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明細書 :窒化アルミニウム粉末の処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5351426号 (P5351426)
公開番号 特開2009-234862 (P2009-234862A)
登録日 平成25年8月30日(2013.8.30)
発行日 平成25年11月27日(2013.11.27)
公開日 平成21年10月15日(2009.10.15)
発明の名称または考案の名称 窒化アルミニウム粉末の処理方法
国際特許分類 C01B  21/072       (2006.01)
FI C01B 21/072 R
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2008-083720 (P2008-083720)
出願日 平成20年3月27日(2008.3.27)
審査請求日 平成23年3月17日(2011.3.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000080
【氏名又は名称】タマティーエルオー株式会社
発明者または考案者 【氏名】清宮 義博
【氏名】大塚 寛治
【氏名】水野 愛
個別代理人の代理人 【識別番号】100110928、【弁理士】、【氏名又は名称】速水 進治
【識別番号】100127236、【弁理士】、【氏名又は名称】天城 聡
審査官 【審査官】廣野 知子
参考文献・文献 国際公開第2008/029827(WO,A1)
国際公開第2008/001661(WO,A1)
特開2005-225947(JP,A)
特開平04-031339(JP,A)
特開2005-162555(JP,A)
調査した分野 C01B 21/072
特許請求の範囲 【請求項1】
アルミニウムを窒素雰囲気下で熱処理することにより、前記アルミニウムと窒素を反応させて窒化アルミニウム粉末を製造する工程と、
前記窒化アルミニウム粉末を酸素含有雰囲気下で熱処理することにより、前記窒化アルミニウム粉末の表面に酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層を形成する工程と、
を有し、
前記酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層を形成する工程は、前記窒化アルミニウム粉末を製造する工程の後に、前記窒化アルミニウム粉末を室温に冷却する前に酸素含有雰囲気下におくことにより前記酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層を形成する工程である窒化アルミニウム粉末の処理方法。
【請求項2】
請求項に記載の窒化アルミニウムの処理方法において、
前記窒化アルミニウム粉末を製造する工程は、窒化物の生成自由エネルギーがアルミニウムより小さい元素である触媒元素の窒化物を、前記アルミニウムとともに窒素雰囲気下で熱処理する工程である窒化アルミニウム粉末の処理方法。
【請求項3】
請求項に記載の窒化アルミニウムの処理方法において、
前記触媒元素はボロン、カルシウム、シリコン、鉄、モリブデン、クロム、及びバナジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である窒化アルミニウム粉末の処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化アルミニウムの処理方法及び窒化アルミニウムに関し、特に、粉末状の窒化アルミニウムの処理方法及び窒化アルミニウムに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化アルミニウムは、熱伝導率が高く、熱膨張係数が低く、化学的にも安定である。このため、近年、半導体デバイス等やエンジン部材等、様々な分野へ応用されることが期待されている。
【0003】
窒化アルミニウムを製造する方法としては、高い気圧(例えば100気圧)の窒素雰囲気中でアルミニウムを高温(例えば1600°)に加熱する方法がある。この方法によれば、窒化アルミニウムの粉末を得ることができる。非特許文献1には、窒化アルミニウムの製造に関する研究が開示されている。

【非特許文献1】小橋眞、斎木健蔵ら、日本軽金属学会第104回講演概要集(2003)2.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窒化アルミニウムは金属や有機物に対する濡れ性が低い。このため、窒化アルミニウムの粉末を溶融金属や液状の有機物と混合しようとしても、うまく混合できなかった。
【0005】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、窒化アルミニウムの粉末と溶融金属又は液状の有機物との濡れ性を改善することができる窒化アルミニウム粉末の処理方法及び窒化アルミニウムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、窒化アルミニウム粉末を、酸素含有雰囲気下で熱処理することにより、前記窒化アルミニウム粉末の表面に酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層を形成する工程を有する窒化アルミニウム粉末の処理方法が提供される。
