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明細書 :インプラント

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5487415号 (P5487415)
公開番号 特開2010-136944 (P2010-136944A)
登録日 平成26年3月7日(2014.3.7)
発行日 平成26年5月7日(2014.5.7)
公開日 平成22年6月24日(2010.6.24)
発明の名称または考案の名称 インプラント
国際特許分類 A61C   8/00        (2006.01)
FI A61C 8/00 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2008-317509 (P2008-317509)
出願日 平成20年12月12日(2008.12.12)
審査請求日 平成23年12月9日(2011.12.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】伊藤 公一
【氏名】藤川 謙次
【氏名】畑中 卓哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100066980、【弁理士】、【氏名又は名称】森 哲也
【識別番号】100075579、【弁理士】、【氏名又は名称】内藤 嘉昭
【識別番号】100103850、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
審査官 【審査官】胡谷 佳津志
参考文献・文献 特表2007-515198(JP,A)
米国特許第06203324(US,B1)
国際公開第2006/008346(WO,A1)
特開昭61-228850(JP,A)
特表2003-518980(JP,A)
特表2008-541858(JP,A)
特表2002-527188(JP,A)
国際公開第2007/105063(WO,A2)
米国特許出願公開第2002/0142265(US,A1)
調査した分野 A61C 8/00
特許請求の範囲 【請求項1】
骨に埋設する金属からなる人工歯根部と、その人工歯根部に支持されプラスチック又はハイブリッドセラミックスで構成したアバットメントとを備えるインプラントであって、
上記人工歯根部は、骨に埋入する歯根部本体と、その歯根部本体から骨から離れる方向に突出する支柱部とを備え、
上記アバットメントは、上記支柱部に貫通された状態に上記人工歯根部に支持され、
上記支柱部先端部に、人工歯根部へのトルク入力部を設け、
上記人工歯根部は、歯根部本体と一体に構成されると共に粘膜部分に配置される粘膜貫通部を備え、
その粘膜貫通部は、上記支柱部の根本側を囲むように、歯根部本体から離れるほど外周面及び内周面が大径となるお椀状の壁面からなる受部で構成され、
上記受部の上端面には、周方向における少なくとも一部分に、他の部分よりも高くなっていると共に外周面側から内周面側に向かうにつれて低くなる斜面が形成されて薄肉となっており、
上記アバットメントの下端部は上記受部内のうち少なくとも上記斜面に当接して嵌合する形状となっていることで、その受部の内面に上記アバットメントの歯根部本体側端面が接触していることを特徴するインプラント。
【請求項2】
上記アバットメントは、上記支柱部を圧入可能な貫通穴を有する筒形状に成形され、相対的に上記貫通穴に上記支柱部を圧入することで、人工歯根部とアバットメントを一体化することを特徴とする請求項1に記載したインプラント。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、一回法の術式に好適な、歯科用一体型のインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
一体型のインプラントとしては、例えば特許文献1に記載のインプラントがある。このインプラントは、金属から作られた外側本体と、プラスチック又は複合材料から作られた内側本体とからなる。上記外側本体は、外周面に雄ねじが形成されて、上方に開口した中空体となっている。上記内側本体は、外側本体の空洞部に完全に嵌合する芯部と、芯部上に冠状に形成された袖部と、袖部上に冠状に形成されたアバットメントを有する。
上記アバントメント及び芯部の空洞部分には、歯冠等の固定手段となる、金属又はセラミック製の内側スリーブを有する。

【特許文献1】特開2005-329244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のインプラントの人工歯根部は、外側本体と、外側本体の空洞部に完全に嵌合する芯部とから形成される。このため人工歯根部の径が大きくなる。この結果、埋設場所に制限が発生する。また、人工歯根部の剛性を考慮すると、芯部を構成する素材を硬くする必要があると考えられる。
また、アバットメントが、金属やセラミックよりも軟らかい材料で形成されている。このため、上記のような構造の一体型のインプラントについて、外側本体を顎骨に埋入するための、ねじ込み(埋設)の施術が困難であると思われる。
本発明は、施術が簡易で且つ汎用性が高い一体側のインプラントを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記のような課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、骨に埋設する金属からなる人工歯根部と、その人工歯根部に支持されプラスチック又はハイブリッドセラミックスで構成したアバットメントとを備えるインプラントであって、
