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明細書 :超電導軸受における磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置。

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4296258号 (P4296258)
公開番号 特開2004-232695 (P2004-232695A)
登録日 平成21年4月24日(2009.4.24)
発行日 平成21年7月15日(2009.7.15)
公開日 平成16年8月19日(2004.8.19)
発明の名称または考案の名称 超電導軸受における磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置。
国際特許分類 F16C  32/04        (2006.01)
G01N  27/72        (2006.01)
FI F16C 32/04 A
F16C 32/04 ZAAZ
G01N 27/72
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2003-020476 (P2003-020476)
出願日 平成15年1月29日(2003.1.29)
審査請求日 平成18年1月25日(2006.1.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】樋笠 博正
【氏名】松下 照男
【氏名】小森 望充
【氏名】小田部 エドモンド 荘司
個別代理人の代理人 【識別番号】100077263、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 純博
審査官 【審査官】瀬川 裕
参考文献・文献 特開平10-205536(JP,A)
特開2000-136825(JP,A)
特開平08-035951(JP,A)
特開平08-296648(JP,A)
特開平05-180225(JP,A)
調査した分野 F16C 32/04,
G01N 27/72
特許請求の範囲 【請求項1】
第二種超電導体を内設し超電導状態を発現可能な中空円柱状クライオスタット固定子と、その中空円柱状超電導体面の外周にギャップを開けて同心非接触で回転可能に対置した磁気発生用中空円柱状永久磁石回転子からなるラジアル型超電導軸受の超電導磁気浮上状態における回転試験において、磁束ピンニング機構緩和特性を測定するための試験装置であって、該試験装置は回転損失測定装置とこれに付加した固定子昇降装置とからなるものであり、該回転損失測定装置は、前記回転子と同心直結し、超電導磁気浮上、非接触で垂直立設の回転軸を、5軸制御磁気軸受により定常定置安定化して、前記回転軸に軸通の電動機により、試験のため予め定めた回転状態に制御調整できるものであり、該固定子昇降装置は、前記回転損失測定装置が具備する支持台上に前記固定子を持設して、前記回転子と同心に垂直昇降できる支持棒機能を有すると共に、試験時間の経過と共に常時変化する固定子の荷重を、予め定めた試験荷重設定値に許容誤差内で保持される様に、前記回転子と同心垂直に前記固定子の位置を昇降自動制御できるものであることを特徴とする磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、第二種超電導体が発現する超電導磁気浮上現象を利用した、高速回転体を非接触支持可能な超電導軸受の回転中特に著しい磁束ピンニング機構の緩和特性などが軸受性能に与える影響に関する。
【0002】
【従来の技術】
超電導軸受の前記回転試験の内、回転損失について、これまでに超電導軸受の回転損失測定装置(特開平10-205536公報参照)などに公知の記述があるが、この引用例の場合、超電導軸受に負荷する試験荷重を或幅の中で種々に変更して超電導軸受の回転損失を測定する際、回転子(引用例では、環状永久磁石部という)と同心直結した垂直立設の回転軸を、典型的な5軸制御のアキシャル方向磁気軸受及びラジアル方向磁気軸受により定常定置制御した状態で、回転子を回転させる前に、超電導軸受の荷重を、支持棒により固定子(引用例では、環状超電導部という)の位置を調整し、予め定めた試験荷重設定値に合わせた後、固定子の位置を固定して超電導軸受の回転損失を測定している。このため、超電導軸受の回転に随伴し生ずる、特に著しい磁束ピンニング機構の緩和特性などに基因する超電導磁気浮上特性の著しい劣化現象による超電導軸受の荷重変化は、前記アキシャル方向磁気軸受に吸収され、固定子と回転子との相対位置の変化となって発現されない。この様な状況は、超電導軸受が実際の回転機に供用された場合の状況とは通常異なるもので、測定された回転損失も、実際の状況に合わない正しくないものと考えられる。
