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明細書 :気道確保補助具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5653095号 (P5653095)
公開番号 特開2011-115549 (P2011-115549A)
登録日 平成26年11月28日(2014.11.28)
発行日 平成27年1月14日(2015.1.14)
公開日 平成23年6月16日(2011.6.16)
発明の名称または考案の名称 気道確保補助具
国際特許分類 A61H  31/00        (2006.01)
FI A61H 31/00
請求項の数または発明の数 17
全頁数 25
出願番号 特願2010-154132 (P2010-154132)
出願日 平成22年7月6日(2010.7.6)
優先権出願番号 2009246071
優先日 平成21年10月27日(2009.10.27)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年6月17日(2013.6.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506087705
【氏名又は名称】学校法人産業医科大学
発明者または考案者 【氏名】曽我部 靖博
個別代理人の代理人 【識別番号】100121371、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 和人
審査官 【審査官】金丸 治之
参考文献・文献 米国特許第04918774(US,A)
米国特許第05360017(US,A)
米国特許第04321718(US,A)
特表2005-500114(JP,A)
米国特許第05163194(US,A)
米国特許第07337777(US,B1)
米国特許第06446288(US,B1)
調査した分野 A61H 31/00
特許請求の範囲 【請求項1】
ヒトの頭部から頸部を嗅ぐ姿勢に保持することにより気道確保の補助を行うための気道確保補助具であって、
上部が開口された箱状に形成され、後側面に仰臥位におけるヒトの後頸部乃至後頭部が収容可能な幅の切込部が形成された筐体と、
上面にヒトの後頸部が収容可能な湾凹溝が形成された低反発部材からなり、仰臥位におけるヒトの後頸部を持ち上げて支持する頸部支持部材と、
前記筐体の箱内で仰臥位におけるヒトの側頭部を左右から押圧することにより固定する側頭部固定具と、
を備えたことを特徴とする気道確保補助具。
【請求項2】
前記筐体の後側面の外側に付設され、当該筐体の後側面から後方に向かって下方に傾斜する傾斜面を形成する上背部支持部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の気道確保補助具。
【請求項3】
前記上背部支持部材は板状部材で構成されており、
前記筐体の後側面の外側には、板状の前記上背部支持部材の前端部を支持する板端支持具が、前記筐体の底面からの高さが調節自在に付設されていることを特徴とする請求項2記載の気道確保補助具。
【請求項4】
前記上背部支持部材は前記筐体の上部開口を掩蔽可能な板状部材であり、前記上背部支持部材を前記筐体の上部開口に取り付ける蓋取付部材を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の気道確保補助具。
【請求項5】
前記上背部支持部材は板状部材で構成されており、前記筐体の前記切込部が形成された縁辺にスライド蝶番により枢着されており、
前記スライド蝶番は、前記上背部支持部材が開扉したときに、前記上背部支持部材の前記筐体の前記切込部に対向する辺が、前記筐体の前記切込部が形成された辺よりも下方に位置するようにスライドするように構成されていることを特徴とする請求項2記載の気道確保補助具。



【請求項6】
前記上背部支持部材の上面に脱着自在に敷設された低反発部材からなる上背部支持マットを備えたことを特徴とする請求項2乃至5の何れか一記載の気道確保補助具。
【請求項7】
前記上背部支持マットの下面に設けられた膨縮自在な角度微調整エアマットを備えたことを特徴とする請求項6記載の気道確保補助具。
【請求項8】
前記上背部支持マット、前記頸部支持部材、及び前記側頭部固定具は、前記筐体内に収容可能であり、前記上背部支持部材は前記筐体の上部開口を掩蔽可能な板状部材であり、前記上背部支持部材を前記筐体の上部開口に取り付ける蓋取付部材を備えたことを特徴とする請求項6又は7記載の気道確保補助具。
【請求項9】
前記筐体の内底面に敷設された低反発部材からなる頭部支持マットを備えたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一記載の気道確保補助具。
【請求項10】
前記上背部支持部材の上面の傾斜下方側の辺付近に一辺が枢着された硬平板状の揚背板と、
前記揚背板と前記上背部支持部材との間に挟入された空気嚢と、
前記空気嚢に空気を送気するための送気部と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の気道確保補助具。
【請求項11】
前記側頭部固定具は、
ヒトの左右の側頭部にそれぞれ当設させる低反発部材からなる二つの押圧クッションと、
前記各押圧クッションに対応して前記筐体内の左側面及び右側面に付設され、空気圧により前記押圧クッションを押圧するエアシリンダと、を備えたことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一に記載の気道確保補助具。
【請求項12】
前記側頭部固定具は、
ヒトの左右の側頭部にそれぞれ当設させる低反発部材からなる二つの押圧クッションと、
前記各押圧クッションに対応して前記筐体内の左側面及び右側面に付設され、空気圧により蛇腹が伸縮することによって前記押圧クッションを押圧するプッシャと、を備えたことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一に記載の気道確保補助具。
【請求項13】
空気を送気するための送気部と、
先端側が二方向に分岐し、左右の前記側頭部固定具の前記エアシリンダ又は前記プッシャと前記送気部の送気口とを接続するエアチューブと、
前記エアチューブに設けられ、前記送気部から前記各エアシリンダ又は前記各プッシャへの給気の通断を行う給気弁と、を備えたことを特徴とする請求項11又は12に記載の気道確保補助具。
【請求項14】
前記筐体内に取り出し可能に収容された自動体外式除細動器を備え、前記筐体の一面には、前記筐体内部を外部から視認可能とする透明板からなる窓部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一に記載の気道確保補助具。
【請求項15】
前記上背部支持部材の上面の傾斜下方側の辺付近に配設された圧力センサと、
前記圧力センサが所定の値以上の圧力を検出したときに点灯する報知ランプと、
を備えたことを特徴とする請求項2乃至14の何れか一に記載の気道確保補助具。
【請求項16】
前記筐体内に配設されたスピーカ及びマイク並びに制御装置を備え、前記制御装置は、無線回線を通じて外部との通信が可能であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一に記載の気道確保補助具。
【請求項17】
