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明細書 :オリゴヌクレオチド及びその利用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5717169号 (P5717169)
公開番号 特開2012-060901 (P2012-060901A)
登録日 平成27年3月27日(2015.3.27)
発行日 平成27年5月13日(2015.5.13)
公開日 平成24年3月29日(2012.3.29)
発明の名称または考案の名称 オリゴヌクレオチド及びその利用
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
C07H  19/01        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
G01N  33/542       (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12Q 1/68 A
C07H 19/01
G01N 33/53 M
G01N 33/542 A
請求項の数または発明の数 13
全頁数 29
出願番号 特願2010-206043 (P2010-206043)
出願日 平成22年9月14日(2010.9.14)
審査請求日 平成25年9月11日(2013.9.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】浅沼 浩之
【氏名】樫田 啓
【氏名】関口 康司
【氏名】近藤 展代
個別代理人の代理人 【識別番号】110000110、【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
審査官 【審査官】櫛引 明佳
参考文献・文献 特開2005-080637(JP,A)
特表2009-529337(JP,A)
米国特許第05466578(US,A)
Kashida et al.,Tetrahedron Letters,Vol.48,p.6759-6762(2007)
Rajeshri et al.,Eur. J. Med. Chem.,Vol.36,p.147-163(2001)
調査した分野 C12N 15/00
C12Q 1/68
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
オリゴヌクレオチドであって、
1塩基以上6塩基以下のヌクレオチドで離間されて、第1のユニット;
【化20】
JP0005717169B2_000023t.gif
(式(1)中、R1は、炭素数2~4のアルキニレン基を表し、R2は、フェニレン基を表し、A1は、水素原子、リン酸基、ホスホジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表し、B1は、水素原子、リン酸基、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表す。)
、第2のユニット;
【化21】
JP0005717169B2_000024t.gif
(式(2)中、R3は、炭素数2~4のアルキニレン基を表し、R4は、炭素数1~4のアルキレン基を表し、A1は、水素原子、リン酸基、ホスホジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表し、B1は、水素原子、リン酸基、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表す。)、及び
クエンチャーユニットから選択される2種を備える、オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記第1のユニットは、以下の式で表される、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【化22】
JP0005717169B2_000025t.gif

【請求項3】
前記第2のユニットは、以下の式で表される、請求項1又は2に記載のオリゴヌクレオチド。
【化23】
JP0005717169B2_000026t.gif

【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドは、3塩基以上の欠失変異又は挿入変異の検出用プローブである、請求項1~3のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
モレキュラービーコンを形成可能であって、モレキュラービーコン形成時におけるステムの一方の鎖に前記第1のユニット及び前記第2のユニットを備えるとともに、前記第1のユニット及び前記第2のユニットに対するクエンチャーを前記ステムの他方の鎖に備える、請求項1~4のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドプローブ固定化体であって、
請求項1~5のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドをプローブとして固相担体に固定化された固定化体。
【請求項7】
欠失変異又は挿入変異の検査方法であって、
前記欠失変異又は前記挿入変異の存否をそれぞれの野生型との間で区別可能に構成した請求項1~5のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドと、被験DNA含有試料とを接触させる工程、
を備える、検出方法。
【請求項8】
前記被験DNA含有試料は、ヒト又は動物から採取したDNAを含む、請求項7に記載の検出方法。
【請求項9】
疾病の発症可能性の有無の検査方法である、請求項7又は8に記載の検査方法。
【請求項10】
欠失変異又は挿入変異の検査キットであって、
前記欠失変異又は前記挿入変異の存否をそれぞれの野生型との間で区別可能に構成した請求項1~5のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプローブを含む、キット。
【請求項11】
以下の式(3)で表される化合物。
【化24】
JP0005717169B2_000027t.gif
(式(3)中、R1は、炭素数2~4のアルキニレン基を表し、R2は、フェニレン基を表し、Peryleneは、ペリレン基を表す。C1は、水素原子又は水酸基保護基を表し、D1は、水素原子、水酸基保護基、ホスホアミダイト基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表す。)
【請求項12】
以下の式(4)で表される化合物。
【化25】
JP0005717169B2_000028t.gif
(式(4)中、R3は、炭素数2~4のアルキニレン基を表し、R4は、炭素数1~4のアルキレン基を表し、Peryleneは、ペリレン基を表す。C1は、水素原子又は水酸基保護基を表し、D1は、水素原子、水酸基保護基、ホスホアミダイト基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表す。)
【請求項13】
オリゴヌクレオチドであって、
第1のユニット;
【化26】
JP0005717169B2_000029t.gif
(式(1)中、R1は、炭素数2~4のアルキニレン基を表し、R2は、フェニレン基を表し、A1は、水素原子、リン酸基、ホスホジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表し、B1は、水素原子、リン酸基、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表す。)
及び
第2のユニット;
【化27】
JP0005717169B2_000030t.gif
(式(2)中、R3は、炭素数2~4のアルキニレン基を表し、R4は、炭素数1~4のアルキレン基を表し、A1は、水素原子、リン酸基、ホスホジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表し、B1は、水素原子、リン酸基、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表す。)
のいずれか一方又は双方を備える、オリゴヌクレオチド。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴヌクレオチド及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
潜在的な又は将来における疾病の発症可能性や薬剤の有効性や副作用を予め知得しておくことは、患者のQOL向上とともに医療経済的にも好ましい。このようなヒトや動物の各個体の特有の特性の検査には、遺伝子検査が適している。現在、遺伝子的な検査は、主として、一つの塩基が他の塩基に置換している一塩基多型(SNPs)を指向している。しかしながら、ヒトなどにおける遺伝子多型は、SNPsに限らず、一塩基の欠失や挿入に関するもの、及び二以上の塩基の挿入や欠失に広く及んでいる。SNPs以外の多型が、ヒトにおける遺伝子多型の75%を占めているという報告もある(非特許文献1)。
【0003】
一方、SNPsを含めて遺伝子多型や変異を検出する方法は各種知られている(非特許文献2、非特許文献3)。また、蛍光色素としてペリレンを用い、1塩基欠失及び2塩基欠失を、2つのペリレンのそれぞれのモノマー発光から2分子会合によるエキシマー発光による波長シフトにより検出できることも報告されている(非特許文献4)
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】J.C. Venter et l., Plos Biol., 2007, 5, e266
【非特許文献2】B. Eshaque, et al., Biotechonology Advances. 2006, 24, 86
【非特許文献3】Saito, I, et, al., J. AM. CHEM. SOC. 2004, 126, 8364
【非特許文献4】H. Kashida, et al., Tetrahedron Lett., 2007, 48, 6759-6762.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、塩基の欠失や挿入に関し、必ずしも容易に精度よく検出できるわけではなかった。また、こうした変異に対しても効果的対応できるオリゴヌクレオチドも存在していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、蛍光色素としてペリレンの新たな誘導体化による変異の検出系の構築を試みた。その結果、オリゴヌクレオチドの主鎖とのペリレン基との間の構造を異ならせた2つのペリレン誘導体を組み合わせて用いることで、1塩基のみならず、1塩基又は2塩基以上の欠失や挿入変異をターゲットとできることを見出した。また、こうしたペリレン誘導体は、それ自体、シグナル部位として有用であることを見出した。本明細書の開示によれば、こうした知見に基づき、以下の手段が提供される。
【0007】
本明細書の開示によれば、オリゴヌクレオチドであって、1塩基又は2塩基以上のヌクレオチドで離間されて、第1のユニット;
【化1】
JP0005717169B2_000002t.gif
(式(1)中、R1は、炭素数2~4のアルキニレン基を表し、R2は、フェニレン基を表し、A1は、水素原子、リン酸基、ホスホジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表し、B1は、水素原子、リン酸基、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表す。Peryleneは、ペリレン基を表す。)
、第2のユニット:
【化2】
JP0005717169B2_000003t.gif
(式(2)中、R3は、炭素数2~4のアルキニレン基を表し、R4は、炭素数1~4のアルキレン基を表し、A1は、水素原子、リン酸基、ホスホジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表し、B1は、水素原子、リン酸基、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表す。Peryleneは、ペリレン基を表す。)及びクエンチャーユニットから選択される2種を備える、オリゴヌクレオチドが提供される。
【0008】
前記第1のユニットは、以下の式で表されるものであってもよい。
【化3】
JP0005717169B2_000004t.gif