更にいえば、回転軸に軸通の回転駆動用電動機が回転トルク発生時に随伴して同電動機において生ずる電磁気不平衡による軸方向の吸引力(電気機器設計、電気学会刊行、1982年第2次改訂版参照)に対する注意も特に払われていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
超電導軸受が実際の回転機に供用され、回転体を非接触支持し回転状態にある場合、回転軸を半径方向磁気軸受により半径方向振動の制振自動制御、定常定置安定化する装置にあって、固定子と回転子との相対位置に変化を生ずる主因には、超電導軸受の回転に随伴して生ずる特に著しい磁束ピンニング機構の緩和特性などに基因して生ずる超電導軸受の超電導磁気浮上特性の著しい劣化現象と回転軸に軸通の回転駆動用電動機が回転トルク発生時に随伴して同電動機において生ずる電磁気不平衡による軸方向の吸引力(電気機器設計、電気学会刊行、1982年第2次改訂版参照)がある。このうち、超電導軸受の回転試験においては、後者の影響は、回転試験に偶々用いた電動機固有の問題であるから、これを排除した正しい超電導軸受固有の前者の劣化現象の特性を把握解析することが、超電導軸受の設計に当たり肝要と考える。
【0004】
加えて、超電導軸受の設計に当たっては、前項(0003)の課題と共に、超電導軸受の回転に随伴して生ずる特に著しい磁束ピンニング機構の緩和特性などに基因して生ずる超電導軸受の超電導磁気浮上特性の著しい劣化現象が及ぼす固定子と回転子との相対位置に与える変化の影響を正しく反映した回転損失特性を把握解析する事も又、超電導軸受の設計に当たり肝要と考える。
【0005】
本発明は、前項(0003)、(0004)の課題を解明し、超電導軸受の設計に不可欠な設計データを回転、非回転に関わらず取得できる磁束ピンニング緩和試験装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載された発明は、第二種超電導体を内設し超電導状態を発現可能な中空円柱状クライオスタット固定子と、その中空円柱状超電導体面の外周にギャップを開けて同心非接触で回転可能に対置した磁気発生用中空円柱状永久磁石回転子からなるラジアル型超電導軸受の超電導磁気浮上状態における回転試験において、磁束ピンニング機構緩和特性を測定するための試験装置であって、該試験装置は回転損失測定装置とこれに付加した固定子昇降装置とからなるものであり、該回転損失測定装置は、前記回転子と同心直結し、超電導磁気浮上、非接触で垂直立設の回転軸を、5軸制御磁気軸受により定常定置安定化して、前記回転軸に軸通の電動機により、試験のため予め定めた回転状態に制御調整できるものであり、該固定子昇降装置は、前記回転損失測定装置が具備する支持台上に前記固定子を持設して、前記回転子と同心に垂直昇降できる支持棒機能を有すると共に、試験時間の経過と共に常時変化する固定子の荷重を、予め定めた試験荷重設定値に許容誤差内で保持される様に、前記回転子と同心垂直に前記固定子の位置を昇降自動制御できるものであることを特徴とする磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置である。
そして、かかる本発明は、前記の固定子昇降装置を含む超電導軸受回転中に特に著しい磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置(以下単に磁束ピンニング緩和試験装置という)は、前記固定子昇降装置の支持台上に持設した第二種超電導体を内設し超電導状態を発現可能な円盤状クライオスタット固定子とその円盤状超電導体面の上方に同心非接触で回転可能にギャップを開けて対置した磁気発生用円盤状永久磁石回転子からなる構造のアキシャル型超電導軸受の超電導磁気浮上状態における回転試験に用いる公知の回転損失測定装置にも付加して適用できる事を特徴とする。
以下、前記ラジアル型超電導軸受並びに前記アキシャル型超電導軸受に共通する事項においては、両者を総称して超電導軸受、超電導軸受の固定子または回転子と言う。
