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明細書 :ガラス溶融炉

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4815640号 (P4815640)
公開番号 特開2010-189240 (P2010-189240A)
登録日 平成23年9月9日(2011.9.9)
発行日 平成23年11月16日(2011.11.16)
公開日 平成22年9月2日(2010.9.2)
発明の名称または考案の名称 ガラス溶融炉
国際特許分類 C03B   5/027       (2006.01)
H05B   3/00        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
G21F   9/16        (2006.01)
FI C03B 5/027 ZAB
H05B 3/00 340
B09B 3/00 303K
B09B 3/00 303Z
G21F 9/16 541L
請求項の数または発明の数 6
全頁数 9
出願番号 特願2009-037437 (P2009-037437)
出願日 平成21年2月20日(2009.2.20)
審査請求日 平成21年12月25日(2009.12.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】山下 照雄
【氏名】正木 敏夫
【氏名】宮内 厚志
【氏名】小林 秀和
【氏名】中島 正義
【氏名】守川 洋
個別代理人の代理人 【識別番号】100078961、【弁理士】、【氏名又は名称】茂見 穰
審査官 【審査官】山田 貴之
参考文献・文献 特開2008-174396(JP,A)
特開2008-037673(JP,A)
特開2004-361215(JP,A)
特開平02-112798(JP,A)
調査した分野 C03B 5/00- 5/44
G21F 9/00- 9/36
特許請求の範囲 【請求項1】
縦型円筒状の溶融槽と、該溶融槽の上部に位置するガラス原料及び放射性液体廃棄物の供給口と、溶融槽の底部に位置する溶融ガラスの排出口と、耐熱合金製の複数の加熱電極を備え、溶融槽内に供給したガラス原料及び放射性液体廃棄物に前記加熱電極を介して通電することにより加熱溶融し、溶融ガラスを排出する放射性廃棄物ガラス固化処理用溶融炉において、
前記溶融槽は、円錐状の炉底浴壁及びその上方に連続し一方の加熱電極を兼ねる円筒状の垂直浴壁からなり冷却手段を備えた耐熱合金製の一体構造であって、該垂直浴壁を対極とする他方の加熱電極は、冷却手段を備え前記溶融槽内に垂下される円筒状の中央電極であり、直管部分と紡錘型に膨出する先端部分とが連続し中空構造であって前記直管部分から先端部分の底部近傍まで空気配管が挿入され冷却空気を該空気配管から供給可能とした耐熱合金製の冷却棒を、その直管部分が中央電極内に電気絶縁体を介して位置し、先端部分が中央電極から突出するように前記溶融槽内に設置することを特徴とするガラス溶融炉。

【請求項2】
中央電極は、溶融槽の中心軸に沿って上方から垂直浴壁に対応する位置まで挿入され、冷却棒の紡錘型に膨出している先端部分が円錐状の炉底浴壁で囲まれた部分に収まるように設置されている請求項1記載のガラス溶融炉。
【請求項3】
中央電極及び冷却棒が、引き抜き交換可能となっている請求項1又は2記載のガラス溶融炉。
【請求項4】
溶融槽の垂直浴壁に、上段及び下段に分けて、複数本ずつの加熱手段が分散配設され、それら加熱手段が引き抜き交換可能となっている請求項1乃至3のいずれかに記載のガラス溶融炉。
【請求項5】
溶融槽の炉底浴壁の周囲に加熱手段が配設されている請求項4記載のガラス溶融炉。
【請求項6】
