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明細書 :同軸磁化プラズマ生成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5532720号 (P5532720)
公開番号 特開2010-050090 (P2010-050090A)
登録日 平成26年5月9日(2014.5.9)
発行日 平成26年6月25日(2014.6.25)
公開日 平成22年3月4日(2010.3.4)
発明の名称または考案の名称 同軸磁化プラズマ生成装置
国際特許分類 H05H   1/24        (2006.01)
H05H   1/46        (2006.01)
FI H05H 1/24
H05H 1/46 R
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2009-171864 (P2009-171864)
出願日 平成21年7月23日(2009.7.23)
優先権出願番号 2008189468
優先日 平成20年7月23日(2008.7.23)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年7月20日(2012.7.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】浅井 朋彦
【氏名】多米 貴裕
【氏名】岸 香織
個別代理人の代理人 【識別番号】100124257、【弁理士】、【氏名又は名称】生井 和平
審査官 【審査官】山口 敦司
参考文献・文献 特開2006-310101(JP,A)
特開2001-215721(JP,A)
特開平05-135744(JP,A)
特開2004-007885(JP,A)
特開2007-012769(JP,A)
特開昭63-211598(JP,A)
粟根毅他,スフェロマックプラズマ衝突時における真空紫外光強度分布,平成21年度日本大学理工学部学術講演予稿集,2010年 1月22日,第1268-1269頁
調査した分野 H05H 1/24
H05H 1/46
特許請求の範囲 【請求項1】
スフェロマックプラズマを生成する同軸磁化プラズマ生成装置であって、該同軸磁化プラズマ生成装置は、
外部導体と、
前記外部導体と同軸状に配置される内部導体と、
前記外部導体と内部導体との間にプラズマ生成ガスを供給するプラズマ生成ガス供給部と、
前記外部導体と内部導体との間にバイアス磁界を発生する電磁コイルと、
前記外部導体と内部導体との間に連続パルス信号を印加する電源回路と、
を具備することを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記電源回路は、デューティ比が変更される連続パルス信号を印加することを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記電源回路は、デューティ比が1:5の連続パルス信号を印加することを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記電源回路は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタを具備することを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記電源回路は、コンデンサ及び抵抗の並列回路並びにこれに直列に接続されるダイオードからなるスナバ回路を具備し、該スナバ回路は、前記絶縁ゲートバイポーラトランジスタに並列に接続されることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記スナバ回路のコンデンサが、複数の並列及び直列に接続されるコンデンサ群からなることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は同軸磁化プラズマ生成装置に関し、特に、高効率・高輝度なスフェロマックプラズマを生成可能な同軸磁化プラズマ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スフェロマックプラズマを生成する装置として、同軸磁化プラズマ生成装置が知られている。同軸磁化プラズマ生成装置とは、同軸状に配置された外部電極と内部電極との間に電圧を印加し、両電極間に放電を起こさせることでプラズマを生成させるものである。この際、このプラズマにバイアス磁界を印加すると、放電電流による磁場と共に、バイアス磁場を含んだ状態で放出され、スフェロマックプラズマとなる。ここで、スフェロマックプラズマとは、自分自身に流れる電流によってポロイダルとトロイダルの両閉じ込め磁場が発生し、その磁場構造の持つ磁気ヘリシティを保存するように配位を自己組織化するものである。
【0003】
例えば、特許文献1には、外部電極と内部電極の間にコンデンサの直流放電を印加することで、スフェロマックプラズマを生成させる同軸磁化プラズマ生成装置が開示されている。また、特許文献2には、外部電極と内部電極の間に、コンデンサから単パルス電流を印加し、スフェロマックプラズマを生成させる同軸磁化プラズマ生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2006-310101号公報
【特許文献2】特開平9-115686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同軸磁化プラズマ生成装置に用いられる電源回路において、負荷電流は、短時間で所定値に立ち上げなければならず、立ち上がり特性を急峻にするためには電源回路において充放電を行うためのコンデンサの容量を小さくしなければならない。ところがコンデンサの容量が小さいと、負荷電流は短時間で減衰してしまうため、長時間プラズマを発光させることは難しかった。
【0006】
また、特許文献1や特許文献2の同軸磁化プラズマ生成装置において、高効率な発光を得るためには、それに見合う高電圧の充放電回路等が必要となり、絶縁やノイズ等、EUV光源やX線光源に適用する上で問題となっていた。
【0007】
さらに、特許文献1に記載された同軸磁化プラズマ生成装置は、印加される電流がコンデンサからの直流電流であることから直流的な放電となり、また、特許文献2に記載された同軸磁化プラズマ生成装置は、長パルス放電となるが、このような放電の場合には、電極に対する熱負荷により電極が損傷されることが知られている。この電極の損傷は、電極自体の寿命を短くし、削りとられた電極素材はデブリとなり、同軸磁化プラズマ生成装置の窓の曇りや損傷の原因となっていた。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、高効率・高輝度なプラズマ生成が可能であり、さらに、電極の長寿命化、デブリによる窓の曇りや損傷の軽減が可能な同軸磁化プラズマ生成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による同軸磁化プラズマ生成装置は、外部導体と、外部導体と同軸状に配置される内部導体と、外部導体と内部導体との間にプラズマ生成ガスを供給するプラズマ生成ガス供給部と、外部導体と内部導体との間にバイアス磁界を発生する電磁コイルと、外部導体と内部導体との間に連続パルス信号を印加する電源回路と、を具備するものである。
【0010】
ここで、電源回路は、デューティ比が変更される連続パルス信号を印加するものであっても良い。
【0011】
また、電源回路は、デューティ比が1:5の連続パルス信号を印加するものであっても良い。
【0012】
また、電源回路は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタを具備するものであっても良い。
【0013】
さらに、電源回路は、コンデンサ及び抵抗の並列回路並びにこれに直列に接続されるダイオードからなるスナバ回路を具備し、該スナバ回路は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタに並列に接続されるものであっても良い。
【0014】
また、スナバ回路のコンデンサが、複数の並列及び直列に接続されるコンデンサ群からなるものであっても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明の同軸磁化プラズマ生成装置には、高効率・高輝度なプラズマ生成が可能であるという利点がある。さらに、電極の長寿命化や、デブリによる窓の曇りや損傷の軽減が可能であるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置の構成を説明するための長手方向の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置の電源回路を説明するための回路図である。
【図3】図3は、電源回路がスナバ回路を具備する場合の例を説明するための回路図である。
【図4】図4は、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置の電源回路のスナバ回路のより具体的な例を説明するための回路図である。
【図5】図5は、印加電流に対するプラズマ出力の輝度変化を説明するためのグラフである。
【図6】図6は、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置の真空紫外域における放射光出力の時間変化を説明するためのグラフである。
【図7】図7は、本発明の対向配置型の同軸磁化プラズマ生成装置の構成を説明するための長手方向の概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の対向配置型の同軸磁化プラズマ生成装置の真空紫外域における放射光出力の時間変化を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置の構成を説明するための長手方向の概略断面図である。図示の通り、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、外部導体1と、内部導体2と、プラズマ生成ガス供給部3と、電磁コイル4と、電源回路5から主に構成されている。

