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明細書 :表面形状測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5569963号 (P5569963)
公開番号 特開2011-226785 (P2011-226785A)
登録日 平成26年7月4日(2014.7.4)
発行日 平成26年8月13日(2014.8.13)
公開日 平成23年11月10日(2011.11.10)
発明の名称または考案の名称 表面形状測定装置
国際特許分類 G01B  11/24        (2006.01)
FI G01B 11/24 D
G01B 11/24 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 19
出願番号 特願2010-093669 (P2010-093669)
出願日 平成22年4月15日(2010.4.15)
審査請求日 平成25年4月3日(2013.4.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】小野 明
【氏名】谷田貝 豊彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100100077、【弁理士】、【氏名又は名称】大場 充
【識別番号】100136010、【弁理士】、【氏名又は名称】堀川 美夕紀
【識別番号】100130030、【弁理士】、【氏名又は名称】大竹 夕香子
審査官 【審査官】▲うし▼田 真悟
参考文献・文献 特開2010-104514(JP,A)
特開2006-132995(JP,A)
特開2005-283471(JP,A)
特開2010-000191(JP,A)
特開平10-267830(JP,A)
調査した分野 G01B 11/00-11/30
特許請求の範囲 【請求項1】
検査光を出力する光源と、
前記光源から出力される前記検査光を、被測定体の表面の測定位置に照射される第1分割光と、参照光生成部に照射される第2分割光と、に分割する光分割部と、
前記被測定体の表面で前記第1分割光が反射して得られる物体光と、前記参照光生成部で前記第2分割光が反射して得られる参照光と、を干渉させて干渉光を生成する干渉光生成部と、
前記干渉光生成部によって生成された前記干渉光の強度を検出する検出部と、を備え、
前記参照光生成部は、
各々の光路の末端に光反射面を有し、前記光分割部との間の光路長に差を設けられて配置される第1生成部ないし第N生成部(N=2以上の整数)からなる複数の参照光生成部を備え、
前記第1生成部から前記第N生成部にかけての前記光路長の差ΔDの総和が、可干渉距離ΔZの2倍以上に設定されており、
前記光路長の差ΔDが、前記可干渉距離ΔZであり、
前記第1生成部から前記第N生成部に向けて、前記光路長の差ΔDが前記ΔZずつ増えるように前記第1生成部ないし前記第N生成部が順に配置され、かつ、
前記参照光生成部は、
前記第1生成部ないし前記第N生成部の各々の前記光反射面に対応して配置される、第1参照ミラーないし第N参照ミラーと、
前記第2分割光を反射させて、前記第1参照ミラーないし前記第N参照ミラーに向けて照射する第1走査ミラーと、を備える
ことを特徴とする表面形状測定装置。
【請求項2】
前記第1走査ミラーは、その光反射面と平行な方向の走査軸を中心に回転可能に配置され、
前記第1参照ミラーないし前記第N参照ミラーは、前記走査軸を中心とする円弧上に、前記第1参照ミラーから前記第N参照ミラーの順に光路長の差ΔDを設けて配置され、
前記走査ミラーは、前記第1参照ミラーないし前記第N参照ミラーの順に、前記第2分割光を照射するように駆動される、
請求項に記載の表面形状測定装置。
【請求項3】
検査光を出力する光源と、
前記光源から出力される前記検査光を、被測定体の表面の測定位置に照射される第1分割光と、参照光生成部に照射される第2分割光と、に分割する光分割部と、
前記被測定体の表面で前記第1分割光が反射して得られる物体光と、前記参照光生成部で前記第2分割光が反射して得られる参照光と、を干渉させて干渉光を生成する干渉光生成部と、
前記干渉光生成部によって生成された前記干渉光の強度を検出する検出部と、を備え、
前記参照光生成部は、
各々の光路の末端に光反射面を有し、前記光分割部との間の光路長に差を設けられて配置される第1生成部ないし第N生成部(N=2以上の整数)からなる複数の参照光生成部を備え、
前記第1生成部から前記第N生成部にかけての前記光路長の差ΔDの総和が、可干渉距離ΔZの2倍以上に設定されており、
前記光路長の差ΔDが、前記可干渉距離ΔZであり、
前記第1生成部から前記第N生成部に向けて、前記光路長の差ΔDが前記ΔZずつ増えるように前記第1生成部ないし前記第N生成部が順に配置され、かつ、
前記参照光生成部は、
前記第1生成部ないし前記第N生成部の各々の前記光反射面に向けて前記第2分割光を導く、第1光ファイバないし第N光ファイバと、
前記第2分割光を反射させて、前記第1光ファイバないし前記第N光ファイバに向けて照射させる第2走査ミラーと、を備える
ことを特徴とする表面形状測定装置。
【請求項4】
前記第2走査ミラーは、その光反射面と平行な方向の走査軸を中心に回転可能に配置され、
前記第1光ファイバないし前記第N光ファイバの順に、前記第2分割光を照射するように駆動される、
請求項に記載の表面形状測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定体面からの反射光と参照光とを干渉させて、得られる干渉光強度の変化から被測定体の表面形状を特定する表面形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被測定体の3次元形状を光の波長以下の高精度で測定する方法に、干渉計がある。しかし、奥行き方向の測定範囲が波長の数倍程度と狭く、また、床面振動等の外乱振動に大きく影響を受ける等、操作性に難点があった。
この短所を補う方法として白色干渉法(OCT;Optical Coherence Tomography)が開発され広く使われている。現在使われている主なOCTにはタイムドメインOCT(Time Domain OCT)とフーリエドメインOCT(Fourier Domain OCT,あるいはスペクトラルドメインOCT(Spectral Domain OCT))がある。光の干渉を用いるOCTの測定精度は光の波長以下と、他の一般的な形状測定手法に比べて1桁以上高い。
【0003】
タイムドメインOCTを例にその原理を簡単に説明する。図9(a)において光源101を出た広帯域な光はビームスプリッタ103で分割されて一方は被測定体105に、他方は参照ミラー107に向かう。それぞれに反射した光はビームスプリッタ103で結合されお互いに干渉しあう。干渉強度は検出器109で測定される。
光源101から出力される光は広帯域である。したがって、ビームスプリッタ103から参照ミラー107で反射された光(以下、参照光という)が検出器109に入るまでの参照光路長E1と、ビームスプリッタ103から被測定体105で反射された光(以下、物体光という)が検出器109に入るまでの物体光路長E2が等しいときに最も強く干渉する。一方、参照光路長E1と物体光路長E2の差が大きくなると急激に干渉縞のコントラストは低下する。
【0004】
参照ミラー107を白抜き矢印で示す光軸方向に移動させることで参照光路長E1を調整できる。参照ミラー107を移動させながら検出器109で得られる干渉縞の例(干渉信号)を図12(b)に示すが、参照光路長E1と物体光路長E2が等しくなったとき(E1=E2)に干渉信号はピークを示す。したがって、干渉信号がピークを示すときの参照ミラー107の位置を読み取ることによって、ビームスプリッタ103から被測定体105上の物体光の照射点までの距離が求められる。この深さ方向の距離を得るための走査はA-scanと称されている。
被測定体105の表面上を物体光の照射点を走査して、それぞれの照射位置における干渉縞のコントラスト(干渉信号)がピークを示す参照ミラー107の位置を順次読み取っていくことで、被測定体105の表面形状を特定できる。この走査はB-scanと称されている。
しかし、物体光の照射点を移動させるたびに、参照ミラー107を移動させて干渉縞のコントラストのピークを求めるプロセス、つまりA-scanとB-scanの両者を行うためには多大な時間と計算が必要である。さらに、参照ミラー107を正確に移動させる機構と、その位置を精度良く測定する機構は高価で大型となる。
【0005】
これに対してフーリエドメインOCTは、B-scanに対応する走査のみで3次元形状の測定を可能にする。ただし、フーリエドメインOCTであっても、ラインCCD等からなる検出器109上で参照光と物体光とが干渉する範囲(以下、本願発明においてこの範囲を可干渉距離と称する)内の範囲の奥行きを持つ被測定体ならば、参照ミラーを移動させることなく3次元形状を測定できるにすぎない。一般に、この可干渉距離は数mmであり、これを超える奥行きを有する表面形状を測定するためには、参照ミラーを移動させなければならないので、タイムドメインOCTと同様の課題が残る。
ここで、光干渉を用いる距離あるいは長さの測定では、参照ミラーを光軸に沿って起点から精度良く移動させたときの干渉縞の強度変化の回数を数えて測定するため、測定器と被測定体の間の光路が瞬時でも遮られると、再度、起点から測定をやり直さなければならないので、操作性に多大な問題があった。このような背景に基づき、フーリエドメインOCTおいて高精度で操作性の良い測定器が強く望まれていた。参照ミラーを光軸に沿って起点から精度良く移動させる機構も高価で操作性を著しく阻害するものであった。
【0006】
