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明細書 :手術支援システム用体内挿入器具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5213200号 (P5213200)
公開番号 特開2009-201617 (P2009-201617A)
登録日 平成25年3月8日(2013.3.8)
発行日 平成25年6月19日(2013.6.19)
公開日 平成21年9月10日(2009.9.10)
発明の名称または考案の名称 手術支援システム用体内挿入器具
国際特許分類 A61B  19/00        (2006.01)
FI A61B 19/00 502
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2008-045330 (P2008-045330)
出願日 平成20年2月27日(2008.2.27)
審査請求日 平成23年2月25日(2011.2.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504300181
【氏名又は名称】国立大学法人浜松医科大学
【識別番号】000112004
【氏名又は名称】パルステック工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】山本 清二
【氏名】高井 利久
【氏名】林本 悦一
【氏名】三浦 曜
個別代理人の代理人 【識別番号】100139963、【弁理士】、【氏名又は名称】神谷 直慈
審査官 【審査官】佐藤 智弥
参考文献・文献 特開2005-246059(JP,A)
米国特許出願公開第2005/0049485(US,A1)
米国特許出願公開第2006/0161059(US,A1)
調査した分野 A61B 19/00
特許請求の範囲 【請求項1】
3次元形状測定手段を有する手術支援システムにおいて前記3次元形状測定手段の測定範囲内で用いる体内挿入器具であって、
前記体内挿入器具は、体内に挿入されない部分に、前記3次元形状測定手段で位置および形状が測定可能な標識体であって標識体間の相対位置及び形状が既知である標識体を少なくとも3個有しており、前記3次元形状測定手段の測定結果と、既知である標識体間の相対位置と各標識体の形状とに基づいて、前記体内挿入器具の位置及び姿勢が測定可能であり、
前記標識体の少なくとも1個は他の標識体と大きさおよび重さが異なっており、
前記体内挿入器具の軸心と標識体全体の重心位置とが近くなるように複数の前記標識体の配置及び重さを設定している、
手術支援システム用体内挿入器具。
【請求項2】
前記体内挿入器具には、前記体内挿入器具の体内挿入方向に延びた第1アームと、前記第1アームと一定の角度をなす方向に延びた第2アームと、が設けられており、
前記標識体は4個であり、そのうち2個は前記第1アームに配置されており、残りの2個は前記第2アームに配置されており、
前記第2アームに配置された2個の標識体は、前記体内挿入器具の中心軸に対して非対称に配置されているとともに、それぞれ重さが異なる、
請求項1記載の手術支援システム用体内挿入器具。
【請求項3】
前記体内挿入器具は、手術器具または硬性内視鏡である、
請求項1または2記載の手術支援システム用体内挿入器具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、手術支援システムで用いられる、体内挿入器具(手術器具、硬性内視鏡、等)に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI、X線CT等の3次元断層撮影装置を用いた手術支援システムについては研究が進んでおり、既にいくつかの装置は実用化されている。多くの手術支援システムは、MRIやX線CT等で3次元断層像を撮像しながら手術対象部位や手術器具のモニタリングを行うものであるが、MRIを用いた場合は手術室内での磁性体や電子機器の使用に制限があり、また、X線CTを用いた場合は術者の被爆の問題がある。さらに、手術をしながら3次元断層像を撮像する場合は、撮像及び画像処理に十分に時間を取ることができないので解像度や精度に問題がある。加えてMRIやX線CTの装置内で手術を行う手術支援システムでは、使用できる器具の制限、手術スペースの制限などの問題がある。これとは別に、手術前にMRIやX線CTにより患者の3次元断層像を撮像しておき、手術中は患者を固定しておいて手術前に撮像した3次元断層画像と患者との位置合わせを行う技術も知られている。
