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明細書 :放射性固体廃棄物の前処理装置及び方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4530417号 (P4530417)
公開番号 特開2007-212321 (P2007-212321A)
登録日 平成22年6月18日(2010.6.18)
発行日 平成22年8月25日(2010.8.25)
公開日 平成19年8月23日(2007.8.23)
発明の名称または考案の名称 放射性固体廃棄物の前処理装置及び方法
国際特許分類 G21F   9/32        (2006.01)
G21F   9/30        (2006.01)
G21F   9/36        (2006.01)
FI G21F 9/32 A
G21F 9/30 551C
G21F 9/32 F
G21F 9/36 511C
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2006-033248 (P2006-033248)
出願日 平成18年2月10日(2006.2.10)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成17年8月12日 社団法人日本原子力学会発行の「日本原子力学会2005年秋の大会予稿集」に発表
審査請求日 平成20年3月6日(2008.3.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人 日本原子力研究開発機構
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
発明者または考案者 【氏名】牧田 隆
【氏名】吉田 健
【氏名】矢ケ崎 正
【氏名】亀井 篤志
【氏名】鬼木 俊郎
【氏名】須藤 誠
【氏名】宮本 泰明
【氏名】田代 清
【氏名】須藤 收
個別代理人の代理人 【識別番号】100097515、【弁理士】、【氏名又は名称】堀田 実
【識別番号】100136548、【弁理士】、【氏名又は名称】仲宗根 康晴
【識別番号】100136700、【弁理士】、【氏名又は名称】野村 俊博
審査官 【審査官】村川 雄一
参考文献・文献 特開2005-164320(JP,A)
特開昭61-091380(JP,A)
茂木幹夫 他2名,「4筒式外熱キルンの開発」,第23回全国都市清掃研究発表会講演論文集,日本,社団法人全国都市清掃会議,2001年12月25日,第207-209頁
調査した分野 G21F 9/00 - 9/36
F23G 5/00
F23G 5/027
F23G 5/24 - 5/28
F23G 7/00 - 7/02
F23G 7/10 - 7/12
F23J 1/00 - 1/08
F23J 9/00
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
低酸素雰囲気下での熱分解により炭化物又は灰となる有機性梱包材で梱包され、300~700℃の温度範囲で溶解可能な低融点金属部材と、700℃以下の温度範囲で溶解しない高融点金属部材とを含む放射性固体廃棄物の前処理装置であって、
前記低融点金属部材及び高融点金属部材よりも十分小さな複数の貫通孔を外周面に有し、内部に前記放射性固体廃棄物を収容可能な中空ケージと、
前記中空ケージを内部に収容し、その外周面の貫通孔が下方に位置するように中空ケージを回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を300~700℃の温度範囲で少なくとも2段階以上の温度で加熱分解するか焼炉と、を備えたことを特徴とする放射性固体廃棄物の前処理装置。
【請求項2】
前記中空ケージは、胴部に前記貫通孔のメッシュを有する円筒形容器であり、
前記か焼炉は、前記中空ケージを外部から内部に収容可能な投入室と、中空ケージを気密に囲み内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で300~500℃の温度に加熱し溶解した低融点金属を分離する低温か焼室と、中空ケージを気密に囲み内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で500~700℃の温度に加熱し溶解した低融点金属を分離する高温か焼室と、中空ケージを冷却し内部に残る高融点金属部材を外部に排出可能な冷却室とを有し、
