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明細書 :パターンの形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5658513号 (P5658513)
公開番号 特開2012-048183 (P2012-048183A)
登録日 平成26年12月5日(2014.12.5)
発行日 平成27年1月28日(2015.1.28)
公開日 平成24年3月8日(2012.3.8)
発明の名称または考案の名称 パターンの形成方法
国際特許分類 G03F   7/20        (2006.01)
H01L  21/027       (2006.01)
B81C   1/00        (2006.01)
FI G03F 7/20 501
H01L 21/30 564Z
H01L 21/30 565
B81C 1/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 14
出願番号 特願2010-204886 (P2010-204886)
出願日 平成22年8月27日(2010.8.27)
審査請求日 平成25年8月7日(2013.8.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】堀内 敏行
個別代理人の代理人 【識別番号】100101269、【弁理士】、【氏名又は名称】飯塚 道夫
審査官 【審査官】佐野 浩樹
参考文献・文献 特開2007-329181(JP,A)
特開昭54-143231(JP,A)
特開2010-061085(JP,A)
特開2010-105184(JP,A)
特開2007-298805(JP,A)
特開2005-051180(JP,A)
特開2008-182211(JP,A)
特開2009-069592(JP,A)
調査した分野 H01L 21/027
特許請求の範囲 【請求項1】
基板に感光性物質を直接付着させる工程と、
空気圧でノズルから液体を押し出す空気圧式のディスペンサを使って、前記感光性物質上に遮光液によって露光光線の透過率が50%以下となる遮光パターンを直接描画して形成する工程と、
前記遮光パターンをマスキング材料として前記感光性物質を露光する工程と、
該感光性物質を現像して該感光性物質の感光部または未感光部を除去し、該感光性物質のパターンを最終的に基板上に残して構造体とし得る工程と、
を含むことを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項2】
請求項1に示すパターンの形成方法において、
前記遮光パターンを直接描画して形成する工程で描画される前記遮光パターンが、マイクロ容器のパターン形状またはマイクロ容器パターンの反転形状とされることを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に示すパターンの形成方法において、
感光性物質が膜厚20μm以上の厚いネガ型レジストであり、遮光パターンがマイクロ容器パターンの反転形状であり、
前記構造体とされる感光性物質のパターンとして、マイクロ容器の穴パターンを得ることを特徴とするパターンの形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ用の高価な露光装置やレチクルやマスクなどの高価な原図基板を用いることなく、簡便に安価な装置、器材によって、マイクロ流路の溝パターンやマイクロ容器の穴パターンなど、パターン断面の側壁が基板面に対して急峻な厚い感光性物質のパターンを形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィは可視光、紫外光、遠紫外光、真空紫外光、極端紫外光、X線などの広義の光線または電子ビーム、イオンビームなどの荷電ビームを、所望の形状を指定してレジストに照射することにより該レジストを感光させ、そののちに行う現像によって、ポジ型レジストの場合には感光部、ネガポジ型レジストの場合には未感光部を除去し、該レジストからなる所望の形状を有する微細パターンを得る技術である。
【0003】
リソグラフィは半導体集積回路や光エレクトロニクスデバイス、液晶パネルの製造のほか、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)と総称される微細構造体やセンサ、アクチュエータなどの製造に広く利用されている。
【0004】
