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明細書 :変位変換ユニット、加工機械

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5126947号 (P5126947)
公開番号 特開2008-263731 (P2008-263731A)
登録日 平成24年11月9日(2012.11.9)
発行日 平成25年1月23日(2013.1.23)
公開日 平成20年10月30日(2008.10.30)
発明の名称または考案の名称 変位変換ユニット、加工機械
国際特許分類 F15B   7/00        (2006.01)
H02N   2/00        (2006.01)
FI F15B 7/00 A
H02N 2/00 B
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2007-105072 (P2007-105072)
出願日 平成19年4月12日(2007.4.12)
審査請求日 平成22年4月8日(2010.4.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】森本 喜隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100100077、【弁理士】、【氏名又は名称】大場 充
【識別番号】100136010、【弁理士】、【氏名又は名称】堀川 美夕紀
審査官 【審査官】関 義彦
参考文献・文献 特開平4-331834(JP,A)
特開2001-341513(JP,A)
特開昭63-244118(JP,A)
特開昭64-35106(JP,A)
特開2007-32581(JP,A)
特開2003-94202(JP,A)
特開平11-179605(JP,A)
特開2002-35696(JP,A)
調査した分野 F15B 7/00
F15B 15/00-15/28
H02N 1/00-2/00
H01L 41/00-41/22
B23B 1/00-25/06
特許請求の範囲 【請求項1】
容積が変化可能とされた第一の空間と、
容積が変化可能とされた第二の空間と、
前記第一の空間および前記第二の空間に封入され、前記第一の空間と前記第二の空間との間で圧力を伝達する流体と、
前記第一の空間と前記第二の空間の間に配置され、前記第一の空間と前記第二の空間を連通する流路が形成された中間ブロックと、
外部から入力された力による変位によって前記第一の空間の容積を変化させる変位入力部と、
前記第一の空間の容積の変化が前記流体を介して伝達されたときに、前記第二の空間の容積が変化することで生じる変位を外部に出力する変位出力部と、
前記中間ブロックに設けられ、前記流路に突出されることで前記第二の空間内における前記流体の圧力を高める圧力増加部と、を備え、
前記第一の空間および前記第二の空間の一方は、前記第一の空間および前記第二の空間の他方よりも断面積が小さく、かつ断面視環状で、その外周面を形成するアウター部材と内周面を形成するインナー部材との間に形成されており、
前記アウター部材および前記インナー部材が蛇腹状のベローズによって形成されていることを特徴とする変位変換ユニット。
【請求項2】
前記第二の空間は、前記第一の空間よりも断面積が小さく、かつ断面視環状で、
前記変位出力部は、前記変位入力部に入力された力による前記変位を、前記第一の空間と前記第二の空間の断面積比に応じて拡大して外部に出力することを特徴とする請求項1に記載の変位変換ユニット。
【請求項3】
前記第一の空間は、前記第二の空間よりも断面積が小さく、かつ断面視環状で、
前記変位出力部は、前記変位入力部に入力された力による前記変位を、前記第一の空間と前記第二の空間の断面積比に応じて縮小して外部に出力することを特徴とする請求項1に記載の変位変換ユニット。
【請求項4】
外部から前記変位入力部への力の入力が、圧電素子により行われることを特徴とする請求項1からのいずれに記載の変位変換ユニット。
【請求項5】
加工対象となるワークを保持するワーク保持部と、
前記ワーク保持部に保持された前記ワークに対して加工を施す加工ツールと、
前記ワークと前記加工ツールの少なくとも一方を相対的に移動させる移動機構と、
前記加工ツールを前記ワークに対して相対的に進退させるための変位を生じさせるアクチュエータと、