溶融槽の外側全体が、冷却手段を備えたインナージャケットで囲まれ、溶融槽及び炉底浴壁周辺の加熱手段をインナージャケットからのユニットとして、または溶融槽を炉底浴壁周辺の加熱手段と共にユニットとして、あるいは溶融槽単体で、交換可能とした請求項5記載のガラス溶融炉。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、直接通電によるジュール熱を利用して溶融槽内のガラス原料を溶融し、ガラス原料と共に溶融槽内に供給された廃棄物をガラス固化処理するためのガラス溶融炉に関し、更に詳しく述べると、先端部分が紡錘型に膨出した中空構造の冷却棒を溶融槽の中央に挿入することにより、溶融ガラスの流れ形成を良好にして十分な排出が行われるようにすると共に、溶融槽内における溶融ガラスの少量化を実現して白金族元素など導電性物質の炉底浴壁への堆積を抑制し、処理能力の低下を極力防止できるようにしたガラス溶融炉に関するものである。この溶融炉は、各種産業廃棄物の固化処理、特に高放射性液体廃棄物のガラス固化処理に有用である。
【背景技術】
【0002】
従来の廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉としては、大別すると耐火物溶融炉と金属製溶融炉がある。耐火物溶融炉は、耐火レンガにより炉体及び溶融槽を形成し、溶融槽内の側壁に1対ないし複数対の耐熱合金製の加熱電極を配設した構造である。それに対して金属製溶融炉は、耐熱合金製の浴壁を有する円筒状の溶融槽に該浴壁を対極とする耐熱合金製の加熱電極を溶融槽内に1本ないし複数本配設した構造である。
【0003】
これらの電気溶融炉では、溶融ガラスが導電性を有することを利用し、前記加熱電極を介して溶融槽内の溶融ガラスに通電することにより発生するジュール熱によって溶融ガラスを加熱する直接通電方式が採用されている。ここで、放射性液体廃棄物及びガラス原料を溶融炉の上部から溶融ガラス液面上に供給すると、それらは溶融ガラスによって加熱され、昇温、水分の蒸発、仮焼の過程を経て溶融ガラスになる。その後、溶融ガラスは溶融炉から排出され、冷却されてガラス固化体となる。
【0004】
溶融炉を構成する耐火レンガあるいは金属材料の健全性は、それらと接触する溶融ガラスの温度によって左右される。そのため、溶融槽内の溶融ガラスの温度分布は均一であることが望ましい。このため、溶融炉の形状や廃棄物処理量などに応じて様々な電極配置が試みられている。
【0005】
ところで、このような電気溶融炉を用いて高放射性液体廃棄物を処理した場合、炉底浴壁の異常温度上昇が生じ、廃棄物処理能力が低下する問題が生じている。これは高放射性液体廃棄物に含まれているRu、Pd、Rh等の白金族元素がガラスに難溶性の導電性物質を形成して炉底に堆積し、電極間電流がその導電性堆積物に集中するため、発生するジュール熱が上方の溶融ガラス液面に十分に供給されないことが原因である。
【0006】
例えば、耐火物溶融炉については、非特許文献1の75頁に記載されているホルスト・ヴィーゼ(Horst Wiese )の「ベルギーのパメラプラントでの高放射性液体廃棄物の工業的ガラス固化」(Industrial Vitrification of High Level Liquid Waste with The PAMERA Plant in Belgium)には、通常の3分の1の電気抵抗値を有する白金族元素からなる導電性物質が炉底に5cm堆積したことによって通電特性が変化し、ガラス製造速度が30kg/hr から20kg/hr に低下したことが報告されている。また、同じ非特許文献1の82頁に記載されている虎田真一郎の「動燃東海ガラス固化技術開発施設のためのガラス溶融炉の開発」(Development of Glass Melter for PNC Tokai Vitrification Facility)には、炉底勾配を持つ実験室規模の溶融炉を使用した数種の実験の結果、45°の勾配が白金族元素からなる堆積物の排出に有効であることが判り、同勾配を持つ実規模大の溶融炉の試験結果からも、その効果が評価されたと報告されている。