【0009】
前記第2のユニットは、以下の式で表されるものであってもよい。
【化4】
JP0005717169B2_000005t.gif

【0010】
前記オリゴヌクレオチドは、1塩基又は2塩基以上の欠失変異又は挿入変異の検出用プローブとして用いることができる。特に、3塩基以上の欠失変異又は挿入変異の検出用プローブとして用いることができる。また、モレキュラービーコンを形成可能であって、モレキュラービーコン形成時におけるステムの一方の鎖に前記第1のユニット及び前記第2のユニットを備えるとともに、前記第1のユニット及び前記第2にユニットに対するクエンチャーを前記ステムの他方の鎖に備えるようにしてもよい。
【0011】
本明細書の開示によれば、以下の式(3)及び(4)で化合物も提供される。これらの化合物は、いずれも、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドを合成するためのアミダイトモノマーとして有用である。
【化5】
JP0005717169B2_000006t.gif
(式(3)中、R1、R2及びPeryleneは、式(1)と同義であり、また、式(4)中、R3、R4及びPeryleneは、式(2)と同義でありまた、式(3)及び式(4)中、C1は、水素原子又は水酸基保護基を表し、D1は、水素原子、水酸基保護基、ホスホアミダイト基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表す。)なお、本発明において、ホスホアミダイト基とは、このようにホスホアミダイト法に使用することができるものを全て含むものとする。
【0012】
本明細書の開示によれば、オリゴヌクレオチドプローブ固定化体であって、
請求項1~5のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドをプローブとして固相担体に固定化された固定化体が提供される。
【0013】
本明細書の開示によれば、欠失変異又は挿入変異の検査方法であって、前記欠失変異又は前記挿入変異の存否をそれぞれの野生型との間で区別可能に構成した本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドと、被験DNA含有試料とを接触させる工程、を備える、検出方法が提供される。前記被験DNA含有試料は、ヒト又は動物から採取したDNAを含んでいてもよい。また、疾病の発症可能性の有無の検査方法であってもよい。
【0014】
本明細書の開示によれば、欠失変異又は挿入変異の検査キットであって、1塩基又は2塩基以上の前記欠失変異又は前記挿入変異の存否をそれぞれの野生型との間で区別可能に構成した請求項1~8のオリゴヌクレオチドプローブを含む、キットが提供される。
【0015】
本明細書の開示によれば、前記第1のユニット及び前記第2のユニットのいずれか一方又は双方を備える、オリゴヌクレオチドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】1塩基欠失を発光により識別する機構を示す図である。
【図2】3塩基欠失を発光により識別する機構を示す図である。
【図3】各種ペリレン誘導体の、二重鎖中での発光スペクトル
【図4】FAFをプローブに用いた場合の蛍光スペクトル
【図5】LALをプローブに用いた場合の蛍光スペクトル
【図6】FALをプローブに用いた場合の蛍光スペクトル
【図7】FCTTFプローブに用いた場合の蛍光スペクトル
【図8】LCTTLプローブに用いた場合の蛍光スペクトル
【図9】FCTTLプローブに用いた場合の蛍光スペクトル
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書の開示は、オリゴヌクレオチド及びその利用に関する。本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、1塩基又は2塩基以上離間されて第1のユニット、第2のユニット及びクエンチャーから選択される2種を備えている。すなわち、本明細書の開示は、第1のユニット及び第2のユニットを備えるオリゴヌクレオチド、第1のユニットとクエンチャーユニットとを備えるオリゴヌクレオチド、及び第2のユニットとクエンチャーユニットとを備えるオリゴヌクレオチドに関する。

【0018】
図1及び図2に示すように、例えば、第1のユニット及び第2のユニットを備えるオリゴヌクレオチドをプローブとして用いて、1塩基又は2塩基以上の欠失を備えるターゲットとハイブリダイズさせるとき、1塩基又は2塩基以上を含むバルジが形成されることにより第1のユニット中のトレオニノール鎖に連結されるシグナル部位と第2のユニット中のトレオニノール鎖に連結されるシグナル部位とが正常なハイブリダイズ時とは異なって配向されて所定の配列状態が形成される。第1のユニットと第2のユニットとは、それぞれペリレン基を含むシグナル部位を有するが、主鎖との間にそれぞれ所定の構造を備えているために、前記欠失を備えないターゲットとハイブリダイズするときとは異なる配列状態となる。同時に、こうした配列状態に基づく特有の励起光を発光可能な状態となり、前記欠失を備えないターゲットとハイブリダイズするときとは異なる特有のシグナルを呈することとなる。

【0019】
また、第1のユニットとクエンチャーユニットを1塩基又は2塩基以上離間して備えるオリゴヌクレオチドをプローブとして用いて、1塩基又は2塩基以上の欠失を備えるターゲットとハイブリダイズさせるとき、プローブにおいて1塩基又は2塩基以上を含むバルジが形成される。このとき、第1のユニットのシグナル部位とクエンチャーユニットのククエンチャーとがバルジ形成に伴って配向されて所定の配列状態が形成される。一方、前記欠失を備えないターゲットとハイブリダイズするときには、こうしたバルジは形成されないで、第1のユニットとクエンチャーユニットとは1塩基又は2塩基以上離間されて配列される。この結果、バルジ形成時とバルジ非形成時とでは、第1のユニットのシグナル部位に対するクエンチャーの配列状態が異なり、第1のユニットのシグナル部位に対するクエンチャーの作用が異なることになる。このため、こうしたプローブは、欠失を有するターゲットに対して欠失を有しないターゲットとのハイブリダイズ時とは異なる特有のシグナルを呈することになる。同様の現象が第2のユニットとクエンチャーユニットとを1塩基又は2塩基以上離間して備えるオリゴヌクレオチドにおいても生じ得る。

