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明細書 :AlN結晶の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5229735号 (P5229735)
登録日 平成25年3月29日(2013.3.29)
発行日 平成25年7月3日(2013.7.3)
発明の名称または考案の名称 AlN結晶の製造方法
国際特許分類 C30B  29/38        (2006.01)
C30B  15/02        (2006.01)
B01J  27/24        (2006.01)
B01J  27/20        (2006.01)
B01J  21/06        (2006.01)
FI C30B 29/38 C
C30B 15/02
B01J 27/24 M
B01J 27/20 M
B01J 21/06 M
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2008-533177 (P2008-533177)
出願日 平成19年9月5日(2007.9.5)
国際出願番号 PCT/JP2007/067265
国際公開番号 WO2008/029827
国際公開日 平成20年3月13日(2008.3.13)
優先権出願番号 2006242973
優先日 平成18年9月7日(2006.9.7)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年8月20日(2010.8.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000080
【氏名又は名称】タマティーエルオー株式会社
発明者または考案者 【氏名】大塚 寛治
【氏名】清宮 義博
【氏名】高木 健児
【氏名】杉田 薫
個別代理人の代理人 【識別番号】100110858、【弁理士】、【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
【識別番号】100100413、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 温
審査官 【審査官】吉田 直裕
参考文献・文献 特開平07-277897(JP,A)
特開2003-505331(JP,A)
特開2004-189549(JP,A)
清宮義博, 篠田哲守,AlとBNの固液反応によるAlN生成条件の解明,日本金属学会講演概要,2005年 3月29日,Vol.136th,Page.327
清宮義博, 小野寺健二, 山口俊久,AlとBNの固液反応によるAlN生成条件の解明,軽金属学会大会講演概要,2005年10月20日,Vol.109th,Page.351-352
調査した分野 C30B 1/00-35/00
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
窒素雰囲気下に位置している溶融Alに種結晶を接触させ、
前記種結晶と前記溶融Alの界面に、窒化物の生成自由エネルギーがAlより小さい元素を供給し、
前記元素を触媒として前記溶融Alに溶解した窒素と前記溶融Alを反応させることにより、前記種結晶にAlN結晶を成長させ
前記元素はシリコン、鉄、モリブデン、クロム、バナジウム、マンガン、インジウム、ガリウム、タンタル、ハフニウム、及びトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である、AlN結晶の製造方法。
【請求項2】
前記窒素雰囲気を4気圧以上にする請求項1に記載のAlN結晶の製造方法。
【請求項3】
前記溶融Alと前記種結晶の界面の温度を800℃以上にする請求項1又は2に記載のAlN結晶の製造方法。
【請求項4】
前記窒素雰囲気に、前記元素を含む化合物の気体を混入させ、前記溶融Alに前記気体を溶かし込むことにより、前記種結晶と前記溶融Alの界面に前記元素を供給する請求項1~のいずれか一項に記載のAlN結晶の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なAlN結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイスや高輝度発光デバイスには化合物半導体装置が使用される。パワーデバイスや高輝度発光デバイスの基板に求められる特性として、化合物半導体と格子定数が整合していること、バンドギャップが大きいこと、放熱性が良いことなどが挙げられる。従来は、Si単結晶基板又はサファイア基板上に、構造を工夫したバッファ層を形成し、このバッファ層上に化合物半導体層を形成することにより、化合物半導体装置を形成していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したように、従来方法では基板と半導体層の間に、構造を工夫したバッファ層を形成する必要があった。このため製造コストが高くなっていた。
一方、AlNは、バンドギャップが紫外域にあり大きく、熱伝導率も高く、かつAlGaN等との格子定数の整合性も良いため、AlNを化合物半導体装置の基板として使用した場合、バッファ層を形成する必要がない。しかし、結晶性の良いAlN結晶を十分な大きさに成長させることはできなかった。
【0004】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、結晶性の良いAlN結晶を成長させることが可能な新規なAlN結晶の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、Alと窒化物の生成自由エネルギーがAlより小さい元素のいずれかを同一容器内に挿入し、窒素雰囲気下で加熱してAlを溶融させると、この元素を触媒としてAlと雰囲気中の窒素が反応し、AlNが生成することを見出した。例えばBNを用いる場合、まずAlとBの化合物であるAlB12が生成すると考えられる。そしてNがAlB12に含まれるBと結合し、その後Alに受け渡されることにより、AlNが生成する。
【0006】
本発明は、この知見に基づいてなされたものである。すなわち本発明に係るAlN結晶の製造方法は、窒素雰囲気下に位置している溶融Alに種結晶を接触させ、
前記種結晶と前記溶融Alの界面に、窒化物の生成自由エネルギーがAlより小さい元素を供給し、
前記元素を触媒として前記溶融Alに溶解した窒素と前記溶融Alを反応させることにより、前記種結晶にAlN結晶を成長させるものである。
【0007】