超電導軸受の前記回転試験の試験項目には、超電導軸受の回転に随伴し生ずる回転損失の測定試験及び、特に著しい磁束ピンニング機構の緩和特性などに基因する超電導磁気浮上特性の著しい劣化現象の測定試験が出来る事を特徴とする。
前記回転試験の回転状態には、超電導軸受の固定子の位置及び荷重の如何に関わりなく、回転子の回転数が前記電動機に何らのエネルギーを入出力する事なく比較的緩慢に変化している状態、回転子が或回転数から前記電動機に何らのエネルギーを入出力する事なく回転停止に至った状態並びに前記電動機に何らかのエネルギーを入出力する事により回転子の回転数が変化している状態が含まれる事を特徴とする。
前記超電導軸受の固定子に内設の第二種超電導体の温度は、前記回転試験上、必要に応じ調整できる事を特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、ラジアル型超電導軸受の前記回転試験のため、本発明の磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置に供試用ラジアル型超電導軸受8が装着された状態の縦断面図を示している。この図1において、供試用ラジアル型超電導軸受8の回転子8bは、アキシャル方向磁気軸受1の回転子1b,
上部ラジアル方向磁気軸受2の回転子2b,回転駆動用電動機3の回転子3b,及び下部ラジアル方向磁気軸受4の回転子4bが夫々表面に配設された非接触、垂直立設の回転軸に同心直結され、5軸制御磁気軸受の半径及び軸方向制振自動制御により、前記各回転子は、各々固定子8a,1a,2a,3a,及び4aに対し非接触定常定置安定化して前記回転駆動用電動機により、予め定めた回転状態に制御調整可能な構成となっている。
【0008】
所で、超電導軸受において、その回転子の回転に随伴し生ずる、超電導磁気浮上特性の著しい劣化現象による超電導軸受の荷重変化は、回転子の非回転時に比べて激しい事(フライホイール用高温超伝導磁気軸受、第57回1997年度秋季低温工学・超電導学会講演概要集、108~109)が知られている。前記回転時に著しい劣化現象による超電導軸受の荷重変化は、超電導軸受が実際の竪型回転機に供用され回転している状況にあっては、通常、超電導軸受の固定子と回転子との相対位置の変化となって発現され、これに伴い、超電導軸受の固定子に内設の第二種超電導体が受ける磁界に変化を生ずる。
【0009】
前記回転している超電導軸受の固定子に内設の第二種超電導体が受ける磁界の変化は、超電導軸受の回転損失並びに超電導磁気浮上特性に少なからぬ変化を発現させる。
【0010】
従って、図1の本発明の磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置においては、供試用ラジアル型超電導軸受8の固定子8aを支持台上に持設して、回転子8bと同心に垂直昇降できる固定子昇降装置10を設け、当該超電導軸受回転試験の間、時間の経過と共に変化する固定子8aの荷重を荷重計9により測定し、この測定値を固定子昇降装置10の制御入力として固定子8aの荷重が、常に予め定めた試験荷重設定値に許容誤差内で保持される様に、固定子8aの位置を昇降自動制御できる構成とした。この対応よって、供試用ラジアル型超電導軸受8の超電導磁気浮上特性の回転時に著しい劣化現象による当該超電導軸受の荷重変化、惹いては、当該超電導軸受の固定子と回転子との相対位置の変化による、回転している当該超電導軸受の固定子に内設の第二種超電導体が受ける磁界の変化は、忠実に模擬できるものとした。
【0011】
前記の対応よれば、図1の本発明の磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置に供試用ラジアル型超電導軸受8が装着され、当該超電導軸受の回転試験おいて、仮に回転駆動用電動機3の電磁気不平衡による軸方向の吸引力が発生しても、アキシャル方向磁気軸受1の電磁力で吸収するので当該超電導軸受の固定子と回転子との相対位置に変化を与える事は無くその影響は排除される。
【0012】
