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明細書 :植設体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4997640号 (P4997640)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発行日 平成24年8月8日(2012.8.8)
発明の名称または考案の名称 植設体
国際特許分類 A61C   8/00        (2006.01)
A61C  13/30        (2006.01)
FI A61C 8/00 Z
A61C 13/30
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2007-554925 (P2007-554925)
出願日 平成19年1月17日(2007.1.17)
国際出願番号 PCT/JP2007/050609
国際公開番号 WO2007/083670
国際公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
優先権出願番号 2006012530
優先日 平成18年1月20日(2006.1.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年12月29日(2009.12.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】西田 哲也
個別代理人の代理人 【識別番号】100066980、【弁理士】、【氏名又は名称】森 哲也
【識別番号】100075579、【弁理士】、【氏名又は名称】内藤 嘉昭
【識別番号】100103850、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
審査官 【審査官】瀬戸 康平
参考文献・文献 米国特許出願公開第2005/0282113(US,A1)
米国特許第6213774(US,B1)
特公平2-52503(JP,B2)
特開平3-23941(JP,A)
調査した分野 A61C 8/00,13/00
A61F 2/02
特許請求の範囲 【請求項1】
歯と歯の間の歯間乳頭を再建するために取り付けられる植設体であって、歯間乳頭部にある歯槽骨に埋入される埋入部と、その埋入部と一体となって上記歯槽骨から突出すると共に歯肉内に埋入される植設体本体とを備え、
上記植設本体は、歯間方向に交差する方向に延びると共に埋入部から離れる方向に延びる立設部と、その立設部の上端部から歯間方向両側に延び、歯間方向と直交する方向からみて山形となっている屋根部とからなることを特徴とする植設体。
【請求項4】
上記植設体本体表面には、歯肉の線維が入り込むことが可能な複数の穴が開口していることを特徴とする請求項1に記載した植設体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の歯間乳頭を再建するために使用される植設体に関する。
【背景技術】
【0002】
インプラント治療は、抜歯などで歯が無くなったところに、天然の歯根に代わる、チタン製の人工歯根を歯槽骨に埋め込み、人工歯根が骨に馴染むまで数ヶ月養生した後に、その人工歯根に対し、人工歯を作製して取り付ける。
ここで、歯を失った歯槽骨は、比較的に溶けやすく歯茎が縮退しやすい。このため、人工歯根間の歯間乳頭は低くなる傾向にある。また、歯周病などに罹患した歯は歯間乳頭が消失することがある。
【0003】
歯間乳頭が低くなると、歯間に所要以上の隙間が形成されることで、次のような問題がある。
(1)審美的に見た目が良く無い。
(2)音声的に、サ行の発音が不明瞭になりやすい。
(3)衛生面で、歯間に物が入り混みやすくなる。
これに対し、従来にあっては、人工歯の形状を大きめに作製して人工歯間の隙間を小さくしたり、人工歯間について骨再生誘導法や移植術によって歯間乳頭部の再生をしたりすることで対応することが考えられる。
【発明の開示】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
人工歯を大きくして人工歯間の隙間を小さくする方法には、他の歯との形状のバランスから、隙間を小さくするのに限度があり、また、歯間乳頭部を再建するものではない。
また、骨再生誘導法や移植術での生成は、時間と手間が掛かると共に、歯間乳頭部の骨再建がなかなかうまくいかないのが現状である。
また、歯間乳頭を再建するための植設体は従来存在しない。
[0005]
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、簡易な方法で歯間乳頭の再建が可能な植設体を提供することを課題としている。
(課題を解決するため手段)
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、歯と歯の間の歯間乳頭を再建するために取り付けられる植設体であって、歯間乳頭部にある歯槽骨に埋入される埋入部と、その埋入部と一体となって上記歯槽骨から突出すると共に歯肉内に埋入される植設体本体とを備え、
上記植設本体は、歯間方向に交差する方向に延びると共に埋入部から離れる方向に延びる立設部と、その立設部の上端部から歯間方向両側に延び、歯間方向と直交する方向からみて山形となっている屋根部とからなることを特徴とするものである。
[0006]
[0007]
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記植設体本体表面には、歯肉の線維が入り込むことが可能な複数の穴が開口していること特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
[0008]
[図1]本発明に基づく実施形態に係る植設体を示す斜視図である。
[図2]本発明に基づく実施形態に係る植設体の別例を示す図である。
[図3]施工手順例を示す図である。
[図4]植設体を歯槽骨に取り付けた図である。
[図5]植設体の上を歯肉で覆った状態を示す図である。
[図6]植設体が無い場合を示す図である。
符号の説明
[0009]
1 植設体
1A 植設体本体
2 ウエブ部(立設部)
3 フランジ部(屋根部)
4 穴
5 埋入部
10 歯槽骨
11 歯茎
12 人工歯根
