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明細書 :2次元フォトニック結晶光共振器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5320566号 (P5320566)
公開番号 特開2008-241892 (P2008-241892A)
登録日 平成25年7月26日(2013.7.26)
発行日 平成25年10月23日(2013.10.23)
公開日 平成20年10月9日(2008.10.9)
発明の名称または考案の名称 2次元フォトニック結晶光共振器
国際特許分類 G02B   6/12        (2006.01)
FI G02B 6/12 Z
G02B 6/12 F
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2007-079343 (P2007-079343)
出願日 平成19年3月26日(2007.3.26)
審査請求日 平成22年3月19日(2010.3.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】野田 進
【氏名】浅野 卓
【氏名】田中 良典
個別代理人の代理人 【識別番号】110001069、【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
【識別番号】100095670、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 良平
審査官 【審査官】▲高▼ 芳徳
参考文献・文献 特開2002-350657(JP,A)
特開2005-274840(JP,A)
特開2007-047604(JP,A)
国際公開第2005/022220(WO,A1)
ASANO,T. et al.,IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics,2006年12月,Vol.12, No.6,p.1123-1134
高橋和 他,電子情報通信学会技術研究報告,2007年 1月22日,Vol.106, No.514,p.25-29 (OPE2006-133)
高橋和 他,2006年(平成18年)秋季第67回応用物理学会学術講演会講演予稿集,2006年 8月29日,第3分冊,p.970 (講演番号31a-ZD-6)
宋奉植 他,2006年(平成18年)秋季第67回応用物理学会学術講演会講演予稿集,2006年 8月29日,第3分冊,p.969 (講演番号31a-ZD-3)
NOTOMI,M. et al.,Electronics Letters,2001年 3月 1日,Vol.37, No.5,p.293-295
NOTOMI,M. et al.,The 15th Annual Meeting of the IEEE Lasers and Electro-Optics Society, 2002 IEEE/LEOS Annual Meeting Conference Proceedings,2002年11月14日,Vol.2,p.514-515
調査した分野 G02B 6/12 - 6/14
H01S 3/00 - 5/50
G02F 1/00 - 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
誘電体から成る板状の本体内に、該本体とは屈折率が異なる異屈折率領域が周期的に配置された2次元フォトニック結晶に形成される光共振器であって、
a) 一方向に連接する2n+1個の遷移領域から成る遷移領域群であって、各遷移領域内における異屈折率領域の前記方向における配置周期ak(1-Ck2)a0(0≦k≦nであり、kは中央を0、それから両端に向けてそれぞれ1→nと番号付ける。a0はk=0における配置周期。Cは定数。)に設定され、配置周期がa1~anである遷移領域における前記方向の異屈折率領域の周期数が全て同じである遷移領域群と、
b) 前記遷移領域群の、前記連接方向における両外側に設けられ、異屈折率領域の前記方向における周期ab(1-C(n+1)2)a0であるベース領域と、
c) 前記ベース領域及び遷移領域群の2n+1個の遷移領域を貫くように異屈折率領域を欠損させることにより形成された導波路であって、該導波路を挟む両側の異屈折率領域の全体が、前記連接方向に垂直な方向に所定量だけ互いに近づくようにシフトされており、該所定量がシフト前の導波路の幅の0.125~0.25倍である貫通導波路と、
を備えることを特徴とする2次元フォトニック結晶光共振器。
【請求項2】