前記投入室、低温か焼室、高温か焼室、及び冷却室は、円筒形容器の軸線方向に順に連結されている、ことを特徴とする請求項1に記載の放射性固体廃棄物の前処理装置。
【請求項3】
前記中空ケージを円筒形容器の軸線を中心に回転させるケージ回転装置と、
前記投入室、低温か焼室、高温か焼室、及び冷却室の間にそれぞれ設けられ、その間を気密に開閉可能な開閉ゲートと、
該開閉ゲートが開いているときに、中空ケージを円筒形容器の軸線方向に移動するケージ移動装置と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の放射性固体廃棄物の前処理装置。
【請求項4】
前記中空ケージは、胴部に前記貫通孔のメッシュを有し、両端部に放射性固体廃棄物が通過可能な開口を有する細長い円筒形部材であり、
前記か焼炉は、前記中空ケージを囲み、内部を円筒形部材の軸線方向に順に、前記開口を通して中空ケージ内に外部から放射性固体廃棄物を投入可能な投入室と、内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で300~500℃の温度に加熱し溶解した低融点金属を分離する低温か焼室と、内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で500~700℃の温度に加熱し溶解した低融点金属を分離する高温か焼室と、内部を冷却し内部に残る高融点金属部材を前記開口を通して外部に排出可能な冷却室とに仕切る炉本体と、
前記中空ケージを前記の順で低くなるように前記中空ケージを傾斜させて軸線を中心に回転させるケージ回転装置と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射性固体廃棄物の前処理装置。
【請求項5】
低酸素雰囲気下での熱分解により炭化物又は灰となる有機性梱包材で梱包され、300~700℃の温度範囲で溶解可能な低融点金属部材と、700℃以下の温度範囲で溶解しない高融点金属部材とを含む放射性固体廃棄物の前処理方法であって、
前記低融点金属部材及び高融点金属部材よりも十分小さな複数の貫通孔を外周面に有し、内部に前記放射性固体廃棄物を収容可能な中空ケージと、
前記中空ケージを内部に収容し、低酸素雰囲気下で中空ケージ内を2段階以上の温度で加熱するか焼炉と、を備え、
中空ケージの貫通孔が下方に位置するように中空ケージを回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を300~500℃の温度に加熱し、溶解した低融点金属を前記貫通孔を通して中空ケージの下方に分離する低温分離ステップと、
中空ケージの貫通孔が下方に位置するように中空ケージを回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を500~700℃の温度に加熱し、溶解した低融点金属を前記貫通孔を通して中空ケージの下方に分離する高温分離ステップと、
中空ケージ内を冷却し内部に残る高融点金属部材を外部に排出する冷却排出ステップと、を有する、ことを特徴とする放射性固体廃棄物の前処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性梱包材で梱包した放射性固体廃棄物の前処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所などから発生する放射性廃棄物のうち、金属配管、保温材、ゴム手袋などは、従来、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリエチレン等のシートや袋、ガムテープ等で二重、三重に厳重に梱包し、これをドラム缶などの容器に保管している。以下、これらの有機性梱包材で梱包した状態の放射性固体廃棄物を、「雑固体廃棄物」と呼ぶ。
【0003】
雑固体廃棄物は、原子力発電所などの長期間の操業により、既に大量に発生し保管されている。しかし、将来は、保管場所の確保と安全上の観点から、セメントなどで固化処理した後、地中に埋設処分することが検討されている。
【0004】
地中に埋設する場合、雑固体廃棄物は大量であり、今後も大量に発生することから、その容積を大幅に低減(減容)する必要がある。
また、雑固体廃棄物に含まれる有機物(塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリエチレン、ガムテープ等)は万一そのまま固化処理して埋設処分すると、分解してメタンなどのガスが発生し、放射性物質と共に外部に拡散するおそれがある。
【0005】
