TOP > 国内特許検索 > 高温超電導軸受の起動と供用方式 > 明細書

明細書 :高温超電導軸受の起動と供用方式

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4288343号 (P4288343)
公開番号 特開2004-197767 (P2004-197767A)
登録日 平成21年4月10日(2009.4.10)
発行日 平成21年7月1日(2009.7.1)
公開日 平成16年7月15日(2004.7.15)
発明の名称または考案の名称 高温超電導軸受の起動と供用方式
国際特許分類 F16C  32/04        (2006.01)
FI F16C 32/04 ZAAA
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2002-363633 (P2002-363633)
出願日 平成14年12月16日(2002.12.16)
審査請求日 平成17年11月25日(2005.11.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】松下 照男
【氏名】小森 望充
【氏名】小田部 エドモンド 荘司
【氏名】樋笠 博正
個別代理人の代理人 【識別番号】100077263、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 純博
審査官 【審査官】瀬川 裕
参考文献・文献 特開2000-136825(JP,A)
特開2000-120682(JP,A)
特開平07-217654(JP,A)
特開平08-107638(JP,A)
調査した分野 F16C 32/04
特許請求の範囲 【請求項1】
円盤状第二種超電導体を円盤状クライオスタット内で冷媒に浸漬し超電導状態を発現可能な円盤状固定部(円盤状クライオスタット固定子)と、その円盤状超電導体面の上方に同心非接触で回転可能にギャップを開けて対置した磁気発生用永久磁石円盤状浮上部(円盤状永久磁石回転子)からなるアキシャル型超電導軸受において、供用開始前に当該超電導軸受を初め高温ゼロ磁場冷却状態にしてから、荷重を懸けて第二種超電導体を一旦高温励磁冷却状態に遷移させ、その後、低温冷却状態にして供用を開始する事を特徴とするアキシャル型超電導軸受の起動方式。
【請求項2】
円盤状第二種超電導体を円盤状クライオスタット内で冷媒に浸漬し超電導状態を発現可能な円盤状固定部(円盤状クライオスタット固定子)と、その円盤状超電導体面の上方に同心非接触で回転可能にギャップを開けて対置した磁気発生用永久磁石円盤状浮上部(円盤状永久磁石回転子)からなるアキシャル型超電導軸受において、供用開始前に当該超電導軸受を初め高温磁場冷却状態にしてから、荷重を懸けて第二種超電導体を一旦高温励磁冷却状態に遷移させ、その後、低温冷却状態にして供用を開始する事を特徴とするアキシャル型超電導軸受の起動方式。
【請求項3】
中空円柱状第二種超電導体を中空円柱状クライオスタット内で冷媒に浸漬し超電導状態を発現可能な中空円柱状固定部(中空円柱状クライオスタット固定子)と、その中空円柱状超電導体面の外周にギャップを開けて同心非接触で回転可能に対置した磁気発生用永久磁石中空円柱状可動部(中空円柱状永久磁石回転子)からなるラジアル型超電導軸受において、供用開始前に当該超電導軸受を初め高温磁場冷却状態にしてから、荷重を懸けて第二種超電導体を一旦高温励磁冷却状態に遷移させ、その後、低温冷却状態にして供用を開始する事を特徴とするラジアル型超電導軸受の起動方式。
【請求項4】
中空円柱状第二種超電導体を中空円柱状クライオスタット内で冷媒に浸漬し超電導状態を発現可能な中空円柱状固定部(中空円柱状クライオスタット固定子)と、その中空円柱状超電導体面の外周にギャップを開けて同心非接触で回転可能に対置した磁気発生用永久磁石中空円柱状可動部(中空円柱状永久磁石回転子)からなるラジアル型超電導軸受において、供用開始前に当該超電導軸受を初め高温ゼロ磁場冷却状態にしてから、荷重を懸けて第二種超電導体を一旦高温励磁冷却状態に遷移させ、その後、低温冷却状態にして供用を開始する事を特徴とするラジアル型超電導軸受の起動方式。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、諸々の回転機械に供用される高温超電導軸受技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでの代表的な高温超電導軸受の起動、供用方式には、特開平10-98890、特開2000-136825などに公知の記述があるが、なお、超電導磁気浮上特性の時間的劣化に課題を残している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