【0020】
以上のことから、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドプローブによれば、1塩基又は2塩基以上の欠失を有するターゲットと当該欠失を有しないターゲットとを識別することができる。また、換言すれば、1塩基又は2塩基以上の挿入を有するターゲットと当該挿入を有しないターゲットとを識別することができる。

【0021】
なお、第1のユニット及び第2のユニットは、それぞれペリレンを含有するシグナル部位を有しているが、これらのシグナル部位がそれぞれ色素として機能する。これらは異なる色素であるといえる。異なる色素同士が励起二量体を形成するエキシプレックス(ヘテロエキシマー)の構造については極めて限られた報告しかなく、現状ではエキシプレックスあるいはエキシマー形成の制御は困難である。しかしペリレンのエキシマーの構造については、山崎巌著「有機量子化学と光科学」287頁に記載されているようにピレン同士が1.4Åずれた配置をとることが明らかになっている。またエキシマーとは異なるが、ケミストリー・ア・ヨーロピアンジャーナル(Chemistry A European Journal)誌2003年第9巻3466頁から3471頁によれば、色素同士がずれないで積層した構造であるH会合体では色素の発光が消光するのに対し、ずれた構造を取っているJ会合体では単量体よりも長波長側に強く発光することが記載されている。

【0022】
本発明者らは、欠失多型との二重鎖形成でエキシプレックス(あるいはエキシマー)が形成されるためには、バルジ内で色素同士がずれた構造を取ることが重要であると仮定した。そのようなずれた構造を取るためには、同一の二つの色素が会合(エキシマー)するよりは、構造の異なる二つの色素が会合(エキシプレックス)することがより有利と考え鋭意検討した結果、上記のとおりの結果、すなわち、特定の第1のユニットと第2のユニットとをターゲットとなる欠失相当部分を離間して備えさせることで、欠失の有無を識別可能であるという知見を得た。

【0023】
同時に、本発明者らは、第1のユニット及び第2のユニットは、いずれも、蛍光ユニットとして有用であるという知見を得た。以下、本明細書の開示に関し詳細に説明する。

【0024】
(オリゴヌクレオチド及びプローブ)
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、その長さは特に限定しないが、好ましくは10塩基以上100塩基以下程度である。また、本オリゴヌクレオチドは、100塩基を超える長さであってもよい。

【0025】
本オリゴヌクレオチドでは、1塩基又は2塩基以上で離間されて第1のユニットと第2にユニットとを備えることができる。3塩基以上又は4以上の塩基で離間された第1のユニットと第2にユニットとを備えていてもよい。本オリゴヌクレオチドは、3塩基以上で離間されていても、バルジ形成時において特有の励起光を発光することができる。好ましくは3塩基以上である。また、好ましくは6以下の塩基で離間されている。離間される塩基が少なすぎると、バルジ形成時における第1のユニットと第2にユニットとの配向が制限されて、意図した識別可能なシグナルを呈しなくなるからである。離間される塩基が多すぎると、バルジを形成する場合としない場合とで識別可能なシグナルを呈しづらくなるからである。

【0026】
第1のユニット及び第2のユニット、第1のユニットとクエンチャーユニット、並びに第2のユニットとクエンチャーユニット、は、いずれも、1塩基又は2塩基以上のヌクレオチドで離間されて備えられる。オリゴヌクレオチドにおけるこれらの2つのユニットの配列は限定しない。すなわち、2つのユニットのうち、いずれが5’末端側に位置されていてもよい。なお、式(1)又は式(2)において、通常、A1がオリゴヌクレオチドの5’側に相当し、B1が3’側に相当する。具体的には、第1のユニットの3’側に第2のユニットを配置したものが挙げられる。

【0027】
(第1のユニット)
第1のユニットは、式(1)で表される。第1のユニットは、ペリレン基を有している。ペリレン基は、光化学的に安定であり、量子効率が高いという利点がある。ペリレン基はR1基に連結される炭素原子以外の1又は2以上の炭素原子に結合する水素原子は適宜置換されていてもよい。置換基は、特に限定されないが、例えば、それぞれ独立に、水素原子;未置換またはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基で置換された炭素原子数1~20のアルキル基もしくはアルコキシ基;未置換またはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基で置換された炭素原子数2~20のアルケニル基もしくはアルキニル基;水酸基;ハロゲン原子;アミノ基;ニトロ基;またはカルボキシル基を表すことができる。

【0028】
式(1)中、R1は、炭素数が2以上4以下のアルキニレン基である。アルキニレン基としては、エチニレン基(-C≡C-)、プロピニレン基(-C≡C-C-、-C-C≡C-)、ブチニレン基(-C≡C-C-C-、-C-C≡C-C-、-C-C-C≡C-)が挙げられる。好ましくは、エチニレン基である。

【0029】
R1のペリレンに対する連結位置は特に限定されないが、ペリレンの1位、2位及び3位等のいずれであってもよい。好ましくは、2位、4位、9位及び10位のいずれかである。

【0030】
式(1)において、R2はフェニレン基を表す。フェニレン基は、置換されていなくてもよいが、連結に関わらない1又は2以上の炭素原子に結合する水素原子は置換されていてもよい。置換基は、特に限定されないが、例えば、それぞれ独立に、水素原子;未置換またはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基で置換された炭素原子数1~20のアルキル基もしくはアルコキシ基;未置換またはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基で置換された炭素原子数2~20のアルケニル基もしくはアルキニル基;水酸基;ハロゲン原子;アミノ基;ニトロ基;またはカルボキシル基を表すことができる。

【0031】
R2のフェニレン基における連結結合部位は、特に限定しないが、R1に対する連結位置からオルト位、メタ位及びパラ位のいずれにおいて主鎖に連結されていてもよい。好ましくは、パラ位である。

【0032】
第1のユニットとしては、例えば、以下の式で表されるユニットが好適である。
【化6】
JP0005717169B2_000007t.gif

【0033】
(第2のユニット)
第2のユニットは式(2)で表される。第2のユニットは、第1のユニットと同様、ペリレン基を有している。第1のユニットと同様、ペリレン基は適宜置換されていてもよい。

【0034】
式(2)において、R3は、炭素数が2以上4以下のアルキニレン基である。アルキニレン基としては、エチニレン基(-C≡C-)、プロピニレン基(-C≡C-C-、-C-C≡C-)、ブチニレン基(-C≡C-C-C-、-C-C≡C-C-、-C-C-C≡C-)が挙げられる。好ましくは、エチニレン基である。