そこで、従来は、梱包した雑固体廃棄物から、有機物(梱包材など)を除去するため、梱包材の開梱作業を人手で行っていた。
しかし、この開梱作業は、放射性物質の汚染拡大の防止、及び作業員の被爆低減の観点から、グローブボックス内などで行う必要があるため、その開梱・分別の作業効率は非常に悪いという問題があった。
また開梱作業には刃物を用いる必要があり、作業員の手袋を刃物で損傷させて、作業員が被爆するおそれもあった。
【0006】
上述した問題点を解決するために、特許文献1、2が既に提案されている。
特許文献1の「放射性雑固体廃棄物の処理方法」は、図5に示す装置を用い、固化処理に先立ち、雑固体廃棄物を、雑固体廃棄物中の有機物の炭化温度以上、無機物の溶融温度以下で加熱処理するものである。この加熱処理温度は、例えば、200℃以上、660℃以下である。
なおこの図において、51はドラム缶、52はドラム缶転倒装置、53はベルトコンベア、54は加熱装置、55は排ガス処理装置、56はドラム缶、57は固化材サイロ、58は添加水サイロ、59は混練機である。
【0007】
また、特許文献2の「放射性不燃性固体廃棄物の溶融処理方法」は、図6に示すように、有機物を含む放射性不燃性固体廃棄物61を、予加熱炉62において金属の酸化抑制条件下で熱処理したうえ、溶融炉63で溶融処理するものである。この予加熱炉における熱処理温度は、例えば300~900℃である。
【0008】

【特許文献1】特開平7-333393号公報、「放射性雑固体廃棄物の処理方法」
【特許文献2】特開2005-164320号公報、「放射性不燃性固体廃棄物の溶融処理方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1、2の手段により、雑固体廃棄物に含まれる有機物(塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリエチレン、ガムテープ等)は、熱分解して炭化物及び灰となり、同時に大幅に減容されるため、人手を介することなく梱包材を除去することができ、これにより作業員の負担が軽減され、かつ作業員の被爆を本質的に防止することができる。
【0010】
雑固体廃棄物は、鉛、アルミニウムなどの低融点金属を5~15%程度の高い比率で含んでいる。
しかし、上述した特許文献1の手段では、無機物の溶融温度以下で加熱処理するため、後処理工程で低融点金属を人手で分離する必要があった。
また、特許文献2の手段では、300~900℃の熱処理温度により、すべての低融点金属を溶かすことができるが、低融点金属(鉛、アルミニウムなど)は、有機物の炭化物及び灰と混合しているため、後処理としてその分別を人手で行う必要があり、全体として、開梱・分別の作業効率は十分改善されないという問題があった。
【0011】
本発明は、かかる要望を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、雑固体廃棄物に含まれる有機物を熱分解して大幅に減容することができ、同時に鉛、アルミニウムなどの低融点金属を効率的に分別でき、これにより、雑固体廃棄物の開梱・分別の作業効率を大幅に高めることができる放射性固体廃棄物の前処理装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、低酸素雰囲気下での熱分解により炭化物又は灰となる有機性梱包材で梱包され、300~700℃の温度範囲で溶解可能な低融点金属部材と、700℃以下の温度範囲で溶解しない高融点金属部材とを含む放射性固体廃棄物の前処理装置であって、
前記低融点金属部材及び高融点金属部材よりも十分小さな複数の貫通孔を外周面に有し、内部に前記放射性固体廃棄物を収容可能な中空ケージと、
前記中空ケージを内部に収容し、中空ケージを回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を300~700℃の温度範囲で少なくとも2段階以上の温度で加熱分解するか焼炉と、を備えたことを特徴とする放射性固体廃棄物の前処理装置が提供される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記中空ケージは、胴部に前記貫通孔のメッシュを有する円筒形容器であり、
前記か焼炉は、前記中空ケージを外部から内部に収容可能な投入室と、中空ケージを気密に囲み内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で300~500℃の温度に加熱し溶解した低融点金属を分離する低温か焼室と、中空ケージを気密に囲み内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で500~700℃の温度に加熱し溶解した低融点金属を分離する高温か焼室と、中空ケージを冷却し内部に残る高融点金属部材を外部に排出可能な冷却室とを有し、
