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明細書 :住宅換気システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5483051号 (P5483051)
公開番号 特開2010-203657 (P2010-203657A)
登録日 平成26年2月28日(2014.2.28)
発行日 平成26年5月7日(2014.5.7)
公開日 平成22年9月16日(2010.9.16)
発明の名称または考案の名称 住宅換気システム
国際特許分類 F24F   7/08        (2006.01)
F24F   7/10        (2006.01)
F24J   2/42        (2006.01)
F24J   3/08        (2006.01)
FI F24F 7/08 101E
F24F 7/10 A
F24J 2/42 M
F24J 3/08
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2009-048676 (P2009-048676)
出願日 平成21年3月3日(2009.3.3)
審査請求日 平成24年1月27日(2012.1.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】垂水 弘夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査官 【審査官】小野田 達志
参考文献・文献 実開昭58-085131(JP,U)
実開昭56-015933(JP,U)
特開2002-305992(JP,A)
登録実用新案第3045442(JP,U)
特開平10-220810(JP,A)
特開平05-098718(JP,A)
特開平06-146429(JP,A)
実開昭57-084854(JP,U)
実開昭61-123348(JP,U)
実開昭57-073528(JP,U)
実開昭62-147819(JP,U)
特開2001-073477(JP,A)
特開2001-037347(JP,A)
調査した分野 F24F 7/08
F24F 7/10
F24J 2/42
F24J 3/08
特許請求の範囲 【請求項1】
日射熱を集熱及び蓄熱する温室を備えた住宅換気システムであって、
温室内と住宅の居室内とを換気機能を有するヒートチューブで連結してあり、
ヒートチューブは、温室内の屋根の下面よりに設けた空気の取入口から当該温室の床部と地熱効果が得られる地盤面下1m以上の地中埋設部と居室の床部を経由して、居室内に空気の吹出口を有し、外気に触れないように配管してあり、
温室は屋根と壁部とに透明パネル体を取り付けてあり、床部は温室内空気の加熱面として機能する厚さ30cm以上のコンクリート又は石材からなる蓄熱材で形成し、温室内に外気を取り入れる外気取入口を床面よりに設けてあることを特徴とする住宅換気システム。
【請求項2】
ヒートチューブは、温室内からの空気取入口と、外気取入口とが切り換え可能になっていることを特徴とする請求項1記載の住宅換気システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の南側等、日射量の多い方向に温室を付設し、この温室が日射熱で高温になった蓄熱等を利用して居室内に新鮮空気を供給することで、冬季等における住宅の換気に伴う熱損失を低下させるのに効果的な住宅換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
平成15年の建築基準法改正により、住宅には0.5回/1時間以上の換気能力を有する機械換気システムの設置が義務付けられた。
そこで、壁や天井内に設定したファンを用いて外気と屋内空気を入れ替える換気方法が採用されるようになってきた。
しかし、単に外気を取り込むだけでは、冬季等においては外気が居室内の空気よりも冷たく、逆に夏季等においては外気の方が熱く、換気に伴って外気負荷が大きいという問題がある。
【0003】
我が国は、北海道から鹿児島県本土までの大部分の地域において、住宅での冷房負荷よりも暖房負荷の方が大きいという特徴があり、暖房負荷を自然エネルギー活用によって減ずる対策が重要である。
【0004】
東北地方の太平洋側の地域では、住宅南側に温室として機能する外部と内部とのつなぎ空間を設け、日中に昇温した空気を、仕切りの窓を開けるなどして、居室に取り込む例が見受けられる。
しかし、窓等の開閉操作が居住者次第であることから熱的効果は限定的であり、屋内で冬季に植物を栽培する趣味的空間として位置付けられる場合が多い。
特許文献1には、この発想に近いサンルームを活用することで、太陽熱の有効利用と居室への心地良い通風を図った技術を開示するが、やはり熱的効果は限定的である。
【0005】
特許文献2には、屋根板の直下に空気流路を形成してなる太陽集熱部を設け、加熱空気を立下りダクトにて床下に流下させる技術を開示する。
しかし、同公報に開示する屋根板の直下に設けられる太陽集熱部では、冬のシーズン全体を通して換気空気の加熱に用いるのには能力的に不充分であり、また、この太陽集熱部の設置場所が太陽光発電や太陽熱温水器の利用等の他の省エネルギーシステムと競合する問題も有する。
【0006】
地中温度が大気の空気温度に比べて年変動が小さく、本州の大部分の地域において平均値が約15℃程度で安定している。
そこで、地中に埋設したヒート&クールチューブシステムを経由させて外気を導入することで夏は外気よりも冷たい空気を、また冬は外気よりも暖かい換気空気を屋内に導入する実験的住宅も見受けられる。
しかし、本願発明者らが国土交通省の先導技術開発補助金を得て、平成18年度に富山市内に建築したヒート&クールチューブ換気システムを持つモデル住宅の実測結果からは、冬の熱取得効果が1月に約540W程度、夏の熱除去効果が8月に約380W程度しか得られず、同システムの設置費用を考慮すると、地中熱だけでは不充分であった(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平8-159531号公報
【特許文献2】特開2006ー98025号公報
【0008】

