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明細書 :ペレット成型機のダイ壁面潤滑方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5071816号 (P5071816)
公開番号 特開2010-188407 (P2010-188407A)
登録日 平成24年8月31日(2012.8.31)
発行日 平成24年11月14日(2012.11.14)
公開日 平成22年9月2日(2010.9.2)
発明の名称または考案の名称 ペレット成型機のダイ壁面潤滑方法
国際特許分類 B30B  11/00        (2006.01)
B30B  11/02        (2006.01)
FI B30B 11/00 J
B30B 11/02 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2009-037966 (P2009-037966)
出願日 平成21年2月20日(2009.2.20)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成20年8月21日 社団法人日本原子力学会発行の「日本原子力学会 2008年秋の大会 予稿集」に発表
審査請求日 平成21年12月11日(2009.12.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】須藤 勝夫
【氏名】牧野 崇義
【氏名】芳賀 哲也
【氏名】沖田 高敏
【氏名】鹿志村 元明
【氏名】鈴木 政浩
【氏名】木原 義之
個別代理人の代理人 【識別番号】100074631、【弁理士】、【氏名又は名称】高田 幸彦
審査官 【審査官】福島 和幸
参考文献・文献 特開2004-137516(JP,A)
国際公開第01/043900(WO,A1)
特開2005-271046(JP,A)
調査した分野 B30B 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
ダイ内に粉末潤滑剤を供給した後、前記ダイ内に原料である粉末等を供給し、上パンチと下パンチを挟み合せて前記ダイ内の粉末等をペレット化するペレット成型機のダイ壁面潤滑方法であって、
前記粉末潤滑剤を、潤滑剤噴霧装置によって前記ダイの下方または上方のダイ側穴から霧状に噴霧し、前記ダイ壁面に沿ってらせん状に進行させた後、前記ダイ壁面に付着されなかった余剰潤滑剤を、反対側である前記ダイの上方または下方から吸引回収することを特徴とするペレット成型機のダイ壁面潤滑方法。
【請求項2】
請求項1に記載のダイ壁面潤滑方法において、使用される前記粉末潤滑剤が、前記ダイに噴霧される前に、予め決められた量だけ切り出され、噴霧風速よりも早い吸引風速にて前記潤滑剤噴霧装置に供給されることを特徴とするペレット成型機のダイ壁面潤滑方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末等を圧縮してペレット化するペレット成型機において、成型用粉末と接触するダイ壁面に粉末潤滑剤をほぼ均一に塗布し、ダイ壁面を潤滑する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、核燃料ペレットの製造工程においては、プルトニウム富化度調整されたPu-U混合溶液を、脱硝・転換・造粒し、MOX粉末化し、そのMOX粉末をペレット成型機を用いて燃料ペレットに成型する方法を取っている。そのようなペレット成型機は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2005-271046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成型したペレットをダイから滑らかに引き抜くために、成型ペレットとダイ壁面の間に油などの潤滑剤を供給する必要がある。しかし、レシプロ式自動ペレット成型を前提にした、これまでのペレット成型機では潤滑剤をダイ壁面の一部にしか供給できない場合があること、あるいは、成型ペレットに大量の潤滑剤が付着する恐れがあることなど、潤滑剤をダイ壁面に常時均一に塗布する技術は未だ確立されていない。また、例えば核燃料ペレットのように極めて高品質のペレットでは、潤滑剤のペレットへの付着により、本焼結の前に予備焼結が必要となる等の課題があった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、上述の課題を解決し、レシプロ型ペレット成型機のダイ壁面に少量の乾式用潤滑剤を均一に塗布できる、ペレット成型機のダイ壁面潤滑方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点にかかるペレット成型機のダイ壁面潤滑方法は、ダイ内に原料である粉末等を供給し、上パンチと下パンチを挟み合わせてダイ内の粉末等をペレット化するレシプロ型のペレット成型機のダイ壁面潤滑方法であって、粉末潤滑剤をダイの下方(または上方)から噴霧し、その粉末潤滑剤を反対側のダイの上方(または下方)から吸引回収することによって、粉末潤滑剤をダイ壁面に塗布することを特徴とする。潤滑剤をダイの下方(または上方)から噴霧し、反対側のダイの上方(または下方)から吸引回収することにより、ダイ内部における乱流の発生が抑えられ、潤滑剤をダイ内壁に均一に塗布することができる。
【0007】
好適には、上述のペレット成型機のダイ壁面潤滑方法において使用される粉末潤滑剤は、ダイ下方から噴霧される前に、予め決められた量だけ切り出されて供給されることを特徴とする。潤滑剤を予め決められた量だけ切り出して噴霧することによって、潤滑剤を安定的、かつ適切な量だけダイ壁面に供給でき、高品質のペレットを得ることができる。
【0008】
さらに、ペレット化の対象となる粉末が核燃料ペレット製造用原料の場合、上述のペレット成型機のダイ壁面潤滑方法において使用される粉末潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛を含む粉末またはステアリン酸亜鉛であることが好ましい。ステアリン酸亜鉛を含む粉末またはステアリン酸亜鉛は、他のステアリン酸化合物に比べて潤滑性が良好である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るペレット成型機のダイ壁面潤滑方法においては、粉末潤滑剤をダイの下方から噴霧し、ダイの上方から吸引回収するため、潤滑剤塗布時にダイ内部に乱流が起き難く、潤滑剤をダイ内壁に均一に塗布することができる。その結果、高品質のペレット製造が可能になる。また、本発明を核燃料ペレットの製造に採用した場合には、潤滑剤の核燃料ペレットへの付着が最小限に抑えられるので、余分な放射性廃棄物を発生させることもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が適用されるペレット成型機の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明に係るペレット成型機のダイ壁面潤滑方法を説明するための模式図である。
【図3】本発明の一実施形態で使用される潤滑剤切り出し方法の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態で使用される潤滑剤の特性説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本発明が適用されるペレット成型機の構成について、図1を用いて説明する。なお、各図を通して、同一の参照符号は機能的に実質的に同一のものを示す。

