TOP > 国内特許検索 > 体内挿入器具の種類を識別可能な手術支援システム > 明細書

明細書 :体内挿入器具の種類を識別可能な手術支援システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5213201号 (P5213201)
公開番号 特開2009-201618 (P2009-201618A)
登録日 平成25年3月8日(2013.3.8)
発行日 平成25年6月19日(2013.6.19)
公開日 平成21年9月10日(2009.9.10)
発明の名称または考案の名称 体内挿入器具の種類を識別可能な手術支援システム
国際特許分類 A61B  19/00        (2006.01)
A61B   1/00        (2006.01)
A61B   5/055       (2006.01)
FI A61B 19/00 502
A61B 1/00 A
A61B 5/05 390
請求項の数または発明の数 4
全頁数 13
出願番号 特願2008-045331 (P2008-045331)
出願日 平成20年2月27日(2008.2.27)
審査請求日 平成23年2月25日(2011.2.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504300181
【氏名又は名称】国立大学法人浜松医科大学
【識別番号】000112004
【氏名又は名称】パルステック工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】山本 清二
【氏名】高井 利久
【氏名】林本 悦一
【氏名】三浦 曜
個別代理人の代理人 【識別番号】100139963、【弁理士】、【氏名又は名称】神谷 直慈
審査官 【審査官】佐藤 智弥
参考文献・文献 特表2007-531596(JP,A)
米国特許出願公開第2006/0161059(US,A1)
米国特許出願公開第2005/0049485(US,A1)
米国特許出願公開第2007/0016009(US,A1)
調査した分野 A61B 19/00
特許請求の範囲 【請求項1】
患者の3次元表面形状を測定する3次元形状測定手段と、前記患者の体内に挿入する複数種類の体内挿入器具と、制御手段とを有する手術支援システムであって、
前記体内挿入器具は、体内に挿入されない部分に、前記3次元形状測定手段で位置及び立体形状が測定可能な標識体を複数個有しており、これらの標識体の位置及び立体形状に基づいて前記体内挿入器具の位置及び姿勢が測定可能であり、
前記体内挿入器具の標識体の標識体間相対位置と立体形状の組み合わせは体内挿入器具ごとに異なっていて、これらの情報は前記制御手段に事前に記憶されており、
前記制御手段は、前記3次元形状測定手段で測定された前記体内挿入器具の標識体の位置及び立体形状に基づき、前記体内挿入器具の位置及び姿勢を算出するとともに、前記標識体の標識体間相対位置と立体形状の組み合わせから前記体内挿入器具の種類を識別する、
手術支援システム。
【請求項2】
前記標識体は球体であり、前記体内挿入器具ごとに球体の直径を異ならせることにより、前記体内挿入器具の種類を識別する、
請求項1記載の手術支援システム。
【請求項3】
前記体内挿入器具は、手術器具または硬性内視鏡である、
請求項1または2記載の手術支援システム。
【請求項4】
患者の3次元表面形状を測定する3次元形状測定手段を有する手術支援システムにおいて前記3次元形状測定手段の測定範囲内で用いる体内挿入器具であって、
前記体内挿入器具は、体内に挿入されない部分に、前記3次元形状測定手段で位置及び立体形状が測定可能な標識体を少なくとも複数個有しており、これらの標識体の位置及び立体形状に基づいて前記体内挿入器具の位置及び姿勢が測定可能であり、
前記体内挿入器具の標識体の標識体間相対位置と立体形状の組み合わせは体内挿入器具の種類ごとに異なっており、
前記3次元形状測定手段で測定された前記体内挿入器具の標識体の位置及び立体形状に基づき、前記体内挿入器具の位置及び姿勢の算出と、前記標識体の標識体間相対位置と立体形状の組み合わせから前記体内挿入器具の種類の識別とが可能である、
