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明細書 :通信ネットワーク設計方法及びプログラム及び記録媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5164073号 (P5164073)
登録日 平成24年12月28日(2012.12.28)
発行日 平成25年3月13日(2013.3.13)
発明の名称または考案の名称 通信ネットワーク設計方法及びプログラム及び記録媒体
国際特許分類 G06F  17/50        (2006.01)
H04L  12/70        (2013.01)
FI G06F 17/50 650A
H04L 12/56 400Z
請求項の数または発明の数 14
全頁数 26
出願番号 特願2008-516631 (P2008-516631)
出願日 平成19年5月16日(2007.5.16)
国際出願番号 PCT/JP2007/060075
国際公開番号 WO2007/135931
国際公開日 平成19年11月29日(2007.11.29)
優先権出願番号 2006144277
優先日 平成18年5月24日(2006.5.24)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年4月6日(2010.4.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】吉開 範章
【氏名】金光 淳
個別代理人の代理人 【識別番号】100119677、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 賢治
【識別番号】100115794、【弁理士】、【氏名又は名称】今下 勝博
審査官 【審査官】松浦 功
参考文献・文献 吉開範章,ソーシャルネットワークと情報ネットワークの連携に関する考察,2006年電子情報通信学会総合大会講演論文集(通信2),社団法人電子情報通信学会,2006年 3月 8日,p.259
吉開範章,ネットワークの価値に関する考察,2005年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会講演論文集(2),社団法人電子情報通信学会,2005年 9月 7日,p.146
調査した分野 G06F 17/50
H04L 12/56
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
通信端末を収容する通信装置及び複数の前記通信装置を接続する伝送路を備える通信ネットワークの設計を、前記通信ネットワークに接続された通信ネットワーク設計装置が行う通信ネットワーク設計方法であって、
前記通信ネットワーク設計装置の情報格納部が、前記通信ネットワーク上での前記通信端末同士のつながりを示す社会活動情報を取得して格納する情報格納ステップと、
前記通信ネットワーク設計装置の社会的ネットワーク分析部が、前記情報格納ステップで格納した前記社会活動情報に基づいて社会的ネットワーク分析を行う分析ステップと、
前記通信ネットワーク設計装置のネットワーク設計部が、前記分析ステップで行った前記社会的ネットワーク分析の分析結果に基づいて前記通信ネットワークの設計を行う設計ステップと、を有することを特徴とする通信ネットワーク設計方法。
【請求項2】
前記通信ネットワーク設計装置の情報収集部が、前記通信ネットワークを通じて前記通信装置から前記社会活動情報を収集する社会活動情報収集ステップを、前記情報格納ステップの前にさらに有し、
前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報収集ステップで収集した前記社会活動情報を前記情報収集部から取得して格納することを特徴とする請求項1に記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項3】
前記社会活動情報収集ステップにおいて、前記情報収集部が、前記社会活動情報を要求する旨の社会活動情報送信要求を前記通信装置に対して送信することで、前記通信装置の収容する前記通信端末から受信したパケットのヘッダ情報に含まれる送信元及び送信先を前記通信装置に送信させ、前記通信装置から送信された前記送信元及び前記送信先を前記社会活動情報として収集することを特徴とする請求項2に記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項4】
前記社会活動情報収集ステップにおいて、前記情報収集部が、前記社会活動情報を要求する旨の社会活動情報送信要求を前記通信装置に対して送信することで、前記通信装置の収容する前記通信端末から受信したパケットのヘッダ情報に含まれる通信量をさらに、前記送信元及び前記送信先と共に前記通信装置に送信させ、前記通信装置から送信された前記送信元、前記送信先及び前記通信量を前記社会活動情報として収集することを特徴とする請求項3に記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項5】
前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報として、前記通信ネットワークを通じて送受信を行った前記通信端末同士の組み合わせを前記通信端末ごとに格納し、
前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記通信端末同士の組み合わせに基づき前記通信端末同士の関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の前記通信端末で形成される社会的ネットワークの中心性を当該隣接行列に基づき算出することで前記社会的ネットワーク分析を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項6】
前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報として、前記通信ネットワーク上で複数の前記通信端末によって構成されるネットワークグループと当該ネットワークグループを構成する前記通信端末との組み合わせを前記通信端末ごとに格納し、
前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記ネットワークグループと前記通信端末との組み合わせに基づき前記ネットワークグループと前記通信端末との関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の前記通信端末で形成される社会的ネットワークの中心性を当該隣接行列に基づき算出することで前記社会的ネットワーク分析を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項7】
前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、完全グラフを形成する通信端末の集合を抽出し、抽出した集合を前記ネットワークグループとして扱うことを特徴とする請求項6に記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項8】
前記設計ステップにおいて、前記ネットワーク設計部が、前記分析ステップで算出した前記中心性の高い前記通信端末を収容する前記通信装置について、前記分析ステップで算出した前記中心性の低い前記通信端末に比較して、当該通信装置から前記伝送路へ送出する優先順位を高くするか、当該通信装置から送出する前記伝送路の異なるルート数を多くするか、送信先までの前記伝送路のリンク数を少なくするか、又は、ミラーサーバを配置する前記通信ネットワークの設計を行うことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項9】
前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報として、前記通信ネットワークを通じて送受信を行った前記通信端末同士の組み合わせを前記通信端末ごとに格納し、
前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記通信端末同士の組み合わせに基づき前記通信端末同士の関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の前記通信端末で形成される社会的ネットワークの脆弱性を当該隣接行列に基づき算出することで前記社会的ネットワーク分析を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項10】
前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報として、前記通信ネットワーク上で複数の前記通信端末によって構成されるネットワークグループと当該ネットワークグループを構成する前記通信端末との組み合わせを前記通信端末ごとに格納し、
前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記ネットワークグループと前記通信端末との組み合わせに基づき前記ネットワークグループと前記通信端末との関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の前記通信端末で形成される社会的ネットワークの脆弱性を当該隣接行列に基づき算出することで前記社会的ネットワーク分析を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項11】
前記設計ステップにおいて、前記ネットワーク設計部が、前記分析ステップで算出した前記脆弱性の高い前記通信端末を収容する前記通信装置について、前記分析ステップで算出した前記脆弱性の低い前記通信端末に比較して、当該通信装置から前記伝送路へ送出する優先順位を高くするか、当該通信装置から送出する前記伝送路の異なるルート数を多くする前記通信ネットワークの設計を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項12】
