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明細書 :2-チオウリジン類縁体の合成法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3982738号 (P3982738)
公開番号 特開2002-265490 (P2002-265490A)
登録日 平成19年7月13日(2007.7.13)
発行日 平成19年9月26日(2007.9.26)
公開日 平成14年9月18日(2002.9.18)
発明の名称または考案の名称 2-チオウリジン類縁体の合成法
国際特許分類 C07H  19/067       (2006.01)
C07H  19/073       (2006.01)
FI C07H 19/067
C07H 19/073
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2001-071331 (P2001-071331)
出願日 平成13年3月14日(2001.3.14)
審査請求日 平成19年1月24日(2007.1.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000013
【氏名又は名称】財団法人理工学振興会
発明者または考案者 【氏名】関根 光雄
【氏名】清尾 康志
【氏名】庄田 耕一郎
【氏名】岡本 到
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100107870、【弁理士】、【氏名又は名称】野村 健一
【識別番号】100098121、【弁理士】、【氏名又は名称】間山 世津子
審査官 【審査官】中木 亜希
参考文献・文献 特開平09-077788(JP,A)
Nucleic Acids Research,1989年,Vol.17, No.13,p.4957-4974
J.Med.Chem.,1972年,Vol.15, No.10,p.1061-1065
調査した分野 C07H 19/06-19/11
C07D 239/
REGISTRY(STN)
CAplus(STN)
CASREACT(STN)
JSTPlus(JDream2)
JST7580(JDream2)
JMEDPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の一般式(I):
【化1】
JP0003982738B2_000006t.gif
(式中、R1は水素又は水酸基を表し、R2は水素、ハロゲン、メチル基、又はアルキニル基を表す。)
で示されるウリジン類縁体から下記の一般式(II):
【化2】
JP0003982738B2_000007t.gif
(式中、R2は水素、ハロゲン、メチル基、又はアルキニル基を表し、R3は水素、水酸基、又はOR4〔但し、R4は置換基を有してよいアルキル基、アルケニル基、ベンジル基を表す。〕を表す。)
で示される2-チオウリジン類縁体を合成する方法であって、一般式(I)で示されるウリジン類縁体の3'位の水酸基、5'位の水酸基、及び4位のカルボニル基に保護基を導入する保護工程、保護基を導入した後に、一般式(I)で示されるウリジン類縁体の2位のカルボニル基をチオカルボニル基に変換する官能基置換工程、並びに官能基置換を行った後に、保護工程で導入した保護基を除去する脱保護工程を含むことを特徴とする2-チオウリジン類縁体の合成法。
【請求項2】
保護工程後官能基置換工程前に、ウリジン類縁体の2'位の水酸基を修飾する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の2-チオウリジン類縁体の合成法。
【請求項3】
ウリジン類縁体が、ウリジンであることを特徴とする請求項1又は2記載の2-チオウリジン類縁体の合成法。
【請求項4】
2-チオウリジン類縁体が、2'-O-メチル-2-チオウリジンであることを特徴とする請求項3記載の2-チオウリジン類縁体の合成法。
【請求項5】
ウリジン類縁体が、デオキシチミジンであることを特徴とする請求項1記載の2-チオウリジン類縁体の合成法。
【請求項6】