前記筐体内に配設されたスピーカ及び開蓋センサ並びに制御装置を備え、前記制御装置は、前記開蓋センサにより前記上背部支持部材が開蓋されたことを検出すると、前記スピーカにより使用方法を説明する音声ガイダンスを出力することを特徴とする請求項4又は5に記載の気道確保補助具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、意識レベルの低下した人の舌根沈下による気道閉塞を頭部後屈顎先挙上により解除するための気道確保補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
水難事故等により意識レベルが低下した人では、筋肉が弛緩し舌根が後方(背側)に落ち込む舌根沈下が生じ、上気道の閉塞が起こる場合がある。かかる場合、呼吸のための換気路を確保するために、頚椎に損傷が疑われない際の救命措置として頭部後屈顎先挙上法が広く用いられている。頭部後屈顎先挙上法は、要救助者を仰臥位とし、救助者が、片手を要救助者の額にあて、もう片方の手の人差指と中指の2本をあご先にあて、これを持ち上げて頭部だけを平行に挙上させることで、気道を確保する方法である。このときの要救助者の頭位は「嗅ぐ姿勢(sniffing position)」といわれている(非特許文献1参照)。
【0003】
嗅ぐ姿勢での気道確保がうまくできている場合には、門歯から声門までの通路がほぼ直線となるように、口腔、咽頭、喉頭、及び気管の軸が直線上に合わされる。このような気道確保を安全且つ有効に行うには、十分な訓練と経験が必要である。そこで、現在までに、頭部後屈時の気道確保を容易に行うことができるように支援するための種々の気道確保補助具が考案されている。
【0004】
特許文献1には、気道確保補助具として図12に示すような「医療支持枕」が開示されている。図12において、支持枕100は、基部101、要救助者の頭部を支持する頭部支持部102及び頸部を支持する頸部支持部103がウレタン発泡体等の緩衝材により一体に構成されている。この支持枕100は、左側面104、右側面105、ネック端部106、ヘッド端部107、及び底面112を備えている。また、頭部支持部102の上面をなす頭部支持面は、中央頭部支持面108、左頭部支持面109、及び右頭部支持面110の3つの部分から構成されている。この頭部支持面は、左右側から中央に向かって凹窩状に形成され、また、ネック端部106側からヘッド端部107側に向かって下向きに傾斜している。一方、頸部支持部103は、適切な気道確保のために屈曲位で要救助者の頸部を支持するために左右方向を中心軸とする倒円柱形状(卷体状)に構成されており、要救助者の頸部を支持する頸部支持表面111を備えている。また、支持枕100は、緩衝をよくするため上面全体にわたって、波状凹凸が形成されている。
【0005】
この支持枕100を使用する場合には、図12(c)に示したように、要救助者の頭部を凹窩状の中央頭部支持面108に載せてその左右の左頭部支持面109及び右頭部支持面110で挟み、要救助者の後頭頸部を頸部支持表面111上に支持して頭部を後屈させる。このとき、要救助者の後頭部から両側頭部は、中央頭部支持面108及び左頭部支持面109,右頭部支持面110によって挟まれ、要救助者の頸部は頸部支持表面111により挙上された状態となり、自動的に定位される。図12(c)において、軸線O-Oは口腔咽頭軸(oropharyngeal axis)を表し、軸線L-Lは喉頭軸(laryngeal axis)を表し、軸線T-Tは気管軸(tracheal axis)を表す。定位された状態では、図12(c)に示すように、気道確保に適切なように一直線に揃えられる。これにより、気道確保が容易となる。
【0006】
また、特許文献2-6にも、特許文献1と同様の考え方に基づいて気道確保のための補助を行う「頸椎矯正枕」、「幼児サポート装置」、「救急用ヘッドレスト」、「気道確保装置(Airway Management Apparatus:AMA)」がそれぞれ記載されている。
【0007】
また、特許文献7には、図13に示すような顎挙上高さが調整可能な気道確保装置が記載されている。図13において、気道確保装置120は、支持板121、マット122、面ファスナ123、及び調節シリンダ124を備えている。使用の際には、図13(b)に示すように、床面Fに調節シリンダ124を置き、その上に、支持板121を傾斜させた状態で設置する。調節シリンダ124の位置を調節することによって、支持板121の傾斜角度を調節することができる。要救助者の上背部を支持板の上に載せ、後頸部が支持板121の最上端に位置させ、頭部が床面Fに向けて後屈するように配置する。これにより、気道確保が行われる。この気道確保装置120は、要救助者の体格に応じて、支持板121の傾斜角を調節し、気道確保に最適な嗅ぐ姿勢をとらせることができることを特徴としている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】米国特許第4918774号明細書
【特許文献2】実開平5-39519号公報
【特許文献3】米国特許第5048136号明細書
【特許文献4】特開平10-14710号公報
【特許文献5】米国特許第6751818号明細書
【特許文献6】米国特許第7077141号明細書
【特許文献7】米国特許第5819344号明細書
【特許文献8】特表2005-500114号公報
【0009】

【非特許文献1】相馬一亥編,「研修医・救急救命士のための気道確保とトラブル対策」,第1版,日本国,総合医学社,2005年3月,16-17頁.
【非特許文献2】古賀義久編,「気道確保ハンドブック — 気道確保からみた臨床麻酔と危機管理」,第1版,真興交易医書出版部,1999年11月,56-57頁.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の各気道確保補助具は、要救助者の頭部を後屈させることができ、容易に嗅ぐ姿勢を維持することができる点で、救命の際には非常に有用である。
【0011】
しかしながら、要救助者を嗅ぐ姿勢にした際に、要救助者の頭部が真上を向いた状態に維持されず、左又は右に倒屈する場合がある。その場合、気道が確保されず要救助者が窒息状態となるため、救助者は常に要救助者の頭部が左又は右に倒屈することがないように保持しておく必要があり、手を放して別の作業を行う際に支障が生じる。
【0012】
また、特許文献1-6に記載の各気道確保補助具(「医療支持枕」等)は、要救助者の後頸部の挙上高さが一定の高さに固定されている。そのため、幼児と大人のように体格の異なる要救助者のすべてに適用することができず、要救助者の体格に応じて異なるサイズの気道確保補助具を用意しておく必要があり、不便である。特に、緊急を要する場合には、いちいちサイズ合わせをする余裕がないため、要救助者の体格に合わない気道確保補助具を使用せざるを得ない場面が生じるおそれがある。
【0013】
一方、特許文献7に記載の各気道確保補助具(「気道確保装置」)は、要救助者の体格に応じて支持板121の傾斜を変化させることができるため、比較的幅広い体格の要救助者に適用することが可能である。しかし、支持板121は調節シリンダ124により一点で支持されているため(図13(b)参照)、不安定である。例えば、要救助者の肩部に上方から押さえる力が加わると、支持板121ががたついたり、調節シリンダ124の位置がずれてしまったりする場合がある。また、支持板121に縦ずれ方向の力が加わった場合、調節シリンダ124が転がり、支持板121の支持点が移動して支持板121の傾斜角度が変わってしまう場合も想定される。従って、使い勝手が悪いという欠点がある。また、大まかな挙上高さ調整は可能であるが、微小な挙上高さの調節は難しいという欠点がある。また、支持板121と調節シリンダ124が分離しているため、運搬や保管の際にバラバラになりやすく、調節シリンダ124や支持板121の一方が紛失してしまったりするおそれがあり不便である。
【0014】