図1の本発明の磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置に供試用ラジアル型超電導軸受8が装着され状態で実施する当該超電導軸受の回転試験おいて、当該超電導軸受の回転損失を測定する方法は、初めに固定子昇降装置10の手動調整機能を用いて、当該超電導軸受の固定子を同回転子が発生する磁界の影響を受けない位置まで下げ且つ同固定子のクライオスタットは冷却していない状態とする。次に、5軸制御磁気軸受により当該回転体に非接触定常定置制御をかけ安定化した後、回転駆動用電動機3を駆使し、当該超電導軸受の回転子の回転数を設計最高回転数まで上げて後、直ちに回転駆動用電動機3の電源を遮断し、エネルギーの入出力を断つ。この後、当該回転体は緩やかな回転数の低減過程を辿り、最終的に停止に至る、この間の当該回転体が保有するエネルギー量の時間的減衰曲線を求め、この微分値から当該超電導軸受の回転損失を含めない損失対回転数特性が得られる。
【0013】
次に、当該回転体の回転が停止した後、前記5軸制御磁気軸受により当該回転体が非接触定常定置安定化している状態において、当該超電導軸受の固定子クライオスタットに内設の中空円柱状超電導体の高さ方向の中点と、その中空円柱状超電導体面の外周にギャップを開けて同心非接触で回転可能に対置する、磁気発生用中空円柱状永久磁石回転子の永久磁石の高さ方向の中点が同レベルになるまで、固定子昇降装置10の手動調整機能を用いて、当該超電導軸受の固定子の位置を上げて後、同固定子のクライオスタットに内設の超電導体を磁界中冷却する。超電導体が所定の温度に達した後、同固定子の荷重が予め定めた試験荷重設定値に達するまで、同固定子の位置を固定子昇降装置10により更に上昇させる。この後、固定子8aの荷重が、常に予め定めた試験荷重設定値に許容誤差内で保持される様に固定子8aの位置を自動制御する本発明の固定子昇降装置10を起動後、回転駆動用電動機3を駆使し、当該超電導軸受の回転子の回転数を設計最高回転数まで上げて後、直ちに回転駆動用電動機3の電源を遮断し、エネルギーの入出力を断つ。この後、当該回転体は緩やかな回転数の低減過程を辿り、最終的に停止に至る、この間の当該回転体が保有するエネルギー量の時間的減衰曲線を求め、この微分値から当該超電導軸受の回転損失を含む損失対回転数特性が得られる。
【0014】
前記のようにして求められた両損失対回転数特性の差から当該超電導軸受の回転損失対回転数特性が得られる。
【0015】
図1の本発明の磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置に供試用ラジアル型超電導軸受8が装着され状態で実施する当該超電導軸受の回転試験おいて、当該超電導軸受の超電導磁気浮上特性の回転時に著しい劣化現象の磁界中冷却の場合の測定記録における条件設定は、当該超電導軸受の回転開始前に、項目0013のそれと同様に設定し、固定子8aの位置を自動制御する固定子昇降装置10を起動した後、回転駆動用電動機3を駆使し、所望の回転状態を取りながら固定子8aの位置と回転状況を同時に記録したものが該当する。
【0016】
本発明の磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置に供試用アキシャル型超電導軸受を装着した場合の回転試験も、供試用ラジアル型超電導軸受を装着した場合と同様容易に実施可能である。また、供試用超電導軸受の回転開始前の起動条件には、種々のものがあり例えば、ゼロ磁界中冷却などの場合も項目0013の磁界中冷却同様容易に実施可能である。
【0017】
【発明の効果】
超電導軸受の回転に随伴して生ずる特に著しい磁束ピンニング機構の緩和特性などが基因して生ずる超電導軸受の超電導磁気浮上特性の著しい劣化現象は、これまで正確な測定方法が確立していなかった事から測定記録も殆ど無く、そのため超電導軸受の軸方向変位の的確な安定性対策が図られていない。加えて、これが回転損失に大きな影響を与えるにも拘わらず正確な測定方法が確立していなかった事から測定記録が無いのでこれまで、早急な解明と対策が課題として残されて来た。この様に、本発明は、超電導軸受の精緻な設計上、不可欠な此れまでにない情報を提供するもので、実用化を着実に促進できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジアル型超電導軸受の磁束ピンニング機構緩和特性の試験装置に装着された原理図
【符号の説明】
1 アキシャル方向磁気軸受
2 上部ラジアル方向磁気軸受
3 回転駆動用電動機
4 下部ラジアル方向磁気軸受
5a タッチダウン軸受
6a タッチダウン軸受
7a 第二種超電導体
7b 永久磁石
8 供試用ラジアル型超電導軸受
9 荷重計
10固定子昇降装置
図面
【図1】
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