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明細書 :セラミックス多孔体の製造方法及びセラミックス多孔体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5061348号 (P5061348)
公開番号 特開2008-239434 (P2008-239434A)
登録日 平成24年8月17日(2012.8.17)
発行日 平成24年10月31日(2012.10.31)
公開日 平成20年10月9日(2008.10.9)
発明の名称または考案の名称 セラミックス多孔体の製造方法及びセラミックス多孔体
国際特許分類 C04B  38/10        (2006.01)
FI C04B 38/10 L
請求項の数または発明の数 7
全頁数 9
出願番号 特願2007-084461 (P2007-084461)
出願日 平成19年3月28日(2007.3.28)
審査請求日 平成22年2月2日(2010.2.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】藤 正督
【氏名】山川 智弘
【氏名】高橋 実
個別代理人の代理人 【識別番号】100118706、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 陽
審査官 【審査官】小川 武
参考文献・文献 特開平09-124354(JP,A)
特開2000-159582(JP,A)
特開2010-095444(JP,A)
特開2008-239433(JP,A)
特開2000-086350(JP,A)
福井武久ら,メカノケミカルボンディング処理により作成されたSOFC燃料極の構造と性能,2003年年会講演予稿集,社団法人日本セラミックス協会,2003年 3月22日,P.35
藤正督,気泡混合型その場固化法を用いた多孔性セラミックスの作製,親東技報,2006年,No.24,p.72-74
調査した分野 C04B 7/00-28/36,38/00-38/10
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも表面がケイ酸及び/又はケイ酸塩からなるセラミックスを乾式で摩砕することによって表面がメカノケミカル的に非晶質化された活性化セラミックス粉体とする摩砕工程と、
該活性化セラミックス粉体にアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ水溶液と、起泡剤とを添加し、泡立てた状態のまま該活性化セラミックス粉体の表面を溶解及び再析出させて強度が7MPa以上のセラミックス多孔体を得る多孔体成形工程と、
を備えることを特徴とするセラミックス多孔体の製造方法。
【請求項2】
原料となるセラミックスは、粘土鉱物及び/又は石英を主たる成分とすることを特徴とする請求項1記載のセラミックス多孔体の製造方法。
【請求項3】
粘土鉱物はメタカオリンであることを特徴とする請求項記載のセラミックス多孔体の製造方法。
【請求項4】
攪拌器の撹拌翼を回転させて空気を巻き込みながら撹拌することで、前記泡立てた状態とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のセラミックス多孔体の製造方法。
【請求項5】
下方から空気を送り込みながら撹拌することで、前記泡立てた状態とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のセラミックス多孔体の製造方法。
【請求項6】
前記起泡剤として界面活性剤を用い、前記界面活性剤溶液をあらかじめ泡立てた状態で添加することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のセラミックス多孔体の製造方法。
【請求項7】
前記起泡剤としてアルカリ水溶液と反応して水素を発生する物質を用い、発生した水素によって前記泡立てた状態とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のセラミックス多孔体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックスの粉体をセメントや水ガラス等のバインダーを用いることなく、高温焼結することもなくセラミックス多孔体を製造する方法、及びその方法によって製造されたセラミックス多孔体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化現象が世界的に問題となり、炭酸ガス放出の規制が重要な課題となっている。こうした状況下、セメントに代わる新たな代替技術として、水ガラスを結合剤としてセラミックス粉末を結合した、常温固化型のセラミックス多孔体が注目を浴びている(例えば特許文献1~4)。このセラミックス多孔体では、水ガラスとメタカオリン等のフィラーとを混合し、フィラーからアルミ等の金属イオンを溶出させて水ガラスと反応させる。これにより、水ガラスの成分であるケイ酸ナトリウムが架橋して無機ポリマーとなる。そして水分の蒸発とともに脱水縮合が起こり、セラミックス多孔体となる。
