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明細書 :脳波制御装置及びそのプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4440661号 (P4440661)
公開番号 特開2005-211482 (P2005-211482A)
登録日 平成22年1月15日(2010.1.15)
発行日 平成22年3月24日(2010.3.24)
公開日 平成17年8月11日(2005.8.11)
発明の名称または考案の名称 脳波制御装置及びそのプログラム
国際特許分類 A61M  21/00        (2006.01)
A61B   5/0476      (2006.01)
B25J   9/22        (2006.01)
FI A61M 21/00 330Z
A61B 5/04 322
B25J 9/22 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 17
出願番号 特願2004-024379 (P2004-024379)
出願日 平成16年1月30日(2004.1.30)
審査請求日 平成19年1月12日(2007.1.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】599016431
【氏名又は名称】学校法人 芝浦工業大学
発明者または考案者 【氏名】大倉 典子
【氏名】伊藤 清人
【氏名】太田 誠司
個別代理人の代理人 【識別番号】100064414、【弁理士】、【氏名又は名称】磯野 道造
【識別番号】100111545、【弁理士】、【氏名又は名称】多田 悦夫
審査官 【審査官】望月 寛
参考文献・文献 特表平03-503616(JP,A)
調査した分野 A61M 21/00
A61B 5/0476
B25J 9/22
特許請求の範囲 【請求項1】
脳波検出装置により脳波を検出された対象者に対して、前記対象者が快適と感じる予め設定された複数の動作パターンを切り替えて動作する動作物体を認識させることで、前記対象者の脳波を制御する脳波制御装置であって、
前記対象者が快適と感じたときの予め定めたアルファ波の出現量を、前記脳波のレベル判定を行うための閾値として記憶した閾値記憶手段と、
前記動作物体の動作を認識しているときの前記対象者の脳波を、前記脳波検出装置から取得する脳波取得手段と、
この脳波取得手段で取得された脳波を解析し、アルファ波の出現量を測定する脳波解析手段と、
この脳波解析手段で測定されたアルファ波の出現量を、前記閾値記憶手段に記憶されている閾値と比較するアルファ波出現量比較手段と、
このアルファ波出現量比較手段の比較結果において、前記アルファ波の出現量が前記閾値より少ないときは、前記動作物体に対して、前記動作パターンの切り替えを指示する制御信号を送出する制御信号送出手段と、
を備えていることを特徴とする脳波制御装置。
【請求項2】
脳波検出装置により脳波を検出された対象者に対して、前記対象者が快適と感じる予め設定された複数の動作パターンを切り替えて動作する動作物体を認識させることで、前記対象者の脳波を制御する脳波制御装置であって、
前記対象者が快適と感じたときの予め定めたアルファ波の出現量を、前記脳波のレベル判定を行うための閾値として記憶した閾値記憶手段と、
前記動作パターンの動作を特定する制御情報を記憶した制御情報記憶手段と、
前記動作物体の動作を認識しているときの前記対象者の脳波を、前記脳波検出装置から取得する脳波取得手段と、
この脳波取得手段で取得された脳波を解析し、アルファ波の出現量を測定する脳波解析手段と、
この脳波解析手段で測定されたアルファ波の出現量を、前記閾値記憶手段に記憶されている閾値と比較するアルファ波出現量比較手段と、
このアルファ波出現量比較手段の比較結果に基づいて、前記制御情報記憶手段から、次に動作させる前記制御情報を選択する制御情報選択手段と、
この制御情報選択手段で選択された制御情報を、前記動作物体に対して、前記動作パターンを指示する制御信号として送出する制御信号送出手段と、
を備えていることを特徴とする脳波制御装置。
【請求項3】
前記アルファ波の出現量に基づいて、前記動作パターンの優先順位を決定する優先順位決定手段と、
この優先順位決定手段で決定された優先順位を記憶する優先順位記憶手段とを備え、
前記制御情報選択手段が、前記優先順位記憶手段に記憶されている優先順位に基づいて、前記制御情報記憶手段から、次に動作させる動作パターンの制御情報を選択することを特徴とする請求項2に記載の脳波制御装置。
【請求項4】
脳波検出装置により脳波を検出された対象者に対して、前記対象者が快適と感じる予め設定された複数の動作パターンを切り替えて動作する動作物体を認識させることで、前記対象者の脳波を制御するために、コンピュータを、
前記動作物体の動作を認識しているときの前記対象者の脳波を、前記脳波検出装置から取得する脳波取得手段、
この脳波取得手段で取得された脳波を解析し、アルファ波の出現量を測定する脳波解析手段、
この脳波解析手段で測定されたアルファ波の出現量を、閾値記憶手段に予め記憶した前記対象者が快適と感じたときのアルファ波の出現量である閾値と比較するアルファ波出現量比較手段、
このアルファ波出現量比較手段の比較結果において、前記アルファ波の出現量が前記閾値より少ないときは、前記動作物体に対して、前記動作パターンの切り替えを指示する制御信号を送出する制御信号送出手段、