前記投入室、低温か焼室、高温か焼室、及び冷却室は、円筒形容器の軸線方向に順に連結されている。
【0014】
前記中空ケージを円筒形容器の軸線を中心に回転させるケージ回転装置と、
前記投入室、低温か焼室、高温か焼室、及び冷却室の間にそれぞれ設けられ、その間を気密に開閉可能な開閉ゲートと、
該開閉ゲートが開いているときに、中空ケージを円筒形容器の軸線方向に移動するケージ移動装置と、を備える。
【0015】
また本発明の好ましい実施形態によれば、前記中空ケージは、胴部に前記貫通孔のメッシュを有し、両端部に放射性固体廃棄物が通過可能な開口を有する細長い円筒形部材であり、
前記か焼炉は、前記中空ケージを囲み、内部を円筒形部材の軸線方向に順に、前記開口を通して中空ケージ内に外部から放射性固体廃棄物を投入可能な投入室と、内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で300~500℃の温度に加熱し溶解した低融点金属を分離する低温か焼室と、内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で500~700℃の温度に加熱し溶解した低融点金属を分離する高温か焼室と、内部を冷却し内部に残る高融点金属部材を前記開口を通して外部に排出可能な冷却室とに仕切る炉本体と、
前記中空ケージを前記の順で低くなるように前記中空ケージを傾斜させて軸線を中心に回転させるケージ回転装置と、を備える。
【0016】
また本発明によれば、低酸素雰囲気下での熱分解により炭化物又は灰となる有機性梱包材で梱包され、300~700℃の温度範囲で溶解可能な低融点金属部材と、700℃以下の温度範囲で溶解しない高融点金属部材とを含む放射性固体廃棄物の前処理方法であって、
前記低融点金属部材及び高融点金属部材よりも十分小さな複数の貫通孔を外周面に有し、内部に前記放射性固体廃棄物を収容可能な中空ケージと、
前記中空ケージを内部に収容し、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を2段階以上の温度で加熱するか焼炉と、を備え、
中空ケージを回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を300~500℃の温度に加熱し、溶解した低融点金属を前記貫通孔を通して中空ケージの下方に分離する低温分離ステップと、
中空ケージを回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を500~700℃の温度に加熱し、溶解した低融点金属を前記貫通孔を通して中空ケージの下方に分離する高温分離ステップと、
中空ケージ内を冷却し内部に残る高融点金属部材を外部に排出する冷却排出ステップと、を有する、ことを特徴とする放射性固体廃棄物の前処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の装置及び方法によれば、中空ケージ内に放射性固体廃棄物を収容し、か焼炉内で中空ケージを回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を300~700℃の温度範囲で少なくとも2段階以上の温度で加熱するので、梱包材等の有機物は炭化物及び灰となり、そのほとんどは外周面の貫通孔を通して中空ケージの下方に分離される。
【0018】
また、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で300~500℃の温度に加熱する低温分離ステップにより、低融点金属部材のうち融点の低い鉛(融点:約325℃)が溶解され、回転する中空ケージの貫通孔を通して中空ケージの下方に分離される。
さらに、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で500~700℃の温度に加熱する高温分離ステップにより、低融点金属部材のうち融点の高いアルミニウム(融点:約660℃)が溶解され、回転する中空ケージの貫通孔を通して中空ケージの下方に分離される。
【0019】
従って、2段階以上の加熱、熱分解後の中空ケージ内には、残渣として高融点金属部材のみが残るため、雑固体廃棄物に含まれる有機物を熱分解して大幅に減容することができ、同時に鉛、アルミニウムなどの低融点金属を効率的に分別できる。
