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明細書 :近赤外光発光化合物、その合成法及びその発光法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5515529号 (P5515529)
公開番号 特開2011-051961 (P2011-051961A)
登録日 平成26年4月11日(2014.4.11)
発行日 平成26年6月11日(2014.6.11)
公開日 平成23年3月17日(2011.3.17)
発明の名称または考案の名称 近赤外光発光化合物、その合成法及びその発光法
国際特許分類 C07D 487/04        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
C07D 403/14        (2006.01)
C07D 209/12        (2006.01)
C07D 209/10        (2006.01)
G01N  21/78        (2006.01)
FI C07D 487/04 144
C09K 11/06 650
C07D 403/14
C07D 209/12
C07D 209/10
G01N 21/78 C
請求項の数または発明の数 10
全頁数 17
出願番号 特願2009-205084 (P2009-205084)
出願日 平成21年9月4日(2009.9.4)
審査請求日 平成24年8月24日(2012.8.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
発明者または考案者 【氏名】寺西 克倫
審査官 【審査官】堀 洋樹
参考文献・文献 国際公開第2009/077750(WO,A1)
国際公開第2009/078970(WO,A1)
特表2011-506418(JP,A)
特表2011-506673(JP,A)
米国特許出願公開第2006/0121503(US,A1)
調査した分野 C07D 1/00-521/00
C09K 11/06
G01N 21/78
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
次式で示されるインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物。
【化14】
JP0005515529B2_000012t.gif
(式中のRは、アルキル基、アルコキシル基、アリール基であり、Mは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属であり、m、n、pは、それぞれ1以上7以下の整数である。)
【請求項2】
次式で示されるスルホインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物。
【化15】
JP0005515529B2_000013t.gif
(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【請求項3】
次式で示されるスクシンイミジル化合物。
【化16】
JP0005515529B2_000014t.gif
(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【請求項4】
次式で示されるカルボン酸化合物。
【化17】
JP0005515529B2_000015t.gif
(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【請求項5】
次式で示されるスルホインドシアニン化合物。
【化18】
JP0005515529B2_000016t.gif
(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【請求項6】
次式(化19)で示されるスクシンイミジル化合物又は請求項3に記載のスクシンイミジル化合物と次式(化20)で示されるイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物との縮合反応により、請求項1に記載のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物又は請求項2に記載のスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を合成する方法。
【化19】
JP0005515529B2_000017t.gif
(式中のRは、アルキル基、アルコキシル基、アリール基であり、Mは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属であり、m、n、pは、それぞれ1以上7以下の整数である。)
【化20】
JP0005515529B2_000018t.gif

【請求項7】
次式(化21)で示されるカルボン酸化合物又は請求項に記載のカルボン酸化合物と請求項に記載のイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物との脱水縮合反応により、請求項1に記載のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物又は請求項2に記載のスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を合成する方法。
【化21】
JP0005515529B2_000019t.gif
(式中のRは、アルキル基、アルコキシル基、アリール基であり、Mは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属であり、m、n、pは、それぞれ1以上7以下の整数である。)
【請求項8】
請求項4に記載のカルボン酸化合物のスクシンイミジル化反応により、請求項3に記載のスクシンイミジル化合物を合成する方法。
【請求項9】
請求項1に記載のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物又は請求項2に記載のスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を含有することを特徴とする発光試薬。
【請求項10】
請求項に記載の発光試薬を検体溶液と接触させ、発光強度を測定することを特徴とする分析方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、発光実験や発光分析検査・診断に有用な近赤外光を発する発光化合物とその合成法、ならびにその発光法に関する。さらに詳しくは、近赤外光を化学反応により発するインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物、その合成法、及びインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の合成に必要な合成中間体、すなわちインドシアニン化合物のスクシンイミジル化合物、そのスクシンイミジル化合物の前駆体でありインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の合成前駆体となるカルボン酸化合物及びそのカルボン酸化合物の合成前駆体となるクロロ化合物に関する。さらには、インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を含有する発光試薬及びその発光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物は種々合成されており、それらは化学発光試薬として有用であることが知られている。これらのイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の中でCLA、MCLA、FCLA、Red-CLA、Green Chemiluminescent CD、EMPEC等は、活性酸素種の化学発光分析試薬としても用いられ、市販されている。しかし、これらの化学発光試薬から誘導される発光は、水溶液中、CLA、MCLA及びEMPECは青色、FCLA及びGreen Chemiluminescent CDは緑色、Red-CLAは紅色の光であり、被検体中の夾雑物による消光や被検体からの光透過性が低いという欠点、発光波長が重なる欠点があった。
【0003】
それに対し、生体内からの光透過性が上記波長領域の光に比べて優れている近赤外光については、近赤外領域の励起光の照射により近赤外蛍光を発する近赤外蛍光物質が、長年、生体蛍光分析に用いられている。しかし、励起光を必要とせず近赤外光を発する近赤外化学発光物質は2007年までは見出されていなかった。そのような状況において、2008年に、本発明者は近赤外化学発光を示すイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を発明するに至った(特許文献1及び非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特願2008-057476
【0005】

