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明細書 :偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4385137号 (P4385137)
公開番号 特開2008-052188 (P2008-052188A)
登録日 平成21年10月9日(2009.10.9)
発行日 平成21年12月16日(2009.12.16)
公開日 平成20年3月6日(2008.3.6)
発明の名称または考案の名称 偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器
国際特許分類 G02B   6/12        (2006.01)
FI G02B 6/12 F
G02B 6/12 Z
請求項の数または発明の数 11
全頁数 18
出願番号 特願2006-230509 (P2006-230509)
出願日 平成18年8月28日(2006.8.28)
審査請求日 平成21年7月1日(2009.7.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】野田 進
【氏名】浅野 卓
【氏名】田中 良典
個別代理人の代理人 【識別番号】100095670、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 良平
審査官 【審査官】吉田 英一
参考文献・文献 特開2004-233941(JP,A)
特開2001-272555(JP,A)
国際公開第2006/100905(WO,A1)
田中良典、浅野卓、野田進,偏波変換器をもつ2次元フォトニック結晶波長合分波デバイス,2006年(平成18年)春季第53回応用物理学関係連合講演会講演予稿集,日本,社団法人応用物理学会,2006年 3月22日,第3分冊,1121頁
田中良典、浅野卓、高山清市、野田進,2次元フォトニック結晶スラブ偏波変換器の作製,2005年(平成17年)秋季第66回応用物理学会学術講演会講演予稿集,日本,社団法人応用物理学会,2005年 9月 7日,第3分冊,912頁
高山清市、田中良典、浅野卓、野田進,2次元フォトニック結晶スラブ偏波モード変換器の提案,2005年(平成17年)春季第52回応用物理学関係連合講演会講演予稿集,日本,社団法人応用物理学会,2005年 3月29日,第3分冊,1194頁
田中良典、浅野卓、野田進,偏波無依存2次元フォトニック結晶波長合分波デバイスの提案,2006年(平成18年)秋季第67回応用物理学会学術講演会講演予稿集,日本,社団法人応用物理学会,2006年 8月29日,第3分冊,962頁
調査した分野 G02B 6/12
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
WPI


特許請求の範囲 【請求項1】
板状の本体に周期的な屈折率分布が形成されて成る、TE偏波に対してフォトニックバンドギャップを有する2次元フォトニック結晶上に形成された波長合分波器であって、
a) 前記2次元フォトニック結晶内に離間して配置された2本の導波路であって、前記周期的屈折率分布の欠陥が線状に形成されて成る第1導波路及び第2導波路と、
b) 第1導波路と第2導波路の間に離間して配置された、共振波長が同じである2個の共振器であって、周期的屈折率分布の欠陥が点状に形成されて成る第1共振器及び第2共振器と、
c) 第1導波路上の第1共振器からの最近点である第1最近点と第1導波路上の第2共振器からの最近点である第2最近点の間の第1導波路上に配置された、第1最近点から第2最近点に向けて伝播するTM偏波をTE偏波に変換する第1偏波変換器と、
d) 第2導波路上の第1共振器からの最近点である第3最近点と第2導波路上の第2共振器からの最近点である第4最近点の間の第2導波路上に配置された、第3最近点から第4最近点に向けて伝播するTE偏波をTM偏波に変換する第2偏波変換器と、
を備えることを特徴とする偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器。
【請求項2】
板状の本体に周期的な屈折率分布が形成されて成る、TM偏波に対してフォトニックバンドギャップを有する2次元フォトニック結晶上に形成された波長合分波器であって、
a) 前記2次元フォトニック結晶内に離間して配置された2本の導波路であって、前記周期的屈折率分布の欠陥が線状に形成されて成る第1導波路及び第2導波路と、
b) 第1導波路と第2導波路の間に離間して配置された、共振波長が同じである2個の共振器であって、周期的屈折率分布の欠陥が点状に形成されて成る第1共振器及び第2共振器と、
c) 第1導波路上の第1共振器からの最近点である第1最近点と第1導波路上の第2共振器からの最近点である第2最近点の間の第1導波路上に配置された、第1最近点から第2最近点に向けて伝播するTE偏波をTM偏波に変換する第1偏波変換器と、
d) 第2導波路上の第1共振器からの最近点である第3最近点と第2導波路上の第2共振器からの最近点である第4最近点の間の第2導波路上に配置された、第3最近点から第4最近点に向けて伝播するTM偏波をTE偏波に変換する第2偏波変換器と、
を備えることを特徴とする偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器。
【請求項3】
第1最近点と第1偏波変換器の間の第1導波路上、第2最近点よりも第1導波路の端部側の第1導波路上、第3最近点よりも第2導波路の端部側の第2導波路上、第4最近点と第2偏波変換器の間の第2導波路上、のいずれか1つ又は複数の位置に、第1共振器及び第2共振器の共振波長と同じ波長のTE偏波を反射する反射部を備えることを特徴とする請求項1に記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器。
【請求項4】