なお、特許文献8に記載の受動的気道支持装置は、ハウジング内に配置された除細動機器に機械的に取り付け可能に構成されている。しかし、この受動的気道支持装置は、ハウジングのカバーを単に使用するにとどまり、特許文献1-6に記載の各気道確保補助具(「医療支持枕」等)と同様に、頭部の側屈及び後頸部の挙上高の固定という課題は解決されていない。
【0015】
そこで、本発明の目的は、要救助者の頭部が左右に倒屈することを防ぎ、救助の際に使い勝手がよい気道確保補助具を提供することにある。また、要救助者の体格に応じて後頸部の挙上高さを自在に変化させることができる気道確保補助具を提供することにある。また、運搬や保管の際にコンパクトに一体化することができ、救命キットとして運搬や保管が容易な気道確保補助具を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、この気道確保補助具を自動体外式除細動器(AED)と一体化することにより、気道確保を含む心肺蘇生法からAEDの使用までの救急処置を一貫した流れの中で円滑・迅速に行うことを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る気道確保補助具の第1の構成は、ヒトの頭部から頸部を嗅ぐ姿勢に保持することにより気道確保の補助を行うための気道確保補助具であって、
上部が開口された箱状に形成され、後側面に仰臥位におけるヒトの後頸部乃至後頭部が収容可能な幅の切込部が形成された筐体と、
上面にヒトの後頸部が収容可能な湾凹溝が形成された低反発部材からなり、仰臥位におけるヒトの後頸部を持ち上げて支持する頸部支持部材と、
前記筐体の箱内で仰臥位におけるヒトの側頭部を左右から押圧することにより固定する側頭部固定具と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、要救助者の体位を嗅ぐ姿勢に保持する場合、まず筐体を床面に置き、筐体の後側面側の切込部の向こう側の床面に、頸部支持部材を設置する。そして、要救助者を、仰臥位として、後頸部を頸部支持部材の湾凹溝内に置き、後頭部を筐体後側面の切込部を通して筐体の箱内に位置させるようにする。この状態で、筐体内に位置する要救助者の側頭部を、側頭部固定具により軽く押圧することにより固定する。これにより、要救助者の頭部が左右に倒屈することを防ぐことができる。
【0019】
本発明に係る気道確保補助具の第2の構成は、前記第1の構成において、前記筐体の後側面の外側に付設され、当該筐体の後側面から後方に向かって下方に傾斜する傾斜面を形成する上背部支持部材を備えたことを特徴とする。
【0020】
これにより、上背部支持部材によって要救助者の上背部を傾斜面で支持することにより、より確実に要救助者の体位を嗅ぐ姿勢に保持させることができる。
【0021】
本発明に係る気道確保補助具の第3の構成は、前記第2の構成において、前記上背部支持部材は板状部材で構成されており、
前記筐体の後側面の外側には、板状の前記上背部支持部材の前端部を支持する板端支持具が、前記筐体の底面からの高さが調節自在に付設されていることを特徴とする。
【0022】
この構成により、上背部支持部材の前端部を板端支持具によって筐体の後側面の外側に固定することができる。また、上背部支持部材の傾斜角は、板端支持具の高さを調節することによって自在に調節することができる。従って、要救助者の体格に応じて後頸部の挙上高さを自在に変化させることができる。
【0023】
ここで、「板端支持具」として、フックハンガーやラチェットを使用することができる。
【0024】
本発明に係る気道確保補助具の第4の構成は、前記第2又は3の構成において、前記上背部支持部材は前記筐体の上部開口を掩蔽可能な板状部材であり、前記上背部支持部材を前記筐体の上部開口に取り付ける蓋取付部材を備えたことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、上背部支持部材を筐体の上蓋として兼用することができる。従って、運搬時や保管時には、頸部支持部材や側頭部固定具を筐体内に収容し、筐体の上部開口を上背部支持部材で掩蔽して蓋取付部材で固定すれば、一体の箱とする。これにより、コンパクトに一体化されるため、保管や運搬が容易となり、救命キットとしての利便性に優れたものとなる。
【0026】
本発明に係る気道確保補助具の第5の構成は、前記第2の構成において、前記上背部支持部材は板状部材で構成されており、前記筐体の前記切込部が形成された縁辺にスライド蝶番により枢着されており、
前記スライド蝶番は、前記上背部支持部材が開扉したときに、前記上背部支持部材の前記筐体の前記切込部に対向する辺が前記切込部の開口位置よりも下方に位置するようにスライドするように構成されていることを特徴とする。
【0027】
この構成により、上背部支持部材を筐体から取り外す必要がなく、迅速に要救助者の気道確保のための準備を行うことができる。ここで、スライド蝶番とは、回動軸がスライドする蝶番をいう。
【0028】
本発明に係る気道確保補助具の第6の構成は、前記第2乃至5の何れか一の構成において、前記上背部支持部材の上面に脱着自在に敷設された低反発部材からなる上背部支持マットを備えたことを特徴とする。
【0029】
この構成により、要救助者の上背部が上背部支持マット上に柔軟的に保持されるため、気道確保時の上背部の痛みをなくすことができる。また、上背部支持マットの有無によっても要救助者の頸部の挙上高さを調節することができるため、より柔軟な挙上高さの調節が可能となる。
【0030】
本発明に係る気道確保補助具の第7の構成は、前記第6の構成において、前記上背部支持マットの下面に設けられた膨縮自在な角度微調整エアマットを備えたことを特徴とする。
【0031】
この構成により、角度微調整エアマットを膨縮させることで、要救助者を上背部支持マット上に寝かせた後に、要救助者の頸部の挙上高さの微調整を行うことが可能となる。従って、気道確保の作業をより簡便に行うことができる。
【0032】
ここで、角度微調整エアマットは、上背部支持マットと一体で構成してもよいし、別体に構成してもよい。
【0033】
本発明に係る気道確保補助具の第8の構成は、前記第6又は7の構成において、前記上背部支持マット、前記頸部支持部材、及び前記側頭部固定具は、前記筐体内に収容可能であり、前記上背部支持部材は前記筐体の上部開口を掩蔽可能な板状部材であり、前記上背部支持部材を前記筐体の上部開口に取り付ける蓋取付部材を備えたことを特徴とする。
【0034】
この構成により、上背部支持マット、頸部支持部材、及び側頭部固定具を、筐体内に収容して筐体の上部開口を上背部支持部材で掩蔽して蓋取付部材で固定すれば、一体の箱とする。これにより、コンパクトに一体化されるため、保管や運搬が容易となり、救命キットとしての利便性に優れたものとなる。
【0035】
本発明に係る気道確保補助具の第9の構成は、前記第1乃至8の何れか一の構成において、前記筐体の内底面に敷設された低反発部材からなる頭部支持マットを備えたことを特徴とする。
【0036】
この構成により、要救助者の後頭部が頭部支持マット上に柔軟的に保持されるため、気道確保時の後頭部の痛みをなくすことができる。また、頭部支持マットの有無によっても要救助者の頭部の後屈角度を調節することができるため、より柔軟な頭部後屈角度の調節が可能となる。
【0037】
本発明に係る気道確保補助具の第10の構成は、前記第2の構成において、前記上背部支持部材の上面の傾斜下方側の辺付近に一辺が枢着された硬平板状の揚背板と、
前記揚背板と前記上背部支持部材との間に挟入された空気嚢と、
前記空気嚢に空気を送気するための送気部と、
を備えたことを特徴とする。
【0038】
この構成により、要救助者の体格に対し、頸部支持部材の湾凹溝の高さが低すぎる場合には、送気部から空気嚢に空気を注入することによって要救助者の上背部を持ち上げて高さを調節することが可能となる。