【0018】
外部導体1は、円筒形状の導体からなるものである。また、内部導体2は、外部導体1と同軸状に配置されている。そして、プラズマ生成ガス供給部3は、外部導体1と内部導体2との間にプラズマ生成ガスを供給するように構成されている。また、電磁コイル4は、外部導体1と内部導体2との間にバイアス磁界を発生するものである。さらに、本発明の最も特徴的な構成である電源回路5は、外部導体1と内部導体2との間に連続パルス信号を印加するものである。以下、各部についてより詳細に説明する。なお、連続パルス信号とは、外部導体と内部導体間に印加した連続パルス電圧、又はそのとき流れた連続パルス電流を意味する。

【0019】
図示例の同軸磁化プラズマ生成装置では、外部導体1と内部導体2は、一端が絶縁部材6により絶縁されながらそれらの配置位置が固定されており、他端がここからプラズマが放出されるように開放端となっている。また、内部導体2とプラズマ生成ガス供給部3が一体的な構成となっており、プラズマ生成ガス供給部3から外部導体1と内部導体2との間の空間に、プラズマ生成ガス、例えばヘリウムガスやアルゴンガス等が供給される。

【0020】
また、電磁コイル4は、図示例では外部導体1の外周に配置される例を示した。電磁コイル4は、外部導体1と内部導体2間に発生したプラズマに対して、バイアス磁界を印加するものである。これにより、プラズマが放電電流による磁場とバイアス磁場を含んだ状態で放出されるので、スフェロマックプラズマが生成されることになる。