また、2段階以上の加熱、熱分解により、有機物が熱分解した炭化物及び灰、融点の低い鉛、融点の高いアルミニウム、及び残渣(高融点金属部材)を人手をかけることなく、分別できるので、雑固体廃棄物の開梱・分別の作業効率を大幅に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
図1は、本発明の放射性固体廃棄物の前処理装置の第1実施形態図である。この図において、本発明の装置は、低酸素雰囲気下での熱分解により炭化物又は灰となる有機性梱包材1で梱包され、300~700℃の温度範囲で溶解可能な低融点金属部材2と、700℃以下の温度範囲で溶解しない高融点金属部材3とを含む放射性固体廃棄物4の前処理装置である。
【0022】
有機性梱包材1は、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリエチレン等のシートや袋、ガムテープ等である。また低融点金属部材2は、鉛(融点:約325℃)、アルミニウム(融点:約660℃)およびこれらの合金である。さらに高融点金属部材3は、例えばステンレスや一般鋼材からなる配管や板材である。
【0023】
本発明の装置は、有機性梱包材で梱包した状態の放射性固体廃棄物(「雑固体廃棄物」)から、有機性梱包材1を炭化物又は灰に熱分解して除去し、さらに低融点金属を分別除去し、高融点金属部材3のみを回収する。
回収された高融点金属部材3は、例えば、高融点金属の融点以上の高温で溶融処理又は高圧力で圧縮処理される。
有機性梱包材1が熱分解した炭化物又は灰は、例えば、図示しない焼却炉で焼却処理される。
分別除去により回収された低融点金属は、各金属毎にドラム管に収納され管理保管及び安定化処理される。
【0024】
図1において、本発明の装置は、複数(この図では5つ)の中空ケージ10と、か焼炉20とを備える。
中空ケージ10は、低融点金属部材2及び高融点金属部材3よりも十分小さな複数の貫通孔11を外周面に有し、内部に放射性固体廃棄物4を収容可能な容器である。貫通孔11の形状及び大きさは、回収対象の高融点金属部材3(配管や板材)のうち、最も小型のもの(ボルト、ナット等)が通過できないように設定する。また、貫通孔11の数は、熱分解した炭化物又は灰、溶融した低融点金属が、自重により容易に下方に落下できるように、できるだけ多く設けるのがよい。
【0025】
この例において、中空ケージ10は、胴部に貫通孔のメッシュ12を有する円筒形容器であり、その外周面の貫通孔が下方に位置するように円筒形容器の軸線を中心に回転させるようになっている。
また、この例では、中空ケージ10の一部(例えば側面)が開閉可能であり、ここから内部に放射性固体廃棄物4を予め収容する。
【0026】
か焼炉20は、この例では、投入室21、低温か焼室22、高温か焼室23、及び冷却室24を有する。投入室21、低温か焼室22、高温か焼室23、及び冷却室24は、円筒形容器(中空ケージ10)の軸線方向に順に連結されている。
また開閉ゲート25が、投入室21、低温か焼室22、高温か焼室23、及び冷却室24の間にそれぞれ設けられ、図示しないアクチュエータでその間を気密に開閉可能に構成されている。
さらに、ケージ回転装置26が、各室内に設けられ、図示しないアクチュエータで中空ケージ10を円筒形容器の軸線を中心に回転させるようになっている。
さらに、このか焼炉20は、図示しないケージ移動装置を備え、開閉ゲート25が開いているときに、中空ケージ10を円筒形容器の軸線方向(図で左方向)に移動するようになっている。
【0027】
投入室21は、この例で上部に開閉可能な蓋21aを有し、放射性固体廃棄物4を予め収容した中空ケージを外部から内部に収容可能に構成されている。
低温か焼室22は、窒素又は低酸素ガスを供給するガス供給ラインと加熱ヒータ(図示せず)を備え、中空ケージ10を気密に囲みその内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で300~500℃の温度に加熱し、その外周面の貫通孔11が下方に位置するように中空ケージ10をケージ回転装置26で回転させながら、溶解した低融点金属を下方の容器22a内に落下させて分離する。
高温か焼室23は、窒素又は低酸素ガスを供給するガス供給ラインと加熱ヒータ(図示せず)を備え、中空ケージ10を気密に囲み内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で500~700℃の温度に加熱し、中空ケージ10をケージ回転装置26で回転させながら、溶解した低融点金属を下方の容器23a内に落下させて分離する。