特許文献1には、被測定体に対し1ライン状に光を集光、照射することにより、CCDカメラのワンショットで深さ方向の情報に加え、被測定体の横(又は縦)方向の位置の情報も1度で得ることができるフーリエドメイン干渉形状測定装置が提案されている。
また、特許文献2には、参照ミラーが複数の参照面を有し、複数の参照面は、隣接する参照面の各々で生成される参照光間に光源から出力される光の波長に基づく微小測定間隔に対応した光路長差が生じるように配置される表面形状測定装置が提案されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2006-116028号公報
【特許文献2】特開2007-333470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1によると、機械的走査なしで、CCDカメラワンショットで被測定体の1つの測定が可能となり、従来のOCTにおいて2次元画像を得る際に必要であった一方の走査が不要となるから、フーリエドメインOCTの高速測定化に寄与する。また、特許文献2においても、被測定体面の表面形状を高精度で迅速に測定可能な装置が提供される。しかしながら、特許文献1、特許文献2は、あくまで可干渉距離以下の範囲における測定を前提としており、可干渉距離を超える奥行きを持つ被測定体を高速で測定するための解決策を示していない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、可干渉距離を超える奥行きを持つ被測定体の表面形状を迅速に測定できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
フーリエドメインOCTは基本的に参照ミラーを移動させる機構がいらないので操作性の面でも優れた方法である。しかし、参照ミラーを固定したままで奥行き方向の測定が可能な範囲は可干渉距離ΔZ以下(数mm)と狭い。したがって、適用範囲が制限される。そこで、被測定体の奥行きが深いときに、可干渉距離ΔZ毎に奥行き方向の領域を分け、それぞれの領域毎に最適な参照光の光路長を与えてやれば、奥行きの深い物体も測定できるようになる。参照光の光路長を変える方法として参照ミラーを移動させる方法が一般的に行われる。しかし、この方法では、移動させるのに時間がかかり、奥行きの深い物体を測定するには時間がかかり、実用的ではない。しかも、参照ミラーを正確に移動させる機構は大型で価格も高い。
そこでなされた本発明の表面形状測定装置は、光源と、光分割部と、参照光生成部と、干渉光生成部と、検出部とを備えている。
光源は、検査光を出力するものである。
光分割部は、光源から出力される検査光を、被測定体の表面の測定位置に照射される第1分割光と、参照光生成部に照射される第2分割光とに分割するものである。
干渉光生成部は、被測定体の表面で第1分割光が反射して得られる物体光と、参照光生成部で第2分割光が反射して得られる参照光と、を干渉させて干渉光を生成するものである。
検出部は、干渉光生成部によって生成された干渉光の強度を検出するものである。
本発明の特徴部分である参照光生成部は、各々の光路の末端に光反射面を有し、光分割部との間の光路長に差を設けられて配置される第1生成部ないし第N生成部(N=2以上の整数)からなる複数の参照光生成部を備えている。そして、第1生成部から第N生成部にかけての光路長の差ΔDの総和が、可干渉距離ΔZの2倍以上に設定されている。
【0010】
本発明の装置は、第1生成部から第N生成部にかけての光路長の差の総和が、可干渉距離ΔZの2倍以上に設定されているので、第1生成部から第N生成部に順に第2分割光を照射して反射される参照光を得ることで、第1生成部から第N生成部を移動させることなく、可干渉距離を超える奥行きを持つ被測定体の表面形状を迅速に測定できる。なお、Nは2以上の整数から選択されるが、可干渉距離が数mmであることを踏まえて、被測定体の奥行きの程度に応じてNは適宜設定されるべきである。
また、本発明の装置は、フーリエドメインOCTに適用できるのはもちろんであるが、タイムドメインOCT、スペクトルスキャニングOCTについても適用できる。
【0011】
第1生成部から第N生成部にかけての光路長の差ΔDの総和が、可干渉距離ΔZの2倍以上に設定されていれば本発明は機能するので、各光路長の差ΔDは任意である。しかし、本発明は、各光路長の差ΔDを可干渉距離ΔZに一致させ。そうすることで、第1生成部から第N生成部の数を最小限に抑えながら、可干渉距離ΔZを超える奥行きを持つ被測定体の表面形状を漏れなく測定できる。例えば、各光路長の差を1/2ΔZとした場合に比べて、第1生成部から第N生成部の数を1/2にすることができる。
この場合、第1生成部から第N生成部に向けて、光路長の差ΔDが前記ΔZずつ増えるように第1生成部ないし第N生成部を順に配置する。
【0012】
本発明の特徴部分である参照光生成部は、第1~第つの形態を包含する。第1の形態は、異なる光路上に配置されるN枚の参照ミラーにより、第1生成部ないし第N生成部を構成する。第2の形態は、異なる光路上に配置されるN本の光ファイバにより、第1生成部ないし第N生成部を構成する
【0013】
第1の形態は、参照光生成部が、第1生成部ないし第N生成部の各々の光反射面に対応して配置される、第1参照ミラーないし第N参照ミラーを備えるとともに、第2分割光を反射させて、第1参照ミラーないし第N参照ミラーに向けて照射する第1走査ミラーを備える。
この第1の形態は、第1参照ミラーないし第N参照ミラーから順に参照光が反射されるように第1走査ミラーを走査することで、可干渉距離ΔZを超える奥行きを持つ被測定体の表面形状を漏れなく測定できる。
【0014】
第1の形態において、第1走査ミラーを、その光反射面と平行な方向の走査軸を中心に回転可能に配置し、第1参照ミラーないし第N参照ミラーを、走査軸を中心とする円弧上に、第1参照ミラーから第N参照ミラーの順にΔZの光路長差を設けて配置する。そして、第1走査ミラーを、第1参照ミラーないし第N参照ミラーの順に、第2分割光を照射するように駆動する。第1走査ミラーの駆動が、直線運動させるよりもはるかに容易な回転運動でなされるので、奥行きを持つ被測定体の表面形状の迅速化に寄与する。
【0015】
第2の形態は、参照光生成部が、第1光生成部ないし第N生成部の各々の光反射面に向けて第2分割光を導く、第1光ファイバないし第N光ファイバを備えるとともに、第2分割光を反射させて、第1光ファイバないし第N光ファイバに向けて照射させる第2走査ミラーを備える。
この第2の形態は、第1光ファイバないし第N光ファイバから順に参照光が出力されるように、第2走査ミラーを走査することで、可干渉距離ΔZを超える奥行きを持つ被測定体の表面形状を漏れなく測定できる。
【0016】
第2の形態において、第2走査ミラーを、その光反射面と平行な方向の走査軸を中心に回転可能に配置する。そして、第2走査ミラーを、第1光ファイバないし第N光ファイバの順に、第2分割光を照射するように駆動する。第2走査ミラーの駆動が、直線運動させるよりもはるかに容易な回転運動でなされるので、奥行きを持つ被測定体の表面形状の迅速化に寄与する。また、線径の細い光ファイバを用いる第2の形態は、複数のミラーを用いる第1の形態に比べて、装置の小型化を実現できる。
前述した第1走査ミラー、第2走査ミラーは、回転多面ミラー(いわゆる、ポリゴンミラー)であることが、第1参照ミラーないし第N参照ミラーへの第2分割光の照射の切替え又は第1光ファイバないし第N光ファイバへの第2分割光の照射の切替えにとって好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1生成部から第N生成部にかけての光路長の差の総和が、可干渉距離ΔZの2倍以上に設定されているので、第1生成部から第N生成部に順に第2分割光を照射して反射される参照光を得ることで、第1生成部から第N生成部を移動させることなく、可干渉距離ΔZを超える奥行きを持つ被測定体の表面形状を迅速に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態にかかる表面形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第2実施形態にかかる表面形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 参考例にかかる表面形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第4実施形態にかかる表面形状測定装置の部分的な変更を示す図である。
【図5】第2変形例にかかる表面形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第3変形例にかかる表面形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第4変形例にかかる表面形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第4変形例にかかる表面形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【図9】タイムドメインOCT(Time Domain OCT)の原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
<全体構成概要>
図1に基づいて、第1実施形態にかかる表面形状測定装置10の構成を説明する。
表面形状測定装置10は、光源11から出力された検査光L0を、物体光LSを生成するための第1分割光L1と参照光LRを生成するための第2分割光L2とに分割する。表面形状測定装置10は、また、参照ミラー部25を経由した参照光LRと被測定体MBを経由した物体光LSとを重畳して検出光LCを生成し、この検出光LCの検出結果を解析して被測定体MBの表面形状を測定するように構成されている。表面形状測定装置10は、フーリエドメインOCTに基づいて被測定体MBの表面の形状を測定する。