前記アクチュエータで生じた変位を拡大または縮小して前記加工ツールに伝達する変位変換部と、を備えた加工機械であって、
前記変位変換部は、
容積が変化可能とされた第一の空間と、
容積が変化可能とされた第二の空間と、
前記第一の空間および前記第二の空間に封入され、前記第一の空間と前記第二の空間との間で圧力を伝達する流体と、
前記第一の空間と前記第二の空間の間に配置され、前記第一の空間と前記第二の空間を連通する流路が形成される中間ブロックと、
外部から入力された力による変位によって前記第一の空間の容積を変化させる変位入力部と、
前記第一の空間の容積の変化が前記流体を介して伝達されたときに、前記第二の空間の容積が変化することで生じる変位を外部に出力する変位出力部と、
前記中間ブロックに設けられ、前記流路に突出されることで前記第二の空間内における前記流体の圧力を高める圧力増加部と、を備え、
前記第一の空間および前記第二の空間の一方は、前記第一の空間および前記第二の空間の他方よりも断面積が小さく、かつ断面視環状で、その外周面を形成するアウター部材と内周面を形成するインナー部材との間に形成されており、
前記アウター部材および前記インナー部材が蛇腹状のベローズによって形成されていることを特徴とする加工機械。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば非円形加工を行う加工機械、およびそれに用いることのできる変位変換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
旋盤等の加工機械において例えば非円形加工を行う場合、主軸に保持されたワーク(加工対象物)に対し、加工ツールを、主軸の回転軸方向に直交する方向(径方向)に変位させる変位機構を備える必要がある。このような変位機構においては、主軸の回転に連動して加工ツールを精度よく変位させなければならず、高い応答性と高精度で駆動できるアクチュエータを用いる必要がある。
近年、高い応答性、高精度を有するアクチュエータとして、圧電素子を用いることが注目されている。圧電素子は、電圧を印加したときの素子自体の電歪効果によって生じる圧電素子の変形により、変位を生じさせる。このようにして発生する圧電素子自体の変位量は、一般的には50μm程度であり、最小分解能が1nm程度のものもある。
【0003】
圧電素子等のアクチュエータを用いて変位を生じさせる場合、その変位をリンクやレバー等を用いた変位拡大機構で拡大することがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
他の変位拡大機構としては、図4(a)に示すように、第一の空間1と、第一の空間1に連通し、第一の空間1よりも小さな断面積を有した第二の空間2とを備え、これら第一の空間1および第二の空間2に液体が充填されたものがある(例えば、非特許文献1参照。)。第一の空間1は、アクチュエータ3側に設けられ、第一の空間1の一面側にはダイヤフラム4が設けられている。第二の空間2は、例えば蛇腹状で一方向に沿って伸縮可能とされたベローズ5内に形成されている。
図4(b)に示すように、アクチュエータ3の作動によってダイヤフラム4が押圧されると、第一の空間1内の体積が変化する。ダイヤフラム4が押圧されて第一の空間1の体積が変化すると、この変化が液体を介してベローズ5に伝達されることで、ベローズ5は伸縮する。その結果、ベローズ5の伸縮の結果、押圧対象である加工ツール6が押圧されて変位する。このとき、ベローズ5の先端部、つまり加工ツール6の変位は、パスカルの定理により、第一の空間1側のダイヤフラム4の変位、つまりアクチュエータ3の変位に対し、第一の空間1と第二の空間2の断面積比の二乗に比例して増幅されたものとなる。
【0005】

【特許文献1】特開2004-88837号公報
【非特許文献1】大堀幸雄、森本喜隆、市田良夫、佐藤隆之介、「変位拡大機構を持つ切込み装置の開発とその応用-非円形加工への適用-」、2006年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集、精密工学会、2006年9月4日発行、P555~556
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術のように、変位拡大機構として、リンクやレバーを用いる場合、大きな変位拡大率を得ようとするとリンクやレバーを大きくしなければならず、変位機構の大型化に繋がる。さらに、リンクやレバーを大きくするには、これらに高い剛性も要求され、これは変位機構の大型化、重量増につながる。
