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明細書 :長軸部を有する物体の長軸部の先端座標と該物体の位置姿勢を定義する手段との3次元相対関係測定方法およびシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5200582号 (P5200582)
公開番号 特開2009-204372 (P2009-204372A)
登録日 平成25年2月22日(2013.2.22)
発行日 平成25年6月5日(2013.6.5)
公開日 平成21年9月10日(2009.9.10)
発明の名称または考案の名称 長軸部を有する物体の長軸部の先端座標と該物体の位置姿勢を定義する手段との3次元相対関係測定方法およびシステム
国際特許分類 G01B  21/20        (2006.01)
A61B  19/00        (2006.01)
FI G01B 21/20 101
A61B 19/00 502
請求項の数または発明の数 10
全頁数 19
出願番号 特願2008-045332 (P2008-045332)
出願日 平成20年2月27日(2008.2.27)
審査請求日 平成23年2月25日(2011.2.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504300181
【氏名又は名称】国立大学法人浜松医科大学
【識別番号】000112004
【氏名又は名称】パルステック工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】山本 清二
【氏名】高井 利久
【氏名】林本 悦一
【氏名】三浦 曜
個別代理人の代理人 【識別番号】100139963、【弁理士】、【氏名又は名称】神谷 直慈
審査官 【審査官】北川 創
参考文献・文献 特開2007-209531(JP,A)
特開2004-333371(JP,A)
特開2005-249402(JP,A)
特開2009-201617(JP,A)
特開2000-097684(JP,A)
特表2003-528688(JP,A)
調査した分野 G01B 21/20
A61B 19/00
特許請求の範囲 【請求項1】
3次元形状測定装置と、
長軸部と、前記3次元形状測定装置により位置および姿勢が測定可能な第1標識部とを有する被測定物体と、
前記被測定物体の長軸部の先端部に着脱自在であって、前記被測定物体の長軸部の先端部と当接する当接部と、前記3次元形状測定装置により位置および立体形状が測定可能な第2標識部とを有し、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が予めわかっているか、または前記3次元形状測定装置により前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が測定可能な較正用物体と、
を有する3次元形状測定システムにおける、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を測定する3次元相対関係測定方法であって、
前記較正用物体を、前記被測定物体の長軸部の先端部に取付けるステップと、
前記3次元形状測定装置により、前記被測定物体および前記較正用物体の立体形状データ群を測定するステップと、
前記立体形状データ群から、前記第1標識部の位置および姿勢と前記第2標識部の位置および立体形状とを算出するステップと、
前記第2標識部の位置および立体形状と、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係とに基づいて、前記当接部の3次元座標を算出するステップと、
前記第1標識部の位置および姿勢と、前記当接部の3次元座標とに基づいて、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を算出するステップと、
を有する、3次元相対関係測定方法。
【請求項2】
前記較正用物体の前記第2標識部は、予め立体形状がわかっており、
前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係は、前記第2標識部の立体形状に関連するベクトルまたは定点位置と、前記当接部の相対位置との関係により定義される、
請求項1記載の3次元相対関係測定方法。
【請求項3】
前記較正用物体の当接部と前記第2標識部の定点位置とは等しいか、または前記較正用物体の当接部は前記第2標識部における2つ以上の定点を用いて定義される点であることを特徴とする請求項2記載の3次元相対関係測定方法。
【請求項4】
前記較正用物体の当接部は、前記第2標識部における2つの定点を結んだ直線または前記第2標識部における定点とベクトルから定まる直線上において、定点から前記第2標識体の立体形状に関連する長さにより定まる点であることを特徴とする請求項2または3記載の3次元相対関係測定方法。
【請求項5】
前記較正用物体は、前記被測定物体の長軸部の先端部を挿入可能な細穴部を有している、請求項1乃至4いずれか記載の3次元相対関係測定方法。
【請求項6】
前記較正用物体は、球体、多面体、円柱、円錐のいずれかの形状を一部または全体に有している、請求項1乃至5いずれか記載の3次元相対関係測定方法。
【請求項7】
前記較正用物体は、前記被測定物体の長軸部の先端部を固定するために、少なくとも突起または空孔が形成されている、請求項1乃至6いずれか記載の3次元相対関係測定方法。
【請求項8】
前記被測定物体は体内挿入器具であって、前記長軸部は体内挿入部であり、前記第1標識部は体内に挿入されない部分に設けられている、請求項1乃至7いずれか記載の3次元相対関係測定方法。
【請求項9】
3次元形状測定装置と、
長軸部と、前記3次元形状測定装置により位置および姿勢が測定可能な第1標識部とを有する被測定物体と、
前記被測定物体の長軸部の先端部に着脱自在であって、前記被測定物体の長軸部の先端部と当接する当接部と、前記3次元形状測定装置により位置および立体形状が測定可能な第2標識部とを有し、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が予めわかっているか、または前記3次元形状測定装置により前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が測定可能な較正用物体と、
を有する3次元形状測定システムにおける、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を測定する3次元相対関係測定プログラムであって、
前記較正用物体を前記被測定物体の長軸部の先端部に取付けた状態で、前記3次元形状測定装置により、前記被測定物体および前記較正用物体の立体形状データ群を測定するステップと、
前記立体形状データ群から、前記第1標識部の位置および姿勢と前記第2標識部の位置および立体形状とを算出するステップと、
前記第2標識部の位置および立体形状と、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係とに基づいて、前記当接部の3次元座標を算出するステップと、