第1最近点と第1偏波変換器の間の第1導波路上、第2最近点よりも第1導波路の端部側の第1導波路上、第3最近点よりも第2導波路の端部側の第2導波路上、第4最近点と第2偏波変換器の間の第2導波路上、のいずれか1つ又は複数の位置に、第1共振器及び第2共振器の共振波長と同じ波長のTM偏波を反射する反射部を備えることを特徴とする請求項2に記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器。
【請求項5】
前記反射部が、該反射部内の導波路の通過波長帯域に前記共振波長と同じ波長が含まれないように、該反射部内に前記2次元フォトニック結晶の周期とは異なる周期で屈折率分布が形成されて成ることを特徴とする請求項3又は4に記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器。
【請求項6】
前記第1偏波変換器及び/又は前記第2偏波変換器が、前記第1導波路及び/又は前記第2導波路の形状を、前記本体に平行であって導波路に垂直な方向及び前記本体に垂直な方向にそれぞれ非対称とすることにより形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器。
【請求項7】
上記断面形状の非対称性が、本体の面に対して斜め方向に延び本体とは屈折率の異なる斜行柱が導波路の側部に形成されて成ることを特徴とする請求項6に記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器。
【請求項8】
前記第1偏波変換器及び前記第2偏波変換器がTE偏波をTM偏波に変換すると共にTM偏波をTE偏波に変換することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器を複数備え、
前記複数の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の第1導波路が接続されることにより1本の導波路が形成されており、
第1共振器及び第2共振器の共振波長が偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器毎に異なる値を有する、
ことを特徴とする偏波無依存2次元フォトニック結晶分波器。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器を複数備え、
前記複数の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の第2導波路が接続されることにより1本の導波路が形成されており、
第1共振器及び第2共振器の共振波長が偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器毎に異なる値を有する、
ことを特徴とする偏波無依存2次元フォトニック結晶合波器。
【請求項11】
請求項9に記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶分波器又は請求項10に記載の偏波無依存2次元フォトニック結晶合波器において、
前記各偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の第1偏波変換器及び第2偏波変換器がいずれもTE偏波をTM偏波に変換すると共にTM偏波をTE偏波に変換することを特徴とする偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元フォトニック結晶内において、光に含まれる所定波長のTE偏波の成分とTM偏波の成分の双方を分波し、又は両偏波の光を合波することができる偏波無依存合分波器に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信は今後のブロードバンド通信の中心的役割を担う通信方式であることから、その普及のために、光通信システムに使用される光部品類に対して更なる高性能化、小型化、低価格化が求められている。このような要求を満たす次世代光通信部品の有力候補のひとつに、フォトニック結晶を利用した光通信用デバイスがある。これは既に一部で実用段階に入っており、偏波分散補償用フォトニック結晶ファイバーなどが実用に供されている。現在では更に、波長分割多重通信(Wavelength Division Multiplexing; WDM)に使用される光分合波器等の開発が実用化に向けて進められている。
【0003】
フォトニック結晶は、誘電体に周期構造を形成したものである。この周期構造は一般に、誘電体本体とは屈折率が異なる領域(異屈折率領域)を誘電体本体内に周期的に配置することにより形成される。その周期構造により、結晶中に光のエネルギーに関するバンド構造が形成され、光の伝播が不可能となるエネルギー領域が形成される。このようなエネルギー領域は「フォトニックバンドギャップ」(Photonic Band Gap; PBG)と呼ばれる。
【0004】
このフォトニック結晶中に適切な欠陥を設けることにより、PBG中にエネルギー準位(欠陥準位)が形成され、その欠陥準位に対応する波長(周波数)の光のみがその欠陥の近傍に存在できるようになる。点状に形成された欠陥はその波長の光の共振器として使用することができ、線状に形成された欠陥は導波路として使用することができる。
【0005】
上記技術の一例として、特許文献1には、本体(スラブ)に異屈折率領域を周期的に配置し、その周期的配置に欠陥を線状に設けることにより導波路を形成するとともに、その導波路に隣接して点状欠陥を設けることにより共振器を形成した2次元フォトニック結晶が記載されている。この2次元フォトニック結晶は、導波路内を伝播する様々な波長の光のうち共振器の共振波長に一致する波長の光を外部へ取り出す分波器として機能すると共に、外部から導波路に導入する合波器としても機能する。
【0006】
特許文献1に記載のものを含め、多くの2次元フォトニック結晶では、電場が本体に平行に振動するTE偏波又は磁場が本体に平行に振動するTM偏波のいずれか一方の偏波に対してPBGが大きく形成されるように設計される。この場合、他方の偏波に対してはPBGが形成されないか、形成されたとしてもPBGに関しては必ずしも最適な条件とはならないことがある。
【0007】