前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記通信端末の送受信した通信量を前記通信端末ごとに格納し、
前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記通信量に応じた重み付けを前記隣接行列に行うことを特徴とする請求項5から11のいずれかに記載の通信ネットワーク設計方法。
【請求項13】
コンピュータに、
請求項1から請求項12のいずれかに記載の
前記情報格納ステップ、前記分析ステップ及び前記設計ステップ又は
前記社会活動情報収集ステップ、前記情報格納ステップ、前記分析ステップ及び前記設計ステップを
実行させるための通信ネットワーク設計プログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
請求項1から請求項12のいずれかに記載の
前記情報格納ステップ、前記分析ステップ及び前記設計ステップ又は
前記社会活動情報収集ステップ、前記情報格納ステップ、前記分析ステップ及び前記設計ステップを
実行させるための通信ネットワーク設計プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを構成する各種情報を収集し、収集した情報に基づいて通信ネットワーク設計を行う通信ネットワーク設計方法、通信ネットワーク設計プログラム及び当該プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークの構成及び動作状態に基づいて、通信ネットワークの運用方法や通信ネットワーク構成を変更する通信ネットワーク設計システムが提案されている(例えば、特許文献1~3参照。)。
【0003】
図8は、従来の通信ネットワーク設計システムの一例を示す構成図である。ユーザーインタフェース81と、ネットワーク情報収集部83とネットワーク設計部85と、ネットワークデータベース86と、ネットワーク設定部87と、及びネットワーク情報収集決定部82とから構成される通信ネットワーク設計装置88が、通信ネットワーク89に接続される。ネットワーク情報収集部83は、通信ネットワーク89の動作状態等のネットワーク情報を収集し、その情報をネットワークデータベース86に格納する。この時に、大規模ネットワークの場合の収集データの巨大化を防ぐために、ネットワーク情報収集決定部82からの指示により、通信ネットワーク設計に必要なネットワーク動作状態情報を限定して収集する。ユーザーインタフェース81は、ネットワーク管理者からのサービス品質やリンク単位の優先度等の要求条件を受け付ける。ネットワーク設計部85は、ネットワークデータベース86に格納されたネットワーク情報に基づきユーザーからの要求条件を満足するために通信ネットワーク89の設計あるいは設計変更の提案を行う。ネットワーク設定部87は、ネットワーク設計部85からの提案内容に基づき、通信ネットワーク89の設定あるいは設定変更を行う。
【0004】
一方、通信ネットワーク上で社会的ネットワークを構築するためのネットワークグループの運営するソーシャルネットワーキングサイト(SNSまたはYASNS)が提供されている。ソーシャルネットワーキングサイトでは、社会的ネットワークに参加しているメンバーのアドレスやプロフィールを通信ネットワーク上で公開する機能や、新たな社会的なつながりを通信ネットワーク上で形成する機能を提供している。

【特許文献1】特開2002-300206号公報
【特許文献2】特開平05-268245号公報
【特許文献3】特開平11-068750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の通信ネットワーク設計においては、通信ネットワーク設計の条件付けとなるサービス要求条件に、ユーザー間に構成される社会的ネットワークが考慮されていない問題点があった。社会的ネットワークは、ユーザーの参加するネットワークグループの目的や活動スタイルにより随時構築され、自然に増殖していく。このため、ネットワーク管理者や、場合によってはユーザー自身も、参加している社会的ネットワークの構成を意識できないことが一般的である。従来の通信ネットワーク設計で用いられていたネットワーク情報だけでは、実際に通信ネットワーク上に構築されている社会的ネットワークを認識することは困難であった。
【0006】
ネットワークグループの中で、名目上のリーダーと実質的なリーダーとが一致しないケース、あるいは、リーダーではないが、仲介者(ブロ一カー)的なメンバーの存在が存在する。通信ネットワーク設計において、このような重要な存在となるメンバーを意識しなければ、そのネットワークグループの円滑な運営は不可能である。例えば、ある企業のプロジェクトのためのネットワークグループでは、メンバーの企業内地位に応じて、ユーザー情報のクラスが予め決められる。そして、通信ネットワーク上でのトラヒック管理においては、ユーザー情報のクラスに応じて優先度が付けられ、運用されることが多い。ところが、実際のプロジェクトが進むにつれて、実質的な判断を行い、責任ある行動を取るメンバーに多くの情報が集まり、ネットワークグループ内の中心的な役割を担うコアメンバーは、企業内地位とは独立に決まってくる。コアメンバーが、通信ネットワーク上で切断された状況に置かれた場合、そのネットワークグループの活動は実質的に停止してしまうため、コアメンバーヘのネットワークリンクの確保は冗長にし、高信頼にする必要がある。通信ネットワークにおける情報管理及び転送アルゴリズムにおいて、このような変動や信頼性も考慮したトラヒック設計及び信頼性設計を行うことが、通信ネットワーク上での組織活動を円滑にするために必要となる。しかし、従来の通信ネットワーク設計では、これらのような社会的ネットワーク内での重要なメンバーを意識した設計を行うことができなかった。
【0007】
本発明は、通信ネットワーク上に構築されている社会的ネットワークの実態を踏まえた通信ネットワーク設計方法、通信ネットワーク設計プログラム及び当該プログラムを格納した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の通信端末が互いに接続された通信ネットワークに接続され、前記通信ネットワークの設計を行う通信ネットワーク設計装置によって実行される前記通信ネットワークの設計方法であって、通信ネットワーク上に形成されている社会的ネットワークを分析し、その分析結果に基づいて通信ネットワークの設計を行うことを特徴とする。ここで、社会的ネットワークとは、社会活動に従事する複数のメンバーで形成された人的ネットワークをいう。社会的ネットワークはメンバー間で多重的に形成され、それぞれの社会的ネットワークがある種の機能をもつ。
【0009】
具体的には、本発明に係る通信ネットワーク設計方法は、通信端末を収容する通信装置及び複数の前記通信装置を接続する伝送路を備える通信ネットワークの設計を、前記通信ネットワークに接続された通信ネットワーク設計装置が行う通信ネットワーク設計方法であって、前記通信ネットワーク設計装置の情報格納部が、前記通信ネットワーク上での前記通信端末同士のつながりを示す社会活動情報を取得して格納する情報格納ステップと、前記通信ネットワーク設計装置の社会的ネットワーク分析部が、前記情報格納ステップで格納した前記社会活動情報に基づいて社会的ネットワーク分析を行う分析ステップと、前記通信ネットワーク設計装置のネットワーク設計部が、前記分析ステップで行った前記社会的ネットワーク分析の分析結果に基づいて前記通信ネットワークの設計を行う設計ステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、通信端末とは、通信端末を使用するユーザーごとに異なる識別情報を取得した通信端末である。このため、通信端末は、物理的には同一の機械であっても、使用するユーザーが異なれば異なる通信端末となる。また、通信端末同士のつながりを示す社会活動情報とは、通信端末が他の通信端末との間で送信又は受信又は送受信を行うことにより、何らかの関係をもったことを示す情報である。
【0011】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記通信ネットワーク設計装置の情報収集部が、前記通信ネットワークを通じて前記通信装置から前記社会活動情報を収集する社会活動情報収集ステップを、前記情報格納ステップの前にさらに有し、前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報収集ステップで収集した前記社会活動情報を前記情報収集部から取得して格納することが好ましい。社会活動情報収集ステップを有することで、通信端末同士のつながりの発生や消滅についての情報を社会活動情報としてリアルタイムで収集することができる。このように、社会活動情報収集ステップをさらに有することで、社会的ネットワークの実態をリアルタイムで反映させた通信ネットワークの設計を行うことができる。
【0012】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記社会活動情報収集ステップにおいて、前記情報収集部が、前記社会活動情報を要求する旨の社会活動情報送信要求を前記通信装置に対して送信することで、前記通信装置の収容する前記通信端末から受信したパケットのヘッダ情報に含まれる送信元及び送信先を前記通信装置に送信させ、前記通信装置から送信された前記送信元及び前記送信先を前記社会活動情報として収集することが好ましい。情報収集部は、送信元及び送信先を収集することで、どの通信端末がどの通信端末とつながりを持っているのかという情報を社会活動情報として収集することができる。