前記第1標識部の位置および姿勢と、前記当接部の3次元座標とに基づいて、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を算出するステップと、
を有する、3次元相対関係測定プログラム。
【請求項10】
3次元形状測定装置と、
長軸部と、前記3次元形状測定装置により位置および姿勢が測定可能な第1標識部とを有する被測定物体と、
前記被測定物体の長軸部の先端部に着脱自在であって、前記被測定物体の長軸部の先端部と当接する当接部と、前記3次元形状測定装置により位置および立体形状が測定可能な第2標識部とを有し、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が予めわかっているか、または前記3次元形状測定装置により前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が測定可能な較正用物体と、を有し、
前記3次元形状測定装置は少なくとも、前記較正用物体を前記被測定物体の長軸部の先端部に取付けた状態で、前記被測定物体および前記較正用物体の立体形状データ群を測定するものであり
前記立体形状データ群から、前記第1標識部の位置および姿勢と前記第2標識部の位置および立体形状とを算出する手段と、
前記第2標識部の位置および立体形状と、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係とに基づいて、前記当接部の3次元座標を算出する手段と、
前記第1標識部の位置および姿勢と、前記当接部の3次元座標とに基づいて、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を算出する手段と、
を有する、3次元相対関係測定システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は主に長軸部を有する物体の位置および姿勢を定義する手段である複数の座標または複数の座標およびベクトルを検出し、検出した位置および姿勢に基づいて長軸部を有する物体の長軸部の先端座標を定義する手段または方法において必要とされる方法であって、長軸部を有する物体の長軸部の先端座標と長軸部を有する物体の位置および姿勢を定義する手段である複数の座標または複数の座標およびベクトルとの3次元相対関係を同一座標系で検出する方法に関する。また、体内挿入器具(手術器具、硬性内視鏡、等)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外科手術を行う際、体内に挿入した手術器具を体内の画面とともに表示しながら手術を行う手術支援(手術ナビゲーション)の研究や装置の開発が進められている。
この手術支援(手術ナビゲーション)においては体内に挿入した手術器具の位置姿勢を正確に検出することが必要であるが、この方法として例えば以下の特許文献1(特開2007-209531号公報)に記載されたように、手術器具の体外に出ている箇所に少なくとも3つの定点を定義可能な物体を取り付け、手術の期間中、人体および手術器具の3次元形状を測定し続け、3次元形状データを処理することで少なくとも3つの定点座標を検出し、検出した定点座標から手術器具の位置姿勢を検出する方法がある。
この方法においてはあらかじめ手術器具を3次元形状測定して手術器具の3次元形状データと少なくとも3つの定点座標とを取得して記憶し、手術の期間中の3次元形状測定から検出した少なくとも3つの定点座標と記憶している少なくとも3つの定点座標から座標変換係数を算出し、算出した座標変換係数を用いて記憶している手術器具の3次元形状データを座標変換して、同一座標系で人体の3次元形状データと手術器具の3次元形状データとを得ている。
この方法は手術器具の3次元形状測定を精度よく行えば、手術の期間中は少なくとも3つの定点座標を精度よく取得するのみで高精度で手術器具の位置姿勢を検出することができる。
【0003】
ただし、手術器具の3次元形状測定において手術器具の先端座標を正確に検出しないと手術において患部を損傷するという危険があるため、特に手術器具の先端座標の検出は高精度で行う必要があるが、3次元形状測定は表面の多数の点の座標データ(以下、点群データという)を取得する測定であり、手術器具における体内に挿入される箇所は細長いため、この細長い箇所で取得される点群データは少なく、細長い箇所の先端の点の座標データを取得するには、取得する点群データを通常より何倍も多くする測定が必要になる。しかし、実際の3次元形状測定器はそのような測定ができる構成にはなっておらず、仮に3次元形状測定器をそのような測定ができる構成にすると、手術器具の点群データが多くなりすぎ、手術器具を体内の画面とともに表示するためのデータ処理に時間がかかるため、リアルタイムで手術器具の位置姿勢が表示できなくなり手術の効率に支障をきたすという問題がある。このため、3次元形状測定において取得する点群データを通常より何倍も多くして手術器具の先端座標を高精度で検出することは非常に困難である。
【0004】
手術器具の先端座標の定義または検出方法が示されている従来技術として、特許文献1および2が挙げられる。
特許文献1には、本発明者らによる手術支援システムが記載されおり、手術器具に位置姿勢検出用の標識部(図1および2の球体36A)を設けることも記載されている。この特許文献1においては、前記標識部と手術器具の先端との3次元相対関係は既にわかっていることを前提にしている。しかしながら、仮に予め体内挿入器具(手術器具)の先端部と位置姿勢検出用の標識部との3次元相対関係が正確にわかっていたとしても、実際には使用のたびに器具の先端部が少しずつ変形している可能性が高く、長期間の間に前記3次元相対関係が変化し、精度の高い手術をすることが困難になるという問題がある。
特許文献2には、手術支援システムにおける手術器具の追跡アセンブリ90(位置姿勢を定義する手段)と先端部との相対位置を追跡アセンブリ100を用いて較正することが示唆されている。これによれば定期的に較正を行うことで特許文献1における上記問題点はなくなる。しかしながら、特許文献2においては、前記追跡アセンブリ90,100の追跡要素95,102はLEDを用いているため、前記手術器具の位置および姿勢を検出するためには、患者の表面形状を測定する3次元形状測定装置とは別の位置検出装置が必要であるという問題がある。

【特許文献1】特開2007-209531号公報
【特許文献2】特表2003-528688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は手術器具のように長軸部を有する物体の長軸部の先端座標と該物体の位置および姿勢を定義する手段である複数の座標または複数の座標およびベクトルとの関係を同一座標系で検出する方法において長軸部を有する物体の3次元形状測定で取得する点群データを通常の3次元形状測定の場合と同一にしても、長軸部の先端の座標を精度よく検出する方法を提供することにある。言い換えると3次元形状測定精度が通常の環境下でも、手術器具のように長軸部を有する物体の先端部と位置姿勢検出用の標識部との3次元相対関係を精度良く較正できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