【0035】
R3のペリレン基に対する連結位置は特に限定されないが、ペリレン基の1位、2位及び3位等のいずれであってもよい。好ましくは、2位、4位、9位及び10位のいずれかである。

【0036】
式(2)において、R4は、炭素数1以上3以下のアルキレン基である。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基である。好ましくは、エチレン基である。

【0037】
第2のユニットとしては、例えば、以下の式で表されるユニットが好適である。
【化7】
JP0005717169B2_000008t.gif

【0038】
式(1)及び式(2)において、A1は、水素原子、リン酸基、ホスホジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表し、B1は、水素原子、リン酸基、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを表す。ヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドは、5単糖の5’位の炭素原子にリン酸基を有している。B1がヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドのとき、これらはそのリン酸基によるホスホジエステル結合により連結されている。

【0039】
本オリゴヌクレオチドの第1のユニット及び第2のユニットにおける主鎖部分は、式(1)及び式(2)に示すように、D-トレオニノール(D-threoninol)-リン酸構造を有している。当該主鎖を有することにより、第1のユニット及び第2のユニットにエキシプレックスに基づく励起状態が形成されやすくなっていると考えられる。本オリゴヌクレオチドの他のユニットにおいては、糖-リン酸主鎖を備えることができる。第1のユニット及び第2のユニット以外のユニットにおいては、塩基や糖の部分において公知の修飾や改変がなされていてもよい。

【0040】
クエンチャーユニットは、オリゴヌクレオチドの主鎖の一部を構成できる主鎖部分にクエンチャーを備えている。クエンチャーユニットにおける主鎖部分は、通常の糖-リン酸主鎖であってもよいが、D-トレオニノール-リン酸構造を有していてもよい。例えば、以下の式で表されるユニットとしてもよい。

【0041】
【化8】
JP0005717169B2_000009t.gif

【0042】
なお、上記式において、A1及びB1は式1と同義であり、Yはクエンチャーを表す。

【0043】
クエンチャーとしては、第1のユニット又は第2のユニットに対して、バルジ形成時においてこれらのユニットに由来する蛍光を消光できるものであれば特に限定されない。

【0044】
例えば、クエンチャー(Y)としては以下のものが挙げられる。なお、以下の例の各種化合物は例示であり、水素原子はいずれも適宜置換基で置換されていてもよい。また、主鎖部分に対して連結されるクエンチャーの原子は特に限定されない。

【0045】
【化9】
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【0046】
【化10】
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【0047】
好ましいクエンチャーとしては、アントラキノン骨格を有する化合物が挙げられる。アントラキノン骨格を有する化合物としては、アントラキノンの他、アントラキノンのベンゼン環を構成する炭素原子に結合する1個又は2個以上の水素原子を、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基等から選択される1種又は2種以上の官能基で置換した各種のアントラキノン誘導体が挙げられる。各種のアントラキノン誘導体は、例えば、東京化成株式会社等からから容易に入手できる。例えば、アントラキノン誘導体としては、天然には、コチニール色素、アリザリン等のアカネ色素、ラック色素の化合物が挙げられる。好ましくはアントラキノンである。クエンチャーユニットの一例を以下の式に示す。

【0048】
【化11】
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【0049】
本オリゴヌクレオチドは、1塩基又は2塩基以上の欠失変異又は挿入変異を検出するために構成することができる。本オリゴヌクレオチドは、ターゲットとなるDNAとハイブリダイゼーション可能な条件で接触させることにより、意図した変異を検出することができる。変異を検出するには、変異以外の部分については、少なくとも一定範囲においてターゲットDNAと相補的な塩基配列を有するように構成される。

【0050】
本オリゴヌクレオチドは、野生型又は変異型のいずれかに相補的な塩基配列を有するように構成される。すなわち、1塩基又は2塩基以上の欠失変異を検出するためには、当該欠失変異を有していない野生型の塩基配列に相補的な塩基配列を有するようにプローブが設計される。変異型において欠失される塩基で離間して第1のユニットと第2のユニットとが備えられる。また、同様にして第1のユニットとクエンチャーユニットとが備えられていてもよい。さらに、第2のユニットとクエンチャーユニットとが備えられていてもよい。

【0051】
一方、1塩基又は2塩基以上の挿入変異を検出するためには、当該挿入変異の変異型の塩基配列に相補的な塩基配列を有するようにプローブの塩基配列が設計される。すなわち、変異型において挿入される塩基で離間して第1のユニットと第2のユニットとが備えられる。また、同様にして第1のユニットとクエンチャーユニットとが備えられていてもよい。さらに、第2のユニットとクエンチャーユニットとが備えられていてもよい。

【0052】
本オリゴヌクレオチドは、また、モレキュラービーコンを形成可能に構成できる。モレキュラービーコンは、一本鎖DNAであって、ステムループ構造を形成可能に構成されている。モレキュラービーコンは、ステムが開いてターゲットDNAとハイブリダイゼーションすることでターゲットを検出できる。本オリゴヌクレオチドプローブをモレキュラービーコンとして使用する場合、ステムの一方の鎖に第1のユニット及び第2のユニットを備えるとともに、第1のユニット及び第2にユニットに対するクエンチャーをステムの他方の鎖に備えることができる。こうすることで、ステムを閉じたときに発光をクエンチでき、ターゲットDNAとハイブリダイゼーションさせたときには、ステムにおいてバルジが形成されて、第1のユニット及び第2のユニットに特徴的な発光を呈することができる。クエンチャーとしては特に限定しないが、例えば、アントラキノン等が挙げられる。

【0053】
本明細書の開示によれば、第1のユニット及び第2のユニットのいずれか一方又は双方を少なくとも備えるオリゴヌクレオチドも提供される。第1のユニット及び第2のユニットに備えられるシグナル部位は、それ自体、従来のペリレンに比較して長波長側にシフトした発光が得られている。したがって、これらのユニットをシグナルユニットとして1又は2以上備えるオリゴヌクレオチドは、プローブとして有用である。これらのオリゴヌクレオチドは、第1及び第2のユニットなどを備える、上記した本明オリゴヌクレオチドの前駆体としても有用である。なお、この態様のオリゴヌクレオチドにおける第1のユニット及び第2のユニットとしては、既に説明したこれらについての各種態様が全て包含される。

【0054】
この態様のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合、第1のユニットと第2のユニットを備えていてもよいし、いずれか一方を備えていてもよい。また、この態様のオリゴヌクレオチドは、第1のユニット及び第2のユニットをそれぞれ1種又は2種以上備えることができる。オリゴヌクレオチドにおけるこれらのユニットの配置も特に限定されない。シグナルを検出できる程度に、第1のユニットが連続してもよいし、第2のユニットが連続しても良い。また、第1のユニット及び第2のユニットが組み合わされて連続的に配置されていてもよい。さらに、これらのユニットは、オリゴヌクレオチドの一方の末端側にのみあってもよいし、両端にあってもよい。また、オリゴヌクレオチドの内部にあってもよい。