【0003】
しかしこの手術支援システムでは、患者を動かないように固定する必要があり、患者の負担が大きく、また、固定器具が邪魔になるため手術野を制限してしまう。本発明者らはこれらの問題を解決するために、特許文献1のような手術支援システムを開発している。
【0004】
特許文献1には、本発明者らが開発した手術支援システムが記載されている。この手術支援システムでは、事前にMRIやX線CT等で3次元断層像を撮像しておき、手術中には非接触の光学式(格子投影式)3次元形状測定装置により患者の形状及び位置を測定する。そして患者の形状及び位置をリアルタイムで測定しながら、事前に撮像した3次元断層像と位置合わせを行い、手術支援に用いる。この手術支援システムによれば手術中は、非接触の光学式3次元形状測定装置を用いるだけなので、使用できる器具の制限、手術野の制限などの問題はほとんど無く、さらにX線等の被爆の心配も無い。また、患者が動いても、3次元形状測定装置で追従できるので、患者を固定する必要もない。
【0005】
このような手術支援システムにおいては、手術中に使用する体内挿入器具(手術器具、硬性内視鏡、等)の位置及び姿勢も正確に測定する必要がある。体内挿入器具の位置を検出する装置を、3次元形状測定装置とは別に設けることも考えられるが、新たな装置を設置するとシステムが複雑になり、また複数の3次元測定装置間のデータの座標合わせも必要になり、実用的ではない。このため特許文献1の手術支援システムでは、患者の表面形状を測定する光学式3次元形状測定装置を用いて、体内挿入器具の位置及び姿勢も測定している。
【0006】
患者の表面形状を測定する光学式3次元形状測定装置を用いて体内挿入器具の位置及び姿勢を測定する場合、光学式3次元形状測定装置の精度が高ければ、体内挿入器具そのものの形状及び位置を測定することは理論上は可能である。しかしながら、体内挿入器具は複雑で細かい形状をしており、この形状を正確に測定しようとすると、測定及び演算に非常に時間が掛かってしまい、リアルタイム性を損なってしまう。また、手術器具の先端位置を正確に検出しないと手術において患部を損傷するという危険があるため、特に手術器具の先端位置の検出は高精度で行う必要があるが、3次元形状測定は表面の多数の点の座標データ(点群データ)を取得する測定であり、手術器具における体内に挿入される箇所は細長いため、この細長い箇所で取得される点群データは少なく、細長い箇所の先端の点の座標データを取得するには、取得する点群データを通常より何倍も多くする測定が必要になる。
【0007】
そこで適度の測定精度でも体内挿入器具の位置及び姿勢を正確に測定できるようにし、演算も簡単にするため、特許文献1に示される手術支援システムの体内挿入器具には、器具の位置及び姿勢検出用の複数の標識体が設けられている。これらの標識体は、光学式3次元形状測定装置で測定しやすいような大きさ及び形状を有しており、標識体間の相対位置、標識体の形状、及び標識体と体内挿入器具の3次元相対位置関係は事前に登録されている。したがって、光学式3次元形状測定装置で各標識体の位置及び形状を測定すればそれぞれの標識体を識別したうえで各標識体の位置を測定でき、体内挿入器具の位置及び姿勢を測定できる。そして光学式3次元形状測定装置で検出しやすい標識体を用いることで、体内挿入器具の位置及び姿勢の測定及び演算がしやすくなり、リアルタイムに位置及び姿勢を測定できるようになる。標識体の材質や形状は手術のための滅菌操作(たとえば摂氏120度15分間などオートクレーブ処理)に耐えうるものであれば特に限定されないが、白色テフロン球などが用いられる。また、標識体は少なくとも3個あれば、体内挿入器具の位置及び姿勢の測定が可能である。
【0008】