【非特許文献1】Synthesisand characterization of near-infrared chemiluminescent probes, Teranishi, K.Proceedings of the 15th international symposium on bioluminescence and chemiluminescence,World Scienctific, 143-146 (2008).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記近赤外化学発光を示すイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物には、発光強度が微弱であるという問題点があった。又、近赤外領域以外の発光が少なからずあり、検体からの光透過性の観点から近赤外領域以外の発光を低減することが望まれている。これらの課題を解決するため、本発明は、近赤外光の発光強度が従来の化合物よりも高い化学発光化合物、その合成法、その合成上必要な合成中間体、発光試薬、さらには発光法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
<1>次式で示されるインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物である。
【化1】
JP0005515529B2_000002t.gif
(式中のRは、アルキル基、アルコキシル基、アリール基であり、Mは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属であり、m、n、pは、それぞれ1以上7以下の整数である。)
【0008】
<2>次に、次式で示されるスルホインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物である。
【化2】
JP0005515529B2_000003t.gif
(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【0009】
<3>次に、次式で示されるスクシンイミジル化合物である。
【化3】
JP0005515529B2_000004t.gif
(式中のRは、アルキル基、アルコキシル基、アリール基であり、Mは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属であり、m、n、pは、それぞれ1以上7以下の整数である。)
【0010】
<4>次に、次式で示されるスクシンイミジル化合物である。
【化4】
JP0005515529B2_000005t.gif
(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【0011】
<5>次に、次式で示されるカルボン酸化合物である。
【化5】
JP0005515529B2_000006t.gif
(式中のRは、アルキル基、アルコキシル基、アリール基であり、Mは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属であり、m、n、pは、それぞれ1以上7以下の整数である。)
【0012】
<6>次に、次式で示されるカルボン酸化合物である。
【化6】
JP0005515529B2_000007t.gif
(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【0013】
<7>次に、次式で示されるスルホインドシアニン化合物である。
【化7】
JP0005515529B2_000008t.gif
(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【0014】
<8>次に、本発明に係わるインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなる化合物の合成法は、化学式3(化3)又は化学式4(化4)で示されるスクシンイミジル化合物と次式で示されるイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物とを反応させることを特徴とする。
【化8】
JP0005515529B2_000009t.gif

【0015】
<9>次に、本発明に係わるインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなる化合物の合成法は、化学式5(化5)又は化学式6(化6)で示されるカルボン酸化合物と化学式8(化8)で示されるイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物とを脱水縮合反応させることを特徴とする。
【0016】
<10>次に、化学式5(化5)又は化学式6(化6)で示されるカルボン酸化合物をスクシンイミジル化し、化学式3(化3)又は化学式4(化4)で示されるスクシンイミジル化合物を合成することを特徴とする。
【0017】
<11>次に、前記インドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなる化合物を含有することを特徴とする化学発光試薬である。
【0018】
<12>さらに、前記化学発光試薬を検体溶液と接触させ、発光強度を測定することを特徴とする発光分析方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の化学式1(化1)又は化学式2(化2)で示される近赤外光を発するインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物によれば、従来品よりも近赤外発光強度が高く、発光検出が向上する。又、化学式3(化3)又は化学式4(化4)で示されるスクシンイミジル化合物によれば、カルボニル基が活性化されており、本発明のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の合成に有用な前駆体となる。又、化学式5(化5)又は化学式6(化6)で示されるカルボン酸化合物によれば、本発明のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の合成に有用な前駆体となり、本発明のスクシンイミジル化合物の合成に有用な前駆体となる。又、本発明のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の合成法によれば、インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の有用な合成を提供することができる。
【0020】
本発明のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を含有する発光試薬は、近赤外化学発光を提供することができる。又、本発明のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を含有する発光試薬を用いる発光法によれば、新規な近赤外化学発光を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】化学式2(化2)で示される化合物及び先行技術文献に記載の化合物(化13)のヒポキサンチン-キサンチンオキシダーゼ系におけるスーパーオキサイドアニオンとの反応により誘起された化学発光の発光スペクトル。(発光反応条件:化学式2で示される化合物及び化学式13で示される化合物の濃度は10μMである。)
【発明を実施するための形態】
【0022】
<1.近赤外光発光化合物>
本発明の近赤外光を発する化学発光化合物は、インドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなる化学式1(化1)で示されるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物である。この時、化学式1(化1)中のmは、8以上では水溶性が低下するため7以下が好ましく、3~5が合成しやすい。nは、8以上では発光強度が低下するため7以下が好ましく、2~4が合成しやすい。pは、発光検出器の特性に依存するものであり、7以下が好ましい。

