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明細書 :風車のブレードピッチダブル制御機構

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4649570号 (P4649570)
公開番号 特開2010-138768 (P2010-138768A)
登録日 平成22年12月24日(2010.12.24)
発行日 平成23年3月9日(2011.3.9)
公開日 平成22年6月24日(2010.6.24)
発明の名称または考案の名称 風車のブレードピッチダブル制御機構
国際特許分類 F03D   7/04        (2006.01)
FI F03D 7/04 E
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2008-314822 (P2008-314822)
出願日 平成20年12月10日(2008.12.10)
審査請求日 平成22年4月13日(2010.4.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145308
【氏名又は名称】国立大学法人 琉球大学
発明者または考案者 【氏名】清水 幸丸
【氏名】玉城 史朗
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100076082、【弁理士】、【氏名又は名称】福島 康文
審査官 【審査官】田合 弘幸
参考文献・文献 特開2004-308498(JP,A)
特許第4104037(JP,B2)
実開平04-034466(JP,U)
実開昭62-082372(JP,U)
特開平07-004345(JP,A)
調査した分野 F03D 7/04
特許請求の範囲 【請求項1】
風車のブレード軸をピッチ運動可能にスラストベアリングを介して支持するブレード軸ホルダーのフラップ支軸をブレード軸と直角方向に設けると共に、前記ホルダーのフラップ支軸を回動可能に支持する支持フレームを風車軸と平行でかつ前記フラップ支軸と直交する前傾制御支軸でナセル側又は組立てフレーム側に回動可能に軸支する方法において、
前記のブレード軸ホルダーから風車軸側に突出したブレード軸に直角方向の連接体を風車軸と斜めに固設し、その先端に前記ブレード軸と平行に固定した平行体と軸受け手段を介して連結した風車軸と平行の首振り体を、ナセル側又は組立てフレーム側に揺動可能に支持してなり、
ブレードが風下側に傾くのを抑制するバネ手段を有し、かつブレードを回転方向前方に所定角前傾させるような弾力を常時付与するための弾性手段を有することを特徴とする風車のブレードピッチダブル制御方法。
【請求項2】
ブレードが風下側に傾くのを抑制する弾性手段とブレードを回転方向の前進方向に所定角前傾させるための弾性手段が、風力の増大に応じて同時に連動するように又は単一の弾性手段で兼ねるように、ばね力並びに各部の寸法を設定することを特徴とする請求項1に記載の風車のブレードピッチダブル制御方法。
【請求項3】
風車のブレード軸をピッチ運動可能にスラストベアリングを介して支持するブレード軸ホルダーのフラップ支軸をブレード軸と直角方向に設けると共に、前記ホルダーのフラップ支軸を回動可能に支持する支持フレームを風車軸と平行でかつ前記フラップ支軸と直交する前傾制御支軸でナセル側又は組立てフレーム側に回動可能に軸支する構造において、
前記のブレード軸ホルダーから風車軸側に突出したブレード軸に直角方向の連接体を風車軸と斜めに固設し、その先端に前記ブレード軸と平行に固定した平行体と軸受け手段を介して連結した風車軸と平行の首振り体を、ナセル側又は組立てフレーム側に揺動可能に支持してなり、
ブレードが風下側に傾くのを抑制するバネ手段を有し、かつブレードを回転方向前方に所定角前傾させるような弾力を常時付与するための弾性手段を有することを特徴とする風車のブレードピッチダブル制御機構。
【請求項4】
ブレードが風下側に傾くのを抑制する弾性手段とブレードを回転方向前方に所定角前傾させるための弾性手段が、風力の増大に応じて同時に連動するように又は単一の弾性手段で兼ねるように、ばね力並びに各部の寸法を設定することを特徴とする請求項3に記載の風車のブレードピッチダブル制御機構。