類似の技術が書かれている特許文献1以外の従来技術として、特許文献2~5が挙げられる。これらの文献には、手術支援システム下で用いる器具に位置検出用の標識体(マーカー)を設けることが記載されている。しかし、これらの標識体(マーカー)を検出するために、標識体(マーカー)自体が発光体であったり、患者の表面形状を測定するための3次元形状測定装置とは別にこれらの標識体(マーカー)の位置を検出する装置を設けているので、患者の表面形状を測定するための3次元形状測定装置により標識体の位置検出を行っている特許文献1の手術支援システムとは異なるものであり、前述したように3次元形状測定装置とは別に位置を検出する装置を設置することによりシステムが複雑になり、また複数の3次元測定装置間のデータの座標合わせも必要になるため実用的ではない。

【特許文献1】特開2007-209531号公報
【特許文献2】特表平9-511430号公報
【特許文献3】特表2003-528688号公報
【特許文献4】特表2005-518264号公報
【特許文献5】特開2007-260404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、特許文献1に示される3次元形状測定装置を用いた手術支援システムにおいて、3次元形状測定装置により体内挿入器具の位置及び姿勢を測定するためには、体内挿入器具に少なくとも3個の位置検出用の標識体を設ける必要がある。この場合、位置及び姿勢を精度良く測るには、標識体間の距離が大きく、標識体自体もできるだけ大きいほうが望ましい。一方で、手術時に使用する器具であるので、できるだけ視界や動作の妨げになるものは取り付けないほうが望ましく、さらにバランスが悪く操作性を損なうものであってはならない。また、標識体は、大きいもので直径が数cm程度あり、mm単位の精度が必要な手術においては邪魔な存在である。そのため、できるだけ視界や動作の妨げにならないように、複数の標識体の配置を工夫することが考えられる。例えば、右手で使う器具の場合は、患者に向かって左側に左手用の器具を挿入することがあるので、患者に向かって左側をできるだけ開放するように標識体を配置するなどが考えられる。しかしながら、このように配置すると、複数の標識体全体の重心が体内挿入器具の軸心から大きく外れてしまうことがある。標識体自体はそんなに重いものではないが、手術器具等の体内挿入器具は非常に細かい作業で用いられるものであるので、ちょっとの重心位置のずれでも作業に影響を与えてしまう可能性がある。なぜなら手術器具の大きさ、形状、バランスなどは長年の経験に基づいて確立されてきたものであり、バランスが悪い器具は著しく操作性を損なってしまう可能性があるからである。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するもので、3次元位置測定装置(特に、光学式3次元形状測定装置)の測定範囲内で用いる体内挿入器具に複数の位置検出用の標識体を設けるにあたって、複数の標識体を非対称に設けても、複数の標識体全体の重心位置を前記体内挿入器具の軸心に近くなるようにした、操作性のよい手術支援システム用体内挿入器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
3次元位置測定手段を有する手術支援システムにおいて前記3次元位置測定手段の測定範囲内で用いる体内挿入器具であって、
前記体内挿入器具は、体内に挿入されない部分に、前記3次元位置測定手段で位置が測定可能な標識体を少なくとも3個有しており、これらの標識体の位置に基づいて前記体内挿入器具の位置及び姿勢が測定可能であり、
前記標識体の少なくとも1個は他の標識体と重さが異なっており、
前記体内挿入器具の軸心と標識体全体の重心位置とが近くなるように複数の前記標識体の配置及び重さを設定している、
手術支援システム用体内挿入器具。
【0012】
また、以下の実施態様を採用しても良い。
前記3次元位置測定手段は、3次元形状測定手段であり、前記標識体は、標識体間の相対位置及び形状が既知であるとともに、前記3次元形状測定手段により位置および形状を測定可能であり、前記3次元形状測定手段の測定結果と、既知である標識体間の相対位置と各標識体の形状とに基づいて、前記体内挿入器具の位置及び姿勢が測定可能である。
前記体内挿入器具には、前記体内挿入器具の体内挿入方向に延びた第1アームと、前記第1アームと一定の角度をなす方向に延びた第2アームと、が設けられており、前記標識体は4個であり、そのうち2個は前記第1アームに配置されており、残りの2個は前記第2アームに配置されており、前記第2アームに配置された2個の標識体は、前記体内挿入器具の中心軸に対して非対称に配置されているとともに、それぞれ重さが異なる。