【0007】
金属溶融炉については、非特許文献2に、45°の炉底勾配を有する金属溶融炉にて白金族元素の抜き出し性については良好な結果を得ているにもかかわらず、白金族元素を含有した模擬廃液での処理能力は、白金族元素を含有しない模擬廃液を用いた試験での結果よりも20%以上低下することが確認されたと記載されている。これは、溶融ガラス中の導電性白金族元素の濃度が溶融槽の上部と下部では下部の方が高くなることによる、加熱電流密度分布の下部への移動が主な原因と考えられている。
【0008】
このように従来の電気溶融炉では、炉底勾配を有するにもかかわらず十分な排出が行われず、若干量の導電性物質がガラス溶融炉の底部あるいは勾配面に堆積し、溶融槽の下部の濃度が高くなることが予想され、その場合には前述したような通電異常あるいは廃棄物処理能力の低下という現象が生じることになる。また、通電異常や処理能力の低下が生じた場合には、溶融炉を交換する必要が生じ、高放射性液体廃棄物の処理が滞ることが考えられる。
【0009】
そこで本発明者等は、先に、耐熱合金製円錐状炉底部浴壁と、耐火レンガ製垂直部浴壁と、該耐火レンガ製垂直部浴壁によって前記耐熱合金製円錐状炉底部浴壁から電気的に絶縁した耐熱合金製垂直部浴壁とによって溶融槽を構成するガラス溶融炉を提案した(特許文献1参照)。このガラス溶融炉は、通電異常の発生あるいは廃棄物処理能力の低下などをある程度は抑制できるものの、必ずしも十分ではない。また、溶融ガラスの流下時における浴壁近傍の流れ形成、溶融槽内における溶融ガラスの少量化などの点で、未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2008-37673号公報
【0011】

【非特許文献1】Proceedings of the International Topical Meeting on Nuclear and Hazardous Waste Management SPECTRUM'88(米国ワシントン州パスコで1988年9月11日から15日にわたって開催された国際廃棄物管理会議スペクトラム88の議事録)
【非特許文献2】「円筒電極直接通電型溶融炉工学試験装置第9回試験(JCEM-E9試験)」(N8410 98-041)-日本原子力研究開発機構の公開研究成果報告書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、溶融ガラスの流下時における浴壁近傍の流れ形成を良好にして十分な排出が行われるようにすると共に、溶融槽内における溶融ガラスの少量化を実現して白金族元素など導電性物質の炉底浴壁への堆積を抑制し、それによって処理能力の低下を極力防止し、通電異常や処理能力の低下が生じた場合には、容易に溶融槽を交換できるようにし、かつ交換部分を必要最小限に留め、廃棄物の円滑なガラス固化処理を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、溶融槽を、円錐状の炉底浴壁及びその上方に連続し一方の加熱電極を兼ねる円筒状の垂直浴壁からなり冷却手段を備えた耐熱合金製の一体構造とし、該垂直浴壁を対極とする他方の加熱電極は、冷却手段を備え前記溶融槽内に垂下する円筒状の中央電極とする。そして、直管部分と紡錘型に膨出する先端部分とが連続する中空構造の耐熱合金製の冷却棒を、その直管部分が中央電極内に電気絶縁体を介して位置し、先端部分が中央電極下端から突出するように前記溶融槽内に設置する。