【請求項5】
ブレードが風下側に傾くのを抑制する方向に作用するバネ手段を、ブレード軸の風車軸寄りの先端とナセル側又は組立てフレームとの間に取付けてあることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の風車のブレードピッチダブル制御機構。
【請求項6】
ブレードを回転方向前方に所定角前傾させる方向の弾力を常時付与するための弾性手段を、ブレード軸の風車軸寄りの先端又は前記の支持フレームの風車軸寄りに取付けてあることを特徴とする請求項3、請求項4または請求項5に記載の風車のブレードピッチダブル制御機構。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、強風域に適した風力発電用風車のブレードピッチをパッシブにダブル制御する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の石油危機や環境保全の立場から、風力発電装置は人類社会の広範囲なエネルギー供給源として実用化が急務であり、現在、2MW~3MWという大型機の開発に成功している。一方、マイクロ型や小型風力発電(500W~10kW)は、安価で、かつ、取り扱いが容易であるため、小規模な電力供給源としての利用価値は高い。
しかしながら、強風時におけるブレードの飛散事故等が多発しており、現在まで、実用に耐えうる機種はあまり無いといえる。従来から、風車の過回転を抑える機構は検討されている。特に、大型風車においては、風速を検出し、モーターや油圧を用いてピッチ角を変化させることによるピッチ制御方式は一般的であるが、このような制御方式を小型風車に適用するのは非常にコスト高となり、また、メンテナンスの困難性が問題視される。
【0003】
一方、小型風車においては、回転軸にガバナを取り付け、強風時には、ガバナの作用でピッチ角を制御し一定回転を行う機構も提案されている。しかし、この制御方式も、ある一定以上の風速に対しては過回転になり、その結果、遠心力によるブレードの破壊等の事故が現実に起こっている。
しかしながら、このような強風域における過回転による破損などの問題を効果的に解決できれば、逆に強風を積極的にエネルギー源として有効利用して効率良く発電し、蓄電しておくことが可能となり、理想的な風力発電装置を実現可能となる。
【0004】
ところで、小型風車におけるブレードの破壊防止機構として、特許文献1に記載のように、バネ力でブレードを風下側に傾けてフラップ運動させることで、ピッチ角を増大して風車出力を受動式に制御すると共に、台風などの強風時にはパワーシリンダーなどのアクチュェータで強制的にピッチ角を変えて、失速させるアクティブ制御が提案されている。

【特許文献1】特許第4104037号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このように、強風時にアクチュェータで強制的にピッチ角を変えるには、常に風速を検出してアクチュェータを制御することになるが、構造が複雑化し、経費が高くなるため、一定規模以上の風車でないと適用が難しくなる。
本発明の技術的課題は、10kw程度までの小出力水平軸風車を安価に提供するため、ブレードのピッチ・フラップのパッシブ制御に加えて、各ブレードの受ける風力条件および風車回転数に応じて、強風時および風車過回転時において各ブレードのピッチ角制御もパッシブに行なう直交3軸ダブル失速制御を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、風車のブレード軸をピッチ運動可能にスラストベアリングを介して支持するブレード軸ホルダーのフラップ支軸をブレード軸と直角方向に設けると共に、前記ホルダーのフラップ支軸を回動可能に支持する支持フレームを風車軸と平行でかつ前記フラップ支軸と直交する前傾制御支軸でナセル側又は組立てフレーム側に回動可能に軸支する方法において、
前記のブレード軸ホルダーから風車軸側に突出したブレード軸に直角方向の連接体を風車軸と斜めに固設し、その先端に前記ブレード軸と平行に固定した平行体と軸受け手段を介して連結した風車軸と平行の首振り体を、ナセル側又は組立てフレーム側に揺動可能に支持してなり、
