2006.01)
H01L  21/285       (2006.01)
FI C23C 14/34 C
C23C 14/34 B
C23C 14/24 D
C23C 14/35 Z
C23C 16/08
H01L 21/285 S
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2008-334311 (P2008-334311)
出願日 平成20年12月26日(2008.12.26)
審査請求日 平成23年8月4日(2011.8.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】草野 英二
個別代理人の代理人 【識別番号】100105924、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 賢樹
審査官 【審査官】安齋 美佐子
参考文献・文献 特開平06-065729(JP,A)
特開2003-096561(JP,A)
特開平05-263225(JP,A)
特開平05-339720(JP,A)
特開平07-297205(JP,A)
調査した分野 C23C 14/00-14/58
C23C 16/00-16/56
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
外部より低圧な雰囲気に維持可能なチャンバと、
前記チャンバ内で基材を保持する保持部と、
前記保持部で保持された基材に周面が対向するように設けられた回転可能な回転陰極であって、表面のターゲット材料をスパッタリングするための電力が供給される筒状の回転陰極と、
前記回転陰極の表面に薄膜材料を供給可能な複数の材料供給手段と、を備え、
前記複数の材料供給手段は、互いに異なる薄膜材料を前記回転陰極の表面に供給する、
ことを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
前記材料供給手段は、スパッタリング陰極を有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記保持部が設けられた成膜室と前記複数の材料供給手段が設けられた材料供給室との間のガスの移動を規制するとともに、前記回転陰極が回転可能な隙間を有して該回転陰極が配置される開口部が形成されたガス遮蔽部材を更に備え、
前記複数の材料供給手段は、薄膜材料を蒸発させるための蒸着源をそれぞれ有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記材料供給室は、蒸着が可能な真空度に該材料供給室を保つための真空ポンプと接続されるポンプ接続口が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記保持部が設けられた成膜室と前記複数の材料供給手段が設けられた材料供給室との間のガスの移動を規制するとともに、前記回転陰極が回転可能な隙間を有して該回転陰極が配置される開口部が形成されたガス遮蔽部材を更に備え、
前記複数の材料供給手段は、気相成長により前記回転陰極の表面に薄膜材料として成膜される原料が供給される原料供給路をそれぞれ有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
スパッタリングされた前記ターゲット材料と反応して化合物を形成する反応性ガスを、前記保持部と前記回転陰極との間の空間に供給する反応性ガス供給路を更に備えることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のスパッタリング装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング装置に関し、特に回転陰極を有するスパッタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリング装置は、真空中においてターゲット材料を高いエネルギーを持つ粒子により気相中に蒸発させ、これを基材あるいは基板上に堆積する薄膜形成装置である。またスパッタリング装置の一種に、磁場によりプラズマを閉じこめることでスパッタリングの効率を上げることが可能なマグネトロンスパッタリング装置が知られている。このようなマグネトロンスパッタリング装置においてターゲットが固定されている場合、ターゲットの消耗が一様でないため、いわゆるレーストラックが生じる。このようなレーストラックを解消するスパッタリング装置として、シリンダ状の陰極の表面にターゲットを担持し軸方向を回転中心としたマグネトロンスパッタリング装置が知られている(特許文献1乃至5参照)。