3次元形状測定装置と、
長軸部と、前記3次元形状測定装置により位置および姿勢が測定可能な第1標識部とを有する被測定物体と、
前記被測定物体の長軸部の先端部に着脱自在であって、前記被測定物体の長軸部の先端部と当接する当接部と、前記3次元形状測定装置により位置および立体形状が測定可能な第2標識部とを有し、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が予めわかっているか、または前記3次元形状測定装置により前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が測定可能な較正用物体と、
を有する3次元形状測定システムにおける、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を測定する3次元相対関係測定方法であって、
前記較正用物体を、前記被測定物体の長軸部の先端部に取付けるステップと、
前記3次元形状測定装置により、前記被測定物体および前記較正用物体の立体形状データ群を測定するステップと、
前記立体形状データ群から、前記第1標識部の位置および姿勢と前記第2標識部の位置および立体形状とを算出するステップと、
前記第2標識部の位置および立体形状と、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係とに基づいて、前記当接部の3次元座標を算出するステップと、
前記第1標識部の位置および姿勢と、前記当接部の3次元座標とに基づいて、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を算出するステップと、
を有する、3次元相対関係測定方法。
3次元形状測定装置と、
長軸部と、前記3次元形状測定装置により位置および姿勢が測定可能な第1標識部とを有する被測定物体と、
前記被測定物体の長軸部の先端部に着脱自在であって、前記被測定物体の長軸部の先端部と当接する当接部と、前記3次元形状測定装置により位置および立体形状が測定可能な第2標識部とを有し、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が予めわかっているか、または前記3次元形状測定装置により前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が測定可能な較正用物体と、
を有する3次元形状測定システムにおける、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を測定する3次元相対関係測定プログラムであって、
前記較正用物体を前記被測定物体の長軸部の先端部に取付けた状態で、前記3次元形状測定装置により、前記被測定物体および前記較正用物体の立体形状データ群を測定するステップと、
前記立体形状データ群から、前記第1標識部の位置および姿勢と前記第2標識部の位置および立体形状とを算出するステップと、
前記第2標識部の位置および立体形状と、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係とに基づいて、前記当接部の3次元座標を算出するステップと、
前記第1標識部の位置および姿勢と、前記当接部の3次元座標とに基づいて、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を算出するステップと、
を有する、3次元相対関係測定プログラム。
3次元形状測定装置と、
長軸部と、前記3次元形状測定装置により位置および姿勢が測定可能な第1標識部とを有する被測定物体と、
前記被測定物体の長軸部の先端部に着脱自在であって、前記被測定物体の長軸部の先端部と当接する当接部と、前記3次元形状測定装置により位置および立体形状が測定可能な第2標識部とを有し、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が予めわかっているか、または前記3次元形状測定装置により前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係が測定可能な較正用物体と、を有し、
前記較正用物体を前記被測定物体の長軸部の先端部に取付けた状態で、前記3次元形状測定装置により、前記被測定物体および前記較正用物体の立体形状データ群を測定する手段と、
前記立体形状データ群から、前記第1標識部の位置および姿勢と前記第2標識部の位置および立体形状とを算出する手段と、
前記第2標識部の位置および立体形状と、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係とに基づいて、前記当接部の3次元座標を算出する手段と、
前記第1標識部の位置および姿勢と、前記当接部の3次元座標とに基づいて、前記被測定物体の長軸部の先端部と前記第1標識部との3次元相対関係を算出する手段と、
を有する、3次元相対関係測定システム。
【0007】
また、以下の実施態様を採用しても良い。
前記較正用物体の前記第2標識部は、予め立体形状がわかっており、前記当接部と前記第2標識部との3次元相対関係は、前記第2標識部の立体形状に関連するベクトルまたは定点位置と、前記当接部の相対位置との関係により定義される。
前記較正用物体の当接部と前記第2標識部の定点位置とは等しいか、または前記較正用物体の当接部は前記第2標識部における2つ以上の定点を用いて定義される点である。
前記較正用物体の当接部は、前記第2標識部における2つの定点を結んだ直線または前記第2標識部における定点とベクトルから定まる直線上において、定点から前記第2標識体の立体形状に関連する長さにより定まる点である。
前記較正用物体は、前記被測定物体の長軸部の先端部を挿入可能な細穴部を有している。
前記較正用物体は、球体、多面体、円柱、円錐のいずれかの形状を一部または全体に有している。
前記較正用物体は、前記被測定物体の長軸部の先端部を固定するために、少なくとも突起または空孔が形成されている。
前記被測定物体は体内挿入器具であって、前記長軸部は体内挿入部であり、前記第1標識部は体内に挿入されない部分に設けられている。
【0008】
ここで、3次元相対関係としては、複数定点間の3次元相対位置が考えられるが、それ以外にも、複数の定点およびベクトル間の3次元の相対関係も含む。また、ベクトルとは、第1標識部および第2標識部の形状や複数標識体間の相対位置に関連したベクトルのことであり、例えば法線ベクトルや相対位置ベクトルなどがある。
前記第2標識部は3次元形状測定装置により立体形状を測定できるものであれば何でも良い。前記較正用物体の立体形状そのものを第2標識部としても良いし、前記較正用物体の一部に球体などを取り付けて第2標識部としても良い。演算処理のスピードなどを考慮すると、較正用物体の一部に球体等の第2標識部を取り付ける方が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