例えば、TE偏波に対してPBG(TE-PBG)が形成され、TE-PBG内に点状欠陥(共振器)による欠陥準位(共振波長)が形成されるようにフォトニック結晶を設計した場合、そのTE-PBGの波長領域にはTM偏波に対するPBG(TM-PBG)が形成されないことがある。この場合、その共振波長を有するTM偏波はこの共振器では共振しない。そのため、この共振器の近傍に設けた導波路を通過する広帯域光からその共振波長の光のみを分波しようとしても、TE偏波はほぼ完全に取り出すことができるものの、TM偏波は取り出すことができず、分波効率が悪い。合波の場合も同様である。
【0008】

【特許文献1】特開2001-272555号公報([0023]~[0027]、[0032]、図1、図5~6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、TE偏波、TM偏波の双方につき、所定の波長の光を分波及び合波することができる、合分波効率の高い波長合分波器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)第1の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の構成
上記課題を解決するために成された本発明に係る偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の第1の態様のものは、板状の本体に周期的な屈折率分布が形成されて成る、TE偏波に対してPBGを有する2次元フォトニック結晶上に形成された波長合分波器であって、
a) 前記2次元フォトニック結晶内に離間して配置された2本の導波路であって、前記周期的屈折率分布の欠陥が線状に形成されて成る第1導波路及び第2導波路と、
b) 第1導波路と第2導波路の間に離間して配置された、共振波長が同じである2個の共振器であって、周期的屈折率分布の欠陥が点状に形成されて成る第1共振器及び第2共振器と、
c) 第1導波路上の第1共振器との最近点である第1最近点と第1導波路上の第2共振器との最近点である第2最近点の間の第1導波路上に配置された、第1最近点から第2最近点に向けて伝播するTM偏波をTE偏波に変換する第1偏波変換器と、
d) 第2導波路上の第1共振器との最近点である第3最近点と第2導波路上の第2共振器との最近点である第4最近点の間の第2導波路上に配置された、第1最近点から第2最近点に向けて伝播するTE偏波をTM偏波に変換する第2偏波変換器と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
第1の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の構成(以下、「第1の態様の合分波器」とする)について、図1の概念図を用いて詳しく説明する。
第1の態様の合分波器は2次元フォトニック結晶11上に形成される。2次元フォトニック結晶11は、板状の本体に周期的な屈折率分布が形成されたものである。上述のように、2次元フォトニック結晶にはTE偏波に対してPBGが形成されるものとTM偏波に対してPBGが形成されるものがあるが、第1の態様の合分波器では前者を用いる(なお、後者は後述の第2の態様で用いる)。TM偏波に対するPBGは、形成されていてもよいし、形成されていなくても構わない。
【0012】
2次元フォトニック結晶11内に第1導波路121及び第2導波路122を離間して配置する。これらの導波路は、2次元フォトニック結晶11の周期屈折率分布に欠陥を線状に設けることにより形成することができる。
【0013】
第1導波路と第2導波路の間に、第1共振器131及び第2共振器132を互いに離間して配置する。これらの共振器は、周期屈折率分布に点状の欠陥を設けることにより形成することができる。共振器の共振波長は、特許文献1に記載のように点状欠陥の形状や屈折率分布の周期等のパラメータにより調整することができる。本発明では第1共振器131及び第2共振器132の共振波長を同一とし、分波及び/又は合波したい光の波長に合わせる。第1の態様では2次元フォトニック結晶11のPBGがTE偏波に対して形成されているため、これらの共振器はTE偏波に対してのみ有効に動作(すなわち、高効率に分波/合波)する。
【0014】
第1導波路121上の第1共振器131から最も近い点である第1最近点141と、第1導波路121上の第2共振器132からの最近点である第2最近点142の間に、第1最近点141から第2最近点142に向けて伝播するTM偏波をTE偏波に変換する第1偏波変換器151を設ける。同様に、第2導波路122上の第1共振器131からの最近点である第3最近点143と、第2導波路122上の第2共振器132からの最近点である第4最近点144の間に、第3最近点143から第4最近点144に向けて伝播するTE偏波をTM偏波に変換する第2偏波変換器152を設ける。このようにTE偏波をTM偏波に、あるいはTE偏波をTM偏波に変換する偏波変換器は、2次元フォトニック結晶を用いたものが知られており(例えば高山清市他・2005年春季第52回応用物理学関係連合講演会予稿集第3分冊・講演番号30a-YV-11、及び田中良典他・2005年秋季第66回応用物理学会学術講演会予稿集第3分冊・講演番号8p-H-5に記載)、本発明ではそれらの2次元フォトニック結晶偏波変換器をそのまま用いることができる。
【0015】
(2) 第1の態様の合分波器の動作
第1の態様の合分波器の動作を、図1を用いて説明する。まず、多数の波長の光を含む重畳光から、第1共振器131及び第2共振器132の共振波長と同じ波長(λrとする)の光を分波する分波器として用いる場合について説明する。この分波器では、第1導波路121の第1最近点141側の端部が、重畳光を第1導波路121に導入する入力ポート161になる。また、第2導波路122の第4最近点144側の端部が、分波された波長λrの光を出力する出力ポート162になる。
【0016】
重畳光を入力ポート161から第1導波路121に導入すると、重畳光中の波長λrの光のうちTE偏波が第1共振器131に共振して捕獲され、第2導波路122に分波される。このように分波されたTE偏波は第2導波路122上を出力ポート162に向かって伝播する。この光はTE偏波のまま第2導波路を伝播すれば第2共振器132に捕獲されて第1導波路121に戻されてしまう。そこで、第2導波路122に分波された波長λrのTE偏波を第2偏波変換器152によりTM偏波に変換する。これにより、この波長λrのTM偏波は第2共振器132に捕獲されることなく第4最近点144を通過し、出力ポート162から取り出される。