前記標識体の大きさまたは比重を異ならせることにより、前記標識体の重さを異ならせる。
前記体内挿入器具は、手術器具または硬性内視鏡である。
【0013】
なお、上記「体内挿入器具の軸心と標識体全体の重心位置とが近くなるように」とは、前記体内挿入器具の軸心と前記標識体全体の重心位置とが前記体内挿入器具の操作性を損なわない程度の距離になるようにすることを意味しており、前記体内挿入器具の軸心と前記標識体全体の重心位置とが最も近い位置になるようにするのが最も好ましい。また、「標識体全体の重心位置」とは、標識体そのものの重さによる重心位置のほか、標識体を取り付けているアームの重さも含めた重心位置も含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記構成を採用したことにより、位置検出用の複数の標識体を非対称に配置しても、複数の標識体の重さを調整することで重心位置を体内挿入器具の軸心に近づけることができ、体内挿入器具の操作性が向上する。そして非対称に標識体を設けることによるモーメントの影響を、標識体の重さを調整することでキャンセルできるため、標識体を設ける位置の自由度が上がり、体内挿入器具を操作しやすいように標識体を配置できる。本発明は、標識体が大きくなる傾向がある3次元形状測定装置を用いた手術支援システムにおける位置及び姿勢検出用の標識体に対して特に有効であるが、通常の位置及び姿勢検出用の標識体(発光するものも含む)に対しても適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下では本発明を、手術部位としての患者の頭部(特に、顔面や副鼻腔等)についての手術の支援に適用した場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
図1には本実施形態に係る手術支援システム10が示されている。手術支援システム10はパーソナル・コンピュータ(PC)等から成るコンピュータ12を備えている。コンピュータ12はCPU12A、ROM12B、RAM12C及び入出力ポート12Dを備えている。また、入出力ポート12Dには、ユーザが任意の情報を入力したり各種の指示を与えるためのキーボード14及びマウス16、LCD又はCRTから成り任意の情報を表示可能なディスプレイ18、ハードディスクドライブ(HDD)20及びCD-ROMドライブ22が各々接続されている。また、コンピュータ12の入出力ポート12Dには、核磁気共鳴コンピュータ断層撮影法により任意の方向についての生体の高精細な断層画像(MRI画像)を撮影可能なMRI撮影装置24、及び3次元形状測定装置30が各々接続されている。なお、入出力ポート12Dには、ビデオカメラ(例えば3個)を接続することができる。ビデオカメラは、本発明に必須の構成ではなく、必要に応じて用いることができる。MRI撮影装置24は、手術を行う手術室とは別に設けられたMRI撮影室に設置されている。なお、コンピュータ12がMRI画像表示処理を実行するにあたり、MRI撮影装置24からは手術前にMRI撮影装置24によって撮影されたMRI画像のデータを取得できていればよいので、コンピュータ12はMRI撮影装置24と接続されていなくてもよく、MRI画像のデータは各種記録媒体の何れかを介して対応する読み取り装置によりMRI撮影装置24からコンピュータ12へ送られるようにしてもよい。
【0017】
図1には、手術者が手術中に用いる手術器具36が示されている。この手術器具36は、棒状の器具であり、手術野にあって対象物(手術部位)に接触したり進入したりする非露出部分となる先端部分38を含む非露出側39と、手術者が所持する等の露出部分となる露出側40と、から構成されている。露出側40には、所定径(例えば11~19mm)の球体37がアームを介して所定個数(例えば4個)取り付けられている。この球体37は、手術器具36の各部分の位置(位置及び姿勢)を特定するための検出基準となるものである。手術器具36の形状は予め測定されており、手術器具36に対する球体37の位置関係も予め測定されている。これらの測定データは、HDD20に予め格納されている。