リソグラフィにおいて、レジストを所望のパターン形状に感光させる露光工程の露光方法には様々な方式があるが、大別すると、マスクまたはレチクルを原図として用いる転写方式と、それらを用いずに単一または複数の光線ビームまたは荷電ビームを被露光物に対して走査する直接描画方式とがある。
【0005】
光線ビームまたは荷電ビームの被露光物に対する走査は相対的でよく、光線ビームまたは粒子線ビームを走査しても、被露光物を走査しても、光線ビームまたは粒子線ビームと被露光物の双方を走査してもよい。
【0006】
また、場合によっては、マスクまたはレチクルを用いる露光と、光線ビームまたは粒子線ビームによる露光とを組み合わせて露光を行うこともある。
【0007】
マスクまたはレチクルを用いる露光には、レジストを付した被露光物に原図とするマスクを接触させて露光を行う密着露光、レジストを付した被露光物と原図とするマスクとを近接させて露光を行う近接露光、原図とするレチクル上のパターンを、レンズを用いた投影光学系、ミラーを用いた投影光学系、またはレンズとミラーを組み合わせた投影光学系により被露光物上に投影し、該レチクル上のパターンの投影像を作って露光する投影露光などがある。
【0008】
密着露光、近接露光、投影露光など、マスクやレチクルなどの原図基板を用いて露光を行なって原図基板上のパターンを被露光基板上に転写する方法においては、露光を行なうために、マスクアライナや光ステッパ、光スキャナなどの大掛かりで高価な露光装置を必要とする。
【0009】
これらの露光装置はクリーンルームなどの清浄空間に設置して使用しなければならず、かつ、床面積が大きい。また、性能を維持するため、保守に費用と手間がかかる。
【0010】
また、原図基板を用いて露光を行なう場合に用いるマスクやレチクルなどの原図基板も高価である。
【0011】
MEMSなど少量多品種製品が多い分野では、リソグラフィを適用するには、設備の導入費と原価償却費、外部への露光依頼やアウトソーシング費用、原図基板価格などの製品価格への影響をよく考慮した上で利用しなければならないが、中小規模の生産業者は、露光設備を導入するにしろ、外部の露光依頼やアウトソーシングを利用するにしろ、費用が折り合わず、手軽に利用することが難しい場合が多い。
【0012】
一方、光線ビームまたは荷電ビームを被露光物に対して走査する直接描画によって露光を行なう場合も、レーザ描画装置、電子ビーム描画装置、イオンビーム描画装置などの大掛かりで高価な露光装置を必要とすることに変わりはなく、これらの装置は、場合によると、前記のマスクアライナや光ステッパ、光スキャナより高額である。
【0013】
また、クリーンルームなどの清浄空間に設置して使用しなければならず、床面積が大きいこと、また、性能を維持するため、保守に費用と手間がかかる点も同様である。
【0014】
さらに、市販のリソグラフィ用露光装置においては、被露光物が特定の大きさや形状・寸法を有する半導体ウエハ、ガラス基板、プラスチック基板などに限定されることが多く、かつ、平面度がかなり良い平面基板が被露光物として利用されている。
【0015】
このため、簡便安価にレジストパターンを得る方法が嘱望されており、安価で購入できて保守も容易な小規模簡便な設備、装置を用いて、高価な原図基板も不要なレジストパターン形成方法があれば、ベストである。
【0016】
また、MEMSなどの分野では、大抵の場合、必要なレジストパターンの微細度が半導体集積回路などと比べると桁違いに緩く、多くの場合、具体的には、必要するパターンの最小寸法が数μm~数100μmである。
【0017】
一方、被露光物の大きさや形状・寸法がまちまちであったり、表面の平面度が半導体ウエハほど良くなかったりすることが多く、場合によっては、曲面上へのパターン形成が必要とされる場合もある。
【0018】
したがって、レジストを被露光物表面に付した後、従来のリソグラフィ用露光装置を用いた露光によってレジストを所定の形状に感光させ、その後、現像してレジストパターンを得る方法に代わる、最小寸法が数μm~数100μm程度の用途に適し、平面度があまり良くない被露光物にも、場合によっては曲面の被露光物にも適用できる、簡便、安価なレジストパターン形成方法が必要である。
【0019】
そのため、たとえば、特許文献1に示すようにディスペンサを用いてレジストパターンを形成する方法や、特許文献2に示すようにインクジェットプリンタを用いてレジストパターンを形成する方法が提案、開示されている。
【0020】
また、特許文献3には、原図となるスクリーン原版が必要なものの、リソグラフィと比べると装置、設備が遥かに安価、簡便なスクリーン印刷を用いて、レジストパターンを形成する方法が開示されている。

【特許文献1】特開2005-51180号公報