異屈折率領域が、導波路に平行な方向に前記配置周期akで配置され、導波路に垂直な方向にはいずれの遷移領域においても同じ周期で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の2次元フォトニック結晶光共振器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、波長合分波器等の光デバイスに用いられる光共振器に関し、特に2次元フォトニック結晶を用いた光共振器に関する。なお、本願において用いる「光」には、可視光以外の電磁波も含むものとする。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重通信(Wavelength Division Multiplexing:WDM)に使用される光分合波器等の光通信用デバイスの分野において、高性能化、小型化、低価格化をはかるために、フォトニック結晶を利用したデバイスの開発が進められている。フォトニック結晶は、誘電体に周期構造を人工的に形成したものである。この周期構造は一般に、誘電体本体とは屈折率が異なる領域(異屈折率領域)を誘電体本体内に周期的に配置することにより形成される。その周期構造により、結晶中に光のエネルギーに関するバンド構造が形成され、光の伝播が不可能となるエネルギー領域が形成される。このようなエネルギー領域は「フォトニックバンドギャップ」(Photonic Band Gap:PBG)と呼ばれる。PBGが形成されるエネルギー領域(波長帯)は、誘電体の屈折率や周期構造の周期により定まる。
【0003】
また、このフォトニック結晶中に適切な欠陥を導入することにより、PBG中にエネルギー準位(欠陥準位)が形成され、その欠陥準位に対応する波長の光のみがその欠陥の近傍に存在できるようになる。従って、このような欠陥を有するフォトニック結晶はその波長の光の光共振器として使用することができる。更に、この欠陥を線状に設けることにより、導波路として使用することができる。
【0004】
特許文献1には、本体(スラブ)に異屈折率領域を周期的に配置し、その周期的配置に線状の欠陥を設けることにより導波路を形成するとともに、その導波路に隣接して上記周期的配置に点状の欠陥を設けることにより光共振器を形成した2次元フォトニック結晶が記載されている。この2次元フォトニック結晶は、導波路内を伝播する様々な波長の光のうち光共振器の共振波長に一致する波長の光を外部へ取り出す分波器として機能すると共に、外部から導波路に導入する合波器としても機能する。
【0005】
光共振器においては、共振モードの全電磁界エネルギーを共振器内のエネルギー密度の最大値で除したモード体積を小さくすると集積化の点及び光共振器内での光と物質(例えば共振器内に導入される発光材料を構成する物質)の相互作用を強くすることができるという点で有利になる。そこで、モード体積を従来と同程度又はそれ以下に小さくしつつ、光の閉じ込め効率を高めることのできる光共振器が検討されてきた。
【0006】
特許文献2には、本体に、第1の周期で異屈折率領域が配置された第1領域と、第1領域を挟むように設けられ、第1周期とは異なる周期で異屈折率領域が配置された第2領域及び第3領域とを有し、これら第1~第3領域を通過する導波路が設けられた2次元フォトニック結晶が記載されている。この2次元フォトニック結晶では、第1~第3領域における周期の違いにより、第1領域内の導波路は通過できるのに対して第2及び第3領域内の導波路は通過することができない波長帯域が形成される。そのため第1領域内の導波路は、この波長帯域内の波長を持つ光を閉じ込めることができ、その波長に関する光共振器として機能する。このような構成の光共振器は「ヘテロ共振器」と呼ばれる。ヘテロ共振器により、光共振器のQ値を数十万~数百万とすることができる。この値は従来の点状欠陥光共振器におけるQ値の数百~数千倍に相当する。また、モード体積は1.3(λ0/n)3という非常に小さい値になる(λ0:真空中における波長、n:光共振器の屈折率)。
【0007】
また、特許文献3には、線状欠陥を有する2次元フォトニック結晶において、線状欠陥の一部分のみ、線状欠陥の両側にある1~数列の異屈折率領域を他の部分の異屈折率領域の列よりも外側にシフトさせることにより、その一部分に光共振器を形成することが記載されている。特許文献3によると、この光共振器のQ値は計算値で最大約420万、実験値で最大約40万である。
【0008】

【特許文献1】特開2001-272555号公報
【特許文献2】国際公開WO2005/022220号パンフレット
【特許文献3】特開2007-047604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、モード体積が従来よりも更に小さいヘテロ共振器を提供すると共に、そのようなヘテロ共振器において従来よりも更に高いQ値を得ることができるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係る2次元フォトニック結晶光共振器は、誘電体から成る板状の本体内に、該本体とは屈折率が異なる異屈折率領域が周期的に配置された2次元フォトニック結晶に形成される光共振器であって、