として機能させることを特徴とする脳波制御プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット等の動作物体に対して、複数の動作を行わせることで、当該動作物体を認識した対象者の脳波を制御する脳波制御装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、脳波に関する研究が進み、脳波は4種類に分類されている。それぞれの脳波は、図11に示すように、周波数の高い方から順番に、ベータ(β)波(14~30ヘルツ相当)、アルファ(α)波(8~13ヘルツ相当)、シータ(θ)波(4~7ヘルツ相当)、デルタ(δ)波(0.5~3ヘルツ相当)の波形となっている。
【0003】
また、これらの脳波は、精神活動に極めて深い関係があることが明らかにされている。例えば、ベータ波は、通常の状態や、心配事があるときに多く出現し、アルファ波は、瞑想中や、リラックスした状態のときに多く出現する。また、シータ波は、まどろみ状態のときに多く出現し、デルタ波は、熟睡しているときに多く出現する。
【0004】
この中で、心身ともに極めてリラックスした状態で最も多く発生するアルファ波が注目され、このアルファ波を利用した技術が種々存在している。
例えば、アルファ波の状態を光や音を使って対象者に提示し、対象者が意識的にアルファ波を増強させる、いわゆるバイオフィードバックの技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1で開示されている技術(バイオフィードバック)では、対象者の脳波を、頭部から電気的に検出し、その脳波(アルファ波)の状態を、図形(例えば、円の大きさ)によって表示画面上に表現する。そして、表示画面上の円が小さいほど、アルファ波が多く出現しているとすると、対象者は、その図形を見ながら、意識的に円を小さくするように試みる。このように、特許文献1等におけるバイオフィードバックは、対象者がアルファ波をコントロールするためのトレーニングを行うものである。
【0006】
また、アルファ波を利用して、空調設備において、対象者が快適と感じる風量等を調整する技術が開示されている(特許文献2参照)。この特許文献2で開示されている技術(快適環境制御装置)では、脳波センサで検出された対象者の脳波からアルファ波を抽出する。そして、そのアルファ波の周波数ゆらぎから求められる回帰係数に基づいて、対象者の快適感が最大となるように風量等を調整する。このように、特許文献2における快適環境制御装置は、パーソナルな環境において、対象者に快適環境を提供するものである。

【特許文献1】特開2002-125945号公報(段落0016~0019、図3及び図4)
【特許文献2】特開平7-145981号公報(段落0027~0030、図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1等で開示されている、バイオフィードバックによって、アルファ波を増強させる手法では、フィードバックによって、対象者に対して現在のアルファ波の状態を提示し、対象者が、自らの意思でアルファ波を多く出現させるためのトレーニングを行うものであるため、対象者の個人差によって、アルファ波を多く出現させることが困難な場合がある。また、このように、アルファ波を多く出現させることが困難な対象者にとっては、このトレーニングを苦痛に感じてしまうという問題があった。
【0008】
さらに、従来のバイオフィードバックでは、単調な光や音を用いて、アルファ波のコントロールを行うため、長時間に渡ってトレーニングを行うことは、かえって対象者の苦痛となってしまうという問題があった。
【0009】
また、特許文献2で開示されている快適環境制御装置では、対象者のアルファ波を増強させ、対象者に快適環境を提供することが可能である。しかし、この快適環境制御装置は、対象者が精神的に安定した状態で、対象者の脳波からアルファ波が出ていることを前提としている。このため、例えば、対象者が幼児である場合、幼児の興味対象が変化したり、幼児が動いたりするため、ベータ波が多く出ている通常の精神状態から、アルファ波が多く出る状態には移行しにくいという問題があった。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、対象者が自らの意思でアルファ波を出現させるような努力をすることなく、楽しみながら無意識のうちにアルファ波を多く出現させることを可能にした脳波制御装置及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の脳波制御装置は、脳波検出装置により脳波を検出された対象者に対して、前記対象者が快適と感じる予め設定された複数の動作パターンを切り替えて動作する動作物体を認識させることで、前記対象者の脳波を制御する脳波制御装置であって、閾値記憶手段と、脳波取得手段と、脳波解析手段と、アルファ波出現量比較手段と、制御信号送出手段とを備える構成とした。
【0012】
かかる構成によれば、脳波制御装置は、閾値記憶手段に対象者が快適と感じたときの予め定めたアルファ波の出現量を脳波のレベル判定を行うための閾値として記憶しておく。例えば、予め動作物体に複数の動作を行わせ、その動作毎に対象者が快適と感じるかどうかを調査し、対象者が快適と感じたときの、アルファ波の出現量の下限値を閾値として記憶しておく。これによって、この閾値を、対象者が快適と感じるかどうかを判定するための基準として用いることができる。
そして、脳波制御装置は、脳波取得手段によって、脳波検出装置から、ロボット等の動作物体の動作を開眼した状態で認識しているときの対象者の脳波を取得する。ここで取得する脳波は、対象者が動作物体の動作を認識することで、アルファ波等の波形に変化が生じる。そこで、脳波制御装置は、脳波解析手段によって、時系列の脳波のデータを高速フーリエ変換することで周波数毎のデータに変換し、その中からアルファ波に相当する周波数(8~13ヘルツ)の出現量を測定する。例えば、脳波解析手段は、脳波の全周波数領域のエネルギ値に対する、アルファ波の周波数領域のエネルギ値の割合を算出し、アルファ波の出現量とする。