手術支援システム用体内挿入器具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、使用中の体内挿入器具(手術器具、硬性内視鏡、等)の種類を識別可能な手術支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
MRI、X線CT等の3次元断層撮影装置を用いた手術支援システムについては研究が進んでおり、既にいくつかの装置は実用化されている。多くの手術支援システムは、MRIやX線CT等で3次元断層像を撮像しながら手術対象部位や手術器具のモニタリングを行うものであるが、MRIを用いた場合は手術室内での磁性体や電子機器の使用に制限があり、また、X線CTを用いた場合は術者の被爆の問題がある。さらに、手術をしながら3次元断層像を撮像する場合は、撮像及び画像処理に十分に時間を取ることができないので解像度や精度に問題がある。加えてMRIやX線CTの装置内で手術を行う手術支援システムでは、使用できる器具の制限、手術スペースの制限などの問題がある。これとは別に、手術前にMRIやX線CTにより患者の3次元断層像を撮像しておき、手術中は患者を固定しておいて手術前に撮像した3次元断層画像と患者との位置合わせを行う技術も知られている。
【0003】
しかしこの手術支援システムでは、患者を動かないように固定する必要があり、患者の負担が大きく、また、固定器具が邪魔になるため手術野を制限してしまう。本発明者らはこれらの問題を解決するために、特許文献1のような手術支援システムを開発している。
【0004】
特許文献1には、本発明者らが開発した手術支援システムが記載されている。この手術支援システムでは、事前にMRIやX線CT等で3次元断層像を撮像しておき、手術中には非接触の光学式(格子投影式)3次元形状測定装置により患者の形状及び位置を測定する。そして患者の形状及び位置をリアルタイムで測定しながら、事前に撮像した3次元断層像と位置合わせを行い、手術支援に用いる。この手術支援システムによれば手術中は、非接触の光学式3次元形状測定装置を用いるだけなので、使用できる器具の制限、手術野の制限などの問題はほとんど無く、さらにX線等の被爆の心配も無い。また、患者が動いても、3次元形状測定装置で追従できるので、患者を固定する必要もない。
【0005】
このような手術支援システムにおいては、手術中に使用する体内挿入器具(手術器具、硬性内視鏡、等)の位置及び姿勢も正確に測定する必要がある。体内挿入器具の位置を検出する装置を、3次元形状測定装置とは別に設けることも考えられるが、新たな装置を設置するとシステムが複雑になり、また複数の3次元測定装置間のデータの座標合わせも必要になり、実用的ではない。このため特許文献1の手術支援システムでは、患者の表面形状を測定する光学式3次元形状測定装置を用いて、体内挿入器具の位置及び姿勢も測定している。
【0006】
患者の3次元表面形状を測定する光学式3次元形状測定装置を用いて体内挿入器具の位置及び姿勢を測定する場合、光学式3次元形状測定装置の精度が高ければ、体内挿入器具そのものの形状及び位置を測定することは理論上は可能である。しかしながら、体内挿入器具は複雑で細かい形状をしており、この形状を正確に測定しようとすると測定及び演算に非常に時間が掛かってしまい、リアルタイム性を損なってしまう。また、手術器具の先端位置を正確に検出しないと手術において患部を損傷するという危険があるため、特に手術器具の先端位置の検出は高精度で行う必要がある。3次元形状測定は表面の多数の点の座標データ(点群データ)を取得する測定であるが、手術器具における体内に挿入される箇所は細長いためこの細長い箇所で取得される点群データは少なく、細長い箇所の先端の点の座標データを取得するには取得する点群データを通常より何倍も多くする測定が必要になる。
【0007】