手術器具のように長軸部を有する物体の長軸部の先端座標と該物体の位置および姿勢を定義する手段である複数の座標または複数の座標およびベクトルとの関係を同一座標系で検出する方法において、長軸部を有する物体の3次元形状測定で取得する点群データを通常の3次元形状測定の場合と同一にしても、長軸部の先端の座標を精度よく検出することができる。
【0010】
本発明の構成によれば、リアルタイム性が要求される手術支援システムの3次元形状測定装置の測定精度の範囲内で、被測定物体(体内挿入器具)の長軸部の先端部と位置姿勢検出用の標識部との3次元相対関係(3次元相対位置)を精度良く較正することができる。また、特許文献2とは異なり、手術支援システムにおける患者の表面形状を測定するための3次元形状測定装置を、被測定物体(体内挿入器具)の位置姿勢検出用の標識部の測定や長軸部の先端部と位置姿勢検出用の標識部との3次元相対関係の検出に用いているため、位置検出用の装置を別途設ける必要がなく、装置構成が簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明による長軸部を有する物体(被測定物体)の長軸部の先端座標と該物体の位置および姿勢を定義する手段である複数の座標または複数の座標およびベクトルとの関係を同一座標系で検出する方法において、長軸部の先端を定点定義可能な物体(較正用物体)にセットする様子を示した図である。
本実施形態においては、長軸部を有する物体は手術器具10であるとする。
【0012】
手術器具10には手術器具10の位置姿勢を定義することを可能にする、少なくとも3つの定点の定義が可能な複数の球体12が取り付けられている。この複数の球体12の中心座標が長軸部を有する物体の位置および姿勢を定義する手段である。
なお、球体12により少なくとも3つの定点を定義する方法が、後述する点群データから定点座標を算出するデータ処理が簡単に行えるため適切な方法であるが、位置および姿勢を定義することを可能にするものは、
・少なくとも2つの定点と1つのベクトル
・少なくとも1つの定点と2つのベクトル
が定義可能であってもよく。また定点やベクトルが定義可能な物体としては、球体以外に多面体、円柱、円錐等がある。
【0013】
定点定義可能な物体(較正用物体)20は直方体21の上面と側面に大きさの異なる球体A22,球体B23が取り付けられており、後述する点群データから定点座標を算出する際には球体の中心座標が算出される。なお、図1では球体A22,球体B23は上面と側面にそれぞれ1つづつ取り付けられているが、球体A22の中心から球体B23の中心へ向かうベクトルと直方体21の前面の法線ベクトルとがなす角度がわかっており、3次元形状測定可能な位置であれば変更してもよい。
また直方体21の前面の中央部分には手術器具10の先端を刺し込むための突起(当接部)24がある。この突起24は円錐の途中を切り落とした形状であり、底面の径は手術器具10の先端の内径より僅かに小さく手術器具10の先端を刺し込んだときがたつきがない形状である。なお突起24は手術器具10の先端が円管状であることを想定した形状であり、先端がこの形状ではない場合は突起24の形状は手術器具10の先端の形状に合わせて定めればよい。また突起24の替わりに円柱状や円錐状の空孔がある物体を取り付け、手術器具10の先端を挿入するようにしてもよい。
また、突起24の回りには固定治具25が取り付けられている。固定治具25は円柱状で中心線の位置に円柱状の空孔があり、この空孔は手術器具10の先端の径よりやや大きく、この空孔に手術器具10が挿入され、手術器具10の先端位置が突起24に刺し込まれると手術器具10が固定されるようになっている。また固定治具25の空孔周りは弾力性のある物体でできており、手術器具10が変形するような力が加わらないようになっている。
また固定治具25はボルトで直方体21の前面に取り付けられており、後述するように手術器具10のセット位置(突起24の底面の中心位置)の座標と球体A22,球体B23の中心座標と直方体21の前面の法線ベクトル成分とを同一座標系で検出する際には取り除かれる。
【0014】
図1に示した定点定義可能な物体20を用いて、手術器具10の先端座標と手術器具10の位置および姿勢を定義する手段である複数の球体12の中心座標との関係を同一座標系で検出するには以下の手順で行う。
【0015】
(1)定点定義可能な物体20の突起24に球体C26を取り付け3次元形状測定
図2(a)のように定点定義可能な物体20から固定治具25を取り除き、図2(b)のように円管の中心軸が球体の中心を通るように形成された球体C26を突起24に刺し込む。
この状態で3次元形状測定を行い、点群データを取得する。3次元形状測定の方向は、3つの球体22,23,26,直方体21の前面を測定できる方向であればどのような方向でもよい。
3次元形状測定は非接触で物体表面の点群データを取得することができるものであれば、どのような測定原理のものでもよい。
【0016】
(2)3つの球体A22,球体B23,球体C26の中心座標計算
取得した点群データから、3つの球体22,23,26の点群データを抽出する。3つの球体22,23,26の径はコンピュータに記憶されており、球体という情報および径の数値を用いて抽出を行う。抽出方法は特開2004-333371号公報に詳細に記載されているのでそちらを参照する。抽出した点群データから球体の式(x-a)2+(y-b)2+(z-c)2=d2を最小2乗法により求める。(a,b,c)が球体の中心座標になる。
【0017】
(3)直方体21の前面の平面の式と法線ベクトル計算
取得した点群データから3つの球体22,23,26の点群データを除いた残りの点群データの中で球体C26の中心座標の近傍にある一部の点群データを抽出し、平面の式a・x+b・y+c・z+1=0に代入して最小2乗法により係数a,b,cを計算する。次にすべての点群データから、この平面からの距離が所定の範囲内にある点群データを抽出する。このとき抽出された点群データが所定数以上あれば、最初に抽出した点群データはすべて直方体21の前面のものと判定して、抽出した点群データすべてを、平面の式a・x+b・y+c・z+1=0に代入して最小2乗法により係数a,b,cを計算する。
もし、抽出された点群データが所定数未満であれば、最初に抽出した点群データは直方体21の前面以外のもの含むと判定して、最初に抽出した点群データからより球体C26の中心座標の近傍にあるデータを抽出して同一の処理を行う。この処理を係数a,b,cが計算されるまで行う。
直方体21の前面の法線ベクトルは(a,b,c),(-a,-b,-c)の2つがあり、直方体21の前面から球体C26側に向かう法線ベクトルを選定する。それには、3次元形状測定器の原点座標から球体C26の中心座標に向かうベクトルA(ベクトル成分は球体C26の中心座標に等しい)と(a,b,c),(-a,-b,-c)の法線ベクトルをベクトルBとしたときの以下の内積の式から角度Θを計算し、角度Θが90度より大きい方の法線ベクトルを選定する。
A・B=|A|・|B|・COSΘ
【0018】
(4)手術器具10のセット位置(突起24の底面の中心位置)の座標計算