【0007】
また、図4に示したようなパスカルの定理を用いた変位拡大機構の場合、第一の空間1側と第二の空間2側の断面積比を大きくすれば、大きな変位拡大率を得ることができる。しかしながら、第一の空間1側の断面積を大きくしたのでは、装置の大型化につながる。一方、第二の空間2側の断面積を小さくする場合には、第二の空間2を形成するベローズ5の内径が小さくなるため、装置の大型化にはつながらない。しかし、第二の空間2側の断面積を小さくすれば小さくするほど加工が困難となり、加工コストの増大を招く。
【0008】
ところで、図4に示したような構成では、押圧対象に対して作用する力は、押圧対象を押圧する流体の圧力が作用する部分の断面積、すなわち第二の空間2の断面積に比例する。したがって、第二の空間2の断面積を小さくすることで大きな変位拡大率が得られたとしても、断面積の小さな第二の空間2では、出力を大きくすることができないという問題も伴う。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、小型でありながら大きな変位変化率を有することのできる変位変換ユニット、加工機械を提供することを目的とする。
他の目的は、大きな変位変化率を確保しつつ、出力を大きくすることのできる変位変換ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもとになされた本発明の変位変換ユニットは、容積が変化可能とされた第一の空間と、容積が変化可能とされた第二の空間と、第一の空間および第二の空間に封入され、第一の空間と第二の空間との間で圧力を伝達する流体と、第一の空間と第二の空間の間に配置され、第一の空間と第二の空間を連通する流体が形成された中間ブロックと、外部から入力された力による変位によって第一の空間の容積を変化させる変位入力部と、第一の空間の容積の変化が流体を介して伝達されたときに、第二の空間の容積が変化することで生じる変位を外部に出力する変位出力部と、を備える。ここで、第一の空間および第二の空間の一方は、第一の空間および第二の空間の他方よりも断面積が小さく、かつ断面視環状で、その外周面を形成するアウター部材と内周面を形成するインナー部材との間に形成されている。このアウター部材およびインナー部材は、蛇腹状のベローズによって形成されている。ここで、環状とは、円環状に限らず、矩形の環状等をも含むものとする。
このような構成の変位変換ユニットにおいては、外部から入力された力による変位によって第一の空間の容積変化が生じると、この容積変化は、第一の空間と第二の空間に封入された流体を介して第二の空間に伝達され、第二の空間において容積の変化が生じる。第二の空間において容積の変化が生じると、この容積の変化に基づく変位は変位出力部から外部に伝達される。このとき、第二の空間の容積変化による変位は、前記の第一の空間での容積変化による変位に対し、第一の空間と第二の空間の断面積比に応じて拡大または縮小される。その結果、第二の空間の容積変化によって変位出力部から外部に出力される変位は、第一の空間に入力された変位を拡大または縮小したものとなる。
ここで、本発明の変位変換ユニットにおいては、第一の空間および第二の空間の一方は、第一の空間および第二の空間の他方よりも断面積が小さく、かつ断面視環状とされているので、第二の空間の外径を大きくすることが可能となる。これにより、同等の変位拡大または縮小率を得る場合、従来よりも第二の空間の外径を大きく確保することができ、加工等が容易となる。また、同じ外寸であれば、従来よりも大きな変位拡大または縮小率を得ることができる。
また、本発明の変位変換ユニットは、流路に突出されることで第二の空間内における流体の圧力を高める圧力増加部が中間部ロックに設けられている。第二の空間内における流体の圧力を高めるには、例えば第二の空間に対して突出可能なピストン等を用いることができる。
【0010】
つまり、第二の空間が、第一の空間よりも断面積が小さく、かつ断面視環状であれば、変位出力部は、変位入力部に入力された力による変位を、第一の空間と第二の空間の断面積比に応じて拡大して外部に出力する。
