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明細書 :貝類養殖用容器及び貝類養殖方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3985048号 (P3985048)
登録日 平成19年7月20日(2007.7.20)
発行日 平成19年10月3日(2007.10.3)
発明の名称または考案の名称 貝類養殖用容器及び貝類養殖方法
国際特許分類 A01K  61/00        (2006.01)
FI A01K 61/00 E
請求項の数または発明の数 5
全頁数 6
出願番号 特願2006-201721 (P2006-201721)
出願日 平成18年7月25日(2006.7.25)
審査請求日 平成19年3月15日(2007.3.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】羽田野 袈裟義
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
審査官 【審査官】坂田 誠
参考文献・文献 特開平3-232440(JP,A)
実開昭62-7860(JP,U)
特開昭53-86399(JP,A)
調査した分野 A01K 61/00
要約 【課題】 水面付近に設置することで潮の干満を利用して容器内の砂層の水を流動させ、砂層内の貝類の生育を促進させることができる貝類養殖用容器及び該貝類養殖用容器を利用した貝類養殖方法を提供する。
【解決手段】 不透水性の側壁部5と透水性の底部4とを有する容器1と、前記容器の内部に貝類養殖用の砂層2とを有する貝類養殖用容器。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
不透水性の側壁部と透水性の底部とを有する容器と、
前記容器の内部に貝類養殖用の砂層とを有する貝類養殖用容器。
【請求項2】
前記透水性の底部は、ポーラス体であることを特徴とする請求項1記載の貝類養殖用容器。
【請求項3】
前記透水性の底部は、ポーラスコンクリートであることを特徴とする請求項2記載の貝類養殖用容器。
【請求項4】
前記容器の上部又は底部から砂層へ、淡水又は海水を導水する導水手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の貝類養殖用容器。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか記載の貝類養殖用容器を水面域に設置し、潮の干満により前記透水性の底部を通して前記砂層内の水を流動させることを特徴とする貝類養殖方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シジミやアサリなどの貝類の養殖用容器及び養殖方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かつて、シジミは河口域等の汽水域、アサリは浅海の砂中に豊富に生息していて、十分な漁獲量を確保できていた。しかしながら、近年、河川、湖沼、浅瀬などの汚染やヘドロの堆積などによって、シジミ・アサリの漁獲量が減少してきている。最近、シジミは肝機能保全に適した健康食品として注目されているが、漁獲量は年々減少しており、多くは外国からの輸入に頼っているのが現状である。シジミやアサリなど、汽水域や浅瀬の砂中に生息する貝類の効果的な養殖方法が望まれている。
【0003】
特許文献1乃至3には貝類養殖用容器及び貝類養殖方法が記載されている。これらの文献の貝類養殖用容器は海中に配置するものである。特許文献1及び2には、容器内に砂層を設けることが記載されているが、砂層内の海水を流動させるための構成は記載されていない。特許文献3には、容器の外周部に透孔7を設け容器内の海水を流動させることは記載されているが、容器内に砂層を設けることは記載されていない。特許文献3では、容器の底部に砂落孔8を設けており、容器内に砂層を設けることは全く想定していない。

【特許文献1】特開平7-177833号公報
【特許文献2】特開平9-266736号公報
【特許文献3】特開平6-343370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シジミやアサリなど、砂を好む貝類の養殖には砂層が必要である。砂層内の貝類の生育を促進するためには砂層内の水を流動させる必要があるが、伏流水が生じる場合などを除くと、砂層内の水を流動させることは十分には行われない。
【0005】
本発明は、水面付近に設置することで潮の干満などを利用して容器内の砂層内の水を流動させ、砂層内の貝類の生育を促進させることができる貝類養殖用容器、及び該貝類養殖用容器を利用した貝類養殖方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記課題を解決するため、以下の構成になっている。
不透水性の側壁部と透水性の底部とを有する容器と、前記容器の内部に貝類養殖用の砂層とを有する貝類養殖用容器。
【0007】
また、以下の実施態様を有する。
前記透水性の底部は、ポーラス体である。
前記透水性の底部は、ポーラスコンクリートである。
前記容器の上部又は底部から砂層へ、淡水又は海水を導水する導水手段をさらに有する。
前記貝類養殖用容器を水面域に設置し、潮の干満により前記透水性の底部を通して前記砂層内の水を流動させる。
【発明の効果】
【0008】