【0023】
又、化学式1(化1)中のRは、長鎖官能基では水溶性が低下する。水溶性と発光強度を確保するには、メチル、エチル、ブチル等のアルキル基、芳香族基、エーテル基等が好ましく、メチル基が最も合成効率が高い。

【0024】
したがって、本発明におけるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物としては、化学式2(化2)のものがより好ましく例示される。

【0025】
<2.近赤外光発光化合物の合成法>
本発明におけるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物は、以上の通りのものであり、その合成法は、化学式3(化3)又は化学式4(化4)と、化学式8(化8)で示されるイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物とを溶液中において反応させることにより成し遂げられる。

【0026】
本発明におけるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の合成法は、化学式5(化5)又は化学式6(化6)と、化学式8(化8)で示されるイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物とを溶液中において脱水縮合反応させることによっても成し遂げられる。

【0027】
前記の化学式3(化3)又は化学式4(化4)で示されるスクシンイミジル化合物の合成は、化学式5(化5)又は化学式6(化6)で示されるカルボン酸化合物をスクシンイミジル化することにより成し遂げられる。

【0028】
なお、化学式(化3)又は化学式4(化4)で示されるスクシンイミジル化合物は、化学式1(化1)又は化学式2(化2)で示されるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の合成前駆体、化学式5(化5)又は化学式6(化6)で示されるカルボン酸化合物は、前記インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の合成前駆体又は前記スクシンイミジル化合物の前駆体、化学式7(化7)で示されるスルホインドシアニン化合物は、前記カルボン酸化合物の合成前駆体となる他、蛍光化合物そのものとして、又は蛍光ラベル化剤として利用可能である。

【0029】
<3.近赤外光発光化合物の合成法(合成経路の一例)>
化学式2(化2)に示される化合物、スクシンイミジル化合物(化4)、カルボン酸化合物(化6)は、一例として次式に示した合成経路に従って合成することができる。
【化9】
JP0005515529B2_000010t.gif

【0030】
<化学式9(化9)中の工程1>
化学式9中の化学式12で示される新規インドシアニン化合物は、例えば非特許文献2に記載の方法により合成する4-(2,3,3-trimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(化学式9中の化学式10)と、特許文献2に記載の方法により合成する1-(2-carboxyethyl)-2,3,3-trimethyl-3H-indolium-5-sulfonate(化学式9中の化学式11)と、2-[6-acethlphenylamino]1,3,5-hexatrienyl]-3,3-dimethyl-5-sulfo-1-(4-sulfobutyl)3-H-indoliumとをモル比1:1:1の混合比で、メタノール中、酢酸ナトリウム及びN-[(3-(アニリノメチレン)-2-クロロ-1-シクロヘキセン-1-イル)メチレン]アニリン塩酸を加え、室温から70℃で1時間から3時間反応することにより得ることができる。

【0031】
<patcit num="2"> <text>特開平08-259826</text></patcit><nplcit num="2"> <text>Cyaninedye labeling reagents: sulfoindocyanine succinimidyl esters, R. B. Mujumdar, L.A. Ernst, S. R. Mujumdar, C. J. Lewis, A. S. Waggoner, Bioconjugate Chem., 4,105-111 (1993).</text></nplcit>