【0013】
そして、脳波制御装置は、アルファ波出現量比較手段によって、脳波解析手段で測定されたアルファ波の出現量を、閾値記憶手段に記憶されている閾値と比較する。なお、この閾値とアルファ波の出現量とを比較することで、脳波制御装置は、対象者の脳波から、アルファ波が多く出ているかどうかを判定することが可能になる。
【0014】
さらに、脳波制御装置は、制御信号送出手段によって、アルファ波出現量比較手段の比較結果において、アルファ波の出現量が閾値より少ないときは、動作物体に対して、動作パターンの切り替えを指示する制御信号を送出する。なお、動作物体が同一の動作を継続して実行しない場合は、アルファ波の出現量が多いときに、動作物体に対して、現在の動作パターンの動作の継続を指示する制御信号を送出することとしてもよい。これによって、この制御信号を受信した動作物体は、対象者がアルファ波を多く出すことのできる動作を順次行うことが可能になる。
【0015】
また、請求項2に記載の脳波制御装置は、脳波検出装置により脳波を検出された対象者に対して、前記対象者が快適と感じる予め設定された複数の動作パターンを切り替えて動作物体を動作させることで、前記対象者の脳波を制御する脳波制御装置であって、閾値記憶手段と、制御情報記憶手段と、脳波取得手段と、脳波解析手段と、アルファ波出現量比較手段と、制御情報選択手段と、制御信号送出手段とを備える構成とした。
【0016】
かかる構成によれば、脳波制御装置は、閾値記憶手段に対象者が快適と感じたときの予め定めたアルファ波の出現量を脳波のレベル判定を行うための閾値として記憶しておく。また、脳波制御装置は、制御情報記憶手段に予め動作パターンの動作を特定する制御情報を記憶しておく。この制御情報は、動作物体が動作パターンを動作させる際にその動作パターンを特定するための情報であって、例えば、動作パターンを指示する動作指示命令である。
【0017】
また、脳波制御装置は、脳波取得手段によって、脳波検出装置から、動作物体の動作を認識しているときの対象者の脳波を取得する。そして、脳波制御装置は、脳波解析手段によって、取得した脳波を解析することでアルファ波の出現量を測定し、さらに、アルファ波出現量比較手段によって、脳波解析手段で測定されたアルファ波の出現量を、閾値記憶手段に記憶されている閾値と比較する。
【0018】
そして、脳波制御装置は、制御情報選択手段によって、アルファ波出現量比較手段で比較した比較結果により、制御情報記憶手段から、次に動作させる制御情報を選択する。例えば、制御情報選択手段は、比較結果において、アルファ波の出現量が少ないと判定されるときは、制御情報記憶手段に記憶されている他の制御情報を選択し、アルファ波の出現量が多いと判定されるときは、同一の動作を示す制御信号を選択する。そして、脳波制御装置は、制御信号送出手段によって、制御情報選択手段で選択された制御情報を、動作物体に対して、動作パターンを指示する制御信号として送出する。これによって、この制御信号を受信した動作物体は、対象者がアルファ波を多く出すことのできる動作を順次行うことが可能になる。
【0019】
さらに、請求項3に記載の脳波制御装置は、請求項2に記載の脳波制御装置において、優先順位決定手段と、優先順位記憶手段とを備え、前記制御情報選択手段が、前記優先順位記憶手段に記憶されている優先順位に基づいて、前記制御情報記憶手段から、次に動作させる動作パターンの制御情報を選択することを特徴とする。
【0020】
かかる構成によれば、脳波制御装置は、優先順位決定手段によって、動作パターンを動作させる優先順位を決定し、その優先順位を動作パターンに対応付けて優先順位記憶手段に記憶する。この優先順位決定手段がアルファ波の出現量に基づいて優先順位を決定することで、制御情報選択手段が、優先順位の高い動作パターンを認識することができる。そこで、制御情報選択手段は、優先順位の高い動作パターンを次に動作させる動作パターンとし、その制御情報を選択する。これによって、制御情報選択手段が、対象者がアルファ波をより多く出すことのできる動作を選択することが可能になる。
【0027】
また、請求項に記載の脳波制御プログラムは、脳波検出装置により脳波を検出された対象者に対して、前記対象者が快適と感じる予め設定された複数の動作パターンを切り替えて動作物体を動作させることで、前記対象者の脳波を制御するために、コンピュータを、脳波取得手段、脳波解析手段、アルファ波出現量比較手段、制御信号送出手段として機能させる構成とした。
【0028】
かかる構成によれば、脳波制御プログラムは、脳波取得手段によって、脳波検出装置から、ロボット等の動作物体の動作を認識しているときの対象者の脳波を取得し、脳波解析手段によって、その脳波を解析することでアルファ波の出現量を測定する。
【0029】
そして、脳波制御プログラムは、アルファ波出現量比較手段によって、脳波解析手段で測定されたアルファ波の出現量を、閾値記憶手段に予め記憶した対象者が快適と感じたときのアルファ波の出現量である閾値と比較する。そして、脳波制御プログラムは、制御信号送出手段によって、アルファ波出現量比較手段の比較結果で、対象者の脳波におけるアルファ波の出現量が少ないと判定されるときには、動作物体に対して、動作パターンの切り替えを指示する制御信号を送出する。
【0030】
なお、動作物体が同一の動作を継続して実行しない場合は、脳波制御プログラムは、制御信号送出手段によって、アルファ波の出現量が多いと判定されるときに、動作物体に対して、動作の継続を指示する制御信号を送出する。これによって、この制御信号を受信した動作物体は、対象者がアルファ波を多く出すことのできる動作を順次行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0031】