逆に、第一の空間が、第二の空間よりも断面積が小さく、かつ断面視環状であれば、変位出力部は、変位入力部に入力された力による変位を、第一の空間と第二の空間の断面積比に応じて縮小して外部に出力する。
【0013】
このような変位変換ユニットの変位入力部に対して外部から力の入力がなされるが、その外部から変位入力部への力の入力は、圧電素子により行うこともできる。
半導体産業、バイオメディカル産業等における超精密位置決めを要する製造装置や検査装置においては、圧電素子を用いた機構の他、ボールねじ駆動機構、リニアモータ駆動機構、超音波駆動機構等も用いられている。変位を生じさせる機構には、他にもエアシリンダや油圧シリンダを用いた機構等も存在する。本発明の変位変換ユニットは、これらの機構に組み合わせて適用することが可能である。
【0014】
本発明は、加工対象となるワークを保持するワーク保持部と、ワーク保持部に保持されたワークに対して加工を施す加工ツールと、ワークと加工ツールの少なくとも一方を相対的に移動させる移動機構と、加工ツールをワークに対して相対的に進退させるための変位を生じさせるアクチュエータと、アクチュエータで生じた変位を拡大または縮小して加工ツールに伝達する変位変換部と、を備えた加工機械にも適用可能である。
ここで、移動機構においては、ワークと加工ツールの一方を回転させることで相対的に回転させるものや、ワークと加工ツールの一方を少なくとも一軸方向に相対的に移動させるもの等がある。さらに、ワークと加工ツールを、二軸以上の方向に移動させるもの等に対しても本発明は適用可能である。
そして、変位変換部は、容積が変化可能とされた第一の空間と、容積が変化可能とされた第二の空間と、第一の空間および第二の空間に封入され、第一の空間と第二の空間との間で圧力を伝達する流体と、第一の空間と第二の空間の間に配置され、第一の空間と第二の空間を連通する流体が形成される中間ブロックと、外部から入力された力による変位によって第一の空間の容積を変化させる変位入力部と、第一の空間の容積の変化が流体を介して伝達されたときに、第二の空間の容積が変化することで生じる変位を外部に出力する変位出力部と、中間ブロックに設けられ、流路に突出されることで第二の空間内における流体の圧力を高める圧力増加部と、を備え、さらに、第一の空間および第二の空間の一方は、第一の空間および第二の空間の他方よりも断面積が小さく、かつ断面視環状で、その外周面を形成するアウター部材と内周面を形成するインナー部材との間に形成されており、アウター部材およびインナー部材が蛇腹状のベローズによって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小型でありながら大きな変位変化率を有することのできる変位変換ユニット、加工機械を提供することができる。また、圧力増加部により第二の空間における流体の圧力を高めることで、大きな変位変換率を確保しつつ、出力を大きくすることが可能となる。
【0016】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における加工機械10を説明するための図である。
図1に示すように、加工機械10は、図示しないモータ等の駆動源(移動機構)によって回転駆動される主軸11と、加工対象のワーク100を加工する加工ツール12と、加工ツール12を主軸11の軸線に直交する方向に変位させる変位機構13とを備える。
【0017】
加工対象となるワーク100は、主軸11に設けられたワーク保持部11aによって保持され、主軸11とともに回転する。
加工ツール12および変位機構13は、主軸11の回転軸方向、および回転軸に直交した方向に移動可能なベーステーブル14上に設けられている。
【0018】
図2に示すように、変位機構13は、前記の方向に沿った変位を生じさせるアクチュエータ15と、アクチュエータ15の変位を拡大する変位拡大ユニット(変位変換ユニット、変位変換部)20とから構成されている。
アクチュエータ15には、様々なものを用いることが可能であるが、加工機械10において加工ツール12を変位させるという用途からして圧電素子を用いるのが好適である。
【0019】
変位拡大ユニット20は、全体として筒状をなしている。この変位拡大ユニット20は、アクチュエータ15側に配置される第一の空間21と、加工ツール12側に配置される第二の空間22とを有している。
【0020】