【0017】
一方、波長λrのTE偏波を除く(波長λrのTM偏波を含む)重畳光は第1共振器131に捕獲されることなく第1最近点141を通過してそのまま第1導波路121を進む。そして、第1偏波変換器151において、重畳光のうち波長λrのTM偏波がTE偏波に変換される。変換された波長λrのTE偏波は、第2共振器132に共振して捕獲され、第2導波路122に分波される。
【0018】
入力ポート161から導入されたλr以外の波長の光は、第1導波路121上の第1最近点141及び第2最近点142を共に通過し、第2導波路122に分波されることはない。
【0019】
このように、第1の態様の合分波器は、入力ポート161から第1導波路121に導入された重畳光のうち波長λrのTE偏波及びTM偏波を、いずれも第2導波路122に分波することができる。
【0020】
第1の態様の合分波器を合波器として使用する場合には、波長λrのTE偏波及びTM偏波を入力ポート161から第1導波路121に導入すると共に、合波すべき対象の光を、第2導波路122の第3最近点143側の端部から第2導波路122に導入する。分波器の場合と同様に、第1導波路121に導入された波長λrのTE偏波は第1共振器131により、TM偏波は第2共振器132により、それぞれ第2導波路122に導入され、第2導波路122内の光に合波される。
【0021】
第1偏波変換器及び第2偏波変換器には、TE偏波からTM偏波への変換と、TM偏波からTE偏波への変換の双方を行う偏波変換器を用いることができる。このような偏波変換器を用いることにより、第1導波路と第2導波路を区別する必要がなく、いずれか一方の導波路を重畳光を導入する導波路として、他方の導波路を分波される波長λrの光の出力導波路として用いることができる。合波器としての動作も同様である。
【0022】
(3) 第1の態様の合分波器の効率を高めるための構成
入力ポート161から導入された第1導波路121上の波長λrのTE偏波は、その全てが第1共振器131及び第2共振器132に捕獲されるのではなく、その一部は第1最近点141及び第2最近点142を通過してしまう。これにより分波効率や合波効率が低下する。また、第2導波路122に分波又は合波された波長λrのTE偏波の一部が出力ポート162とは反対側に伝播することによっても、分波効率や合波効率が低下する。そこで、第1の態様の合分波器において、分波効率及び合波効率を高めるために、以下の構成をとることができる。
【0023】
即ち、図2に示すように、第1最近点141と第1偏波変換器151の間の第1導波路121上に、波長λrのTE偏波を反射する第1反射部171を設ける。これにより、第1共振器131に捕獲されることなく通過した波長λrのTE偏波は、第1反射部171により反射されて第1共振器131側に戻り、第1共振器131に捕獲されて第2導波路122に導入される。これにより、分波効率や合波効率を高めることができる。同様に、第2最近点142よりも下流側(入力ポート161の反対側)の第1導波路121上に第2反射部172を設けることもできる。
【0024】
また、第3最近点143よりも上流側(出力ポート162の反対側)の第2導波路122上に第3反射部173を設けることができる。これにより、出力ポート162の反対側に伝播しようとする波長λrのTE偏波が第3反射部173により反射されて出力ポート162側に戻される。これにより分波効率や合波効率を高めることができる。同様に、第4最近点144と第2偏波変換器152の間の第2導波路122上に第4反射部174を設けることもできる。
【0025】
これら4個の反射部のうち1~3個のみを設けた場合にも、図1の合分波器よりも分波効率及び合波効率を高くすることができるが、これらの効率をより高くするためにはこれら4個の反射部を全て設けることが望ましい。
【0026】
このような反射部は、例えば以下のように形成することができる。導波路を通過することができる光の波長の範囲は、2次元フォトニック結晶の屈折率分布の周期により変化する。そこで、反射部における屈折率分布を、反射部内の導波路の通過波長帯域に波長λrが含まれないように、反射部以外での2次元フォトニック結晶とは異なる周期で屈折率分布を形成する。これにより、波長λrのTE偏波は反射部とその外側の2次元フォトニック結晶の境界で反射される。このような反射部については特開2004-233941号公報に詳しく記載されている。
【0027】
(4) 第2の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器
ここまではTE偏波に対してPBGを有する2次元フォトニック結晶を用いた第1の態様の合分波器について説明したが、TM偏波に対してPBGを有する2次元フォトニック結晶を用いても、第1の態様と同様の偏波無依存合分波器を構成することができる。即ち、本発明に係る偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の第2の態様のものは、板状の本体に周期的な屈折率分布が形成されて成る、TM偏波に対してPBGを有する2次元フォトニック結晶上に形成された波長合分波器であって、
a) 前記2次元フォトニック結晶内に離間して配置された2本の導波路であって、前記周期的屈折率分布の欠陥が線状に形成されて成る第1導波路及び第2導波路と、
b) 第1導波路と第2導波路の間に離間して配置された、共振波長が同じである2個の共振器であって、周期的屈折率分布の欠陥が点状に形成されて成る第1共振器及び第2共振器と、
c) 第1導波路上の第1共振器からの最近点である第1最近点と第1導波路上の第2共振器からの最近点である第2最近点の間の第1導波路上に配置された、第1最近点から第2最近点に向けて伝播するTE偏波をTM偏波に変換する第1偏波変換器と、