【特許文献2】特開平8-156254号公報
【特許文献3】特開2010-182721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかし、ディスペンサやインクジェットプリンタを用いてレジストパターンを描くと、レジストが被露光物表面で広がり、パターンの膜厚が一様になりにくいという問題があった。
【0022】
たとえば、空気圧式ディスペンサを用いて、直線レジストパターンを描くと、該直線レジストパターンは、図4の(a)の電子顕微鏡写真の断面形状13および模式図(b)の15に例を示すような線幅に比して厚さが小さい弓形形状や、(c)の電子顕微鏡写真の断面形状17および模式図(d)の19に例を示すような線幅に比して厚さが小さい丸みを帯びた台形形状や円弧形状の断面を有する。
【0023】
図4(a)乃至(d)に示した、電子顕微鏡写真の14および模式図の16、電子顕微鏡写真の18、および模式図の20は基体1の断面である。
【0024】
インクジェットプリンタを用いて遮光パターンを直接描画する場合も、スクリーン印刷を用いてレジストパターンを形成する場合にも、レジストパターンの断面側壁は、ディスペンサを用いて遮光パターンを直接描画する場合と同様に、なだらかな傾斜の側壁となってしまい、断面側壁が基板面に垂直またはそれに近い急峻な傾斜とはならない。
【0025】
また、スクリーン印刷を用いる場合には、微視的に観察すると、スクリーンのメッシュの形状がパターンの表面の凹凸に反映される。
【0026】
そして、ディスペンサやインクジェットプリンタを用いてレジストパターンを描く場合も、スクリーン印刷を用いてレジストパターンを形成する場合も、パターンの厚さを大きく取ることは難しく、たとえば、10μm以上の膜厚とすることはかなり困難であった。
【0027】
前記した従来のリソグラフィ用露光装置を用いて露光・現像のプロセスを経てレジストパターンを得る場合には、レジストを被露光物表面に一様に塗布してから露光・現像を行ない、レジストがポジ型ならば、感光部が現像時に現像液に溶け、レジストがネガ型ならば、非感光部が現像時に現像液に溶ける。
【0028】
したがって、リソグラフィ用露光装置を用いて露光・現像のプロセスを経てレジストパターンを得る場合には、レジストパターン断面の高さ、すなわちレジストパターンの厚さはほぼ一様である。
【0029】
そして、リソグラフィ用露光装置を用いて露光・現像のプロセスを経てレジストパターンを得る場合には、図4(a)乃至(d)に示したような、レジストパターンの全幅に亘って顕著にレジストパターンの高さすなわち厚さが異なる現象は生じない。
【0030】
また、リソグラフィ用露光装置を用いて露光・現像のプロセスを経てレジストパターンを得る場合には、断面側壁を基板面に垂直またはそれに近い急峻な傾斜とできる。
【0031】
レジストパターンの厚さを一様にできないと、該レジストパターンをドライエッチング用のマスクパターンとするときに、エッチング耐性がパターン線幅方向に異なってしまい、レジストパターンが薄い部分でドライエッチングされる被加工物が必要以上に削られてしまう。
【0032】
一方、レジストパターンが薄かったり、断面側壁が急峻でなかったりすると、レジストパターンをめっきのモールドとして三次元マイクロ部品を作成することが難しい。
【0033】
また、溝状のレジストパターンをそのまま直接、マイクロリアクタやマイクロミキサなどのマイクロ流路用、マイクロビーカ、マイクロセルなどのマイクロ容器用として用いるにも、深さが小さかったり、断面側壁がなだらかだったりすると、利用価値がない。
【0034】
しかし、ディスペンサやインクジェットプリンタを用いてパターンを描くには、液体を細いノズルや穴から吐出しなければならないため、レジストでパターンを描くには、該レジストの粘度がある程度低いことが必要である。
【0035】
ところが、レジストの粘度が低いと吐出されたレジストは広がりやすくなり、レジストパターンの高さすなわち厚さを大きくしたい要望と条件が背反する。
【0036】
また、スクリーン印刷の場合も、印刷用のインクがスクリーンメッシュを通り抜けるのに適切な粘度を有していることが必要であり、レジストをインク代わりに用いてレジストパターンを形成するには、該レジストが印刷メッシュの通過に適した粘度であることが必要である。
【0037】
このようにレジストの粘度範囲が制限されるため、スクリーン印刷で形成できるレジストパターンは厚さの範囲が制限されてしまい、めっきのモールドとしたり、マイクロリアクタやマイクロミキサなどのマイクロ流路やマイクロビーカ、マイクロセルなどのマイクロ容器のパターンとしたりするのに十分な厚さを確保することができない。