球体C26の中心座標(xc,yc,zc)を通り、直方体21の前面の法線ベクトル(a,b,c)に平行な直線の方程式(x-xc)/a = (y-yc)/b = (z-zc)/cと、直方体21の前面の平面方程式a・x+b・y+c・z+1=0からなる連立方程式を解いてx,y,zを算出する。このx,y,zが、直線と直方体21の前面の交点座標であり、手術器具10のセット位置(突起24の底面の中心位置)の座標(xs,ys,zs)である。
ここまでの処理により球体A22,球体B23の中心座標(xa,ya,za),(xb,yb,zb),直方体21の前面の法線ベクトル(a,b,c),手術器具10のセット位置座標(xs,ys,zs)を同一座標系で得ることができる。この座標系を座標系Aとする。
【0019】
(5)定点定義可能な物体20に手術器具10をセットし、3次元形状測定
図1のように定点定義可能な物体20に固定治具25を取り付け、手術器具10の先端を突起24に刺し込む。これで定点定義可能な物体20に手術器具10がセットされ固定される。
この状態で3次元形状測定を行い、点群データを取得する。3次元形状測定の方向は、定点定義可能な物体20の2つの球体22,23,直方体21の前面,手術器具10の複数の球体12を測定できる方向であればどのような方向でもよい。
【0020】
(6)定点定義可能な物体20の2つの球体22,23と手術器具10の複数の球体12の中心座標計算
取得した点群データから、上記(2)と同じ方法により定点定義可能な物体20の2つの球体22,23の中心座標(xa’,ya’,za’),(xb’,yb’,zb’)および手術器具10の複数の球体12の中心座標を計算する。
【0021】
(7)直方体21の前面の平面の式と法線ベクトル計算。
取得した点群データから球体22,23,12の点群データを除いた残りの点群データの中で一部の点群データを抽出し、平面の式a・x+b・y+c・z+1=0に代入して最小2乗法により係数a,b,cを計算する。次にすべての点群データから、この平面からの距離が所定の範囲内にある点群データを抽出する。このとき抽出された点群データが所定数以上あれば、最初に抽出した点群データは同一平面内のものと判定して、抽出した点群データすべてを、平面の式a・x+b・y+c・z+1=0に代入して最小2乗法により係数a,b,cを計算する。
もし、抽出された点群データが所定数未満であれば、最初に抽出した点群データは同一平面内のものではないと判定して、最初に抽出した点群データの隣の点群データを抽出して同一の処理を行う。この処理を係数a,b,cが計算されるまで行う。
次に2つの球体22,23の中心座標(xa’,ya’,za’),(xb’,yb’,zb’)の片方から片方へ向かうベクトルとベクトル(a,b,c)とがなす角度を内積の式から計算し、2つのベクトルがなす角度が90度に近いか否か判定する。90度に近ければ平面の式a・x+b・y+c・z+1=0は直方体21の前面のものと判定し、90度より離れていれば別の平面のものと判定して平面の式算出に使用した点群データを球体22,23,12の点群データを除いた残りの点群データから除き、残った点群データを用いて上記と同様の処理を行う。この処理を2つの球体の中心座標(xa’,ya’,za’),(xb’,yb’,zb’)の片方から片方へ向かうベクトルとベクトル(a,b,c)とがなす角度が90度に近いと判定するまで行う。
次に直方体21の前面の法線ベクトル(a,b,c),(-a,-b,-c)の内、直方体21の前面から手術器具10の複数の球体12側に向かう法線ベクトルの選定を上記(3)と同じ方法により行う。この場合は球体C26はないので、3次元形状測定器の原点座標から球体A22または球体B23の中心座標に向かうベクトルをベクトルAとすればよい。
算出した直方体21の前面の法線ベクトル(a’,b’,c’)とすると、ここまでの処理により球体A22,球体B23の中心座標(xa’,ya’,za’),(xb’,yb’,zb’),直方体21の前面の法線ベクトル(a’,b’,c’),手術器具10の複数の球体12の中心座標を同一の座標系で得ることができる。この座標系を座標系Bとする。
【0022】
(8)座標変換係数F計算
座標系Aでの球体A22,球体B23の中心座標(xa,ya,za),(xb,yb,zb)、直方体21の前面の法線ベクトル(a,b,c)と座標系Bでの球体A22,球体B23の中心座標(xa’,ya’,za’),(xb’,yb’,zb’)、直方体21の前面の法線ベクトル(a’,b’,c’)から座標系Aの座標を座標系Bの座標に座標変換する座標変換係数Fを計算する。計算は以下のように行う。
座標変換係数Fは、以下の式における回転成分Mと移動成分(α,β,γ)である。座標変換係数Fを計算するとは、回転成分Mのg11~g33と移動成分α,β,γを計算することである。
【数1】
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上記式のx’,y’,z’に(xa’,ya’,za’)を代入し、x,y,zに(xa,ya,za)を代入した式と、上記式のx’,y’,z’に(xb’,yb’,zb’)を代入し、x,y,zに(xb,yb,zb)を代入した式と、上記式の移動成分(α,β,γ)を除いた式のx’,y’,z’に(a’,b’,c’)を代入し、x,y,zに(a,b,c)を代入した式により9つの式が成立する。
次に(xa’,ya’,za’)から(xb’,yb’,zb’)へ向かうベクトルとベクトル(a’,b’,c’)の外積によるベクトルの成分(d’,e’,f’)を計算し、(xa,ya,za)から(xb,yb,zb)へ向かうベクトルとベクトル(a,b,c)の外積によるベクトルの成分(d,e,f)を計算する。そして上記式の移動成分(α,β,γ)を除いた式のx’,y’,z’に(d’,e’,f’)を代入し、x,y,zに(d,e,f)を代入した式により3つの式が成立し、合わせて12の式が成立する。この12の式からg11~g33が同じものを集めて連立方程式を作成し、この連立方程式を解くことによりg11~g33およびα,β,γ
を計算することができる。詳細は特開2005-249402号公報の段落0104~0118を参照する。
【0023】
(9)手術器具10のセット位置座標を座標変換係数Fにより座標変換する
手術器具10のセット位置座標(xs,ys,zs)は座標系Aによる座標である。この座標を座標変換係数Fにより座標系Bによる座標(xs’,ys’,zs’)に座標変換する。
【0024】
これにより座標系Bで(即ち同一座標系で)手術器具10のセット位置座標と手術器具10の複数の球体12の中心座標とを得ることができる。
これらの座標を記憶しておけば、手術の期間中の3次元形状測定から検出した手術器具10の複数の球体12の中心座標と記憶している複数の球体12の中心座標とから座標変換係数を算出し、算出した座標変換係数を用いて記憶している手術器具10のセット位置座標(即ち先端座標)を座標変換すれば、同一座標系で人体の3次元形状データと手術器具10の先端座標を得ることができる。
【0025】
<変形例>
上記実施形態は様々な変形が可能である。