第一の空間21は、筒状で、その軸線方向に伸縮可能な蛇腹状のベローズ23によって、その内側に形成されている。ベローズ23の一端側はプレート(変位入力部)24によって塞がれている。このプレート24はアクチュエータ15の先端部15aに当接しており、アクチュエータ15から入力される変位を受けるようになっている。ベローズ23の他端側は中間ブロック30に連結されている。
【0021】
第二の空間22は、筒状で、その軸線方向に伸縮可能な蛇腹状のベローズ(アウター部材)26と、このベローズ26の内径よりも小さな外径を有したインナー部材27との間に形成されており、断面視円環状をなしている。ベローズ26の内径、つまり第二の空間22の外径は、ベローズ23の内径と略同寸法とされている。これにより第二の空間22は、第一の空間21よりも断面積が小さく形成されている。
ベローズ26の一端側はプレート(変位出力部)28によって塞がれている。このプレート28は加工ツール12を取り付けるツール保持ブロック29に取り付けられており、プレート28の変位をツール保持ブロック29に伝達(出力)する。ベローズ26の他端側は中間ブロック30に連結されている。
インナー部材27は、ベローズ26の内側に円環状の第二の空間22を形成するために設けられるものであるが、ベローズ26と一体的に伸縮できるよう、同様の蛇腹状のベローズによって形成するのが好ましい。
【0022】
中間ブロック30は、前記のベーステーブル14に固定状態で取り付けられている。この中間ブロック30には、その内側に断面円形の孔31が形成されている。孔31は、その内径がベローズ26の内径とほぼ同寸法となるように形成するのが好ましい。
孔31の内部には、円盤状のプレート32が設けられている。このプレート32には、予め定められた内径を有したオリフィス孔32aが形成されている。プレート32は、孔31内において第一の空間21側に固定状態で設けられており、ベローズ23を塞ぐように設けられている。
孔31の内部において、プレート32に対しベローズ26が設けられている側には、インナー部材27に連続する柱状部材34が設けられている。これによって、孔31内においても、孔31の内周面と柱状部材34との間は、第二の空間22に連続する断面円環状の空間35が形成されている。ここで、特に区別を要する場合を除き、この空間35は第二の空間22の一部として含むものとする。
これにより第一の空間21と第二の空間22は、プレート32を挟んで対向し、オリフィス孔32aによって互いに連通している。
【0023】
そして、第一の空間21、第二の空間22、空間35には、油等の液体(流体)Lが封入されている。
このような変位拡大ユニット20において、アクチュエータ15でプレート24を加工ツール12側に押圧すると、図2(b)に示すように、固定状態の中間ブロック30との間でベローズ23が縮み、これによって第一の空間21の容積が減少する。これによって液体Lは第一の空間21から押し出され、プレート32のオリフィス孔32aを通って空間35および第二の空間22側に流れ込む。すると、流れ込んだ液体Lの体積分だけ第二の空間22の容積が増加し、ベローズ26が伸びる。その結果、プレート28が加工ツール12側に移動し、加工ツール12をアクチュエータ15による変位の向きと同じ向きに変位させることができる。
一方、アクチュエータ15でプレート24をアクチュエータ15側に変位させると、固定状態の中間ブロック30との間でベローズ23が伸び、これによって第一の空間21内の体積が増加する。これにともなって液体Lはプレート32のオリフィス孔32aを通って空間35および第二の空間22側から第一の空間21側に流れ込む。すると、流れ込んだ液体Lの体積分だけ第二の空間22の体積が減少し、ベローズ26が縮む。その結果、プレート28がアクチュエータ15側に移動し、加工ツール12をアクチュエータ15による変位の向きと同じ向きに変位させることができる。
このようにしてアクチュエータ15による変位が変位拡大ユニット20を介して加工ツール12に伝達されるが、このとき、第一の空間21の断面積A1よりも第二の空間22の断面積A2の方が面積が小さいため、パスカルの定理に基づき、第一の空間21と第二の空間22との断面積比A1/A2により、アクチュエータ15の変位X1に対し、プレート28の変位X2は(A1/A2)倍だけ増幅される。
【0024】