諸々の回転機械に供用される高温超電導軸受の超電導磁気浮上特性の時間的劣化を実用上解消するための起動並びに供用方式を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の円盤状第二種超電導体を円盤状クライオスタット内で液体窒素に浸漬し超電導状態を発現可能な円盤状固定部(
以下、円盤状クライ
オスタット固定子という) と、その円盤状超電導体面の上方に同心非接触で回転可能にギ
ャップを開けて対置した磁気発生用永久磁石円盤状浮上部(
以下、円盤状永久磁石回転子
という) からなるアキシャル型超電導軸受において、供用開始前に当該超電導軸受を初め
高温ゼロ磁場冷却状態にしてから、荷重を懸けて第二種超電導体を一旦高温励磁冷却状態に遷移させ、その後、低温冷却状態にして供用を開始する事を特徴とする。なお、本発明において「供用」とは、当業界において慣用的に用いられている用語であり、超電導軸受で支持した回転体が回転を開始し、軸受が回転体を支えるという機能を発揮し始めた時をもって「供用」開始と表現したり、回転持続中は「供用」されているといった使い方をする用語である。一方、「起動」は、常温状態にある超電導軸受の供用開始までの、やゝ複雑で、時間を要する手順を指し、この起動プロセスの仕方を起動方式という。
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項2に記載のアキシャル型超電導軸受において、供用開始前に当該超電導軸受を初め高温磁場冷却状態にしてから、荷重を懸けて第二種超電導体を一旦高温励磁冷却状態に遷移させ、その後、低温冷却状態にして供用を開始する事を特徴とする。
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項3に記載の中空円柱状第二種超電導体を中空円柱状クライオスタット内で液体窒素に浸漬し超電導状態を発現可能な中空円柱状固定部(以下、中空円柱状クライオスタット固定子という)と、その中空円柱状超電導体面の外周にギャップを開けて同心非接触で回転可能に対置した磁気発生用永久磁石中空円柱状可動部(以下、中空円柱状永久磁石回転子という)からなるラジアル型超電導軸受において、供用開始前に当該超電導軸受を初め高温磁場冷却状態にしてから、荷重を懸けて第二種超電導体を一旦高温励磁冷却状態に遷移させ、その後、低温冷却状態にして供用を開始する事を特徴とする。
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項4に記載のラジアル型超電導軸受において、供用開始前に当該超電導軸受を初め高温ゼロ磁場冷却状態にしてから、荷重を懸けて第二種超電導体を一旦高温励磁冷却状態に遷移させ、その後、低温冷却状態にして供用を開始する事を特徴とする。
【0008】
本発明においては、上記の課題を解決するため、前記請求項1 、請求項2 、請求項3 、請求項4 に共通した用法で記載の高温冷却並びに低温冷却は、当該超電導軸受に用いた第二種超電導体の種類によって決まる臨界温度以下の温度領域において、当該超電導磁気軸受の超電導磁気浮上に関わる力(
以下引張力、反発力、吸引力、吊り下げ力、押上力など類似の力をすべて含む) の単位時間当り不変性・安定性、力の温度1ケルビン当り変化率、力の変化率を規制した力の持続時間、用材単位体積当りの力の強さ、単位力当りの発生費用などを当該超電導磁気軸受の非回転時、回転時を含めて評価すると共に回転損失を含め評価勘案して前記高温冷却並びに低温冷却の温度を夫々決定する事を特徴とする。
【0009】