【0032】
<化学式9(化9)中の工程2>
化学式6(化6)で示される新規インドシアニン化合物は、インドシアニン化合物(化12)をメタノール中、ナトリウムメトキシドやカリウムメトキシドなどの金属アルコキシドを加え、室温から70℃で1時間から50時間反応することにより得ることができる。

【0033】
<化学式9(化9)中の工程3>
化学式4(化4)で示されるインドシアニン化合物は、インドシアニン化合物(化6)をピリジンとN,N-ジメチルホルムアミドとの混合液中で、室温から80℃で30分から2時間、N,N-ジスクシイミジルカーボネートと反応することにより得ることができる。

【0034】
<化学式9(化9)中の工程4>
化学式2(化2)で示される発光化合物は、化学式6(化6)と化学式8(化8)とをピリジンと燐酸緩衝液の混合液中で、0℃から50℃で30分から24時間、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドやWSCなどの脱水縮合剤を加えることにより得ることができる。

【0035】
<化学式9(化9)中の工程5>
化学式2(化2)で示される発光化合物は、化学式4(化4)と化学式8(化8)とをピリジンと燐酸緩衝液の混合液中で、0℃から50℃で30分から24時間、反応することによっても得ることができる。

【0036】
<4.近赤外光発光化合物を含有する発光試薬、発光方法>
本発明の発光試薬は、化学式1(化1)又は化学式2(化2)で示されるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を含有する発光試薬である。

【0037】
さらに、本発明の発光試薬は、以上の通りのインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を含有するものであれば、その他の物質、例えば、溶剤、緩衝剤、安定剤、界面活性剤等を含有してもよい。

【0038】
そして、本発明は、発光方法をも提供する。すなわち、本発明の発光方法では、前記の発光試薬を検体溶液に添加、混合するなどして接触させ、インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物によって発せられる光の強度を測定する。

【0039】
この時、添加する発光試薬の量等の分析条件は特に限定されない。具体的には、発光試薬の濃度は、発光系に影響を与えない程度であればよい。又、発光は、検体に影響を与えない温度範囲で行なえばよい。例えば、一般に生体を検体とし、水溶液中で分析を行なう場合には、約10℃~40℃の温度範囲が好ましい。

【0040】
さらに、本発明のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物によって発せられる光の発光波長は、極大波長約800nmであるため生体成分による消光は少なく検体からの光透過性がよい。なお、検体により発光波長は多少変動する。

【0041】
<5.定義等>
本発明において、「アルキル基」とは、置換基を有していてもよい炭素数1個~20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基をいい、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコサニルなどの直鎖の基、又は分岐状に結合した基をいう。

【0042】
本発明において、「アルコキシル基」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、メチキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシエトキシ、エトキシプロポキシ、メトキシエトキシエトキシ基などの炭素数1個~20個のアルコキシル基が直鎖上に又は分岐状に結合したものなどを挙げることができる。