【0021】
<光源11>
表面形状測定装置10は、光源11を備えている。光源11は低コヒーレンスな検査光L0を出力する。光源11としては、スーパールミネセントダイオード(SLD)や発光ダイオード(LED)等の広帯域光源を用いる。

【0022】
<光ファイバとそれに繋がる各構成要素>
表面形状測定装置10は、光源11から出力される検査光L0をその一端側で受光する、たとえばシングルモードファイバからなる光ファイバ12aを備えている。光ファイバ12aの他端側はフォトカプラ(coupler)13に接続されている。フォトカプラ13は、光を分割する手段(スプリッタ;splitter)、及び、光を重畳する手段(カプラ)の双方の機能を有しているが、ここでは慣用的に「フォトカプラ」と称している。光源11から出力される検査光L0は、光ファイバ12aを通ってフォトカプラ13に導かれ、ここで第1分割光L1と第2分割光L2とに分割される。

【0023】
フォトカプラ13には光ファイバ12b、光ファイバ12c及び光ファイバ12dが各々その1端側で接続されている。光ファイバ12bの他端側には参照光生成部20が設けられている。また、光ファイバ12cの他端側には物体光生成部30が設けられている。さらに、光ファイバ12dの他端側には測定部40が設けられている。

【0024】
<参照光生成部20>
フォトカプラ13で分割された第2分割光L2は、光ファイバ12bを通ってその他端面から参照光生成部20に向けて出射される。参照光生成部20は、コリメータレンズ21、走査ミラー23及び参照ミラー部25を備えており、光ファイバ12aから出射される第2分割光L2は、コリメータレンズ21により平行光束とされた後、走査ミラー23を経由し、参照ミラー部25によって反射され、参照光LRとなる。

【0025】
走査ミラー23は、走査軸24を中心軸として所定の揺動角の範囲で図中の矢印26で示すように揺動される。コリメータレンズ21から受けた第2分割光L2は、揺動位置に応じた向きとなって走査ミラー23で反射され参照ミラー部25に向けて導光される。なお、従来の参照ミラー107を直線往復運動させるよりも、走査ミラー23を揺動させる機構は軽量でかつ低コストである。