2-チオウリジン類縁体が、2-チオデオキシチミジンであることを特徴とする請求項5記載の2-チオウリジン類縁体の合成法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廉価な化合物から2-チオウリジン類縁体を大量かつ効率的に合成する方法に関する。2'-O-メチル-2-チオウリジンなどの2-チオウリジン類縁体は、アンチセンス核酸、遺伝子診断用のプローブなどの構成ヌクレオシドとして有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
2'-O-メチル-2-チオウリジンは、Edmondsらによって発見されたヌクレオシドで、好熱細菌のtRNAなどに含まれる(C.G.Edomonds et al., J. Chem. Soc. Chem. Commun., 1987, 909-910)。このヌクレオシドは、アデノシンと正確に塩基対を形成し、また、らせんを安定化させるという性質を持つことから(S.Yokoyama et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1985, 82, 4905)、チミジンの代わりに核酸に組み込めば、遺伝子診断用のプローブやアンチセンス核酸などとして非常に有用である。
【0003】
2'-O-メチル-2-チオウリジンの合成法は、Edomondsらによって報告されているが(C.G.Edomonds wt al., J. Chem. Soc. Chem. Commun., 1987, 909-910)、この合成法では、ジアゾメタンを用いて2'位の水酸基にメチル基を導入するため、2'位の水酸基と3'位の水酸基に同時にメチル化反応が起こってしまうという欠点がある。
【0004】
このようなEdomondsら合成法を改良し、より効率的な2'-O-メチル-2-チオウリジン合成を可能にするため、本発明者らは2-チオウラシルを原料物質とする合成方法を開発した(K.Shohda, I.Okamoto, T.Wada, K.Seio and M. Sekine, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2000, 10, 1795-1798)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らにより開発された合成法の概要は図1に示す通りである。この方法は、Edomondsら方法に比べて優れたものであったが、以下のような問題点を有していた。
1)原料物質として高価な2-チオウラシルを用いるため製造コストが高くなる。
2)合成工程でグリコシル化反応を行う必要があり、その際に使用する四塩化スズの後処理のために煩雑な操作が必要となる。
3)ウラシル塩基の保護基としてベンゾイル基を用いているが、この保護基は不安定であるため、2'位の水酸基をメチル化する際に様々な副反応が起きてしまう。
4)2-チオカルボニル基が合成ステップ中常に存在しているため、この基と反応する試薬を用いることができない。
【0006】
以上のように、従来の合成法には様々な問題が存在した。本発明は、このような従来法の問題を解決し、廉価な化合物から2-チオウリジン類縁体を大量かつ効率的に合成できる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、原料物質として安価なウリジンを用い、2-チオカルボニル基の導入を合成ステップの終盤に行うことにより、安価かつ効率的に2'-O-メチル-2-チオウリジンを合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の一般式(I):
【0009】
【化3】
JP0003982738B2_000002t.gif(式中、R1は水素又は水酸基を表し、R2は水素、ハロゲン、メチル基、又はアルキニル基を表す。)
で示されるウリジン類縁体から下記の一般式(II):
【0010】
【化4】
JP0003982738B2_000003t.gif(式中、R2は水素、ハロゲン、メチル基、又はアルキニル基を表し、R3は水素、水酸基、又はOR4〔但し、R4は置換基を有してよいアルキル基、アルケニル基、ベンジル基を表す。〕を表す。)
で示される2-チオウリジン類縁体を合成する方法であって、一般式(I)で示されるウリジン類縁体の3'位の水酸基、5'位の水酸基、及び4位のカルボニル基に保護基を導入する保護工程、保護基を導入した後に、一般式(I)で示されるウリジン類縁体の2位のカルボニル基をチオカルボニル基に変換する官能基置換工程、並びに官能基置換を行った後に、保護工程で導入した保護基を除去する脱保護工程を含むことを特徴とする2-チオウリジン類縁体の合成法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明は、ウリジン類縁体から2-チオウリジン類縁体を合成するものである。
