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明細書 :音場創生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5505763号 (P5505763)
公開番号 特開2010-193105 (P2010-193105A)
登録日 平成26年3月28日(2014.3.28)
発行日 平成26年5月28日(2014.5.28)
公開日 平成22年9月2日(2010.9.2)
発明の名称または考案の名称 音場創生装置
国際特許分類 H04S   5/02        (2006.01)
H04R   3/00        (2006.01)
G10K  15/00        (2006.01)
FI H04S 5/02 A
H04R 3/00 310
G10K 15/00 M
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2009-034520 (P2009-034520)
出願日 平成21年2月17日(2009.2.17)
審査請求日 平成24年2月10日(2012.2.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】羽入 敏樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100124257、【弁理士】、【氏名又は名称】生井 和平
審査官 【審査官】千本 潤介
参考文献・文献 特開平03-128598(JP,A)
特開2000-078699(JP,A)
国際公開第2005/048653(WO,A1)
特開2000-308199(JP,A)
特開平03-038695(JP,A)
特開2002-135898(JP,A)
調査した分野 G10K 15/00
H04R 3/00
H04S 5/02
特許請求の範囲 【請求項1】
音場を創出する音場創生装置であって、該音場創生装置は、
音源からの音を出力する1つ以上のスピーカと、
前記スピーカから出力される音を受音するマイクと、
前記マイクにより受音される音に基づき反射音を生成する反射音生成部と、
前記マイクが近傍に配置され、前記反射音生成部からの反射音を出力する開放型ヘッドホンと、
前記開放型ヘッドホンから出力される反射音が、前記スピーカから出力される音より遅れて聴取者の耳に到達するように、前記開放型ヘッドホンから出力される反射音を遅延させる信号処理部と、
を具備することを特徴とする音場創生装置。
【請求項2】
音場を創出する音場創生装置であって、該音場創生装置は、
音を受音するマイクと、
前記マイクにより受音される音に基づき反射音を生成する反射音生成部と、
前記マイクが近傍に配置され、前記反射音生成部からの反射音を出力する開放型ヘッドホンと、
前記開放型ヘッドホンから出力される反射音が、前記マイクにより受音される音より遅れて聴取者の耳に到達するように、前記開放型ヘッドホンから出力される反射音を遅延させる信号処理部と、
を具備することを特徴とする音場創生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の音場創生装置であって、聴取者が感じる音場を変化させるために、さらに、前記開放型ヘッドホンから出力される反射音と前記スピーカから出力される音との大きさの比率を変更するレベル調節部を具備することを特徴とする音場創生装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の音場創生装置において、前記反射音生成部は、頭部伝達関数を用いて反射音を生成することを特徴とする音場創生装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の音場創生装置において、前記反射音生成部は、反響音となるような反射音を生成することを特徴とする音場創生装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の音場創生装置において、前記反射音生成部は、残響音となるような反射音を生成することを特徴とする音場創生装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項の何れかに記載の音場創生装置において、前記信号処理部は、前記開放型ヘッドホンから出力される反射音の遅延時間を変更することにより、聴取者が感じる音場を変化させることを特徴とする音場創生装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は音場創生装置に関し、特に、スピーカと開放型ヘッドホンを用いて音場を創生する音場創生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リスニングルーム等において、コンサートホール等のまったく別の空間の音場を再生する技術を音場創生技術や音場再生技術等という。従来から、音場再生技術には、聴取者の周りに設置される複数のスピーカによるマルチチャンネル再生システムや、頭部伝達関数に基づいて加工した音をヘッドホンによって再生するヘッドホンシステム等がある。
【0003】
複数のスピーカによるマルチチャンネル再生システムは、音場の臨場感が高いが、複数のスピーカの設置場所の確保や、スピーカとアンプやチューナー等との結線が難しいという問題があった。さらに、聴取者のリスニングポイントが限定され、聴取者が移動すると音場創生の効果が大きく変化してしまうという問題もあった。