d) 第2導波路上の第1共振器からの最近点である第3最近点と第2導波路上の第2共振器からの最近点である第4最近点の間の第2導波路上に配置された、第3最近点から第4最近点に向けて伝播するTM偏波をTE偏波に変換する第2偏波変換器と、
を備えることを特徴とする。
【0028】
第2の態様では2次元フォトニック結晶11のPBGがTM偏波に対して形成されているため、第1共振器及び第2共振器はTM偏波に対してのみ有効に動作(すなわち、高効率に分波/合波)する。そのため、第2の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器は以下のように動作する(図3参照)。入力ポート161から波長λrのTM偏波が導入されると、第1共振器131に捕獲されて第2導波路122に導入され、第2共振器132に捕獲されないように第2偏波変換器152によりTM偏波に変換されたうえで出力ポート162から取り出される。また、入力ポート161から波長λrのTE偏波が導入されると、第1偏波変換器151によりTE偏波に変換された後、第2共振器132により捕獲されて第2導波路122に導入され、出力ポート162から取り出される。
【0029】
第2の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器において、第1の態様と同様に反射部を設けることができる。第2の態様では、反射部にはTM偏波を反射するものを用いる。反射部を設ける位置は第1の態様と同様である。
【0030】
(5) 多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器
次に、異なる複数の波長についてそれぞれ分波及び合波を行うことができる多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶分波器及び合波器について説明する。多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶分波器(以下、「多段型分波器」とする)は、第1の態様又は第2の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器を複数(単位合分波器10A、10B...)、それらの単位合分波器の第1導波路が接続されるように設けたものである。また、多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶合波器(多段型合波器)は、単位合分波器10A、10B...を、それらの単位合分波器の第2導波路が接続されるように設けたものである。
【0031】
まず、多段型分波器20の構成を、図4を用いて説明する。第1導波路121は単位合分波器10A、10B...の間で接続されるように1本設けられる。第2導波路は各単位合分波器10A、10B...毎に独立して設けられる(第2導波路122A、122B...)。各単位合分波器10A、10B...の第1共振器131A、131B...は互いに異なる共振波長λr1、λr2...を有するように形成されている。各単位合分波器10A、10B...の第2共振器132A、132B...も同様に共振波長λr1、λr2...を有する。即ち、第1共振器と第2共振器は同じ単位合分波器内では同じ共振波長を有する。一方、第1共振器及び第2共振器の共振波長は単位合分波器毎に異なる値を有する。各単位合分波器10A、10B...の第1偏波変換器151A、151B...及び第2偏波変換器152A、152B...の構成及び位置は上述の第1の態様又は第2の態様の合分波器のものと同様である。
【0032】
多段型分波器20の動作を説明する。ここでは、各単位合分波器10A、10Bが第1の態様の合分波器である場合を例に説明するが、各単位合分波器10A、10Bが第2の態様の合分波器である場合も同様である。
単位合分波器10Aの入力ポート161から波長λr1、λr2...を含む重畳光を第1導波路121に導入する。この重畳光に含まれる波長λr1のTE偏波は第1共振器131Aに共振して捕獲され、第2導波路122Aに分波される。この光は第2共振器132Aに捕獲されることを防ぐために、第2偏波変換器152AによりTM偏波に変換される。波長λr1のTE偏波を除く(λr1のTM偏波を含む)重畳光は第1共振器131Aを通過する。
次に、第1共振器131Aを通過した重畳光に含まれる波長λr1のTM偏波は第1偏波変換器151Aを通過することによりTE偏波に変換される。変換後の波長λr1のTE偏波は第2共振器132Aに捕獲され、第2導波路122Aに分波される。波長λr1の光を除く(波長λr2のTE偏波及びTM偏波を含む)重畳光は第2共振器132Aを通過する。ここまでの動作により、重畳光に含まれていた波長λr1の光はいずれも第2導波路122Aに分波されたことになる。
次に、第2共振器132Aを通過した重畳光に含まれる波長λr2のTE偏波は第1共振器131Bに捕獲され、第2導波路122Bに分波される。このTE偏波は第2偏波変換器152BによりTM偏波に変換される。波長λr1の光及び波長λr2のTE偏波を除く(波長λr2のTM偏波を含む)重畳光は第1共振器131Bを通過する。
次に、重畳光に含まれる波長λr2のTM偏波は第1偏波変換器151Bを通過することによりTE偏波に変換される。変換後の波長λr2のTE偏波は第2共振器132Bに捕獲され、第2導波路122Bに分波される。これにより、重畳光に含まれていた波長λr2の光はいずれも第2導波路122Bに分波されたことになる。
以下同様に、λr1、λr2以外の波長の光も、その波長に共振する第1共振器及び第2共振器を持つ単位合分波器により、その単位合分波器の第2導波路に分波することができる。
【0033】
図5に、本発明の多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶合波器30(以下、「多段型合波器30とする」)の概念図を示す。ここで、上述の多段型分波器20と同じ構成要素にはそれと同じ符号を付した。多段型合波器30では、第2導波路122は各単位合分波器10A、10B...間で接続されるように、多段型合波器30を通して1本設けられている。また、各単位合分波器10A、10B...毎に独立して、第1導波路121A、121B...が設けられている。これらの点以外は、多段型合波器30は多段型分波器20と共通の構成を有する。そのような共通の構成要素には多段型分波器20の構成要素に付したものと同じ符号を付した。