【0012】
図1において、10はダイ、11はダイ10の内部壁面、12はダイの中心部に設けられた、ペレットを中空にするためのコアロッド、13と14はそれぞれ互いに挟み合される上パンチと下パンチである。また15はMOX造粒粉末を貯槽するための粉末充填部であり、16はダイ壁面11に粉末潤滑剤(例えば、粉末状ステアリン酸亜鉛:Zn-St)を噴霧する装置である。この図では、ペレット成型機が模式的に示されているが、実際のペレット成型機の本体寸法は、幅140×奥行130×高さ360(cm)であり、金型とパンチのクリアランスは5~10 μm、総圧196 kNで2連パンチになっている。

【0013】
ペレット成型にあたって、初めに、潤滑剤噴霧装置16によってダイ壁面11に粉末潤滑剤がほぼ均一に塗布される。その後、粉末充填部15から一定量の粉末がダイ10に供給され、上下パンチ13、14が挟み合わされ、中空ペレットが製造される。

【0014】
粉末を圧縮成型し、中空ペレット化する際、ダイ壁面への粉末潤滑剤の塗布が不均一で粉末と成型ダイ壁面との摩擦抵抗が大きいと粉末に伝わる圧縮荷重が不均一となり、成型体の欠け、割れ、密度不均一、機械的強度低下の原因となる。ダイ潤滑成型で安定した品質の成型体を得るためには、すなわち、粉末潤滑剤をダイ壁面に均一に塗布するためには、粉末潤滑剤をダイ10の下方(または上方)より噴霧し、ダイ10内の余剰粉末潤滑剤を反対側のダイ10の上方(または下方)より吸引することによって、ダイ壁面を潤滑する方法を取る必要がある。粉末潤滑剤をダイ下方(または上方)より噴霧し、ダイ上方(または下方)より吸引するための構造については、図2を参照して後で詳細に説明する。

【0015】
また、粉末潤滑剤の流動性の違いにより、ダイ10内に充填される粉末潤滑剤の量にばらつきが発生する。そこで、粉末潤滑剤の充填量のばらつきによる成型体品質への影響を低減するため、潤滑剤噴霧装置16は一定量の粉末潤滑剤を充填する定量充填機構を備えていることが好ましい。この定量充填機構については、図3を参照して後で詳細に説明する。