【0003】
このようなスパッタリング装置を用いて2種以上の金属元素を含む薄膜を基材上に形成する場合、ターゲットとして合金あるいは金属の混合物(混合焼結体)を用いるか、複数の陰極を並べてそれぞれに異なる種類の金属ターゲットを設置することが考えられる。

【特許文献1】特開平6-158312号公報
【特許文献2】米国特許第4417968号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0119631号明細書
【特許文献4】国際公開第91/07519号パンフレット
【特許文献5】国際公開第91/07521号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ターゲットとして合金あるいは金属の混合物を用いる場合、組成がターゲットの組成で固定されてしまい、任意の組成比に制御できない。例えば、薄膜の深さ方向に組成比を連続的に変化させるということはできない。また、ターゲットを交換することなく異なる組成を持つ薄膜を形成することもできない。
【0005】
また、異なる種類の金属あるいは金属化合物ターゲット等が設置された複数の陰極を用いてそれぞれからスパッタリングされる金属の割合を制御することにより薄膜の組成を制御する場合、薄膜面内で組成の均一性を得ることが困難である。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産性の低下を抑えつつ組成の異なるあるいは多成分からなる薄膜を形成可能なスパッタリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のスパッタリング装置は、外部より低圧な雰囲気に維持可能なチャンバと、チャンバ内で基材を保持する保持部と、保持部で保持された基材に周面が対向するように設けられた回転可能な回転陰極であって、表面のターゲット材料をスパッタリングするための電力が供給される筒状の回転陰極と、回転陰極の表面に薄膜材料を供給可能な複数の材料供給手段と、を備える。複数の材料供給手段は、互いに異なる薄膜材料を回転陰極の表面に供給する。
【0008】
この態様によると、複数の材料供給手段により互いに異なる薄膜材料を回転陰極の表面に供給できるため、回転陰極上に合金のターゲット材料を成膜することができる。また、材料供給手段の回転陰極に対する薄膜材料の供給条件をそれぞれ制御することで、回転陰極上の合金ターゲットの成分比を任意に変化させることも可能となる。その結果、成膜室で基材上に成膜される化合物に含まれる複数の成分の組成比を材料供給手段の薄膜材料を交換せずに変化させることができる。ここで、薄膜材料とは、薄膜として形成されうる材料を含み、例えば、純金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、半導体材料(シリコン、ゲルマニウム、化合物半導体)、炭素系材料、有機高分子材料(ポリイミド、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン)等が例示される。
【0009】
材料供給手段は、スパッタリング陰極を有してもよい。これにより、回転陰極上に比較的密着性の高い合金膜を高速に成膜することができる。
【0010】
保持部が設けられた成膜室と複数の材料供給手段が設けられた材料供給室との間のガスの移動を規制するとともに、回転陰極が回転可能な隙間を有して該回転陰極が配置される開口部が形成されたガス遮蔽部材を更に備えてもよい。複数の材料供給手段は、薄膜材料を蒸発させるための蒸着源をそれぞれ有してもよい。これにより、蒸着源が設けられている材料供給室を蒸着が可能な真空度に保つのが容易となる。
【0011】
材料供給室は、蒸着が可能な真空度に該材料供給室を保つための真空ポンプと接続されるポンプ接続口が設けられていてもよい。これにより、材料供給室側を選択的に蒸着が可能な真空度に保持することが可能となる。
【0012】
保持部が設けられた成膜室と複数の材料供給手段が設けられた材料供給室との間のガスの移動を規制するとともに、回転陰極が回転可能な隙間を有して該回転陰極が配置される開口部が形成されたガス遮蔽部材を更に備えてもよい。複数の材料供給手段は、気相成長により回転陰極の表面に薄膜材料として成膜される原料が供給される原料供給路をそれぞれ有してもよい。これにより、原料供給路が設けられている材料供給室から気相成長の際の原料となる気体が成膜室へ流出することが抑制される。
【0013】
スパッタリングされたターゲット材料と反応して化合物を形成する反応性ガスを、保持部と回転陰極との間の空間に供給する反応性ガス供給路を更に備えてもよい。これにより、成膜室において、回転陰極上に形成された合金薄膜と供給された反応性ガスとの反応により、異なる2種以上の成分を含む化合物を形成することが可能となる。