【0004】
ヘッドホンシステムは、上述のような問題を解消したものである。ヘッドホンによる再生であれば、結線の問題も少なく、また、耳の位置に発音部の位置が固定されるため、リスニングポイントが限定されることもない。
【0005】
また、スピーカと外部の音を聞き取ることが可能である開放型ヘッドホンとを用いたシステムも開発されている。例えば、特許文献1には、リアスピーカを配置することなく臨場感のある音場を得るために、前方音をスピーカで再生し、後方音を開放型ヘッドホンで再生する音場再生装置が開示されている。また、特許文献2には、自動車の後部座席の搭乗者に閉塞感を与えることなく、聞き易い音場を提供するために、複数チャンネルの信号に対して周波数特性の調整と遅延時間及び増幅率の調整を施した合成音を開放型ヘッドホンから再生する音場再生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2000-78699号公報
【特許文献2】特開2008-98694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ヘッドホンシステムでは、再生音の音像が頭の内部に形成され、頭の中で音が鳴っているように感じるという問題がある。これは、頭内定位と呼ばれる現象である。従来から、頭部伝達関数を音源に対して畳み込み処理した信号を出力するといった手法で頭内定位を解消しようとしている。しかしながら、頭部伝達関数の畳み込み処理等では、頭外定位するには至らず、頭内定位は十分には解消されていなかった。
【0008】
さらに、ヘッドホンシステム特有の問題として、音の発生方向が聴取者の移動及び頭の回転に固定されてしまうという問題点がある。具体的には、例えば、聴取者が映像付きのオーケストラのDVDを視聴している場合に、映像を映し出すモニタが配置される前方に対して、頭を左右に回転させると、オーケストラ映像は前方にあるにもかかわらずヘッドホンは頭に固定されているので、音は頭を回転した正面の方向から聞こえてくることになる。このように、ヘッドホンシステムでは、音の不自然な定位感も問題となる。
【0009】
また、上述の特許文献1に記載の装置は、リアスピーカを排することを目的としており、特許文献2に記載の装置は、聴取者に閉塞感を与えないことを目的としており、上述のヘッドホン再生における頭内定位や不自然な定位感の問題は何ら解決されていない。
【0010】
本発明は斯かる実情に鑑み、頭内定位や不自然な定位感を解消する音場創生装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による音場創生装置は、音源からの音を出力する1つ以上のスピーカと、音源からの音に基づき反射音を生成する反射音生成部と、反射音生成部からの反射音を出力する開放型ヘッドホンと、開放型ヘッドホンから出力される反射音が、スピーカから出力される音より遅れて聴取者の耳に到達するように、開放型ヘッドホンから出力される反射音を遅延させる信号処理部と、を具備するものである。
【0012】
ここで、反射音生成部は、頭部伝達関数を用いて反射音を生成すれば良い。
【0013】
また、反射音生成部は、反響音となるような反射音を生成しても良い。
【0014】
さらに、反射音生成部は、残響音となるような反射音を生成しても良い。
【0015】
また、聴取者が感じる音場を変化させるために、さらに、開放型ヘッドホンから出力される反射音とスピーカから出力される音との大きさの比率を変更するレベル調節部を具備しても良い。
【0016】
さらに、信号処理部は、開放型ヘッドホンから出力される反射音の遅延時間を変更することにより、聴取者が感じる音場を変化させるよう構成しても良い。
【0017】
さらに、スピーカから出力される音を受音するマイクを具備し、該マイクは、開放型ヘッドホン近傍に配置され、反射音生成部は、マイクにより受音される音から反射音を生成するよう構成しても良い。
【0018】
また、本発明による音場創生装置は、音を受音するマイクと、マイクにより受音される音に基づき反射音を生成する反射音生成部と、マイクが近傍に配置され、反射音生成部からの反射音を出力する開放型ヘッドホンと、開放型ヘッドホンから出力される反射音が、マイクにより受音される音より遅れて聴取者の耳に到達するように、開放型ヘッドホンから出力される反射音を遅延させる信号処理部と、を具備するものであっても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明の音場創生装置には、頭内定位や不自然な定位感を解消することが可能であるという利点がある。また、受音環境の影響を排除して任意の音場を創造することも可能であるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第1実施例の音場創生装置の構成を説明するための概略ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施例の音場創生装置の構成を説明するための概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の第1実施例の音場創生装置の構成を説明するための概略ブロック図である。図示の通り、本発明の音場創生装置は、音源10と、スピーカ20と、反射音生成部30と、開放型ヘッドホン40と、信号処理部50とから主に構成されている。

