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明細書 :炭化物内包カーボンナノカプセルの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5145551号 (P5145551)
公開番号 特開2008-100852 (P2008-100852A)
登録日 平成24年12月7日(2012.12.7)
発行日 平成25年2月20日(2013.2.20)
公開日 平成20年5月1日(2008.5.1)
発明の名称または考案の名称 炭化物内包カーボンナノカプセルの製造方法
国際特許分類 C01B  31/02        (2006.01)
C01B  31/30        (2006.01)
B01J  13/04        (2006.01)
FI C01B 31/02 101F
C01B 31/30
B01J 13/02 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2006-282341 (P2006-282341)
出願日 平成18年10月17日(2006.10.17)
審査請求日 平成21年10月1日(2009.10.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】福田 功一郎
【氏名】久村 美由紀
審査官 【審査官】小野 久子
参考文献・文献 特開平10-101315(JP,A)
国際公開第2006/030642(WO,A1)
特開2005-219998(JP,A)
特開2000-039489(JP,A)
特開2007-084364(JP,A)
特開平07-218674(JP,A)
調査した分野 C01B 31/00-31/36
B01J 13/04
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
炭化物内包カーボンナノカプセルの製造において、出発原料の組成が内包される炭化物およびカーボンナノカプセルの両方を生成する化学組成であり、内包される炭化物がZr[Al,Si]である炭化物内包カーボンナノカプセルの製造方法
【請求項2】
前記出発原料に炭化ジルコニウム、炭化アルミニウムおよび炭化ケイ素を用いる請求項1に記載の炭化物内包カーボンナノカプセルの製造方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化物内包カーボンナノカプセル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の物質を内包するカーボンナノカプセルは近年注目されている材料で,たとえば電界放出源や(特許文献1),核燃料または放射性廃棄物をカーボンナノカプセルで内包することで安全性を高めるなど(特許文献2),様々な分野への応用が期待されている.しかし工業規模の製造方法はまだ十分に確立されていないのが現状である.

従来、金属内包あるいは炭化物内包のカーボンナノカプセルの製造において,カーボンナノカプセルの炭素供給源としてグラファイト等の炭素材料を用いる方法が広く知られている.
具体的には,特許文献3や非特許文献1で内包される物質とグラファイトから成る電極,あるいは内包される物質の前駆体とグラファイトから成る電極間にアーク放電などを発生させ,陰極堆積物から金属あるいは炭化物内包カーボンナノカプセルを収集する方法が開示されている。
一方,特許文献4,5および非特許文献2で有機物等の炭化可能な物質を炭素供給源に用いる方法も開示されている.

【特許文献1】特開2000-268707
【特許文献2】特開2000-39489
【特許文献3】特開2004-67499
【特許文献4】特開平8-133716
【特許文献5】特開2005-255448
【非特許文献1】Journal of Applied Physics, Vol.76, No.8, 4533 (1994)
【非特許文献2】Journal of Materials Chemistry, Vol.8, No.6, 1323 (1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献3や非特許文献1で開示されたグラファイト等の炭素材料を炭素供給源とする製造方法では,カーボンナノカプセルを形成するためにアーク放電などを用いて炭素を気相にするため,不純物として多量のアモルファスカーボン,グラファイトおよび未反応物質等が生成するために収率が悪く,さらにカーボンナノカプセルのみを分離回収するのは非常に困難という問題があった.
また、上記特許文献4,5および非特許文献2で開示された有機物等の炭化可能な物質を炭素供給源に用いる方法では、内包される物質と有機物を混合し,加熱することで有機物を炭化させて金属あるいは炭化物内包カーボンナノカプセルを得るのであるが,全ての内包される物質の粒子表面に均一に炭素を供給することは容易ではないという問題があった.
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、炭化物内包カーボンナノカプセル及びその製造方法は,カーボンナノカプセルを形成する炭素が内包される炭化物粒子の周囲に均一に供給されなければならないということに着目し、本発明では,炭化物内包カーボンナノカプセル及びその製造において,炭素供給源を出発原料の炭化物を構成する炭素とすることにより,内包される炭化物の合成とカーボンナノカプセルの形成を同時に行い,容易かつ効率よく製造する方法を提供することを解決すべき課題としている.
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明の炭化物内包カーボンナノカプセル及びその製造方法は、カーボンナノカプセルの炭素供給源が出発原料の炭化物を構成する炭素であることを特徴とする.
請求項1記載の発明におけるカーボンナノカプセルの炭素供給源は,出発原料の炭化物を構成する炭素である.この炭素は,反応が起こり生成した炭化物が粒成長するに従い,粒子の周囲を覆っていきカーボンナノカプセルを形成する.それゆえ本発明では,固体原料を混合し加熱するという簡便な方法で,カーボンナノカプセルを形成する炭素を,内包される炭化物粒子の周囲に均一に供給することができる.
また、請求項2ないし21記載の発明の炭化物内包カーボンナノカプセル及びその製造方法でも、出発原料の炭化物を構成する炭素をカーボンナノカプセルの炭素供給源とするために,出発原料に2種類以上の炭化物もしくは1種類以上の炭化物と1種類以上の金属を用いて,内包される炭化物とカーボンナノカプセルが生成する化学組成で合成を行うことにより,炭化物内包カーボンナノカプセルを得る.
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下,本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明するが,これらは例示であり,本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0006】
本実施例では4成分系炭化物Zr2[Al,Si]4C5内包カーボンナノカプセルの製造方法について説明する。
【0007】
出発原料として炭化ジルコニウム,炭化アルミニウム,炭化ケイ素を用い,18:8:4(モル比)で混合した。この出発原料比は9モルのZr2[Al,Si]4C5に対し,1モルの炭素が生成する比である。
【0008】
次にこの混合粉末を10mm×10mm×5mmに一軸加圧成形し,真空中にて1600℃で5時間保持後,炉冷することで焼成を行った.次に試料を粉砕し,パルス通電にて焼結させた.条件は真空下,上下加圧40MPa,1600℃,5min保持,昇温速度100℃/ min,降温速度100℃/ minで行った.
X線回折法により,Zr2[Al,Si]4C5が生成したことが確認できた.なおこの物質のX線回折のシミュレーションパターンを図1に示す.シミュレーションパターンについては、特許文献(特開2006-222261)に記載の結晶学的データと構造パラメータを用いて計算により求めた。
【0009】
得られた焼結体を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、カーボンナノカプセルの厚みが約10nmのZr[Al,Si]内包カーボンナノカプセルの存在が確認された。図に示したTEM像では、カーボンナノカプセルを構成する炭素は内側がアモルファス状であった。一方、外側は結晶化してグラファイトに類似した層状構造を成しており、約0.3nmの間隔で数十層積層していた。また、図に示すとおり、カーボンナノカプセルを構成する炭素の大部分がアモルファス状であるものも存在した。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は適切に設定した固体原料を混合し加熱するという通常の炭化物合成プロセスで,内包される炭化物の合成とカーボンナノカプセルの形成を同時に行うことができる.そのため特別な装置を必要とせず,本発明のカーボンナノカプセルは従来と比べて極めて簡便に得ることができる.


【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】Zr2[Al,Si]4C5のX線回折シミュレーションパターンを示す図である。
【図2】本発明のカーボンナノカプセルの構造について示す電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明のカーボンナノカプセルの構造について示す電子顕微鏡写真である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2