【0026】
参照ミラー部25は、複数の参照ミラー251、252、253、254、…25Nを備えている。参照ミラー251、252、253、254、…25Nは、走査軸24を中心とする径の異なる円弧上に配置されている。参照ミラー251、252、253…25Nは同じ仕様のミラーを用いているが、配置されている位置が相違する。具体的には、フォトカプラ13から走査ミラー23を介する各参照ミラー251、252、253、254、…25Nまでの光路長D1、D2、D3、D4、DNとすると、以下を満足する。ここで、ΔZは物体光LSと参照光LRとの間に干渉が生ずる光路長差の範囲であり、参照ミラー251、252、253、254、…25Nは、この順にΔZの光路長差を設けて配置されている。走査軸24を中心に走査ミラー23を揺動させることで、走査ミラー23による反射光を参照ミラー251、252、253、254、…25Nに順に照射することができる。
D2=D1+ΔZ
D3=D1+2×ΔZ=D2+ΔZ
D4=D1+3×ΔZ=D3+ΔZ
DN=D1+N×ΔZ

【0027】
各参照ミラー251、252、253、254、…25Nにより反射されて生成された参照光LRは、再び走査ミラー23を経由し、コリメータレンズ21によって光ファイバ12bの他端面に集光される。集光された参照光LRは、光ファイバ12bを通じてフォトカプラ13に導かれる。
なお、参照光LRと物体光LSの光路長(光学距離)を合わせるための遅延手段として、また参照光LRと物体光LSの分散特性を合わせるための手段として、ガラスブロック、濃度フィルタ等の他の光学系を配置してもよい。

【0028】
<物体光生成部30>
フォトカプラ13で分割された第1分割光L1は、光ファイバ12cを通ってその他端面より物体光生成部30に向けて出射される。物体光生成部30は、コリメータレンズ31、走査ミラー33及び対物レンズ35を備えており、光ファイバ12cから出射される第1分割光L1は、コリメータレンズ31により平行光束とされた後、走査ミラー33、対物レンズ35を経由し、被測定体MBに照射される走査ミラー33は二次元方向に揺動が可能とされている。第1分割光L1は被測定体MBの表面に結像L、反射されて、物体光LSとなる。被測定体MBで反射された物体光LSは、対物レンズ35、走査ミラー33を順に経由し、コリメータレンズ31によって光ファイバ12cの他端面に集光される。集光された物体光LSは、光ファイバ12cを通じてフォトカプラ13に導かれる。

【0029】
<検出光LC生成>
フォトカプラ13は、光ファイバ12aを通ってきた参照光LRと光ファイバ12cを通ってきた物体光LSとを重畳して検出光LCを生成する。生成された検出光LCは、光ファイバ12dを通じて測定部40に導光される。

【0030】
<測定部40>
測定部40は、コリメータレンズ41、回折格子43、結像レンズ45及びラインCCD(Line Charge Coupled Device)47を備えている。本実施形態の回折格子43は、透過型回折格子であるが、もちろん反射型回折格子を用いることも可能である。また、ラインCCD47に代えて、その他の光検出素子(検出部)を適用することももちろん可能である。

【0031】
測定部40に入射した検出光LCは、コリメータレンズ41により平行光束とされた後、回折格子43によって分光(スペクトル分解)される。分光された検出光LCは、結像レンズ45によってラインCCD47の撮像面上に結像される。ラインCCD47は、この検出光LCを受光して電気的な検出信号に変換し、この検出信号を制御部50に出力する。ラインCCD47は回析格子43で分解される光の各波長に対応する画素を備えている。

【0032】
<制御部50>
制御部50は、ラインCCD47から入力される検出信号を解析して、被測定体MBの表面形状を特定する処理を行う。このときの解析手法は、従来のフーリエドメインOCTの手法と同じである。
また、制御部50は、表面形状測定装置10の各部の制御を実行する。この制御としては、光源11からの検査光L0の出力、参照光生成部20にかかる走査ミラー23の駆動、物体光生成部30にかかる走査ミラー33及び被測定体MBを載せるステージの駆動を含んでいる。より詳しい制御内容は後述される。
制御部50は、公知のコンピュータと同様のハードウェア構成を備えている。具体的には、CPU等のマイクロプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等の記憶手段と、キーボード、マウス等からなる入力手段と、ディスプレイ等の表示手段と、通信インターフェイスと、を少なくとも含んでいる。そして、制御プログラムをハードディスクドライブに格納しておき、これをRAM上に展開するとともにCPUがこれを解釈することで、制御部50が行う制御を実現する。

【0033】
<測定手順>
次に、表面形状測定装置10にかかる測定手順を説明する。
光源11から出力された検査光L0はフォトカプラ13によって第1分割光L1、第2分割光L2の2つの光線に分けられる。第1分割光L1は物体光LSに、第2分割光L2は参照光LRとなる。物体光LSは被測定体MBで反射され、参照光LRは参照ミラー251、252、253、254、…25Nで反射され、各々もとの光路に戻る。そして再びフォトカプラ13に入り、これら2つの光は重畳される。重畳された光の1部は検出光LCとなりラインCCD47へ向かう。物体光LSと参照光LRの光路長が等しいときのみ2つの光、つまり物体光LSと参照光LRは干渉する。物体光LSと参照光LRとの間に干渉が生ずる光路長差の範囲、つまり可干渉距離ΔZは、光源11の種類によって異なるが、一般的にOCTに用いられる光源では長くとも数mmである。

【0034】
フーリエドメインOCTにおいて、フォトカプラ13から出射された後、検出光LCはコリメータレンズ41に導かれ平行拘束とされた後に、回折格子43に入射される。光源11から出力される低コヒーレンス光は、異なる周波数を有するコヒーレンス光の集合体と考えることができる。したがって、検出光LCは周波数成分ごとに回折角が異なるので、回折格子43に入射すると波長分解されてからラインCCD47に照射される。
ラインCCD47が備える画素は、光路長差によって生じた物体光LSと参照光LRの位相が一致する波長の光にのみ特に強く干渉する。ラインCCD47の各画素は回析格子43で分解された各波長に対応しているので、位相が一致する波長に対応する画素上で干渉による光強度が強くなる。上記光路長差が長くなるほど位相が一致する波長の出現頻度は高くなるので、ラインCCD47上で光強度が強くなる画素の間隔は狭くなる。つまり、ラインCCD47からの出力信号の周波数は高くなる。出力信号の周波数分析を行うと光路長差が算出できるので、参照ミラーを固定し、物体光LSを走査ミラー33によって被測定体MB上で走査すると被測定体MBの表面形状が測定できる。上記出力信号の周波数分析はフーリエ変換で求められる。フーリエドメインOCTではこのように被測定体MBの測定点の位置が瞬時に求められる。