【0022】
音源10は、本発明の音場創生装置が創生する音場のソースとなる音を供給するものである。供給する音は如何なる音であっても構わない。具体的には、例えば音楽CDやDVD等に記録された音情報を再生する装置であれば良い。また、再生する音は、ステレオ音であってもモノラル音であっても良いし、5.1ch等の多チャンネル信号であっても良い。さらに、反射音が含まれている音や、反射音が含まれない直接音であっても良い。

【0023】
スピーカ20は、音源10からの音を出力するものである。スピーカ20は、少なくとも1つ以上あれば良い。即ち、モノラル再生であればスピーカは1つで足り、ステレオ再生であれば、スピーカは最低2つあれば良い。さらに、5.1ch等の多チャンネルの場合には、例えば前方のチャンネルを再生する3つのスピーカであっても良い。また、スピーカ20の配置場所は特に限定されない。本発明の音場創生装置では、スピーカを聴取者の前方に配置すれば、聴取者は音が前方から発生していると認識する。したがって、例えば、映像付きのオーケストラのDVDを視聴する場合において、前方のモニタの近傍に配置すれば、聴取者はモニタに映し出されるオーケストラの方向から音が発生しているように感じる。なお、本発明の音場創生装置のスピーカは、特定のものには限定されず、一般的に入手可能なものであれば良い。

【0024】
反射音生成部30は、音源10からの音に基づき反射音を生成するものである。具体的には、スピーカ20から発音された直接音が、壁や天井等に反射して聴取者の耳に到達する音を擬似的に作り出すものである。反射音は、後述のように反響音や残響音が含まれる概念である。反射音生成部30は、3次元的な音の拡がりを付加するものであり、音源10の元の音に反響音や残響音が含まれていれば、それを生かして反射音を生成する。音源10の元の音が直接音のみしか含まれていない場合であっても、以下に説明するように擬似的に反射音を生成しても良い。

【0025】
例えば、反射音生成部30は、反響音となるような反射音を生成する場合、数本の反射音を生成すれば良い。なお、1本の反射音とは、音源から発せられた音が壁等に反射して聴取者の耳に到達するまでの1本のルートをシミュレートしたものをいう。反射音生成部30は、これを数本分、頭部伝達関数を用いて演算する。なお、頭部伝達関数とは、耳殻、人頭及び肩まで含めた周辺物によって生じる音の変化を伝達関数として表現したものである。数本の反射音を生成することで、反響音となり、3次元的な音の拡がりを表現することが可能となる。

【0026】
また、反射音生成部30は、残響音となるような反射音を生成する場合、多数本の反射音を頭部伝達関数を用いて生成すれば良い。多数本の反射音の頭部伝達関数を畳み込むことで、残響音を表現することが可能となる。

【0027】
なお、反射音は創生すべき音場により種々変更可能であり、例えばコンサートホールやライブハウス等、創生すべき音場環境における反射音に対応して適宜選択できるようにしても良い。

【0028】
このように、本発明の音場創生装置では、音源の元の音に反射音が含まれていれば、それによる残響感を生かしつつ、反射音生成部30において数本の反射音のみを頭部伝達関数を用いて生成して3次元的な音の広がりを付加すれば良い。また、直接音しか含まれていない場合には、残響感と3次元的な拡がりを共に付加するために、直接音を基に反射音生成部30において多数本の反射音を頭部伝達関数を用いて生成しても良い。

【0029】
開放型ヘッドホン40は、上述した反射音生成部30からの反射音を出力するものである。即ち、開放型ヘッドホン40からは、反射音のみが出力される。後述のように、反射音生成部30により生成された反射音は、信号処理部50を介して開放型ヘッドホン40により出力される。開放型ヘッドホン40は、例えばオープンエアー型ヘッドホンとも呼ばれるものであり、発音部の背面が開放されており、外部の音が自由に出入り可能なものである。また、ヘッドホンの背面部だけではなく、耳面部側にも空間を設けたものであっても良い。なお、本発明の音場創生装置の開放型ヘッドホンは、特定のものには限定されず、一般的に入手可能なものであれば良い。

【0030】
このような開放型ヘッドホン40を聴取者が装着すると、聴取者は、音源10からの音をスピーカ20から聴取すると共に、反射音を開放型ヘッドホン40から聴取することになる。開放型ヘッドホン40を用いるため、スピーカ20から出力された音を聴取する妨げにはならない。