【0003】
以上のように、水ガラスを利用してフィラーを固化するセラミックス多孔体によれば、石灰石を用いることなく、常温で容易にブロック等の建築材料を得ることができる(フィラーの活性化のために、750 °C程度で焼成することが望ましいが、それでもセメントクリンカーの焼成温度と比較してはるかに低温である)。このため、製造時の炭酸ガスの発生量は、セメントに比べてはるかに発生量が少ない。
【0004】
さらには、水ガラスを利用してフィラーを固化する際に、起泡剤を混ぜておき、泡立てた状態で固化をさせてセラミックス多孔体も知られている(特許文献5)。こうして得られたセラミックス多孔体は軽量で、断熱性に優れた性質を有している。

【特許文献1】特開平8-301638号公報
【特許文献2】特開平8-301639号公報
【特許文献3】特開平7-133147号公報
【特許文献4】特開2003-226569号公報
【特許文献5】特開2000-313678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の水ガラスを結合剤として用いたセラミックス多孔体では、水ガラス中のケイ素とナトリウムとの比率や、重合度によってセラミックスの溶解性が大きく変化する。このため、固化の制御が困難であり、強度の高いセラミックス多孔体を再現性良く得ることが困難であった。また、水ガラスを多量に使用するため、水ガラス中の水分が蒸発し、歪が入ったりひび割れが生じたりしやすく、ひいては、機械的な強度に劣るという問題があった。また、水分の蒸発によって収縮が起こるため、寸法精度に劣るという問題もあった。さらには、水ガラスを多量に用いることから、水ガラス成分が表面に浮き出し、白く汚れて見栄えが悪いという問題もあった。また、粘性の高い水ガラスとセラミックス粉体とをよく混合する必要があるため、混合に多大なエネルギーと時間を要するという問題があった。さらには、多量の水ガラスとセラミックスとを化学反応させるため、セラミックスは、表面のみならず、ある程度の内部までケイ酸又はケイ酸塩の相が存在する必要が合った。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、高温焼成が不要であり、固化の制御が容易であり、機械的な強度及び寸法精度の優れており、見栄えも良く、製造時のエネルギーの消費が少なくて、幅広い資源を原料とすることができるセラミックス多孔体の製造方法、及びセラミックス多孔体を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、従来の結合剤として水ガラスを用いるのではなく、メカノケミカル現象を利用してセラミックス多孔体を得ることを考えた。メカノケミカル現象とは、粉砕などで衝撃応力やせん断応力を受けた固体中において、化学結合や電子密度の分布の変化が起こり、電荷移動による多様な化学反応が局部的に生じたり、熱的過程での励起状態と違って電子エネルギーの励起が起こったりする現象をいう。ケイ酸やケイ酸塩はメカノケミカルな処理で非晶質化を起こすことができる。このため、この現象を利用し、ケイ酸やケイ酸塩の粉体をボールミルなどで摩砕することにより、非晶質化させ、さらにアルカリを作用させれば、非晶質相とアルカリとが反応し、溶解及び再析出が起こり、固化することを見出した。そしてさらには、アルカリとともに起泡剤を添加し、泡立てた状態で固化を行えば、セラミックス多孔体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明のセラミックス多孔体の製造方法は、
少なくとも表面がケイ酸及び/又はケイ酸塩からなるセラミックスを摩砕することによって表面がメカノケミカル的に非晶質化された活性化セラミックス粉体とする摩砕工程と、