a) 一方向に連接する2n+1個の遷移領域から成る遷移領域群であって、各遷移領域内における異屈折率領域の前記方向における配置周期ak(1-Ck2)a0(0≦k≦nであり、kは中央を0、それから両端に向けてそれぞれ1→nと番号付ける。a0はk=0における配置周期。Cは定数。)に設定され、配置周期がa1~anである遷移領域における前記方向の異屈折率領域の周期数が全て同じである遷移領域群と、
b) 前記遷移領域群の、前記連接方向における両外側に設けられ、異屈折率領域の前記方向における周期ab(1-C(n+1)2)a0であるベース領域と、
c) 前記ベース領域及び遷移領域群の2n+1個の遷移領域を貫くように異屈折率領域を欠損させることにより形成された導波路であって、該導波路を挟む両側の異屈折率領域の全体が、前記連接方向に垂直な方向に所定量だけ互いに近づくようにシフトされており、該所定量がシフト前の導波路の幅の0.125~0.25倍である貫通導波路と、
を備えることを特徴とする。

【発明の効果】
【0012】
本発明に係る2次元フォトニック結晶光共振器は、異屈折率領域を線状欠陥側に所定量だけシフトさせたことにより、シフトをさせない場合よりも導波路の幅が狭くなる。このように導波路の幅が狭くなることにより、導波路に最隣接の異屈折率領域と導波路の屈折率の差による光の閉じ込め効果が大きくなり、電磁界の広がりが小さくなる。そのため、本発明の2次元フォトニック結晶光共振器では特許文献2に記載のヘテロ共振器よりもモード体積を小さくすることができる。これにより、光共振器の集積化が容易になると共に、光共振器内での光と物質との相互作用を強くすることができる。
【0013】
ベース領域周期ab(1-C(n+1)2)a0、配置周期akを(1-Ck2)a0とし、配置周期がa1~anである遷移領域における導波路に平行な方向の異屈折率領域の数を全て同じとすることにより、導波路内の位置を変数とする電界の強度の関数は、振動関数とガウス関数の積、即ちガウス関数で表される包絡線に沿って振動しながら減衰する関数に近似される。このような電界強度の実空間分布関数を持つ場合、波数空間での電界強度は波数が(-2π/λ0)<k<(+2π/λ)(λ0:空気中での波長)の「漏れ領域」内において0に近い値を持つ。このことは、本体の表面において本体の外側の空間(空気)に導波路から光が漏れ難いことを意味する。そのため、このような構成とすることにより、Q値を一層高くすることができる。
【0014】
ここで、ガウス関数の空間半値幅が広くなるほど、波数空間で漏れ領域の範囲内に入る成分を小さくすることができるためQ値を向上させることができる。ガウス関数の空間半値幅を広くするためには導波路に平行な方向の共振器長を長くする必要があるが、単に共振器長を長くするだけではモード体積が大きくなってしまう。しかし、本発明では、上述のように導波路の幅を狭くするため、モード体積の増加を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る2次元フォトニック結晶光共振器の一実施形態を、図1を用いて説明する。本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器10は、誘電体から成る板状の本体11に空孔(異屈折率領域)12が三角格子状に配置されたベース領域131内に、図1の左側から右側に向けて一方向に連接する9個(2n+1個、n=4)の遷移領域を有する。これら9個の遷移領域を、図1の左側から順に左第4遷移領域1414、左第3遷移領域1413、左第2遷移領域1412、左第1遷移領域1411、第0遷移領域140、右第1遷移領域1421、右第2遷移領域1422、右第3遷移領域1423、右第4遷移領域1424と呼ぶ。各遷移領域にもベース領域131と同様に空孔12が三角格子状に配置されている。
【0016】
ベース領域131及び各遷移領域における空孔12の配置周期を説明する。
前記連接方向の空孔12の配置周期は、第0遷移領域140において全ての領域の中で最大のa0であり、第0遷移領域140から両端に向かって順にa1、a2、a3、a4、と単調に減少する。そして、ベース領域131では、当該方向の配置周期は、a4よりも小さい値abとなる。本実施形態では、配置周期ak(0≦k≦4)を(1-Ck2)a0とし、定数Cの値を2.3×10-3とした。即ち、a1=0.998a0、a2=0.991a0、a3=0.979a0、a4=0.963a0である。また、ベース領域131での周期aBは(1-C(n+1)2)a0=(1-C×52)a0=0.942a0とした。また、各遷移領域では前記連接方向に同じ数ずつ空孔12を配置した。
前記連接方向に垂直な方向の空孔12の配置周期は、全てのベース領域131及び遷移領域において同じ値とする。本実施形態では、当該方向の配置周期は30.5a1とした。以下、この配置周期をWとする。
【0017】