【0055】
(オリゴヌクレオチドプローブの製造方法)
本オリゴヌクレオチドに第1のユニット及び第2にユニット、第1のユニット及びクエンチャーユニット、並びに第2のユニット及びクエンチャーユニットをそれぞれ組み込むことで本オリゴヌクレオチドを得ることができる。第1のユニット及び第2のユニット並びに既に説明した他の組み合わせのオリゴヌクレオチドへの導入は、従来公知のDNA固相合成法において、ヌクレオチドに対応するアミダイト誘導体に代えてこの種のユニットを導入なアミダイド誘導体を用いることによって可能となる。アミダイト誘導体を取得する方法としては、例えば、以下のスキームが例示される。

【0056】
【化12】
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【0057】
上記スキームでは、D-トレオニノールのアミノ基をトリフルオロ酢酸エチルで保護した後、DMTを導入し、脱保護して、D-トレオニノールのDMT誘導体を得る。その後、このDMT誘導体と4-ペンチン酸とを、D-トレオニノールのアミノ基にペンチン酸を導入して、ペンチン酸-DMT誘導体を得る。別途合成したハロゲン(ここではBr)化ペリレンとこのDMT誘導体とを反応させて、エチニレン基を介してペリレンを導入して、エチニルペリレンDMT誘導体とする。次いで、このエチニルペリレンDMT誘導体をアミダイト化する。
【化13】
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【0058】
上記スキームでは、4-エチニル安息香酸を合成後、そのカルボキシル基の水酸基にD-トレオニノールのDMT誘導体を導入して、フェニルエチニルDMT誘導体を取得する。その後、ハロゲン化ペリレンと反応させて、エチニレン基を介してペリレンを導入して、フェニルエチニルペリレンDMT誘導体とする。次いで、このフェニルエチニルペリレンDMT誘導体をアミダイト化する。

【0059】
なお、例示はしないが、D-トレオニノール由来のアミダイド体を取得後に、当該アミダイト体を用いて第1のユニットや第2のユニットを形成して最終的なアミダイト誘導体としてもよい。

【0060】
本明細書の開示によれば、以下の式(3)及び(4)で表される、本オリゴヌクレオチドの合成に有用なアミダイト体も提供される。上記式(3)及び(4)における式(1)及び式(2)と同一の構成(R1、R2、R3、R4、Perylene等)については、式(1)及び式(2)における構成と同義である。したがって、式(1)及び式(2)において本明細書において適用可能な構造や好ましい構造は式(3)及び(4)についても適用される。

【0061】
【化14】
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【0062】
上記式(3)及び(4)において、C1は、水素原子又は水酸基保護基を表す。水酸基保護基は、特に限定されないが、従来公知の水酸基保護基を用いることができる。例えば、フルオレニルメトキシカルボニル基(FMOC基)、ジメトキシトリチル基(DMT基)、四級ブチルジメチルシリル基(TBDMS基)、モノメトキシトリチル基、トリフルオロアセチル基、レブリニル基、またはシリル基が挙げられる。好ましい保護基は、トリチル基であり、例えば、モノメチルトリチル(MMT)ジメトキシトリチル(DMT)及び四級ブチルジメチルシリル基(TBDMS基)から選択される。

【0063】
また、D1は、水素原子、水酸基保護基、ホスホアミダイト基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表す。D1がホスホアミダイト基である化合物(アミダイト化合物)は、ホスホアミダイト法によるホスホアミダイト試薬として用いて、オリゴヌクレオチドを合成するのに用いることができる。なお、本発明において、ホスホアミダイト基は、以下の式(5)で表すことができる。

【0064】
【化15】
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(式(5)中、各Q1は独立して、同一であっても異なっていてもよく、分枝状又は直鎖状の炭素数1~5個のアルキル基を表し、Q2は、分枝状又は直鎖状の炭素数1~5個のアルキル基又は置換されていてもよいアルコキシル基を表す。)

【0065】
上記式(5)において、Q1は、特に限定しないがイソプロピル基が好ましいものとして挙げられ、また、Q2としては、-OCHCHCN等が挙げられる。例えば、ホスホアミド基としては、式(5)の具体例として下記式の化合物が挙げられる。

【0066】
【化16】
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【0067】
また、式(3)及び(4)においてD1が固相担体に結合される連結基である化合物は、当該連結基とアミノ基など固相担体上の所定の官能基とを結合させることにより、固相担体に保持される。そして、式(3)及び(4)において、D1が固相担体に結合された連結基である化合物は、連結基を介して本オリゴヌクレオチドが固相担体に結合されているため、各種の核酸固相合成法の出発材料として用いることができる。この出発材料を用いることで、式(1)又は式(2)で表されるユニットを有するオリゴヌクレオチドを製造することができる。

【0068】
第1のユニット及び第2のユニットのアミダイト誘導体を取得した後は、従来公知のDNA合成法、例えばネイチャー・プロトコルズ(Nature Protocols)誌2007年第2巻203ページから212ページに記載の方法にしたがって、所望の部位に第1のユニット又は第2のユニットを備えるオリゴヌクレオチドを合成することができる。

【0069】
こうした方法に準じてクエンチャーユニットのアミダイト誘導体も取得でき、クエンチャーユニットを備えるオリゴヌクレオチドを製造することができる。

【0070】
(オリゴヌクレオチドプローブ固定化体)
本明細書の開示によれば、オリゴヌクレオチドプローブ固定化体であって、固相担体に本オリゴヌクレオチドがプローブとして固定化されている。本オリゴヌクレオチドはモレキュラービーコンを形成可能であってもよい。

【0071】
固相担体は、例えばビーズであってもよいし平板であってもよく、材質は特に限定されないが、ガラス製又はプラスチック製の固相担体を用いることができる。好ましくは、固相担体は平板状であり、2種類以上のオリゴヌクレオチドプローブが一定の配列で固定されたアレイである。アレイは、多数個のオリゴヌクレオチドプローブを固定でき、同時に網羅的に各種の多型や変異を検出するのに都合がよい。また、アレイは、一つの固相担体上に複数個の区画された個別のアレイ領域を備えていてもよい。これらの個別のアレイ領域は、それぞれ同一のセットのオリゴヌクレオチドプローブが固定化されていてもよいし、それぞれ別のセットのオリゴヌクレオチドプローブが固定化されていてもよい。

【0072】
オリゴヌクレオチドプローブの固定化形態は特に限定されない。共有結合性であってもよいし非共有結合性であってもよい。オリゴヌクレオチドプローブは、従来公知の各種の方法で固相担体表面に固定化することができる。また、固相担体表面に対しては適当なリンカー配列を備えていてもよい。

