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明細書 :直流遮断装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5207131号 (P5207131)
公開番号 特開2010-080200 (P2010-080200A)
登録日 平成25年3月1日(2013.3.1)
発行日 平成25年6月12日(2013.6.12)
公開日 平成22年4月8日(2010.4.8)
発明の名称または考案の名称 直流遮断装置
国際特許分類 H01H  33/59        (2006.01)
H01H  33/66        (2006.01)
FI H01H 33/59 C
H01H 33/59 E
H01H 33/66 V
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2008-245996 (P2008-245996)
出願日 平成20年9月25日(2008.9.25)
審査請求日 平成23年9月8日(2011.9.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
発明者または考案者 【氏名】大野 吉弘
【氏名】米田 征司
個別代理人の代理人 【識別番号】110000545、【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
審査官 【審査官】片岡 功行
参考文献・文献 特開昭62-035421(JP,A)
特開昭48-092882(JP,A)
特開2004-288384(JP,A)
調査した分野 H01H 33/59
H01H 33/66
特許請求の範囲 【請求項1】
直流電源と負荷との間に接続された遮断器と、
前記遮断器と前記負荷との間に介在され、遮断器側から負荷側への電流の流れを許容するダイオードと、
前記ダイオードに対して並列に設けられ、遮断器側がベースに接続されると共に前記負荷側がエミッタに接続されるトランジスタと、
インダクタとキャパシタとの直列回路によって構成され、その一端側を前記直流電源と前記遮断器との間に接続し、他端側を前記トランジスタのコレクタに接続して構成される外部並列回路と
を備えることを特徴とする直流遮断装置。
【請求項2】
前記トランジスタは、並列に複数接続されることを特徴とする請求項1記載の直流遮断装置。
【請求項3】
前記ダイオードは、直列に複数接続されることを特徴とする請求項1記載の直流遮断装置。
【請求項4】
前記キャパシタは、並列に複数接続されることを特徴とする請求項1記載の直流遮断装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電流を遮断するために利用される直流遮断装置に関し、特に直流遮断器内に発生するアークを外部並列回路を利用して早期に除去する直流遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、太陽電池・燃料電池などの独立した直流電源の電力系統の導入が進んでいる。このため、燃料電池や太陽電池のような直流電源が配電系統に導入されると、故障などの際には直流電流を遮断する必要があるが、直流電流は交流電流と違いゼロ点を持たないため、高電圧・高電流下において遮断器接合部で生じるアーク放電を早期に除去してスムーズに電力を遮断できないことが問題となっている。これが事故処理を行う際の遅れの原因にもなっている。
【0003】
このため、アーク電流の安全且つスムーズな遮断が要請されており、従来においては、例えば、図4に示されるように、直流電源2と負荷3との間に直列接続された遮断器4に対して、インダクタ7とキャパシタ8とを直列接続して構成された転流回路を並列に接続し、図5(a)の遮断前の状態から、遮断器4を遮断した場合に、図5(b)に示されるように、遮断器4の両電極間に流れるアーク電流を転流回路に分流させ、この転流回路からの転流電流をアーク電流に重畳して流し、これによりアーク電流を交流波形として、電流零点でアーク電流を遮断するようにしている。

【特許文献1】特開平3-67429号公報
【特許文献2】特開平5-89753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の構成においては、遮断時に、アーク電流を並列回路に分流するため、図6(a)に示されるように、比較的早期にアーク放電が除去されるが、並列回路(転流回路)のみでは、図6(b)に示されるように、キャパシタに電荷が溜まりきるまで負荷3にも電流が流れてしまい、回路の完全停止までに時間がかかり、早期停止を実現できない不都合がある。
【0005】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、直流電圧源から流れる直流電流を遮断する際に遮断器内に発生する直流アーク(アーク放電)の早期除去を図り、回路の早期完全停止を実現することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を達成するために、本発明は、直流電圧源から流れる直流電流を遮断した場合に真空遮断器内に発生するアーク放電を外部並列回路のキャパシタの作用により並列回路に流し、アーク電流を減少させることにより早期に除去し、さらに外部並列回路の完全停止の為にトランジスタの遮断機能を用いて、回路の遮断を図ることを基本とする。
【0007】