【0035】
表面形状測定装置10は、参照ミラー251、252、253、254、…25Nを備えており、走査ミラー23の揺動角を調整することにより、参照ミラー251、252、253、254、…25Nに第2分割光L2を順に照射させる。参照ミラー251、252、253、254、…25Nの各々に照射される第2分割光L2を、L21、L22、L23、L24、…L2Nとすると、これらが照射された各参照ミラー251、252、253、254、…25Nの各々から、参照光LR1、参照光LR2、参照光LR3、参照光LR4、参照光LRNが反射される。この参照光LR1、参照光LR2、参照光LR3、参照光LR4、参照光LRNの各々と物体光LSとが順に重畳されて生成される検出光LC1、検出光LC2、検出光LC3、検出光LC4、検出光LCNについて上述した表面形状の測定が行われる。以上の第2分割光L2、参照光LR及び検出光LCを対応させて以下に示す。同じ参照ミラーで検出光が生成されるまでの一連の行程を「ステップ」と称することにすれば、表面形状測定装置10は、被測定体MB上の同じ測定位置において、第1ステップ~第Nステップからなる表面形状の測定が行われる。
第1ステップ : 第2分割光L21 → 参照光LR1 → 検出光LC1
第2ステップ : 第2分割光L22 → 参照光LR2 → 検出光LC2
第3ステップ : 第2分割光L23 → 参照光LR3 → 検出光LC3
第4ステップ : 第2分割光L24 → 参照光LR4 → 検出光LC4
第Nステップ : 第2分割光L2N → 参照光LRN → 検出光LCN

【0036】
ここで、以上のN個の参照ミラー251、252、253、254、…25Nは、参照ミラー251から順に光路長をΔZずつ長くなるように配置されている。フォトカプラ13から参照ミラー251までの参照光についての光路長をD1とすると、参照ミラー25Nまでの光路長はD1+N×ΔZである。つまり、フォトカプラ13から被測定体BMまでの物体光LSの光路長が、D1~D1+N×ΔZの範囲に入っていれば形状が測定できる。
例えば、物体光LSの光路長がD1+ΔZであるとすれば、上述した第2ステップにおいて、被測定体MBの表面上の位置を特定できる。この場合、第3ステップ以降のステップを省略できるし、第Nステップまでのステップを全て実行してもよい。また、物体光LSの光路長がD1+3×ΔZであるとすれば、上述した第4ステップにおいて、被測定体MBの表面上の位置を特定できる。この場合、第5ステップ以降のステップを省略できるし、第Nステップまでのステップを全て実行してもよい。なお、被測定体BMの奥行きが深い場合には、それに合わせて参照ミラーの数Nを増やせばよい。

【0037】
表面形状測定装置10で用いる参照光生成部20を構成する走査ミラー23としては、参照光の直径よりわずかに大きい程度の直径(数mm程度)を有していればよいので、小さく軽いものを使うことができる。しかも、走査ミラー23は揺動されるものであるから、走査ミラー23の走査に要する時間は、前述のタイムドメインOCTで述べた直線往復運動する参照ミラー107を操作するのに要する時間より1桁から2桁短くて足りる。フーリエドメインOCTでの測定時間は、ラインCCD47からのデータ取り込み時間と演算時間に依存するが、走査ミラー23の走査時間を短縮できるので、1点あたり(第1ステップ~第Nステップ)の測定時間をms以下にすることが可能である。したがって、表面形状測定装置10によると、非常に短時間に高精度な形状測定が可能となる。

【0038】
以上説明した、表面形状測定装置10は、参照ミラー251、252、253、254、…25Nは、参照ミラー251から順に光路長がΔZずつ長くなるように配置されているが、この順序は必須ではない。光路長が、D1、D2=D1+ΔZ、D3=D1+2×ΔZ、D4=D1+3×ΔZ、DN=D1+N×ΔZとなる参照ミラー251、252、253、254、…25Nが順不同に配置されていても、フォトカプラ13から被測定体BMまでの物体光LSの光路長がD1~D1+N×ΔZの範囲で表面形状の測定が行える。
また、以上説明した表面形状測定装置10は、参照ミラー251、252、253、254、…25Nの光路長の差(参照ミラーの間隔)をΔZとしているが、これも本発明において必須でない。参照ミラーの間隔がΔZ以下であれば本発明の効果を享受できることは明らかである。ただし、参照ミラーの間隔をΔZより小さくしすぎると、参照ミラーの数を多くしなければならないことをも考慮して、参照ミラーの間隔を定めるのがよい。
さらに、参照ミラーの間隔は同じであることが好ましいが、本発明は個々の間隔が相違することを許容する。もちろん、この間隔はΔZ以下であることを前提としている。
さらにまた、回析格子43を用いる代わりに、光源の波長を時間とともに変化させて同等な信号を得るスペクトルスキャニングOCTについても、本発明を適用できる。

【0039】
〔第2実施形態〕
次に、図2に基づいて、第2実施形態に係る表面形状測定装置110を説明する。
表面形状測定装置110は、参照光生成部120を除けば、第1実施形態に係る表面形状測定装置10と同じ構成を有し、また、被測定体MBの表面形状の測定手順も同様である。したがって、参照光生成部120について以下で説明する一方、第1実施形態と同じ構成については、図1と同じ符号を図2に付けて、その説明を省略する。

【0040】
表面形状測定装置110の参照光生成部120は、コリメータレンズ21、走査ミラー23及び参照光ファイバ部27を備えており、光ファイバ12aから出射される第2分割光L2は、コリメータレンズ21により平行光束とされた後、走査ミラー23を経由し、参照光ファイバ部27によって反射され、参照光LRが生成される。

【0041】
参照光ファイバ部27は、複数の光ファイバ271、272、273、…27Nを備えている。光ファイバ271、272、273、…27Nは、1端側が走査ミラー23から反射される第2分割光L2が入射されるように配置され、他端側には入射された第2分割光L2を反射する参照ミラー281、282、283、…28Nが設けられている。なお、図2では理解を容易にするために、参照ミラー281、282、283、…28Nの寸法を大きく示しているが、光ファイバ271、272、273、…27Nの線径以上の径を有していれば、他端側において第2分割光L2を反射できる。一端側から入射された第2分割光L2は、参照ミラー281、282、283、…28Nで各々反射されて、参照光LRとなる。光ファイバ271、272、273、…27Nの一端側は、走査軸24を中心とする共通の円弧上に配置されている。また、参照ミラー281、282、283、…28Nは、同じ仕様のミラーを用いている。