該活性化セラミックス粉体にアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ水溶液と、起泡剤とを添加し、泡立てた状態のまま該活性化セラミックス粉体の表面を溶解及び再析出させてセラミックス多孔体を得る多孔体成形工程と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
原料となるセラミックス粉体は、少なくとも表面がケイ酸及び/又はケイ酸塩からなるため、摩砕工程によって表面がメカノケミカル的に非晶質化され、アルカリに侵されやすい状態の活性化セラミックス粉体となる。そして、多孔体成形工程において、起泡剤の作用で泡立てられた状態の下、活性化セラミックス粉体の表面に存在する非晶質相がアルカリで侵され、溶解し、さらに脱水縮合反応起こって再析出し、気泡を残したまま固化する。こうして、セラミックス多孔体が製造される。
また、少なくとも表面がケイ酸及び/又はケイ酸塩からなるセラミックスの該表面をメカノケミカル的に非晶質化させた活性化セラミックス粉体を用意し、該活性化セラミックス粉体にアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶液と、起泡剤とを添加して泡立てた状態のまま固化させてセラミックス多孔体を得ることもできる。
【0010】
このようにして得られたセラミックス多孔体は、水ガラスを用いていないため、脱水による収縮率がそれほど大きくなく、寸法精度に優れたセラミックス多孔体を製造することができる。また、歪が少なく、機械的強度も高くなる。
また、重合度等によって性質が大きく変化する水ガラスを用いていないため、制御が容易で、機械的強度等の品質安定性が優れている。
さらに、粘性が高くて原料との均一な混合が困難な水ガラスと異なり、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ水溶液は粘度が低く、原料となるセラミックスとの均一な混合が容易であり、混合に要するエネルギーが小さく、混合時間も短くて済む。また、均一な混合が容易となるため、アルカリの偏析によって外観が白く汚れるという問題も生じ難い。
【0011】
したがって、本発明のセラミックス多孔体の製造方法によれば、高温焼成が不要であり、固化の制御が容易であり、機械的な強度及び寸法精度の優れており、見栄えも良く、製造時のエネルギーの消費が少なくて、幅広い資源を原料とすることができる。
【0012】
また、多孔体成形工程においてアルカリ水溶液に含まれるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。また、多孔体成形工程においてアルカリ水溶液に含まれるアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が用いられる。
【0013】
また、セラミックス多孔体を得る際では、多孔体攪拌器の撹拌翼を回転させて空気を巻き込みながら撹拌することで、泡立てた状態とすることができる。また、下方から空気を送り込みながら撹拌することで、泡立てた状態とすることができる。また、起泡剤として界面活性剤を用い、界面活性剤溶液をあらかじめ泡立てた状態で添加することができる。また、起泡剤としてアルカリ水溶液と反応して水素を発生する物質を用い、発生した水素によって泡立てた状態とすることができる。
本発明のセラミックス多孔体の製造方法で得られるセラミックス多孔体の強度は7MPa以上とすることができる。
【0014】
本発明のセラミックス多孔体の製造方法によって、本発明のセラミックス多孔体を得ることができる。すなわち、本発明のセラミックス多孔体は、少なくとも表面がケイ酸及び/又はケイ酸塩からなるセラミックスの該表面をメカノケミカル的に非晶質化させた活性化セラミックス粉体にアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶液と、起泡剤とを添加して泡立てた状態のまま固化させたものであり、
非晶質化させた部分が溶解及び再析出して生成した析出層を介して、セラミックス粉体が固化させられていることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<原 料>
原料となるセラミックスとしては、少なくとも表面がケイ酸及び/又はケイ酸塩からなることが要件とされる。このようなセラミックスとしては、例えば、ベントナイト、カオリナイト、メタカオリン、モンモリロナイト等の粘土鉱物、石英、ムライト等のSiO2-Al2O3系無機質粉体等を用いることができる。これらの中でも、粘土鉱物や石英は、安価かつ大量に得られるため、好適である。発明者らは、粘土鉱物としてメタカオリンを用いた場合、緻密で機械的強度に優れたセラミックス多孔体を得ている。