上記人工歯根部は、骨に埋入する歯根部本体と、その歯根部本体から骨から離れる方向に突出する支柱部とを備え、
上記アバットメントは、上記支柱部に貫通された状態に上記人工歯根部に支持され、
上記支柱部先端部に、人工歯根部へのトルク入力部を設け、
上記人工歯根部は、歯根部本体と一体に構成されると共に粘膜部分に配置される粘膜貫通部を備え、
その粘膜貫通部は、上記支柱部の根本側を囲むように、歯根部本体から離れるほど外周面及び内周面が大径となるお椀状の壁面からなる受部で構成され、
上記受部の上端面には、周方向における少なくとも一部分に、他の部分よりも高くなっていると共に外周面側から内周面側に向かうにつれて低くなる斜面が形成されて薄肉となっており、
上記アバットメントの下端部は上記受部内のうち少なくとも上記斜面に当接して嵌合する形状となっていることで、その受部の内面に上記アバットメントの歯根部本体側端面が接触していることを特徴するものである。
【0005】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記アバットメントは、上記支柱部を圧入可能な貫通穴を有する筒形状に成形され、相対的に上記貫通穴に上記支柱部を圧入することで、人工歯根部とアバットメントを一体化することを特徴とするものである
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、人工歯根部を金属製とすることで、必要な強度を持たせつつ必要以上に径が大きくなることが回避出来る。これによって、口腔内のどの部位にも適用可能である。
また、アバットメントをプラスチック又はハイブリッドセラミックス製とすることで、金属やセラミックよりも軟らかい素材となって、人工歯根部を埋設後に支台歯形成のための加工が容易となる。このため、人工歯根部の取付け軸が傾いたり、傾けて取付けざるを得ない場合であっても、アバットメントの軸の向きなどを、所望の状態に加工容易となり、その分汎用性が高い。また、アバットメントの素材を軟らかくすることで、その分、切削時における骨への熱や震動を緩和されて、患者への負担も軽減する。
またこのように、アバットメントを軟らかい材料で構成しても、支柱部で支持させることで取付けの強度を確保可能となる。
【0007】
更に、アバットメントを軟らかい材料で構成しても、支柱部にトルク入力部を設けることで、確実に人工歯根部の埋設が可能となる。
また、受部でもアバットメントの支持が行われて、さらにアバットメントの支持が補強される。
更に、受部がお椀状となることで、粘膜貫通部を構成する金属部分を薄い壁部とすることが出来る。このため、粘膜部分に配置される受部が露出しても加工が容易となる。
また、請求項2に係る発明によれば、人工歯根部とアバットメントの一体化が容易となる。また、人工歯根部にアバットメントを圧入で一体化するので、アバットメントの形状を種々用意しておき、一体化する際に選択するなども可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係るインプラントを示す図である。図2は、図1におけるA方向からみた図である。図3は、図1におけるB方向からみた図である。
(構成)
本実施形態のインプラントは、図1~図3に示すように、人工歯根部1とアバットメント2とが一体になって構成される。
【0009】
人工歯根部1は、図4及び図5に示すように、歯根部本体3、支柱部4、及び受部5(粘膜貫通部)からなる。この人工歯根部1は金属製である。人工歯根部1を構成する金属としては、例えばチタン、チタニウム合金を例示できる。
歯根部本体3は、円柱形状若しくは略円柱形状を基本とし、その外径面に雄ねじが形成されている。
上記歯根部本体3の上部には受部5が形成されている。受部5は、上側に開口したお椀形状の壁部からなる。この受部5は、支柱部4の根本側の周りを囲むように配置すると共に、内周面及び周面が、歯根部本体3から離れるほど大径となっている。
【0010】
その受部5の中央部から上方に向けて支柱部4が突出している。支柱部4は、歯根部本体3側の根本部4a、その根本部4aに連続する中間軸部4b、その中間軸部4bの上側に連続する上軸部4cに区画することが可能である。上記根本部4aは、歯根部本体3からは離れる程小径となるテーパが付いている中間軸部4bは、軸方向に沿って同径の円柱状となっている。また、支柱部4の上軸部4cは、断面六角形状の角柱となっている。この支柱部4の上軸部4cは、トルク入力部を構成する。
【0011】
また、アバットメント2は、ハイブリッドセラミックスからなる。ハイブリッドセラミックスは、レジン等のプラスチックとセラミックス微粒子とからなる複合材料である。アバットメント2をレジンなどのプラスチックで構成しても良い。
アバットメント2は、図6及び図7に示すように、外周面が円柱形状の筒形状をしている。そのアバットメント2の径は、上記受部5の最大径とほぼ同じ径に設定してある。その下端部2aは、上記受部5内に嵌合する形状となっている。また、アバットメント2の上端部2bは、軸を挟んだ左右両側位置にそれぞれ平坦部(2面幅)7が形成されている。
【0012】
また。アバットメント2の軸部を貫通するように貫通穴8が開口している。貫通穴8の形状は、上記支柱部4に倣った形状となっている。すなわち、貫通穴8の下部は、下側に向けて大径となるテーパが付いている。
ここで、図1及び図2に示すように、アバットメント2の長さは、支柱部4の長さよりも少しだけ短く設定してある。
【0013】
そして、上記のような形状に人工歯根部1、及びアバットメント2をそれぞれ成形して、人工歯根部1の支柱部4に対しアバットメント2の貫通穴8を圧入して、一体化を行う。