【0039】
ここで、「送気部」としては、空気ポンプや送気球などを使用することができる。
【0040】
本発明に係る気道確保補助具の第11の構成は、前記第1乃至10の何れか一の構成において、前記側頭部固定具は、
ヒトの左右の側頭部にそれぞれ当設させる低反発部材からなる二つの押圧クッションと、
前記各押圧クッションに対応して前記筐体内の左側面及び右側面に付設され、空気圧により前記押圧クッションを押圧するエアシリンダと、を備えたことを特徴とする。
【0041】
この構成によれば、押圧クッションにより要救助者の側頭部を左右から挟み、エアシリンダによってこの押圧クッションを側頭部に軽く押圧することによって、要救助者の頭部が左右に倒屈しないように固定することができる。また、エアシリンダを使用することで、押圧クッションによる側頭部への押圧力を和らげることができ、要救助者への圧迫感を和らげることができる。さらに、嘔吐を伴う場合、前頭部と後頭部を左右から挟んだ状態での横向きでの気道確保も可能となる。
【0042】
本発明に係る気道確保補助具の第12の構成は、前記第1乃至10の何れか一の構成において、前記側頭部固定具は、
ヒトの左右の側頭部にそれぞれ当設させる低反発部材からなる二つの押圧クッションと、
前記各押圧クッションに対応して前記筐体内の左側面及び右側面に付設され、空気圧により蛇腹が伸縮することによって前記押圧クッションを押圧するプッシャと、を備えたことを特徴とする。
【0043】
この構成によれば、押圧クッションにより要救助者の側頭部を左右から挟み、プッシャによってこの押圧クッションを側頭部に軽く押圧することによって、要救助者の頭部が左右に倒屈しないように固定することができる。また、プッシャを使用することで、押圧クッションによる側頭部への押圧力を和らげることができ、要救助者への圧迫感を和らげることができる。さらに、嘔吐を伴う場合、前頭部と後頭部を左右から挟んだ状態での横向きでの気道確保も可能となる。
【0044】
本発明に係る気道確保補助具の第13の構成は、前記第11又は12の構成において、空気を送気するための送気部と、
先端側が二方向に分岐し、左右の前記側頭部固定具の前記エアシリンダ又は前記プッシャと前記送気部の送気口とを接続するエアチューブと、
前記エアチューブに設けられ、前記送気部から前記各エアシリンダ又は前記プッシャへの給気の通断を行う給気弁と、を備えたことを特徴とする。
【0045】
この構成によれば、送気球を手で握ったり放したりすることを繰り返すことで、エアシリンダ又はプッシャに給気して要救助者の側頭部を固定した後、給気弁を閉じて各エアシリンダ内又はプッシャ内に空気を密閉することで、固定状態を保持させることができる。
【0046】
本発明に係る気道確保補助具の第14の構成は、前記第1乃至13の何れか一の構成において、前記筐体内に取り出し可能に収容された自動体外式除細動器を備え、前記筐体の一面には、前記筐体内部を外部から視認可能とする透明板からなる窓部が形成されていることを特徴とする。
【0047】
この構成によれば、要救助者が心肺停止状態の時には、その場で迅速に除細動処置を行うことが可能となり、救命率を向上させることができる。また、窓部を通して筐体内部に自動体外式除細動器が収容されていることを視認することができるため、緊急時にも自動体外式除細動器の所在を素早く見つけ出すことができる。
【0048】
本発明に係る気道確保補助具の第15の構成は、前記第2乃至14の何れか一の構成において、前記上背部支持部材の上面の傾斜下方側の辺付近に配設された圧力センサと、
前記圧力センサが所定の値以上の圧力を検出したときに点灯する報知ランプと、
を備えたことを特徴とする。
【0049】
この構成によれば、要救助者が心肺停止状態の時に心臓マッサージを行う場合、十分な圧力で胸骨圧迫が行われているか否かを報知ランプの点灯によって確認することができる。従って、胸骨圧迫(心臓マッサージ)法に不慣れな救助者であっても、的確な圧力で心臓マッサージを実施することができ、救命率を高めることができる。
【0050】
本発明に係る気道確保補助具の第16の構成は、前記第1乃至15の何れか一の構成において、前記筐体内に配設されたスピーカ及びマイク並びに制御装置を備え、前記制御装置は、無線回線を通じて外部との通信が可能であることを特徴とする。
【0051】
この構成によれば、スピーカ及びマイクにより、無線回線を通じて救命センター等と連絡し素早く救助を求めたり、指示を求めることが可能となる。これにより、救命率を高めることができる。
【0052】
本発明に係る気道確保補助具の第17の構成は、前記第4又は5の構成において、前記筐体内に配設されたスピーカ及び開蓋センサ並びに制御装置を備え、前記制御装置は、前記開蓋センサにより前記上背部支持部材が開蓋されたことを検出すると、前記スピーカにより使用方法を説明する音声ガイダンスを出力することを特徴とする。
【0053】
この構成により、気道確保補助具の使用方法に不案内な要救助者でも、緊急時には音声ガイダンスに基づいて的確に気道確保補助具を使用することができる。
【発明の効果】
【0054】
以上のように、本発明によれば、要救助者の頭部が側頭部固定具によって固定されるため、要救助者の頭部が左右に倒屈することが防がれ、救助の際の救助者の作業が容易となる。また、要救助者の体格によって、板端支持具の高さを調節すれば、上背部支持部材の上面の傾斜角度を自由に変化させることができ、要救助者の頸部の挙上高さを調節することができるため、子供から大人まで様々な体格の要救助者に対して幅広く適用することができる。また、運搬や保管の際には、筐体内に各部品を収納し、上背部支持部材で筐体の上部開口を閉蓋することで、コンパクトに一体化することができる。従って、救命キットとして運搬や保管が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例1に係る気道確保補助具の使用時の組み立て状態に於ける構成を表す斜視図である。
【図2】図1の気道確保補助具を運搬又は保管する際に筐体内に箱詰めした状態を表す斜視図である。
【図3】図2の筐体の蓋(上背部支持部材5)を開いた状態を表す斜視図である。
【図4】蓋(上背部支持部材5)を開いた筐体にフックハンガー16を取り付けた状態を筐体の後側面側から見た斜視図である。
【図5】フックハンガー16に頸部支持部材13を取り付けた状態を表す斜視図である。
【図6】送気球10の断面図である。
【図7】本実施例の気道確保補助具1により気道確保を行う際の使用状態を表す図である。
【図8】実施例2に記載の気道確保補助具の使用時の組み立て状態に於ける構成を表す斜視図である。
【図9】角度微調整エアマット20の外観斜視図である。
【図10】実施例3に係る側頭部固定具30の外観斜視図である。
【図11】図10の側頭部固定具30の使用状態を表す図である。
【図12】本発明の実施例4に係る気道確保補助具の前面斜視図である。
【図13】本発明の実施例4に係る気道確保補助具の背面斜視図である。
【図14】本発明の実施例4に係る気道確保補助具の蓋を開けた状態を表す斜視図である。
【図15】本発明の実施例4に係る気道確保補助具の蓋を開けて内容物を取り出した状態を表す斜視図である。
【図16】本発明の実施例4に係る気道確保補助具の使用状態を表す説明図である。
【図17】特許文献1に記載の「医療支持枕」である。(a)は斜視図、(b)は(a)のA-A線に沿って切った縦断面図、(c)は(a)の支持枕の使用状説明図である。
【図18】特許文献7に記載の「気道確保装置」である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0057】