【0018】
ここで、本実施の形態では手術支援システム10として3次元形状測定装置30を備えているが、この3次元形状測定装置30は患者の顔面等の形状測定を行うと共に、手術中の手術器具の位置及び姿勢の検出を行うという、異なる対象物(の3次元位置)を測定することを兼用している。
【0019】
図2に示すように、3次元形状測定装置30は、測定範囲が患者である対象物の顔部分全域を少なくとも含みかつ手術者が手術器具36を操作する操作範囲を網羅する3次元領域を含むように設置することが好ましい。この場合、手術の操作で手術者の邪魔にならない位置の一例として患者である対象物の斜め上方(図2では右上方向)から手術部位付近を3次元形状測定できる位置に設置することが好ましい。このようにすれば、3次元形状測定装置30によって、患者である対象物の頭部の形状または顔部の形状が検出され、各部位の3次元座標が測定される。これと共に、3次元形状測定装置30によって、手術器具36に取り付けられた光反射率の高い材料から成る球体37の3次元座標が3次元形状測定装置30によって測定される。なお、図2では、副鼻腔の手術を一例として示しているが、手術中に鼻が露出される患者を覆うドレープと呼ばれる布は省略している。
【0020】
図3は、本実施形態の手術支援システムで用いられる手術器具36の一例を示したものである。また、図4はこの手術器具36が鼻腔に挿入された状態を表す写真で、図5はその模式図である。図3の手術器具36は吸引管であるが、手術器具は吸引管に限らず、硬性内視鏡や手術用鉗子や手術用ハサミなどでも良い。手術器具36には標識体取付部41が取付けられており、標識体取付部41には位置姿勢検出用の標識体37A~37Dが取付けられている。標識体37は、3次元形状測定装置30により検出しやすい形状及び大きさ(例えば、直径11~19mmの球体)を有している。図の例では標識体37A~37Dの形状は球体であるが、これに限らず、3次元形状測定装置で位置及び形状を測定できるならば任意の形状で構わない。また、図の例では、標識体37の数は4個であるが、少なくとも3個あれば良い。手術器具36と標識体取付部41と各標識体37A~37Dとはしっかりと固定されている。各標識体37A~37Dの形状(球体という情報および直径)、相対位置、手術器具36の形状などのデータは事前に登録されており、各標識体37A~37Dの位置及び形状を測定すれば、手術器具36の位置及び姿勢を算出できる。
【0021】
図6に、各標識体37A~37Dの配置の一例を示す。図6は、図3乃至図5の標識体37A~37Dを真上から見た図であり、図面の上方が体内挿入方向である。各標識体37A~37Dは、標識体取付部41に設けられたアーム42に取付けられている。手術器具36の位置姿勢検出精度を高めるためにはアーム42はできるだけ長い方が良い。一方、標識体37には多少の重さがあり、標識体37A~37Dの全体の重心位置はできるだけ手術器具本体に近いほうが良いので、各標識体37A~37Dは対称に配置するのが望ましい。しかしながら、手術器具36は使いやすいことが重要であるので、場所によっては標識体37は邪魔になってしまう。例えば、例えば右手で使用する手術器具の場合、左手側に別の器具を挿入することがあるため、手術器具の左側はできるだけ開放しておきたい。したがって、左側の標識体37Aが付いているアーム42Aの長さLAを短くするのが好ましい。一方で、位置姿勢検出精度を高めるためにはアームは長い方が良いので、右側の標識体37Bが付いているアーム42Bの長さLBは長い方が良い。
【0022】
したがって、左側のアーム42Aが短く、右側のアーム42Bが長いため、標識体37A及び標識体37Bの全体の重心位置は右側に寄ってしまう。これでは手術器具36の操作性に影響を与える可能性があるので、本実施形態では標識体A及び標識体Bの重さを異ならせることでこの問題を解決する。すなわち以下の関係になるように、標識体37A及び37Bの重さを調整する。
(標識体37Aの重さ)/(標識体37Bの重さ)
=(アーム42Bの長さLB)/(アーム42Aの長さLA
このように調整すれば、標識体37A及び標識体37Bの全体の重心位置は、手術器具本体36の軸心に最も近いところになり、操作性が良くなる。この例では、標識体の重さのみに着目したが、アームそのものの重さも無視できない場合は、アームの重さも考慮して、標識体37A及び標識体37Bの重さを決定する。