ブレードが風下側に傾くのを抑制するバネ手段を有し、かつブレードを回転方向前方に所定角前傾させるような弾力を常時付与するための弾性手段を有することを特徴とする風車のブレードピッチダブル制御方法である。
【0007】
このように、風車のブレード軸をピッチ運動可能にスラストベアリングを介して支持するブレード軸ホルダーのフラップ支軸をブレード軸と直角方向に設けると共に、前記ホルダーのフラップ支軸を回動可能に支持する支持フレームを風車軸と平行でかつ前記フラップ支軸と直交する前傾制御支軸でナセル側又は組立てフレーム側に回動可能に軸支する構造を有するため、ブレード軸が常にピッチ運動可能な状態において、自在継手に搭載されているように、フラップ支軸を中心にして風上と風下方向に回転運動でき、しかもブレードの回転方向に対しても、前傾制御支軸を中心にして風車軸の径方向と前傾角との間で常に往復回転できる。
このような制御機構において、ブレードが風下側に傾くのを弾力で抑制するので、風圧が強くなると、前記弾力に抗してブレードが風下側にパッシブに傾くことができる。また、ブレードを回転方向前方に所定角前傾させるような弾力を常時付与しているため、風力がアップして、回転数が著しく増加する、すなわち過回転状態になると、弾力に抗してブレードの遠心力で風車軸の径方向に起こしてピッチ角が変化するので、前記の風下方向へのフラップ動作と相まって、風力と風車回転数に応じた風車の速度制御と強風時の失速制御が可能となる。
しかも、前記のブレード軸ホルダーから風車軸側に突出したブレード軸に直角方向の連接体を固設し、その先端にブレード軸と平行に固定した平行体と軸受け手段を介して連結した首振り体を、ナセル側又は組立てフレーム側に揺動可能に支持してあるため、ブレード軸は前記のようなフラップ動作や回転方向の前傾動作や起立動作に支障を生じさせずに、ブレード軸の先端を支持することによって、安定性の悪いブレードを安定良く支持することができる。
【0008】
請求項2は、ブレードが風下側に傾くのを抑制する弾性手段とブレードを回転方向の前進方向に所定角前傾させるための弾性手段が、風力の増大に応じて同時に連動するように又は単一の弾性手段で兼ねるように、ばね力並びに各部の寸法を設定することを特徴とする請求項1に記載の風車のブレードピッチダブル制御方法である。
このように、ブレードが風下側に傾くのを抑制する弾性手段とブレードを回転方向前方に所定角前傾させるための弾性手段が、風力の増大と風車回転数に応じて同時に連動するように、ばね力並びに各部の寸法を設定すると、風力でブレードが風下側に傾くフラップ運動とブレードが回転による遠心力で起立する動作が同時にパッシブに可能となる。
【0009】
請求項3は、風車のブレード軸をピッチ運動可能にスラストベアリングを介して支持するブレード軸ホルダーのフラップ支軸をブレード軸と直角方向に設けると共に、前記ホルダーのフラップ支軸を回動可能に支持する支持フレームを風車軸と平行でかつ前記フラップ支軸と直交する前傾制御支軸でナセル側又は組立てフレーム側に回動可能に軸支する構造において、
前記のブレード軸ホルダーから風車軸側に突出したブレード軸に直角方向の連接体を風車軸と斜めに固設し、その先端に前記ブレード軸と平行に固定した平行体と軸受け手段を介して連結した風車軸と平行の首振り体を、ナセル側又は組立てフレーム側に揺動可能に支持してなり、
ブレードが風下側に傾くのを抑制するバネ手段を有し、かつブレードを回転方向前方に所定角前傾させるような弾力を常時付与するための弾性手段を有することを特徴とする風車のブレードピッチダブル制御機構である。
【0010】
このように、風車のブレード軸をピッチ運動可能にスラストベアリングを介して支持するブレード軸ホルダーのフラップ支軸をブレード軸と直角方向に設けると共に、前記ホルダーのフラップ支軸を回動可能に支持する支持フレームを風車軸と平行でかつ前記フラップ支軸と直交する前傾制御支軸でナセル側又は組立てフレーム側に回動可能に軸支する構造を有するため、ブレード軸が常にピッチ運動可能な状態において、自在継手に搭載されているように、フラップ支軸を中心にして風上と風下方向に回転運動でき、しかもブレードの回転方向に対しても、前傾制御支軸を中心にして風車軸の径方向と前傾角との間で常に往復回転できる。