【0013】
本発明におけるウリジン類縁体とは、以下の一般式(I):
【0014】
【化5】
JP0003982738B2_000004t.gifで示される化合物である。
【0015】
一般式(I)において、R1は水素又は水酸基を表す。
【0016】
また、R2は水素、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、メチル基、又はアルキニル基を表す。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、2~6が好ましく、2、3が更に好ましく、3(プロピニル基)が最も好ましい。
【0017】
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、ウリジン、デオキシチミジン、5-フルオロウリジン、5-ブロモウリジン、5-クロロウリジン、5-ヨードウリジン、5-フルオロ-2'-デオキシウリジン、5-ブロモ-2'-デオキシウリジン、5-クロロ-2'-デオキシウリジン、5-ヨード-2'-デオキシウリジン、5-プロピニルウリジンなどを挙げることができる。
【0018】
本発明における2-チオウリジン類縁体とは、以下の一般式(II):
【0019】
【化6】
JP0003982738B2_000005t.gifで示される化合物である。
【0020】
一般式(II)におけるR2は一般式(I)におけるR2と同一の基を表す。
【0021】
R3は水素、水酸基、又はOR4を表す。ここで、R4は置換基を有してよいアルキル基、アルケニル基、又はベンジル基を表す。アルキル基の炭素数(置換基の炭素数は含まず)は特に限定されないが、1~20が好ましく、1~6が更に好ましく、1(メチル基)が最も好ましい。置換基としては、アルコキシ基、アミノ基などを例示することができる。アルケニル基の炭素数も特に限定されないが、1~6が好ましく、3~5が更に好ましい。
【0022】
一般式(II)で示される化合物の具体例としては、2'-O-メチル-2-チオウリジン、2-チオデオキシチミジンなどを挙げることができる。
【0023】
本発明の2-チオウリジン類縁体の合成法は、少なくとも以下の保護工程、官能基置換工程、脱保護工程を含むものである。
(1)保護工程
この工程では、ウリジン類縁体の3'位の水酸基、5'位の水酸基、及び4位のカルボニル基に保護基を導入する。
【0024】
3'位の水酸基、5'位の水酸基の保護基としては、後述する官能基置換反応などにおいて、各官能基を保護する機能を有するものであれば限定されず、例えば、TBDMS基、トリイソプロピルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、ジ-t-ブチルシランジイル基、BDT基、アセチル基、ベンゾイル基、THP基、mTHP基などを導入することができる。但し、ウリジン類縁体の2'位にも水酸基が付いている場合は、上述した保護基を導入しようとすると、3'位及び5'位の水酸基だけでなく、2'位の水酸基にも導入されてしまう。このため、ウリジン類縁体の2'位に水酸基が付いている場合には、3'位及び5'位の水酸基のみを選択的に保護できるような手段を採るのが好ましい。このような手段としては、例えば、二官能性のシリル化剤であるTIPDSCL2により、3'位及び5'位の水酸基を環状シリルエーテルとする手段を挙げることができる。
【0025】
4位のカルボニル基の保護基としては、フェニル基、2-ニトロフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基などのフェニルエーテル型保護基が好ましいが、他の保護基、例えば、2-ピリジル基、2-フラニル基、2-チオフラニル基などを導入してもよい。フェニルエーテル型保護基の中では、脱離しにくさなどの点から、2,6-ジメチルフェニル基及び2,4,6-トリメチルフェニル基が好ましい。フェニルエーテル型保護基は、カルボニル基をスルホニル化した後、塩基存在下でフェノール誘導体と反応させることにより導入することができる。スルホニル化は、Reeseらの方法(C.B.Reese et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans I 1984,1263)に従って行ってもよいが、ウリジン類縁体の2'位に水酸基が付いている場合には、予め2'位の水酸基に保護基を導入しておく必要があるので、関根らの方法(M.Sekine, J. Org. Chem. 1989, 54, 2321)に従って行うのが好ましい。関根らの方法は、ジクロロメタン-炭酸ナトリウム水溶液中でテトラブチルアンモニウムブロミドを相間移動触媒としてスルホニル化を行うが、この方法では、2'位の水酸基に保護基を導入しておく必要がなく、作業工程を簡略化することができる。