【0073】
このようなプローブ固定化体の用途は特に限定されない。1塩基又は2塩基以上の欠失又は挿入変異に好適である。特に3塩基以上の欠失変異や挿入変異に好適である。具体的には、小口病、複合下垂体ホルモン欠乏症、膿疱性繊維症、劣性先天性ミオトニーなどの欠失変異が原因とされる遺伝病の検査用途が挙げられる。また、DNA上の変異と発症や重症度が判明している疾病の診断、発症予測や予後予測の検査用途が挙げられる。

【0074】
(検査方法)
本明細書の開示によれば、欠失変異又は挿入変異の検査方法であって、欠失変異又は挿入変異の存否をそれぞれの野生型との間で区別可能に構成した本オリゴヌクレオチドプローブと、被験DNA含有試料とを接触させる工程、を備える、検出方法が提供される。本検査方法によれば、1塩基又は2塩基以上の欠失や挿入に係る変異を通常のハイブリダイゼーション操作で簡易に検出することができる。本検査方法の用途は、プローブ固定化体と同様、各種疾病の診断、発症予測、予後予測等が挙げられる。

【0075】
被験DNA含有試料は、検査すべきDNAを含んでいれば足り、各種の生物から採取されたものとすることができる。典型的には、ヒト又は動物の血液などの体液や組織から採取され、核酸を抽出して得られたもの、あるいはPCR等によりDNAを増幅したものなどが挙げられる。

【0076】
本検査方法は、プローブアレイなどのオリゴヌクレオチドプローブ固定化体などを用いて実施されるのが好ましい。例えば、3塩基欠失変異を検出しようとするときの本検査方法は、以下の工程として実施される。
(1)検出しようとする変異型を野生型と識別可能に構成したオリゴヌクレオチドプローブを固定化したアレイを準備する。オリゴヌクレオチドプローブは、欠失を有しない野生型の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、変異により欠失される1塩基又は2以上の塩基で離間して第1のユニット、第2にユニット及びクエンチャーユニットから選択される2種を含んでいる。
(2)アレイに対して、被験DNA含有試料(以下、単に被験試料という。)を供給し、所定のハイブリダイゼーション条件下、ハイブリダイゼーション反応を実施する。
(3)所定時間経過後、アレイを洗浄し、被験試料中のDNAとオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションを、ペリレンの発する蛍光シグナルを検出することによって行う。
(4)被験試料が、ターゲットDNAを含むとき、すなわち、変異型DNAを含むとき、変異型DNAは、オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイゼーションする。しかし、変異型DNAの欠失箇所にプローブ側にバルジが形成される。この結果、このプローブにおいては、第1のユニットと第2にユニットとによるエキシプレックス発光による蛍光を観察することができる。エキシプレックス発光は、バルジを形成しない野生型とのハイブリダイゼーション時における蛍光よりも長波長側にシフトしており、両者を区別することができる。なお、蛍光シグナルの検出は、蛍光スキャナー等により行うことができる。

【0077】
また、第1のユニット(又は第2のユニット)及びクエンチャーユニットを備えるオリゴヌクレオチドプローブの場合には、ハイブリダイゼーションの結果、バルジが形成されると、第1のユニット(又は第2のユニット)のシグナル部位に対するクエンチャーによる消光が強化され、バルジが形成されないときには、逆にクエンチャーによる消光は抑制される。これにより、変異を検出することができる。