【0014】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、生産性の低下を抑えつつ組成の異なるあるいは多成分からなる薄膜を形成可能なスパッタリング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るスパッタリング装置の全体構成の概略断面図である。本実施の形態に係るスパッタリング装置10は、外部より低圧な雰囲気に維持可能なチャンバ12と、チャンバ12内でガラス基板やシリコンウェーハなどの基材14を保持するとともに陽極を兼ねる保持部16と、保持部16で保持された基材14に周面が対向するように設けられた回転可能な回転陰極18と、回転陰極18の表面に金属等の薄膜材料を供給可能な金属材料供給手段としての複数の補助陰極320,330と、を備える。チャンバ12には、アルゴンなどの不活性ガスが供給される不活性ガス供給路46が設けられている。
【0018】
回転陰極18は、表面のターゲット材料をスパッタリングするための電力が供給される円筒形状のスリーブ34と、スリーブ34を回転駆動する不図示の駆動部と、スリーブ34の内周側に設けられ磁場を発生する磁石36と、を有している。このような磁石36によりプラズマが生じる領域を規制することで、プラズマがターゲット付近に封じ込められ、スパッタ速度の向上が図られる。また、高周波でも使用できるとともに、プラズマが基材付近で発生しないように制御することが可能となり、保持部16における基材14上の金属化合物膜にダメージを与えずに、スパッタリングが可能となる。
【0019】
なお、スリーブ34の表面に予めターゲット材料が形成された回転陰極18を用いてもよいが、アルミニウムやSUSからなるスリーブ34の露出した面に補助陰極320,330により合金のターゲット材料を形成して回転陰極18として用いてもよい。ターゲット材料としては、チタニウム、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、セリウム、ビスマス、ジルコニウム、ニオブ、タンタル等が例示される。また、必要に応じてシリコンなどをターゲット材料として用いてもよい。以下では、2種類のターゲット材料がチタニウムとアルミニウム、得られる薄膜がチタニウムとアルミニウムの組成傾斜合金の場合について説明する。
【0020】
回転陰極18は、スパッタリングを実質的に行う際に印加される電圧が負であるパルス状の電力が供給されている。これにより、ターゲット38の表面に電荷が蓄積することが緩和され、異常放電が抑制される。なお、回転陰極に電力を供給する電源は、直流方式でも交流方式でもよい。
【0021】
補助陰極320,330は、スパッタリングされた回転陰極18の表面にターゲット材料と同種の合金材料を新たに供給する、あるいは、ターゲット材料と同種であるが組成比を変えた合金材料を新たに供給することができる。具体的には、補助陰極320は、ターゲット322が載置されスパッタリング陰極として機能する導電性の筐体324と、筐体324の内部に設けられ磁界を発生する磁石326と、を有する。また、補助陰極330は、ターゲット332が載置されスパッタリング陰極として機能する導電性の筐体334と、筐体334の内部に設けられ磁界を発生する磁石336と、を有する。ここで、補助陰極320に配置されているターゲット322の材料と補助陰極330に配置されているターゲット332の材料は異なっている。
【0022】
これにより、回転陰極18上に比較的密着性の高い合金のターゲット材料を成膜することができる。また、補助陰極320,330のターゲット材料に対するスパッタリングの条件をそれぞれ制御することで、回転陰極18上の合金ターゲットの成分比を任意に変化させることも可能となる。その結果、成膜室22で基材14上に成膜される金属化合物に含まれる複数の金属成分の組成比を補助陰極320,330のターゲット材料を交換せずに変化させることができる。
【0023】
これにより、回転陰極18上に比較的密着性の高い合金膜を高速に成膜することができる。なお、補助陰極320,330は、図1に示すような固定のスパッタリング陰極の代わりに、その周面が回転陰極18と対向しながら回転する円筒形状の回転陰極であってもよい。これにより、ターゲット材料が効率よく利用されるとともにターゲットの長寿命化が図られる。
【0024】