【0013】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記社会活動情報収集ステップにおいて、前記情報収集部が、前記社会活動情報を要求する旨の社会活動情報送信要求を前記通信装置に対して送信することで、前記通信装置の収容する前記通信端末から受信したパケットのヘッダ情報に含まれる通信量をさらに、前記送信元及び前記送信先と共に前記通信装置に送信させ、前記通信装置から送信された前記送信元、前記送信先及び前記通信量を前記社会活動情報として収集することが好ましい。情報収集部は、送信元及び送信先に加え、さらに通信量を収集することで、分析ステップにおいて通信量に応じた重み付けを行うことができる。これにより、通信ネットワーク設計装置は、設計ステップにおいて、通信端末同士の間で伝送された通信量に応じた通信ネットワークの設計を行うことができる。
【0014】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報として、前記通信ネットワークを通じて送受信を行った前記通信端末同士の組み合わせを前記通信端末ごとに格納し、前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記通信端末同士の組み合わせに基づき前記通信端末同士の関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の前記通信端末で形成される社会的ネットワークの中心性を当該隣接行列に基づき算出することで前記社会的ネットワーク分析を行うことが好ましい。ここで、社会的ネットワークの中心性とは、通信端末が通信ネットワーク上で情報を送受信することによって形成される社会的ネットワークの中で、それぞれの通信端末が、どの程度中心的であり、またどの程度に末端の存在であるのかといった中心の度合いを示す指標である。通信端末同士の関係を直接表す隣接行列に基づき社会的ネットワークの中心性を算出することで、独自のサイトや登録制のネットワークグループを所有していない事実上の社会的ネットワークで中心的な役割を担っている通信端末を特定することができる。この分析結果に基づいて通信ネットワークの設計を行うことで、それぞれの通信端末の活動状況に応じた効率的な通信ネットワークに設計することができる。
【0015】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報として、前記通信ネットワーク上で複数の前記通信端末によって構成されるネットワークグループと当該ネットワークグループを構成する前記通信端末との組み合わせを前記通信端末ごとに格納し、前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記ネットワークグループと前記通信端末との組み合わせに基づき前記ネットワークグループと前記通信端末との関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の前記通信端末で形成される社会的ネットワークの中心性を当該隣接行列に基づき算出することで前記社会的ネットワーク分析を行うことが好ましい。ネットワークグループと通信端末の関係を直接表す隣接行列に基づき社会的ネットワークの中心性を算出することで、通信ネットワーク上に形成されているネットワークグループのなかで、中心的な役割を担っているネットワークグループを構成している通信端末を特定することができる。この分析結果に基づいて通信ネットワークの設計を行うことで、ネットワークグループの活動状況に応じた効率的な通信ネットワークに設計することができる。
【0016】
前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、完全グラフを形成する通信端末の集合を抽出し、抽出した集合を前記ネットワークグループとして扱うことが好ましい。ここで、完全グラフとは、各端末間ですべてが1以上のリンクで接続されている集合である。あらかじめ登録されていない事実上のネットワークグループを抽出することができる。
【0017】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記設計ステップにおいて、前記ネットワーク設計部が、前記分析ステップで算出した前記中心性の高い前記通信端末を収容する前記通信装置について、前記分析ステップで算出した前記中心性の低い前記通信端末に比較して、当該通信装置から前記伝送路へ送出する優先順位を高くするか、当該通信装置から送出する前記伝送路の異なるルート数を多くするか、送信先までの前記伝送路のリンク数を少なくするか、又は、ミラーサーバを配置する前記通信ネットワークの設計を行うことが好ましい。
【0018】
通信装置から伝送路へ送出する順位を高くことで、通信装置が情報を伝送する時間を短くし、かつ、通信装置が情報を伝送する確率を高めることができる。また、通信装置から送出する伝送路の異なるルート数を多くすることで、通信装置から送出された情報が送信先の通信端末へ到達する確率を高めることができる。また、送信先までの伝送路のリンク数を少なくすることで、中継する通信装置の数を減らすことができるので、送信先の通信端末までの情報の送信に要する時間を短縮することができる。ミラーサーバを配置することで、周りの通信装置からの送信トラヒックのアクセスが集中した場合の負荷を分散させることができる。
【0019】
よって、設計ステップにおいて、社会的ネットワークの中心性の高い通信端末を収容する通信装置の設定を、社会的ネットワークの中心性の高い通信端末から送信された情報に対しては、通信装置から伝送路へ送出する順位を高く設定するか、通信装置から送出する伝送路の異なるルート数を多く設定するか、又は、送信先までの伝送路のリンク数を少なく設定することで、社会的ネットワークの中心性の高い通信端末から送信された情報を効率的に伝送することができるので、通信端末又はネットワークグループの活動状況に応じた効率的な通信ネットワークに設計することができる。
【0020】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報として、前記通信ネットワークを通じて送受信を行った前記通信端末同士の組み合わせを前記通信端末ごとに格納し、前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記通信端末同士の組み合わせに基づき前記通信端末同士の関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の前記通信端末で形成される社会的ネットワークの脆弱性を当該隣接行列に基づき算出することで前記社会的ネットワーク分析を行うことが好ましい。ここで、社会的ネットワークの脆弱性とは、通信端末が通信ネットワーク上で情報を送受信することによって形成される社会的ネットワークの中で、通信端末又はネットワークグループの通信に故障が発生した場合の社会的ネットワークへの影響の大きさを示す指標である。通信端末同士の関係を直接表す隣接行列に基づき社会的ネットワークの脆弱性を算出することで、独自のサイトや登録制のネットワークグループを所有していない事実上の社会的ネットワークで仲介的な役割を担っているユーザーを特定することができる。この分析結果に基づいて通信ネットワークの設計を行うことで、特定の通信端末の通信機能の不具合による通信ネットワーク全体の通信機能の低下を未然に防止することができる。よって、それぞれの通信端末の活動状況に応じた安全な通信ネットワークに設計することができる。
【0021】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記社会活動情報として、前記通信ネットワーク上で複数の前記通信端末によって構成されるネットワークグループと当該ネットワークグループを構成する前記通信端末との組み合わせを前記通信端末ごとに格納し、前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記ネットワークグループと前記通信端末との組み合わせに基づき前記ネットワークグループと前記通信端末との関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の前記通信端末で形成される社会的ネットワークの脆弱性を当該隣接行列に基づき算出することで前記社会的ネットワーク分析を行うことが好ましい。ネットワークグループと通信端末の関係を直接表す隣接行列に基づき社会的ネットワークの脆弱性を算出することで、通信ネットワーク上に形成されているネットワークグループのなかで、仲介的な役割を担っているネットワークグループを特定することができる。この分析結果に基づいて通信ネットワークの設計を行うことで、特定の通信端末やネットワークグループの通信機能の不具合による通信ネットワーク全体の通信機能の低下を未然に防止することができる。よって、ネットワークグループの活動状況に応じた安全な通信ネットワークに設計することができる。
【0022】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記設計ステップにおいて、前記ネットワーク設計部が、前記分析ステップで算出した前記脆弱性の高い前記通信端末を収容する前記通信装置について、前記分析ステップで算出した前記脆弱性の低い前記通信端末に比較して、当該通信装置から前記伝送路へ送出する優先順位を高くするか、当該通信装置から送出する前記伝送路の異なるルート数を多くする前記通信ネットワークの設計を行うことが好ましい。
【0023】
通信装置から伝送路へ送出する順位を高くことで、通信装置が情報を伝送する時間を短くし、かつ、通信装置が情報を伝送する確率を高めることができる。また、通信装置から送出する伝送路の異なるルート数を多くすることで、通信装置から送出された情報が送信先の通信端末へ到達する確率を高めることができる。また、送信先までの伝送路のリンク数を少なくすることで、中継する通信装置の数を減らすことができるので、送信先の通信端末までの情報の送信に要する時間を短縮することができる。
【0024】
よって、設計ステップにおいて、脆弱性の高い通信端末を収容する通信装置の設定を、脆弱性の高い通信端末から送信された情報に対しては、通信装置から伝送路へ送出する順位を高く設定するか、通信装置から送出する伝送路の異なるルート数を多く設定するか、又は、送信先までの伝送路のリンク数を少なく設定することで、脆弱性の高い通信端末から送信された情報を効率的に伝送することができるので、通信端末又はネットワークグループの活動状況に応じた安全な通信ネットワークに設計することができる。