このように本発明では、先端部分が紡錘型に膨出する中空構造の耐熱合金製の冷却棒を溶融槽の中央に垂下させており、この点が最も主要な特徴である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るガラス溶融炉は、直管部分の先端部分が紡錘型に膨出する中空構造の耐熱合金製の冷却棒を溶融槽の中央に垂下させているので、溶融ガラスの流下時における浴壁近傍の流れ形成が良好となり、温度制御ができることと相俟って、溶融ガラスの十分な排出が行えるようになる。垂直浴壁(一方の加熱電極)と中央電極との間の通電により発生した熱の一部は、耐熱合金製の垂直浴壁及び中央電極を伝って溶融ガラス液面上の気相部を加熱するため、供給する原料の溶融速度を促進させることができ処理能力が向上する。その結果、必要な処理能力を保持したまま溶融炉の小型化が可能となることから、溶融槽内のガラス保有量を低減でき、高放射性液体廃棄物の処理の場合は溶融槽内の白金族元素の保有量を低減化できるため、溶融槽底部への白金族元素の堆積量が減少し、冷却棒の膨出した先端部分による良好な流れ形成と相俟って、堆積しても比較的容易に排出できるようになる。
【0015】
また本発明の溶融槽は、円錐状の炉底浴壁及びその上方に連続し一方の加熱電極を兼ねる円筒状の垂直浴壁からなる耐熱合金製の一体構造であるので、全体を一括して交換可能であり、中央電極も引き抜き交換可能とすることで、交換部分を必要最小限に留め、廃棄物の円滑なガラス固化処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るガラス溶融炉の一実施例を示す縦断面図。
【図2】そのガラス溶融炉の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ガラス溶融炉は、縦型円筒状の溶融槽と、該溶融槽の上部に位置するガラス原料及び廃棄物の供給口と、溶融槽の底部に位置する溶融ガラスの排出口と、耐熱合金製の複数の加熱電極を備え、溶融槽内に供給したガラス原料及び廃棄物に前記加熱電極を介して通電することにより加熱溶融し、溶融ガラスを排出するように構成した廃棄物ガラス固化処理用溶融炉である。ここで前記溶融槽は、円錐状の炉底浴壁及びその上方に連続し一方の加熱電極を兼ねる円筒状の垂直浴壁からなり冷却手段を備えた耐熱合金製の一体構造であり、該垂直浴壁を対極とする他方の加熱電極は、冷却手段を備え前記溶融槽内に垂下する円筒状の中央電極である。そして、直管部分と紡錘型に膨出する先端部分とが連続する中空構造の耐熱合金製の冷却棒を、その直管部分が中央電極内に電気絶縁体を介して位置し、先端部分が中央電極下端から突出するように前記溶融槽内に設置する。

【0018】
中央電極は、溶融槽の中心軸に沿って上方から垂直浴壁に対応する位置まで挿入され、冷却棒の紡錘型に膨出している先端部分は、円錐状の炉底浴壁で囲まれた部分に収まるように設置される。これら中央電極及び冷却棒は、引き抜き交換可能とする。溶融槽の垂直浴壁の内部には、上段及び下段に分けて、複数本ずつの加熱手段を配設し、それら加熱手段も引き抜き交換可能とする。また、溶融槽の炉底浴壁の周囲にも加熱手段を配設する。

【0019】
溶融槽の外側全体は、冷却手段を備えたインナージャケットで囲まれており、溶融槽及び炉底浴壁周辺の加熱手段をインナージャケットからのユニットとして、または溶融槽を炉底浴壁周辺の加熱手段と共にユニットとして、あるいは溶融槽単体で、任意に交換可能とする。

【0020】
本発明では、溶融槽の供給口からガラス原料及び高放射性液体廃棄物を供給し、一方の加熱電極を兼ねる垂直浴壁と他方の加熱電極となる円筒電極との間に通電することによりジュール熱が発生し、周囲のガラスが加熱され、廃棄物を含む溶融ガラスが形成される。その際、加熱電極となる垂直浴壁及び中央電極は、冷却手段により適宜温度制御される。溶融ガラスは、円錐状の底部浴壁に沿って流れ、排出口から排出される。その際、溶融槽底部に45~60°程度の勾配を設け、他方、先端部分が紡錘型の冷却棒を挿入することで、溶融ガラスの流下が円滑となり、十分な排出が行えるようになる。