1.変形例1
上記実施形態では定点定義可能な物体20として2つの大きさが異なる球体が取り付けられた直方体を用いたが、定点定義可能な物体20を以下の1)~3)のようにし、定点定義可能な物体20における定点およびベクトル検出と座標変換係数の計算を以下のようにすることもできる。
【0026】
1)大きさの異なる球体を3つ以上取り付ける
上記実施形態の(2)と同じ方法により3つ以上ある球体の中心座標を座標系A,座標系Bで検出し、座標変換係数を3つ以上ある球体の中心座標を用いて計算する。座標変換係数の計算は球体が少なくと3つあれば可能であるので球体が3つより多くあるときは、それぞれの3つの組で計算した座標変換係数を平均する。計算は以下のように行う。
座標変換係数を計算するとは、上記実施形態の(8)で示したように、回転成分Mのg11~g33と移動成分α,β,γを計算することである。座標系Aでの3つの球体の中心座標を(xa,ya,za),(xb,yb,zb),(xc,yc,zc)、座標系Bでの3つの球体の中心座標を(xa’,ya’,za’),(xb’,yb’,zb’),(xc’,yc’,zc’)とし、これらの座標を上記実施形態の(8)で示した式に代入すると9つの式が成立する。
次に(xa’,ya’,za’)から(xb’,yb’,zb’)へ向かうベクトルと(xb’,yb’,zb’)から(xc’,yc’,zc’)へ向かうベクトルとの外積によるベクトルの成分(d’,e’,f’)を計算し、(xa,ya,za)から(xb,yb,zb)へ向かうベクトルと(xb,yb,zb)から(xc,yc,zc)へ向かうベクトルとの外積によるベクトルの成分(d,e,f)を計算する。そして上記実施形態の(8)で示した式の移動成分(α,β,γ)を除いた式のx’,y’,z’に(d’,e’,f’)を代入し、x,y,zに(d,e,f)を代入した式により3つの式が成立し、合わせて12の式が成立する。この12の式からg11~g33が同じものを集めて連立方程式を作成し、この連立方程式を解くことによりg11~g33およびα,β,γを計算することができる。詳細は、特開2005-249402号公報の段落0063~0080を参照する。
【0027】
2)球体を1つ取り付ける
上記実施形態の(2)と同じ方法により1つの球体A22の中心座標を座標系A,座標系Bで検出する。
直方体21の前面と側面または上面の2つの法線ベクトルのベクトル成分の検出を以下の方法で行う。
・座標系A(定点定義可能な物体20に球体C26を取り付けての3次元測定)
上記実施形態の(3)と同じ方法により直方体21の前面の平面式および法線ベクトルを算出する。
次に直方体21の前面以外の点群データを用いて上記実施形態の(7)に書かれた平面の点群データ抽出と平面式の計算方法によりいずれかの平面の平面式を算出する。この平面と球体Aの中心座標との距離を計算した距離から平面が直方体21の側面か上面か直方体21が置かれた台の平面かを判定し、設定した平面の平面式が算出されるまで上記処理を繰り返す。平面式の係数a,b,cから法線ベクトル(a,b,c),(-a,-b,-c)が出るので、直方体21の平面から直方体21の外側に向かう法線ベクトルの選定を上記実施形態の(3)と同じ方法により行う。
・座標系B(定点定義可能な物体20に手術器具10をセットしての3次元測定)
上記実施形態の(7)に書かれた平面の点群データ抽出と平面式の計算方法によりいずれかの平面の平面式を算出する。この平面の法線ベクトルと手術器具10の複数の球体の1つ球体における中心座標から球体Aの中心座標へ向かうベクトルとがなす角度により平面式が直方体21の前面の平面か否かを判定する。この処理を直方体21の前面の平面式と判定されるまで行う。
次に上記の座標系Aの場合と同じ方法により直方体21の側面か上面の内、設定した平面の平面式を算出する。平面式の係数a,b,cから法線ベクトル(a,b,c),(-a,-b,-c)が出るので、直方体21の平面から直方体21の外側に向かう法線ベクトルの選定を上記実施形態の(3)と同じ方法により行う。この場合は球体C26はないので、3次元形状測定器の原点座標から球体A22の中心座標に向かうベクトルをベクトルAとする。
座標系A,座標系Bでの球体A22の中心座標と2つの平面の法線ベクトルとから座標変換係数を計算する。計算は以下のように行う。
座標変換係数を計算するとは、上記実施形態の(8)で示したように、回転成分Mのg11~g33と移動成分α,β,γを計算することである。座標系Aでの球体の中心座標を(xa,ya,za),2つの法線ベクトルを(a1,b1,c1),(a2,b2,c2)とし、座標系Bでの球体の中心座標を(xa’,ya’,za’),2つの法線ベクトルを(a1’,b1’,c1’),(a2’,b2’,c2’)とし、これらの座標を上記実施形態の(8)で示した式に代入し、ベクトル成分を上記実施形態の(8)で示した式から移動成分(α,β,γ)を除いた式に代入すると9つの式が成立する。
次に(a1’,b1’,c1’)と(a2’,b2’,c2’)との外積によるベクトルの成分(d’,e’,f’)を計算し、(a1,b1,c1)と(a2,b2,c2)との外積によるベクトルの成分(d,e,f)を計算する。そして上記実施形態の(8)で示した式の移動成分(α,β,γ)を除いた式のx’,y’,z’に(d’,e’,f’)を代入し、x,y,zに(d,e,f)を代入した式により3つの式が成立し、合わせて12の式が成立する。この12の式からg11~g33が同じものを集めて連立方程式を作成し、この連立方程式を解くことによりg11~g33およびα,β,γを計算することができる。詳細は、特開2005-249402号公報の式(数19)における座標の座標変換の1つをベクトルの座標変換に変えるのみで段落0104~0118に示される計算の仕方と同じである。
【0028】
3)球体を取り付けない
直方体21の前面と側面と上面でできる角の座標の算出と直方体21の前面と側面または上面の2つの法線ベクトルのベクトル成分の算出を以下の方法で行う。
上記実施形態の(7)に書かれた平面の点群データ抽出と平面式の計算方法により、複数の平面の平面式を可能な限り算出する。算出される平面式は直方体21の前面と側面と上面と直方体21が置かれた台の平面の平面式4つである。
法線ベクトルのなす角度を内積の式から算出し、互いに90度近い角度になる3つの平面の平面式でなる連立方程式を解いて3つの平面式でできる角の座標を計算する。計算される角の座標は直方体21の前面と側面と上面でできる角と、直方体21の前面と側面と直方体21が置かれた台の平面でできる角の2つである。
法線ベクトルのなす角度を内積の式から算出し、互いに90度近い角度になる2つの平面の平面式で直線の式を算出する。これにより5つの直線の式が計算される。
直線の式に点群データを代入して、直線の近傍にある点群データを抽出する。そして抽出した点群データの内、直線内にある角の座標からの距離が最も大きいものを抽出する。直方体21の3辺の長さが既知であれば、この距離から直線が直方体21のどの辺のものか判別できる。5つの直線の式すべてにおいてこの距離を計算して直方体21の3辺の直線の式を判別し、この直線の式を算出した平面式がいずれであるかより直方体21の前面と側面と上面と直方体21が置かれた台の平面の4つの平面式を判別する。