【0042】
フォトカプラ13から走査ミラー23を介する各参照ミラー281、282、283、…28Nまでの光路長D1、D2、D3、…DNは、この順にΔZの光路長差が設けられている。D1、D2、D3、…DNとΔZの関係を以下に示すが、第1実施形態と同様である。光路長の差は、光ファイバ271、272、273、…27Nの長さをこの順にΔDずつ変えることにより設けられている。ΔZとΔDの関係はΔZ=nΔDである。ここでnは光ファイバの屈折率である。
D2=D1+ΔZ
D3=D1+2×ΔZ=D2+ΔZ
DN=D1+N×ΔZ

【0043】
以上の通りであるから、フォトカプラ13から被測定体BMまでの物体光LSの光路長が、D1~D1+N×ΔZの範囲に入っていれば形状が測定できることになる。つまり、物体光LSの光路長がD1~D1+Zとなる範囲が、表面形状測定装置110の奥行き方向の測定範囲となる。

【0044】
被測定物MBの表面形状を測定する差異には、走査軸24を中心に走査ミラー23を揺動させることで、走査ミラー23による反射光を光ファイバ271、272、273、…27Nの順に照射する。光ファイバ271、272、273、…27Nにより反射されて生成された参照光LRは、再び走査ミラー23を経由し、コリメータレンズ21によって光ファイバ12bの他端面に集光される。集光された参照光LRは、光ファイバ12bを通じてフォトカプラ13に導かれる。

【0045】
表面形状測定装置110によると、第1実施形態による表面形状測定装置10で得られる効果に加えて以下の効果を奏する。
光ファイバ271、272、273、…27Nの本数を増やすことで、任意の範囲で奥行き方向の測定を行うことができる。光ファイバ271、272、273、…27Nは、線径が数μmのものを用いることができるし、軽量であるとともに、曲げて使用できる。また、参照ミラー281、282、283、…28Nは、光ファイバ271、272、273、…27Nと径が同じで足りる。また、走査ミラー23を参照光LRの直径を超える大きさがあれば足りるので、微小なミラーを用いることができる。したがって、第2実施形態によると、小型かつ軽量の表面形状測定装置110が得られる。

【0046】
また、光ファイバ271、272、273、…27Nの第2分割光L2が入射される一端側を束ねておけば、走査ミラー23を走査する範囲(揺動角)を微小にできる。したがって、msオーダーの非常に短時間に、光ファイバ271、272、273、…27Nに第2分割光L2を順に照射できるので、表面形状測定装置110は表面形状測定装置10よりも測定時間を短くできる。なお、光ファイバ271、272、273、…27Nは、直線状に並べて束にすることができるし、格子状に並べて束にすることができる。ただし、格子状に並べる場合には、走査ミラー23を2次元的に駆動させる必要がある。
さらに、光ファイバ271、272、273、…27Nの他端側にそれぞれ参照ミラー281、282、283、…28Nを取り付けたが、光ファイバの他端面に反射膜をコーティングしてもよい。また、光ファイバの屈折率が十分に高いと、他端面が反射面となりで一部の光は反射するので、参照ミラー、反射膜を設けなくてもよい。

【0047】
参考例
次に、図3に基づいて、本発明の参考例に係る表面形状測定装置210を説明する。
表面形状測定装置210も、参照光生成部220を除けば、第1実施形態に係る表面形状測定装置10と同じ構成を有し、また、被測定体MBの表面形状の測定手順も同様である。したがって、参照光生成部220について以下で説明する一方、第1実施形態と同じ構成については、図1と同じ符号を図3に付けて、その説明を省略する。

【0048】
表面形状測定装置210の参照光生成部220は、コリメータレンズ21及び部分透過ミラー部29を備えており、光ファイバ12aから出射される第2分割光L2は、コリメータレンズ21により平行光束とされた後、部分透過ミラー部29によって反射され、参照光LRが生成される。

【0049】
部分透過ミラー部29は、複数の部分透過ミラー部291、292、293、294、…29Nを備えている。各部分透過ミラー部291、292、293、294、…29Nは、ΔZの間隔を空けて、同軸上に配置されている。
フォトカプラ13からコリメータレンズ21を介する各部分透過ミラー部291、292、293、294、…29Nまでの光路長D1、D2、D3、D4、…DNは、この順にΔZの光路長差が設けられている。つまり、D1、D2、D3、D4、…DNとΔZの関係は、以下に示すように、第1実施形態と同様である。したがって、表面形状測定装置210の物体光LSの光路長がD1~D1+Zとなる範囲が、表面形状測定装置210の奥行き方向の測定範囲となる。
D2=D1+ΔZ
D3=D1+2×ΔZ=D2+ΔZ
D4=D1+3×ΔZ=D3+ΔZ
DN=D1+N×ΔZ

【0050】
参照光生成部220において、第2分割光L2は部分透過ミラー291、292、293、294、…29Nによってそれぞれその一部が反射されて、参照光LRが生成される。例えば、部分透過ミラー291、292、293、294、…29Nの、反射率をα、透過率をβ(α+β=1)とすると、各部分透過ミラー291、292、293、294、…29Nにかかる反射光(参照光LR)及び透過光は以下のように示される。ただし、部分透過ミラー291を除く各部分透過ミラー292、293、294、…29Nによる参照光LRは、前段に位置する部分透過ミラーを再び透過したものとされる。
部分透過ミラー291: 参照光LR1;α 透過光;β
部分透過ミラー292: 参照光LR2;α+(β×α×β) 透過光;β
部分透過ミラー293: 参照光LR3;α+(β×α×β) 透過光;β
部分透過ミラー294: 参照光LR4;α+(β×α×β) 透過光;β

【0051】
以上のようにして生成される、参照光LR1、LR2、LR3、LR4、…LRNのいずれかが物体光LSとの光路長差が可干渉距離ΔZ以下であれば、被測定体MBの表面形状が測定できる。ただし、どの部分透過ミラー291、292、293、294、…29Nにより生成された参照光LRなのかを区別することはできないので、そのままでは奥行きの深い被測定体MBの表面形状を測定できない。したがって、表面形状測定装置210は以下に示す処理を行う。

【0052】
被測定体MBには、通常、設計値が存在する。したがって、この設計値を参照することで、走査ミラー33によって第1分割光L1が照射されている被測定体MB上の点からの物体光LSの光路長を概ね推定する。この物体光LSの光路長の推定値から、コントラストの高い干渉縞がどの参照部分透過ミラーから戻ってきた参照光によって形成されているかを推定できる。