【0021】
更に本発明では、耐熱合金製の垂直浴壁を溶融ガラス表面より上方まで配置し、高温の溶融ガラスの熱を効率的に溶融槽上部空間に伝えて原料への熱の供給を大きくしている。その結果、廃棄物処理能力が向上し、溶融炉の小型化が可能となり、溶融槽内のガラス保有量を低減できる。高放射性液体廃棄物の処理の場合は溶融槽内の白金族元素保有量も低下する。従って、溶融槽底部への白金族元素の堆積量が減少し、冷却棒の膨出した先端部分による良好な流れ形成と相俟って、堆積しても比較的容易に排出できるようになる。なお、溶融ガラスの排出口に連続する排出管の周辺にも加熱手段を配設し、該加熱手段によって、廃棄物を含む溶融ガラスの排出管からの流出・停止が制御される。
【実施例】
【0022】
図面は本発明に係る廃棄物ガラス固化用のガラス溶融炉の一実施例を示しており、図1はその縦断面を、図2は上面を、それぞれ示している。
【実施例】
【0023】
ガラス溶融炉は、基本的に、縦型円筒状の溶融槽10と、該溶融槽の上部に位置するガラス原料及び廃棄物の供給口(図示するのを省略)と、溶融槽10の底部に位置する溶融ガラスの排出口12と、耐熱合金製の複数の加熱電極を備え、溶融槽内に供給したガラス原料及び廃棄物に前記加熱電極を介して通電することにより加熱溶融し、溶融したガラスを排出口12から排出し、廃棄物のガラス固化処理するように構成されている。
【実施例】
【0024】
前記溶融槽10は、円錐状の炉底浴壁14と、その上方に連続し一方の加熱電極を兼ねる円筒状の垂直浴壁16とを備えた耐熱合金製の一体構造である。炉底浴壁14には、底部中央に位置する溶融ガラスの排出口12に向けて、60°の勾配傾斜を設ける。なお、前記垂直浴壁16は空冷方式の冷却手段17を備えている。溶融槽10の外側全体は、冷却手段を備えたインナージャケット20で囲まれている。その周辺は各種耐火レンガや各種断熱レンガ22により組積し、更に、その外側は、構造維持及び強度維持のため金属ケーシング24で覆われる。これによって溶融炉は、耐食性、耐火性、断熱性に優れ、十分な強度をもつものとなる。
【実施例】
【0025】
加熱電極は、前記垂直浴壁16と、前記溶融槽10内に垂下される円筒状の中央電極26との組み合わせからなる。中央電極26も、空冷方式の冷却手段27を備えている。中央電極26は、溶融槽10内の任意の高さに設置できるようになっており、溶融槽10の中心軸に沿って上方から垂直浴壁16に対応する位置まで挿入される。なお、冷却手段によって加熱電極である垂直浴壁16及び中央電極26を冷却することにより、それら加熱電極の長寿命化を図っている。
【実施例】
【0026】
そして、円筒状の中央電極26内に耐熱合金製の冷却棒30が設置されている。該冷却棒30は、直管部分30aと、紡錘型に膨出する先端部分30bとが連続する中空構造であって、直管部分30aが円筒状の中央電極26内に位置し、先端部分30bが中央電極26の下端から下方に突出し、円錐状の炉底浴壁14で囲まれた部分に収まるように設置される。先端部分30bは閉じた構造であり、直管部分30aから先端部分30bの底部近傍まで空気配管32が挿入されている。冷却空気を該空気配管32から供給し、その下端開口から放出して冷却棒30の内部を上昇するような空気の流れを形成し、周囲の溶融ガラスを冷却して温度制御できるように構成する。なお、冷却棒30と中央電極26との電気的な絶縁を図るため、冷却棒30の直管部分30aの外周側に電気絶縁体34を設ける。これら中央電極26及び冷却棒30などは、引き抜き交換可能とする。
【実施例】
【0027】