冷却室24は、上部の開閉可能な蓋24aと冷却用ガスを供給するガス供給ラインとを有し、中空ケージ10を冷却した後、中空ケージ10を外部に排出し、内部に残る高融点金属部材3を排出するようになっている。
【0028】
か焼炉20内で発生したガスは、図示しない燃焼器で燃焼し、水スクラバで洗浄した後、フィルタを介して排気される。
【0029】
上述した構成により、か焼炉20内に中空ケージ10を収容し、中空ケージ10を回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を300~700℃の温度範囲で少なくとも2段階以上の温度で加熱分解する。
【0030】
図2は、本発明の放射性固体廃棄物の前処理装置の第2実施形態図である。この例において、中空ケージ10は、胴部に貫通孔11のメッシュ12を有する細長い円筒形部材である。この円筒形部分の長さは、例えば図1の実施形態の3~4倍に設定される。中空ケージ10はその両端部に放射性固体廃棄物4が通過可能な開口13を有する。
【0031】
この例において、か焼炉20は、炉本体27とケージ回転装置26とを備える。
炉本体27は、中空ケージ10をケージがその軸線を中心に回転可能に囲んでいる。また炉本体27の内部は、中空ケージ10の軸線方向に順に、仕切板28により、投入室21、低温か焼室22、高温か焼室23、及び冷却室24に仕切られている。
ケージ回転装置26は、中空ケージ10を前記の順で低くなるように中空ケージ10を傾斜させて軸線を中心に回転させるようになっている。
【0032】
投入室21は、中空ケージ10の端部の開口13を通して、中空ケージ内に外部から放射性固体廃棄物4を投入可能に構成されている。
低温か焼室22は、窒素又は低酸素ガスを供給するガス供給ラインと加熱ヒータ(図示せず)を備え、内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で300~500℃の温度に加熱し、溶解した低融点金属を分離する。
高温か焼室23は、窒素又は低酸素ガスを供給するガス供給ラインと加熱ヒータ(図示せず)を備え、内部を窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で500~700℃の温度に加熱し、溶解した低融点金属を分離する。
冷却室24は、冷却用ガスを供給するガス供給ライン(図示せず)と有し、内部を冷却し、内部に残る高融点金属部材3を中空ケージ10の端部の開口13を通して外部に排出するようになっている。
【0033】
か焼炉20内で発生したガスは、図示しない燃焼器で燃焼し、水スクラバで洗浄した後、フィルタを介して排気される。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0034】
上述した構成により、か焼炉20内に中空ケージ10を収容し、中空ケージ10を回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を300~700℃の温度範囲で少なくとも2段階以上の温度で加熱分解する。
【0035】
本発明の方法は、低酸素雰囲気下での熱分解により炭化物又は灰となる有機性梱包材1で梱包され、300~700℃の温度範囲で溶解可能な低融点金属部材2と、700℃以下の温度範囲で溶解しない高融点金属部材3とを含む放射性固体廃棄物4の前処理方法である。
本発明の方法は、低温分離ステップS1、高温分離ステップS2及び冷却排出ステップS3を有する。
低温分離ステップS1では、中空ケージ10を回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を300~500℃の温度に加熱し、溶解した低融点金属を貫通孔11を通して中空ケージの下方に分離する。
高温分離ステップS2では、中空ケージ10を回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を500~700℃の温度に加熱し、溶解した低融点金属を貫通孔11を通して中空ケージの下方に分離する。
冷却排出ステップS3では、中空ケージ10内を冷却し、内部に残る高融点金属部材3を外部に排出する。
【0036】