そこで適度の測定精度でも体内挿入器具の位置及び姿勢を正確に測定できるようにし演算も簡単にするため、特許文献1に示される手術支援システムの体内挿入器具には器具の位置及び姿勢検出用の複数の標識体が設けられている。これらの標識体は光学式3次元形状測定装置で測定しやすいような大きさ及び立体形状を有しており、標識体間の相対位置、標識体の立体形状、及び標識体と体内挿入器具の3次元相対位置関係は事前に登録されている。したがって、光学式3次元形状測定装置で各標識体の位置及び立体形状を測定すればそれぞれの標識体を識別したうえで各標識体の位置を測定でき、体内挿入器具の位置及び姿勢を測定できる。光学式3次元形状測定装置で検出しやすい標識体を用いることで、体内挿入器具の位置及び姿勢の測定及び演算がしやすくなり、リアルタイムに位置及び姿勢を測定できるようになる。標識体の材質や形状は手術のための滅菌操作(たとえば摂氏120度15分間などオートクレーブ処理)に耐えうるものであれば特に限定されないが、白色テフロン球などが用いられる。また、標識体は少なくとも3個あれば体内挿入器具の位置及び姿勢の測定が可能であるが、標識体の一部が光学式3次元形状測定装置の死角に入ってしまうことがあるので4個程度が好ましい。
【0008】
類似の技術が書かれている特許文献1以外の従来技術として、特許文献2~6が挙げられる。特許文献2~6には、手術支援システム下で用いる器具に位置検出用の標識体(マーカー)を設けることが記載されている。しかし、これらの標識体(マーカー)を検出するために、標識体(マーカー)自体が発光体であったり、患者の3次元表面形状を測定するための3次元形状測定装置とは別にこれらの標識体(マーカー)の位置を検出する装置を設けているので、患者の3次元表面形状を測定するための3次元形状測定装置により標識体の位置検出を行っている特許文献1の手術支援システムとは異なり、前述したように3次元形状測定装置とは別に位置を検出する装置を設置することによりシステムが複雑になり、また複数の3次元測定装置間のデータの座標合わせも必要になるため実用的ではない。

【特許文献1】特開2007-209531号公報
【特許文献2】特表平9-511430号公報
【特許文献3】特表2003-528688号公報
【特許文献4】特表2005-518264号公報
【特許文献5】特開2007-260404号公報
【特許文献6】特開2007-531596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のような特許文献1に示される3次元形状測定装置を用いた手術支援システム下で行われる手術では、様々な体内挿入器具(手術器具や硬性内視鏡など)が用いられる。複数の体内挿入器具を切り替えて使用することもあるし、複数を同時に使用することもある。このような手術支援システムにおいては、位置姿勢検出用の複数の標識体の位置により体内挿入器具の位置姿勢を測定し、予め登録されている体内挿入器具の形状データに基づいて前記体内挿入器具の先端部等の座標を算出している。この場合、体内挿入器具の形状は器具ごとに異なるため、種類ごとに形状データが登録されている。したがって、現在使用中の体内挿入器具が何であるかを識別する必要がある。手術中は体内挿入器具を頻繁に交換するため、瞬時に体内挿入器具を識別できる必要がある。また、間違って識別してしまうと誤ったナビゲーション情報を提供することになってしまうので、正確に識別する必要もある。
【0010】
使用する体内挿入器具を交換するたびに操作卓に器具の種類を入力する方法が考えられるが、手間が掛かるため実用的ではない。また特許文献6には、体内挿入器具に設けられた複数の表示検出装置(130、132、134)により体内挿入器具の種類を識別する技術が記載されている。しかしながら、前記表示検出装置(130、132、134)は、体内挿入器具の位置及び姿勢を測定するための複数の基準部材(102、104、106)とは別に設けられているため、前記表示検出装置(識別子)を読み取るための装置も別途設ける必要があり、システムが複雑になってしまう。さらに、体内挿入器具は繊細な操作性を必要とされるので、前記表示検出装置(識別子)のような余分なものはできるだけ取り付けないほうが望ましい。なぜなら手術器具の大きさ、形状、バランスなどは長年の経験に基づいて確立されてきたものであり、バランスが悪い器具は著しく操作性を損なってしまう可能性があるからである。
【0011】
また、特許文献6の前記表示検出装置は平面上に識別情報を表示するものであり、識別情報を検出できる方向範囲が狭い。さらに、前記表示検出装置は、体内挿入器具の位置及び姿勢を測定するための複数の基準部材とは別に設けられているため、前記基準部材や術者の手などの死角に入りやすい。したがって、術者が手で持って操作するような体内挿入器具を識別するのには、特許文献6のような表示検出装置では使い勝手が悪い。