【0038】
本発明が解決しようとする課題は、高価な従来のリソグラフィ用露光装置を用いることなく、高価なリソグラフィ用原図基板を用意することなく、平面度があまり良くない被露光物にも、場合によっては曲面の被露光物やフレキシブルな被露光物にも、最小寸法が数μm~数100μm程度で、膜厚が厚い、例えば20μm以上のレジストパターンを容易に形成できる方法を新たに提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明の請求項1に示すパターンの形成方法は、基板に感光性物質を直接付着させる工程と、
空気圧でノズルから液体を押し出す空気圧式のディスペンサを使って、前記感光性物質上に遮光液によって露光光線の透過率が50%以下となる遮光パターンを直接描画して形成する工程と、
前記遮光パターンをマスキング材料として前記感光性物質を露光する工程と、
該感光性物質を現像して該感光性物質の感光部または未感光部を除去し、該感光性物質のパターンを最終的に基板上に残して構造体とし得る工程と、
を含むことを特徴とする。
【0040】
本発明の請求項2に示すパターンの形成方法は、請求項1に示すパターンの形成方法において、
前記遮光パターンを直接描画して形成する工程で描画される前記遮光パターンが、マイクロ容器のパターン形状またはマイクロ容器パターンの反転形状とされることを特徴とする。
【0042】
本発明の請求項に示すパターンの形成方法は、請求項1又は2に示すパターンの形成方法において、
感光性物質が膜厚20μm以上の厚いネガ型レジストであり、遮光パターンがマイクロ容器パターンの反転形状であり、
前記構造体とされる感光性物質のパターンとして、マイクロ容器の穴パターンを得ることを特徴とするパターンの形成方法。
【発明の効果】
【0043】
本発明によると、ディスペンサやインクジェットプリンタによって描いたり、スクリーン印刷したりして得た、厚さが薄くて不均一で、断面側壁がなだらかなパターンを基に、均一厚さの厚い感光性物質パターンを得ることができる。
【0044】
ディスペンサやインクジェットプリンタによってパターンを描くか、スクリーン印刷によってパターンを形成するため、投影露光装置、マスクアライナなどの高価な従来のリソグラフィ用露光装置を用いることなく、また、マスクやレチクルなどの高価な原図基板を用意することもなく、最小寸法が数μm~数100μm程度で20μm程度以上の膜厚を有する感光性物質パターンを安価、簡便に形成することができる。
【0045】
また、非定形の被露光物や、平面基板以外に、平面度があまり良くない被露光物や、場合によっては曲面の被露光物やフレキシブルな基体にも、最初に該基体の表面に均一に感光性物質を付しておけば、均一膜厚の感光性物質のパターンを安価、簡便に形成できる。
【0046】
ディスペンサやインクジェットプリンタやスクリーン印刷装置は、リソグラフィ用の露光装置に比較すると装置価格が格段に安く、維持費や使用材料費も低額なため、中小規模の生産業者でも設備を導入したり、外部の設備を利用したりすることができ、技術を手軽に利用できる。
【0047】
また、従来のディスペンサやインクジェットプリンタによってレジストパターンを直接描画する方法やスクリーン印刷によりレジストパターンを形成する場合には、レジストの粘度や被露光物との親和性などの関係から、パターン形成に最適なレジストが後のエッチングやめっきなど後の工程で必ずしも最適なレジストとは限らず、逆に後の工程で最適なレジストではパターンがうまく形成できない場合が多かった。
【0048】
これに対し、本発明によれば、後の工程において最適と考えられる感光性物質を所望の膜厚で用いることができ、描画に適した液体を遮光液として用いてパターンを形成することができる。
【0049】
さらに、本発明によれば、厚くて均一な膜厚の感光性物質のパターンを作れるため、めっきの雌型として使用でき、該感光性物質のパターンのスペース部に金属をめっきして充填した後、該感光性物質のパターンを除去すれば、三次元マイクロ金属部品を製作することができる。
【0050】
さらに、深い溝状のスペースや穴を有する均一膜厚の厚膜レジストパターンを作れるため、マイクロ流路やマイクロ容器として用いることができ、マイクロリアクタ、マイクロミキサ、マイクロビーカ、マイクロセルなどの構造体として利用することができる。
【0051】
ディスペンサやインクジェットプリンタは、線描画、点描画をつなぎ合わせて任意の形状の図形を描画するため、描画部分が少ない残しパターンの描画に適しており、線状や穴状に描画しない所を残してまわりを全部塗りつぶすような離散的な溝状のスペースや穴の描画には向いていない。