本発明においては、上記の課題を解決するため、前記記載のアキシャル型並びにラジアル型超電導軸受の供用開始準備から供用開始迄の起動プロセス、加えて供用開始から供用継続、供用停止に至るまでの供用プロセスにおいて、起動並びに供用の何れかのプロセスにおいて、第二種超電導体に対し、前記に記載した要領に沿った有意な高温冷却から低温冷却への冷却温度の低下操作を操作回数の制限なしに行う事を特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、アキシャル型超電導軸受に本発明の請求項1が適用された場合の原理図である。(a)は、円盤状永久磁石回転子1の発生する磁気の影響が及ばない離れた処に円盤状クライオスタット固定子2が配置されている状態を示している。(b)は、(a)の配置のままで、つまりゼロ磁場の状態で円盤状クライオスタット固定子2を室温から供用温度より高い特定の温度まで冷却(高温ゼロ磁場冷却)した状態を示している。(c)は(b)の温度を保ったまま、当該超電導軸受を供用する回転機械の回転体の重量Wを円盤状永久磁石回転子1に懸けた状態つまり高温励磁冷却状態に遷移した図である。(d)は、荷重Wを懸けたまま、温度を供用の温度(低温冷却状態)にまで下げた回転開始の直前状態で、図1は、請求項1の起動方式の原理を図化したものである。
【0011】
図2は、アキシャル型超電導軸受に本発明の請求項2が適用された場合の原理図である。(a)は、円盤状永久磁石回転子1の発生する磁気の影響が最も強い処に円盤状クライオスタット固定子2が配置されている状態を示している。(b)は、(a)の配置のままで、つまり磁場のかかった状態で円盤状クライオスタット固定子2を室温から供用温度より高い特定の温度まで冷却(高温磁場冷却)した状態を示している。(c)は(b)の温度を保ったまま、当該超電導軸受を供用する回転機械の回転体の重量W’を円盤状永久磁石回転子1に懸けた状態つまり高温励磁冷却状態に遷移した図である。(d)は、荷重W’を懸けたまま、温度を供用の温度(低温冷却状態)にまで下げた回転開始の直前状態で、図2は、請求項2の起動方式の原理を図化したものである。
【0012】
図3は、ラジアル型超電導軸受に本発明の請求項3が適用された場合の原理図である。(a)は、中空円柱状永久磁石回転子1の発生する磁気の影響が最も強い処に中空円柱状クライオスタット固定子2が配置されている状態を示している。(b)は、(a)の配置のままで、つまり磁場のかかった状態で中空円柱状クライオスタット固定子2を室温から供用温度より高い特定の温度まで冷却(高温磁場冷却)した状態を示している。(c)は(b)の温度を保ったまま、当該超電導軸受を供用する回転機械の回転体の重量Wを中空円柱状永久磁石回転子1に懸けた状態つまり高温励磁冷却状態に遷移した図である。(d)は、荷重Wを懸けたまま、温度を供用の温度(低温冷却状態)にまで下げた回転開始の直前状態で、図3は、請求項3の起動方式の原理を図化したものである。
【0013】
図4は、ラジアル型超電導軸受に本発明の請求項4が適用された場合の原理図である。(a)は、中空円柱状永久磁石回転子1の発生する磁気の影響が及ばない離れた処に中空円柱状クライオスタット固定子2が配置されている状態を示している。(b)は、(a)の配置のままで、つまりゼロ磁場の状態で中空円柱状クライオスタット固定子2を室温から供用温度より高い特定の温度まで冷却(高温ゼロ磁場冷却)した状態を示している。(c)は(b)の温度を保ったまま、当該超電導軸受を供用する回転機械の回転体の重量W’を中空円柱状永久磁石回転子1に懸けた状態つまり高温励磁冷却状態に遷移した図である。(d)は、荷重W’を懸けたまま、温度を供用の温度(低温冷却状態)にまで下げた回転開始の直前状態で、図4は、請求項4の起動方式の原理を図化したものである。
【0014】
【発明の効果】
通常の励磁の場合は安全度を考慮して、平均的には臨界電流密度よりも低い態で使用するのであるが、局所的には正の電流部分と負の電流部分が共存し、しかも夫々が臨界状態にあって時間的に変化するため、遍歴に依存した磁場分布によって超電導磁気浮上特性が複雑に変化する(磁束ピンニングと電磁現象、産業図書、1994年 参照)。これに対し本発明では、同じ負荷でありながら、全体に臨界状態から外れた余裕のある低温冷却状態とする事によって、そうした時間変化を抑え、よって超電導磁気浮上特性の安定性を大きく改善するものである。これにより、高温超電導軸受の軸受性能は著しい向上が計られ、今後の産業界の発展に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アキシャル型超電導軸受のゼロ磁場冷却の場合の適用原理図
【図2】アキシャル型超電導軸受の磁場冷却の場合の適用原理図
【図3】ラジアル型超電導軸受の磁場冷却の場合の適用原理図
【図4】ラジアル型超電導軸受のゼロ磁場冷却の場合の適用原理図
【符号の説明】
1 永久磁石回転子
2 クライオスタット固定子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3