補助陰極320,330は、ターゲット322,332が設けられる面と反対側に磁石326,336が設けられているため、高周波でも使用できるとともに、プラズマが回転陰極18付近で発生しないように制御することが可能となる。その結果、回転陰極18上のターゲット38にダメージを与えずに、金属材料を供給することができる。
【0025】
補助陰極320,330は、スパッタリングを実質的に行う際に印加される電圧が負であるパルス状の電力が供給されている。これにより、ターゲット322,332の表面に電荷が蓄積することが緩和され、異常放電が抑制される。
【0026】
なお、回転陰極18に印加される電力の位相と、補助陰極320,330に印加される電力の位相とが異なるように不図示の電源から電力を供給してもよい。これにより、補助陰極320,330から回転陰極18に向かってスパッタされたターゲット材料が逆スパッタされることが抑制され、スパッタリング効率が向上する。
【0027】
また、補助陰極320,330から回転陰極18へのスパッタリングは、回転陰極18上のターゲット38の厚み等に応じて連続的にあるいは断続的に行われるようにすればよい。そのため、スパッタリング装置10は、回転陰極18上のターゲット38の厚みを測定する測定装置を備えてもよい。なお、チャンバ12は、内部に導入された不活性ガスを外部に排出する排出口50が設けられている。
【0028】
上述のようにスパッタリング装置10は、複数の金属材料供給手段としての補助陰極320,330により互いに異なる金属材料を回転陰極18の表面に供給できるため、回転陰極18上に合金のターゲット材料を成膜することができる。また、補助陰極320,330の回転陰極18に対する金属材料の供給条件をそれぞれ制御することで、回転陰極18上の合金ターゲットの成分比を任意に変化させることも可能となる。その結果、基材上に成膜される金属化合物に含まれる複数の金属成分の組成比を補助陰極320,330のターゲット322,332を交換せずに変化させることができる。
【0029】
(スパッタリングによる組成傾斜合金の成膜方法)
次に、スパッタリング装置10を用いたチタニウムとアルミニウムの組成傾斜合金の薄膜を基材上に形成する方法について詳述する。はじめに、チャンバ12内の補助陰極320にチタニウムのターゲット322を、補助陰極330にアルミニウムのターゲット332をそれぞれ設置する。放電ガスとしてアルゴンガスを、不活性ガス供給路46よりチャンバ12内へ導入する。その際のアルゴンガスの圧力は0.4Paとする。基材14としてガラス板を基板搬送機構(不図示)に設けられた保持部16としての基板ホルダに設置する。
【0030】
回転陰極18を3~30rpmにて回転させるとともに補助陰極320に直流電力を供給し、金属のスパッタリングを起こす。これにより、回転陰極18上にチタニウムが堆積される。数分経過後、回転陰極18に直流電力を供給し、基材14上にチタニウムを堆積する。
【0031】
次に、回転陰極18を3~30rpmにて回転させるとともに補助陰極330に直流電力供給し、金属のスパッタリングを起こす。これにより、回転陰極18上にアルミニウムが堆積される。その後、回転陰極18に直流電力を供給し、基材14上にアルミニウムを堆積する。このようにして、チタニウム-アルミニウム合金が基材14上に堆積される。なお、アルミニウムのターゲット332を備える補助陰極330への供給電力を徐々に大きくすることで、基材14上においてチタニウムに対するアルミニウムの組成比が徐々に変化する組成傾斜が実現される。
【0032】
組成は、チタニウムのターゲット322、アルミニウムのターゲット332への供給電力の比率により制御されるが、より正確な制御を行うために、水晶振動子式膜厚計やプラズマ発光モニタを用いてもよい。
【0033】
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態に係るスパッタリング装置110の全体構成の概略断面図である。本実施の形態に係るスパッタリング装置110は、ガス遮蔽部材30により成膜室22と金属材料供給室24とが隔てられている点が第1の実施の形態と異なる大きな点である。以下では、第1の実施の形態と異なる点について詳述し、同じ点については同じ符号を付し適宜説明を省略する。
【0034】
本実施の形態に係るスパッタリング装置110は、保持部16が設けられた成膜室22と補助陰極320,330が設けられた金属材料供給室24との間のガスの移動を規制するとともに、回転陰極18が回転可能な隙間26を有して回転陰極が配置される方形の開口部28が形成されたガス遮蔽部材30と、成膜室22に接続され、アルゴンなどの不活性ガスを供給する不活性ガス供給路132と、チャンバ12内部に導入された不活性ガスを外部に排出する排出口50,52と、を備える。このような構成によっても第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。また、ガス遮蔽部材30により、補助陰極320,330においてスパッタリングされたターゲット322,332の材料が直接基材14側に到達することが防止される。