【0052】
しかし、本発明によれば、感光性物質としてネガ型の感光性物質を用いることにより、ディスペンサやインクジェットプリンタで離散的に描いた線状のパターンの形状を反転した溝状のパターンや、円、長方形、正方形などの単純な残しパターンの形状を反転した穴状のパターンを容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0054】
図1は本発明のパターンの形成方法である。
【0055】
図1(a)に示すように、まず、基体1の表面にレジストや紫外線硬化樹脂などの感光性物質2を塗布、噴霧、電着、接着、圧着などによって付着させる。
【0056】
感光性物質2を基体1の表面に付す際、あるいは付した後、必要に応じて基体1を炉、ホットプレートなどを用いてベークし、溶剤の除去および/または焼き固めを行う。
【0057】
基体1としては、半導体ウエハ、プラスチック基板、金属基板、ガラス基板、石英基板、結晶基板などの平面基板、または、それらが凹面状または凸面状に緩やかに曲がった基板やフレキシブルなシート状の基板を用いることができる。

【0058】
緩やかに波状に曲がった基板でもよく、緩い斜面をなした基板や該斜面が三角波状に繰り返されて曲がった基板でもよく、表面側のみが平面状、緩やかな凹面状、凸面状、波状、斜面をなす形状のうちのいずれかの形状またはそれらを組み合わせた形状であれば、基体1が必ずしも板状である必要ではなく、任意の形体、寸法でよい。
【0059】
また、該基体1の全体が同じ材質である必要はなく、表面側にパターンを形成したい別の材料の部分が取り付けられていたり、表面に別の材料の部分や膜が付されたりした基体でもよい。
【0060】
次に、基体1に付した感光性物質2の表面上に、ディスペンサやインクジェットプリンタを用いて、図1(b)に示すように、前記感光性物質2が感光する波長の光線または前記感光性物質2が感光する荷電ビームを遮光または減光できる遮光液3によって、所望の遮光パターン5を描画する。
【0061】
ディスペンサの種類は任意でよく、空気圧で液体を押し出す方式、シリンジプランジャーにより機械的に液体を押し出す方式、チュービング機構や鍵盤機構で送液チューブを変形させて液体を押し出す方式などのディスペンサが使用できる。
【0062】
インクジェットプリンタの種類も任意でよく、インク吐き出し穴の配置、個数、寸法などは描画するパターンの寸法や形態に応じて任意に選択すればよい。
【0063】
または、基体1に付した感光性物質2の表面上に、スクリーン印刷によって、図1(b)に示すように、前記感光性物質2が感光する波長の光線または前記感光性物質2が感光する荷電ビームを遮光または減光できる遮光液3によって、所望の遮光パターン5を印刷する。
【0064】
本発明においては、このときのスクリーン印刷は電子機器用プリント基板に回路パターンを印刷するような本格的なスクリーン印刷の装置を用いて行っても勿論よいが、パターン寸法が大きい場合にはより簡便な装置や機材を用いて行ってもよく、たとえば、1980年代~2000年代前半に年賀状の印刷に多用されたプリントごっこのような印刷機や1960年代~1970年代に多用された謄写版印刷機のような印刷機でもよい。
【0065】
前記遮光液3は、前記感光性物質2が感光する波長の光線または前記感光性物質2が感光する荷電ビームに対して必ずしも感光性を有する必要がなく、ディスペンサやインクジェットプリンタによるパターン描画あるいはスクリーン印刷に適した粘度を有し、該光線または荷電ビームの一部または全部を遮光または減光できる液体でありさえすれば任意でよい。
【0066】
たとえば、水彩絵具および該水彩絵具を水やアルコールなどの有機溶媒によって溶かしたもの、墨シャンプー、印刷用のインクなど、露光光線や荷電ビームに対して感光性がない遮光液3でもよい。
【0067】
勿論、露光光線や荷電ビームに感光性がある遮光液3でもよく、たとえば、ノボラック系の樹脂を含有した赤紫色をしたレジストやブラックレジストなどを使用できる。
【0068】
このように、図1(b)における遮光パターン5は、ディスペンサやインクジェットプリンタを用いた直接描画またはスクリーン印刷のいずれかにより形成すればよい。勿論、二つ以上の手段を組み合わせて遮光パターン5を形成してもよい。
【0069】
次に、遮光パターン5を、自然乾燥させるか、炉、ホットプレートなどを用いてプリベークする。
【0070】