また、中間ブロック30には、空間35の容積を変化させる容積変化機構(圧力増加部)40を備えることもできる。容積変化機構40では、空間35の容積を変化(特に、通常状態より容積を減少させる方向の変化)させることができるのであれば、いかなる機構を用いても良い。例えば、中間ブロック30の孔31の内周面とほぼ同一面に位置した状態から、孔31の内方に突出可能なピストン41と、このピストン41を進退駆動させる駆動バルブ等の進退駆動源42とにより、容積変化機構40を構成することができる。通常時においては、ピストン41を退避させてその先端面41aが孔31とほぼ同一面に位置する状態とし、必要時に進退駆動源42によってピストン41を前進させて孔31の内方に突出させるようにする。ピストン41を突出させると空間35の容積が減少する。すると液体Lの封入容積も減少するため、液体Lの圧力が増加する。
プレート28において、加工ツール12を変位させるために発生する力Fは、液体Lの圧力Pと第二の空間22の断面積A2とによって決まる(F=P×A2)。したがって、上記のようにピストン41の突出動作によって液体Lの圧力Pを増加させることで、プレート28から加工ツール12に作用させる押圧力を高めることが可能となるのである。
このようなピストン41の前進動作は、アクチュエータ15の動作に連動して行う。すなわち、アクチュエータ15でプレート24を押圧して加工ツール12側に変位させることで加工ツール12を変位させるときに、アクチュエータ15による押圧動作と同時、あるいはアクチュエータ15による押圧動作を開始した後に、ピストン41を突出させる。
【0025】
ところで、容積変化機構40は、ピストン41の進退動作によるものだけでなく、空間35の容積を変化させることができるのであれば、適宜他の機構を用いることが可能である。
また、中間ブロック30内の空間35の容積ではなく、他の部分(第一の空間21や第二の空間22)の容積を変化させるようにしても良い。
さらには、外部から液体Lをシリンダやポンプ等で送り込んだり抜いたりすることで液体Lの圧力を増減させるようにしても良い。
【0026】
上述したような構成によれば、アクチュエータ15で発生する変位を変位拡大ユニット20によって増幅して加工ツール12を変位させることができる。このようにして、加工機械10においては、主軸11で保持したワーク100を回転させながら、主軸11の回転角度と加工ツール12の変位を同期させることにより、ワーク100に対し、例えば楕円形状や多角形形状等の非円形加工を行うことができる。
このような変位拡大ユニット20においては、第一の空間21と第二の空間22の断面積比によって変位拡大率が決まるため、リンクやレバーを用いる場合のように、大きな変位拡大率を得ようとするがために機構が大型化することもなく、小型でかつ軽量なものとすることができる。つまり、小型、軽量な変位拡大ユニット20でありながら、大きな変位を生じさせて非円形加工を行うことができるのである。このとき、アクチュエータ15として圧電素子を用いることで、高い応答性、高精度での駆動が行える。
【0027】
また、液体Lは第一の空間21、第二の空間22、空間35に封入されており、外部に循環したりすることもないため、液漏れが生じることもなく、メンテナンス性、耐久性に優れた構成となっている。
【0028】
加えて、変位拡大ユニット20において、第一の空間21と第二の空間22の断面積比によって変位拡大率が決まるが、第二の空間22はベローズ26とインナー部材27との間に形成された断面視円環状となっている。したがって、変位拡大率を大きくするために第二の空間22の断面積を小さくする場合においても、図4に示したような従来の構成に比較し、ベローズ26の内径を大きくすることができる。
ここで、具体的な例を挙げて検討した。
【0029】
【表1】
JP0005126947B2_000002t.gif

【0030】
表1に示すように、第一の空間21の外径を100mm、第二の空間22の外径を10mm、内径を8mmとした場合(実施例)、変位拡大率は278倍となる。つまりアクチュエータ15を1nm作動させれば、加工ツール12は278nm変位する。
一方、従来の構成において、上記と同様、第一の空間1の外径を100mmとすると、第二の空間2の外径を10mmとした場合(比較例1)、変位拡大率は100倍となる。つまり、同じ外観サイズであれば、本実施の形態における構成を適用することで、従来以上に高い変位拡大率を得ることができる。