【0053】
表面形状測定装置210は、稼働部がないので、表面形状測定装置10、110よりも測定時間を短くできるとともに、装置のコストも低下できる。

【0054】
ところで、被測定体MBの表面が粗面のとき、光の干渉によりスペックルパターンノイズ(Speckle Pattern Noise)が発生する。スペックルパターンは粒状のパターンであり、多数個の粒のパターンがファイバカプラーのファイバの中に導かれると、干渉強度は平均化され著しくコントラストは低下する。したがって、干渉強度のコントラストが検出できるようにするために、スペックルパターンの粒の大きさは、ファイバカプラーのファイバ径程度より大きくすることが望ましい。これには、ファイバの径をスペックルパターンの粒径と同等以下にする方法と、コリメータレンズ31の開口数を小さくしてゆきスペックルパターン粒径をファイバの径より大きくする方法がある。この様にすると表面が粗面の被測定体の場合も形状が測定できる。
フーリエドメインOCTの基本型を用いる表面形状測定装置210においても、ラインCCD47面上に現れるスペックルパターンの粒径はセンサ各画素のサイズより大きくなるように調整される。

【0055】
〔第4実施形態〕
次に、図4に基づいて、第4実施形態に係る表面形状測定装置310を説明する。
第1実施形態~参考例は、フーリエドメインOCTに本発明を適用した例であるが、本発明は以下に示すようにタイムドメインOCTに適用することもできる。
第4実施形態に係る表面形状測定装置310は、図1に示した構成に対して、参照光路長変化機構60を付加したところ、参照ミラー107の代わりに参照光生成部320を設けたところに特徴がある。また、表面形状測定装置310は、被測定体105を移動させる2軸直交型の移動テーブル108を備えている。

【0056】
参照光路長変化機構60は、プリズム61と、ビームスプリッタ103から出射される第2分割光L2をプリズム61に向けて反射させるミラー62と、プリズム61をX軸方向にΔXの範囲で移動させるアクチュエータ(図示省略)を備えている。プリズム61がミラー62に最も近い位置を始点といい、プリズム61がミラー62に最も遠い位置を終点というものとすると、プリズム61は始点から終点までΔXだけ移動する。なお、ミラー62は固定されている。
ビームスプリッタ103からの第2分割光L2はミラー62により向きを90度だけ変えられてプリズム61の第1面60aに照射される。第2分割光L2は、第2分割光L2と直交する第1面60aを透過した後に、第2面60b、第3面60cで順に向きを90度だけ変えられた後に、第1面60aから走査ミラー223に向けて出射される。
以上のように構成されている参照光路長変化機構60は、プリズム61をΔXだけ移動させることで、第2分割光L2(参照光LR)の光路長を2ΔXだけ変化させることができる。

【0057】
参照光生成部320は、走査ミラー223及び参照ミラー部225を備えており、構成する部材(コリメータレンズ21を除く)は、第1実施形態にかかる参照光生成部20と共通する。ただし、参照ミラー部225を構成する複数の参照ミラー2251、2252、2253、2254、…225Nは、走査ミラー223からの各々の距離をX1、X2、X3、X4、…XNとすると、以下を満足するように配置されている。つまり、隣り合う参照ミラー2251、2252、2253、2254、…225Nの走査ミラー223から距離の差を2ΔXにしてある。
X2=X1+2ΔX
X3=X1+4ΔX
X4=X1+6ΔX
XN=X1+2(N-1)ΔX

【0058】
以上のように構成される表面形状測定装置310は、参照光路長変化機構60のプリズム61を反復移動させながら走査ミラー223を駆動させることで参照ミラー2251、2252、2253、2254、…225Nに順に第2分割光L2を照射させる。より具体的には以下の通りである。
走査ミラー223を参照ミラー2251に対向させた状態で、プリズム61を始点から終点にむけてΔXだけ移動させる。この間に参照ミラー2251で反射され生成される参照光LR21は、光路長が2ΔXだけ変化する。この行程を第1ステップとする。ここで、走査ミラー223を参照ミラー2251に対向させる、とは、走査ミラー223から反射された第2分割光L2が参照ミラー2251に照射される揺動角にあることをいう。以下も同様である。
プリズム61を始点に復帰させるとともに、走査ミラー223を参照ミラー2252に対向させる。そうしたならば、プリズム61を始点から終点にむけてΔXだけ移動させる。この間に参照ミラー2252で反射され生成される参照光LR21は、光路長が2ΔXだけ変化する。この行程を第2ステップとする。
以後も、プリズム61を始点に復帰させるとともに、走査ミラー223を参照ミラー2253に対向させたならば、プリズム61を始点から終点にむけてΔXだけ移動させる、という手順を参照ミラー225Nまで繰りかえす。走査ミラー223が参照ミラー2253に対向してなされる行程を第3ステップ、走査ミラー223が参照ミラー2254に対向してなされる行程を第4ステップ、走査ミラー223が参照ミラー225Nに対向してなされる行程を第Nステップというものとする。

【0059】
ビームスプリッタ103からプリズム61(始点に位置)を介する走査ミラー223までの光路長をD21とする。
第1ステップでは、ビームスプリッタ103から参照ミラー2251までの光路長が、D21+X1からD21+X1+2ΔXまで変化する。
次に、第2ステップでは、ビームスプリッタ103から参照ミラー2251までの光路長が、D21+X2(=X1+ΔX)からD21+X1+2ΔXまで変化する。第3ステップ~第Nステップも含めて、各ステップにおける光路長の範囲を下記する。
第1ステップ : D21+X1 ~ D21+X1+2ΔX
第2ステップ : D21+X1+2ΔX ~ D21+X1+4ΔX
第3ステップ : D21+X1+4ΔX ~ D21+X1+6ΔX
第4ステップ : D21+X1+6ΔX ~ D21+X1+8ΔX
第Nステップ : D21+X1+2(N-1)ΔX ~ D21+X1+2NΔX

【0060】
以上の通りであり、走査ミラー223を対向させる参照ミラーを参照ミラー2251から参照ミラー225Nまで順に切替えることで、参照光LRの光路長をD21+X1ないしD21+X1+2NΔXの広範な範囲に亘って切れ目なく変化させることができる。つまり、ビームスプリッタ103から被測定体BMまでの物体光LSの光路長がD21+X1ないしD21+X1+2NΔXの範囲に入っていれば、表面形状測定装置310は表面形状を測定できる。第Nステップが完了すると、移動テーブル108を駆動することによって、次の測定点へ第1分割光L1を移動させる。

【0061】
表面形状測定装置310は、第1実施形態と同様に、走査ミラー223の走査に要する時間は、前述のタイムドメインOCTで述べた直線往復運動する参照ミラー107を操作するのに要する時間より1桁から2桁短い。したがって、表面形状測定装置310によると、従来のタイムドメインOCTに比べて非常に短時間に高精度な形状測定が可能となる。
しかも、参照光路長変化機構60のプリズム61を用いることで、プリズム61の移動距離に対して参照光LRの光路長の変化を2倍になり、同じ光路長の変化に対してプリズム61の移動距離を短くできる。したがって、表面形状測定装置310は、さらに測定時間を短くできる。さらに、プリズム61の移動距離を短くできるので、ピエゾ素子等の超精密アクチュエータで高精度移動を実現できる。
なお、参照光生成部320の代わりに、第2実施形態の参照光生成部120を、また、参考例の参照光生成部220を用いることができる。