また、ブレードが風下側に傾くのを抑制するバネ手段を有しているので、風圧が強くなると、前記バネ手段に抗してブレードが風下側にパッシブに傾くことができる。加えて、ブレードを回転方向前方に所定角前傾させるような弾力を常時付与するための弾性手段を有しているので、風力がアップすると、弾性手段の弾力に抗して、ブレードの遠心力で風車軸の径方向に起こしてピッチ角が変化するので、前記の風下方向へのフラップ動作と相まって、風力に応じた風車の速度制御と強風時の失速制御が可能となる。
しかも、前記のブレード軸ホルダーから風車軸側に突出したブレード軸に直角方向の連接体を固設し、その先端にブレード軸と平行に固定した平行体と軸受け手段を介して連結した首振り体を、ナセル側又は組立てフレーム側に揺動可能に支持してあるため、ブレード軸は前記のようなフラップ動作や回転方向の前傾動作や起立動作に支障を生じさせずに、ブレード軸の先端を支持することによって、安定性の悪いブレードを安定良く支持することができる。
【0011】
請求項4は、ブレードが風下側に傾くのを抑制する弾性手段とブレードを回転方向前方に所定角前傾させるための弾性手段が、風力の増大に応じて同時に連動するように又は単一の弾性手段で兼ねるように、ばね力並びに各部の寸法を設定することを特徴とする請求項3に記載の風車のブレードピッチダブル制御機構である。
このように、ブレードが風下側に傾くのを抑制する弾性手段とブレードを前進方向に所定角前傾させるための弾性手段が、風力の増大と風車回転数に応じて同時に連動するように、ばね力並びに各部の寸法を設定すると、風力でブレードが風下側に傾くフラップ運動とブレードが回転による遠心力で起立する動作が同時にパッシブに可能となる。
【0012】
請求項5は、ブレードが風下側に傾くのを抑制する方向に作用するバネ手段を、ブレード軸の風車軸寄りの先端又は前記の支持フレームに取付けてあることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の風車のブレードピッチダブル制御機構である。バネ手段は、引っ張りコイルバネでもよく、圧縮コイルバネでもよい。しかも、コイルバネに限定されない。
このように、ブレードが風下側に傾くのを抑制する方向に作用するバネ手段を、ブレード軸の風車軸寄りの先端又は前記の支持フレームに取付けてあるため、ブレードを効果的にパッシブにフラップ制御できる。
【0013】
請求項6は、ブレードを回転方向前方に所定角前傾させる方向の弾力を常時付与するための弾性手段を、ブレード軸の風車軸寄りの先端又は前記の支持フレームの風車軸寄りに取付けてあることを特徴とする請求項3、請求項4または請求項5に記載の風車のブレードピッチダブル制御機構である。
このように、ブレードを回転方向前方に所定角前傾させる方向の弾力を付与するための弾性手段を、ブレード軸の風車軸寄りの先端又は前記の支持フレームの風車軸寄りに取付けてあるため、ブレードを前進方向に前傾させたり遠心力で径方向に起立させたり、効果的にパッシブ制御できる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1のように、風車のブレード軸をピッチ運動可能にスラストベアリングを介して支持するブレード軸ホルダーのフラップ支軸をブレード軸と直角方向に設けると共に、前記ホルダーのフラップ支軸を回動可能に支持する支持フレームを風車軸と平行でかつ前記フラップ支軸と直交する前傾制御支軸でナセル側又は組立てフレーム側に回動可能に軸支する構造を有するため、ブレード軸が常にピッチ運動可能な状態において、自在継手に搭載されているように、フラップ支軸を中心にして風上と風下方向に回転運動でき、しかもブレードの回転方向に対しても、前傾制御支軸を中心にして風車軸の径方向と前傾角との間で常に往復回転できる。
このような制御機構において、ブレードが風下側に傾くのを弾力で抑制するので、風圧が強くなると、前記弾力に抗してブレードが風下側にパッシブに傾くことができる。また、ブレードを回転方向前方に所定角前傾させるような弾力を常時付与しているため、風力がアップして、回転数が著しく増加する、すなわち過回転状態になると、弾力に抗してブレードの遠心力で風車軸の径方向に起こしてピッチ角が変化するので、前記の風下方向へのフラップ動作と相まって、風力と風車回転数に応じた風車の速度制御と強風時の失速制御が可能となる。