容器の周囲を囲う側壁部が不透水性、底部が透水性であり、底部の上には砂層があることから、容器内外への水の出入りは必ず底部及び砂層を通過する流れを作る。この容器を、汽水域の水面付近又は浅瀬の水面付近に設置することで、潮の干満などにより底部を通して容器内外へ水を出入りさせ、砂層内の水を流動させることができる。シジミ・アサリ等は砂層中の藻などを餌として生育するが、潮の干満による砂層内の水の流動により藻の栄養分や溶存酸素が砂層内に供給され、シジミ・アサリ等の餌となる藻の生育が促進される。また、貝類の生息に対する地形的制約を除去し、効率的な養殖が可能となる。
【0009】
透水性の底部としてポーラスコンクリートを用いることで、透水性を維持しつつ、砂層内の砂の流出を防止することができる。さらに、導水手段を設けることで砂層内の水を効果的に流動させることができる。導水手段として容器側壁部の上部に逆止弁を設ければ、潮の干満に対して、潮位の高い時間帯に逆止弁から砂層上部に効果的に水を流入させ、砂層内に一定方向の浸透流を作ることができる。導水手段として相対的に高い河川の水位のエネルギーを利用したものを用いても良い。導水手段としてパイプを用いれば水の圧力のエネルギーで砂層内に浸透流を作ることができ、またポンプ等を用いれば、容器周囲の水位の変動がほとんど無い場所にも設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態の概略図である。貝類養殖用容器1は、潮の干満のある水域の水面付近に設置されている。貝類養殖用容器1は、周囲を囲う不透水性の側壁部5と、透水性の底部4とから成る。貝類養殖用容器1の中には砂層2が設けられ、砂層2の中でシジミ・アサリ等の貝類3を生育させる。貝類養殖用容器1は、潮の干満や流れによって動かないように、支柱6によって地面7に固定されている。潮の干満により貝類養殖用容器1の周囲の水面は、満潮時の水面9と干潮時の水面10との間で変動する。貝類養殖用容器1の周囲の水面の変動により、透水性の底部4と砂層2内の浸透流が生じ、容器内の水面8が変動する。
【0011】
潮の干満による貝類養殖用容器1内での水の流動について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、満潮時の図である。満潮に近づくにつれて貝類養殖用容器1の周囲の水位が上昇する。貝類養殖用容器1内の水は、透水性の底部4と砂層2を通じて容器周囲の水とつながっているので、容器内の水位8は、容器周囲の水位9に近づこうとする。このとき、容器周囲の水が底部4から容器内に流入し、流入した水が砂層2に浸透する。これにより、容器周囲の水に含まれる栄養素や溶存酸素が砂層2内に取り込まれる。潮位の低い時間帯にはこの逆の現象が起きる。図3は、干潮時の図である。干潮に近づくにつれて貝類養殖用容器1の周囲の水位が低下する。容器内の水位8は、容器周囲の水位10に近づこうとするので、砂層2内の水が底部4を通して容器外へ流出する。これにより、砂層2内の溶存酸素の減少した水を容器外へ排出することができる。
【0012】
図4は、第2実施形態の概略図である。第1実施形態では、潮位の高い時間帯における容器内への水の流入は底部4を通じて行っていたが、潮位差や砂層2の透水性能によっては容器周囲の水が砂層2の上部まで十分に到達しない可能性がある。第2実施形態では、貝類養殖用容器1の壁部5の上部に逆止弁11を設けることでこれを解決する。逆止弁11は、容器の外から中へのみ水を通すように構成されている。容器周囲の水位が砂層内の水位より高い時には、逆止弁11を通じて容器周囲の水が容器内へ流入する。容器周囲の水位が容器内の水位より低い時には砂層内の浸透流が生じないが、引き続き起こる潮汐の干満により砂層内を下向きに流れる浸透流が断続的に生じ、容器周囲の水を砂層全体に行きわたらせることができる。
【0013】
図5は、第3実施形態の概略図である。第1実施形態及び第2実施形態は、貝類養殖用容器1を潮の干満のある場所に設置することを想定しているが、貝類養殖用容器1を容器周囲の水位変動がほとんど無いか全く無い場所に設置する可能性も考えられる。第3実施形態は、このような場所に設置する場合の実施形態である。貝類養殖用容器1の上部に導水手段12を設け、容器の上部から水を流入させる。流入した水は、砂層2及び底部4を通じて、容器外へ流出する。
【0014】
図6は、第4実施形態の概略図である。第3実施形態では、貝類養殖用容器1の上部に導水手段を設けたが、第4実施形態では、導水手段13を底部4の下方に設けた。底部4から流入した水は、砂層2を通じて貝類養殖用容器1の上部から溢れ出る。導水手段12としてはポンプ等を用いることも考えられるが、相対的に高い河川等の水位のエネルギーを利用してもよい。
【0015】
以上、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態の概略図。
【図2】本発明の第1実施形態の満潮時の図。
【図3】本発明の第1実施形態の干潮時の図。
【図4】本発明の第2実施形態の概略図。
【図5】本発明の第3実施形態の概略図。
【図6】本発明の第4実施形態の概略図。
【符号の説明】
【0017】
1 貝類養殖用容器
2 砂層
3 貝類(シジミ・アサリ等)
4 底部(ポーラス体)
5 側壁部(不透水性)
6 支柱
7 地面
8 容器内の水面
9 満潮時の水面
10 干潮時の水面
11 逆止弁
12、13 導水手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5