溶融槽10の垂直浴壁16には、上段及び下段に分けて、複数本ずつの加熱手段(抵抗発熱体など)40を分散した状態で組み込む。これによって垂直浴壁16で囲まれている部分のガラスを加熱して溶融可能とし、溶融槽10内のガラスを直接通電可能な温度まで加熱する起動運転を制御する。これら加熱手段40は引き抜き交換可能とする。また、溶融槽10の炉底浴壁14の周囲にも加熱手段(抵抗発熱体など)42を設置する。ここでは、4箇所に分けて分散配設している。この加熱手段42により、円錐状の炉底浴壁14で囲まれている部分のガラスを加熱し溶融可能とする。これにより、特に廃棄物を含む溶融ガラスを排出する際に、溶融槽底部に蓄積されているガラスを流出し易くする。
【実施例】
【0028】
前述のように、溶融槽10の外側全体は、冷却手段を備えたインナージャケット20で囲まれており、溶融槽10及び底部浴壁周辺の加熱手段42をインナージャケット20からのユニットとして、または溶融槽10を底部浴壁周辺の加熱手段42と一緒にユニットとして、あるいは溶融槽10単体で、任意に交換可能とする。なお、インナージャケット外側の周辺構造(各種耐火レンガや各種断熱レンガ22、金属ケーシング24など)は再利用する。
【実施例】
【0029】
更に、炉底中央に位置する溶融ガラス排出口12から下方に延びている排出管50の周辺にも加熱手段52を設置する。これには、例えば誘導加熱用コイルや抵抗発熱体を用いる。この加熱手段52によって、溶融ガラス排出の開始及び停止を制御する。加熱動作によって排出管50の周囲温度を上げると、溶融槽底部に蓄積している溶融ガラスを排出させることができ、加熱動作の停止によって、排出管50の周辺の温度を下げると、溶融ガラスの排出を停止させることができる。
【実施例】
【0030】
このようなガラス溶融炉では、各冷却手段を作動させて垂直浴壁16及び中央電極26を冷却しながら、直接通電用の加熱電極である垂直浴壁16と中央電極26との間でガラスに直接通電し、それにより発生するジュール熱によって周囲のガラスが加熱され、廃棄物を含む溶融ガラスが形成される。なお、直接通電加熱用の電源回路(図示するのを省略する)には、定電力制御、定電流制御、定電圧制御などにより通電制御可能な交流電源を用いる。これにより溶融ガラスは適切な温度に維持され、均一な温度分布が実現される。
【実施例】
【0031】
高放射性液体廃棄物及びガラス原料を、溶融炉の上部の原料供給口から溶融ガラス液面上に供給すると、ここで溶融ガラスによって加熱されて、昇温、水分の蒸発、仮焼の過程を経て廃棄物を含む溶融ガラスが形成される。溶融槽底部に45~60°の勾配傾斜を設け、先端部分が紡錘型の冷却棒を挿入することで、溶融ガラスの良好な流れが形成され、冷却棒による温度制御も相俟って流下が円滑となり、溶融ガラスは十分に排出される。また、垂直浴壁(一方の加熱電極)と中央電極との間の通電により発生した熱の一部は、耐熱合金製の垂直浴壁及び中央電極を伝って溶融ガラス液面上の気相部を加熱するため、供給する原料の溶融速度を促進させることができ処理能力が向上する。その結果、必要な処理能力を保持したまま溶融炉の小型化が可能となることから、溶融槽内のガラス保有量を低減でき、高放射性液体廃棄物の処理の場合は溶融槽内の白金族元素の保有量も低減化できるため、溶融槽底部への白金族元素の堆積量が減少し、冷却棒の膨出した先端部分による良好な流れ形成と相俟って、堆積しても比較的容易に排出できるようになる。なお、溶融処理時に発生する廃ガスは、廃ガス出口から排出する。
【実施例】
【0032】
更に、本発明では、耐熱合金製の垂直浴壁が溶融ガラス表面より上方まで配置されているので、高温の溶融ガラスの熱を効率的に溶融槽上部空間に伝えて原料への熱の供給を大きくでき、廃棄物処理能力が向上する。
【符号の説明】
【0033】
10 溶融槽
12 ガラス排出口
14 炉底浴壁
16 垂直浴壁
17 冷却手段
20 インナージャケット
26 中央電極
27 冷却手段
30 冷却棒
30a 直管部分
30b 先端部分
32 空気配管
34 電気絶縁体
50 排出管
52 加熱手段
図面
【図1】
0
【図2】
1