【0025】
本発明に係る通信ネットワーク設計方法では、前記情報格納ステップにおいて、前記情報格納部が、前記通信端末の送受信した通信量を前記通信端末ごとに格納し、前記分析ステップにおいて、前記社会的ネットワーク分析部が、前記通信量に応じた重み付けを前記隣接行列に行うことが好ましい。社会的ネットワークの中心性や脆弱性の高い通信端末であっても、社会的ネットワークのなかの役割に応じて送受信する通信量は異なる。通信端末の送受信した通信量を社会的ネットワークの中心性や脆弱性に反映させることで、社会的ネットワークの中心性又は脆弱性の高い通信端末に対して十分な通信容量を確保することのできる通信ネットワークを設計することができる。
【0026】
本発明に係る通信ネットワーク設計プログラムは、コンピュータに、前記情報格納ステップ、前記分析ステップ及び前記設計ステップ又は前記社会活動情報収集ステップ、前記情報格納ステップ、前記分析ステップ及び前記設計ステップを実行させるためのプログラムである。
【0027】
本発明に係る記録媒体は、コンピュータに、前記情報格納ステップ、前記分析ステップ及び前記設計ステップ又は前記社会活動情報収集ステップ、前記情報格納ステップ、前記分析ステップ及び前記設計ステップを実行させるための通信ネットワーク設計プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、通信ネットワーク上での通信端末同士のつながりから社会的ネットワーク分析を行うことで、通信ネットワーク上に構築されている社会的ネットワークの実態を明らかにすることができる。よって、社会的ネットワーク分析の分析結果に基づいて通信ネットワーク設計を行うことで、通信ネットワーク上に構築されている社会的ネットワークの実態を踏まえた通信ネットワーク設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態に係る通信ネットワークの概略図である。
【図2】通信ネットワーク設計装置の一例を示す構成図である。
【図3】通信ネットワーク上のネットワークグループとそのメンバーの関係の一例を示す説明図である。
【図4】図3に示した社会的ネットワークにおける次数中心性の算出結果である。
【図5】図3に示した社会的ネットワークにおける媒介中心性の算出結果である。
【図6】ネットワーク設定部の設定例を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係る通信ネットワーク設計方法の一例を示す流れ図である。
【図8】従来の通信ネットワーク設計システムの一例を示す構成図である。
【図9】全ノード間のコネクション図である。
【図10】個人のみを対象にした次数中心性の分析データである。
【図11】クリーク特性の一例を示すグラフである。
【図12】アフィリエーションネットワークの次数中心特性を示す。
【符号の説明】
【0030】
11 通信ネットワーク
12 通信端末
13 通信装置
14 通信ネットワーク設計装置
22、24 エッジノード
26 MPLS網
23 コアノード
32 IPヘッダ
34 ラベルヘッダ
41 ユーザーインタフェース
42 情報収集部
43 情報格納部
44 社会的ネットワーク分析部
45 ネットワーク設計部
46 ネットワーク設定部
51 ネットワークデータベース
52 ユーザー情報データベース
81 ユーザーインタフェース
82 ネットワーク情報収集決定部
83 ネットワーク情報収集部
85 ネットワーク設計部
86 ネットワークデータベース
87 ネットワーク設定部
88 通信ネットワーク設計装置
89 通信ネットワーク
131 ラベル
132 サービスクラス
133 S
134 TTL
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されない。
【0032】
図1は、本実施形態に係る通信ネットワークの概略図である。通信装置13a~13fが伝送路で互いに接続されて構築されている通信ネットワーク11を介して、通信端末12a~12hのそれぞれが接続されている。また、通信ネットワーク設計装置14が、通信ネットワーク11を介して通信装置13a~13fのそれぞれと接続されている。また、通信ネットワーク設計装置14は、通信ネットワーク11を介して通信端末12a~12hのそれぞれと接続されている。
【0033】
通信端末12a~12hは、通信ネットワーク11のユーザーが利用する端末であり、本実施形態ではユーザーa~h(不図示)の利用する端末をそれぞれ、通信端末12a~12hとした。ここで、通信端末は、通信端末を使用するユーザーごとに異なる識別情報を取得した通信端末である。このため、通信端末は、物理的には同一の機械であっても、使用するユーザーが異なれば異なる通信端末となる。
【0034】
通信装置13a~13fは、通信ネットワーク11を構成するネットワーク機器であり、通信端末12a~12hの送受信する情報を伝送する。通信装置13a~13fの一部は通信端末を収容する。例えば、通信装置13aは、通信端末12dと、通信端末12eと、を収容している。通信装置13a~13fは、通信ネットワーク設計装置14から動作設定が可能となっているルーターやスイッチやハブやVPN(Virtual Private Network)装置などのノードがある。すなわち、通信ネットワーク11は、公衆網であってもよいし、LANなどの閉域網であってもよいし、VPNなどの仮想閉域網であってもよい。また、通信装置13a~13fは、通信ネットワーク設計装置14の通信ネットワーク設計に必要なネットワーク情報を通信ネットワーク設計装置14へ提供する。
【0035】
また、通信装置13a~13fは、社会活動情報として利用することのできる社会的ネットワーク分析に有用な情報や、通信ネットワーク設計装置14の使用するネットワーク情報を、通信ネットワーク設計装置14からの要求を受けて、又は、プログラムなどにより自発的に、通信ネットワーク設計装置14へ随時提供することが好ましい。例えば、通信装置13eが通信端末12dから通信端末12cへ送信されたパケットを、通信装置13aから受信して通信装置13dへ伝送した場合、通信装置13eは、そのパケットの伝送日時、そのパケットの送信元である通信端末12dの送信先のアドレス、そのパケットの送信先である通信端末12cの送信先のアドレス、そのパケットの受け取り元の通信装置13a、そのパケットの転送先の通信装置13d、そのパケットを送出したポート数1、そのパケットの通信量を通信ネットワーク設計装置14へ提供する。
【0036】
通信ネットワーク設計装置14は、通信ネットワーク11に接続されており、本実施形態に係る通信ネットワーク設計方法を実行する。例えば、通信ネットワーク設計装置14は、サービスを提供するプロバイダの管理用サーバなどの通信ネットワーク11の管理用のコンピュータに接続される。通信ネットワーク設計装置14は、本実施形態に係る通信ネットワーク設計法方法を実行するハードウェアでもよい。また、本実施形態に係る通信ネットワーク設計方法を実行させるためのプログラムをコンピュータに実行させることで通信ネットワーク設計装置14として機能させてもよい。また、通信ネットワーク設計プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。
【0037】
図2は、通信ネットワーク設計装置の一例を示す構成図である。図2に示す通信ネットワーク設計装置14は、ユーザーインタフェース41と、情報収集部42と、情報格納部43と、社会的ネットワーク分析部44と、ネットワーク設計部45と、ネットワーク設定部46と、を備える。そして、通信ネットワーク設計装置14は、情報格納部43が、通信ネットワーク11上での通信端末12a~12h同士のつながりを示す社会活動情報を取得して格納する情報格納ステップと、社会的ネットワーク分析部44が、情報格納ステップで格納した社会活動情報に基づいて社会的ネットワーク分析を行う分析ステップと、ネットワーク設計部45が、分析ステップで行った社会的ネットワーク分析の分析結果に基づいて通信ネットワーク11の設計を行う設計ステップと、ネットワーク設定部46が設計ステップで設計した通信ネットワークの構成に通信装置13を設定する設定ステップと、を実行する。
【0038】
図2に示す情報格納部43は、ネットワーク情報、ユーザー情報、デマンド要求及びサービス要求などの情報を格納する。情報格納部43は、情報収集部42から各種情報を取得してもよいし、ユーザーインタフェース41からの手入力で取得してもよい。
【0039】
ネットワーク情報は、通信装置13に関する情報であり、ネットワーク管理システムに用いられている管理情報と同様のものがある。例えば、通信装置13eであれば、通信装置13eの型番、通信装置13eのシリアルナンバー、通信装置13eの設定、通信装置13eの接続関係、通信装置13eと接続されている通信装置のリンク容量(使用分と予備分)である。例えば通信装置13eの設定であれば、通信装置13eの受信側のポート数と送信側のポート数と各伝送路に対して割り当てているポート数がある。例えば通信装置13eの接続関係であれば、伝送路で接続されている通信装置13a、13b、13c、13d、13fや、収容している通信端末12g、12hである。ネットワーク情報は、ネットワーク設計部45が設計した後の各通信装置13の設定を含むことが好ましく、この場合はネットワーク設計部45から取得する。
【0040】
さらに、ネットワーク情報は、通信装置13の伝送した情報の履歴を含む。例えば、通信装置13eが通信端末12dから通信端末12cへ送信されたパケットを、通信装置13aから受信して通信装置13dへ伝送した場合、通信装置13eは、そのパケットの伝送日時、そのパケットの送信元である通信端末12dの送信先のアドレス、そのパケットの送信先である通信端末12cの送信先のアドレス、そのパケットの受け取り元の通信装置13a、そのパケットの転送先の通信装置13d、そのパケットを送出したポート数1、そのパケットの通信量がある。
【0041】