【0034】
多段型合波器30では、各単位合分波器10A、10B...において波長λr1、λr2...の光を第1導波路121A、121B...から第2導波路122に合波することができる。その際の各単位合分波器における共振器及び偏波変換器の動作は第1及び第2の態様の合分波器の動作と同様である。
【0035】
多段型分波器20及び多段型合波器30において、各単位合分波器10A、10Bの第1偏波変換器及び第2偏波変換器に、TM偏波をTE偏波に変換すると共にTE偏波をTM偏波に変換するものを用いることができる。この場合、多段型分波器20の構成と多段型合波器30の構成は同じになる。即ち、このような偏波変換器を用いることにより、複数の波長λr1、λr2...の光の分波及び合波を共に行うことが可能な、多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器を構成することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器により、所定の波長を有するTE偏波及びTM偏波の双方を分波及び合波することができる。これにより、TE偏波又はTM偏波のいずれか一方しか分波及び合波することができなかった従来の多くの2次元フォトニック結晶合分波器よりも、分波効率及び合波効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(1) 本発明の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の一実施形態
本発明の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の一実施形態を、図6及び図7を用いて説明する。図6は本実施形態の合分波器40の上面図である。この合分波器で用いられる2次元フォトニック結晶41は、特許文献1に記載の2次元フォトニック結晶と同様に、スラブ411に、円形の空孔(異屈折率領域)412が三角格子状に配置されることにより周期屈折率分布が形成されたものである。この2次元フォトニック結晶41ではTE偏波に関してPBGが形成される。
【0038】
空孔412を1列欠損させる(即ち三角格子の格子1本分だけ空孔412を設けない)ことにより第1導波路421を設ける。同様に、第1導波路421と離間して第2導波路422を設ける。また、第1導波路421と第2導波路422の間に、第1導波路421及び第2導波路422に平行に並ぶ空孔412を3個欠損させることにより第1共振器431を設ける。同様に、第1導波路421と第2導波路422の間に第1共振器431と離間して第2共振器432を設ける。
【0039】
第1導波路421の第1共振器431からの最近点と第2共振器432からの最近点の間に第1偏波変換器451を、第2導波路422の第1共振器431からの最近点と第2共振器432からの最近点の間に第2偏波変換器452を、それぞれ配置する。図7に示すように、第1偏波変換器451においては、第1導波路421の両側にある空孔のうち第1共振器431側の2対の空孔は第1導波路421に垂直且つスラブ411の面に対して45°傾斜するように形成されている(斜空孔412A)。また、第1導波路421の両側であって2対の斜空孔412Aの第2共振器432側に隣接する2対の空孔は、第1導波路421が延びる方向に平行な鏡映面について斜空孔412Aと鏡映対称な形状に形成されている(斜空孔412B)。これら斜空孔412A及び斜空孔412Bの第2共振器432側に、これらの斜空孔と同じ構成の斜空孔がもう1組形成されている。第2偏波変換器452も第1偏波変換器451と同じ構成を有する。
なお、斜空孔は異方性エッチングの手法を用いて形成することができる。異方性エッチングの方法には、プラズマエッチングにおいてプラズマ化したガスを電界により所定の方向に指向させてスラブ411に入射させる方法や、収束イオンビームを用いる方法等がある。
【0040】
これら第1偏波変換器451及び第2偏波変換器452は、偏波変換器内の導波路を伝播する光を伝播方向に関わらず、TE偏波をTM偏波に、TM偏波をTE偏波に、それぞれ変換することができる。即ち、第1共振器431側から第2共振器432側に向かって伝播するTE偏波はTM偏波に、TM偏波はTE偏波に、それぞれ変換されると共に、第2共振器432側から第1共振器431側に向かって伝播するTE偏波はTM偏波に、TM偏波はTE偏波に、それぞれ変換される
【0041】
但し、第1偏波変換器451及び第2偏波変換器452において偏波を変換することができる周波数は限られている。その周波数帯は0.270c/a~0.274c/aである。ここで、aは三角格子の周期、cは光速である。それに対して、第1共振器431及び第2共振器の共振周波数は0.261c/aである。従って、三角格子の周期が2次元フォトニック結晶41内で全て等しい場合には、共振器の共振周波数(即ち分波、合波される光の周波数)の光は偏波変換器の変換可能周波数帯に含まれず、偏波が変換されない。そこで、本実施形態では三角格子の周期を、第1偏波変換器451及び第2偏波変換器452の周囲の領域48以外ではa0とし、領域48では1.041a0とする。これにより、偏波変換器の変換可能周波数帯は0.259c/a0~0.263c/a0となり、分波、合波される光の周波数0.261c/a0が変換可能周波数帯に含まれるようになる。
【0042】
本実施形態の合分波器40の分波器としての動作を説明する。第1共振器431及び第2共振器の共振波長(共振周波数)と同じ波長λrを含む重畳光を第1導波路421の第1共振器431側の端部(入力ポート461)から第1導波路421に導入すると、重畳光に含まれる波長λrのTE偏波が第1共振器431に共振して捕獲され、第2導波路422に分波される。このように分波されたTE偏波の光は第2偏波変換器452によりTM偏波に変換され、第2共振器432に捕獲されることなく、第2導波路422の第2共振器432側の端部(出力ポート462)から取り出される。波長λrのTE偏波を除く(波長λrのTM偏波を含む)重畳光は第1共振器431に捕獲されることなく通過する。この重畳光のうち波長λrのTM偏波は第1偏波変換器451によりTE偏波に変換される。変換後の波長λrのTE偏波は第2共振器432に共振して捕獲され、第2導波路422に分波される。