ただし、遮光パターン5が液状のままでも感光性物質2の表面上の描画した場所以外に流れ出したり、広がったりする恐れがなければ、乾かしたりプリベークしたりしなくてもよい。
【0071】
次に、遮光パターン5をマスキング材として、感光性物質2が感光する波長の光線および/または前記感光性物質2が感光する荷電ビームからなる露光光線および/または露光ビーム6を照射して感光性物質2の露出部を感光させる。
【0072】
7が感光性物質2の感光部、8が感光性物質2の未感光部である。
【0073】
必要に応じて、前記のように遮光パターン5を感光性物質2上に形成して露光した基体1を、炉、ホットプレートなどにより露光後ベークする。
【0074】
感光性物質2が露光後ベークを必要とする化学増幅型などのレジストであるか、遮光パターン5自体やその溶媒が感光性物質2に浸透すると予測されたり、遮光パターン5自体やその溶媒の感光性物質2への浸透によって感光性物質2の基体1に対する付着性が低下していると予測されたりする場合には露光後ベークを行った方がよい。
【0075】
図1(c)に示した露光により遮光パターン5が存在しない部分の感光性物質2を感光させてしまえば遮光パターン5は不要となるため、感光性物質2が溶解せずに遮光パターン5が溶解する溶液に浸漬して遮光パターン5を除去する。
【0076】
感光性物質2がエッチング耐性を有し、遮光パターン5がエッチングできるエッチングガスを用いて遮光パターン5をドライエッチングして除去してもよい。
【0077】
次に、図1(d)に示すように、所望のパターン形状に露光済みの感光性物質2を有する基板1を現像する。図1(d)において、9は現像液、10は現像容器である。
【0078】
図1(d)は、基体1全体を現像液9に浸漬する現像方法を想定して描いたが、現像の方法は任意であり、基体1上に現像液9を滴下して所定の時間保持するパドル現像や、現像液7をシャワー状にかけて現像する方法や、基体1を回転させながら現像液9をノズルで基体1の中央に供給する方法などを採ってもよい。
【0079】
現像により、感光性物質2がポジ型の場合には、感光性物質2の感光部7が現像液に溶解し、感光性物質2がネガ型の場合には、感光性物質2の未感光部8が現像液に溶解する。
【0080】
この際、付与した露光量を横軸に取り、縦軸に露光・現像後の感光性物質2の膜厚を縦軸に取って、感光性物質2の膜厚変化を描くと、図2に示すごとくなる。
【0081】
図2(a)はポジ型の感光性物質2の場合の膜厚変化であり、図2(b)はネガ型の感光性物質2の場合の膜厚変化である。
【0082】
感光性物質2に依存するが、露光量の2倍~10倍程度の差によりポジ型の場合は膜厚が所定の値から0まで、ネガ型の場合は膜厚が0から所定の値まで変化する。
【0083】
したがって、前記感光性物質2が感光する波長の光線または前記感光性物質2が感光する荷電ビーム6に対して、前記遮光パターン5は必ずしも完全な遮光体として作用する必要はない。
【0084】
たとえば、露光量の2倍の差により膜厚が所定の値から0まで、あるいは0から所定の値まで変化する感光性物質2であれば、透過率が100/2=50%であっても、露光エネルギを適切に選んで用いれば、膜厚が0の部分と所定の値の部分とを有する感光性物質2のパターンを得ることができる。
【0085】
すなわち、遮光パターン5は、感光性物質2が感光する波長の光線または前記感光性物質2が感光する荷電ビーム6を少なくとも透過率50%以下に減光できる遮光パターンであればよい。
【0086】
同じ遮光液3を用いても遮光パターン5の厚さにより透過率が変化するので、適切な厚さとなるようにする。
【0087】
上記の現像液に遮光パターン5が溶解する場合には、必ずしも現像前に予め遮光パターン5を除去しておく必要はなく、場合によっては、現像によって遮光パターン5の除去と感光性物質2の感光部または未感光部の溶解を同時に行ってもよい。
【0088】
このようにして、感光性物質2がネガ型の場合には、図1(e)に示すように、遮光パターン5をポジ・ネガ反転した感光性物質2のパターン11を得ることができる。
【0089】
また、感光性物質2がポジ型の場合には、図1(f)に示すように遮光パターン5と同じ形状の感光性物質2のパターン12を得ることができる。
【0090】
なお、図1(f)に示すように遮光パターン5と同じ形状の感光性物質2のパターン12を得る場合で、感光性物質2のパターン12をめっきの雌型として利用する場合には、遮光パターン5は必ずしも除去しなくてもよい。
【実施例】
【0091】
本発明により、基体1としてシリコンウエハ、感光性物質2として紫外光や短波長可視光に感光する米国MicroChem社製厚膜ネガ型レジストSU-8 100を用い、溝パターンを形成した実施例について説明する。