請求項1、請求項2又は請求項に記載の発明によれば、対象者がロボット等の動作物体を認識した状態において、対象者のアルファ波の出現量に基づいて、動作物体の動作を切り替えることができる。これによって、対象者は、意識的にアルファ波を多く出そうとする努力をすることなく、動作物体を開眼状態で認識しているだけで、アルファ波を出したリラックスした精神状態を保つことができる。
また、本発明によれば、動作物体として、例えば、ロボットを用いることで、楽しみながら無意識のうちに、対象者のアルファ波を多く出現させることができる。これによって、対象者が幼児等の年少者であっても、リラックスした精神状態を維持させることができる。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、アルファ波の出現量に基づいて、動作物体が動作する動作パターンの優先順位を決定することができ、対象者がアルファ波を多く出さない動作については、優先順位を低くし動作を実行させないことが可能になる。これによって、脳波制御装置は、対象者がアルファ波をより多く出す動作を、動作物体に実行させることができ、対象者が快適と感じる環境を創り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[脳波制御システムの概要]
まず、図1を参照して、対象者の脳波を制御する脳波制御システムの概要について説明する。図1は、脳波制御システムの構成を示すブロック図である。脳波制御システム1は、ロボット等の動作物体に対して、複数の動作パターンを切り替えて動作させることで、その動作物体を認識した対象者の脳波を制御するものである。ここでは、脳波制御システム1は、ロボット10と、脳波検出装置20と、脳波制御装置30とを備えている。
【0035】
ロボット(動作物体)10は、脳波制御装置30からの制御信号に基づいて、対象者Mが好む(快適と感じる)種々の動作を行うものである。このロボット10が、種々の動作を対象者Mに提示することで、対象者Mの脳波(アルファ波等)を変化させることができる。
【0036】
このロボット10には、例えば、ソニー(株)が開発したペット型ロボット「AIBO(登録商標)」を用いることができる。この「AIBO」は、ソフトウェア開発環境が一般に公開され、誰でも自由に「AIBO」の動作プログラムを作成することができる。これによって、「AIBO」は、例えば、図6に示すように、定型化した複数の動作パターンを実行させることができる。一例として、「座りの状態から口を動かす」ことで、「あくびをする」動作(図中、番号6)を実行させたり、「伏せの状態から体の向きを横にする」ことで、「寝転がる」動作(図中、番号18)を実行させたりすることができる。
【0037】
なお、ロボット10は、外部からの制御信号に基づいて、動作パターンを切り替えられるものであれば、他の動作物体であっても構わない。また、この動作物体は、例えば、表示画面に表示される映像を制御信号によって切り替えるものであっても構わない。
【0038】
脳波検出装置20は、対象者Mの脳波を検出するもので、センサ20aと、脳波測定装置20bとを備えている。
【0039】
センサ20aは、図示していない電極を備え、頭皮上の電位差(電圧)を測定するものである。例えば、電位変化のある頭皮上の点に対し、電位変化がほとんどない耳朶等を基準として電位差を測定する。
【0040】
脳波測定装置20bは、センサ20aで測定された電位差を、ある特定の時間間隔(例えば、10ミリ秒)でサンプリングして脳波として測定するものである。ここで測定された脳波は、例えば、RS-232C等のシリアルケーブル又はIEEE1284等のパラレルケーブルを介して、シリアルデータ又はパラレルデータとして、脳波制御装置30に出力される。
【0041】
脳波制御装置30は、脳波検出装置20で検出された脳波に基づいて、ロボット10の動作パターンを切り替えることで、ロボット10を認識した対象者Mの脳波を制御するものである。例えば、脳波制御装置30は、脳波にアルファ波が多く(ある閾値以上)出現していると判定した場合は、現在の動作を継続する旨の制御信号をロボット10に送出する。また、アルファ波が少ない(ある閾値未満)と判定した場合は、他の動作に切り替える旨の制御信号をロボット10に送出する。なお、脳波制御装置30は、特定の期間(ひとつの動作の開始から終了までの全部若しくは一部の時間を含む)毎に、アルファ波の出現量を閾値と比較し、現在の動作を継続するかどうかを判定する。
このように脳波制御システム1を構成することで、対象者Mは、ロボット10が行う動作を観察しているだけで、アルファ波を多く出すリラックスした状態を保つことができる。
【0042】
[脳波制御装置の詳細]
次に、本発明に係る脳波制御装置についてさらに詳細に説明する。
【0043】
(第一の実施の形態:脳波制御装置の構成)
まず、図2を参照(適宜図1参照)して、第一の実施の形態に係る脳波制御装置の構成について説明する。図2は、第一の実施の形態に係る脳波制御装置の構成を示すブロック図である。ここでは、脳波制御装置30は、脳波取得手段31と、脳波解析手段32と、快適脳波レベル記憶手段33と、アルファ波出現量比較手段34と、制御信号送出手段35とを備えている。
【0044】
なお、第一の実施の形態では、ロボット10には、予め複数の動作パターンを実行するためのプログラムが組み込まれており、外部からの制御信号に基づいて、動作パターンの実行(継続)又は切り替えを行うものとする。
【0045】
脳波取得手段31は、脳波検出装置20で検出した、ロボット10の動作を認識しているときの、対象者Mの脳波を取得するものである。ここでは、脳波取得手段31は、例えば、RS-232C等のシリアルケーブルを介して、脳波測定装置20bがある特定の時間間隔でサンプリングしたシリアルデータを、数値(例えば、脳波の実際の値である電圧値)に変換し、脳波解析手段32に出力する。なお、この脳波取得手段31は、例えば、10ミリ秒間隔で対象者Mの脳波を取得することとする。