【0021】
なお、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、これらの図示例の構成に特に限定されるものではなく、スフェロマックプラズマを生成可能な構造である同軸磁化プラズマ生成装置であれば、如何なる構造であっても構わない。

【0022】
次に、本発明の最も特徴的な電源回路について説明する。電源回路5は、上述のように外部導体1と内部導体2との間に、連続パルス信号を印加するものである。連続パルス信号を印加するために、電源回路5は、例えばトランジスタを用いて電源(コンデンサ)をインバータ制御して、例えば矩形波の連続パルス信号を生成する。同軸磁化プラズマ生成装置では、高電圧な電源を用いる。このため、トランジスタとしては大電力を高速にスイッチング可能な絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いることが好ましい。以下、電源回路の回路構成について、図2を用いてより詳細に説明する。

【0023】
図2は、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置の電源回路を説明するための回路図である。図示の通り、電源回路5は、コンデンサ51とトランジスタ52と抵抗Rとからなる。コンデンサ51は、充放電用コンデンサであり、コンデンサ51の電圧が抵抗Rを介して外部導体1と内部導体2との間に印加される。トランジスタ52は、上述のように絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、ゲートへの制御信号によりON/OFF制御され、外部導体1と内部導体2との間に、コンデンサ51の直流出力を連続パルス状に印加するものである。なお、大電力を高速にスイッチング可能なトランジスタであれば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタに限らず、他のトランジスタやスイッチング回路等であっても良い。

【0024】
なお、電源回路における過電圧や過電流(サージ)によるトランジスタの破壊を防止するために、電源回路にスナバ回路を設けても良い。図3は、電源回路がスナバ回路を具備する場合の例を説明するための回路図である。図示の通り、スナバ回路60は、トランジスタ52に並列に接続されている。スナバ回路60は、コンデンサ61及び抵抗62の並列回路並びにこれに直列に接続されるダイオード63からなる。

【0025】
ここで、広帯域のサージからトランジスタを保護するために、図3のコンデンサ61を多段化しても良い。図4は、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置の電源回路のスナバ回路のより具体的な例を説明するための回路図である。なお、図中の抵抗やコンデンサの値については、あくまでも一例であって、これらに限定されるものではない。図示の通り、スナバ回路60のコンデンサ61が、複数の並列及び直列に接続されるコンデンサ群から構成されている。より具体的には、3つのコンデンサの直列回路と、2つのコンデンサの並列回路と、2つのコンデンサの並列回路を3つ直列に接続した回路とを、並列に接続したものである。また、ダイオード63を2個直列に接続している。スナバ回路60をこのように構成すれば、より広範囲のサージによるトランジスタの破壊を防止可能となる。

【0026】
上述のように構成された本発明の同軸磁化プラズマ生成装置では、以下のようにプラズマが生成される。まず、プラズマ生成ガス供給部3からプラズマ生成ガスが供給される。外部導体1と内部導体2との間の空間に電源回路5により連続パルス信号を印加すると、外部導体1と内部導体2との間に放電が発生し、放電電流が流れてプラズマが生成される。生成されたプラズマは、放電電流による磁場と共に、電磁コイル4によるバイアス磁場により、ポロイダル方向とトロイダル方向の磁場が生じ、スフェロマックプラズマとして外部導体1と内部導体2の開放端から放出される。放出されたスフェロマックプラズマは、すぐには拡散することなく、プラズマ塊の状態のまま高速で放出される。

【0027】
電源回路の連続パルス信号により放電する本発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、従来の直流的な放電や単パルスによる放電と異なり、印加信号をパルス波形とすることで、コンデンサからの放電を長時間維持することが可能となる。即ち、コンデンサからの放電を連続パルス的に放電させることで、直流的に放電するよりもコンデンサ出力の減衰を抑えることが可能となる。したがって、電源回路出力を高出力のまま長時間維持することができるため、これに従い高エネルギのプラズマを長時間生成することが可能となる。

【0028】
また、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置では、連続パルス信号の放電により、電極の熱負荷が低減する。このため、電極が長寿命化し、また、電極の損傷が少ないためデブリによる窓の曇りや損傷が軽減可能となる。

【0029】
さらに、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置の電源回路において、連続パルス信号としては、矩形波(デューティ比1:2)に限定されず、デューティ比を変更した連続パルス信号を出力するように構成しても良い。即ち、電源回路のトランジスタの制御信号を、デューティ比が変更されるように入力する。これにより、外部導体と内部導体との間に、デューティ比が変更された連続パルス信号を印加するように電源回路が構成される。