図1は、本発明の実施例1に係る気道確保補助具1の使用時の組み立て状態に於ける構成を表す斜視図である。図2は、図1の気道確保補助具1を運搬又は保管する際に筐体2内に箱詰めした状態を表す斜視図である。図3は、図2の筐体2の蓋(上背部支持部材5)を開いた状態を表す斜視図である。図4は、蓋(上背部支持部材5)を開いた筐体2にフックハンガー16を取り付けた状態を筐体2の後側面側から見た斜視図である。図5は、フックハンガー16に上背部支持部材5を取り付けた状態を表す斜視図である。
【実施例1】
【0058】
本実施例の気道確保補助具1は、上部が開口する扁平な箱状に形成された筐体2を備えている。筐体2の前側面の中央部には、持ち運び用の取手3が取り付けられている。また、筐体2の後側面の上辺中央部には、切込部2aが形成されている。この切込部2aは、仰臥位におけるヒトの後頸部乃至後頭部が収容可能な幅に形成されており、具体的には、幅が18±5cm、深さが7.5±2cm程度の大きさに形成されている。また、筐体2の左右側面には、エアシリンダ8(後述)を取り付けるための取付穴2b,2bが貫設されている(図2参照)。
【実施例1】
【0059】
筐体2の内底面には、低反発部材からなる頭部支持マット4が敷設されている。頭部支持マット4は、上面全体に波状の凹凸が形成されており、要救助者の後頭部の衝突に対して衝撃力をできるだけ大きく緩衝できるように構成されている。
【実施例1】
【0060】
筐体2の後側面の外面側の左右には、図4に示すように、上下方向に長尺の穴あき金具15,15が取り付けられている。穴あき金具15,15には、それぞれ、長手方向に等間隔で調整穴15aが貫設されている。また、穴あき金具15,15のそれぞれの両端付近は、ボルト15b,15bにより筐体2の後側面に固定されている。
【実施例1】
【0061】
この穴あき金具15,15の調整穴15aには、上背部支持部材5(後述)の板端支持具であるフックハンガー16が脱着自在に取り付けられる。フックハンガー16をどの調整穴15aに取り付けるかは自由である。これにより、フックハンガー16の筐体2底面からの高さは調節自在とされている。フックハンガー16は、レの字状に曲折された板状金具であり、両端部が調整穴15aに嵌合可能とされている。調整穴15aに取り付けた状態で、フックハンガー16の上面は水平となる。また、この上面の曲折部付近には、L字状の掛止用金具16aが付設されている。
【実施例1】
【0062】
尚、本実施例では、板端支持具としてフックハンガー16を使用した例について説明しているが、板端支持具はフックハンガー16に限定されるものではなく、例えば、ラチェットなどを使用することもできる。
【実施例1】
【0063】
筐体2の後側面の外側には、板状部材からなる上背部支持部材5が付設されている。上背部支持部材5の前端縁付近の板面の左右には、左右の掛止用金具16a,16aと嵌合可能な掛止穴5a,5aが貫設されている。上背部支持部材5の前端は、掛止穴5a,5aを掛止用金具16a,16aに嵌合させて、フックハンガー16,16の上面に支持されており、上背部支持部材5の後端縁は床面に置かれ、上背部支持部材5の上面は、筐体2の後側面から後方(向こう側)に向かって下方に傾斜する傾斜面を形成している。
【実施例1】
【0064】
この上背部支持部材5は、筐体2の上部開口を掩蔽可能な形状の板状部材である。筐体2の四隅には、上背部支持部材5を筐体2の上面開口に取り付けるための蓋取付部材14が付設されている。蓋取付部材14は左右側面の外側に付設される垂直部14bの上端側に、筐体2の内側に向かって直角に曲折された水平部14aが形成され、水平部14aの底面と筐体2の上縁面との間には、上背部支持部材5が嵌合可能な隙間が形成されている。上背部支持部材5は、筐体2の前側から、筐体2の上縁面と水平部14aの底面との間の隙間に差し込まれ、後方に向かってスライドさせることによって、筐体2の上部開口を完全に掩蔽すること可能である(図2参照)。また、筐体2の後側面の外側の左右には、筐体2の上部開口を上背部支持部材5で掩蔽した際に、上背部支持部材5が抜け落ちないように固定するための蓋留金具17,17がボルト17a,17aによりネジ止めされている。
【実施例1】
【0065】
図1において、上背部支持部材5の上面には、上背部支持マット6が脱着自在に敷設されている。上背部支持マット6は、頭部支持マット4と同じく低反発部材により構成されており、その上面全体には波状の凹凸が形成されている。
【実施例1】
【0066】
さらに、上背部支持マット6の上面前端側には、頸部支持部材13が置設されている。頸部支持部材13は、低反発部材で構成されており、全体が横長直方体形状で上面中央部にヒトの後頸部が収容可能な湾凹溝13aが形成されている。この頸部支持部材13は、後述するように、仰臥位におけるヒトの後頸部を持ち上げて支持するためのものである。
【実施例1】
【0067】
また、筐体2内の頭部支持マット4の上面には、左右一対に押圧クッション7,7が置設されている。この押圧クッション7は、低反発部材により構成されており、直方体状に形成されている。筐体2の左右側面に貫設された取付穴2b,2bには、それぞれ、エアシリンダ8,8が挿設されている。エアシリンダ8は、図3に示すとおり、筒状のシリンダ部8aと、シリンダ部8aに挿抜自在なピストンロッド部8bとを有している。ピストンロッド部8bが挿入される側のシリンダ部8aの端部にはシリンダフランジ8cが形成されている。また、ピストンロッド部8bの先端には、ピストンフランジ8dが形成されている。取付穴2bには、シリンダ部8aが筐体2の内側から挿入され、シリンダフランジ8cにより掛止される。また、ピストンロッド部8bの先端のピストンフランジ8dは、平板状の押圧力分散板9を介して押圧クッション7の側面に当接されている。押圧力分散板9は、硬質樹脂製の板状部材であり、ピストンフランジ8dの押圧力を押圧クッション7の側面全体に分散させるために挿入されているものである。
【実施例1】
【0068】
これら、左右の押圧クッション7,7、エアシリンダ8,8、及び押圧力分散板9,9のセットが、筐体2の箱内で仰臥位におけるヒトの側頭部を左右から押圧することにより固定する側頭部固定具である。
【実施例1】
【0069】
また、エアシリンダ8,8に給気するための送気部として、送気球10が設けられている。送気球10は、ゴム製で、全体が、例えば、図6に示したような中空の欖球体(ラグビーボール)状をなす。2つの突端の一方に送気口10aが貫設され、他方に吸気口10bが貫設されており、吸気口10bには逆止弁10cが取り付けられている。送気球10を手で握り潰すと、送気口から欖球内の空気が送出され、手を放すとゴムの復元力によって欖球が復元し、それに伴い送気口10aから空気が逆流するとともに吸気口10bから欖球内へ空気が流入する。従って、1サイクルで、吸気口10bから流入した量の空気が送気口10aから送気されることになる。
【実施例1】
【0070】
送気球10の送気口10aは、エアチューブ11の一端に接続されている。エアチューブ11としては、シリコンチューブが使用されている。エアチューブ11の他端側は、2つに分岐しており、それぞれの分岐路11a,11bの端部は、左右のエアシリンダ8のシリンダ部8aの基端側(シリンダフランジ8cとは逆の側)に接続される。さらに、エアチューブ11の分岐路11a,11bのそれぞれには、送気球10から各エアシリンダ8,8への給気の通断を行う給気弁12,12(エアコック)が取り付けられている。これにより、送気球10から左右のエアシリンダ8,8へ個別に給気を行い、給気弁12,12を閉じてエアシリンダ8,8のピストンロッド部8bの伸長位置を適宜な位置に固定することができる。尚、本実施例では分岐路11a,11bのそれぞれに給気弁12,12(エアコック)を設けた構成としたが、エアチューブ11の分岐部に給気弁12を設けるような構成としてもよい。
【実施例1】
【0071】