【0046】
脳波解析手段32は、脳波取得手段31で取得した対象者Mの脳波(電圧値)を解析し、対象者Mが快適と感じる度合いを示すアルファ波の出現量を測定するものである。ここでは、脳波解析手段32は、周波数分析部32aとアルファ波検出部32bとを備えている。
【0047】
周波数分析部32aは、時間領域の波形を周波数領域のスペクトルに変換することで、脳波に含まれる周波数成分を分析するものである。この周波数分析部32aは、脳波取得手段31で取得した時系列のデータである脳波を、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)等により周波数解析することで、周波数毎のスペクトル(パワースペクトル密度)を求める。すなわち、周波数分析部32aは、図7に示すように、横軸を時間、縦軸を電位差(電圧)としたときの脳波の波形(図7(a))を、高速フーリエ変換(FFT)することで、横軸を周波数、縦軸をスペクトルとした周波数毎のスペクトル(図7(b))を算出することになる。
【0048】
アルファ波検出部32bは、周波数分析部32aで算出された周波数毎のスペクトルに基づいて、脳波に含まれるアルファ波を検出し、その出現量を求めるものである。ここでは、ベータ波、アルファ波、シータ波及びデルタ波を含む全ての周波数におけるスペクトル量(総エネルギ値)に対する、アルファ波の周波数におけるスペクトル量(エネルギ値)の比を、アルファ波の出現量とする。なお、ここで求められたアルファ波の出現量は、対象者Mがロボット10を認識しているときの、快適と感じる度合いを示す指標となる。以下、対象者Mがロボット10を認識しているときのアルファ波の出現量を、認識時脳波レベルという。
【0049】
快適脳波レベル記憶手段(閾値記憶手段)33は、対象者Mが快適と感じる脳波のレベルある快適脳波レベルを記憶したものであって、メモリ等の一般的な記憶装置である。この快適脳波レベル記憶手段33には、事前に測定した、対象者Mが快適と感じたときの、アルファ波の出現量を快適脳波レベル33aとして記憶しておく。
【0050】
この快適脳波レベル33aは、例えば、脳波において、ベータ波、アルファ波、シータ波及びデルタ波を含む全ての周波数におけるスペクトル量(総エネルギ値)に対する、アルファ波の周波数におけるスペクトル量(エネルギ値)の比(割合)とする。あるいは、快適脳波レベル33aは、アルファ波の周波数におけるスペクトル量(エネルギ値)そのものであってもよい。
この快適脳波レベル記憶手段33に記憶されている快適脳波レベルが、対象者Mが快適と感じているかどうかを判定するための基準(閾値)となる。
【0051】
アルファ波出現量比較手段34は、脳波解析手段32で測定された認識時脳波レベル(アルファ波の出現量)と、快適脳波レベル記憶手段33に記憶されている快適脳波レベル33aとを比較するものである。この比較結果によって、対象者Mが快適と感じているかどうかを判定することができる。例えば、アルファ波出現量比較手段34は、認識時脳波レベルと快適脳波レベル33aとを比較し、認識時脳波レベルが快適脳波レベル33a以上の場合は、比較結果として「1」、認識時脳波レベルが快適脳波レベル33a未満の場合は、比較結果として「0」を制御信号送出手段35に出力する。
【0052】
制御信号送出手段35は、アルファ波出現量比較手段34から出力される比較結果に基づいて、ロボット10に対して、動作の継続又は切り替えを指示する制御信号を、通信回線を介して、送出するものである。ここで、制御信号送出手段35は、比較結果として「1」が入力された場合、認識時脳波レベルは快適脳波レベル33a以上であって、対象者Mの感じる快適度が大きいと判定することができる。また、比較結果として「0」が入力された場合、認識時脳波レベルは快適脳波レベル33a未満であって、対象者Mの感じる快適度が小さいと判定することができる。
【0053】
そこで、制御信号送出手段35は、この比較結果により、対象者Mの快適度が大きいと判定した場合、ロボット10に対して、現在の動作を実行(継続)する旨の指示を示す制御信号(実行指示信号)を送出する。また、比較結果により、対象者Mの快適度が小さいと判定した場合、ロボット10に対して、現在の動作を中止し、他の動作に切り替える旨の指示を示す制御信号(切り替え指示信号)を送出する。
【0054】
この切り替え指示信号を受信したロボット10は、例えば、図6に示した動作パターンを順次切り替えて実行する。なお、ロボット10が、切り替え指示信号を受信するまで、継続して同じ動作を実行する場合は、制御信号送出手段35は、継続指示信号を送出する必要はない。
【0055】
このように脳波制御装置30を構成することで、脳波制御装置30は、対象者Mの脳波からアルファ波が多く検出される場合は、ロボット10の動作を継続させ、アルファ波が少なくなった段階で、別の動作を行わせることができる。これによって、対象者Mは、アルファ波を意識的に増強しようとしなくても、アルファ波が多く出る状態を保つことができ、対象者Mにとってリラックスした快適環境を構築することができる。
【0056】
以上、一実施形態に基づいて、脳波制御装置30の構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、脳波測定装置20bを脳波制御装置30内に備えて構成してもよい。
【0057】
なお、脳波制御装置30は、一般的なコンピュータにプログラムを実行させ、コンピュータ内の演算装置や記憶装置を動作させることにより実現することができる。このプログラム(脳波制御プログラム)は、通信回線を介して配布することも可能であるし、CD-ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0058】