【0092】
まず、図1(a)に示した工程において、基体1として直径100mm、厚さ0.5mmのシリコンウエハを用い、該シリコンウエハの表面に、スピンコータを用いて、感光性物質2としてネガ型レジストSU-8 100を膜厚約100μmに塗布した。
【0093】
また、塗布後、電気炉を用いて、65℃で20min、95℃で50minベークし、溶剤の除去および焼き固めを行った。
【0094】
次に、前記感光性物質2として用いたネガ型レジストSU-8 100膜の表面上に、自作したディスペンサ描画装置を用いて、図1(b)に示したように、前記ネガ型レジストSU-8 100が感光する波長の光線を遮光または減光できる遮光液3として黒色水彩絵具を水で溶いた液を用いて直線状の遮光パターン5を描画した。
【0095】
黒色水彩絵具を水で溶いて遮光液3を作製する際は、重量比で1:1とした。
【0096】
前記ディスペンサ描画装置のディスペンサは空気圧式であり、武蔵エンジニアリング株式会社製空気圧コントロールユニットML-5000XIIに、Japanese Journal of Applied Physics,49,06GN08-1~5(2010年6月)に開示されたノズル内径100μm、挿入ワイヤ径30μmのワイヤノズルを取り付け、液体吐出ノズルとして用いた。
【0097】
ディスペンサの空気圧は4~8kPaとし、速度5~15mm/sで描画した。
【0098】
次に図1(c)に示したように、該直線状の遮光パターン5をマスキング材として、紫外光、短波長可視光を感光性物質2として用いたネガ型レジストSU-8 100膜に照射し露光した。
【0099】
紫外光、短波長可視光の照射には、出力160Wの住田光学ガラス株式会社製紫外光源LS-160Sを用い、照射時間は25sとした。
【0100】
ネガ型レジストSU-8 100は露光後ベークを必要とする化学増幅型レジストであるため、前記の紫外光、短波長可視光の照射後、65℃で10min、90℃で30minベークを行った。
【0101】
次に、図1(d)に示したように、遮光パターン5の直下を除いて露光済みのネガ型レジストSU-8 100を専用現像液であるSU-8 Developerに浸漬し現像した。
【0102】
この際、黒色水彩絵具を水で溶いて作製した遮光液3により描画した遮光パターン5は前記の現像液に溶解したため、遮光パターン5の除去とネガ型レジストSU-8 100の未感光部の溶解を同時に行った。
【0103】
その結果、図1(e)に示したように、遮光パターン5とポジ・ネガ反転したSU-8100のパターン11を得ることができ、直線状の残し遮光パターン5から、図3に断面を示す深さが約100μmと均一で急峻な側壁を有する直線状の溝パターン21が得られた。
【0104】
22が感光性物質2として用いたSU-8 100の断面、23が基体1として用いたシリコンウエハの断面である。
【0105】
このようにして得られた厚膜レジストの溝パターンは、めっきのモールドとして三次元マイクロ部品を作成するのに用いることができる。
【0106】
また、厚膜レジストの溝パターンをそのまま直接、マイクロリアクタやマイクロミキサの流路用、マイクロビーカや検査セルの容器用として用いることもできる。
【0107】
図5はマイクロリアクタやマイクロミキサの流路用として形成した厚膜レジストの溝パターン24の例である。溝の形状が任意でよいことは言うまでもない。
【0108】
また、図6はマイクロビーカやマイクロセルの容器用として形成した厚膜レジストの穴パターン25の例である。穴の形状が任意でよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】 本発明のパターンの形成方法
【図2】 感光性物質の現像液への溶解特性
【図3】 本発明により形成した、感光性物質のパターンの断面形状
【図4】 基体上にディスペンサにより直接描画したパターンの断面形状
【図5】 溝パターンの例
【図6】 穴パターンの例
【符号の説明】
【0110】
1 基体
2 感光性物質
5 遮光パターン
6 露光光線および/または露光ビーム
7 感光性物質2の感光部
8 感光性物質2の未感光部
9 現像液
11 遮光パターン5をポジ・ネガ反転した感光性物質2のパターン
12 遮光パターン5と同じ形状の感光性物質2のパターン
21 直線状の溝パターン
22 SU-8 100の断面
23 シリコンウエハの断面
24 溝パターン
25 穴パターン
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5