前記元素は、例えばボロン、カルシウム、シリコン、鉄、モリブデン、クロム、バナジウム、マグネシウム、マンガン、インジウム、ガリウム、タンタル、ハフニウム、及びトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である。前記窒素雰囲気を4気圧以上にするのが好ましい。また前記溶融Alと前記種結晶の界面の温度を800℃以上にするのが好ましい。前記窒素雰囲気に、前記元素を含む化合物の気体を混入させ、前記溶融Alに前記気体を溶かし込むことにより、前記種結晶と前記溶融Alの界面に前記元素を供給してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、新規な方法でAlN結晶を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係るAlNの製造方法で用いられるAlN製造装置の構成を説明する為の縦断面概略図。
【図2】第2の実施形態に係るAlNの製造方法で用いられるAlN製造装置の構成を説明する為の縦断面概略図。
【符号の説明】
【0010】
2…溶融Al
4…種結晶
10…容器
20…ヒータ
30…種結晶保持部
32…Al供給部
34…触媒元素供給部
50…チャンバー
52…窒素ガス供給部
54…ポンプ
56…触媒元素含有ガス供給部
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るAlNの製造方法に用いられるAlN製造装置の構成を説明する為の縦断面概略図である。このAlN製造装置は、溶融Al2を保持する容器10、容器10内の溶融Alを加熱するヒータ20、種結晶4を保持する種結晶保持部30、溶融Al2にAl6を供給するAl供給部32、及び触媒として機能する元素(以下、触媒元素と記載)を含有する物質(以下、触媒元素含有物と記載)を溶融Alに供給する触媒元素供給部34を有している。これらの各構成要素はチャンバー50内に配置されている。チャンバー50の内部は、窒素ガス供給部52によって加圧された窒素雰囲気にすることができる。またチャンバー50の内部はポンプ54によって排気可能である。
【0012】
触媒元素とは、窒化物の生成自由エネルギーがAlより小さい元素であり、例えばボロン、カルシウム、シリコン、鉄、モリブデン、クロム、バナジウム、マグネシウム、マンガン、インジウム、ガリウム、タンタル、ハフニウム、及びトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である。触媒元素含有物は、その元素単体であってもよいし、窒化物(例えばBN、Si、又はCa)であっても良いし、炭化物(例えばBC)であっても良い。
【0013】
種結晶は、例えばAlN結晶であるが、AlNと同じ六方晶系の結晶構造を有しており、AlNの格子定数を基準とした場合の格子定数が65%以上135%以下又は150%以上250%以下の物質であって、生成自由エネルギーがAlNより近い物質からなる結晶(例えばSi、BN、又はGaN)であってもよい。種結晶の格子定数がAlNの格子定数の65%以上135%以下の場合は、種結晶とAlNの結晶は格子が一対一で整合し、種結晶の格子定数がAlNの格子定数の150%以上250%以下の場合は、種結晶とAlNの結晶は格子が一対二で整合する。
【0014】
次に、図1のAlN製造装置を用いてAlNを製造する方法を説明する。まず、容器10の内部にAl片を挿入する。次いで、ポンプ54でチャンバー50の内部を排気した後、窒素ガス供給部52によってチャンバー50の内部に窒素ガスを供給する。これにより、チャンバー50の内部は窒素雰囲気になる。窒素雰囲気の圧力は4気圧以上30気圧以下であるのが好ましいが、常圧であってもよい。次いで、所定量の触媒元素含有物を容器10の内部に供給し、ヒータ20を用いてAl片を溶融する。これにより、容器10内に、触媒元素が溶け込んだ溶融Al2が生成する。このときの溶融Al2の温度は、800℃以上1300℃以下であるのが好ましい。
【0015】
次いで、種結晶保持部30に保持された種結晶4を回転させながら、種結晶4の下面を溶融Al2に浸す。種結晶4と溶融Al2の界面には触媒元素が位置している。この状態において、触媒元素は溶融Al2に溶解した窒素と反応して窒化する。上記したように触媒元素は、窒化物の生成自由エネルギーがアルミニウムより小さい。このため、触媒元素と結合した窒素がアルミニウムに受け渡され、アルミニウムが窒化する。このようにして、触媒元素を触媒としたアルミニウムの窒化反応が進行し、これにより、種結晶4にAlN結晶が成長する。AlN結晶が成長する間、Al供給部32及び触媒元素供給部34によって、適宜Al6及び触媒元素含有物を追加することにより、溶融Al2に含まれる触媒元素の濃度を最適値に制御する。これにより、種結晶4におけるAlN結晶の成長が持続し、AlNの結晶棒が生成する。また、条件を調整することにより、AlNの単結晶棒を生成することができる。
【0016】
なお、溶融Alの温度及び窒素雰囲気の圧力を、AlNの生成反応が起こる寸前の条件に設定しておき、種結晶4と溶融Al2の界面の温度を加熱する加熱手段(図示せず)を用いて界面の温度のみを上昇させても良い。
【0017】
以上、本実施形態によれば、引き上げ法(CZ法)によりAlNの結晶棒を生成することができる。また、条件を調整することにより、AlNの単結晶棒を生成することができる。
【0018】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るAlNの製造方法で用いられるAlN製造装置の構成を説明する為の縦断面概略図である。本図に示すAlN製造装置は、触媒元素供給部34の代わりに触媒元素含有ガス供給部56を有する点を除いて、第1の実施形態に係るAlN製造装置と同様の構成である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0019】
触媒元素含有ガス供給部56は、窒素雰囲気に、触媒元素を含む化合物の気体(例えばB又はSiH)を混入させ。これら気体を溶融Alに溶かし込ませることにより、溶融Alに触媒元素を溶かし込ませる。
【0020】
本実施形態に係るAlNの製造方法は、触媒元素供給部34の代わりに触媒元素含有ガス供給部56を用いて溶融Alに触媒元素を溶かし込ませる点を除いて、第1の実施形態に係るAlNの製造方法と同様である。
本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0021】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1