ベース領域131及び各遷移領域を貫くように導波路15を設ける。この導波路15は、前記連接方向に並ぶ1列分の空孔列15Aを欠損させ(図2(a))、空孔列15Aを挟んで両側にある第1空孔群161及び第2空孔群162を空孔列15A側にシフトさせる(図2(b))ことにより形成される。これにより、導波路15の線幅はシフトをさせない場合の導波路の幅であるWよりも狭くなる。本実施形態では、シフト量を0.19W、即ち導波路15の幅を(1-0.19×2)W=0.62Wとした。
【0018】
本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器では、各ベース領域131及び遷移領域の配置周期の違いに起因して、ベース領域131内の導波路15を通過することができる波長帯域には含まれず、第0遷移領域140内の導波路15の通過波長帯域には含まれる波長が存在する。この波長が本実施形態の光共振器の共振波長となる。第0遷移領域140以外の遷移領域では、この共振波長は導波路波長帯域の境界付近の波長に該当し、それにより、第0遷移領域140からベース領域131に向かう光の一部がそれら各遷移領域同士及び左(右)第4遷移領域1414(1424)とベース領域131の境界で緩やかに反射される。このような緩やかな反射により、共振波長の光は各遷移領域の導波路内に緩やかに閉じ込められる。こうして、導波路15のうちベース領域131で挟まれた部分17が光共振部として機能する。
【0019】
そして、導波路15の幅をWよりも狭くすることにより、導波路15の材料(即ち本体11の材料)と空孔12の屈折率の差による光の閉じ込め効果が大きくなると共に、光共振部17の体積が小さくなる。この結果、同じ体積で比較すると導波路15の幅が狭くなるほどガウス包絡線の幅を広くすることが可能になるため、同じ体積を持つ従来のヘテロ共振器よりもQ値を大きくすることができる。
【0020】
更に、本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器では、ベース領域131の配置周期abを(1-C×52)a0、各遷移領域の配置周期akを(1-Ck2)a0としたことにより、光共振部17内の電界の強度がガウス関数に近似される包絡線を持つ分布となる。以下、その理由を説明する。
【0021】
各遷移領域においては、導波路通過波長帯域の端部付近に対応する周波数(カットオフ周波数)をfcutとすると、fcut付近の周波数を持つ光はexp(-qx)(x:連接方向の位置、q:減衰係数)で表される関数で減衰する。この関数がガウス関数exp(-Ax2)(Aは定数)で表される包絡線を持つには、
q=Ax …(1)
の関係を満たせばよい。一方、ヘテロ構造を持つ光共振器が有する導波路における光の周波数fと減衰係数qの分散関係はfcut付近において
(fcut-f)=g(q) …(2)
という関数で表すことができる。従って、
(fcut-f)=g(Ax) …(3)
となる。一方、fcutはおおむね配置周期akに反比例するため、各遷移領域におけるカットオフ周波数fkcutは、
fkcut=(a0/ak)f0cut …(4)
となり、(3)(4)式より、
((a0-ak)/ak)f0cut=g(Ax) …(5)
となる。各遷移領域では連接方向に空孔が同じ数だけ配置されていることから、xは近似的にkに比例する。そこで、x=B・k(Bは定数)とすると、(5)式より、
((a0-ak)/ak)f0cut=g(ABk) …(6)
となり、これを変形すると
ak=a0/(1+g(ABk)/f0cut) …(7)
となる。
【0022】
本実施形態の光共振器における導波路15のように異屈折率領域をシフトさせることにより幅を狭くした導波路では、光の周波数fと減衰係数qの分散関係は、fcut付近において、
(fcut-f)=Dq2 …(8)
(Dは定数)となる(宋奉植他、2005年春季応用物理学関連連合講演会講演予稿集第3分冊、講演番号31p-YV-9)ことから、(2)式及び(8)式より
g(q)= Dq2 …(9)
となる。(9)式を(7)式に代入すると
ak=a0/(1+(ABk)2D/f0cut) …(10)
となる。(ABk)2D/f0cutは1よりも十分に小さいため、(10)式より
ak=(1-(ABk)2D/f0cut)a0 …(11)
となり、C=(AB)2D/f0cutとしたうえで(11)式を変形することにより、
ak=(1-Ck2)a0 …(12)
という関係式が得られる。
【0023】
本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器につき、光共振部17内の電磁界を計算で求めた結果を図3に示す。図3(a)は導波路15に垂直な方向に振動する電界Eyの強弱を灰色の濃淡で示したものである。導波路15に垂直な方向の強度分布より、導波路15に隣接する空孔付近を境界として、その境界よりも内側に電界が閉じこめられることがわかる。一方、導波路15に平行な方向には、第0遷移領域140からベース領域131に向かうに従い、徐々に減少する強度分布が見られる。次に、導波路15に平行な方向に関する電界Eyの強度分布を図3(b)のグラフに実線で示す。電界Eyの強度は、第0遷移領域140からベース領域131に向かうに従い、振動しながら、破線で示す包絡線に従い減衰する。この包絡線はガウス分布に近い形状を有する。