これにより直方体21の前面と側面と上面でできる角の座標の算出と直方体21の前面と側面または上面の2つの法線ベクトルのベクトル成分が算出される。
なお座標系Aの場合は球体C26と平面との距離を平面式を判別する条件に入れてもよい。
平面式の係数a,b,cから出る法線ベクトル(a,b,c),(-a,-b,-c)の内、直方体21の平面から直方体21の外側に向かう法線ベクトルの選定は上記の2)球体を1つ取り付ける場合と同じである。なお座標系Bの場合は球体C26の中心座標の代わりに直方体21の前面と側面と上面でできる角の座標を使う。座標変換係数の計算は上記の2)球体を1つ取り付ける場合と同じである。
【0029】
この変形例においては角の座標および2つのベクトルの算出はデータ処理に時間を要するため、直方体21の反射率を直方体21が置かれる台の反射率と大きく異ならせたり、直方体21のそれぞれの平面の反射率を異ならせ、3次元形状測定の際、同時に反射光量を測定して反射光量により点群データを分類すれば、データ処理の時間を大幅に短縮することができる。
【0030】
2.変形例2
上記実施形態では(1)~(9)の手順により、定点定義可能な物体20の定点座標および法線ベクトル成分と手術器具10のセット位置座標とを座標系Aにより求め、手術器具10をセットしたときの定点定義可能な物体20の定点座標および法線ベクトル成分を座標系Bにより求め、座標系Aによる座標を座標系Bによる座標に変換する座標変換係数を求め、座標系Bによる手術器具10の先端座標を、座標系Aにおける手術器具10のセット位置座標を座標系Bの座標に座標変換することで求めたが、定点定義可能な物体20を以下のようにすれば、定点定義可能な物体20の定点座標を用いて手術器具10のセット位置座標を求めることができる。すなわち、上記実施形態の(1)~(4)の作業が不要になり、最初から定点定義可能な物体20に手術器具10をセットし、手術器具10の先端座標(セット位置座標)を求めることができる。これによれば、定点定義可能な物体30の加工を精度よく行う必要があるが、手術器具10の先端座標と手術器具10の位置姿勢を定義する手段である複数の球体12の中心座標との関係を同一座標系で検出する作業が簡単になるという効果がある。
【0031】
1) 直方体31の前面の対角線の交点位置に突起34を設けた定点定義可能な物体30(図3)
この場合は手術器具10の先端座標(セット位置座標)を次のように求める。定点定義可能な物体30に手術器具10をセットして3次元形状測定し、取得した点群データを用いて上記変形例1の3)に記載された平面式の算出と平面式の判別から、直方体31の前面、側面、上面を判別し、直方体31の前面、側面、上面でなる角P1の座標を求める、次に既知である直方体31の3辺の長さと直方体31の前面、側面、上面の判別の過程で求めた直線の式から、角P2~P4の座標を求める。
次に角P1と角P4、角P2と角P3を結ぶ直線の式を計算し、直線の式からなる連立方程式を解いて直線の交点座標を計算する。計算された交点座標が手術器具10の先端座標(セット位置座標)になる。
なお、この場合も変形例1の3)と同様、直方体21の反射率を直方体21が置かれる台の反射率と大きく異ならせたり、直方体21のそれぞれの平面の反射率を異ならせ、3次元形状測定の際、同時に反射光量を測定して反射光量により点群データを分類すれば、データ処理の時間を大幅に短縮することができる。
【0032】
2) 円柱41の上面の中心点に突起44を設けた定点定義可能な物体40(図4)
この場合は手術器具10の先端座標(セット位置座標)を次のように求める。定点定義可能な物体40に手術器具10をセットして3次元形状測定し、取得した点群データを用いて 上記実施形態の(7)に書かれた平面の点群データ抽出と平面式の計算方法によりいずれかの平面の平面式を算出する。この平面を法線ベクトル方向に所定距離移動した式を算出し、その平面から所定距離範囲内にある点群データを抽出して、抽出した点群データが円の方程式に当てはまるか否かを判定する。当てはまれば平面式は円柱41の上面のものであると判定し、当てはまらなければ、円柱41が置かれた台の平面と判定する。この処理を円柱41の上面の平面式が算出されるまで行う。
次に円柱41の上面である平面をその法線ベクトル方向に所定間隔ごとに移動したときの平面式を複数算出し、それぞれの平面において平面から所定距離範囲内にある点群データを抽出して、抽出した点群データから最小2乗法により円の方程式を算出し、円の中心座標を算出する。
次に複数の円の中心座標から最小2乗法により直線の方程式を算出し、直線の方程式と円柱41の上面の平面式からなる連立方程式を解いて円柱41の中心線と円柱41の上面が交わる点(即ち円である上面の中心点)の座標を算出する。
算出された交点座標が手術器具10の先端座標(セット位置座標)になる。
【0033】
3) 直方体51の前面に円錐52を設け、円錐の頂点に突起54を設けた定点定義可能な物体50(図5)
この場合は手術器具10の先端座標(セット位置座標)を次のように求める。定点定義可能な物体50に手術器具10をセットして3次元形状測定し、取得した点群データを用いて上記実施形態の(7)に書かれた平面の点群データ抽出と平面式の計算方法によりいずれかの平面の平面式を算出する。この平面を法線ベクトル方向に所定距離移動した式を算出し、その平面から所定距離範囲内にある点群データを抽出して、抽出した点群データが円の方程式に当てはまるか否かを判定する。当てはまれば平面式は直方体51の前面のものであると判定し、当てはまらなければそれ以外の平面と判定する。この処理を直方体51の前面の平面式が算出されるまで行う。
次に直方体51の前面である平面をその法線ベクトル方向に所定間隔ごとに移動したときの平面式を複数算出し、それぞれの平面において平面から所定距離範囲内にある点群データを抽出して、抽出した点群データから最小2乗法により円の方程式を算出し、円の半径と円の中心座標を算出する。
次に複数の円の中心座標から最小2乗法により直線の方程式を算出し、直線の方程式と直方体51の前面の平面式からなる連立方程式を解いて円錐52の中心線と直方体51の前面が交わる点の座標Cを算出する。そして直方体51の前面からの所定間隔ごとにおけるそれぞれの円の半径が減少する割合から半径が0になる(即ち、円錐52の頂点に到達する)直方体51の前面からの距離Lを算出し、直方体51の前面の法線ベクトルで大きさがLのベクトルDの成分を計算する。
交点座標CにベクトルDの成分を加算した座標(即ち、円錐52の頂点座標)が手術器具10の先端座標(セット位置座標)になる。

【0034】
3.変形例3
上記変形例2では、定点定義可能な物体に設けた突起に手術器具10の先端を刺し込んでセットしたが、定点定義可能な物体20の定点を通る細長い穴に手術器具10の先端をがたつきがないようセットできれば、さらに容易に手術器具10の先端座標(セット位置座標)を求めることができる。なおこの場合は、手術器具10の先端が直線状であり、細長い穴に挿入したとき手術器具10の先端が変形しないといった条件が必要である。