【0012】
本発明は上記問題点を解決するもので、患者の3次元表面形状を測定する3次元形状測定装置を用いた手術支援システムにおいて、新たな識別子を取り付けることなく、前記3次元形状測定装置で測定された位置姿勢検出用の標識体の位置及び立体形状に基づいて、素早く正確に使用中の体内挿入器具を識別するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
患者の3次元表面形状を測定する3次元形状測定手段と、前記患者の体内に挿入する複数種類の体内挿入器具と、制御手段とを有する手術支援システムであって、
前記体内挿入器具は、体内に挿入されない部分に、前記3次元形状測定手段で位置及び立体形状が測定可能な標識体を複数個有しており、これらの標識体の位置及び立体形状に基づいて前記体内挿入器具の位置及び姿勢が測定可能であり、
前記体内挿入器具の標識体の標識体間相対位置と立体形状の少なくとも一方は体内挿入器具ごとに異なっていて、これらの情報は前記制御手段に事前に記憶されており、
前記制御手段は、前記3次元形状測定手段で測定された前記体内挿入器具の標識体の位置及び立体形状に基づき、前記体内挿入器具の位置及び姿勢を算出するとともに前記体内挿入器具の種類を識別する、
手術支援システム。
患者の3次元表面形状を測定する3次元形状測定手段を有する手術支援システムにおいて前記3次元形状測定手段の測定範囲内で用いる体内挿入器具であって、
前記体内挿入器具は、体内に挿入されない部分に、前記3次元形状測定手段で位置及び立体形状が測定可能な標識体を少なくとも複数個有しており、これらの標識体の位置及び立体形状に基づいて前記体内挿入器具の位置及び姿勢が測定可能であり、
前記体内挿入器具の標識体の標識体間相対位置と立体形状の少なくとも一方は体内挿入器具の種類ごとに異なっており、
前記3次元形状測定手段で測定された前記体内挿入器具の標識体の位置及び立体形状に基づき、前記体内挿入器具の位置及び姿勢の算出と前記体内挿入器具の種類の識別とが可能である、
手術支援システム用体内挿入器具。
【0014】
また、以下の実施態様を採用しても良い。
前記標識体は球体であり、前記体内挿入器具ごとに球体の直径を異ならせることにより、前記体内挿入器具の種類を識別する。
前記体内挿入器具は、手術器具または硬性内視鏡である。
【0015】
本発明においては体内挿入器具の識別には標識体の標識体間相対位置と立体形状の少なくとも一方を用いることができるが、3次元形状測定装置による測定では立体形状が先に取得されるので、標識体の立体形状を用いて体内挿入器具の識別をするのが好ましい。さらに、標識体の立体形状及び標識体間相対位置の両方を用いて体内挿入器具の識別をしても良い。
なお、立体形状が異なるというのは、形状そのものが異なるもののほか、相似形状で大きさが異なるもの(球の直径や立方体の辺の長さが異なるなど)も含む。また、標識体間相対位置が異なるというのは、相対位置そのものが異なるもののほか、標識体の定点座標間の位置関係は同じでも標識体自体の3次元的な向き(姿勢)が異なるものも含む。
および、体内挿入器具の種類を識別する、というのは、異なる種類・形状の体内挿入器具のうちどの種類・形状の体内挿入器具であるかを識別することのほか、同一形状の体内挿入器具でも製造上の誤差や使用中の変形により形状が異なっていることがあるので、それらの体内挿入器具を個体識別することも含んでいる。
なお、本発明は体内挿入器具の識別ができるので、誤った器具を選択してしまった場合に警報を発する警報手段をさらに設けても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記構成を採用したことにより、患者の3次元表面形状を測定する3次元形状測定装置を用いた手術支援システムにおいて、3次元形状測定装置で測定された位置姿勢検出用の標識体の位置及び立体形状に基づいて、素早く正確に使用中の体内挿入器具を識別できる。また患者の3次元表面形状を測定する3次元形状測定装置を用いて体内挿入器具の標識体の位置及び立体形状を測定し、その測定結果に基づいて体内挿入器具の位置姿勢を測定するとともに器具の識別を行っているため、システム構成が簡単で済む。