【非特許文献1】「ヒート&クールチューブシステムによる省エネルギー効果に関する研究」MINOHARA Yuki,TARUMI Hiroo,他2名,日本建築学会大会学術講演集,2008年9月,P625,626
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、自然エネルギー及び自然条件変化を有効に活用することで冬季の換気の外気負荷及び屋内暖房負荷を低減できる住宅換気システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、住宅に温室を付設することで得られる外気の昇温効果と、住宅の直下又は周辺の地中に埋設したヒートチューブによる蓄熱効果の利用に着目し、本発明に至った。
本発明に係る住宅換気システムは、日射熱を集熱及び蓄熱する温室を備えた住宅換気システムであって、温室内と住宅の居室内とを換気機能を有するヒートチューブで連結してあり、ヒートチューブは、温室内の屋根の下面よりに設けた空気の取入口から当該温室の床部と地熱効果が得られる地盤面下1m以上の地中埋設部と居室の床部を経由して、居室内に空気の吹出口を有し、外気に触れないように配管してあり、温室は屋根と壁部とに透明パネル体を取り付けてあり、床部は温室内空気の加熱面として機能厚さ30cm以上のコンクリート又は石材からなる蓄熱材で形成し、温室内に外気を取り入れる外気取入口を床面よりに設けてあることを特徴とする。
【0011】
また、冬季等は温室内の温かい空気を居室に取り入れ、夏季には温室内よりも温度が低い外気を居室に取り入れるようにするためにヒートチューブは、温室内からの空気取入口と外気取入口とが切り換え可能になっているのが好ましい。
【0012】
さらに温室は屋根と壁部とに透明パネル体を取り付けてあり、床部は蓄熱材で形成し、ヒートチューブの空気取入口を屋根の下面よりに設けてあり、温室内に外気を取り入れる外気取入口は床面よりに設けてあるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る住宅換気システムは、住宅に付設した温室で新鮮外気を大幅に昇温させ、次に蓄熱容量の大きい地盤を通過させることで、昼間の日射熱の外気加温効果を夜間にまで延長でき、また、晴天日に地盤蓄熱した熱を、その後に続いた曇天日、雨天日に利用できる点、従来の換気システムに無い特徴を有する。
また、本発明は、換気空気が通過する順序として加熱装置として機能する温室の下流側に地盤を配置したことで、この地盤が蓄熱、放熱緩衝体として機能し、晴天日の日射熱を長時間にわたり、安定した温度の換気空気として取り出せる。
【0014】
特に冬季に日射が多い地域において、大きな効果が期待される。
例えば、東京等では、晴天日の昼間は暖房負荷がほとんどなく、日によってはオーバーヒートを起こして窓を開けるケースも見られる。
ところが、夜間から明け方にかけては外気温低下に伴い暖房負荷が生ずる。
このような地域の住宅では、本住宅換気システムの適用により、昼間に地盤蓄熱した熱を夜間に取り出して有効に利用できるようになり、冬のシーズンを通じて大幅な暖房負荷削減が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る住宅換気システムにおいて冬季の空気の流れを示す。
【図2】ヒートチューブ配置例の平面図を透視図として示す。
【図3】本発明に係る住宅換気システムにおいて夏季の空気の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る住宅換気システムの構成例を図1~3に模式的に示す。
住宅の居室10の例えば南側等、比較的強い日射が当たる位置に温室20を付設する。
温室20の広さは、住宅の換気0.5回/1時間に対応できるように大きく設定するのが好ましい。
温室20は冬季に外気を加温するのが目的であり、屋根21、側壁22等にはガラス張り等の透明パネル体を取り付けるのが好ましく、温室内に外気を取り込むための換気ガラリ24を床部23付近に設けてある。
なお、冬季以外は大きく開放できるように窓を側壁等に設けるとよい。
温室20の床部23は日射熱を蓄熱するとともに、温室内空気の加熱面として機能させるのがよく、コンクリートや石材を用いて、厚さ約30cm以上にするのが好ましい。
床部は厚い方がよいが、一般的には60~80cm以下である。
これにより、日没後も床面からの放熱により温室内空気の温度低下が緩やかになる。
屋根21は、傾斜面等を設けて、屋根下に高温空気が滞留しやすい部分を設けるのがよい。
本実施例では居室10側が高くなるような傾斜屋根にし、屋根の高いコーナー部21aに高温空気を誘導し、この部分にヒートチューブ30の温室内立上り部31の空気取入口31aを配置した。
ヒートチューブ30は、直径15~20cm程度の配管であり、熱伝導率が大きく、湿気に対して耐腐食性の高いものが好ましい。
コスト面からは塩化ビニール配管でもよいが、熱伝導性等の観点からはSUS配管がよい。
ヒートチューブ30は、温室内立上り部31の途中にダンパ等の切換弁31bを有し、温室20の床部23から地中に向かって配管し、地盤面下の地中に埋没された埋設部32を経由して、居室10の床から立上げた居室内立上り部33と居室内に設けた換気装置40と連結されている。
換気装置40はファンや制御盤が設けられ、換気装置40に設けた吹出口41から温室内の空気が換気空気として吹出す。
ヒートチューブ30の埋設部32は地熱効果を充分に得るために地盤面下1m以上がよく、好ましくは1.5m以上であり、埋設工事費からすると3m以下である。
また、埋設部32は住宅の直下でもよいが、本実施例では図2に示すように住宅の周囲に埋設した例となっている。
なお、図2では床部や地中に埋設したヒートチューブ部分も実線で示してある。

【0017】
冬季は暖房負荷低減を目的に温室20を利用するものであり、夏季等は図2、図3に示すように屋外立上り部34の外気取入口34aから外気を取り込み、埋設部32をクールチューブとして機能させる。
そこで、温室立上り部31に設けた切換弁31bと屋外立上り部34に設けた切換弁34bとで冬季と夏季との切り換えができるようになっている。
【符号の説明】
【0018】
10 居室
20 温室
21 屋根
22 側壁
23 床
30 ヒートチューブ
31a 取入口
40 換気装置
41 吹出口
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2