(第一の実施の形態:脳波制御装置の動作)
次に、図3を参照(適宜図1及び図2参照)して、第一の実施の形態に係る脳波制御装置の動作について説明する。図3は、第一の実施の形態に係る脳波制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0059】
<脳波取得ステップ>
まず、脳波制御装置30は、制御信号送出手段35によって、「実行指示信号」を、制御信号としてロボット10に送出することで、ロボット10に対して動作の指令を行う(ステップS1)。
【0060】
そして、脳波制御装置30は、対象者Mがロボット10の動作を認識している状態で、脳波検出装置20が測定した脳波を、脳波取得手段31によってシリアルデータとして取得し(ステップS2)、そのシリアルデータを電圧値に変換する(ステップS3)。
【0061】
<脳波解析ステップ>
また、脳波制御装置30は、脳波解析手段32の周波数分析部32aによって、脳波取得手段31で取得した脳波(電圧値)を、高速フーリエ変換(FFT)することで、周波数に変換する(ステップS4)。
【0062】
そして、脳波制御装置30は、脳波解析手段32のアルファ波検出部32bによって、周波数分析部32aで算出された周波数毎のスペクトルに基づいて、脳波に含まれるアルファ波を検出し、その出現量を求める。ここでは、全ての周波数におけるスペクトル量(総エネルギ値)に対する、アルファ波の周波数におけるスペクトル量(エネルギ値)の比を、アルファ波の出現量として算出し、認識時脳波レベルとする(ステップS5)。
【0063】
<アルファ波出現量比較ステップ>
そして、脳波制御装置30は、アルファ波出現量比較手段34によって、ステップS5で算出された認識時脳波レベルが、予め測定しておいた、快適脳波レベル記憶手段33に記憶されている対象者Mが快適と感じる脳波のレベルである閾値(快適脳波レベル33a)以上であるかどうかを比較する(ステップS6)。なお、この比較結果は、制御信号送出手段35に出力される。
【0064】
<制御信号送出ステップ>
そして、脳波制御装置30は、ステップS6の比較結果において、認識時脳波レベルが閾値以上の場合(ステップS6でYes)、制御信号送出手段35によって、対象者Mからアルファ波が多く出て快適度が大きいと判定する(ステップS7)。一方、ステップS6の比較結果において、認識時脳波レベルが閾値未満の場合(ステップS6でNo)、制御信号送出手段35によって、対象者Mの脳波におけるアルファ波が少なく快適度が小さいと判定する(ステップS8)。
【0065】
このステップS7又はステップS8の判定結果に基づいて、制御信号送出手段35は、制御信号を決定し(ステップS9)、ステップS1に戻って、ロボット10に対して、通信回線を介して、制御信号を送出する。
【0066】
なお、このステップS9において、制御信号送出手段35は、判定結果として快適度が大きいと判定した場合は、動作の継続を指示する「実行指示信号」を制御信号とする。また、判定結果として快適度が小さいと判定した場合は、動作の切り替えを指示する「切り替え指示信号」を制御信号とする。
【0067】
以上の動作を連続して動作させることで、脳波制御装置30は、対象者Mの脳波において、アルファ波が多く出る状態を保つことができ、対象者Mにとってリラックスした快適環境を構築することができる。
【0068】
(第二の実施の形態:脳波制御装置の構成)
次に、図4を参照(適宜図1参照)して、第二の実施の形態に係る脳波制御装置の構成について説明する。図4は、第二の実施の形態に係る脳波制御装置の構成を示すブロック図である。この脳波制御装置30Bは、ロボット10が行う動作の動作パターンを、対象者Mのアルファ波の出現する割合に基づいて順位付けし、その順位に基づいて、ロボット10の動作パターンを切り替えるものである。ここでは、脳波制御装置30Bは、脳波取得手段31と、脳波解析手段32と、快適脳波レベル記憶手段33と、アルファ波出現量比較手段34と、制御信号送出手段35Bと、動作情報記憶手段36と、制御情報選択手段37と、優先順位決定手段38とを備えている。
【0069】
この脳波制御装置30Bでは、図2に示した脳波制御装置30において、制御信号送出手段35を、その機能を変更した制御信号送出手段35Bとし、さらに、動作情報記憶手段36と、制御情報選択手段37と、優先順位決定手段38とを付加している。制御信号送出手段35B、動作情報記憶手段36、制御情報選択手段37及び優先順位決定手段38以外の構成については、脳波制御装置30と同一の構成であるので、同一の符号を付し説明を省略する。
なお、ロボット10は、脳波制御装置30Bから送出される制御信号である、動作パターンの動作を特定する制御情報に基づいて、動作を行うものとする。
【0070】
制御信号送出手段35Bは、後記する制御情報選択手段37で選択された制御情報を、ロボット10に対して、通信回線を介して、動作パターンを指示する制御信号として送出するものである。
【0071】
動作情報記憶手段(制御情報記憶手段、優先順位記憶手段に相当)36は、ロボット10の複数の動作パターンを動作させるための動作制御情報36aと、ロボット10で複数の動作パターンを動作させる際の動作パターンの優先順位を示す優先順位情報36bとを記憶するものであって、メモリ等の一般的な記憶装置である。
【0072】