また、体内挿入器具の識別に標識体の立体形状を用いていれば、識別可能なバリエーションを多くとることができ、多くの体内挿入器具の識別が可能である。また、位置姿勢検出用の標識体により体内挿入器具の種類を識別しているため、新たな識別子を設ける必要が無く、体内挿入器具の操作性を損なわない。また、位置姿勢検出用の標識体を体内挿入器具の識別に用いているため、体内挿入器具を手に持って使用しても3次元形状測定装置の死角に入ることが少なく、より高い精度で体内挿入器具の種類の識別が可能である。さらに、体内挿入器具に取付けられている複数の標識体の立体形状(形状、大きさ)を異ならせることにより、複数の標識体のうちどの標識体であるかの特定がしやすくなり、体内挿入器具の位置姿勢検出の精度及び検出速度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下では本発明を、手術部位としての患者の頭部(特に、顔面や副鼻腔等)についての手術の支援に適用した場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1には本実施形態に係る手術支援システム10が示されている。手術支援システム10はパーソナル・コンピュータ(PC)等から成るコンピュータ12を備えている。コンピュータ12はCPU12A、ROM12B、RAM12C及び入出力ポート12Dを備えている。また、入出力ポート12Dには、ユーザが任意の情報を入力したり各種の指示を与えるためのキーボード14及びマウス16、LCD又はCRTから成り任意の情報を表示可能なディスプレイ18、ハードディスクドライブ(HDD)20及びCD-ROMドライブ22が各々接続されている。また、コンピュータ12の入出力ポート12Dには、核磁気共鳴コンピュータ断層撮影法により任意の方向についての生体の高精細な断層画像(MRI画像)を撮影可能なMRI撮影装置24、及び3次元形状測定装置30が各々接続されている。なお、入出力ポート12Dには、ビデオカメラ(例えば3個)を接続することができる。ビデオカメラは、本発明に必須の構成ではなく、必要に応じて用いることができる。MRI撮影装置24は、手術を行う手術室とは別に設けられたMRI撮影室に設置されている。なお、コンピュータ12がMRI画像表示処理を実行するにあたり、MRI撮影装置24からは手術前にMRI撮影装置24によって撮影されたMRI画像のデータを取得できていればよいので、コンピュータ12はMRI撮影装置24と接続されていなくてもよく、MRI画像のデータは各種記録媒体の何れかを介して対応する読み取り装置によりMRI撮影装置24からコンピュータ12へ送られるようにしてもよい。
【0019】
図1には、手術者が手術中に用いる手術器具36が示されている。この手術器具36は、棒状の器具であり、手術野にあって対象物(手術部位)に接触したり進入したりする非露出部分となる先端部分38を含む非露出側39と、手術者が所持する等の露出部分となる露出側40と、から構成されている。露出側40には、所定径(例えば11~19mm)の球体37がアームを介して所定個数(例えば4個)取り付けられている。この球体37は、手術器具36の各部分の位置(位置及び姿勢)を特定するための検出基準となるものである。手術器具36の形状は予め測定されており、手術器具36に対する球体37の位置関係も予め測定されている。これらの測定データは、HDD20に予め格納されている。
【0020】
ここで、本実施の形態では手術支援システム10として3次元形状測定装置30を備えているが、この3次元形状測定装置30は患者の顔面等の形状測定を行うと共に、手術中の手術器具の位置及び姿勢の検出を行うという、異なる対象物(の3次元位置)を測定することを兼用している。
【0021】
図2に示すように、3次元形状測定装置30は、測定範囲が患者である対象物の顔部分全域を少なくとも含みかつ手術者が手術器具36を操作する操作範囲を網羅する3次元領域を含むように設置することが好ましい。この場合、手術の操作で手術者の邪魔にならない位置の一例として患者である対象物の斜め上方(図2では右上方向)から手術部位付近を3次元形状測定できる位置に設置することが好ましい。このようにすれば、3次元形状測定装置30によって、患者である対象物の頭部の形状または顔部の形状が検出され、各部位の3次元座標が測定される。これと共に、3次元形状測定装置30によって、手術器具36に取り付けられた光反射率の高い材料から成る球体37の3次元座標が3次元形状測定装置30によって測定される。なお、図2では、副鼻腔の手術を一例として示しているが、手術中に鼻が露出される患者を覆うドレープと呼ばれる布は省略している。