なお、人工歯根部1の支柱部4に直接、アバットメント2を成形しても良い。但し、圧入による一体化の方が容易である。
また、アバットメント2の外形形状は上記形状に限定しない。また、人工歯根部1に設ける雄ねじもテーパねじとなるようにしても良い。また、上記支柱部4の軸は、人工歯根部1の軸と同軸である必要はなく、人工歯根部1の軸から傾いていても良い。
【0014】
(使用例)
ドリルで顎骨に下穴を開口する。その下穴に上記インプラントの人工歯根部1をねじ込んで埋設する。このとき、人工歯根部1の上部のトルク入力部をレンチで回転させることで、歯根部本体3にトルクを伝達してねじ込む。なお、セルフタップ構造としても良い。
歯根部本体3を骨に埋設したら、所定期間、例えば3月間、養生を行う。このとき受部5が粘膜部分を貫通した状態で配置される。
【0015】
この養生期間においては、歯を形成する部分に、アバットメント2が突出した状態となっている。このアバットメント2をハイブリッドセラミックスから構成することで、アイボリーや白色のものが使用出来て、見た目の違和感を緩和することが出来る。
養生期間が経過したら、上記アバットメント2を切削、つまり支台歯形成のための加工を施した後に、当該アバットメント2にクラウン(人工の歯)などの上部構造物(不図示)を取り付ける。
【0016】
すなわち、上記インプラントは、例えば、現存する歯と歯の間に取り付ける為に、取付け軸が、目標とする軸から傾斜して取り付けられる場合がある。また、奥歯側では、軸を傾斜させてインプラントを取り付ける必要も出てくる。
このため、アバットメント2の形状を整形して、上部構造物の向きが目標となる向きで
取付け可能にする必要が出てくる。
【0017】
このとき、本実施形態では、アバットメント2をハイブリッドセラミックス若しくはレジンなどのプラスチック製とすることが、整形のための切削が容易となる。また、軟らかいので、切削の衝撃や熱が顎骨などに伝達する量を減少して、患者への負担を軽減出来る。
また、チタンやセラミックよりも軟らかい素材でアバットメント2を構成させても、上下に延びる支柱部4でアバットメント2を支持させているので、所定の強度をもってアバットメント2を保持させることが出来る。
【0018】
また、粘膜貫通部は、その外形部が金属製となるが、お椀状の薄肉からなる受部5で構成している。このため、受部5が粘膜部分から露出しても、切削が容易である。すなわち容易に支台歯形成が可能となる。また、スキャロップ形状を付与することにより、歯肉粘膜の形状に整合し易い。
ここで、上記受部5外面の表面を、陽極酸化処理により明るいピンク色にしたり、アイボリーのアナターゼ皮膜を形成したりしておけば、歯肉色が自然観を呈することが期待できる。
【0019】
(本実施形態の効果)
1回法一体型を採用することにより、簡便で外科的侵襲が少なくなる。
また、アバットメント2の形状を容易に整形(支台歯形成)が可能となるので、複雑なアバットメント2を用意しておく必要もない。また、整形のための時間も短く出来る。
ここで、アバットメント2が硬い場合には、アバットメント2による適正なエマージェンスプロファイルの獲得が出来ないため、軟組織の吸収などによる審美的、機能的障害を引き起こす恐れがあった。また、ポスト部分である歯冠相当部が切削し難く、熱や震動で骨にダメージを与える可能性がある。
これを、本実施形態で緩和可能となる。
【0020】
また、オーラルセラミックスクラウンなどと併用すれば、天然歯と同等と光の透過性が期待できる。
また、人工歯根部1を金属製とすることで、必要な強度を持たせつつ必要以上に径が大きくなることが回避出来る。
また、アバットメント2を軟らかい材料で構成しても、支柱部4で支持させることでアバットメント2の保持強度を稼ぐことが出来る。
【0021】
更に、アバットメント2を軟らかい材料で構成しても、支柱部4にトルク入力部を設けることで、確実に人工歯根部1の埋設が可能となる。
また、筒状のアバットメント2に支柱部4を圧入する場合には、人工歯根部1とアバットメント2の一体化が容易となる。
また、受部5でもアバットメント2の支持が行われて、さらにアバットメント2の支持が補強される。
【0022】
更に、受部5がお椀状となることで受部5を構成する壁部が薄くすることが出来る。このため、粘膜部分に配置される受部5が露出しても加工が容易となる。
以上のように、本実施形態のインプラントは、簡単に埋入手術が可能であり、手術の回数を1回で済ませ、複雑なアバットメント2システムや特別な印象法などを必要としない。また、構造がシンプルで低コストであり、審美的な上部構造部の作成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に基づく実施形態に係るインプラントを示す斜視図である。
【図2】図1におけるA方向から見た図である。
【図3】図2におけるB方向から見た図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係る人工歯根部を示す斜視図である。
【図5】本発明に基づく実施形態に係る人工歯根部を示す図である。
【図6】本発明に基づく実施形態に係るアバットメントを示す斜視図である。
【図7】本発明に基づく実施形態に係るアバットメントを示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 人工歯根部
2 アバットメント
2a 下端部
2b 上端部
3 歯根部本体
4 支柱部
4a 根本部
4b 中間軸部
4c 上軸部
5 受部(粘膜貫通部)
7 二面幅
8 貫通穴
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6