【0031】
信号処理部50は、開放型ヘッドホン40から出力される反射音が、スピーカ20から出力される音より遅れて聴取者の耳に到達するように、開放型ヘッドホン40から出力される反射音を遅延させるものである。即ち、スピーカ20から出力される音のほうが、開放型ヘッドホン40から出力される音よりも早く聴取者の耳に届くように、反射音生成部30からの反射音に遅延処理を施す。遅延量の具体例としては、例えばスピーカ20と聴取者との間の距離が3メートルの場合には、約0.009秒、即ち9ミリ秒以上遅延させれば、スピーカ20からの音が早く聴取者の耳に到達するようになる。そこで、スピーカ20から出力される音と開放型ヘッドホン40から出力される音との合成音像ができないように、例えば1ミリ秒を加えた10ミリ秒以上を遅延量として設定すれば良い。なお、スピーカ20と開放型ヘッドホン40との間の距離に応じて、遅延量を適宜変更するように構成しても良い。

【0032】
さらに、開放型ヘッドホン40から出力される反射音とスピーカ20から出力される音との大きさの比率を変更することで、聴取者が感じる音場を変化させても良い。例えば、レベル調整部55が、音源10とスピーカ20の間に配置される。レベル調整部55は、スピーカ20の音の大きさを調整可能なものである。開放型ヘッドホン40から出力される反射音を一定とし、スピーカ20から出力される音をレベル調整部55で大きくすると、音源に近づいたように感じ得る。逆に、スピーカ20から出力される音を小さくすると、音源が遠ざかったように感じ得る。また、例えば反射音生成部30により生成され開放型ヘッドホン40から出力される反射音を、例えば信号処理部50で大きくしたり小さくすることで、聴取者が感じる音場を変化させても良い。このように、本発明の音場創生装置は、音の大きさの比率を変更することで、音源までの距離感や残響感、拡がり感等、種々の制御が可能となる。

【0033】
また、信号処理部50は、開放型ヘッドホン40から出力される反射音の遅延時間を変更することで、聴取者が感じる音場を変化させても良い。例えば遅延時間を長くすると、反射音が遅れて聞こえるため、広い空間に感じ得る。逆に、遅延時間を短くすると、反射音がすぐに聞こえるため、狭い空間に感じ得る。このように、本発明の音場創生装置は、反射音生成部で生成され開放型ヘッドホンから出力される反射音の遅延時間を変更することで、種々の音場を創生可能なように構成しても良い。なお、遅延時間と音の大きさの比率を種々組み合わせても勿論構わない。

【0034】
なお、上述の図示例では反射音生成部30の出力に対して信号処理部50が遅延処理を施したり音の大きさの比率や遅延時間を変更するものを示したが、本発明はこれに限定されず、最終的に出力される開放型ヘッドホン40の出力に対して種々の信号処理が施されていれば良い。したがって、信号処理部50は、音源10と反射音生成部30の間に配置され、音源10からの出力を予め信号処理した上で反射音生成部30にて反射音を生成するように構成しても良い。

【0035】
さらに、信号処理部50は、必要により、エフェクタやアンプ、フィルタ等を用いて加工した音をスピーカ20や開放型ヘッドホン40から出力するように構成しても良い。

【0036】
このように構成された本発明の音場創生装置の作用効果について説明する。上述のように、本発明の音場創生装置では、聴取者の耳には、まずスピーカ20から出力される音源からの音が到達し、その後に開放型ヘッドホン40から出力される反射音が到達する。

【0037】
ここで、人間の聴覚は、最初に聞こえた音に対して音の方向を感じるという第一波面の法則があることが知られている。この法則により、第二波面を第一波面の後に聞かせるように第二波面を、例えば1ミリ秒以上遅延させると、音の発声方向が第一波面の方向に定位する。即ち、本発明の音場創生装置では、スピーカ20の音が先に聞こえるため、音の発声方向がスピーカ20の方向に定位する。したがって、開放型ヘッドホン40から出力される反射音と合成されると、聴取者は音が頭外に定位したと感じることになる。即ち、ヘッドホン出力であるため頭内定位し得る反射音が、第一波面の法則によりスピーカの音に引っ張られて頭外定位したような状態となる。