【0062】
〔第1変形例〕
第1実施形態~参考例では、被測定体MB上に物体光LSを走査する方法として、走査ミラー33を用いた。この方法では第1分割光L1(物体光LS)の照射点の移動を短時間に行える利点があるが、物体光LSを所望する位置に正確に照射するには非常に精度の高い、つまりコストの高い回転機構を必要とする。これに対して、第4実施形態で用いた2軸直交型の移動テーブル108は、低コストでありながら高精度な位置決めができる。したがって、測定時間を多少は犠牲にしてもよい場合には、2軸直交型の移動テーブル108で被測定体MBを移動させて第1分割光L1の照射位置を移動させることが好ましい。

【0063】
〔第2変形例〕
第1実施形態では、N個の参照ミラーを所定の位置に正確に置かなければならないが、その位置の校正が必要となる場合がある。この場合には、校正機構を用いることができる。この校正機構としては、図5に示す様に被測定体MBの代わりに校正ミラー移動機構70を用いることができる。校正ミラー移動機構70は、ベース71と、ベース71上を第1分割光L1(物体光LS)の光軸方向に位置を特定しながら精度よく移動できる校正用ミラー72を備えている。
校正用ミラー72を正確に移動させる。この移動の過程において、校正用ミラー72の位置、つまり物体光LSの光路長は既知である。したがって、校正用ミラー72の位置と測定結果を比較することによって、参照ミラー251、252、253、254、…25Nの位置の誤差を特定できる。この誤差を補正値とし、実際の被測定体MBの測定値にこの補正値を加算することによって、参照ミラー251、252、253、254、…25Nの位置の誤差にかかわらず正確な形状測定を行うことができる。

【0064】
〔第3変形例〕
第2実施形態では、参照光生成部120に揺動される走査ミラー23を用いたが、図6に示すように、ポリゴンミラー80を用いることができる。ポリゴンミラー80を用いると、光ファイバ271、272、273、…27Nに対する第2分割光L2の照射を速く切り替えることができる。

【0065】
〔第4変形例〕
第1実施形態~参考例では走査ミラー33を動作させて第1分割光L1を被測定体MBに照射しているが、図7に示すように、回転エンコーダが設けられた回転テーブル83に被測定体MBを載せて、回転テーブル83を回転させながら第1分割光L1を被測定体MBに照射するようにすれば、第1分割光L1の走査は上下方向だけで足りる。また、上述した2軸直交型の移動テーブルにおいて、水平軸方向の移動をこの回転テーブル83に受け持たせれば、装置のコストが下がるとともに、移動の精度も向上する。被測定体MBが軸対称の回転体又はそれに近似する形状の場合、回転テーブル83を用いるのが有効である。

【0066】
〔第5変形例〕
第1分割光L1が被測定面に照射されるまでの光路を戻る物体光LSが弱くなると、高い精度で測定を行うことができなくなる。したがって、被測定体MBに照射される面(被測定面)に対して第1分割光L1は垂直に入射されることが要求される。したがって、被測定体MBが、例えばバックミラーのように光沢があり、かつ第1分割光L1が照射される面が湾曲した面を有する場合には、第1分割光L1が被測定面に垂直に入射されるように制御することが望まれる。

【0067】
そこで、図8に示すように、被測定体MBの姿勢を制御して第1分割光L1が被測定面に垂直に入射されるように制御する姿勢制御機構90を設けることが好ましい。
姿勢制御機構90は、物体光LSの位置を測定する位置センサ91と、物体光LSを位置センサ91上に集光させる対物レンズ93と、位置センサ91による測定結果に基づいて被測定体MBの姿勢を制御する姿勢制御装置95を備える。姿勢制御機構90における走査ミラー33は、物体光LSの一部を透過させる部分透過ミラーを採用する。
姿勢制御機構90は、被測定体MBをX軸方向(水平方向)、Z軸方向(鉛直方向)に移動させることができるとともに、回転補正及び煽り補正が行える機械要素を備えている。また、姿勢制御機構90はエンコーダを備える。位置センサ91からの出力を姿勢制御装置95にフィードバックし、被測定面に第1分割光L1が垂直に入射するように被測定体MBの姿勢を制御する。このとき、被測定体MBの姿勢、位置はエンコーダで把握し、その値を3次元測定値に補正する。このようにすると、被測定面が湾曲しかつ光沢があっても、被測定面の形状を高い精度で測定できる。
なお、被測定体MBの設計値に基づいて、第1分割光L1が垂直に入射するように被測定体MBの姿勢を予め制御しておくと、位置センサ91に確実に物体光LSを照射させることができる。

【0068】
〔第6変形例〕
以上説明した実施形態では、測定部40にラインCCD47を用いたが、特許文献1にて提案されているように、2次元CCDとシリンドリカルレンズの組み合わせを本発明に適用することができる。そうすると、特許文献1で述べられているように、ワンショットで深さ方向の情報に加え、被測定体の横(又は縦)方向の位置の情報も一度で得ることができる。この場合、被測定体MBの移動機構は、2軸直交型の移動テーブルとする必要がなく、1軸移動型のテーブルで足りるので、装置のコストを低減できるとともに、測定時間の短縮にも寄与する。

【0069】
以上説明し以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10、110…表面形状測定装置
11…光源、12a、12b、12c、12d…光ファイバ、13…フォトカプラ
20,120,220…参照光生成部
21…コリメータレンズ、23…走査ミラー、24…走査軸
25…参照ミラー部、251、252、253、254、25N…参照ミラー
27…参照光ファイバ部、271、272、273、27N…光ファイバ
29…部分透過ミラー部、291、292、293、294、29N…部分透過ミラー
30…物体光生成部
31…コリメータレンズ、33…走査ミラー、35…対物レンズ
40…測定部
41…コリメータレンズ、43…回折格子、45…結像レンズ、47…ラインCCD
50…制御部、60…参照光路長変化機構、70…校正ミラー移動機構
80…ポリゴンミラー、83…回転テーブル
90…姿勢制御機構、91…位置センサ、93…対物レンズ、95…姿勢制御装置
MB…被測定体
L0…検査光、LS…物体光、LR…参照光、LC…検出光
L1…第1分割光、L2…第2分割光
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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