【0007】
本発明によれば、表面に酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層が形成された粉末状の窒化アルミニウムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面に酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層が形成された粉末状の窒化アルミニウムが提供される。酸化アルミニウム層又は酸窒化アルミニウム層は金属や有機物に対して濡れ性が高いため、窒化アルミニウムの粉末と溶融金属又は液状の有機物との濡れ性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、実施形態に係る窒化アルミニウム粉末の処理方法について、図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る窒化アルミニウム粉末の処理方法に用いられるシリコンカーバイト抵抗炉の構成図である。この抵抗炉は、反応チャンバー10を有している。反応チャンバー10には排気口102及びガス導入口101が設けられている。反応チャンバー10内には、容器13を均一に加熱するための均熱さや12、及び均熱さや12を介して容器13を加熱するためのシリコンカーバイトヒータ14が設けられている。容器13の底部には熱電対15が位置しているため、容器13の温度を反応チャンバー10の外部でモニターすることができる。容器13は、反応の均一性の観点から、浅くて広いほうが好ましい。
【0010】
次に、上記のシリコンカーバイト抵抗炉を用いた窒化アルミニウム粉末の処理方法について説明する。まず、例えばV型混合器を用いて起爆剤用窒化物の粉末とアルミニウムの粉末を混合し、粉末混合物21を作る。起爆剤用窒化物は、窒化物の生成自由エネルギーがアルミニウムより小さい元素である触媒元素の窒化物である。触媒元素は、シリコン、ボロン、カルシウム、鉄、モリブデン、クロム、及びバナジウムの少なくとも一つである。粉末混合物21の起爆剤用窒化物の含有率は、例えば重量比で0.005%以上0.1%以下である。粉末混合物21をプレス機で加圧することにより、粉末混合物21を気孔の多い塊にしてもよい。
【0011】
次いで、粉末混合物21を容器13の中央の底に配置し、アルミニウム20を容器13内に堆積させる。アルミニウム20は、インゴット片であるのが好ましい。容器13は、高温において窒素ガスを浸透させることができるように、ある程度の通気性を持ったもの(例えばアルミナ製の容器)が望ましい。
【0012】
次いで、容器13を、反応チャンバー10の均熱さや12の内側に配置する。次に、排気口102から反応チャンバー10内部を排気し、その後ガス導入口101から窒素ガス、または窒素ガスと不活性ガスの混合ガスを導入する。これにより、反応チャンバー10の内部は酸素を含まない窒素含有雰囲気になる。雰囲気の窒素含有量は、例えば50%以上100%以下である。反応チャンバー10内部における窒素ガスの圧力は、例えば排気口102からオーバーフローする常圧雰囲気であるが、加圧雰囲気であってもよいし、減圧雰囲気であってもよい。
【0013】
次に、シリコンカーバイトヒータ14で容器13を、例えば800℃以上1400℃以下まで10℃/分以上の速度で加熱する。これにより、容器13内でアルミニウム20および粉末混合物21のアルミニウムが溶融する。この状態において、粉末混合物21中の起爆剤用窒化物はアルミニウム融液に接触する。上記したように、起爆剤用窒化物は、窒化物の生成自由エネルギーがアルミニウムより小さい元素である触媒元素の窒化物である。このため、起爆剤用窒化物は分解し、窒素はアルミニウムに取り込まれて窒化アルミニウムになる。この反応は発熱反応であるため、粉末混合物21及びその近くは急激に温度が上昇し、これによりアルミニウム中に溶け込んでいる窒素とアルミニウムの直接窒化反応が起こる。この反応も発熱反応であるため、容器13の内部の全体で爆発的に反応が進む。このように、容器13の中で生じるアルミニウムの窒化反応は急速に進むため、溶融アルミニウムの流動による窒化アルミニウムの結晶成長をする時間が与えられず、その結果、粒径がある範囲内にそろった窒化アルミニウムの粉末が形成される。
【0014】
この窒化アルミニウム粉末の生成過程において、窒化反応が進行する速度は、粉末混合物21の塊の大きさ、及び雰囲気中の窒素含有量によって制御することができる。これにより窒化アルミニウムの粉末の粒度分布も制御できる。また、雰囲気の圧力を上げることによっても制御できる。また、容器13を大きくして混合物21の塊を複数個所に分散させることにより、大量生成も可能である。
【0015】
その後、熱電対15による検出温度が降下し始めたら、シリコンカーバイドヒータ14の電源を切り、自然放熱による冷却又は速度が制御された冷却を開始する。そして、反応チャンバー10の内部を排気するとともに、ガス導入口101から酸素ガス、又は酸素と不活性ガスを混合した酸素含有ガスを導入して、反応チャンバー10の内部を酸素含有雰囲気にする。雰囲気中の酸素含有率は、例えば50%以上100%以下である。反応チャンバー10内部における窒素ガスの圧力は、排気口102よりオーバーフローする常圧雰囲気が好ましい。また、雰囲気を酸素含有雰囲気にするとき、熱電対15による容器13の温度は600℃以上であるのが好ましい。