【0043】
本発明において、「アリール基」とは、フェニル、ナフチルなどの炭素数6~20個の芳香族炭化水素を挙げることができる。
【実施例】
【0044】
以下に本発明の好適な一実施の形態を実施例によって具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の実施形態によって限定されるものでなく、本発明の範囲で様々に改変して実施することができる。
【実施例】
【0045】
<実施例1:化学式12(化12)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(2-carboxyethyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-chlorocyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonateの合成(工程1)>
化学式10(化10)で示される4-(2,3,3-trimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(1.0g)、化学式11(化11)で示される1-(2-carboxyethyl)-2,3,3-trimethyl-3H-indolium-5-sulfonate (0.82g)、N-[(3-(アニリノメチレン)-2-クロロ-1-シクロヘキセン-1-イル)メチレン]アニリン塩酸(0.96g)、酢酸ナトリウム(0.88g)、メタノール(24mL)の混合物を50℃で1時間撹拌した。メタノールを減圧除去し、残渣に水(50mL)及びクロロホルム(50mL)を加え分配した。さらに水層をクロロホルム(50mL×5回)で洗浄し、水層を減圧濃縮した。残渣を0.1%TFA水溶液に溶解し、ODSカラムクロマトグラフィーに供し、水とアセトニトリルの混合液で溶出した。目的物の溶出液を減圧濃縮し、目的物0.67gを青緑固体として得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 25 oC, TMS:0.0 ppm) 1.65 (6H, s),
1.67 (6H, s), 1.75 (2H, quin, J = 7.3 Hz), 1.83 (4H, m), 2.60 (2H, t, J
= 7.3 Hz), 2.70 (6H, m), 4.26 (2H, t, J = 7.3 Hz), 4.38 (2H, t, J
= 7.3 Hz), 6.34 (1H, d, J = 14 Hz), 6.45 (1H, d, J = 14 Hz), 7.30
(1H, d, J = 8.5 Hz), 7.47 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.62 (1H, d,d, J
= 1.2, 8.5 Hz), 7.67 (1H, d,d, J = 1.2, 8.5 Hz), 7.74 (1H, d, J =
1.2 Hz), 7.81 (1H, d, J = 1.2 Hz), 8.18 (1H, d, J = 14 Hz), 8.29
(1H, d, J = 14 Hz)
ESI-MS m/z calcd for C37H43N2O11S3Cl
822.17, found 823.23 [M+1]
【実施例】
【0046】
<実施例2:化学式6(化6)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(2-carboxyethyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-methoxycyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonateの合成(工程2)>
化学式12(化12)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(2-carboxyethyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-chlorocyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(0.2g)、メタノール(12mL)、カリウムブトキシド(0.56g)の混合物を50℃で12時間撹拌し、次に氷冷下において水(20mL)、1N HCl水溶液(5mL)を加え中和した。反応液を減圧濃縮し、残渣を0.1%TFA水溶液に溶解し、ODSカラムクロマトグラフィーに供した。水とアセトニトリルの混合液で溶出し、溶出液を減圧濃縮し、目的物0.20gを青緑色固体として得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 23 oC, TMS:0.0 ppm) 1.65 (6H, s),
1.67 (6H, s), 1.70-1.85 (6H, m), 2.55-2.65 (6H, m), 2.70 (2H, t, J = 7.3
Hz), 3.95 (3H, s), 4.21 (2H, br.), 4.35 (2H, br.), 6.20 (1H, d, J = 14.1
Hz), 6.28 (1H, d, J = 14.7 Hz), 7.27 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.42
(1H, d, J = 8.0 Hz), 7.62 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7. 65 (1H, d, J
= 8.0 Hz), 7.72 (1H, s), 7.79 (1H, s), 7.95 (1H, d, J = 14.1 Hz), 8.06
(1H, d, J = 14.7 Hz)
ESI-MS m/z calcd for C38H46N2O12S3
818.22, found 819.19 [M+1]
【実施例】
【0047】
<実施例3:化学式4(化4)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(3-(2,5-dioxopyrrolidin-1-yloxy)-3-oxopropyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-methoxycyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonateの合成(工程3)>
化学式6(化6)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(2-carboxyethyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-methoxycyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(0.15g)、N,N-ジスクシイミジルカーボネート(0.7g)、ピリジン(3mL)、N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)の混合物を、50℃で40分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を塩化メチレンとメタノールの混合液に溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。塩化メチレンとメタノールの混合液で溶出し、目的物を含む溶出液を減圧濃縮し、目的物0.143gを青色固体として得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 23 oC, TMS:0.0 ppm) 1.63 (6H, s),