すなわち、本発明に係る直流遮断装置は、直流電源と負荷との間に接続された遮断器と、前記遮断器と前記負荷との間に介在され、遮断器側から負荷側への電流の流れを許容するダイオードと、前記ダイオードに対して並列に設けられ、前記遮断器側がベースに接続されると共に前記負荷側がエミッタに接続されるトランジスタと、インダクタとキャパシタとの直列回路によって構成され、その一端側を前記直流電源と前記遮断器との間に接続し、他端側を前記トランジスタのコレクタに接続して構成される外部並列回路とを具備することを特徴としている。
【0008】
したがって、直流電圧源から流れる直流電流を遮断した場合に遮断器内に発生してしまうアーク放電は、外部並列回路のキャパシタの作用により、外部並列回路に流れ、アーク電流が減少することにより早期に除去される。その際、キャパシタに流れる電流の急激な立ち上がりは、キャパシタに対して直列に接続されたインダクタにより抑えられる。
【0009】
ところで、このような外部並列回路を設けただけでは、キャパシタに電荷が溜まりきるまで外部並列側に電流が流れ込み、負荷抵抗にも電流が流れて回路の完全停止までに時間がかかるが、アーク電流が除去されるとトランジスタのベース電圧もなくなるため、トランジスタのコレクタ・エミッタ間の電気的導通が遮断され、このトランジスタの遮断機能により、外部並列回路への電流の流れ込みが阻止され、回路の完全停止が図れる。
【0010】
上記構成においては、トランジスタのコレクタ電流、及び、ベース電流を多くするために、トランジスタを並列に複数接続して使用するようにしてもよい。また、トランジスタに印加する電圧を増やすために、前記ダイオードを直列に複数接続して用いるようにしてもよい。
さらに、前記外部並列回路に用いられるキャパシタは、並列回路の内部抵抗を減らすことで、並列側電流の立ち上がりを早くして回路停止を早くするために、並列に複数接続して用いてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、この発明に係る直流遮断装置によれば、遮断時にアーク電流を外部並列回路に分流させることによりアーク電流を減少させてアーク放電を早期に除去することができ、また、アーク電流の除去に伴い、トランジスタのベース電流が無くなるため、トランジスタのコレクタ・エミッタ間が遮断されて、このトランジスタの遮断機能により、外部並列回路に流れ込む電流が停止され、回路の早期停止が図れる。このため、回路を早期停止を実現するために格別な制御回路を用意する必要がない。
【0012】
また、トランジスタを並列に複数接続する構成とすれば、コレクタ電流とベース電流を多くすることができ、ダイオードを直列に複数接続する構成とすれば、トランジスタにかける電圧を増やすことが可能となる。さらに、外部並列回路のキャパシタを並列に複数接続する構成とすれば、並列回路の内部抵抗を減らして、並列側電流の立ち上がりを早くし、回路停止をより早くすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の最良の実施形態を図面を用いて説明する。
図1において、本発明に係る直流遮断装置の回路構成が示されている。
【0014】
この直流遮断装置1は、直流電源2と負荷3との間に直列接続された真空遮断器4を有し、真空遮断器4と前記負荷3との間には、ダイオード5とトランジスタ6との並列回路が接続されている。
【0015】
この並列回路のダイオードは、トランジスタ6のベース・エミッタ間に接続されているもので、アノードをベースに、カソードをエミッタにそれぞれ接続することで、トランジスタ6をバイパスして遮断器側から負荷側への電流の流れを所定の電圧降下を伴って許容している。
【0016】
また、インダクタ7とキャパシタ8とを直列接続した直列回路を前記遮断器4に対して並列に接続することで外部並列回路を構成している。すなわち、インダクタ7とキャパシタ8との直列回路の一端側を、直流電源2と遮断器4との間に接続し、また、他端側を前記トランジスタ6のコレクタCに接続している。
【0017】
このような構成において、先ず、外部並列回路の各素子の役割について説明すると、まずキャパシタ8は、回路を遮断したと同時に真空遮断器内に発生するアーク電圧を利用し、キャパシタ側に電流を流し回路を導通させて真空遮断器内に流れ込む電流を減少させ、0(A)に近づける働きを担う。即ち、キャパシタ8は、真空遮断器内に発生するアーク電流を減流させるためにキャパシタ側に電流を分流する機能を有する。
【0018】
また、インダクタは、キャパシタに流れ込む電流の急激な増加(立ち上がり)を抑え、キャパシタに掛かる負担を軽減させる働きをするものである。また、アーク消滅の瞬間に回路は遮断され、外部並列回路へと流れ込む電流は急激な増加をするため、インダクタによって回路への過電流負荷を軽減する狙いもある。
【0019】
真空遮断器は、発生する金属蒸気を拡散させてアーク電流を切るものであるが、 以上の構成だけでは、キャパシタの充電が終わるまで回路に電流が流れ、回路の完全停止までに時間がかかる不都合がある。この為、トランジスタのスイッチ機能を用いる。
【0020】
即ち、トランジスタ6は、回路遮断前では電流を流す経路として使用し、遮断器の遮断時には、外部並列回路から流れ込む電流を流し、アーク消滅後はスイッチ機能を利用して外部並列回路から流れ込む電流を遮断するために用いる。ここで、トランジスタは、コレクタ電流、ベース電流を多く流すために、複数並列接続して使用してもよい。
【0021】