【0030】
以下、デューティ比を変更した場合の効果について説明する。なお、以下の説明において、同軸磁化プラズマ生成装置の構成については図1に示したものを用い、電源回路の構成については図4に示したものを用いた。

【0031】
図5は、プラズマ出力の輝度変化を説明するためのグラフであり、上段が印加電流の時間変化を、下段がプラズマ出力の輝度の時間変化をそれぞれ表している。このグラフは、プラズマ生成ガスとしてヘリウムガスを用いて、ヘリウムのスペクトル線である約470nmのスペクトルの時間に対する輝度変化の結果である。図5(a)は、比較例として従来の直流的な放電の場合の印加電流及び輝度の時間変化を示している。図5(b)は、矩形波(デューティ比1:2)となるように連続パルス制御を行った場合の印加電流及び輝度の時間変化を示している。また、図5(c)は、デューティ比1:5となるように連続パルス制御を行った場合の印加電流及び輝度の時間変化を示している。なお、デューティ比は、パルス幅対パルス周期で表している。また、図示例では、パルス周期は10kHzとした。

【0032】
図示の通り、図5(a)の従来の電源回路を用いた場合のプラズマ出力の輝度と比べて、本発明の連続パルス信号を印加する電源回路を用いた場合のプラズマ出力の輝度は、高輝度化し、且つ長時間プラズマが発光していることが分かる。また、図5(c)に示されるように、プラズマ生成ガスがヘリウムガスの場合、デューティ比を変更した連続パルス信号を印加した場合には、さらに高輝度化且つ長時間化できていることが分かる。デューティ比1:5の連続パルス信号の場合には、デューティ比1:2の場合と比べても、200%以上高輝度化していることが分かる。これは、連続パルス信号の印加により、スフェロマックプラズマの生成過程において磁気リコネクションが誘発すると考えられ、これによる異常加熱が生じた影響によるものと考えられる。なお、デューティ比については、プラズマが発生する程度のパルス幅やパルス周期を有するものであれば、1:5に限定されず、他のデューティ比であっても構わない。また、使用するプラズマ生成ガスやプラズマを利用する波長に応じてデューティ比を決定しても良い。

【0033】
次に、EUV等の短波長光源に適用可能な放射光出力について説明する。上述の例ではヘリウムガスのスペクトル線である約470nmの波長の輝度の時間変化を説明したが、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、短波長の放射光出力を利用することも可能である。例えば、内部導体を鉄を含有する金属で構成した場合、内部導体の構成元素の1つである鉄の真空紫外域におけるスペクトル線である約158nmの放射光出力を測定すると、上述の470nmの波長における輝度の時間変化と同様に、発光が観測できた。さらに、イオン種は特定していないが、分光器の測定限度付近の40nm程度までのより短波長な帯域においても、十分な発光が観測できた。したがって、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、EUV光源等にも適用可能である。

【0034】
図6に、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置の真空紫外域における放射光出力の時間変化のグラフを示す。同グラフは、プラズマ生成ガスとしてヘリウムガスを用いて、デューティ比1:5及び1:2の連続パルス制御をそれぞれ行ったときの、鉄の真空紫外域におけるスペクトル線である約158nmの放射光出力を測定したものである。なお、真空紫外における計測系は、出力が正となるように構築したため、図5に示されるグラフとは出力が逆となっている。このグラフから分かる通り、鉄のスペクトル線である約158nmの波長においては、デューティ比1:5よりも、1回の放電時間の長いデューティ比1:2の連続パルスの場合のほうが、輝度が高いことが分かる。これは、1回の放電時間を長くすることで内部導体がスパッタされ、内部導体に用いられる金属がプラズマ生成ガスにより混入することで、内部導体に用いられる鉄に対応するスペクトル線の輝度が高められたためと考えられる。したがって、連続パルス信号のデューティ比を、例えば1:2等、放電時間が長くなるように適宜変更することで、内部導体の材料に対応するスペクトル線の輝度を高めることも可能となる。また、内部導体の材料についても、鉄に限らず鉛等、適宜変更することで、所望の波長のスペクトル線の輝度を高めることも可能となる。