しかも、前記のブレード軸ホルダーから風車軸側に突出したブレード軸に直角方向の連接体を固設し、その先端にブレード軸と平行に固定した平行体と軸受け手段を介して連結した首振り体を、ナセル側又は組立てフレーム側に揺動可能に支持してあるため、ブレード軸は前記のようなフラップ動作や回転方向の前傾動作や起立動作に支障を生じさせずに、ブレード軸の先端を支持することによって、安定性の悪いブレードを安定良く支持することができる。
【0015】
請求項2のように、ブレードが風下側に傾くのを抑制する弾性手段とブレードを回転方向前方に所定角前傾させるための弾性手段が、風力の増大と風車回転数に応じて同時に連動するように、ばね力並びに各部の寸法を設定すると、風力でブレードが風下側に傾くフラップ運動とブレードが回転による遠心力で起立する動作が同時にパッシブに可能となる。
【0016】
請求項3のように、風車のブレード軸をピッチ運動可能にスラストベアリングを介して支持するブレード軸ホルダーのフラップ支軸をブレード軸と直角方向に設けると共に、前記ホルダーのフラップ支軸を回動可能に支持する支持フレームを風車軸と平行でかつ前記フラップ支軸と直交する前傾制御支軸でナセル側又は組立てフレーム側に回動可能に軸支する構造を有するため、ブレード軸が常にピッチ運動可能な状態において、自在継手に搭載されているように、フラップ支軸を中心にして風上と風下方向に回転運動でき、しかもブレードの回転方向に対しても、前傾制御支軸を中心にして風車軸の径方向と前傾角との間で常に往復回転できる。
また、ブレードが風下側に傾くのを抑制するバネ手段を有しているので、風圧が強くなると、前記バネ手段に抗してブレードが風下側にパッシブに傾くことができる。加えて、ブレードを回転方向前方に所定角前傾させるような弾力を常時付与するための弾性手段を有しているので、風力がアップすると、弾性手段の弾力に抗して、ブレードの遠心力で風車軸の径方向に起こしてピッチ角が変化するので、前記の風下方向へのフラップ動作と相まって、風力に応じた風車の速度制御と強風時の失速制御が可能となる。
しかも、前記のブレード軸ホルダーから風車軸側に突出したブレード軸に直角方向の連接体を固設し、その先端にブレード軸と平行に固定した平行体と軸受け手段を介して連結した首振り体を、ナセル側又は組立てフレーム側に揺動可能に支持してあるため、ブレード軸は前記のようなフラップ動作や回転方向の前傾動作や起立動作に支障を生じさせずに、ブレード軸の先端を支持することによって、安定性の悪いブレードを安定良く支持することができる。
【0017】
請求項4のように、ブレードが風下側に傾くのを抑制する弾性手段とブレードを前進方向に所定角前傾させるための弾性手段が、風力の増大と風車回転数に応じて同時に連動するように、ばね力並びに各部の寸法を設定すると、風力でブレードが風下側に傾くフラップ運動とブレードが回転による遠心力で起立する動作が同時にパッシブに可能となる。
【0018】
請求項5のように、ブレードが風下側に傾くのを抑制する方向に作用するバネ手段を、ブレード軸の風車軸寄りの先端又は前記の支持フレームに取付けてあるため、ブレードを効果的にパッシブにフラップ制御できる。
【0019】
請求項6のように、ブレードを回転方向前方に所定角前傾させる方向の弾力を付与するための弾性手段を、ブレード軸の風車軸寄りの先端又は前記の支持フレームの風車軸寄りに取付けてあるため、ブレードを前進方向に前傾させたり遠心力で径方向に起立させたり、効果的にパッシブ制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明による風車のブレードピッチダブル制御機構が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は3枚羽根の風車の正面図であり、風車の回転軸1とブレードBとの間に本発明によるブレードピッチダブル制御機構Mを介在させてある。いま、風車を正面から見た場合、矢印a1のように右回転するものとすると、ブレードBに固設されたブレード軸bが制御機構Mを貫通し、その回転軸1寄りの先端に引っ張りコイルバネ2を取付けて、支軸4を中心に、ブレードBが回転方向a1にβ(例えば3度)傾くように引っ張っている。