【0022】
図3は、本実施形態の手術支援システムで用いられる手術器具36の一例を示したものである。また、図4はこの手術器具36が鼻腔に挿入された状態を表す写真で、図5はその模式図である。図3の手術器具36は吸引管であるが、手術器具は吸引管に限らず、硬性内視鏡や手術用鉗子や手術用ハサミなどでも良い。手術器具36には標識体取付部41が取付けられており、標識体取付部41には位置姿勢検出用の標識体37A~37Dが取付けられている。標識体37は、3次元形状測定装置30により検出しやすい形状及び大きさ(例えば、直径11~19mmの球体)を有している。図の例では標識体37A~37Dの形状は球体であるが、これに限らず、3次元形状測定装置で位置及び形状を測定でき、位置及び立体形状で手術器具36を識別できるならば任意の形状で構わない。また、図の例では、標識体37の数は4個であるが、少なくとも3個あれば良い。なお、標識体37の立体形状を工夫すれば標識体37の数は2個でも良い。手術器具36と標識体取付部41と各標識体37A~37Dとはしっかりと固定されている。各標識体37A~37Dの形状(球体という情報および直径)、相対位置、手術器具36の形状などのデータは事前に登録されており、各標識体37A~37Dの位置及び形状を測定すれば、手術器具36の位置及び姿勢を算出できる。図6に、各標識体37A~37Dの配置の一例を示す。図6は、図3乃至図5の標識体37A~37Dを真上から見た図であり、図面の上方が体内挿入方向である。各標識体37A~37Dは、標識体取付部41に設けられたアーム42に取付けられている。
なお、これらの図では、一方のアームが体内挿入方向に平行であり、もう一方のアームが体内挿入方向とは直交する例を示しているが、アームの方向はこれに限らない。たとえば、2本のアームが直角以外の角度で交差していたり、アームと体内挿入方向とが平行ではなく一定の角度を有していても良い。
【0023】
図7は、位置姿勢検出用の標識体37として球体を用い、体内挿入器具の種類ごとに球体の直径を異ならせた例である。図7(A)では標識体37Dとして直径の小さな球体を用い、図7(B)では直径の大きな球体を用いており、球体の直径により器具の種類を識別している。図7(A)と図7(B)は、先端部の形状が異なる吸引管であり、(A)及び(B)それぞれの吸引管の3次元形状、標識体間の相対位置及び標識体の立体形状(球体という情報および直径)についてはコンピュータ12に事前に登録されている。3次元形状測定装置30により標識体37Dの直径を測定することにより、どちらの形状の吸引管であるか識別できるので、これにより事前に登録されている吸引管の3次元形状を読み込み、手術ナビゲーションを行う。この例では、1つの標識体の直径を異ならせることを示したが、複数の標識体の直径を異ならせてその組合せにより体内挿入器具を識別しても良い。複数の標識体の直径の組合せを用いることで、より多くのバリエーションをとることができ、多数の体内挿入器具の識別が可能である。また、標識体間の相対位置を体内挿入器具ごとに異ならせても体内挿入器具の識別が可能である。さらに、標識体の直径と標識体間の相対位置の組合せにより体内挿入器具を識別すれば、さらに多くのバリエーションが可能である。
【0024】
本実施形態で用いられている3次元形状測定装置にパルステック工業(株)製の格子投影式3次元形状測定装置であるf-scanを用いれば、標識体37の直径は約0.4mm単位で識別が可能である。したがって、例えば、標識体37Dの直径を約11~19mmの間で変化させられるとすると、約20通り((19-11)/0.4)の直径をとることができる。標識体37は複数個あるので、複数の標識体の直径を異ならせれば組合せにより多数のバリエーションが可能である。また、本実施形態で用いられている3次元形状測定装置にパルステック工業(株)製の格子投影式3次元形状測定装置であるf-scanを用いれば、標識体間の距離は約1.0mm単位で識別が可能である。したがって、アーム42A~Dの長さを体内挿入器具ごとに異ならせても体内挿入器具の識別が可能である。また標識体の直径と標識体間相対位置との組み合わせを用いればさらに多くのバリエーションが可能である。