【0016】
さて、図2を参照してダイ壁面潤滑方法の一例について具体的に説明する。図2は、本発明に係るペレット成型機のダイ壁面潤滑方法を実施するための構成の一形態を模式的に示している図である。図2(a)は粉末潤滑剤の供給、塗布、吸引の流れを示し、図2(b)及び図2(c)は粉末潤滑剤がダイ壁面へ塗布される様子を示している。図2において、図1と同一の符合は同一物を示し、20は余剰潤滑剤吸引室、12はコアロッド、22は粉末潤滑剤をダイ下方より供給するためのダイ側穴、201はダイ側穴22に連通している潤滑剤供給配管で、202は余剰潤滑剤吸引室20から潤滑剤を吸引するための配管である。なお、30は図3を参照して後述される、潤滑剤を一定量切り出すための装置である。

【0017】
ペレット成型にあたり、まず図2(a)に示された潤滑剤切出装置30から一定量の粉末潤滑剤が切り出され、潤滑剤供給配管201を介して潤滑剤噴霧装置16に供給される。粉末潤滑剤はここで霧状にされ、ダイ側穴22(図2(b))を介してダイ壁面に塗布される。この時の塗布状態が図2(b)及び図2(c)に示されている。霧状の粉末潤滑剤はダイ壁面に沿ってらせん状に進行した後、壁面に付着されなかった余剰潤滑剤だけが、ダイ10の上部にある余剰潤滑剤吸引室20に吸い込まれ、配管202を介して外部に排出される。以後のペレット成型手順については前述した通りである。

【0018】
次に図3を参照して、粉末潤滑剤の定量化について説明する。図3は、潤滑剤切出装置の一例を示している。潤滑剤切出装置30は、潤滑剤充填機構31、充填された粉末潤滑剤から一定量を切り取るため、潤滑剤を上方に押し上げるためのピストン機構などで構成される潤滑剤押上機構32、押し上げられた潤滑剤を切り出す潤滑剤切出機構33、及び切り出された粉末潤滑剤を圧空によって吸引する潤滑剤吸引機構34から構成される。

【0019】
初めに、潤滑剤充填機構31から粉末潤滑剤100が潤滑剤押上機構32の潤滑剤一時貯蔵部32aに供給される。続いて、潤滑剤押上機構が働き、貯蔵部32aの潤滑剤が上方に押し上げられ、潤滑剤切出機構33で一定量の粉末潤滑剤100が切り出される。切り出された一定量の粉末潤滑剤100は、潤滑剤吸引機構34によって吸引され、配管201を介して潤滑剤噴霧装置16に供給される。この際、吸引風速は噴霧風速より速くする必要がある。なお、潤滑剤の切出し量は、ダイ10の大きさによっても異なるが、上述の寸法のペレット成型機の場合、切り出し量は、約1 mg単位で設定できる。

【0020】
使用される粉末潤滑剤としては、ペレット化の対象となる粉末が核燃料ペレット製造用原料の場合には、ステアリン酸亜鉛の粉末が最良であるが、ステアリン酸亜鉛を含む粉末であっても良い。図4に各種核燃料ペレット製造用原料に対して、潤滑剤として何が適するかを試験した結果を示す。図4の横軸は乾式用と湿式用の潤滑剤の種類を示し、縦軸は壁面摩擦係数を示している。また、図中の四角、丸、菱形などの印は、ペレット化の対象となる粉末原料の種類を示している。この図から、まず湿式用潤滑剤よりも乾式用潤滑剤の方が潤滑特性に優れていることがわかる。

【0021】
以上本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない限り、本願の請求項に含まれる。例えば、本発明では中空ペレットを取り扱っているため、ダイ中心部にコアロッドが設けられているが、中心部にコアロッドを備えていないダイであっても、粉末潤滑剤を上述したようにしてダイ壁面に付着させることができる。
【符号の説明】
【0022】
10 ダイ
11 ダイ壁面
12 コアロッド
13 上パンチ
14 下パンチ
15 粉末充填部
16 潤滑剤噴霧装置
20 余剰潤滑剤吸引室
22 ダイ側穴
30 潤滑剤切出装置
31 潤滑剤充填機構
32 潤滑剤押上機構
33 潤滑剤切出機構
34 潤滑剤吸引機構
201 潤滑剤供給配管
202 潤滑剤吸引配管
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3