【0035】
(第3の実施の形態)
図3は、第3の実施の形態に係るスパッタリング装置210の全体構成の概略断面図である。本実施の形態に係るスパッタリング装置110は、金属材料供給源として複数の蒸着源を用いた点が上述の各実施の形態と異なる大きな点である。以下では、上述の各実施の形態と異なる点について詳述し、同じ点については同じ符号を付し適宜説明を省略する。
【0036】
本実施の形態に係るスパッタリング装置210は、金属材料供給室24に設けられた金属材料供給源としての複数の蒸着源120,126と、成膜室22と蒸着源120,126が設けられた金属材料供給室24との間のガスの移動を規制するとともに、回転陰極18が回転可能な隙間26を有して回転陰極18が配置される方形の開口部28が形成されたガス遮蔽部材30と、を備える。また、金属材料供給室24は、金属材料が蒸着を起こすために十分低い圧力である10-3Pa程度の雰囲気に保つため、排出口52を介して真空ポンプに接続されている。ガス遮蔽部材30が設けられていることにより、蒸着源120,126が設けられている金属材料供給室24を蒸着が可能な真空度に保つのが容易となる。
【0037】
蒸着源120は、容器122に蒸発させるチタニウムなどの金属材料124を載せたものであり、蒸着源126は、容器128に蒸発させるアルミニウムなどの金属材料134を載せたものであり、それぞれ抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法で加熱される。加熱された金属材料124,134は、気化もしくは昇華し回転陰極18の表面に蒸着される。蒸着源120,126から回転陰極18への蒸着は、回転陰極18上のターゲット38の厚み等に応じて連続的にあるいは断続的に行われるようにすればよい。また、スリーブ34の表面に予めターゲット材料が形成された回転陰極18を用いてもよいが、アルミニウムやSUSからなるスリーブ34の露出した面に蒸着源120,126により合金のターゲット材料を形成して回転陰極18として用いてもよい。このような構成によっても上述の各実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0038】
(第4の実施の形態)
図4は、第4の実施の形態に係るスパッタリング装置310の全体構成の概略断面図である。本実施の形態に係るスパッタリング装置310は、金属材料供給源として金属材料をガス状態で供給する複数の原料供給路が設けられている点が上述の各実施の形態と異なる大きな点である。以下では、上述の各実施の形態と異なる点について詳述し、同じ点については同じ符号を付し適宜説明を省略する。
【0039】
本実施の形態に係るスパッタリング装置310は、金属材料供給室24に設けられた金属材料供給源としての複数の原料供給路220,221と、原料供給路220,221から供給された原料ガスを加熱するヒーター222と、原料供給路220,221が設けられた金属材料供給室24と成膜室22との間のガスの移動を規制するとともに、回転陰極18が回転可能な隙間26を有して回転陰極18が配置される方形の開口部28が形成されたガス遮蔽部材30と、を備える。
【0040】
原料供給路220,221は、原料ガスが回転陰極18に向かうようにノズルが配置されている。原料ガスとしては、炭化水素、金属ふっ化物、金属塩化物、金属水素化物、有機金属化合物等が用いられる。具体的には塩化チタニウムや6フッ化モリブデンが例示される。原料供給路220,221から供給された液体または気体の原料は、ヒーター222により加熱され、回転陰極18の表面における化学反応によって還元、分解され、回転陰極18上に金属として堆積する。原料供給路220,221から回転陰極18への原料の供給は、回転陰極18上のターゲット38の厚み等に応じて連続的にあるいは断続的に行われるようにすればよい。また、スリーブ34の表面に予めターゲット材料が形成された回転陰極18を用いてもよいが、アルミニウムやSUSからなるスリーブ34の露出した面に原料供給路220から供給される原料によりターゲット材料を形成して回転陰極18として用いてもよい。
【0041】