(2)官能基置換工程
この工程は、保護工程の後に行う工程で、ウリジン類縁体の2位のカルボニル基をチオカルボニル基に変換する。
【0026】
カルボニル基をチオカルボニル基に変換するための試薬としては、ローソン試薬、五硫化二リンなどを使用することができ、これらの中でも分離の容易さなどから五硫化二リンを使用するのが好ましい。置換反応の時間が長いと副生成物が多く生成するので、反応時間は短めに設定することが望ましい。具体的には、ローソン試薬の場合1~2時間、五硫化二リンの場合は1~3時間とするのが好ましい。また、用いる試薬の量が少ないと原料物質が残ってしまうので、試薬の量は多めにするのが望ましい。具体的には、ローソン試薬の場合1~1.5当量、五硫化二リンの場合は1~1.5当量とするのが好ましい。さらに、生成する酸性物質を中和するために、置換反応系には炭酸カリウムなどの塩基性物質を添加するのが好ましい。
(3)脱保護工程
この工程は、官能基置換工程の後に行う工程で、保護工程で導入した保護基を除去する。
【0027】
保護基を除去する方法は、各保護基に応じて決めればよく、例えば、4位のカルボニル基に導入したフェニルエーテル型保護基は、syn-o-ニトロベンズアルドオキシムとテトラメチルグアニジンにより除去することができ、3'位及び5'位に導入したシリル基はフッ化物で処理することにより除去できる。
(4)修飾工程
ウリジン類縁体の2'位に水酸基が付いている場合、この水酸基にアルキル基の導入などの修飾を行うことが好ましい。水酸基の修飾は、保護基の導入後、官能基置換前に行うのが好ましい。導入する基としては、メチル基、エチル基、メトキシエトキシメチル基、2-アミノエチル基などを例示することができる。これらの基の導入は、常法に従って行うことができ、例えば、メチル基を導入する場合は、塩基(例えば、BEMP、水素化ナトリウム、LDA)とメチル化剤(例えば、ヨウ化メチル、メチルトシラート、メチルトリフラート、ジメチル硫酸)で処理すればよい。
【0028】
【実施例】
ウリジンを原料物質として2'-O-メチル-2-チオウリジンを合成する方法を以下に示す。また、この合成方法の概要を図2に示す。
3',5'-O-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン-1,3-ジイル)-ウリジン(10
ウリジン9(11.8g, 48.3mmol) を500mlのピリジンに溶解した。そこに、1,3-ジクロロテトライソプロピルジシロキサン(18.5ml, 57.9mmol)を加えて室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下留去した後、残渣にクロロホルムを加えて希釈し、水を加えて抽出を行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル系)で精製することにより、目的とするヌクレオシド10(21.9g, 93%)を得た。
【0029】
1H NMR (CDCl3) δ 1.02-1.10 (28H, m, i-Pr of TIPDS), 3.86 (1H, brs, 2'-OH), 3.97-4.33 (5H, m, 2'-H, 3'-H, 4'-H, 5'-H, and 5''-H), 5.71 (1H, d, J5H-6H = 8.24 Hz, 5-H), 5.75 (1H, s, 1'-H), 7.79 (1H, d, J5H-6H = 7.92 Hz, 6-H), 9.97 (1H, brs, N-H); 13C NMR (CDCl3) δ 12.50, 12.97, 13.02, 13.42, 16.85, 16.99, 17.07, 17.28, 17.34, 17.43, 17.51, 60.12, 68.67, 75.18, 81.92, 90.99, 102.06, 139.92, 150.47, 163.78.