動作制御情報36aは、ロボット10の動作パターンと、ロボット10に対する制御情報(例えば、動作指示命令)とを対応付けた情報である。例えば、図8に示すように、予め、個々の動作パターン(動作パターン番号N)に、ロボット10に対する動作指示命令Cを対応付けておく。なお、この制御情報である動作指示命令Cは、図8に示すように、単一の動作指示命令としてもよいし、複数の動作を連続して動作させる複数の動作指示命令としてもよい。ここでは、一例として、動作指示命令Cを16進数の値で示している。また、ここでは、制御情報の数を「20」としているが、この数に限定されるものではない。
【0073】
優先順位情報36bは、ロボット10の動作パターンと、その動作パターンの優先順位とを対応付けた情報である。例えば、図9に示すように、動作パターン(動作パターン番号N)毎に、優先順位として各動作パターンの重みWを対応付ける。すなわち、重みWの値が大きいほど、優先順位が高いこととする。図9の例では、動作パターン番号Nが「1」の場合に、優先順位(重みW)を「20」とし、最高の優先順位とし、動作パターン番号Nが「20」の場合に、優先順位(重みW)を「1」とし、最低の優先順位としている。
【0074】
なお、この優先順位情報36bは、初期値として、同じ重みを設定しておくこととしてもよいし、予め、対象者Mが動作パターンの動作を認識したときのアルファ波の出現量に基づいて、アルファ波の出現量の大きい順に順位付けしておくこととしてもよい。
【0075】
制御情報選択手段37は、アルファ波出現量比較手段34の比較結果に基づいて、動作情報記憶手段36から、次に動作させる動作パターンを特定する制御情報を選択するものである。なお、制御情報選択手段37は、制御情報を選択する前に、アルファ波出現量比較手段34の比較結果を後記する優先順位決定手段38に通知し、優先順位決定手段38から、動作情報記憶手段36に記憶されている優先順位情報36bの更新が完了した旨を通知された段階で、制御情報を選択するものとする。
【0076】
なお、この制御情報選択手段37は、動作情報記憶手段36に記憶されている優先順位情報36bから、最も優先順位が高い(重みの大きい)動作パターン番号N(図9参照)を検索し、その動作パターン番号Nに対応する動作指示命令C(図8参照)を、動作制御情報36aから選択する。ここで選択された動作指示命令(制御情報)は、制御信号送出手段35Bに出力される。
【0077】
優先順位決定手段38は、対象者Mの認識時脳波レベル(アルファ波の出現量)に基づいて、動作情報記憶手段36に記憶されている優先順位情報36bの優先順位を決定するものである。この優先順位決定手段38は、認識時脳波レベルが、所定レベル(快適脳波レベル33a)を基準として、それ以上の場合とそれ未満の場合とに分けて優先順位を決定する。なお、所定レベル(快適脳波レベル33a)の比較は、すでにアルファ波出現量比較手段34で行われているため、ここでは、優先順位決定手段38は、その比較結果を、制御情報選択手段37を経由して通知してもらうこととする。そして、優先順位決定手段38は、優先順位情報36bを更新した後に、更新が完了した旨を制御情報選択手段37に通知する。
【0078】
このように優先順位決定手段38は、対象者Mの認識時脳波レベル(アルファ波の出現量)に基づいて、優先順位情報36bの優先順位を決定するため、ロボット10の動作に対するアルファ波の出現量が対象者毎に異なる場合であっても、その対象者が最もアルファ波を出すように、動作パターンの順位付けを行うことができる。
【0079】
ここで、図10を参照して、優先順位決定手段38における優先順位情報36bの更新手法について説明する。図10は、優先順位情報36bにおける優先順位が遷移する状態を示した遷移図を示し、図10(a)は、更新前の優先順位の状態を示し、図10(b)は、アルファ波が所定レベル以上である場合の優先順位の更新例、図10(c)は、アルファ波が所定レベル未満である場合の優先順位の更新例を示している。
【0080】
図10(a)は、ある時点における動作パターン(動作パターン番号N)の優先順位(重みW)を示し、現在動作している動作パターンの動作パターン番号Nが「1」、その重みWが「20」で、最も優先順位が高いものとする。そして、この段階で、アルファ波が所定レベル以上である場合は、図10(b)に示すように、現在動作している動作パターン(動作パターン番号N=「1」)の重みWを“1”加算する。また、アルファ波が所定レベル未満である場合は、図10(c)に示すように、現在動作している動作パターン(動作パターン番号N=「1」)の重みWを“10”減算する。
【0081】
これによって、図10(b)においては、優先順位が最も高い(重みW=「21」)、現在の動作パターン(動作パターン番号N=「1」)が継続されることになる。また、図10(c)においては、優先順位が最も高い(重みW=「19」)、次の動作パターン(動作パターン番号N=「2」)に動作が切り替わることになる。
なお、この重みWの加算量及び減算量は一例であって、この値に限定されるものではない。
【0082】
以上説明したように脳波制御装置30Bを構成することで、脳波制御装置30Bは、対象者Mの脳波からアルファ波が多く検出される場合は、ロボット10の動作を継続させ、アルファ波が少なくなった段階で、別の動作を行わせることができる。なお、このとき、脳波制御装置30Bは、ロボット10に行わせる動作パターンを、対象者Mの脳波から出現するアルファ波の出現量に基づいた優先順位により切り替えるため、脳波制御装置30(図2参照)と比較して、対象者Mを、アルファ波がより多く出る状態に保つことができる。
【0083】
以上、一実施形態に基づいて、脳波制御装置30Bの構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、脳波制御装置30Bは、その構成から優先順位決定手段38を省き、制御情報選択手段37が、動作制御情報36aの順番に動作パターンを切り替えることとしてもよい。ただし、この場合は、優先順位を用いないため、脳波制御装置30(図2参照)と同様の効果となる。