【0016】
生成直後の窒化アルミニウム粉末の表面は非常に活性であるため、窒化アルミニウムの粉末の表面の略全面には、均質な酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層が形成される。酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層の厚みは、例えば10nm以下である。酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層の厚みは、例えば反応チャンバー10の内部を酸素雰囲気にするときの容器13の温度、及び雰囲気の酸素含有量によって調節することができる。酸化アルミニウム層又は酸窒化アルミニウム層は金属や有機物に対して濡れ性が高いため、窒化アルミニウムの粉末と金属や有機物との濡れ性が改善される。
【0017】
以上、本実施形態によれば、窒化アルミニウムの粉末の表面には、酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層が形成される。このため、窒化アルミニウムの粉末と金属や有機物との濡れ性を改善することができる。また、窒化アルミニウムは加水分解しやすいが、本実施形態にかかる窒化アルミニウムの粉末は、酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層が保護層になるため、耐水性が高い。
【0018】
なお、生成した窒化アルミニウムの粉末を、いったん冷却したのち、必要な温度まで加熱して酸素含有雰囲気下においても、窒化アルミニウムの粉末の表面に酸化アルミニウム層又は酸窒化アルミニウム層を形成することができる。この場合、雰囲気を酸素と窒素の混合雰囲気にするのが好ましい。また、生成した窒化アルミニウムを粉砕等により細かくした後に、必要な温度まで加熱して酸素含有雰囲気下においてもよい。
【0019】
また、出発原料に起爆剤用窒化物が含まれていなくてもよい。この場合、代わりに触媒元素を含む物質を出発原料に含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0020】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば上記した処理を行う装置は上記したシリコンカーバイト抵抗炉に限定されない。上記した実施形態によれば、以下の発明が開示されている。
(付記1)
窒化アルミニウム粉末を酸素含有雰囲気下で熱処理することにより、前記窒化アルミニウム粉末の表面に酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層を形成する工程を有する窒化アルミニウム粉末の処理方法。
(付記2)
付記1に記載の窒化アルミニウムの処理方法において、
前記酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層を形成する工程の前に、
アルミニウムを窒素雰囲気下で熱処理することにより、前記アルミニウムと窒素を反応させて前記窒化アルミニウム粉末を製造する工程を備え、
前記酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層を形成する工程は、前記窒化アルミニウム粉末を製造する工程の後に、前記窒化アルミニウム粉末を室温に冷却する前に酸素含有雰囲気下におくことにより前記酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層を形成する工程である窒化アルミニウム粉末の処理方法。
(付記3)
付記2に記載の窒化アルミニウムの処理方法において、
前記窒化アルミニウム粉末を製造する工程は、窒化物の生成自由エネルギーがアルミニウムより小さい元素である触媒元素の窒化物を、前記アルミニウムとともに窒素雰囲気下で熱処理する工程である窒化アルミニウム粉末の処理方法。
(付記4)
付記3に記載の窒化アルミニウムの処理方法において、
前記触媒元素はボロン、カルシウム、シリコン、鉄、モリブデン、クロム、及びバナジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である窒化アルミニウム粉末の処理方法。
(付記5)
表面に酸化アルミニウム層または酸窒化アルミニウム層が形成された粉末状の窒化アルミニウム。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る窒化アルミニウムの処理方法に用いるシリコンカーバイト抵抗炉の構成図である。
【符号の説明】
【0022】
10 反応チャンバー
12 均熱さや
13 容器
14 シリコンカーバイトヒータ
15 熱電対
20 アルミニウム
21 粉末混合物
101 ガス導入口
102 排気口
図面
【図1】
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