【0035】
このように、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置によれば、使用する波長がプラズマ生成ガスのスペクトル線の波長で足りる場合には、連続パルス信号のデューティ比を例えば1:5として内部導体が浸食されないように制御し、電極の長寿命化を図ることも可能である。さらに、プラズマ生成ガスのスペクトル線の波長ではない波長の光を使用する場合には、所望の波長のスペクトル線を有する金属材料を内部導体に用いて、連続パルス信号のデューティ比を放電時間が長くなるように調整し、内部導体の金属材料をスパッタすることでプラズマ生成ガス中に混入させ、内部導体の金属材料のスペクトル線の波長の輝度を高めることも可能となる。

【0036】
次に、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置を対向配置し、それぞれ生成されたスフェロマックプラズマを衝突させたとき発生するプラズマ加熱機構を利用する対向配置型同軸磁化プラズマ生成装置について説明する。図7は、本発明の対向配置型の同軸磁化プラズマ生成装置の構成を説明するための長手方向の概略断面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。図7に示されるものは、基本的には図1に示される同軸磁化プラズマ生成装置を2つ用いて、中心軸が一致するようにそれぞれ放出面を対向配置し、これらの間を磁束保持容器10を介して接続したものである。より具体的には、図7に示される通り、磁束保持容器10は、円筒形状の外部導体1の開放端を結合するものであり、外部導体1の中心軸に対して垂直方向の面に窓部11を有するものである。

【0037】
このような構成の対向配置型同軸磁化プラズマ生成装置において、それぞれの外部導体1と内部導体2の間に、それぞれ電源回路5による連続パルス信号のタイミングを合わせて印加する。これにより、スフェロマックプラズマがそれぞれ外部導体1の開放端から放出され、プラズマ塊が磁束保持容器10内で衝突し、高い発光強度の光が窓部11から得られる。

【0038】
短波長のスペクトル線を使用する場合には、できるだけプラズマの温度が高いほうが好ましい。対向配置型同軸磁化プラズマ生成装置の場合には、プラズマの衝突時に加熱され、この熱エネルギを利用することが可能となるため、短波長のスペクトルの輝度がより高められる。このため、1つの同軸磁化プラズマ生成装置の場合よりも2つ用いた対向配置型同軸磁化プラズマ生成装置では、衝突時の熱エネルギにより、2つ分の合計光量以上の輝度の向上が得られる。図8に、本発明の対向配置型同軸磁化プラズマ生成装置の真空紫外域における放射光出力の時間変化のグラフを示す。同グラフは、プラズマ生成ガスとしてヘリウムガスを用いて、デューティ比1:5及び1:2の連続パルス制御をそれぞれ行ったときの、鉄の真空紫外域におけるスペクトル線である約158nmの放射光出力を測定したものである。図6の1つの同軸磁化プラズマ生成装置の結果と比べると、対向配置型同軸磁化プラズマ生成装置のほうが、およそ20倍程度も発光量が増加していることが分かる。したがって、プラズマの発光量を上げるのには、対向配置型同軸磁化プラズマ生成装置が有利であることが分かる。

【0039】
以上説明したように、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置によれば、電源回路による連続パルス電圧や連続パルス電流の大きさに比べて、非常に高いエネルギのプラズマが長時間発光可能となるため、高効率・高輝度なプラズマ生成が可能となる。さらに、デューティ比を制御することで、電極の熱負荷を低くでき、電極が長寿命化し、また、電極の損傷が少ないためデブリによる窓の曇りや損傷も軽減可能となる。なお、閉じ込め磁場配位を有するプラズマを生成可能なため、容器壁との接触によるプラズマ温度の低下も低減できる。

【0040】
また、デューティ比を変化させることで、内部導体を削るようにしてプラズマ生成ガスに金属を混入させ、内部導体の金属のスペクトル線の輝度を高めることも可能である。また、対向配置型同軸磁化プラズマ生成装置とすれば、プラズマ温度を高めることで、より強くプラズマを生成可能である。

【0041】
したがって、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、次世代リソグラフィのためのEUV光源や医療・検査用のX線光源等、種々の応用が可能である。

【0042】
なお、本発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 外部導体
2 内部導体
3 プラズマ生成ガス供給部
4 電磁コイル
5 電源回路
6 絶縁部材
51 コンデンサ
52 トランジスタ
60 スナバ回路
61 コンデンサ
62 抵抗
63 ダイオード
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図8】
6
【図7】
7