4-O-(2,6-ジメチルフェニル)-3',5'-O-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン-1,3- ジイル)-ウリジン(11
化合物(10)(4.86g, 10mmol)を200mlのジクロロメタンに溶解させた。その溶液に0.2M炭酸ナトリウム水溶液(400ml)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.29g, 4mmol)、および2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(3.94g, 13mmol)を順次加え、室温で15時間激しく撹拌した。撹拌を停止した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した後、残渣を100mlのドライアセトニトリルに溶解させた。その溶液に、トリエチルアミン(4.1ml, 30mmol)、2,6-ジメチルフェノール(1.2g, 10mmol)、1,4-ジアザビシクロ-2,2,2-オクタン(112mg, 1mmol)を100mlのドライアセトニトリルに溶解させた溶液を加え、室温で30分間撹拌した。撹拌を停止した後、溶媒を減圧下留去し、残渣にクロロホルムを加えて溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて抽出操作を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル系)で精製することにより、目的とするヌクレオシド11(5.5g, 92%)を得た。
【0030】
1H NMR (CDCl3) δ 0.97-1.07 (28H, m, i-Pr of TIPDS), 2.09 (6H, s, CH3 of 2,6-dimethylphenyl), 3.31 (1H, brs, 2'-OH), 3.95-4.35 (5H, m, 2'-H, 3'-H, 4'-H, 5'-H, and 5''-H), 5.71 (1H, s, 1'-H), 6.02 (1H, d, J5H-6H = 7.26 Hz, 6-H), 7.01 (3H, s, m- and p-position of 2,6-dimethylphenyl), 8.10 (1H, d, J5H-6H = 7.26 Hz, 5-H); 13C NMR (CDCl3) δ 12.40, 12.51, 12.74, 12.87, 13.30, 16.35, 16.77, 16.84, 16.93, 17.20, 17.30, 17.38, 60.34, 68.84, 74.83, 81.96, 92.24, 93.95, 125.86, 128.68, 130.10, 144.46, 149.07, 155.26, 170.96.
2'-O-(メチル)-4-O-(2,6-ジメチルフェニル)-3',5'-O-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン-1,3-ジイル)-ウリジン(12
化合物(11)(591 mg, 1 mmol)を無水ピリジン、無水トルエン、無水ジメチルホルムアミドで共沸脱水し、10mlの無水ジメチルホルムアミドに溶解させた。その溶液に、ヨウ化メチル(311 μl. 5 mmol)、水素化ナトリウム(80 mg, 2 mmol)を順次加え、室温で10分間撹拌した。酢酸を200μl加えて反応を停止させ、酢酸エチル/飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出操作を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル系)で精製することにより、目的とするヌクレオシド12(507 mg, 84%)を得た。
【0031】
1H NMR(CDCl3) δ 0.99-1.12 (28H m, i-Pr of TIPDS), 2.12 (6H, s, CH3 of 2,6-dimethylphenyl), 3.69 (3H, s, 2'-OCH3), 3.83-4.30 (5H, m, 2'-H, 3'-H, 4'-H, 5'-H, and 5''-H), 5.80 (1H, s, 1'-H), 6.03 (1H, d, J5H-6H = 7.26 Hz, 6-H), 7.05 (3H, s, m- and p-position of 2,6-dimethylphenyl), 8.30 (1H, d, J5H-6H = 7.26 Hz, 5-H); 13C NMR(CDCl3) δ 12.29, 12.89, 12.99, 13.43, 16.37, 16.79, 16.93, 16.98, 17.27, 17.41, 17.47, 59.12, 59.52, 67.8, 81.65, 83.22, 89.36, 93.59, 125.88, 128.72, 130.19, 144.08, 149.18, 155.31, 171.03.
2'-O-(メチル)-4-O-(2,6-ジメチルフェニル)-3',5'-O-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン-1,3- ジイル)-2-チオウリジン(13
化合物(12)(302 mg, 0.5 mmol)を無水ピリジン、無水トルエンで共沸脱水し、10 mlの無水トルエン、五硫化二リン(144 mg, 0.65 mmol)、炭酸カリウム(415 mg, 3 mmol)を加え、1時間加熱還流した。室温まで冷却した後、不溶物を濾過し、溶媒を減圧下留去する。残渣をクロロホルムに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出操作を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル系)で精製することにより、目的とするヌクレオシド13(239mg, 77%)を得た。
【0032】
1H NMR(CDCl3) δ 1.00-1.11 (28H, m, i-Pr of TIPDS), 2.13 (6H, s, CH3 of 2,6-dimethylphenyl), 3.77 (3H, s, 2'-OCH3), 3.96-4.30 (5H, m, 2'-H, 3'-H, 4'-H, 5'-H, and 5''-H), 6.21 (1H, d, J5H-6H = 7.26 Hz, 6-H), 6.34 (1H, s, 1'-H), 7.07 (3H, s, m- and p-position of 2,6-dimethylphenyl), 8.54 (1H, d, J5H-6H = 7.26 Hz, 5-H); 13C NMR(CDCl3) δ 12.38, 12.80, 12.98, 13.43, 16.43, 16.79, 16.93, 17.02, 17.24, 17.41, 59.41, 60.25, 68.14, 82.23, 82.68, 93.78, 97.68, 126.20, 128.91, 130.14, 145.48, 149.00, 165.48, 181.13.