【0038】
したがって、本発明の音場創生装置によれば、聴取者は、開放型ヘッドホンからの反射音により3次元的な音の拡がりを感じつつ、スピーカにより頭内定位を解消することが可能となる。

【0039】
さらに、本発明の音場創生装置によれば、聴取者が頭を回転したとしても、スピーカの位置は固定されているため、常にスピーカの方向に音の発声方向が定位することになる。したがって、不自然な定位感も解消することが可能となる。このように、本発明の音場創生装置によれば、聴取者の横や後方にスピーカを設置しなくても音場創生が可能である。


【0040】
次に、図2を用いて、本発明の第2実施例の音場創生装置を説明する。図2は、本発明の第2実施例の音場創生装置を説明するための概略ブロック図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。

【0041】
図示の通り、本発明の第2実施例の音場創生装置は、第1実施例の音場創生装置を基本に、さらにマイク60を具備するものである。マイク60は、スピーカ20から出力される音を受音するように構成され、開放型ヘッドホン40近傍に配置される。例えば、マイク60は、開放型ヘッドホン40に一体的に設置されても良い。マイク60を開放型ヘッドホン40近傍に配置することで、スピーカ20から出力された音が聴取者に届くタイミングで、マイク60によりスピーカ20からの音を受音することが可能となる。

【0042】
なお、マイク60は、ステレオマイクであってもモノラルマイクであっても良く、さらには複数のマイクを用いたマルチチャンネルのものでも良い。また、特定のものには限定されず、一般的に入手可能なものであれば良い。

【0043】
本発明の第1実施例の音場創生装置では、反射音生成部30が音源10からの音に基づき反射音を生成するように構成されていたが、第2実施例では、反射音生成部30が、マイク60により受音される音から反射音を生成するように構成されている。即ち、第1実施例では、音源10からの音を直接反射音生成部30に入力して反射音を生成していたが、第2実施例では、音源10からの音がスピーカ20から出力され、これをマイク60で受音した音を反射音生成部30に入力して反射音を生成している。したがって、第2実施例の音場創生装置では、音源10からの音は間接的に反射音生成部30に入力されることになる。

【0044】
このように構成された本発明の第2実施例の音場創生装置では、常にスピーカ20から聴取者に届く音と同等のタイミングで反射音生成部30に音が入力されることになる。したがって、信号処理部50では、スピーカ20と開放型ヘッドホン40との間の距離には影響を受けずに、所定の遅延量を設定するのみで足りることになる。

【0045】
さらに、本発明の第2実施例の音場再生装置では、スピーカ20から出力された音を聴取環境下においてマイク60で受音し、受音した音を反射音生成部30に入力するため、反射音生成部30は、受音した音から聴取環境の影響を排除するようにフィルタ処理等を行うことも可能である。これにより、ある程度受音環境の影響を排除して任意の音場を創造することも可能となる。

【0046】
なお、本発明の第2実施例の音場再生装置は、第1実施例と同様に、開放型ヘッドホンから出力される反射音とスピーカから出力される音との大きさの比率を変更するレベル調節部を設けても良いし、遅延時間を適宜変更しても良い。

【0047】
ここで、上述の本発明の第2実施例の音場創生装置では、音源10からの音をスピーカ20で再生し、これを開放型ヘッドホン40近傍に配置されるマイク60で受音する構成であった。しかしながら、本発明はこれに限定されず、マイクで受音する音はスピーカから出力された音には限定されない。即ち、音源やスピーカを用いず、生音を用いても良い。例えば音楽CD等を用いずに、生演奏を聞くときに本発明の第2実施例の音場創生装置を用いることで、コンサートホール等の音場を任意にコントロールすることが可能となる。即ち、本発明の第2実施例の音場創生装置は、マイクと開放型ヘッドホンと反射音生成部と信号処理部があれば足りる。

【0048】
なお、本発明の音場創生装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、図示例では反射音生成部や信号処理部は開放型ヘッドホンとは別体として表したが、本発明はこれに限定されず、開放型ヘッドホンにこれらの機能を内蔵し、一体型の音場創生装置としても勿論構わない。
【符号の説明】
【0049】
10 音源
20 スピーカ
30 反射音生成部
40 開放型ヘッドホン
50 信号処理部
55 レベル調整部
60 マイク
図面
【図1】
0
【図2】
1