上述した本発明の装置及び方法によれば、中空ケージ10内に放射性固体廃棄物4を収容し、か焼炉20内で中空ケージ10を回転させながら、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で中空ケージ内を300~700℃の温度範囲で少なくとも2段階以上の温度で加熱するので、梱包材等の有機物は炭化物及び灰となり、そのほとんどは外周面の貫通孔を通して中空ケージの下方に分離される。
【0037】
また、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で300~500℃の温度に加熱する低温分離ステップS1により、低融点金属部材2のうち融点の低い鉛(融点:約325℃)が溶解され、回転する中空ケージの貫通孔を通して中空ケージの下方に分離される。
さらに、窒素雰囲気又は低酸素雰囲気下で500~700℃の温度に加熱する高温分離ステップにより、低融点金属部材2のうち融点の高いアルミニウム(融点:約660℃)が溶解され、回転する中空ケージの貫通孔を通して中空ケージの下方に分離される。
【0038】
従って、2段階以上の加熱、熱分解後の中空ケージ10内には、残渣として高融点金属部材3のみが残るため、雑固体廃棄物4に含まれる有機物を熱分解して大幅に減容することができ、同時に鉛、アルミニウムなどの低融点金属を効率的に分別できる。
また、2段階以上の加熱、熱分解により、有機物が熱分解した炭化物及び灰、融点の低い鉛、融点の高いアルミニウム、及び残渣(高融点金属部材)を人手をかけることなく分別できるので、雑固体廃棄物の開梱・分別の作業効率を大幅に高めることができる。
【実施例1】
【0039】
有機性梱包材で梱包された雑固体廃棄物(放射性固体廃棄物)から梱包材を除去すると共に、低融点金属の分離除去の効果を確認するために、模擬廃棄物を用いたか焼処理試験を実施した。
模擬廃棄物は、主としてSUS及びSSのパイプ、板材、Al合金板材、Pb板材、真鍮ボルト、Znメッキ板などを個別に塩ビシートで梱包し、塩ビ製の袋に入れてガムテープを巻き付けることで調製した。
【0040】
図3は、本発明の実施例で使用したか焼処理炉の構成図である。また、図4は、本発明の実施例で使用したか焼処理装置の構成図である。
この試験では、模擬廃棄物を金網で形成された容器(ケージ)内に収容し、この容器を熱風加熱方式のか焼処理炉に装荷して、まず、窒素雰囲気(無酸素状態)で所定の昇温速度(1~10℃/min)で昇温し、次に所定温度(500、600、700℃)に到達後、5%酸素を供給し、残留炭化物の灰化処理を1時間実施した。
【0041】
なお、この試験では、ゲージは静置し、振動や回転は与えなかった。
また、試験中に発生するガスは燃焼器で燃焼し、水スクラバで洗浄した後、フィルタを介して排気した。
試験後、Pb、Al、Znについて、か焼処理装置内のゲージ、受けトレー、梱包材残渣、スクラバ水、フィルタへの移行量を計測した。計測結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
JP0004530417B2_000002t.gif

【0043】
表1から、Pbは全ての条件でゲージ内に滞留することなく、大部分が受けトレー及び梱包材残渣から回収された。
Alは、500℃ではほぼ全量がゲージ内に残留するが、600℃以上では一部が受けトレーに融け落ちることが確認できた。
Znは、全ての条件で受けトレーに融け落ちることなく、ケージ内、梱包材残渣、スクラバ水及びフィルタから回収された。
以上から、PbとAlについては、300~500℃の温度でPbを廃棄物から分離除去し、500~700℃の温度でAlを分離除去できることが確認された。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の放射性固体廃棄物の前処理装置の第1実施形態図である。
【図2】本発明の放射性固体廃棄物の前処理装置の第2実施形態図である。
【図3】本発明の実施例で使用したか焼処理炉の構成図である。
【図4】本発明の実施例で使用したか焼処理装置の構成図である。
【図5】特許文献1の装置の模式図である。
【図6】特許文献2の方法の模式図である。
【符号の説明】
【0046】
1 有機性梱包材、2 低融点金属部材、3 高融点金属部材、
4 放射性固体廃棄物(雑固体廃棄物)、
10 中空ケージ、11 貫通孔、12 メッシュ、13 開口、
20 か焼炉、21 投入室、21a 蓋、
22 低温か焼室、22a 容器、
23 高温か焼室、23a 容器、
24 冷却室、24a 蓋、
25 開閉ゲート、26 ケージ回転装置、
27 炉本体、28 仕切板
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5