【0021】
ブレード軸bが貫通しているブレード軸ホルダーHとブレード軸bとの間にスラストベアリング3を介在させてブレードの重量を受けると共に、ブレードBがブレード軸bと共に回転してピッチ角を制御可能にしてある。
ブレード軸bのホルダーHは、後述する支持フレームfを介して、紙面と垂直方向の支軸4で回動可能に支持されているので、ブレード軸bをホルダーHと共に回転方向a1に引っ張りコイルバネ2の弾力で常時βだけ前傾されている。
【0022】
図2は、図1における上側の1個の制御機構部Mの右側面図であり、ブレード軸bが貫通しているホルダーHが前後(図の左右)方向に回動可能に支軸5で支持フレームfに支持してある。そして、ブレード軸bの下端に別の引っ張りコイルバネ6を取付けて、ブレードBが実線で示すように、風車回転軸1に対し常に垂直方向に直立するように弾力を付与している。
いま、矢印a2のように正面から風力を受けると、引っ張りコイルバネ6の引っ張り力に抗して、ブレードBが鎖線で示すように風下側に押されてαだけ傾くが、その際の回転中心が前記のフラップ支軸5である。
【0023】
図3に示すように、ブレード軸bに固設されたれ連接金具7の先端に平行体8を固設して、その先端に設けた球面軸受け9を介して首振り体10を連結してある。以上のメカニズムは、4角(すみ)を間隔バー12…で連結した前後の組立てフレームF1、F2間に組み込まれており、正面側の組立てフレームF1に、自在継手11を介して、ブレード軸bと直交方向の前記首振り体10の基端側が連結されている。
なお、両側の組立てフレームF1、F2は、風車のナセル側に取付け固定されるが、組立てフレームF1、F2とナセルとを兼ねさせることも可能である。
【0024】
図3は、図1、図2の制御機構Mの斜視図であり、ブレード軸ホルダーHの左右両端が、フラップ支軸5で支持フレームfに支持されているため、正面から受けた風圧でブレードBが押されると、ブレード軸先端の引っ張りコイルバネ6に抗して、図2に鎖線で示すように風下側にαだけ傾いてフラップ角が増大すると同時にピッチ角も増大し、風車の出力トルクをパッシブに低下させる。
次いで、風圧が低下すると、引っ張りコイルバネ6に引っ張られて元の実線で示す直立位置に戻り、ホルダーH中でブレード軸bが回動してピッチ角も元に戻る。このようなフラップ動作の際のブレードBの回転中心が前記の支軸5である。
【0025】
図4は、ブレードBの回転時の状態を示す正面図で、通常の風速で回転している場合は、図1のように、ブレード軸bの先端が引っ張りコイルバネ2で引っ張られて、実線で示すように、風車軸1の径方向に対し進行方向にβ(約3度)傾いている。
いま、風速が増大して強風域に達すると、前傾状態のブレードBが、その遠心力によって、鎖線で示すように、風車軸1の径方向に支軸4を中心に起こされる。この際に、ブレードBのピッチがパッシブ変化し、しかも前記のようにブレードBが風下側にαだけ傾斜するために逆ピッチとなって失速が増幅され、ブレードの回転が停止する。
図7の特性試験グラフにおいて、約150秒後に1回だけ、突風による失速停止が発生して、出力電力0を示している。
【0026】
通常風速に戻ると、ブレードBの遠心力より引っ張りコイルバネ2の引っ張り力が勝って、支軸4を中心に前傾状態に戻る。
このように、本発明の場合は、従来のように設定風速を越えた時点でアクチュェータで強制的にピッチ角制御する方式と違って、図7の特性試験グラフからも明らかなように、刻々変化する風速に即応して2方向の引っ張りコイルバネ2、6のばね力でアナログ的に反応できるので、風速変化に忠実なパッシブ制御が可能となり、小型風車による強風時の風力発電の実用化が期待できる。
【0027】
各ブレードBのブレード軸bが、自在継手作用をする支軸4、5だけで支持されていると、1点支持となって安定性が悪いので、本発明の場合は、前記のようにブレード軸b先端に固設した連接金具7の先端に平行体8を固設して、その先端の球面軸受け9を、フレームF1に自在継手11で取付けた首振り体10の先端と連結して、首振り揺動させる。