また、ダイオードは、トランジスタと並列に接続することで、トランジスタにダイオードと同様の電圧をかけバイアスさせる為に用いられる。ここで、ダイオードは、トランジスタにかける電圧を増やすために、直列に複数接続して用いてもよい。
【0022】
以上構成において、遮断器による電流遮断前の電流動作を図2(a)に示し、遮断器による電流遮断直後の電流動作を図2(b)に示す。
【0023】
遮断器による電流遮断前においては、直流電源からの電流は、遮断器を通過した後にダイオードを通って負荷に流れ込むと共に、トランジスタのベース・エミッタ間を流れて負荷に流れ込む。この状態においては、ダイオードによる電圧降下によりトランジスタ6をバイアスさせるための電圧がトランジスタのベースに供給されている。
【0024】
遮断器による電流遮断直後においては、遮断器の両電極間にアーク電流が流れるが、このアーク電流はキャパシタの作用により外部並列回路に分流され、その結果、アーク電流が減少することによってアーク放電が早期に除去される。その際の、キャパシタに流れる電流の急激な立ち上がりは、キャパシタに対して直列に接続されたインダクタにより抑えられる。
【0025】
その後、アークが消滅してアーク電流(Ia)が0(A)になると、ダイオード及びトランジスタに電流が流れ込まないため、トランジスタのスイッチ機能により、外部並列回路に電流Icが流れなくなり、回路は完全に停止する。
【0026】
以上の回路を用い、真空遮断器を投入後、電流が安定するまで十分な時間を置いたのち、真空遮断器での遮断を行った際のアーク電流、外部並列回路を流れるバイパス電流、及びアーク電圧の波形を測定した結果を図3に記す。なおアーク電圧は、実際は真空遮断器の電圧を測定したものであり、アーク電圧及びアーク電流は0(sec)から100(μsec)の地点のものである。
【0027】
図3を参照し、0(μsec)の地点で遮断を行った際、約100(μsec)でアークが除去できている。遮断時に並列側に電流を大量に流すだけではアーク電流は0点には至らないことが分かっているが、実際は真空遮断器の消弧力により0点になったものと考えられる。
【0028】
即ち、遮断時に真空遮断器内に発生するアークを抵抗分とするならば、アーク電流は0(A)には至らない。しかし実験ではアークは消滅し回路も停止した。アーク電流は減少していくのに対し、アーク電圧は一定となっている。つまりアークを抵抗分と考えるとアーク電圧約9(A)を常に発生させる抵抗分が発生しているのだと考えられ、電流値が1(A)以下のある電流値より低くなる抵抗分になることでアークが消滅したと考えれる。
【0029】
そして、並列側電流は100(μsec)でベース電流の元となるアーク電流がなくなった為にトランジスタでの遮断ができている。即ち、アーク消滅後はトランジスタをバイアスさせるためのベース電流が流れ込まなくなった為にトランジスタのスイッチ機能が働き、コレクタ側の電流が遮断され、外部並列回路の電流が遮断される。
【0030】
さらに遮断時間を短くしたい場合には、並列側の内部抵抗を限りなく0(Ω)に近いものとすれば、アーク電流はさらに短い時間で0点に近づく為、遮断時間を短くすることができると考えられる。このため、並列側の内部抵抗を小さくするために、複数のキャパシタを並列接続して用いるとよい。
【0031】
図4において、キャパシタが1つである場合と並列接続した場合での回路停止時間を測定した結果を示す。回路に流れる電流が40Aの場合、キャパシタが1つである場合には約104μsであり、キャパシタを7つ並列接続した場合には約76μsで回路停止となっている。キャパシタの個数を増やす事によって並列回路の内部抵抗が減るため、並列側の電流の立ち上がりが早くなった為と考えられる。
【0032】
したがって、以上の構成によれば、アークは並列回路に分流させることにより、早期除去することができる。また、並列側に流れ込む電流を止める為に使用したトランジスタのスイッチ機能により、回路の早期停止が図れる。このため、簡易な構成で回路の早期停止が図れるので、これを実現するために格別な制御回路を用意する必要がない。
さらに、遮断時間を短くするためには並列側の内部抵抗を限りなく0(Ω)に近づけることにより、並列側電流の立ち上がりを早くし、アーク放電の除去を早めて回路停止をより早くすることが可能となる。
【0033】
尚、上述の構成例においては、真空遮断器を用いた場合を示したが、遮断器としては、これに限定されるものではなく、空気遮断器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明にかかる直流遮断装置の構成を示す回路図である。
【図2】図2は、本発明にかかる直流遮断装置の遮断前後での電流の流れを示す図である。
【図3】図3(a)は、本発明にかかる直流遮断装置の遮断時の電流電圧波形を示す図であり、図3(b)は、負荷に流れ込む電流波形を示す図である。
【図4】図4は、キャパシタが1つである場合と並列接続した場合での回路停止時間の測定結果を示す図である。
【図5】図5は、従来の直流遮断装置の構成を示す回路図である。
【図6】図6は、従来の直流遮断装置の遮断前後での電流の流れを示す図である。
【図7】図7(a)は、従来の直流遮断装置の遮断時の電流波形を示す図であり、図7(b)は、負荷に流れ込む電流波形を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 直流遮断装置
2 負荷
3 直流電源
4 真空遮断器
5 ダイオード
6 トランジスタ
7 インダクタ
8 キャパシタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6