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の植設体を示す概要構成図である。
まず構成ついて説明すると、本実施形態の植設体1は、板厚が0.3mm~1mm程度のT形鋼状の部材を本体とし加工されて構成される。当該T形鋼状の部材における、ウエブ部2が立設部となり、フランジ部3が屋根部となる。このT形鋼状の部材が植設体本体1Aを構成する。
【0011】
上記フランジ部3におけるウエブ部2を中心とした左右両側部分は、ウエブ部2に直交する面に対してウエブ部2に近づくように傾斜していて、上面の輪郭が、正面からみて、ウエブ部2との接合部を頂点とした山形形状となっている。なお、傾斜面は直線上である必要はなく、また、歯槽骨に取付け時又は取付け直後にペンチなどで傾斜の状態を調整するようにしても構わない。
また、上記フランジ部3には、歯肉の線維が入り込むだけの大きさの穴4が複数開口している。
【0012】
さらに、上記ウエブ部2の先端部(下端部)から、1又は2以上の埋入部5が突設している。取付け後の揺動を抑える点からは、埋入部5の数は2以上であることが好ましい。また、上記ウエブ部2と埋入部5とは一体成形されていても構わない。各埋入部5は、少なくとも先端部が尖った形状、つまり歯槽骨に打ち込むことで埋入可能な形状となっており、骨と結合する表面処理がされている。
上記複数の埋入部5の少なくとも1本は、ウエブ部2の長さ若しくはそれ以上の長さを有する。ウエブ部2の長さ若しくはそれ以上の長さとすることで、植設体本体1Aを確実に立設させることが可能となる。
【0013】
上記構成の植設体1(植設体本体1A及び埋入部5)は、チタンから構成されている。また、植設体本体1Aのうち少なくともフランジ部3表面はアパタイトがコーティングされて白っぽい色となっている。
また、上記フランジ部3の幅(歯間方向の寸法)は、1.5mm~2.5mmに設定されている。一般に、人工歯根間の間は3mm以上と規定されており、また、大人の標準では天然歯根間も3mm程度はあると想定される。このため、屋根部を構成するフランジ部3の幅を2.5mm以下として、歯間乳頭部に配置可能としている。また、1.5mm以上としているのは、これ以上あれば、歯間乳頭部の自然な外観を十分再建可能と考えられるためである。もちろん、標準より大きかったり、小さかったりした場合には、上記範囲よりも大きくしたり小さくしたりしても良い。
【0014】
ここで、上記実施形態では、T形鋼状の部材を基礎とした植設体1を構成する場合を例示しているが、これに限定されない。例えば図2に示すように、植設体本体1Aを上面が山形の箱状から構成しても良い。
(使用例)
次に、上記植設体1の使用例を説明する。以下の例ではインプラントの手術と一緒に使用する場合で例示する。
【0015】
まず、図3(a)の状態から、インプラント取付けのために、局部麻酔の後に、天然歯根を抜歯した後に(図3(b)参照)、歯肉を切開し歯槽骨10(顎の骨)を露出させる。このとき、歯間乳頭部の歯肉も併せて切開して歯槽骨10を露出させる(図3(c)参照)。なお、図3,5,6では、歯肉(歯茎)の上限位置は一点鎖線11で示す。
次に、専用のドリルで人工歯根12を埋入する位置に人工歯根用の穴を開ける。なお、本実施形態では、2本人工歯根12を同時にインプラントする場合で例示しているが、1本については、予め埋設されている場合であっても良い。
【0016】
次に、上記歯根用の穴にそれぞれ人工歯根12を埋め込む(図4参照)。埋め込みは、ねじ込みでも打込みでも良い。
続いて、人工歯根12間の歯槽骨10の表面に対して、ノミなどで植設体1の埋入部5を打ち込む位置に浅い穴を開ける。その穴に各埋入部5の先端部を当接した状態で、植設体1を打ち込むことで、埋入部5を歯槽骨10に埋め込む(図4参照)。このとき、ウエブ部2の幅方向(埋入部5の並び方向)が歯間方向に直交する方向(口腔の内外方向)に設定する。
【0017】
また、上記埋め込んだ人工歯根12の頭に仮のアバットメントを取り付けると共に、切開した歯肉を少なくとも上記植設体1の上を覆うようにして縫い合わせる。
そのまま、人工歯根12が骨10と結合するまで、例えば数ヶ月養生する。このとき、植設体1を覆う歯肉の線維がフランジ部3を構成するフランジ部3の穴4にも入り込むことで、より確実に植設体1が歯肉と馴染んだ状態となる。
また、歯茎11は薄いため、フランジ部3の表面の色が透けて見える可能性が高いが、フランジ部3の表面の色が白っぽくなっていることで、美観を損なうことが防止される。
【0018】
そして、人工歯根12が骨と結合したら、かみ合わせ調整をしながら人工歯13を人工歯根12に取り付ける(図5参照)。上記説明では、仮のアバットメントを取り付けてアバットメントの上部を歯肉から露出させておく場合を例示しているが、人工歯根12の上側の歯肉も閉じて養生させ、養生後に小さく切開して人工歯13を取り付けるようにしても良い。
上記のような植設体1を使用すると、簡単な施術でインプラント間の歯間乳頭を再建することが出来る。インプラント間は特に歯槽骨10が溶けて歯茎11の位置が下がりやすい傾向にあるが、図5のように、上記植設体1を埋め込むことで簡易に歯間乳頭を再建することが出来る。すなわち、歯肉(特に歯茎11)の形態に自然感を持たせることが出来る。
【0019】
なお、上記植設体1を埋入しない場合には、図6のように、インプラント間で歯茎11が縮退して大きな隙間(俗にブラックトライアングルと呼ばれる)が形成される。
そして、前述の課題で説明した、歯間乳頭の後退による悪影響を解消可能となる。
すなわち、
(1)歯肉の形態に自然感を持たせることで審美的に良好となる。
(2)歯間の隙間が無くなるか小さくなることで歯間からの息漏れを防ぎ、サ行の発音を改善することが可能となる。
(3)歯間に物が入り混み難くなることで、口腔内の衛生面が向上する。
【0020】
ここで、上記植設体1はインプラント間の歯間乳頭の再建に特に有効であるが、天然歯根間であっても歯茎11が下がった位置に埋め込んで歯間乳頭を再建するようにしても良い。
また、植設体1の埋入だけを考えた場合には、歯列位置よりも舌側(口内奥側)の位置で歯肉を切開して植設体1を埋入するようにした方がよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によれば、簡易な方法で歯間乳頭の再建が可能となる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5