ユーザー情報は、ユーザーに関する情報であり、通信ネットワーク11のユーザー同士のつながりを示す社会活動情報を含む。社会活動情報は、例えば、通信ネットワーク11を通じて送受信を行った通信端末12同士の組み合わせである。例えば、図1において、通信端末12aが、通信端末12cとリンクを形成して情報を送受信した場合であれば、通信端末12aの社会活動情報には、通信端末12bのIPアドレスとリンクを形成した日時、送受信した情報の通信量などのリンクの履歴が含まれる。また、社会活動情報は、例えば、ネットワークグループと当該ネットワークグループを構成する通信端末12との組み合わせである。ここで、ネットワークグループは、通信ネットワーク11上で複数の通信端末12によって構成されるグループであり、ネットワークコミュニティを含む。ネットワークグループは、ソーシャルネットワーキングサイトを持っていてもよいし、ソーシャルネットワーキングサイトを持っていなくてもよい。例えば、図1において、通信端末12fで管理されているソーシャルネットワーキングサイトを中心に活動しているネットワークグループがあり、通信端末12aがそのネットワークグループのメンバーであったり、そのソーシャルネットワーキングサイトにアクセスしたりした場合であれば、通信端末12aの社会活動情報には、そのソーシャルネットワーキングサイトのIPアドレスや、ネットワークグループの名前などの識別情報が含まれる。また、社会活動情報は、過去の活動の履歴、他のユーザーとの相互関係を含んでいてもよい。
【0042】
社会的ネットワーク分析部44が完全グラフを形成する通信端末の集合を抽出する場合は、ネットワークグループには、社会的ネットワーク分析部44が抽出した通信端末の集合が含まれる。完全グラフを形成する通信端末の集合は、例えば、クリーク又はクランなどのアフィリエーションネットワークである。アフィリエーションネットワークとは、ユーザー間のコネクションと同時に、ユーザーが所属するネットワークグループの活動状態を同時に表現するネットワークである。通信ネットワーク上のネットワークグループの実態を把握することができる。クリークは、対象とする通信端末のすべてが1のリンクで互いに接続されている部分集合をいう。クリーク分析を行うことで、互いに密に結びついたノードの集合を抽出することができる。また、クランは、半径Nのクリークであり、かつ、距離がN以下となる部分グラフをいう。
【0043】
さらに、ユーザー情報は、ユーザーの認証情報、ネットワークグループ情報、現在のユーザーの状況を含むことが好ましい。認証情報は、ユーザーを認証する際に用いる情報であり、例えば、ID、パスワード、電子認証がある。ネットワークグループ情報の具体例としては、例えば、ユーザーが参加しているネットワークグループ、ネットワークグループのランク、加入の履歴がある。現在のユーザーの状況の具体例としては、例えば、現在のユーザーの位置情報、使用端末情報、タイムスタンプがある。
【0044】
デマンド要求は、社会的ネットワーク分析部44やネットワーク設計部45で使用する諸条件を設定するための要求である。例えば、デマンド要求は、ユーザーやネットワークグループの優先度や、社会的ネットワーク分析を行うネットワークグループの情報(メンバー名、メンバー間の関係等)を含む。デマンド要求に、特定の複数の通信端末12とそれぞれの通信端末12の優先度が含まれている場合、社会的ネットワーク分析部44は、デマンド要求の対象について、デマンド要求の優先度で重み付けして、社会的ネットワーク分析を行う。また、デマンド要求は、通信ネットワーク11に要求される品質であるサービスクラスや、接続されるリンクのエンドツーエンド品質(遅延、帯域、信頼度)や、通信ネットワーク設計装置14の動作を開始する命令を含む。サービス要求は、各通信端末から送信される要求であり、他の通信端末との間でのリンクの形成を要求する情報である。サービス要求は、リンク先のユーザー名やネットワークグループ名などのユーザー間でリンクの形成をする設定をするために必要な情報を含む。
【0045】
ここで、ネットワーク情報はネットワークデータベース51に、ユーザー情報はユーザー情報データベース52に分かれたデータベース構成とすることが好ましい。本実施形態では、ユーザー情報が、ユーザー同士のつながりを示す社会活動情報を含む。このため本実施形態のユーザー情報は秘匿性が高く、アクセスの許可を制限する必要がある。このため、社会的ネットワーク分析部44、ネットワーク設計部45及びネットワーク設定部46のそれぞれで参照され、さらに通信ネットワーク11のメンテナンス時に部外者が参照する可能性の高いネットワーク情報とは独立したデータベースとすることで、テーブル構造を単純化してアクセス速度を向上するとともに、個人情報の秘匿性を守ることができる。
【0046】
図2に示す社会的ネットワーク分析部44は、情報格納部43に格納されている社会活動情報に基づいて社会的ネットワーク分析を行う。すなわち社会的ネットワーク分析部44は、社会的ネットワーク分析ステップを実行する。例えば、社会的ネットワーク分析部44は、通信ネットワークを通じて送受信を行った前記通信端末同士の組み合わせを社会活動情報として情報格納部43から取得し、通信端末12またはそのユーザーを行為者として社会的ネットワーク分析を行う。また、社会的ネットワーク分析部44は、通信ネットワーク上で複数の通信端末によって構成されるネットワークグループと当該ネットワークグループを構成する通信端末との組み合わせを社会活動情報として取得し、ネットワークグループや、通信端末12またはそのユーザーや、これらの組み合わせを行為者として社会的ネットワーク分析を行う。さらに、社会的ネットワーク分析部44は、通信量に応じた重み付けを行った上で社会的ネットワーク分析を行うことが好ましい。通信端末12やネットワークグループを行為者として、組織活動を可視化するツールとして開発された社会的ネットワーク分析を使えば、通信ネットワーク11上に構築されるユーザー間のつながりや、ネットワークグループの活動状況を把握することが可能である。又、社会的ネットワーク分析部44は、ネットワークグループのメンバー間のメールやブログ等の情報を元に、ネットワークグループのメンバーがネットワークグループの活動に与える影響を把握することができる。
【0047】
又、社会的ネットワーク分析部44は、社会的ネットワークの中心性又は脆弱性を算出することで社会的ネットワーク分析を行うことが好ましい。ここで、社会的ネットワークの中心性とは、通信ネットワーク11上で形成されている社会的ネットワークの中で、それぞれの通信端末12が、どの程度中心的であり、またどの程度に末端の存在であるのかといった中心の度合いを示す指標である。社会的ネットワークとは、通信ネットワーク11上で通信端末12同士が情報を送受信することによってつながるネットワークである。社会的ネットワークの脆弱性とは、通信ネットワーク11上で形成されている社会的ネットワークの中で、通信端末又はネットワークグループの通信に故障が発生した場合の社会的ネットワークへの影響の大きさを示す指標である。
【0048】
社会的ネットワークの中心性には、例えば、特定のノードが直接繋がるコネクション数から算出される次数中心性、ブローカ又はハブなどのノードの持つ媒介的な役割を果たす度合いを算出する媒介中心性、媒介モデルに有値グラフを適用して総フローを求めるフロー中心性がある。次数中心性は、ネットワークグループ内のメンバーの繋がりの数の多さが中心性を表すとの考え方に基づくモデルである。次数の高いノードほど、通信トラヒック(通信量)の集中が起こるので、ネットワーク設計部45は、そのノードの通信容量を大きくしたり、そのノードのミラーサーバを配備したりするなどの設計を行うことが好ましい。媒介中心性は、媒介中心性の高いノードがダウンすると、ネットワークグループ全体の活動が大きな影響を受けるとの考え方に基づくモデルである。媒介中心性の高いノードほど信頼性を高めに設定しておくことが好ましいので、そのノードへの他のノードからのリンクの形成は、多ルート化する、或いは、コピー機能を用いて2ルート化することが好ましい。
【0049】
フロー中心性は、コネクションの有無だけでなく通信量の大きさを重み付けに利用する場合に有効である。リンクの形成の回数が同一であっても、通信量が大きければ通信ネットワークに対する負荷は大きくなる。この場合に通信量の大きなリンク先の優先度を高くしたり、予め大きな伝送容量を可能としておいたりすることで、通信ネットワークの効率的な運用を可能とすることができる。「社会的ネットワークの中心性」及び社会的ネットワークの脆弱性は、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)のようなユーザー認証が可能で、特定のユーザーのみがアクセス可能なネットワーク環境において、ユーザー間の接続は、実質的には、通信ネットワーク11のリンクの形成と対応しており、通信量の優先制御や信頼制御において優先度をつける場合の条件として、上記の「社会的ネットワークの中心性」と「社会的ネットワークの脆弱性」を踏まえた設計が可能となるからである。
【0050】
このようなユーザー間での社会的ネットワーク分析を行うことで、通信ネットワーク11上に構築されている友人関係を把握することができる。ここで、社会的ネットワーク分析部44が社会的ネットワーク分析を行う範囲を、通信端末12a~12hとしたが、部分ネットワークやパーソナルネットワークについての社会的ネットワーク分析を行ってもよい。又、ユーザーごとの重み付けなどの社会的ネットワーク分析に対するデマンド要求を、ユーザーインタフェースが受け付けている場合には、社会的ネットワーク分析部44は、デマンド要求でユーザーごとに重み付けを行ったうえで社会的ネットワーク分析を行うことが好ましい。
【0051】