1.66 (6H, s), 1.70-1.85 (6H, m), 2.55 (2H, t, J = 7.3 Hz), 2.60 (4H,
Br.), 2.78 (4H, s), 3.25 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.94 (3H, s), 4.23 (2H,
br.), 4.43 (2H, br.), 6.08 (1H, d, J = 13.3 Hz), 6.35 (1H, d, J =
14.6 Hz), 7.23 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.45 (1H, d, J = 8.5 Hz),
7.56 (1H, d, d, J = 1.2, 8.5 Hz), 7.66 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.67
(1H, s), 7.80 (1H, s), 7.88 (1H, d, J = 13.3 Hz), 8.10 (1H, d, J
= 14.6 Hz)
ESI-MS m/z calcd for C42H49N3O14S3
915.24, found 916.11 [M+1]
【実施例】
【0048】
<実施例4:化学式2(化2)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-2-methoxy-3-((E)-2-(1-(3-(2-(3-(6-(4-methoxyphenyl)-3-oxo-3,7-dihydroimidazo[1,2-a]pyrazin-2-yl)propanamido)ethylamino)-3-oxopropyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)cyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonateの合成(工程4)>
化学式4(化4)で示される4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(3-(2,5-dioxopyrrolidin-1-yloxy)-3-oxopropyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-methoxycyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(0.05g)と化学式8(化8)で示されるN-(2-aminoethyl)-3-(6-(4-methoxyphenyl)-3-oxo-3,7-dihydroimidazo[1,2-a]pyrazin-2-yl)propanamide(0.0087g)をピリジン(0.6mL)及び0.1M燐酸緩衝液(pH7.4、0.25mL)の混合液中、水素置換し室温で4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を0.1%TFA水溶液で溶解し、本溶液をODSカラムクロマトグラフィーに供した。水とアセトニトリルの混合液で溶出し、目的物の溶出液を減圧濃縮し、目的物0.009gを黄緑色固体として得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, D2O, 22 oC, Aceton:2.07 ppm) 1.21
(6H, s), 1.38 (6H, s), 1.52 (2H, br.), 1.62 (2H, br.), 2.37 (2H, t, J =
7.3 Hz), 2.45 (2H, br.), 2.72 (4H, m), 3.00 (4H, m), 3.42 (3H, s), 3.46 (3H,
s), 3.62 (2H, br.), 4.00 (2H, br.), 5.25 (1H, br.), 5.55 (1H, br.), 6.48 (2H,
d, J = 7.9 Hz), 6.78 (1H, br.), 6.93 (1H, br.), 7.10 (2H, d, J =
7.9 Hz), 7.35 (1H, s), 7.40 (1H, d, J = 7.4 Hz), 7.48 (1H, br.), 7.55
(3H, m), 7.63 (1H, s), 7.83 (1H, s)
ESI-MS m/z calcd for C56H65N7O14S3
1155.38, found 1156.33 [M+1]
【実施例】
【0049】
<実施例5:化学式2(化2)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-2-methoxy-3-((E)-2-(1-(3-(2-(3-(6-(4-methoxyphenyl)-3-oxo-3,7-dihydroimidazo[1,2-a]pyrazin-2-yl)propanamido)ethylamino)-3-oxopropyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)cyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonateの合成(工程5)>
化学式6(化6)で示される化合物4-(2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1-(2-carboxyethyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)ethylidene)-2-methoxycyclohex-1-enyl)vinyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonate(0.03g)、化学式8(化8)で示されるN-(2-aminoethyl)-3-(6-(4-methoxyphenyl)-3-oxo-3,7-dihydroimidazo[1,2-a]pyrazin-2-yl)propanamide(0.017g)、WSC HCl(0.22g)、ピリジン(0.6mL)及び0.1M燐酸緩衝液(pH7.4、0.05mL)の混合物を、水素置換し室温で2時間攪拌した。反応液にアセトンを加え、生成した固体と上澄み液とを分離した後、固体を0.1%TFA水溶液で溶解し、本溶液をODSカラムクロマトグラフィーに供した。水とアセトニトリルの混合液で溶出し、目的物の溶出液を減圧濃縮し、目的物0.007gを黄緑色固体として得た。
【実施例】
【0050】
<実施例6:発光スペクトル及び発光強度の測定>
KCl(0.2M)、EDTA(0.1mM)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)(20mM)を含む緩衝水溶液(pH7.2、0.1mL)に25℃で、ヒポキサンチン水溶液(0.3mM、0.1mL)、インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物(前記式(化10))の水溶液(0.1mM、25μL)及びキサンチンオキシダーゼ水溶液(0.18unit/20μL)を加え、ルミフルスペクトロキャプチャー(アトー社製)を用いて発光スペクトルを測定した。図1に発光スペクトルを示す。先行技術文献に記載の化合物(化13)の発光スペクトルでは、極大発光波長は約790nmであるのに対し、化学式2(化2)に示した化合物の極大発光波長は約803nmであった。それぞれの極大発光波長における発光強度の比較では、化学式2(化2)に示した化合物は約3倍の発光強度を示した。近赤外領域以外の発光は、先行技術文献に記載の化合物(化13)に比べ化学式2(化2)に示した化合物の方が低かった。
【化13】
JP0005515529B2_000011t.gif

図面
【図1】
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