【0043】
合分波器40の合波器としての動作を説明する。第2導波路に重畳光を導入すると共に、波長λrのTE偏波及びTM偏波を第1導波路421に導入すると、波長λrのTE偏波は第1共振器431に捕獲され、第2導波路422に合波される。この波長λrのTE偏波は第2偏波変換器452によりTM偏波に変換されるため、第2共振器432に捕獲されることはない。波長λrのTM偏波は第1共振器431に捕獲されることなく、第1偏波変換器451によりTE偏波に変換される。変換後の波長λrのTE偏波は第2共振器432に捕獲され、第2導波路422に合波される。
【0044】
2次元フォトニック結晶41において、円形の空孔412の代わりに正三角形の空孔用いることにより、TM偏波に関してPBGが形成される2次元フォトニック結晶が得られる。このような2次元フォトニック結晶に、合分波器40と同様に導波路、共振器及び偏波変換器を設けることにより、上述の第2の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器が得られる。
【0045】
(2) 反射部を有する偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の一実施形態
図8を用いて、反射部を有する偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の一実施形態を説明する。この合分波器50は、上述の合分波器40の第1導波路421上の第1共振器431からの最近点と第1偏波変換器451の間に、空孔412を周囲よりも短い周期0.965a0で配置した領域471を有する。このような周期で空孔412が配列されていることにより領域471内では、第1導波路421を通過することができるTE偏波の波長帯域がそれ以外の領域の第1導波路421のものよりも短波長側に移動し、波長λrがその通過波長帯域に含まれなくなる。そのため、領域471は第1導波路421を伝播する波長λrTE偏波を反射する第1反射部471として機能する。
【0046】
同様に、第1導波路421上の第2共振器432からの最近点よりも第1導波路の端部側に第2反射部472を、第2導波路422上の第1共振器431からの最近点よりも第2導波路の端部側に第3反射部473を、第2導波路422上の第2共振器432からの最近点と第2偏波変換器452の間に第4反射部474を、それぞれ設ける。
【0047】
合分波器50では、第1共振器431に捕獲されることなく通過した波長λrのTE偏波は、第1反射部471により反射されて第1共振器431側に戻り、第1共振器431に捕獲されて第2導波路422に導入されるため、分波効率や合波効率を高めることができる。第2反射部472の動作も同様である。
また、第1共振器431から第2導波路422に導入された波長λrのTE偏波のうち出力ポート462の反対側に伝播するものは、第3反射部473により反射されて出力ポート462側に戻されるため、分波効率や合波効率を高めることができる。第4反射部474の動作も同様である。
【0048】
図9に、合分波器50の入力ポート461に波長λrのTE偏波を導入した場合における波長λrのTE偏波及びTM偏波の分布を、3次元FDTD(Finite Difference Time Domain:時間領域差分)法を用いて計算で求めた結果を示す。また、図10に、入力ポート461に波長λrのTM偏波を導入した場合における、合分波器50内の波長λrのTE偏波及びTM偏波の分布について同様の計算を行った結果を示す。これらの図中において、導波路上で破線により囲まれた領域は光が存在する領域を示す。光の振幅の強弱は図中に描かれた縞模様の濃淡により示す。
【0049】
入力ポート461に波長λrのTE偏波を導入した場合には、TE偏波は第1導波路421上の第1反射部471よりも上流側の領域511、及び第2導波路422上の第3反射部473と第2偏波変換器452の間の領域512に存在する(図9(a))。これは、入力ポート461に導入された波長λrのTE偏波が第1導波路421から第2導波路422に導入されたこと、第1反射部471及び第3反射部473により反射されていることを示している。また、このTE偏波は第2偏波変換器452によりTM偏波に変換されるため、第2偏波変換器452よりも第2導波路422の下流側の領域513にはTM偏波が存在し(図9(b))、TE偏波は存在しない。第1偏波変換器451の下流側にはTE偏波、TM偏波は共に見られない。
【0050】
入力ポート461に波長λrのTM偏波を導入した場合には、TM偏波は第1導波路421の第1偏波変換器451よりも上流側の領域514にのみ存在する。一方、TE偏波は第1導波路421の第1偏波変換器451と第2反射部472の間の領域515、及び第2導波路422の第4反射部474よりも下流側の領域516に存在する。これは、波長λrのTM偏波が第1偏波変換器451によりTE偏波に変換されていること、偏波変換後のTE偏波が第2導波路422に導入されたこと、並びに偏波変換後のTE偏波が第2反射部472及び第4反射部474に反射されていることを示している。
【0051】
(3) 多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の一実施形態
本発明の多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の一実施形態を、図11を用いて説明する。本実施形態の多段型合分波器60は、第2導波路422を除いて上述の合分波器40と同じ構成を有する単位合分波器40Aと、単位合分波器40Aをそのまま縮小した構成を有する単位合分波器40Bを接続した構成を有する。即ち、単位合分波器40Aと単位合分波器40Bは互いに相似形である。この場合、単位合分波器40Aの第1共振器431A及び第2共振器432Aと、単位合分波器40Bの第1共振器431B及び第2共振器432Bは互いに異なる波長λr1、λr2のTE偏波に共振する。