社会的ネットワーク分析部44は、情報格納部43の格納している通信端末同士12の組み合わせに基づき通信端末12同士の関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の通信端末12で形成される社会的ネットワークの中心性又は脆弱性を当該隣接行列に基づき算出することで社会的ネットワーク分析を行うことが好ましい。例えば、社会的ネットワーク分析部44は、図1に示す通信端末12a~12hの一定期間内の全送受信先を社会活動情報として取得し、通信端末12a~12hのユーザーをそれぞれ行為者として社会的ネットワークの中心性又は脆弱性を算出する。ここで、情報格納部43が、通信端末12の送受信した通信量を通信端末13ごとに格納している場合は、社会的ネットワーク分析部44が、通信量に応じた重み付けを隣接行列に行うことが好ましい。通信端末12a~12hのつながりを基に社会的ネットワークの中心性を算出することで、通信端末12a~12hがどのような社会的ネットワークを構成しており、またその社会的ネットワークの中心人物が誰であるのかを明らかにすることができる。また、通信端末12a~12hのつながりを基に社会的ネットワークの脆弱性を算出することで、通信端末12a~12hのうちの誰が仲介役となって社会的ネットワークを形成しているのかを明らかにすることができる。
【0052】
社会的ネットワーク分析部44は、情報格納部43の格納しているネットワークグループと通信端末との組み合わせに基づきネットワークグループと通信端末との関係を直接表す隣接行列を作成し、複数の通信端末で形成される社会的ネットワークの中心性又は脆弱性を当該隣接行列に基づき算出することが好ましい。例えば、社会的ネットワーク分析部44は、図1に示す通信端末12a~12hの参加しているネットワークグループを抽出し、一定期間内でのそれぞれのアクセス回数を集計し、通信端末12a~12h及び各ネットワークグループを行為者として社会的ネットワーク分析を行う。ここで、情報格納部43が、通信端末12の送受信した通信量を通信端末12ごとに格納している場合は、社会的ネットワーク分析部44が、通信量に応じた重み付けを隣接行列に行うことが好ましい。ネットワークグループのつながりを基に社会的ネットワークの中心性を算出することで、通信端末12a~12hのユーザーとネットワークグループとがどのような社会的ネットワークを構成しており、またその社会的ネットワークのメンバーのうちの誰が中心となっているのかを明らかにすることができる。また、ネットワークグループのつながりを基に社会的ネットワークの脆弱性を算出することで、仲介的な役割を担っている通信端末12a~12hのユーザー及びネットワークグループを特定することができる。
【0053】
また、社会的ネットワーク分析部44は、図1に示す通信端末12a~12hの参加しているネットワークグループを抽出し、一定期間内でのそれぞれのアクセス回数を集計し、各ネットワークグループを行為者として社会的ネットワーク分析を行うことが好ましい。ネットワークグループのつながりを基に社会的ネットワークの中心性を算出することで、ネットワークグループ同士がどのような社会的ネットワークを構成しており、またその社会的ネットワークの中心となるネットワークグループがどれであるのかを明らかにすることができる。また、ネットワークグループの脆弱性を算出することで、仲介的な役割を担っているネットワークグループを特定することができる。
【0054】
以下に、ネットワークグループと通信端末との組み合わせを社会活動情報とした場合の社会的ネットワークの中心性及び脆弱性の算出例について具体的に説明する。以下では、情報格納部43が、通信端末12そのものではなく通信端末12のユーザーの社会活動情報として格納している場合について説明する。図3は、ネットワークグループとそのメンバーとの関係の一例を示す説明図である。通信端末12のユーザーが8名存在し、彼らが、6つのネットワークグループに分かれて所属している状態を表している。図3に示すユーザーa~hは、前述の図1に示す通信端末12a~12hのユーザーである。図3に示すユーザーA~Fは、ユーザーa~hの参加しているネットワークグループである。上段は個人を、下段はネットワークグループを示すため、2部グラフと呼ばれる。この2部グラフから、ネットワークグループと通信端末との組み合わせに基づく隣接行列Aを作成すると、式1のように記述できる。
【数1】
JP0005164073B2_000002t.gif
隣接行列Aは、一般的に、個人数(n)とネットワークグループ数(m)に対して、(n+m)×(n+m)の正方行列となり、個人とネットワークグループに2分された構成となる。以下に、社会的ネットワークの中心性の算出例として次数中心性モデルを示し、さらに、社会的ネットワークの脆弱性の算出例として媒介中心性モデルを示す。
【0055】
(次数中心性モデル)
次数中心性モデルは、ネットワークグループ内のメンバーの繋がり数の多さが社会的ネットワークの中心性を表すとの考え方に基づくモデルである。まず、隣接行列Aと隣接行列Aの転置行列Aとの内積X=AAで表される行列Xを求めることで、図3に示す2部グラフの通信ネットワーク全体の次数中心性を求めることができる。
【数2】
JP0005164073B2_000003t.gif

式2行列Xの対角成分は{1,1,3,3,2,2,2,3、4,3,2,3,2,3}であり、この対角成分が図3に示す2部グラフの通信ネットワーク全体から求めた次数中心性となる。
【0056】
さらに、行列Xを使い、ユーザー個人の所属中心性及びネットワークグループの所属中心性を求め、ユーザーと組織を個別に評価することも出来る。具体的には、行列Xの非対角成分の内、n列分である1列目から8列目までは、個人対が共通して参加するネットワークグループの数を表す。すなわちn列分の行和は、各個人の組織活動量を表す。一方、行列Xの非対角行列の内、n+1列から下のm列分である9列目から14列目までは各ネットワークグループの参加総数を表す。すなわちn+1列から下のm列分の行和は各ネットワークグループ内での個人活動を表す。
【0057】
さらに、通信ネットワーク全体から求めた社会的ネットワークの中心性をモデル1とし、ネットワークグループと個人を個別のグラフとして考えた社会的ネットワークの中心性をモデル2として、図3に示した社会的ネットワークにおける次数中心性の算出結果を図4に示す。従来の通信ネットワークの設計上の優先度は、参加メンバーが皆同じランクであれば、もっとも接続リンク数の多いメンバーが優先して運用されるため、ユーザーcとユーザーdとユーザーhが同じリンク数3で同一ランクと考えられるが、ネットワークグループへの活動量も考慮すると、ユーザーdがトップで、次がユーザーc、その次がユーザーhとなることが分かる。すなわち、ユーザーdが、モデル1及びモデル2ともに最も活動量が大きく、最も活動的なユーザーである。したがって、ネットワーク設計部(図2の符号45)は、ユーザーdがアクセスするネットワーク環境には、十分な帯域やリンクの数を割り当てると共に、予備の帯域やリンクを準備する構成にしておくことが好ましい。
【0058】
(媒介中心性モデル)
媒介中心性モデルは、図3に示す2部グラフの脆弱性に基づくモデルであり、あるユーザーの機能がダウンした場合、そのユーザーが仲介的な役割を持っていた場合、ネットワークグループ全体の機能が著しくダウンするため、その程度の大きさを社会的ネットワークの中心性の高さにする考え方に依拠している。すなわち、社会的ネットワークの媒介中心性を求めることで、社会的ネットワークの脆弱性を算出することができる。媒介中心性は、例えば、ある点を間に含む他の2点間に張られるリンク数の総計を評価することにより求めることができる。例えば、金光淳、「社会ネットワーク分析の基礎」、勁草書房(2003)に詳しく説明されている。
【0059】
図3に示した社会的ネットワークにおける媒介中心性の算出結果を図5に示す。ユーザーdが、ネットワーク全体から見ても、個人的な媒介性から見てもトップであり、最大の仲介機能を有していることが分かる。したがって、ユーザーdからの情報は優先度を高くし、さらに機能が途絶しないように多リンク化、あるいは2重化対策を施すことが好ましいことが分かる。その他の中心性として、媒介中心性モデルにコネクションだけでなく、例えば通信トラヒック(通信量)を使った重み付けを与えたネットワークフローを基本にした、フロー中心モデルも作成できる。この分析結果は、通信ネットワーク上に構築される社会的ネットワークモデルであり、通信ネットワークの優先制御信頼確保のためのデータとして、一層、有効に使用できる。
【0060】
以上、図3に示した場合について、ネットワークグループに参加している8名のユーザーについて社会的ネットワークの中心性と脆弱性を算出することで社会的ネットワーク分析を行う例について説明したが、ユーザーは必ずしもネットワークグループに参加している必要はなく、分析の対象は何名であってもよい。
【0061】
図2に示すネットワーク設計部45は、社会的ネットワーク分析部44の分析結果に基づいて通信ネットワークの設計を行う。すなわちネットワーク設計部45が設計ステップを実行する。例えば、ネットワーク設計部45は、例えば、社会的ネットワークの中心性又は脆弱性の高い通信端末12の送受信する情報については、社会的ネットワークの中心性の低い通信端末12の送受信する情報よりも、優先度や信頼性を高める設計を行う。優先度や信頼性を高める設計は、物理設計及び論理設計を含み、例えば、通信装置から伝送路へ送出する順位を高くする設計、情報が送信先に到達するまでの伝送路のリンク数を少なくする設計、その通信装置から送出する伝送路の異なるルート数を多くする多ルート化の設計、帯域を多く確保する設計がある。
【0062】
ここで、3つの研究グループ、学生及び事務局からなる学校組織において、実際に運用されているメールサーバに蓄積されているメール情報を分析した実施例について説明する。この調査では、個人情報保護を考慮し、メールヘッダのみを対象とした。サーバにはスパムメールが送られてくるので、その駆除を行い、さらに、同一人物が使用している複数のメールアドレスの特定と該当するメールを整理した。分析ツールとしてはMathematicaとNetMinerを使用した。図9は、全ノード間のコネクション図である。測定期間は2ヶ月で、全ノード数は79、全リンク数は441であった。
【0063】