その他、フライアッシュ、キラ、ガラス、ペーパースラッジ、アルミドロス等の廃棄物をセラミックスとして用いることができる。
また、表面のみがケイ酸及び/又はケイ酸塩からなるセラミックスとしては、例えば、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サイアロン(SiAlON)、シリコンオキシナイトライド(SiON)、シリコンオキシカーバイド(SiOC)等が挙げられる。

【0016】
また、少なくとも表面がケイ酸及び/又はケイ酸塩からなる骨材を併用することもできる。このような骨材としては、砂、砕砂、砂利、砕石、珪砂、珪石粉、フライアッシュ、マイカ、珪藻土、雲母、岩石粉末(シラス、抗火石等)、玄武岩、長石、珪灰石、粘土、ボーキサイト、セピオライト、少なくとも表面がケイ酸及び/又はケイ酸塩からなる繊維材料等を用いることができる。
【0017】
<摩砕工程>
摩砕工程では、図1に示すように、少なくとも表面がケイ酸及び/又はケイ酸塩からなるセラミックス1を摩砕することによって、表面がメカノケミカル的に非晶質化された非晶質層2aを有する活性化セラミックス粉体2とされる。非晶質層2aではシリカの網目構造がアモルファス状態とされており、アルカリによって侵食され易い状態となっている。
このようなメカノケミカル作用を行うためには、衝撃、摩擦、圧縮、剪断等の各種の力を複合的に作用させることが効果的である。このような作用を行うことができる装置としては、ボールミル、振動ミル、遊星ミル、媒体攪拌型ミル等の混合装置ボール媒体ミル、ローラーミル、乳鉢等の粉砕機などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、被粉砕物に対し、主として衝撃、摩砕等の力を作用させることができるジェット粉砕機等も用いることができる。ジェット粉砕機で粉砕すれば、圧縮力、せん断力、衝撃力等を加えることができ、これによりセラミックス表面のケイ酸及び/又はケイ酸塩を非晶質化し、活性化セラミックス粉体とすることができる。
【0018】
また、摩砕工程においては、粒度分布の経時変化がなくなるまで、摩砕することが好ましい。粒度分布の経時変化がなくなるまで摩砕するということは、セラミックス1が摩砕によって細かくできる限界に達していると考えられ、セラミックス表面のメカノケミカル的な非晶質化が最も進行した状態となっている。こうした状態にまで摩砕されて得られる活性化セラミックス粉体2は、アルカリ水溶液による溶解も進みやすくなり、得られるセラミックス固化体は緻密で機械的な強度の高いものとなる。
【0019】
<多孔体形成工程>
多孔体形成工程では、活性化セラミックス粉体2に、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ水溶液と、起泡剤とを添加し、撹拌器によって撹拌翼を高速回転させて空気を巻き込みながら撹拌したり、下方から空気を送り込んで撹拌したりして、泡2bを発生させながら混合する。
【0020】
そして、添加したアルカリの作用により、活性化セラミックス粉体2の表面の非晶質層2aは溶解し、さらには脱水縮合されて析出層3aが生成する。この析出層3aが接着剤の役割を果たし、泡2bに起因する多数の孔3bを有するセラミックス多孔体3が得られる。この多孔体形成工程では、非晶質層2aの溶解反応や脱水縮合反応は室温で行ってもよいし、加熱して迅速化を図ることもできる。反応温度は原料となるセラミックスの種類やアルカリ水溶液の種類や濃度によって適宜選択すればよいが、一般的には室温~200°Cが好ましく、さらに好ましいのは室温~60°Cの範囲である。
【0021】
起泡剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンエーテル、天然樹脂、ポリエーテル類アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル等の各種の界面活性剤を用いることができる。具体的には、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
また、これらの界面活性剤溶液を添加する際において、界面活性剤溶液をあらかじめ泡立てた状態で添加するようにしても良い。こうであれば、泡の状態をより安定化することができる。