【0052】
単位合分波器40Aの第1導波路と単位合分波器40Bの第1導波路は接続され、それにより1本の第1導波路62が形成されている。また、単位合分波器40Aの第2導波路422Aと単位合分波器40Bの第2導波路422Bは互いに接続されることなく独立して設けられている。第2導波路422A及び422Bには屈曲部62A及び62Bが形成されている。これら屈曲部よりも下流側では、第2導波路422A及び422Bは下流に向かうほど第1導波路62から遠ざかるように形成されている。
【0053】
多段型合分波器60の分波器としての動作を説明する。第1導波路62の単位合分波器40A側の端部に波長λr1のTE偏波及びTM偏波並びに波長λr2のTE偏波及びTM偏波を含む重畳光を導入すると、波長λr1のTE偏波は単位合分波器40Aの第1共振器431Aに捕獲されて第2導波路422Aに分波される。そのTE偏波は単位合分波器40Aの第2偏波変換器452AでTM偏波に変換される。
波長λr1のTE偏波を除く(波長λr1のTM偏波並びに波長λr2のTE偏波及びTM偏波を含む)重畳光は第1共振器431Aには捕獲されずに通過し、そのうち波長λr1のTM偏波が単位合分波器40Aの第1偏波変換器451AでTE偏波に変換される。変換後の波長λr1のTE偏波は単位合分波器40Aの第2共振器432Aに捕獲されて第2導波路422Aに分波される。
波長λr2のTE偏波及びTM偏波を含む重畳光は第2共振器432Aには捕獲されずに通過し、そのうち波長λr2のTE偏波が単位合分波器40Bの第1共振器431Bに捕獲されて第2導波路422Bに分波される。そのTE偏波は単位合分波器40Bの第2偏波変換器452BでTM偏波に変換される。
波長λr2のTM偏波を含む重畳光は第1共振器431Bには捕獲されずに通過し、そのうち波長λr2のTM偏波が単位合分波器40Bの第1偏波変換器451BでTE偏波に変換される。変換後の波長λr2のTE偏波は単位合分波器40Bの第2共振器432Bに捕獲されて第2導波路422Bに分波される。
重畳光のうち波長λr1及びλr2以外の波長の光はそのまま第1導波路62を通過する。
【0054】
本実施形態の多段型合分波器60が有する各偏波変換器は、上述のように伝播方向に関わらずTE偏波をTM偏波に、TM偏波をTE偏波に、それぞれ変換することができる。そのため、多段型合分波器60の合波器としての動作は、分波器での各波長及び偏波の光の流れをそのまま逆方向にしたものと同じ動作になる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る第1の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の概念図。
【図2】反射部171~174を有する第1の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の概念図。
【図3】本発明に係る第2の態様の偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の概念図。
【図4】本発明に係る多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶分波器の概念図。
【図5】本発明に係る多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶合波器の概念図。
【図6】本発明に係る偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の一実施形態を示す上面図。
【図7】第1偏波変換器451及び第2偏波変換器452の構成を示す上面図、並びにその上面図中に示した断面A-A'及び断面B-B'における縦断面図。
【図8】反射部を設けた偏波無依存2次元フォトニック結晶合分波器の一実施形態である合分波器50の構成を示す上面図。
【図9】合分波器50の入力ポート461にTE偏波を導入した場合における導波路内のTE偏波及びTM偏波の強度分布を計算した結果を示す図。
【図10】合分波器50の入力ポート461にTM偏波を導入した場合における導波路内のTE偏波及びTM偏波の強度分布を計算した結果を示す図。
【図11】本発明に係る多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶分波器の一実施形態を示す上面図。
【符号の説明】
【0056】
10A、10B、40A、40B…単位合分波器
11、41…2次元フォトニック結晶
121、121A、121B、421、62…第1導波路
122、122A、122B、422、422A、422B…第2導波路
131、131A、131B、431、431A、431B…第1共振器
132、132A、132B、432、432A、432B…第2共振器
141…第1最近点
142…第2最近点
143…第3最近点
144…第4最近点
151、151A、151B、451、451A、451B…第1偏波変換器
152、152A、152B、452、452A、452B…第2偏波変換器
161、461…入力ポート
162、462…出力ポート
171、471…第1反射部
172、472…第2反射部
173、473…第3反射部
174、474…第4反射部
20…多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶分波器(多段型分波器)
30…多段型偏波無依存2次元フォトニック結晶合波器(多段型合波器)
40、50…合分波器
411…スラブ
412…空孔
412A、412B…斜空孔
48…偏波変換器の周囲の領域
511、512、515、516…TE偏波が存在する領域
513、514…TM偏波が存在する領域
60…多段型合分波器
62A、62B…屈曲部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図11】
8
【図9】
9
【図10】
10