個人のみを対象にした社会的ネットワークと、アフィリエーションネットワークとの違いを示す。図10は、個人のみを対象にした次数中心性の分析データである。円の中央ほど中心性が高く、中心指数を半径とする同心円上に、各ユーザーの次数中心性をプロットしている。この結果では、総務系のユーザー78、ユーザー76、ユーザー70及びユーザー79の中心性が非常に高く、次のグループとして、ユーザー71、ユーザー18、ユーザー35、ユーザー30、ユーザー31などのユーザーの中心性が高い。
【0064】
次にアフィリエーションネットワークにおける次数中心性を求めた。通信ネットワーク上のネットワークグループの実態を把握する必要があるので、完全グラフを形成する通信端末の集合を抽出し、抽出した集合の特性についての分析を行った。このように、分析ステップにおいて、社会的ネットワーク分析部44は、完全グラフを形成する通信端末の集合を抽出し、抽出した集合をネットワークグループとして扱うことが好ましい。
【0065】
図11は、クリーク特性の一例を示すグラフである。ネットワークグループごとの凝集指数を示す。本実施例ではクリーク最小サイズは3とした。全部で140個のネットワークグループが観測され、最大の凝集指数は、22.8を示す教員1名、学生2名のネットワークグループであった。凝集指数5以上のネットワークグループは29個存在し、ほとんどが3名から6名の小さなネットワークグループであった。各ネットワークグループには総務のメンバーが含まれることが多いが、組織分類通りの教員だけのネットワークグループと、組織横断的にコネクションを持ち活動しているメンバーが存在することが分かった。
【0066】
次に、ネットワークグループ内の結びつきを強め、より組織活動に近い分析を行うために、クラン分析を行った。最大距離は2とした。最大50名の参加者があるネットワークグループから、最小6名の参加者のいるネットワークグループまで34個のクランが構成されていることが分かった。凝集指数は1.50から4.23の間となった。
【0067】
そこで、クラン分析結果で得られたネットワークグループの構成とメンバーデータを基に、アフィリエーションネットワークを表現するための2部グラフを形成し、組織と個人が示す活動量を求めた。図12は、アフィリエーションネットワークの次数中心特性を示す。2つのモデル、すなわち個人と組織からなる2部グラフを使い通信ネットワーク全体から求めた中心性(モデル1)と、個人と組織を其々別のグラフとして考えたときの中心性(モデル2)の2つの結果を示している。モデル1とモデル2の比較により、より詳しい個人と組織の関係が明らかになる。両方の特性は、ほぼ一致しているが、幾つかの特徴が観測される。ノード番号80のユーザーは、モデル1の分析では、中心性が50と最も高くなったが、モデル2では、他のノードよりも中心性が低くなっている。ノード番号80のユーザーは、クラン構成されたグループであるが、個人と組織を分けて分析したとき、組織的に中心となるように観測されるノードは、ノード番号88とノード番号90のユーザーとなるが、全体の2部グラフを使った分析により、大局的にはノード番号80のユーザーの活動が、最も盛んであることが分かる。また個人活動として見ると、ノード番号25のユーザーは、ノード番号45のユーザーとモデル2での中心性ではほとんど同じ値にも拘らず、モデル1での中心性では、劣っている。すなわち、ノード番号25を示すユーザーは、組織を活かしきれていないことが分かる。
【0068】
図10に示した個人のみを考慮した次数中心性と、図12に示すアフィリエーションネットワークとして分析した次数中心性とを比較した。共に総務系のユーザーの中心性が高いことは共通であるが、図12においては、研究ループのメンバー、特にクリーク分析で、多数のネットワークグループに属したメンバーの中心性が向上する傾向を示している。また、研究グループのメンバーでも、図10と図12では、中心性のランクが入れ替わるケース(例えば、ユーザー8とユーザー18)も見られた。これらの現象は、クラン分析結果を基に2部グラフを作成したため、元のコネクションデータの内、クラン分布に含まれないコネクションは削除されたために生じたと言えるが、組織的な活動に合わないデータをノイズと見なし、削除したとも言える。すなわち、組織活動を通じてネットワーク全体で中心的に活動する個人の特定が、アフィリエーションネットワーク分析を通じて明らかになる可能性を示している。
【0069】
ネットワーク設計部45は、社会的ネットワーク分析部44の分析結果を取得すると、情報格納部43に格納されているユーザー情報からユーザーの現在位置を取得し、情報格納部43に格納されているネットワーク情報を参照することで、当該ユーザーに対して設定すべき通信装置13を特定する。ここで、設定する通信装置13は、ユーザー一人に対して1つである必要はなく、予め定められた地域内に設置されている通信装置13としてもよい。例えば、図1の通信端末12aのユーザーであれば、通信装置13aだけでなく、通信装置13b、13eについても設定してもよい。また、ネットワーク設計部45は、ユーザーインタフェース41の受け付けたデマンド要求を満たすように各通信装置の設定を決定することが好ましい。また、ネットワーク設計部45は、情報格納部43に格納されているユーザー情報を参照して設計してもよい。ネットワーク設計部45は、通信装置13同士の間に形成するリンクに対し、必要な使用帯域や多ルート化による高信頼度化などの設計を行った後は、ネットワーク設計部45は設計したネットワーク情報をネットワーク設定部46へ出力する。ネットワーク設計部45は、設計した通信ネットワーク11のネットワーク情報を情報格納部43に格納することが好ましい。
【0070】
図2に示すネットワーク設定部46は、ネットワーク設計部45にて設計されたネットワーク情報に基づいて、通信ネットワーク11の設定を行う。例えば、通信装置13にアクセスして各通信装置13の設定情報を呼び出すことで設定を行ってもよいが、通信装置13に設定変更の命令を送信することで通信装置13の設定を行ってもよい。
【0071】
図6はネットワーク設定部の設定例を示す説明図である。通信端末12d、12cが、通信端末12dを収容するエッジノード(Labe1 Edge Router)22と、通信端末12cを収容するエッジノード24と、エッジノード22、24の付与するラベルに従ってMPLSパケットをハンドリングするコアノード(Labe1 Switch Router)23と、から構成されるMPLS(Multi-Protoco1 Labe1 Switching)網26を用いたVPN(Virtual Private Network)を介して接続されている。ここで、エッジノード22の付記するラベルフォーマットの一例として、ラベル131と、サービスクラス132(EXP)と、S(Bottom of Stack)133と、TTL(Time to Live)134を示した。エッジノード22、24は、ネットワーク設定部(図2の符号46)からの命令により、ラベルヘッダ34に記す優先度を、通信端末12dのユーザーや、通信端末12cのユーザーに応じて変更する。例えば、ネットワーク設定部(図1の符号46)は、MPLSラベルヘッダ34の中のサービスクラス132に書き込むIP優先度情報をユーザーごとに変更する。ユーザー毎の優先度付けが社会的ネットワーク分析で可能となるので、複数ラベルを使用して、優先度ランクを高度化することも可能である。通信端末12dがパケットを送信すると、エッジノード22は、通信端末12dのユーザーが優先度の高いユーザーであれば、通信端末12dから受信したIPヘッダ32に記されている送信元アドレスから優先度の高いユーザーであることを判定して高い優先度をラベルヘッダ34に記す。例えば、コアノード23はラベルヘッダ34に従ってエッジノード24へ伝送する。このとき、通信端末12dのユーザーのパケットの伝送路を多ルート化する設定がエッジノード22にされていれば、コアノード23以外のコアノードにも伝送する。また、通信端末12dのユーザーから通信端末12cのユーザーへのルーティング設定が行われていれば、エッジノード22は設定されているコアノード23へパケットを伝送する。
【0072】
さらに、図2に示すネットワーク設定部46は、通信端末12がリンクを形成する設定の要求であるサービス要求を通信ネットワーク設計装置14へ送信した場合に、サービス要求のあった通信端末12同士の通信が可能となるように設定することが好ましい。この場合、情報収集部42がサービス要求を受信するので、ネットワーク設定部46は情報収集部42からサービス要求を受け取る。
【0073】
社会的ネットワークに対し中心性を考慮した通信ネットワーク設計について図1及び図3を用いて説明する。ここでは、図3の8人のユーザーa~hが個々に通信端末12a~12hを有し、通信装置13a~13fがMPLSネットワークを構成している場合について説明する。すなわち、通信装置13a、13dはエッジノード、通信装置13b、13c、13e、13fはコアノードとして説明する。本実施形態における社会的ネットワーク分析部の分析した分析結果では、ユーザーdが最も社会的ネットワークの中心性が高くアクティブな活動をしているユーザーであり、その通信端末12dから伝達されるパケットを、最も優先して伝達することが、この通信ネットワーク11上の組織活動においては好ましい。ユーザーdから2番目に活動量の高いユーザーcに対してパケットを送信する場合、そのリンクの形成は、高速大容量にし、かつコアノード数も少なくして遅延を少なくすることが望ましい。その結果ルートとしては、1個の通信装置13eを通るルートを選択する。また、ユーザーdの使用する通信装置13にはユーザーeも接続されている。ユーザーdはネットワークグループA、ネットワークグループB及びネットワークグループFに属しており、ネットワークグループA~Fに設定されているランクにより、ユーザーdが発信するパケットの重要度も異なる。一方、ユーザーeは、ネットワークグループB及びネットワークグループCに属している。ネットワークグループBが、この通信ネットワーク11上で、もっとも高いランクであったとすると、ユーザーeがネットワークグループBのメンバーであるユーザーc、ユーザーd及びユーザーeに情報を伝達することは重要となる。そこで、ネットワークグループB及びネットワークグループCの両方のユーザーが接続されているエッジノードで、ユーザーdのパケットの中で優先度の低いものは、低速小容量リンクを形成する設定に切り替え、逆にユーザーeのパケットで優先度の高いものは、高速大容量リンクを形成する設定に切り替える運用も可能となる。