また、起泡剤としてアルミニウム粉、亜鉛粉末、Si単体粉末等のアルカリと反応して水素を発生する物質を混合し、水素の泡によって泡立てることもできる。また、骨材を併用する場合において、アルカリと反応して水素を発生する物質を含む骨材とすることも可能である。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施例について、詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、カオリナイトを焼成して脱水したメタカオリン(平均粒子径1μm)を用い、アルカリ水溶液として水酸化カリウム水溶液を用いて、図2示す工程を経てセラミックス固化体を製造した。詳細は以下のとおりである。
【0023】
<摩砕工程(S1)>
上記メタカオリン200gを1000mLの磁性ポットに入れ、ジルコニアボール(径10φ)を投入し、ボールミル装置で100時間回転させて、活性化メタカオリン粉体を得た。
【0024】
<多孔体形成工程(S2)>
摩砕工程によって得られた活性化メタカオリン粉体に50質量%の水酸化カリウム溶液を原料に対して65質量%加えて混合し、真空装置により脱泡操作を行い、スラリー中に存在する気泡を除去する。この混合物100gに対し、起泡剤としてジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの80%水溶液を6mlの割合で加え、攪拌器の撹拌翼を浸漬し、3分間、高速回転させることにより、起泡させ、多数の気泡を有するスラリーとする。その後、このスラリーを型に流して、40°Cに設定した乾燥機に入れて、24時間の加熱乾燥を行い、実施例1のメタカオリン多孔体を得た。
【0025】
(実施例2~5)
実施例2では、摩砕工程におけるポットの回転時間を70時間、実施例3では50時間、実施例4では25時間、実施例5では10時間とした。他の条件は実施例1と同様であり説明を省略する。
【0026】
(比較例1)
比較例1では、摩砕工程を行わなかった。他の条件は実施例1と同様であり説明を省略する。
【0027】
<評価>
上記実施例1~5のセラミックス固化体について、JIS R 1601に準じ、強度試験装置を用いて3点曲げ強度を室温で測定した。その結果、図3に示すように、ボールミル時間の増加と共に、メタカオリン固化体の強度が大きくなることが分かった。このことから、ボールミル時間を長くすることにより、メタカオリン粒子の表面の非晶質化が進み、さらにはアルカリ処理工程において、その非晶質化された表面が水酸化カリウムによって溶出・再析出されて、強固なメタカオリン固化体となることが分かった。
これに対して、比較例1では、固化させることができず、測定不能となった。
【0028】
(実施例6~8)
実施例6では、活性化メタカオリン粉体に50質量%の水酸化カリウム溶液を原料に対して85質量%加えた。その他の条件は実施例4と同様であり、説明を省略する。
また、実施例7では、起泡剤としてラウリル硫酸アンモニウムを用いたこと以外は実施例4と同様であり、説明を省略する。
さらに、実施例8では、活性化メタカオリン粉体に50質量%の水酸化カリウム溶液を原料に対して85質量%加えた。その他の条件は実施例7と同様であり、説明を省略する。
【0029】
実施例6~8メタカオリン多孔体について、気孔率及び強度を測定した。その結果、表1に示すように、いずれも実用的に充分利用できる高い強度が得られた。また、水酸化カリウム溶液の混合割合が少ない実施例4、7の方が、混合割合の多い実施例6、8に比べて気孔率が高くなることが分かった。これは、水酸化カリウム水溶液の添加量が少ないと、粘度が大きくなり、気泡が抜け難いためであると考えられる。また、このことを利用して、水酸化カリウム水溶液の添加量を調整することにより、気孔率を制御することができる。
【表1】
JP0005061348B2_000002t.gif

【0030】
この発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のセラミックス多孔体の製造方法を示す模式図である。
【図2】実施例1~8におけるセラミックス多孔体製造の工程図である。
【図3】実施例1~5におけるボールミル時間とセラミックス多孔体の強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0032】
1…セラミックス
2…活性化セラミックス粉体
2a…非晶質層
2b…泡
3…セラミックス多孔体
3a…析出層
3b…孔
S1…摩砕工程
S2…多孔体成形工程
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2