次に、気道確保補助具1の筐体2内への収納と組み立て方法について説明する。気道確保補助具1を筐体2内へ収納すると、図2に示したような状態となる。この状態においては、頭部支持マット4、上背部支持マット6、押圧クッション7、エアシリンダ8、押圧力分散板9、送気球10、エアチューブ11、頸部支持部材13、及びフックハンガー16は、すべて取り外して筐体2内に収納されており、筐体2の上部開口は、上背部支持部材5によって掩蔽されている。気道確保補助具1を運搬する際には、取手3を手で持って運搬することができる。
【実施例1】
【0072】
気道確保補助具1を使用の際には、まず、図3のように、筐体2を、開口側を上にして横置きし、蓋留金具17を取手3の側(こちらを「前側」とする。)にスライドさせ(図4参照)、上背部支持部材5を、図3のように、前方(矢印Aの方向)に向かってスライドさせて引き抜く。筐体2内には、頭部支持マット4の上に上背部支持マット6が重ねられて収容されており(図4参照)、上背部支持マット6の上には、押圧クッション7,7、エアシリンダ8,8、押圧力分散板9,9、送気球10、エアチューブ11、頸部支持部材13、及びフックハンガー16,16が、図3のように収容されている。
【実施例1】
【0073】
次に、図4に示したように、フックハンガー16,16を、筐体2の後側面の外側に付設された、左右の穴あき金具15,15の所望の高さの調整穴15aに差し込み固定する。各穴あき金具15には、縦並びに複数の調整穴15aが穿設されており、何れかの調整穴15aを選択することで、上背部支持部材5の前端部の高さを自由に設定することができる。
【実施例1】
【0074】
次に、図5に示したように、筐体2から引き抜いた上背部支持部材5の掛止穴5aが毛穿設された側の端辺(前端縁)を左右のフックハンガー16,16の上面に載せ、各フックハンガー16の掛止用金具16aを掛止穴5aに嵌合させる。これにより、上背部支持部材5は、前端縁がフックハンガー16,16に支持され、後端縁が床面に支持された傾斜状態となる。上背部支持部材5上面の傾斜角は、フックハンガー16,16の高さを調節することによって調節することができる。従って、要救助者Vの体格に従って、上背部支持部材5上面の傾斜角を適宜調整することが可能となる。
【実施例1】
【0075】
最後に、図1のように、上背部支持マット6を上背部支持部材5の上面に設置し、頸部支持部材13を上背部支持マット6上面の切込部2aの後側に置設する。また、エアシリンダ8,8のシリンダ部8aを、筐体2の内側から左右の取付穴2b,2bに挿通し、シリンダフランジ8cが筐体2の内面に当たるまで差し込む。そして、押圧クッション7,7及び押圧力分散板9,9を、図1に示したように、頭部支持マット4の上面に置設する。これにより、気道確保補助具1が組み立てられる。
【実施例1】
【0076】
以上のようにして組み立てられた気道確保補助具1について、以下その使用方法を説明する。
【実施例1】
【0077】
図7は、本実施例の気道確保補助具1により気道確保を行う際の使用状態を表す図である。要救助者Vの気道確保を行う場合、要救助者Vの上背部を上背部支持マット6の上に載せ、頭部を切込部2aから筐体2の箱内に入れ後頭部を頭部支持マット4上に載せる。そして、要救助者Vの後頸部の下に頸部支持部材13を挟んで頸部を挙上させる。このとき、頭部支持マット4の表面の高さは、上背部支持マット6の傾斜上端部の高さよりも低いため、要救助者Vの頭部が後屈し頸部が挙上した「嗅ぐ姿勢」となる。この状態で、要救助者Vの左右の側頭部に押圧クッション7,7を当て、送気球10によりエアシリンダ8,8に空気を注入する。エアシリンダ8,8のピストンロッド部8bの伸長に伴い、押圧クッション7,7は要救助者Vの側頭部に押圧され、要救助者Vの頭部が固定される。ここで、押圧クッション7,7の付勢にエアシリンダ8,8を使用し、また、エアシリンダ8,8への送気に送気球10を使用しているため、押圧クッション7,7が要救助者Vの側頭部にあまり強く押圧されることはなく、自動的に適宜な押圧力で付勢されることになる。要救助者Vの頭部が十分に固定されると、給気弁12,12を閉止してエアシリンダ8,8のピストンロッド部8bを固定する。これにより、要救助者Vの体位固定が完了する。あとは、人工呼吸やコンビニチューブの挿管等の救助作業を行えばよい。
【実施例1】
【0078】
以上のように、本実施例の気道確保補助具1によれば、要救助者Vの頭部が押圧クッション7,7、エアシリンダ8,8及び押圧力分散板9,9からなる側頭部固定具によって固定されるため、要救助者Vの頭部が左右に倒屈することが防がれ、救助の際の救助者の作業が容易となる。また、要救助者Vの体格によって、フックハンガー16,16の高さを調節すれば、上背部支持部材5及び上背部支持マット6の上面の傾斜角度を自由に変化させることができ、要救助者Vの頸部の挙上高さを調節することができるため、子供から大人まで様々な体格の要救助者Vに対して幅広く適用することができる。また、運搬や保管の際には、図2のように、筐体2内に各部品を収納し、上背部支持部材5で筐体2の上部開口を閉蓋することで、コンパクトに一体化することができる。そして、取手3を把持して持ち運びすることができる。従って、救命キットとして運搬や保管が容易となる。
【実施例2】
【0079】
図8は、実施例2に記載の気道確保補助具の使用時の組み立て状態に於ける構成を表す斜視図である。図8において、実施例1と同様の構成部分については、同符号を付して説明は省略する。
【実施例2】
【0080】
本実施例の気道確保補助具1は、上背部支持部材5と上背部支持マット6との間に角度微調整エアマット20が挟入されていることを特徴とする。図9に、角度微調整エアマット20の外観斜視図を示す。角度微調整エアマット20は、扁平な矩形状の袋部20aの一隅に注気口20bが設けられている。袋部20aは、ナイロン等の柔軟性と強度を有する気密性のシートで構成されている。注気口20bには、図8に示したように、エアチューブ22を介して送気球21が接続される。この送気球21により角度微調整エアマット20内に注気を行い膨張させることができる。要救助者Vを図7のように上背部支持マット6の上に載せた後に、角度微調整エアマット20に注気を行うことによって、上背部支持マット6の上面の高さを微調整することができる。これにより、要救助者Vの頭部の後屈角度を、気道確保に最適な角度に微調整することが可能となる。
【実施例2】
【0081】
尚、図8,図9の例では、角度微調整エアマット20と上背部支持マット6を別体に構成した例を示したが、角度微調整エアマット20と上背部支持マット6は一体に構成してもよい。これにより、要救助者Vの下に敷く部品点数が少なくなるので、より使い勝手が良好となる。
【実施例3】
【0082】
本実施例では、側頭部固定具の他の実施例について説明する。図10は、実施例3に係る側頭部固定具30の外観斜視図である。また、図11は、図10の側頭部固定具30の使用状態を表す図である。本実施例の側頭部固定具30は、図1の押圧クッション7,7、エアシリンダ8,8、及び押圧力分散板9,9からなる側頭部固定具の代わりに使用される。
図10の側頭部固定具30は、基板31、弧状支持台32、弾性板33、後頭部クッション34、側頭部クッション35,35、中央底部緩衝材36、及び側底部緩衝材37,37を備えている。基板31、弧状支持台32、及び中央底部緩衝材36は、一体として基台40を構成している。また、弾性板33、後頭部クッション34、側頭部クッション35,35、及び側底部緩衝材37,37は、一体として頭部拘束材41を構成している。
基板31は、プラスチックの矩形板で構成されている。弧状支持台32は、樋状の硬質樹脂で構成され、開口側を上に向けて基板31上面中央に固定されている。中央底部緩衝材36は、直方体状のスポンジにより構成されており、弧状支持台32の溝内中央部に付設されている。