その結果、ブレード軸bの先端側でも、球面軸受け9、自在継手11を介して揺動自在にフレームF1側に連結されていて、常に2点で支持されるので、ブレードBが安定的に制御される。
【0028】
ブレードが風下側に傾くのを抑制する方向に作用する引っ張りコイルバネ6は、図示例では、ブレード軸bの風車軸1寄りの先端に取付けて引っ張っているが、支持フレームfの風車軸1寄りに取付けることも可能である。この場合、支持フレームfから風車軸1寄りに延長したレバーを引っ張る構造でもよい。
また、ブレードBを風車軸1の径方向から前傾させる引っ張りコイルバネ2は、図1のようにブレード軸bの風車軸寄りの先端に取付けてもよいが、図3のように、支持フレームfの風車軸1寄りに取付けることも可能である。この場合、支持フレームfから風車軸1寄りに延長したレバーを引っ張る構造でもよい。
なお、以上の構造は、引っ張りコイルバネ6や2で引っ張る構造であるが、逆に圧縮コイルバネで逆方向から弾圧する構造も可能である。
【0029】
図5は、2方向の2本の引っ張りコイルバネ6と2を1本で代用する実施形態であり、ブレード軸bの先端に取付けた引っ張りコイルバネ2によって、ブレード軸bを前傾方向と逆向きa3に引っ張り、互いに直交方向の引っ張りコイルバネ6によって、ブレードBを風下方向a4に引っ張る構造になっている。
従って、矢印a3方向とa4方向との合成力が得られるように矢印a5方向に引っ張る引っ張りコイルバネを設ければ、1本で代用できる。圧縮コイルバネを使用する場合は、ブレード軸bの背部を矢印a5方向に弾圧すれば足りる。
【0030】
図1~図3のような首振り機構に代えて、図6のようなガイド溝(スリットでもよい)を形成して、その中にブレード軸bの先端を挿入することも可能である。従って、図3の引っ張りコイルバネ6の位置に、ガイド溝つきのガイド板を設け、左右の組立てフレームF1、F2間に固定しておく。
図6(1)は、図5の矢印a5方向に直線状のガイド溝G1を形成して、その中にブレード軸bの先端をボールベアリング13を介して挿入してある。低風速の場合は、引っ張りコイルバネ6と2で矢印a5方向にブレード軸b端が引っ張られているので、ガイド溝G1の後端に位置しているが、強風になると、ブレードが風下側a2に押されると共に、ブレードの遠心力で風車軸の径方向に起こされるので、ブレード軸b先端は、矢印a5と逆方向に移動する。このとき、直線状のガイド溝G1にガイドされながら移動するので、ブレードBのフラップ動作やピッチ角制御動作が安定的に行われる。
【0031】
風車の設置地域の気象的な特性や地形的な特殊性から、フラップ動作を優先したいとか、遠心力によるブレード起立動作を優先したいとか、別々に制御したい場合は、図6(2)(3)のように曲がったガイド溝形状が有効である。
図6(2)のガイド溝G2は、風速が高速になると、低風速時のブレード軸b端位置から、前後方向の溝G3→湾曲溝G4→風車回転方向の溝G5の順にブレード軸b端が移動するので、最初はフラップ動作が優先して、ブレードが風下側に傾き、さらに風車が高速回転して遠心力が増大したら、フラップ動作の終了前に、ブレードが径方向に起立する。
【0032】
図6(3)のガイド溝G6は、低風速時のブレード軸b端位置から、風車回転方向の溝G7→湾曲溝G8→前後方向の溝G9の順にブレード軸b端が移動するので、最初はブレードの遠心力による起立動作が起き、さらに風速が速くなるとフラップ動作によって、ブレードが風下側に傾く。
図6(2)(3)のようにガイド溝が曲がっている場合は、引っ張り方向が矢印a3、a4と異なる2方向の引っ張りコイルバネ2、6を使用するのが効果的である。なお、優先する方のバネ力を強くすることも可能である。
【0033】
風速が低下すると、ガイド溝G1、G2、G6中でブレード軸b端が逆向きに移動するが、(2)図のガイド溝G2と(3)図のガイド溝G6を連結して環状溝にすると、風速の増加時と低下時とで、別の経路を移動するような制御も可能である。