【0025】
図8は、位置姿勢検出用の標識体として球体以外のものを用いたものの例である。図8(A)では、標識体37Dとして立方体を用いている。本実施形態では、標識体の立体形状(立方体という情報および大きさ)を登録し、3次元形状測定装置により標識体の立体形状を測定しているので、立体形状による識別が可能である。また、立方体の位置を事前に登録しておくことで、体内挿入器具の位置姿勢用の標識体としても用いることができる。図8(A)では標識体37として立方体を用いており、図8(B)では球体を用いているので、立体形状により体内挿入器具の種類を識別できる。この例では、立方体と球体の例を示したがこれに限られず、立体形状により識別できるものであれば何でも良い。例えば、直方体、多角錐(三角錐、四角錐、・・)、楕円体、多面体、ドーナツ型などが考えられる。また、この例では、複数の標識体のうち1つの標識体のみの立体形状を異ならせることを示したが、これに限られず、複数の標識体の立体形状を組み合わせて体内挿入器具の種類の識別をしてもよい。立体形状が異なるというのは、形状そのものが異なるもののほか、相似形状で大きさが異なるものも含む。したがって、大きさを異ならせることでも識別可能である。さらに、前述のように、標識体間の相対位置を異ならせることを組み合わせても良い。
【0026】
図10は器具の識別のために標識体37の球体の直径を異ならせた例である。この例では、標識体37B及び37Dの球体の直径を異ならせる例を示している。図10(A)は標識体37Bが大で標識体37Dも大、図10(B)は標識体37Bが大で標識体37Dが小、図10(C)は標識体37Bが小で標識体37Dが大、図10(D)は標識体37Bが小で標識体37Dも小、である例を示している。この例では標識体の大小のみを異ならせた例を示しているが、実際には3次元形状測定装置は0.4mm単位で直径を測定可能であるので、直径を多段階で異ならせることが可能である。また、この例では標識体37Bと標識体37Dの大きさを異ならせた例を示したが、標識体37Aや標識体37Cの大きさを異ならせても良いことは言うまでも無い。さらに、この例では2つの標識体の大きさに基づいて器具の識別をする例を示したが、実際に手術支援システムで使用するときは標識体の一部が3次元形状測定装置の死角に入ってしまうこともあるので、複数の標識体の一部が3次元形状測定装置の死角に入っても他の標識体の直径や配置から器具が識別できるように冗長性を持たせておけば、より信頼性が高くなる。
【0027】
なお、図3乃至図8では吸引管を用いているが、これに限られることはなく、図9及び図10に示されるような手術用鉗子等に取り付けられた標識体にも本発明は適用することができる。さらに、手術器具に限らず、体内に挿入する硬性内視鏡等にも本発明は適用できる。
【0028】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】手術支援システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】手術器具と3次元形状測定装置との関係を示す図。
【図3】手術器具の一例を表す図。
【図4】手術器具を鼻腔に挿入した写真。
【図5】図4の模式図。
【図6】標識体の配置を上から見た図。
【図7】標識体が球体で、球体の直径により体内挿入器具を識別する例。
【図8】標識体の立体形状により体内挿入器具を識別する例。
【図9】体内挿入器具の別の例(手術用ハサミ)。
【図10】複数の標識体の大きさを異ならせた例。
【符号の説明】
【0030】
10:手術支援システム、 12:コンピュータ(PC等)、 36:体内挿入器具(手術器具)、 37A~D:標識体(球体)、 38:先端部分、 39:非露出側(体内挿入部分)、 40:露出側(体内に挿入されない部分)、 41:標識体取付部、 42:アーム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図4】
9