また、従来の構成において、上記と同等の変位拡大率(278倍)を得ようとすると、第一の空間1の外径を上記と同じ100mmとした場合(比較例2)、第二の空間2の外径は6mmとなる。これがmm単位ではなくμm単位、nm単位と、第二の空間2の外径が小さくなればなるほど加工が困難になる。これに対し本実施の形態の構成によれば、第二の空間22の外径は従来の構成における第二の空間2の外径よりも大きくすることができるので、加工も容易であり、加工コストを抑えることができる。
【0031】
加えて、本実施形態の構成によれば、容積変化機構40により、液体Lの圧力を高めることで、アクチュエータ15から加工ツール12に伝達される押圧力を増加させることができる。これにより、加工ツール12をより大きな力で変位させることが可能となる。これは、変位拡大ユニット20における変位拡大率を高めれば高めるほど第二の空間22の断面積が小さくなり、発揮する押圧力が減少してしまうため、これを補うのに有効である。つまり、上記構成によれば、大きな変位拡大率を確保しつつ、大きな押圧力を発揮することができるのである。
【0032】
なお、上記実施の形態では、変位拡大ユニット20によりアクチュエータ15の変位を拡大する構成を示したが、この変位拡大ユニット20は、変位縮小機構としても用いることが可能である。すなわち、図3に示すように、アクチュエータ15側に第二の空間22を配し、加工ツール12側に第一の空間21を配する。このようにすれば、アクチュエータ15で発生させた変位を縮小して、加工ツール12を動作させることが可能となる。その結果、従来にない微小寸法で加工ツール12を変位させて加工を行うことが可能となる。
【0033】
さらに、上記実施の形態では、主軸11に保持されたワーク100に対し、加工ツール12をアクチュエータ15および変位拡大ユニット20で変位させる構成としたが、加工ツール12側を変位させるのではなく、ワーク100側を変位させるための機構として、上記した変位拡大ユニット20を用いても良い。
また、フライス加工機のように、主軸で加工ツールを保持し、加工ツールを主軸の回転とともに回転させる構成においても本発明を適用できる。
【0034】
加えて、第一の空間21、第二の空間22の容積を変化させて変位を生じさせる構成としてベローズ23、26を用いたが、これに限らず、例えばピストン・シリンダからなる構成を用いることも可能である。
また、第一の空間21と第二の空間22とで、プレート32のオリフィス孔32aを通して液体Lが流通可能な構成としたが、第一の空間21と第二の空間22との間を仕切り壁で仕切っても良い。この場合、仕切り壁はダイヤフラムやピストン等によって形成し、これらの変形や変位によって第一の空間21と第二の空間22との間で容積変化を伝達する。
さらに、変位拡大ユニット20は、全体として筒状をなした形状としたが、全体をL字状等に形成して、変位の入力方向と出力方向とを異ならせる構成とすることも可能である。その場合、ベローズ23、26の中間ブロック30に対する取付角度を異ならせれば良い。
この他、用途についても、ワーク100を加工する加工機械10に限らず、他の様々な装置、デバイス等に本発明を適用することが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施の形態における加工機械の概略構成を示す図である。
【図2】アクチュエータと変位拡大機構の構成を示す図であり、(a)はアクチュエータで変位を生じさせていない状態、(b)はアクチュエータで変位を生じさせた状態を示す図である。
【図3】アクチュエータの変位を縮小させる場合の構成を示す図である。
【図4】従来の変位拡大機構の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10…加工機械、11…主軸、11a…ワーク保持部、12…加工ツール、13…変位機構、15…アクチュエータ、20…変位拡大ユニット(変位変換ユニット、変位変換部)、21…第一の空間、22…第二の空間、23…ベローズ、24…プレート(変位入力部)、26…ベローズ(アウター部材)、27…インナー部材、28…プレート(変位出力部)、40…容積変化機構(圧力増加部)、41…ピストン、42…進退駆動源、100…ワーク
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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