【0074】
上記のようにして得られた社会的ネットワーク分析部44の分析結果は、さらに、ネットワーク設計部45において、ユーザーインタフェース41から与えられたデマンド要求との整合を取り、実際の通信ネットワーク設計が実行されることが好ましい。ネットワーク管理者からのデマンド要求が、社会的ネットワーク分析の結果と一致しない場合、社会的ネットワーク分析結果よりデマンド分析結果を、設計における優先度に関して高くして、運用の整合性を保つことが好ましい。
【0075】
通信ネットワーク設計装置14は、さらに、通信ネットワーク11の各種情報を収集する情報収集部42を備えることが好ましい。各種情報は、ネットワーク情報、ユーザー情報及びサービス要求がある。情報収集部42は、リアルタイムでの各種情報を常時取得することが好ましいので、定期的に各種情報を取得することが好ましい。又、情報収集部42は、通信ネットワーク11を介して通信装置13や管理サーバへ命令を送信することで各種情報を収集する。又、ネットワーク設定部46が通信装置13にあらかじめ各種情報を送信するよう設定しておき、情報収集部42は、通信装置13から送信された各種情報を受信することで各種情報を収集してもよい。なお、サービス要求の収集については、情報収集部42は、通信端末12から送信された情報を受信することで行う。又、情報収集部42は、ネットワークグループへの申し込みがサイトに書き込まれた旨を、そのサイトの管理サーバから取得することで、サービス要求を収集してもよい。情報収集部42は、収集した各種情報を情報格納部43へ格納する。
【0076】
情報収集部42は、各通信端末に関する社会活動情報を収集することが好ましい。すなわち、本実施形態に係る通信ネットワーク設計方法では、通信ネットワーク11を介して社会活動情報を収集する社会活動情報収集ステップを、分析ステップの前にさらに有することが好ましい。例えば、情報収集部42は、通信端末12から通信装置13へ送信された情報を、通信装置13から収集する。通信端末12から通信装置13へ送信された情報は、例えば、パケットのヘッダ情報に含まれる情報である。この場合、情報収集部42は、社会活動情報を要求する旨の社会活動情報送信要求を通信装置に対して送信することで、通信装置13の収容する通信端末12から受信したパケットのヘッダ情報に含まれる送信元及び送信先か、又は、送信元、送信先及び通信量を通信装置13に送信させ、通信装置13から送信された送信元及び送信先又は送信元、送信先及び通信量を社会活動情報として収集することが好ましい。情報収集部42は、パケットの送信元及び送信先を収集することで、通信端末12がどの通信端末とつながりを持っているのかという情報を社会活動情報として収集することができる。さらに、情報収集部42は、送信元、送信先及び通信量を収集することで、通信量を加味した社会的ネットワーク分析を行うことができる。また、社会活動情報は、通信端末ごとに情報格納部43に格納されていることが好ましく、この場合、情報収集部42は、情報を送信又は受信又は送受信した相手先の通信端末を示す名前やアドレスなどの識別情報、登録などにより参加しているネットワークグループを示す名前やアドレスなどの識別情報を、通信端末ごとに情報格納部43に出力することが好ましい。
【0077】
また、情報収集部42は、通信ネットワーク11に接続されているサーバから社会活動情報を収集してもよい。例えば、電子メールサーバであれば、情報収集部42は、個人の電子メールやファイル転送情報の履歴を収集する。ソーシャルネットワーキングサイトのサーバであれば、情報収集部42は、ログインした通信端末やログイン回数や時間、ソーシャルネットワーキングサイトへの書き込みの回数を収集する。また、情報収集部42は、送受信された電子メールのメールヘッダに付与されている情報や添付ファイルを収集することで社会活動情報を収集してもよい。例えば、情報収集部42は、メールヘッダの「To」に付与されている送信相手や、「Subject」に付与されているメールの表題を収集する。また、通信ネットワーク11に配置されているサーバを用いてアンケート調査を行うことで社会活動情報を収集してもよい。このように、情報収集部42が自動的に社会活動情報を収集するので、社会的ネットワーク分析部44は、通信ネットワーク11に構築されている社会的ネットワークのリアルタイムでの実態を明確にすることができる。これにより、ユーザーの社会的つながりを通信ネットワークの設計にリアルタイムで反映させることができる。
【0078】
図2に示すユーザーインタフェース41は、外部からの入力を受け付ける。例えば、ユーザーインタフェース41は、ネットワーク管理者の入力したネットワーク情報、ユーザー情報だけでなく、通信ネットワーク設計における諸条件を設定するデマンド要求及びサービス要求を受け付ける。ここで、デマンド要求は、社会的ネットワーク分析部44の使用するものだけでなく、及びネットワーク設計部45の使用するものを含む。例えば、通信ネットワーク設計装置14の動作を開始する命令を、ユーザーインタフェース41がデマンド要求として受け取った場合、ネットワーク設計部45はデマンド要求に従って通信ネットワーク設計を行う。又、通信端末12の優先度を、ユーザーインタフェース41がデマンド要求として受け取った場合、情報格納部43は、デマンド要求を社会活動情報として通信端末12へ格納する。
【0079】
通信ネットワーク設計の流れの一例について、図2及び図7を用いて説明する。図7は、本実施形態に係る通信ネットワーク設計方法の一例を示す流れ図である。ユーザーインタフェース41が通信ネットワーク設計を行う旨のデマンド要求を受け付けると(S102)、社会的ネットワーク分析部44は社会的ネットワーク分析を行う(S103)。
【0080】
社会的ネットワーク分析部44が社会的ネットワーク分析を終了すると、ネットワーク設計部45は、ネットワーク構成に社会的ネットワーク分析(S103)の分析結果を反映させた通信ネットワーク設計を行う(S105)。ここで、本実施形態に係る情報収集部42は、常時社会的ネットワーク分析に必要な社会活動情報を含むユーザー情報と、通信ネットワーク11の設計に必要なネットワーク情報とを収集しているので、通信ネットワーク設計(S105)では、通信ネットワーク11の最新のネットワーク構成に基づいて設計することができる。また、通信ネットワーク設計(S105)では、リンクの形成、パス、伝送容量などの論理的な事項について設計する論理設計(S111)と、伝送ルート、伝送線路などの物理的な事項について設計する物理設計(S112)と、を行うことが好ましい。通信ネットワーク設計(S105)にて、論理設計(S111)又は物理設計(S112)のいずれかを行ってもよいが、その両方の設計を行うことで、社会的ネットワーク分析(S103)の効果を通信ネットワーク設計(S105)にさらに反映させることができる。
【0081】
また、通信ネットワーク11を動作させた状態で設定を変更可能な範囲で設計を行えば、通信ネットワーク11を機能停止させることなく通信ネットワーク11のネットワーク構成を最適化することができる。また、通信装置13のそれぞれについて、通信装置13の設定用の予備ルートをあらかじめ設けておくことで、通信ネットワーク11の通信品質を低下させることなくネットワーク構成を最適化することができる。
【0082】
ネットワーク設計部45での通信ネットワーク設計(S105)が終了すると、ネットワーク設定部46は、通信ネットワーク設計(S105)に従って通信装置13を設定する(S106)。通信装置13の設定(S106)にて、すべての通信装置13の設定が完了すると、ユーザーインタフェース41が通信ネットワーク設計を終了する旨のデマンド要求を受け付けているか確認する(S107)。ユーザーインタフェース41が通信ネットワーク設計を終了する旨のデマンド要求を受け付けていれば(S107)、通信ネットワーク設計装置14は終了する(S108)。一方、ユーザーインタフェース41が通信ネットワーク設計を行う旨のデマンド要求を受け付けていなければ(S107)、社会的ネットワーク分析部44は、社会的ネットワーク分析(S103)で分析する範囲をサブグループ化し(S109)、再度社会的ネットワーク分析(S103)を行う。ここで、社会的ネットワーク分析部44は、社会的ネットワーク分析(S103)を行った通信端末のうちの中心性又は脆弱性の高さによって社会的ネットワーク分析の範囲を分割又は限定することでサブグループ化(S109)することが好ましい。
【0083】
以上説明したように、通信ネットワーク11上での通信端末同士のつながりから社会的ネットワーク分析を行うことで、通信ネットワーク11上に構築されている社会的ネットワークの実際の使用状況を的確に把握することができる。社会的ネットワーク分析の分析結果に基づいて通信ネットワーク設計を行うことで、通信ネットワーク11上に構築されている社会的ネットワークの実態を踏まえた通信ネットワーク設計を行うことができる。よって、ネットワーク障害を防止するために用意していた余剰なインフラをスリム化することができる。又、ネットワークの実際の使用状況に応じてネットワーク構成を簡単に変更することができるので、コンテンツが大容量化した場合でもネットワーク障害を効果的に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、通信ネットワークの障害対策やコストダウンをソフト面によって行うことができるので、インフラをスリム化することによるコストダウンや、ネットワーク構成を柔軟に変更できることによる安全面の更なる強化や通信品質の向上など、幅広い要望に応えることができる。さらに、個々のユーザーの社会活動を分析することができるので、盗聴や特定のユーザーへの攻撃を防止するためのネットワークセキュリティにも利用することができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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