【0035】
1)球体の中心位置まで細長い穴61が形成された定点定義可能な物体60(図6)
この場合は手術器具10の先端座標(セット位置座標)を次のように求める。定点定義可能な物体60である球体に形成された細長い穴61に手術器具10の先端を挿入して3次元形状測定し、取得した点群データから上記実施形態の(2)の方法により球体の点群データを抽出する。抽出した点群データから最小2乗法により球体の式を計算し、球体の中心座標を求める。球体の中心座標が手術器具10の先端座標(セット位置座標)になる。
【0036】
2)球体71,72の中心位置を通って貫通する細長い穴73,74が形成された定点定義可能な物体70(図7)
この場合は手術器具10の先端座標(セット位置座標)を次のように求める。定点定義可能な物体70である球体71,72に形成された細長い穴73,74に手術器具10を挿入して手術器具10の先端を球体71の面に合わせる。この状態で3次元形状測定し、取得した点群データから上記実施形態の(2)の方法により球体71,72の点群データを抽出する。
抽出した点群データから最小2乗法により球体の式を計算し、球体の中心座標を求める。球体71の中心座標から球体72の中心座標に向かうベクトルの成分を計算し、このベクトル成分と球体71の中心座標と球体71の半径値とから手術器具10の先端座標を算出する。
【0037】
3)円柱の中心軸を通って貫通する細長い穴81が形成された定点定義可能な物体80(図8)
この場合は手術器具10の先端座標(セット位置座標)を次のように求める。定点定義可能な物体80である円柱に形成された細長い穴81に手術器具10を挿入して手術器具10の先端を円柱の底面に合わせる。この状態で3次元形状測定し、取得した点群データから変形例2の2)に記載された方法により円柱上面の中心点座標と中心軸方向のベクトルの成分(直線の式)を計算する。
中心点座標と、ベクトル成分と、既知である円柱の長さLとから手術器具10の先端座標を算出する。
【0038】
4) 直方体の中心線を通って貫通する細長い穴91が形成された定点定義可能な物体90(図8)
この場合は手術器具10の先端座標(セット位置座標)を次のように求める。定点定義可能な物体90である直方体に形成された細長い穴91に手術器具10を挿入して手術器具10の先端を直方体の底面に合わせる。この状態で3次元形状測定し、取得した点群データから変形例1の3)に記載された方法により直方体前面の法線ベクトルの成分、前面と2つの側面とからなる角の座標、前面と2つの側面とからなる3辺のベクトル成分(直線の式)を計算する。次に変形例2の1)に記載された方法により直方体前面の中心座標を算出し、この中心座標と直方体前面の法線ベクトルの成分と、既知である側面と側面からなる辺の長さLとから手術器具10の先端座標を算出する。
【0039】
なお上記実施形態および上記変形例は上記以外にも様々な変形が可能である。
上記実施形態では定点定義可能な物体20は直方体に球体を取り付けた構造であったが、定点または定点およびベクトルが定義できる形状を有し、手術器具10の先端を取り付けることができる突起または空孔が形成された物体を設けることができれば、色々な構造のものが考えられる。
【0040】
例えば、直方体に円錐や円柱や多面体を取り付けた構造であってもよいし。直方体ではない多面体に円錐や円柱や多面体を取り付けた構造であってもよいし、円柱に円錐や円柱や多面体を取り付けた構造であってもよい。また、任意の形状の物体に反射率を変えて交錯する直線や円や四角形といった図形を描くようにしてもよい。また定点定義可能な物体を取り付けたり図形を描かなくても、多面体の構造をしていれば、角の座標から定点定義が可能であるので、多面体に手術器具の先端を取り付けることができる突起または空孔が形成された物体を設けた構造でもよい。
【0041】
また上記変形例2では定点座標から手術器具のセット位置座標(先端座標)を算出するようにした際の、定点定義可能な形状として直方体、円柱、円錐という形状をあげたが、定点座標から手術器具のセット位置座標(先端座標)を精度よく算出できれば、これ以外の構造のものであってもよい。例えば精度よく加工することが可能であれば、直方体の前面の対角線の位置に中心位置が来るように半球を取り付けた構造のものであってもよいし、また直方体の前面の対角線の位置に定点が来るように反射率を変えて交錯する直線や円や四角形といった図形を描いたものでもよい。また任意の形状の物体において、手術器具のセット位置座標(先端座標)に定点が来るように反射率を変えて交錯する直線や円や四角形といった図形を描いたものでもよい。
【0042】
また上記変形例3では定点定義可能な物体であって手術器具を挿入する細長い穴が形成された物体として球体、円柱、直方体をあげたが、定点座標または定点座標と細長い穴方向のベクトルとから手術器具の先端座標を精度よく算出できれば、これ以外の形状の物体であってもよい。例えば円錐の中心線に細長い穴が形成された物体であってもよいし、直方体以外の多面体で中心に細長い穴が形成された物体であってもよい。
以上のように本発明の目的を逸脱しなければ様々な変形が可能である。
【0043】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】定点定義可能な物体に位置姿勢を定義するための物体を取り付けた手術器具をセットする様子を示した図である。
【図2】定点定義可能な物体の定点座標およびベクトルと手術器具のセット位置座標との関係を同一座標系で検出する際の定点定義可能な物体に行う処理を示した図である。
【図3】定点座標から手術器具のセット位置座標を算出することが可能な定点定義可能な物体の1例を示した図である。
【図4】定点座標から手術器具のセット位置座標を算出することが可能な定点定義可能な物体の別の例を示した図である。
【図5】定点座標から手術器具のセット位置座標を算出することが可能な定点定義可能な物体の別の例を示した図である。
【図6】手術器具の先端を挿入し、定点座標から手術器具の先端座標を算出することが可能な定点定義可能な物体の1例を示した図である。
【図7】手術器具の先端を挿入し、定点座標から手術器具の先端座標を算出することが可能な定点定義可能な物体の別の例を示した図である。
【図8】手術器具の先端を挿入し、定点座標と細長い穴方向のベクトルとから手術器具の先端座標を算出することが可能な定点定義可能な物体の例を示した図である。
【符号の説明】
【0045】
10:手術器具(被測定物体)、 12:球体(第1標識部)、 20,30,40,50,60,70,80,90:定点定義可能な物体(較正用物体)、 21,31,51:直方体、 22:球体A、 23:球体B、 24,34,44,54:突起(当接部)、 25,35,45,55:固定治具、 26:球体C、 41:円柱、 52:円錐、 61,73,74,81,91:細長い穴、 71,72:球体
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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