一方、弾性板33は、弾性のある横長の長方形の薄板状の部材で構成されており、弧状支持台32の開溝部を閉蓋するように置設される。後頭部クッション34は、扁平直方体状のスポンジで構成されており、弾性板33の上面中央に付設されている。側頭部クッション35,35は、弾性板33の上面の後頭部クッション34の左右に付設されている。各側頭部クッション35は、中央部が盛り上がった山形のスポンジで構成されている。側底部緩衝材37,37は、弾性板33の底面に中央線を挟んで左右対称に付設されている。また、その間隔は、中央底部緩衝材36の幅よりも広く、弧状支持台32の溝幅より狭く配置され、弾性板33を弧状支持台32上に置設した際に、左右の側底部緩衝材37,37は溝内にすっぽりと入るようにされている。
以上のような側頭部固定具30を使用して要救助者Vの頭部を固定する場合、まず、要救助者Vの後頭部を後頭部クッション34上に載せ、後頭部クッション34に重量を加える。そうすると、弾性板33が重量により撓曲するが、その際、弾性板33の中央部は弧状支持台32の溝内に落ち込み、弾性板33の左右側は弧状支持台32の左右の上縁32a,32aを支持点として跳ね上げられる。それに伴って、側頭部クッション35,35が図11のように要救助者Vの左右側頭部に押しつけられるため、要救助者Vの頭部が固定される。弾性板33の中央部と弧状支持台32の溝内面との間には中央底部緩衝材36及び側底部緩衝材37,37が挟まれているので、弾性板33の中央部が溝内にあまり大きくは落ち込まないように緩衝されている。
尚、この側頭部固定具30を使用する場合には、図1の頭部支持マット4は必ずしも必要ないので、省略してもよい。
【実施例4】
【0083】
図12は本発明の実施例4に係る気道確保補助具の前面斜視図、図13は実施例4に係る気道確保補助具の背面斜視図、図14は実施例4に係る気道確保補助具の蓋を開けた状態を表す斜視図、図15は実施例4に係る気道確保補助具の蓋を開けて内容物を取り出した状態を表す斜視図である。尚、図12~図15において、実施例1~3の構成要素と対応する構成要素については、同符号が付されている。
【実施例4】
【0084】
本実施例の気道確保補助具1は、前面側に開口する方形箱状に形成され、底面の前側中央に切込部2aが形成され、上面の中央に取手3が形成された筐体2を備えている。切込部2aには、平板状の蓋板42が脱着自在に取り付けられており、収納時にはこの蓋板42により切込部2aを閉蓋しておくことができる。
【実施例4】
【0085】
筐体2の正面側の開口には、蓋を兼ねた上背部支持部材5がスライド蝶番43,42により開閉自在に枢着されている。スライド蝶番43,42は、筐体2の底面側の切込部2aの両側に左右一対に配設されている。各スライド蝶番43は、蝶番部43aとレール部43bとを備え、レール部43bが筐体2の底面に固定されている。レール部43bは、中央に滑凹溝43cが形成され、滑凹溝43cは筐体2の前後方向に直線状に形成されている。蝶番部43aは、滑凹溝43cと嵌合する滑子(図示せず)を備え、滑子が滑凹溝43cを摺動することにより、蝶番部43aがレール部43b上を前後に移動することができる。これにより、上背部支持部材5が筐体2の正面側の開口を閉蓋した状態では、上背部支持部材5の切込部2a側の縁辺は筐体2の切込部2aが形成された辺と同じ高さとなり、上背部支持部材5を開扉した状態では、上背部支持部材5の切込部2a側の縁辺は、筐体2の切込部2aが形成された辺よりも下がった位置(図14,図15,図16参照)となる。また、上背部支持部材5の上辺側及び筐体2の上面前側には、上背部支持部材5を閉蓋した状態で掛止するための掛金44,44が左右一対に配設されている。
【実施例4】
【0086】
筐体2の背面は、中央に方形状の窓部45が設けられている。窓部45には、強化ガラス又はプラスチック製の透明板が嵌め込まれており、外側から筐体2の内部が見通せるようにされている。また、筐体2の背面には、4つの隅部付近に車輪46,46,46,46が配設されている。さらに、要救助者Vの下に上背部支持部材5を容易に摺入させるために、上背部支持部材5の裏面の傾斜下方側の辺付近に車輪46を備えてもよい(図示せず)。尚、本実施例では、筐体2の背面に車輪46,46,46,46を配設した例を示しているが、例えば、車輪の代わりに、転がり軸受、表面をフッ素樹脂加工した粘着テープ、ステンレスローラーなどを使用することもできる。
【実施例4】
【0087】
筐体2の上面左右には、多数の通音孔47が格子状に貫設されている。そして、この左右の通音孔47の格子に面した筐体2内側には、スピーカ48及びマイク49が付設されている。また、スピーカ48及びマイク49の間の筐体2の上側板内側には、無線通信機能を備えた制御装置50が配設されている。
【実施例4】
【0088】
さらに、本実施例の気道確保補助具1では、筐体2の内部には、押圧クッション7,7、送気球10、エアチューブ11、頸部支持部材13、プッシャ51,51、揚背板52、空気嚢53、エアチューブ54、空気ポンプ55、圧力センサ56、報知ランプ57、及び自動体外式除細動器(AED)58が収容されている。
【実施例4】
【0089】
頸部支持部材13は、実施例1で既に説明したものと同様であり、低反発部材で構成され、全体が横長直方体形状で上面中央部にヒトの後頸部が収容可能な湾凹溝13aが形成されている。
【実施例4】
【0090】
プッシャ51,51は、実施例1におけるエアシリンダ8の役割を担うものであり、筐体2の内部に左右一対に置設されている。各プッシャ51は、空気圧により伸縮可能な蛇腹によって構成され、その両端は矩形平板状に形成されており、一端には直方体状の押圧クッション7が取り付けられている。尚、この押圧クッション7は、実施例1と同様のものであり、低反発部材で構成されている。左右のプッシャ51,51には、蛇腹内に空気を出し入れするためのエアチューブ11が接続されている。エアチューブ11も、実施例1と同様に、先端が2つの分岐路11a,11bに分岐しており、それぞれの分岐路11a,11bが、各プッシャ51,51に接続されている。また、それぞれの分岐路11a,11bの途中には、開閉弁である給気弁12,12が設けられており、分岐路11a,11b内の空気の流通は給気弁12,12により通断される。エアチューブ11の基端には、実施例1と同様の送気球10が接続されている。この送気球10によって各プッシャ51,51に空気を圧送し、蛇腹を伸縮させることができる。
【実施例4】
【0091】
揚背板52は、矩形板状の硬板材であり、一縁辺の左右が上背部支持部材5の内側面の上辺(スライド蝶番43が取り付けられた辺と逆側の辺)付近に蝶番52a,52aにより枢着されている。また、揚背板52と上背部支持部材5との間には、空気嚢53が挟入されている。空気嚢53はポリエチレンやゴムなどの丈夫で柔軟な部材により構成された密閉袋である。また、空気嚢53には、空気を出し入れするためのエアチューブ54の一端が接続されている。エアチューブ54の他端には、空気嚢53に給気するための送気部として蛇腹状の空気ポンプ55が接続される。この空気ポンプ55によって、空気嚢53内に空気を圧送することができる。また、エアチューブ54の中間には、開閉コック59が設けられており、エアチューブ54内の空気の流通は開閉コック59により通断される。
【実施例4】
【0092】
圧力センサ56は、上背部支持部材5の内側面の上辺中央付近に取り付けられている。圧力センサ56は、要救助者Vの上背面にかかっている圧力を検出するためのセンサであり、心臓マッサージを行う際に適正な押圧力が加えられているか否かを検出するために用いられる。また、上背部支持部材5の内側面の上辺端部付近には、報知ランプ57が設けられており、この報知ランプ57は、圧力センサ56によって検出される圧力が所定の値以上のときに点灯する。