【0023】
また、図6では、アームの1つの軸が体内挿入方向に平行で、2つのアームが直交する場合を例に挙げたが、必ずしも2つのアームが直交する必要はなく、さらに、アームの1つの軸が体内挿入方向に平行である必要もない。その場合にも標識体およびアームの全体の重心位置が手術器具本体36の軸心に最も近づくように、体内挿入方向を示す長軸方向とそれに直交する方向で標識体の重さとアームの長さを調整すればよい。図7に、いずれのアームも体内挿入方向とは平行ではない場合の例を示す。この例では、体内挿入方向の軸に対する回転モーメントを均等にするように、以下の関係で標識体の重さ及びアームの長さを調整すれば良い。
(標識体37A重さ)×(距離a)+(標識体37D重さ)×(距離d)
=(標識体37C重さ)×(距離c)+(標識体37B重さ)×(距離b)
【0024】
上記では左右方向の標識体37A及び標識体37Bの重心に着目したが、挿入方向前後の標識体37C及び標識体37Dでも同様にアームの長さ及び標識体の重さを調整可能である。例えば、体内挿入方向にある標識体37Cは体内挿入時に邪魔になってしまう可能性があるのでアーム42Cはできるだけ短いほうが良い。一方で、標識体37Dの方向は比較的余裕があるのでアーム42Dは長くできる。この場合も標識体37C及び標識体37Dの重さを調整することで前後方向の重心位置を移動させることができるが前後方向の重心については必ずしもアームの中心である必要は無く、最も使いやすい位置に重心が来るように調整すれば良い。このようにしても標識体37A~37Dの全体の重心位置は手術器具本体36の軸心に最も近い位置である。さらに、アームは長い方が体内挿入器具の位置姿勢の検出精度が高まるため、前後方向のアームを左右方向のアームに比べて長くすることにより体内挿入器具の位置姿勢の検出精度が高まり、体内挿入器具の重要な部分である先端部の位置検出精度を高めることができる。
図6および図7の例は、各標識体37A~37Dの大きさは同じで比重を変えることで各標識体の重さを変えるものであるが、標識体の大きさそのものを変えて重さを変えても良い。
【0025】
なお図3乃至図5では、先端が真っ直ぐな吸引管に本発明を適用しているが、これに限られることはなく、図8のような先端が湾曲した吸引管に本発明を適用しても良い。また、図9及び図10に示されるような手術用鉗子等に取り付けられた標識体にも本発明は適用することができる。さらに、手術器具に限らず、体内に挿入する硬性内視鏡等にも本発明は適用できる。
【0026】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。なお上記実施形態では、3次元形状測定装置を用いて体内挿入器具の位置姿勢を検出する手術支援システムに本発明を適用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、標識体として発光体や反射体を用いて、光学的に3次元位置の測定を行う装置により体内挿入器具の位置姿勢を検出する手術支援システムにも本発明は適用できる。

【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】手術支援システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】手術器具と3次元形状測定装置との関係を示す図。
【図3】手術器具の一例を表す図。
【図4】手術器具を鼻腔に挿入した写真。
【図5】図4の模式図。
【図6】標識体の配置を上から見た図。
【図7】図6とは異なる標識体配置の例。
【図8】体内挿入器具の別の例(吸引管)。
【図9】体内挿入器具の別の例(手術用ハサミ)。
【図10】体内挿入器具の別の例(手術用ハサミ等)。
【符号の説明】
【0028】
10:手術支援システム、 12:コンピュータ(PC等)、 36:体内挿入器具(手術器具)、 37A~D:標識体(球体)、 38:先端部分、 39:非露出側(体内挿入部分)、 40:露出側(体内に挿入されない部分)、 41:標識体取付部、 42:アーム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図4】
9