上述のように、本実施の形態に係るスパッタリング装置310は、原料供給路220,221により外部から連続的な原料の供給が可能なため、ガス遮蔽部材30により隔てられている成膜室22で基材14を交換するだけで複数の基材に対する連続的な成膜が行える。また、原料供給路220,221が設けられている金属材料供給室24から気相成長の際の原料となる気体が成膜室22へ流出することが抑制される。
【0042】
(CVDによる組成傾斜合金の成膜方法)
次に、スパッタリング装置310を用いたチタニウムとモリブデンの組成傾斜合金の薄膜を基材上に形成する方法について詳述する。はじめに、原料供給路220からアルゴンガスをキャリアとして塩化チタニウムが金属材料供給室24に導入される。一方、原料供給路221から6フッ化モリブデンが気体の状態で金属材料供給室24に導入される。また、基材14としてガラス板を基板搬送機構(不図示)に設けられた保持部16としての基板ホルダに設置する。
【0043】
一方、アルゴンガスを、不活性ガス供給路132より回転陰極18が設けられている成膜室22へ導入する。その際の混合ガスの圧力を0.4Paとする。次に、長さ500mmの回転陰極18を3~30rpmにて回転させるとともに、赤外線のヒーター222により回転陰極18の表面を塩化チタニウムが十分に分解される350℃程度に加熱する。これにより、回転陰極18の表面に金属のチタニウムが堆積する。
【0044】
次に、回転陰極18に約3kWの直流電力を供給し、基材14側の磁気回路を含む領域に放電を起こし、基材14上にチタニウムを堆積する。基材14側の層をチタニウム層とし、チタニウムに対するモリブデンの混合比を積層方向に徐々に増加させていくためには、成膜初期には原料供給路220から塩化チタニウムのみを供給し、その後徐々に原料供給路221から供給される6フッ化モリブデンの供給量を増やしていくとよい。これにより、チタニウムとモリブデンの組成傾斜合金の薄膜を基材上に形成することが可能となる。
【0045】
組成は、原料供給路220,221から供給される塩化チタニウムと6フッ化モリブデンの流量の比率を制御することで変化させることができるが、より正確な制御を行うために、プラズマ発光モニタを用いてもよい。
【0046】
以上、本発明を上述の実施の形態や各実施例を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態や各実施例に限定されるものではなく、実施の形態や各実施例の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態や各実施の形態における組合せや工程の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態や各実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【0047】
例えば、上述の各スパッタリング装置において、スパッタリングされたターゲット材料と反応して金属化合物を形成する反応性ガスを、保持部と回転陰極との間の空間に供給する反応性ガス供給路を更に備えてもよい。これにより、成膜室において、回転陰極上に形成された合金薄膜と供給された反応性ガスとの反応により、異なる2種以上の金属成分を含む金属化合物を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施の形態に係るスパッタリング装置の全体構成の概略断面図である。
【図2】第2の実施の形態に係るスパッタリング装置の全体構成の概略断面図である。
【図3】第3の実施の形態に係るスパッタリング装置の全体構成の概略断面図である。
【図4】第4の実施の形態に係るスパッタリング装置の全体構成の概略断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 スパッタリング装置、 12 チャンバ、 14 基材、 16 保持部、 18 回転陰極、 22 成膜室、 24 金属材料供給室、 26 隙間、 28 開口部、 30 ガス遮蔽部材、 34 スリーブ、 36 磁石、 38 ターゲット、 46 不活性ガス供給路、 50,52 排出口、 110 スパッタリング装置、 120 蒸着源、 122 容器、 124 金属材料、 126 蒸着源、 128 容器、 132 不活性ガス供給路、 134 金属材料、 210 スパッタリング装置、 220,221 原料供給路、 222 ヒーター、 320 補助陰極、 322 ターゲット、 324 筐体、 326 磁石、 330 補助陰極、 332 ターゲット、 334 筐体、 336 磁石。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
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