また、本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器のQ値を計算で求めたところ、約109という従来の光共振器では得ることのできない高い値が得られた。また、モード体積は1.06(λ0/n)3であり、特許文献2に記載のヘテロ共振器よりも小さい値が得られた。
【0024】
本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器、特許文献2に記載の2次元フォトニック結晶光共振器(比較例1)、特許文献3に記載の2次元フォトニック結晶光共振器(比較例2)につき、Q値の計算結果を図4に示す。比較例1及び2においては、導波路の幅は本実施形態における導波路15の幅Wとほぼ同じである。比較例1では、前述の第1領域と第2領域の間に更に、第1領域の空孔の周期a11と第2領域の空孔の周期a12=0.976a11の間の大きさを持つ周期a1C=0.988a11で空孔を周期的に配置した第4領域を設け、同様に第1領域と第3領域(空孔の周期:a12)の間に第5領域(空孔の周期:a13)を設けたものを用いた。図4には併せて、幅Wを持つ導波路と、幅0.62Wを持つ導波路についてもQ値を示した。グラフの横軸は共振器又は導波路において電磁界が存在する体積(モード体積)である。この結果より、本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器の方が比較例よりも高いQ値が得られていることがわかる。また、本実施形態例の光共振器は比較例1及び2のものとは異なり、幅Wを持つ導波路のQ値よりも高いQ値が得られている。このことは、本発明において導波路の幅を狭くしたことが、高いQ値が得られた理由の1つとなっていることを示している。
【0025】
本発明に係る2次元フォトニック結晶光共振器は上述の実施形態には限られず、様々な形態をとることができる。例えば、以下の変形例が挙げられる。
・本実施形態では導波路の幅は0.62Wとしたが、この幅が0.62Wを含む0.50W~0.75W、即ちシフト量が0.125W~0.25Wの範囲内にある導波路は、導波路に最隣接の異屈折率領域と導波路の屈折率の差による光の閉じ込め効果が大きくなるため、体積の小さい共振モードを形成することができるという点で本発明の光共振器に好適に用いることができる。
・本実施形態では、中央の第0遷移領域140の配置周期を最大とし、そこから両端に向かって単調に減少するようにしたが、逆に、中央を最小とし、両端に向かって単調に増加するようにしてもよい。
・本実施形態では連接方向に垂直な方向の異屈折率領域の周期を全てのベース領域及び遷移領域で同じ値としたが、各ベース領域及び遷移領域で異なる値としてもよい。例えば、各ベース領域及び遷移領域で異屈折率領域を正三角形から成る三角格子状に配置することができる。
・各遷移領域における連接方向の異屈折率領域の個数は、第0遷移領域を除く各遷移領域で同一であれば、特に限定されない。
・遷移領域の数(nの値)は特に限定されない。
・異屈折率領域は、本体よりも屈折率が高い/低い材料から成る部材を本体内に埋め込んだものであってもよく、あるいは円形以外の形状を持つものであってもよい。
【0026】
なお、本願では説明の便宜上「左」、「右」という語を用いたが、このことは本発明に係る2次元フォトニック結晶光共振器の配置を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る2次元フォトニック結晶光共振器の一実施形態を示す平面図。
【図2】本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器における導波路15の形態を説明するための平面図。
【図3】本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器における電磁界分布の計算結果を示す平面図(a)及びグラフ(b)。
【図4】本実施形態の2次元フォトニック結晶光共振器及び比較例におけるQ値の計算結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0028】
11…本体
12…空孔
131…ベース領域
140…第0遷移領域
1411…左第1遷移領域
1412…左第2遷移領域
1413…左第3遷移領域
1414…左第4遷移領域
1421…右第1遷移領域
1422…右第2遷移領域
1423…右第3遷移領域
1424…右第4遷移領域
15…導波路
15A…空孔列
161…第1空孔群
162…第2空孔群
17…光共振部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図4】
2
【図3】
3