【実施例4】
【0093】
AED58は、筐体2内部の中央に、窓部45に面して収容されている。収容された状態では、図13に示したように、AED58が収容されていることが窓部45を通して外部から視認可能である。
【実施例4】
【0094】
以上のように構成された本実施例に係る気道確保補助具1について、以下その使用方法を説明する。
【実施例4】
【0095】
救助者が要救助者Vの気道確保を行う際には、まず、筐体2の背面(窓部45が設けられた面)を下にして地面に置き、掛金44を外して上背部支持部材5を開く。そして、図14に示したように、スライド蝶番43の蝶番部43aを背面側に向けてスライドさせ、上背部支持部材5の上辺が地面と接するように、上背部支持部材5を傾斜した状態で設置する。そして、蓋板42を上方にスライドさせて切込部2aを解放する。
【実施例4】
【0096】
次に、救助者は、AED58、送気球10、エアチューブ11、頸部支持部材13、プッシャ51、押圧クッション7、空気ポンプ55、及びエアチューブ54を筐体2内から取り出す。そして、図14に示したように、エアチューブ11を送気球10とプッシャ51に接続し、エアチューブ54を空気ポンプ55と空気嚢53に接続する。また、頸部支持部材13を、図16に示したように、湾凹溝13aを上に向けて、切込部2a近傍の上背部支持部材5上に設置する。以上の準備が整ったとき、図16のような配置状態となる。
【実施例4】
【0097】
次に、救助者は、要救助者Vを仰向けに寝かせた状態とし、要救助者Vの頭部を片手で持ち上げて、もう一方の手で要救助者Vの上背部下側に傾斜した上背部支持部材5を挿入する。このとき、筐体2の背面には車輪46,46,46,46が設けられているため、要救助者Vの下に上背部支持部材5を容易に摺入させることが可能である。そして、要救助者Vの後頭部が筐体2内に、後頸部が切込部2a付近に位置するように配置する(図16参照)。その後、頸部支持部材13の位置を調整し、頸部支持部材13の湾凹溝13aが要救助者Vの後頸部を支持する状態とする。これにより、要救助者Vの気道が確保される。
【実施例4】
【0098】
尚、要救助者Vの体格によっては、頸部支持部材13の湾凹溝13aの高さが高すぎることもあるため、そのときは、空気ポンプ55により空気嚢53に空気を注入して膨張させ、揚背板52を傾斜させて要救助者Vの上背部を持ち上げて調節する。調節後は、開閉コック59を閉じて揚背板52の傾斜状態を固定させる。
【実施例4】
【0099】
次に、要救助者Vの頭部が横向きに倒れて気道が閉塞するのを防止するため、送気球10によってプッシャ51に空気を注入して蛇腹を伸長させ、左右の押圧クッション7,7によって要救助者Vの側頭部を軽く挟み込んで固定する。そして、給気弁12,12を閉じてプッシャ51の状態を固定させる。
【実施例4】
【0100】
尚、制御装置50は、上背部支持部材5を開扉されたことを開蓋センサ60(図14,図15,図16参照)により検知すると、スピーカ48により、以上の操作方法をガイダンスとして音声出力する。また、制御装置50により、携帯電話回線などの無線回線を通じて救命センターと回線接続し、スピーカ48とマイク49によって救命センターと通信するようにしてもよい。
【実施例4】
【0101】
要救助者Vが心肺停止状態にある場合、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行う必要がある。この場合、緊急に一次救命措置を行う必要がある。胸骨圧迫(心臓マッサージ)法を行う場合、救助者は要救助者の胸骨上から圧迫する。実際には、有効な処置を行うためには、肋骨が折れるとに構わず、かなり大きな圧力で圧迫を行う必要がある。しかしながら、胸骨圧迫の経験のない救助者の場合、どの程度の圧迫が必要なのかが分からず、圧迫の圧力を控えめに行う場合が多い。そこで、圧力センサ56により要救助者Vの上背部の圧力を検出し、胸骨圧迫に必要な十分な圧力で圧迫がされているか否かを報知ランプ57の点灯によって報知するように構成されている。すなわち、圧力センサ56の検出圧力が、胸骨圧迫に必要な十分な所定の値よりも大きい場合には、報知ランプ57が点灯するように構成されている。
【実施例4】
【0102】
さらに、要救助者Vが心肺停止状態にある場合、筐体2内に収容されたAED58を用いて除細動処置を行うこともできる。すなわち、気道確保補助具1をAED58と一体化したことによって、気道確保を含む心肺蘇生法からAED58の使用までの救急処置を一貫した流れの中で円滑・迅速に行うことが可能となり、要救助者の救命率を高めることができる。
【実施例4】
【0103】
尚、図14,図15では示してはいないが、筐体2の内部には、実施例1で示したような頭部支持マット4や上背部支持マット6も収容しておくこともできる。
【実施例4】
【0104】
また、本実施例では、上背部支持部材5はスライド蝶番43により筐体2に枢着する構成としたが、上背部支持部材5については、図1と同様に取り外し可能な蓋とし、穴あき金具15とフックハンガー16により高さ調節を可能とする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 気道確保補助具
2 筐体
2a 切込部
2b 取付穴
3 取手
4 頭部支持マット
5 上背部支持部材
5a 掛止穴
6 上背部支持マット
7 押圧クッション
8 エアシリンダ
8a シリンダ部
8b ピストンロッド部
8c シリンダフランジ
8d ピストンフランジ
9 押圧力分散板
10 送気球
11 エアチューブ
11a,11b 分岐路
12 給気弁
13 頸部支持部材
13a 湾凹溝
14 蓋取付部材
14a 水平部
14b 垂直部
15 穴あき金具
15a 調整穴
15b ボルト
16 フックハンガー
16a 掛止用金具
17 蓋留金具
17a ボルト
20 角度微調整エアマット
20a 袋部
20b 注気口
21 送気球
22 エアチューブ
30 側頭部固定具
31 基板
32 弧状支持台
32a 上縁
33 弾性板
34 後頭部クッション
35 側頭部クッション
36 中央底部緩衝材
37 側底部緩衝材
40 基台
41 頭部拘束材
42 蓋板
43 スライド蝶番
43a 蝶番部
43b レール部
43c 滑凹溝
44 掛金
45 窓部
46 車輪
47 通音孔
48 スピーカ
49 マイク
50 制御装置
51 プッシャ
52 揚背板
52a 蝶番
53 空気嚢
54 エアチューブ
55 空気ポンプ
56 圧力センサ
57 報知ランプ
58 自動体外式除細動器(AED)
59 開閉コック
60 開蓋センサ
V 要救助者
100 支持枕
101 基部
102 頭部支持部
103 頸部支持部
104 左側面
105 右側面
106 ネック端部
107 ヘッド端部
108 中央頭部支持面
109 左頭部支持面
110 右頭部支持面
111 頸部支持表面
112 底面
120 気道確保装置
121 支持板
122 マット
123 面ファスナ
124 調節シリンダ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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【図8】
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【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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