2'-O-(メチル)-3',5'-O-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン-1,3- ジイル)-2-チオウリジン(14
化合物(13)(700mg, 1.13mmol)をドライピリジン、ドライトルエンで共沸脱水し、5mlのドライアセトニトリルに溶解させた。その溶液に、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(428μl, 3.4mmol)、syn-o-ニトロベンズアルドオキシム(565mg, 3.4mmol)を5mlのドライアセトニトリルに溶解させた溶液を加え、室温で3時間撹拌する。溶媒を減圧下留去し、残渣をクロロホルムに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出操作を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-ジエチルエーテル系)で精製することにより、目的とするヌクレオシド14(426mg, 70%)を得た。
【0033】
1H NMR(CDCl3) δ 0.93-1.11 (28H, m, i-Pr of TIPDS), 3.72 (3H, s, 2'-OCH3), 3.88-4.30 (5H, m, 2'-H, 3'-H, 4'-H, 5'-H, and 5''-H), 6.00 (1H, d, J5H-6H = 8.25 Hz, 6-H), 6.25 (1H, s, 1'-H), 8.10 (1H, d, J5H-6H = 8.25 Hz, 5-H), 10.82 (1H, brs, N-H); 13C NMR(CDCl3) δ 12.37, 12.80, 13.16, 13.41, 16.95, 17.24, 17.45, 59.26, 60.22, 68.52, 82.14, 83.34, 92.60, 92.71, 106.11, 106.20, 140.41, 160.47, 174.59.
2'-O-メチル-2-チオウリジン(8
化合物(14)(168mg, 0.33mmol)を3mlのテトラヒドロフランに溶解させ、テトラブチルアンモニウムフルオリド(172mg, 0.66mmol)を加え、室温で15分間撹拌した後、クロロホルム/水で抽出操作を行った。水層を集め水を減圧下留去した後、逆送カラムクロマトグラフィー(水-アセトニトリル系)により精製し目的とするヌクレオシド8(90mg, 99%)を得た。
【0034】
1H NMR(D2O) δ 3.61 (3H, s, 2'-OCH3), 3.82-4.01 (2H, m, 5'-H, and 5''-H), 4.06-4.17 (2H, m, 2'-H and 4'-H), 4.29-4.33 (1H, m, 3'-H), 6.17 (1H, d, J5H6H = 8.25 Hz, 6-H), 6.75 (1H, d, J1'H2'H = 3.0 Hz, 1'-H), 8.10 (1H, d, J5H6H = 8.08, 5-H); 13C NMR(CDCl3) δ 61.94, 62.53, 70.75, 86.14, 86.88, 94.25, 109.50, 144.51, 165.32, 178.61.
全合成ステップを通しての収率は38%であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、廉価な化合物から2-チオウリジン類縁体を大量かつ効率的に合成できる方法を提供する。2-チオウリジン類縁体は、アンチセンス核酸、遺伝子診断用のプローブなどの構成ヌクレオシドとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の方法による2'-O-メチル-2-チオウリジン合成の概要を示す図である。
【図2】本発明の方法による2'-O-メチル-2-チオウリジン合成の概要を示す図である。
図面
【図1】
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【図2】
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