【0078】
(検査キット)
本明細書に開示される検査キットは、欠失変異又は挿入変異の検査キットであって、1塩基又は2塩基以上の前記欠失変異又は3塩基以上の前記挿入変異の存否をそれぞれの野生型との間で区別可能に構成した本オリゴヌクレオチドプローブを含むことができる。本キットは、オリゴヌクレオチドプローブとして固定化体を含んでいてもよい。
【実施例】
【0079】
以下、本明細書の開示を実施例を挙げて具体的に説明するが、以下の実施例は本明細書の開示を限定するものではない。
【実施例1】
【0080】
(1)Ethynylperyleneのアミダイトモノマー(4)の合成(スキーム1)
本実施例では、以下のスキームに従い、エチニルペリレン(以下、Fともいう。)をオリゴヌクレオチドに導入するためのアミダイトモノマーを合成した。
【実施例1】
【0081】
【化17】
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【実施例1】
【0082】
アンゲバンテ・ケミー・インターナショナルエディション(Angewandte Chemie International Edition)誌2010年第49巻5502頁に記載の方法で、化合物1を得た。ナスフラスコに4-ペンチン酸(0.177 g, 1.80 mmol, 1.2 eq)、PyBOP(0.937 g, 1.80 mmol, 1.2 eq)を入れ、CH2Cl2約15 ml、Et3N約7.5 mlに溶解させ、10 分間攪拌した。次にCH2Cl2約15 mlに溶解させた化合物1 (0.611 g, 1.50 mmol, 1.0 eq)を加え終夜攪拌した。反応終了後、分液漏斗を用いてNaHCO3飽和水溶液、NaCl飽和水溶液で洗浄した。これをシリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:へキサン:酢酸エチル:Et3N=50:50:3)で精製し、化合物を得た。収量:0.46 g(0.943 mmol) 収率:62.9 %
【実施例1】
【0083】
フラスコにペリレン(1.01 g, 4.0 mmol, 1.0eq)を、連結した滴下漏斗内にNBS(0.712 g, 4.0 mmol, 1.0eq)を入れ、窒素置換した。ペリレンを脱水 DMF約135 mlに、NBSを脱水DMF約45 mlにそれぞれ溶解させ、滴下漏斗からNBSをゆっくりと滴下し、そのまま蛍光灯を点灯させた状態で終夜反応させた。反応終了後に水 1000 mlを加えたところ、ブロモペリレンが固体として析出した。収量:1.28 g(3.87 mmol) 収率:96.8 %
【実施例1】
【0084】
ジムロート冷却器を連結した二口フラスコに、CuI(0.0036 g, 0.0189 mmol, 0.02 eq)および(Ph3P)4Pd(0.0437 g, 0.0378 mmol, 0.04 eq)を入れて窒素置換し、約5 mlの脱水 THFに溶解させた。次に梨型フラスコにブロモペリレン(0.344 g, 1.04 mmol, 1.1 eq) を入れて窒素置換し、約20 mlのpiperidineおよび約10 mlの脱水 THFに溶解させた。室温でこれを前述の二口フラスコに滴下し、60 ℃で30分攪拌した。更に別の梨フラスコに化合物2 (0.46 g, 0.943 mmol, 1.0 eq) を入れて窒素置換し、約5 mlの脱水 THFに溶解させた。これを、ブロモペリレンを活性化中の二口フラスコに滴下し、還流しつつ終夜で反応させた。これをシリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:クロロホルム:へキサン:Et3N=50:50:3)で精製し、化合物3を得た。収量:0.29 g(0.393 mmol) 収率:37.8 %
【実施例1】
【0085】
ナスフラスコに化合物3 (0.140 g, 0.190 mmol, 1.0eq)を入れ、窒素置換した後、脱水CH2Cl2と脱水アセトニトリルに溶解させ2回共沸した後、脱水 CH2Cl2約1 mlおよび脱水アセトニトリル約1 ml、Et3N約0.17 mlに溶解させた。氷浴上で2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジト(0.0947 g, 0.40 mmol, 2.1 eq, 0.0893 ml )をゆっくり滴下し、攪拌した。20 分後氷浴をはずし、室温で約40分反応させた。この後クロロホルムを加え、分液漏斗を使用してNaHCO3飽和水溶液で二回、NaCl飽和水溶液で一回洗浄した。これをシリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:へキサン:酢酸エチル:Et3N=50:50:3)で精製し、化合物4を得た。脱水アセトニトリルに溶解させ3回共沸した後、窒素環境下の瓶に保存した。収量:0.15 g(0.16 mmol) 収率:84.2 %
【実施例2】
【0086】
(2)Phenylethynylperyleneのアミダイトモノマー(9)の合成(スキーム2)
本実施例では、以下のスキームに従い、フェニルエチニルペリレン(以下,Lともいう。)を導入するためのアミダイトモノマーを合成した。
【実施例2】
【0087】
【化18】
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【実施例2】
【0088】
二口フラスコにCuI(0.03 g, 0.158 mmol, 0.0158 eq)および、(Ph3P)4Pd(0.03 g, 0.025 mmol, 0.0025 eq)を4-ヨード安息香酸エチル(2.76 g, 10 mmol, 1.0 eq, 1.66 ml)入れて窒素置換し、約30 mlのEt3Nに溶解させ、エチニルトリメチルシラン(1.28 g, 13 mmol, 1.3 eq, 1.80 ml)を滴下した。この後終夜で反応を続け反応開始後から24 hで反応を止めた。反応溶液中の固体を吸引ろ過で除き、ろ液の溶媒をエバポレーターで除去した後に、シリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:へキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、化合物5を得た。収量:2.71 g(11.0 mmol) 収率:~100%
【実施例2】
【0089】
化合物5 (2.71 g, 11.0 mmol)をエタノール8 mlに溶解させ、氷浴上で12 mlの1N NaOHをゆっくり滴下した。氷浴で冷やしたまま2 h反応させた後に氷浴を除き、そのまま終夜で反応させた。次に分液漏斗で約20 mlのジエチルエーテルで2回反応液を洗浄した後、水層を1N HClで酸性条件にして約200 mlのジエチルエーテルで抽出した後、ジエチルエーテル層をNaCl飽和水溶液で洗浄してからエバポレーションによりジエチルエーテルを除去して化合物6を得た。収量:1.35 g(9.22 mmol) 収率:83.8 %
【実施例2】
【0090】
化合物6(0.675 g, 4.62 mmol, 1.1eq)を約20 mlのCH2Cl2と約20 mlのEt3Nに溶解させ、そこに約10 mlのCH2Cl2に溶解させた化合物1 (1.70 g, 4.17 mmol, 1.0 eq)と、約20 mlのCH2Cl2に溶解させたPyBop(2.60 g, 5.00 mmol, 1.2eq)を加えて室温で24時間撹拌した。次にこの反応溶液を分液漏斗で約70 mlのNaHCO3飽和水溶液で3回洗浄した。これをシリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:へキサン:酢酸エチル:Et3N=60:40:3で精製し、化合物7を得た。収量:1.67 g(3.12 mmol) 収率:74.8 %
【実施例2】
【0091】
ジムロート冷却器を連結した二口フラスコに、CuI(0.002 g, 9.6 ×10-3mmol, 0.02 eq)および、(Ph3P)4Pd(0.022 g, 19.2×10-3 mmol, 0.04 eq)を入れて窒素置換し、約2.5 mlの脱水 THFに溶解させた。別の梨型フラスコにブロモペリレン(0.159 g, 0.48 mmol, 1.0eq) を入れて窒素置換し、約10mlのpiperidineおよび約5.0 mlの脱水 THFに溶解させた。室温でこれを前述の二口フラスコに滴下し、60 ℃で30分攪拌した。また別の梨型フラスコに化合物7(0.283 g, 0.528 mmol, 1.1 eq) を入れて窒素置換し、約2.5 mlの脱水 THFに溶解させた。これを先ほどのブロモペリレンを活性化中の二口フラスコに滴下し、 3時間還流した。この後溶媒を除去し、残渣をシリカゲルカラムトグラフィー(展開溶媒組成:クロロホルム:へキサン:Et3N=50:50:3)で精製し、化合物8を得た。
収量:0.22 g(0.280 mmol) 収率:58.3 %
【実施例2】
【0092】