【0084】
なお、脳波制御装置30Bは、一般的なコンピュータにプログラムを実行させ、コンピュータ内の演算装置や記憶装置を動作させることにより実現することができる。このプログラム(脳波制御プログラム)は、通信回線を介して配布することも可能であるし、CD-ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0085】
(第二の実施の形態:脳波制御装置の動作)
次に、図5を参照(適宜図1及び図4参照)して、第二の実施の形態に係る脳波制御装置の動作について説明する。なお、第二の実施の形態に係る脳波制御装置の基本動作は、図3で説明した第一の実施の形態に係る脳波制御装置の動作と同様であり、図3におけるステップS9の詳細な動作のみが異なっている。そこで、ここでは、第二の実施の形態に係る脳波制御装置の全体動作の説明は省略し、ステップS9における制御信号の決定動作について説明を行うこととする。なお、脳波制御装置30Bにおいては、図3におけるステップS7及びステップS8は、制御情報選択手段37で行っている。
【0086】
図5は、第二の実施の形態に係る脳波制御装置において、ロボットに送出する制御信号を決定する動作を示すフローチャートである。
脳波制御装置30Bは、優先順位決定手段38によって、アルファ波出現量比較手段34の比較結果に基づいて、対象者Mが感じる快適度が大きいかどうかを判定する(ステップS10)。ここで、快適度が大きい場合(ステップS10でYes)、優先順位決定手段38は、動作情報記憶手段36に記憶されている優先順位情報36bにおいて、現在動作している動作パターンに対応する重みを“1”加算し、優先順位情報36bを更新する(ステップS11)。
【0087】
一方、快適度が小さい場合(ステップS10でNo)、優先順位決定手段38は、動作情報記憶手段36に記憶されている優先順位情報36bにおいて、現在動作している動作パターンに対応する重みを“10”減算し、優先順位情報36bを更新する(ステップS12)。
【0088】
そして、脳波制御装置30Bは、制御情報選択手段37によって、優先順位情報36bにおいて、重みが最大となる動作パターンを検索する(ステップS13)。さらに、脳波制御装置30Bは、制御情報選択手段37によって、ステップS13における検索結果である動作パターンに対応する動作指示命令を動作制御情報36aから選択し、制御信号として決定する(ステップS14)。
【0089】
以上の動作によって、脳波制御装置30Bは、ロボット10の動作パターンを対象者Mが快適と感じる度合いにより優先順位をつけることができる。これによって、脳波制御装置30Bは、対象者Mが、アルファ波を多く出す動作パターンを、ロボット10に動作させることができる。また、対象者Mがアルファ波を多く出さない動作パターンについては、その優先順位を低く設定することができるので、対象者Mが、常にアルファ波を多く出る状態に保つことができる。
【0090】
なお、脳波制御装置30Bの動作では、制御情報選択手段37において、優先順位が最も高い動作パターンを選択しロボット10を動作させることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、制御情報選択手段37が、優先順位が最も高い動作パターンを選択するのではなく、アルファ波が所定レベル未満になった動作パターンを選択対象から省き、アルファ波が所定レベル以上出ている動作パターンを順次選択しロボット10を動作させることとしてもよい。この場合、アルファ波が所定レベル以上出ている動作パターンの数が一定数を下回った場合は、再度全動作パターンの優先順位を初期化し、始めから動作させることとする。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る脳波制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る脳波制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る脳波制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第二の実施の形態に係る脳波制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第二の実施の形態に係る脳波制御装置において、ロボットに送出する制御信号を決定する動作を示すフローチャートである。
【図6】ロボットの定型化した動作パターンの一例を示す図である。
【図7】高速フーリエ変換(FFT)により、脳波の電位差を周波数に変換する概念を示した概念図であって、(a)は脳波の時系列データ、(b)は脳波の周波数毎のスペクトルを示す。
【図8】動作制御情報の一例を示す図である。
【図9】優先順位情報の一例を示す図である。
【図10】優先順位決定手段が、優先順位を更新する状態を示した遷移図であって、(a)は更新前の優先順位の状態、(b)はアルファ波が所定レベル以上である場合の優先順位の更新例、(c)はアルファ波が所定レベル未満である場合の優先順位の更新例を示している。
【図11】脳波と意識の関係を示す関係図である。
【符号の説明】
【0092】
1 脳波制御システム
10 ロボット(動作物体)
20 脳波検出装置
20a センサ
20b 脳波測定装置
30、30B 脳波制御装置
31 脳波取得手段
32 脳波解析手段
33 快適脳波レベル記憶手段(閾値記憶手段)
34 アルファ波出現量比較手段
35、35B 制御信号送出手段
36 動作情報記憶手段(制御情報記憶手段、優先順位記憶手段)
37 制御情報選択手段
38 優先順位決定手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10