このようにガイド溝G1、G2、G6でブレード軸b端の移動を規制すると、風向きの変化によってブレード軸bに多少無理な力が作用することは避けられないが、ガイド溝G1、G2、G6がブレード軸bのストッパー機能を兼ねるので、構造を簡素化できる。
図3では、ブレード軸ホルダーHの前後に配設したストッパーピンP1・P2を支持フレームfに固定し、ブレードBの風上・風下方向の動きを規制している。また、支持フレームfの下部に固設したバネ取付けボルト14が突出しているガイドスリット15のスリット長によって、ブレードの前傾角と風車軸の径方向の角度との間の動きを規制している。しかし、図1では、ブレード軸bの下端とフレームF1後方に延びた取付けアーム16との間に引っ張りコイルバネ2を取付けてある。
【0034】
最後に、ブレード軸bホルダーHのフラップ制御軸5とホルダーH支 持フレームfのブレード前傾制御支軸4による自在継手構造の具体構造は、種々可能であるが、図示例の場合、ブレード軸bを内部のスラストベアリングで支持しているブレード軸ホルダーHの左右両端とホルダーH支持フレームfとの間をフラップ制御軸5で、回動可能に支持してある。
そして、ホルダーH支持フレームfの前後両端と前後の組立てフレームF1、F2との間を支軸4で軸支して、ブレード軸bすなわちブレードBが前傾運動可能に支持している。
このようにブレード軸がピッチ角変化可能にスラストベアリング3を受けているブレード軸bのホルダーHが、フラップ運動可能でかつホルダーHが、風車回転方向に前傾も可能に軸支する機構は、図示例に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明によると、ブレードが風下方向に傾かないように、かつ前傾するように弾性手段で付勢することによって、風力の変化に応じて連続的にブレードを風下側に傾けたり、遠心力で径方向に起立させ、強風時の速度制御や失速制御ができるため、アクティブ制御方式と違って、各ブレードの受ける風力条件に応じて忠実に、強風時の各ブレードのフラップ制御とピッチ制御が同時に可能で、ダブル失速制御の実用化が期待できる。
従って、本発明の風力発電機は、湾岸や山岳部などの強風地域で特に有効で、一般の風力発電装置が、カットオフ風速15m/s程度であるのに対し、本風力発電装置は25~30m/sと、高速回転に耐えうる構造である。その結果、高風速領域における運転が可能で、従来の風力発電装置に比較し、発電効率が格段に上昇する。
本風力発電装置の活用事例としては、離島や山岳地域における集落の独立型発電システムや、農業用灌漑動力として、また、都市部においても、商業用発電や自家用発電システムとしての活用が充分期待できる。
現在、この試作機の実証実験を行って、その性能を評価しているが、図7のように、ダブルピッチ制御の効果が顕著に表れていることが確認できた。また、プレード引っ張り試験でも25tN(回転速度1000r.p.m.)の耐荷重性能を保証できた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による3枚羽根風車の制御機構部の正面図である。
【図2】図1における上側の1個の制御機構部の右側面図である。
【図3】図1、図2の制御機構部の斜視図である。
【図4】ブレードの回転時の状態を示す正面図である。
【図5】2方向の2本の引っ張りコイルバネを1本で代用する実施形態を示す斜視図である。
【図6】首振り機構の代用のガイド溝で、(1)は直線状のガイド溝、(2)は凸湾曲状のガイド溝、(3)は凹湾曲状のガイド溝である。
【図7】本発明による風力発電装置の特性試験の結果を示すグラフで、上側の波形が風速、下側の波形が出力電力である。
【符号の説明】
【0037】
1 風車の回転軸
B ブレード
b ブレード軸
M ブレードピッチダブル制御機構部
H ブレードホルダー
f 支持フレーム
2 前傾用の引っ張りコイルバネ
3 スラストベアリング
4 前傾制御支軸
5 フラップ制御用の支軸
6 フラップ制御用の引っ張りコイルバネ
7 連接金具
8 平行体
9 球面軸受け
10 首振り体
11 自在継手
12… 間隔バー
F1・F2 組立てフレーム
13 ボールベアリング
G1・G2・G6 ガイド溝
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6