ナスフラスコに化合物8(0.19 g, 0.242 mmol, 1.0eq)を入れ、窒素置換した後、脱水CH2Cl2約5 mlおよびEt3N約0.17 mlに溶解させた。氷浴上で2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジト(0.115 g, 0.484 mmol, 2.0 eq, 0.108 ml )をゆっくり滴下し攪拌した。20 分後氷浴をはずし、室温で約1時間反応させた。反応終了後クロロホルムを加え、NaHCO3飽和水溶液で二回、NaCl飽和水溶液で二回反応液を洗浄し、クロロホルムをエバポレーションにより除き、化合物9を得た。脱水アセトニトリル、dry CH2Cl2に溶解させ3回共沸した後、窒素環境下の瓶に入れた。
【実施例3】
【0093】
本実施例では、実施例1及び実施例2で合成したアミダイトモノマーを含むDNAを合成した。エチニルペリレン(F)およびフェニルエチニルペリレン(L)を導入したDNAの発光スペクトルを従来型のペリレン(E)と比較した。
【実施例3】
【0094】
【化19】
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【実施例3】
【0095】
これらのアミダイトモノマーを含むDNAの合成は、4つの天然の塩基に対応する市販のホスホロアミダイトモノマーを用いてネイチャー・プロトコルズ(Nature Protocols)誌2007年第2巻203ページから212ページに記載の方法で合成・精製した。合成したDNAを以下に示す。なお従来型のペリレン導入DNAは、テトラへドロンレターズ(Tetrahedron Letters)誌2007年第49巻6759頁から6762頁に記載の方法で合成した。結果を図3に示す。
【実施例3】
【0096】
E1a : 5’-GGTATCEGCAATC-3’
F1a : 5’-GGTATCFGCAATC-3’
L1a : 5’-GGTATCLGCAATC-3’
So (native) : 5’-GATTGCGATACC-3’
【実施例3】
【0097】
図3に示すように、今回新たに合成したF、Lは従来型のペリレンEと比較して、二重鎖DNA中でも十分な発光強度をもつことがわかった。またF、Lのモノマー発光はそれぞれ極大発光波長を約480 nm、500 nmに持ち、共役系が広がったことで、従来型のペリレンEに比べそれぞれ約20 nm、約40 nm長波長シフトした。
【実施例4】
【0098】
本実施例では、1塩基欠失検出プローブを設計し評価した。一塩基欠失を検出するプローブには、以下に示すように、欠失を検出したい一塩基の両隣りにLまたはFを導入したDNAを設計した。この場合、図1に示すように、野生型(T1)が二重鎖形成すると、蛍光色素の間にある塩基対により接触できないのでモノマー発光のみが観察される。しかし一塩基欠失多型では三塩基バルジを形成して二つの蛍光色素がバルジ内で接触するため、エキシマー又はエキシプレックス発光することが可能になる。
【実施例4】
【0099】
Probe DNA
FAF : 5’-GGTATCFAFGCAATC-3
LAL : 5’-GGTATCLALGCAATC-3
FAL : 5’-GGTATCFALGCAATC-3
Target DNA
So : 5’-GATTGCGATACC-3’
T1 : 5’-GATTGCTGATACC-3’
【実施例4】
【0100】
まずは野生型(T1)あるいは一塩基欠失(So)と二重鎖形成させた際の安定性を調べた。その結果は表1に示すように、三種類のプローブで、T1と二重鎖形成したときと比べ、欠失型のSoと二重鎖形成したときはバルジ型構造となるため大きく不安定化した。
【実施例4】
【0101】
【表1】
JP0005717169B2_000021t.gif
【実施例4】
【0102】
次にFAFをプローブに用いた場合の、1)プローブ単独(FAF)、2)野生型と二重鎖形成(FAF/T1)、3)一塩基変異多型(FAF/So)の蛍光スペクトルを図4に示す。
【実施例4】
【0103】
図4に示すように、野生型(T1)一塩基変異多型(So)いずれの場合もモノマー発光のみが観察された。FAF/Soでは色素同士の相互作用による消光のみが観察され、欠失型ターゲットを認識してのエキシマー発光は観測できなかった。
【実施例4】
【0104】
次にLALをプローブに用いた場合の、1)プローブ単独(LAL)、2)野生型と二重鎖形成(LAL/T1)、3)一塩基変異多型(LAL/So)の蛍光スペクトルを図5に示す。図5に示すように、欠失型DNAを認識してのエキシマー発光は観測できなかった。プローブ一本鎖(LAL)に比較してLAL/T1、LAL/Soの方が、蛍光強度が増大した。
【実施例4】
【0105】
次に本発明のヘテロ会合型プローブFALの、1)プローブ単独(FAL)、2)野生型と二重鎖形成(FAL/T1)、3)一塩基変異多型(FAL/So)の蛍光スペクトルを図6に示す。
【実施例4】
【0106】
驚くことに、Fの蛍光は完全に消光して、Lのモノマー発光のみが観測された。FからLへの高効率なFRETが起こっているためである。野生型との二重鎖(FAL/T1)と比較して一塩基欠失(FAL/So)ではわずかであるが550-600nm付近にエキシプレックス発光が観察されたことから、570nmより長波長側の発光強度はFAL/T1よりFAL/Soの方が若干大きくなった。そこでモノマー発光に基づく506nmの発光強度とエキシマー発光に基づく600nmの発光強度の比(I600/I506)を比較したところ、野生型(T1)ではI600/I506 = 0.168、欠失型(S0)ではI600/I506 = 0.245となり、明確な差が見られた。
【実施例5】
【0107】
本実施例では、三塩基欠失検出プローブの設計し、評価した。以下に示すように、三塩基欠失を検出するプローブには、欠失を検出したい三塩基の両隣りにLまたはFを導入したDNAを設計した。その原理は図2に示した一塩基欠失の場合とまったく同じである。
【実施例5】
【0108】
Probe DNA
FCTTL : 5’-AATATCATFCTTLTGGTGTTT-3
FCTTF : 5’-AATATCATFCTTFTGGTGTTT-3
LCTTL : 5’-AATATCATLCTTLTGGTGTTT-3
Target DNA
WT(野生型) : 5’-CATAGGAAACACCAAAGATGATATTTTCTTT-3’
MU(三塩基欠失型) : 5’-CATAGGAAACACCAATGATATTTTCTTT-3’
【実施例5】
【0109】
まずは野生型(WT)あるいは一塩基欠失(MU)と二重鎖形成させた際の安定性を調べた。その結果は表2に示すように、三種類のプローブで、WTと二重鎖形成したときと比べ、欠失型のWTと二重鎖形成したときはバルジ型構造となるため大きく不安定化した。
【実施例5】
【0110】
【表2】
JP0005717169B2_000022t.gif
【実施例5】
【0111】
次にFCTTFをプローブに用いた場合の、1)プローブ単独(FCTTF)、2)野生型と二重鎖形成(FCTTF/WT)、3)三塩基変異多型(FCTTF/MU)の蛍光スペクトルを図7に示す。図7に示すように、野生型(WT)三塩基変異多型(MU)いずれの場合もモノマー発光のみが観察され、欠失型ターゲットを認識してのエキシマー発光は観測できなかった。
【実施例5】
【0112】
次に、LCTTLをプローブに用いた場合の、1)プローブ単独(LCTTL)、2)野生型と二重鎖形成(LCTTL/WT)、3)三塩基変異多型(LCTTL/MU)の蛍光スペクトルを図8に示す。図8に示すように、野生型(WT)三塩基変異多型(MU)いずれの場合もモノマー発光のみが観察され、欠失型ターゲットを認識してのエキシマー発光は観測できなかった。
【実施例5】
【0113】
次に、FCTTLをプローブに用いた場合の、1)プローブ単独(FCTTL)、2)野生型と二重鎖形成(FCTTL/WT)、3)三塩基変異多型(FCTTL/MU)の蛍光スペクトルを図8に示す。
【実施例5】
【0114】
図8に示すように、FALの場合と同様に、Fの蛍光は完全に消光してLの発光のみが観測された。FからLへの高効率なFRETが起こっているためである。野生型との二重鎖(FCTTL/WT)と比較して三塩基欠失(FCTTL/MU)では、550-650nmにかけて、明確なエキシプレックス発光が観察された。そこでFALと同様にモノマー発光に基づく506nmの発光強度とエキシマー発光に基づく600nmの発光強度の比(I600/I506)を比較したところ、野生型(WT)ではI600/I506 = 0.063、欠失型(MU)ではI600/I506 = 0.35となり、5倍以上の明確な差が見られた。この差は目視でも十分に観察することができ、野生型では緑色、欠失型では黄色の発光として識別することができた。
【配列表フリ-テキスト】
【0115】
配列番号1~7:合成オリゴヌクレオチド
図面
【図3】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図6】
3
【図7】
4
【図8】
5
【図9】
6
【図1】
7
【図2】
8