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明細書 :高濃度溶解水生成装置および高濃度溶解水生成システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5682904号 (P5682904)
公開番号 特開2011-056498 (P2011-056498A)
登録日 平成27年1月23日(2015.1.23)
発行日 平成27年3月11日(2015.3.11)
公開日 平成23年3月24日(2011.3.24)
発明の名称または考案の名称 高濃度溶解水生成装置および高濃度溶解水生成システム
国際特許分類 B01F   5/10        (2006.01)
B01F   1/00        (2006.01)
B01F   3/08        (2006.01)
B01F   3/04        (2006.01)
B01F   5/00        (2006.01)
C02F   1/78        (2006.01)
C02F   1/50        (2006.01)
FI B01F 5/10
B01F 1/00 A
B01F 3/08 Z
B01F 3/04 A
B01F 5/00 G
C02F 1/78
C02F 1/50 510A
C02F 1/50 531R
C02F 1/50 540A
請求項の数または発明の数 8
全頁数 16
出願番号 特願2010-171016 (P2010-171016)
出願日 平成22年7月29日(2010.7.29)
優先権出願番号 2009187468
優先日 平成21年8月12日(2009.8.12)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年7月18日(2013.7.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
【識別番号】508289040
【氏名又は名称】有限会社イタケン
発明者または考案者 【氏名】鹿毛 浩之
【氏名】馬渡 佳秀
【氏名】山本 晶生
【氏名】伊田 能久
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100093285、【弁理士】、【氏名又は名称】久保山 隆
審査官 【審査官】松井 裕典
参考文献・文献 特開2002-018253(JP,A)
米国特許出願公開第2001/0050443(US,A1)
米国特許出願公開第2009/0008807(US,A1)
特開2004-267940(JP,A)
特開2003-260341(JP,A)
特開2007-181801(JP,A)
特開昭60-58234(JP,A)
特開平10-66850(JP,A)
特開2004-290870(JP,A)
特表2007-509740(JP,A)
特開2006-281000(JP,A)
特開2009-90258(JP,A)
特開平8-182994(JP,A)
特開2009-112953(JP,A)
調査した分野 B01F 1/00-5/00
C02F 1/50
C02F 1/78
特許請求の範囲 【請求項1】
導入口から取り入れられた原水に微細気泡を接触させることで生成された溶解水が、排出口から取り出される筒状の気液接触槽と、
前記気液接触槽への微細気泡を発生する気泡発生装置と、
前記気液接触槽の上部に一端が接続され、下部に他端が接続され、前記気液接触槽の溶解水が通水する循環路と、
前記循環路に設けられ、前記気液接触槽の溶解水を、前記気液接触槽の下部から上部へ向かって循環させる循環ポンプとを備え
前記循環路の他端が接続された溶解水流入口と前記導入口とは、前記気液接触槽の内周面の円周方向に沿って水流が同方向に流れるように配置され、
前記気泡発生装置からの微細気泡を導入する吐出口が前記気液接触槽の下部の軸心位置に配置されていることを特徴とする高濃度溶解水生成装置。
【請求項2】
前記吐出口は、微細気泡を放出する位置が、前記導入口および溶解水流入口より高い位置に配置されている請求項記載の高濃度溶解水生成装置。
【請求項3】
前記気液接触槽が、導入側と排出側との間で並列に複数設けられ、
前記複数の気液接触槽の溶解水の通水量を制御する制御装置を備えた請求項1または2記載の高濃度溶解水生成装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記並列に設けられた気液接触槽内の溶解水を同時排出する請求項記載の高濃度溶解水生成装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記並列に設けられた気液接触槽内の溶解水を切り替えながら排出する請求項記載の高濃度溶解水生成装置。
【請求項6】
前記気液接触槽が、導入側と排出側との間で直列に複数設けられている請求項1または2記載の高濃度溶解水生成装置。
【請求項7】
前記気液接触槽には、排出される溶解水を貯留する貯留部が設けられている請求項1からのいずれかの項に記載の高濃度溶解水生成装置。
【請求項8】
前記請求項1からのいずれかの項に記載の高濃度溶解水生成装置と、
前記高濃度溶解水生成装置からの溶解水と前記高濃度溶解水生成装置を迂回させた原水とを混合する混合槽とを備えたことを特徴とする高濃度溶解水生成システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、原水に気体を効率よく溶解させて高濃度の溶解水を生成することができる高濃度溶解水生成装置および高濃度溶解水生成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体に気体を溶解させる装置では、効率よく溶解させることが要求される。特に、上水の浄化や下水の浄化を目的とした浄水処理システムでは、原水に気体としてオゾンガスを接触させて溶解させ、殺菌、脱色、脱臭を実現している。このような浄水処理システムとして、例えば特許文献1,2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1の浄化供給方法と浄化供給システムには、溶解タンクの天井付近に水面に対して直角方向に設けられたノズルから、オゾンガスを混合させた原水を、ノズルの真下に略水平に設けた邪魔板に噴射して叩き付けることで、飛沫を多く発生させてオゾンガスを原水に溶解させるオゾン処理装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2の分離注入式オゾン接触方法には、反応槽上部の導入口から、送水ポンプにより原水を導入し、同時にオゾン発生装置で発生させたオゾンガスを、散気装置を通し微細な気泡として反応槽内に注入することで原水に気泡(オゾンガス)を混合させて混合水とし、混合水が反応槽の下降溶解部を流下し、反応槽の底部を通り、上昇部を経て、排出口から浄化するための処理水として配水される下降溶解型オゾン処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2007-181801号公報
【特許文献2】特開平8-192176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目的とする溶解水を得るためには、溶解させたい気体を原水にできるだけ長時間接触させるのが望ましい。特に、オゾンガスは難溶解性を有しているので、高濃度のものを得るにはできるだけ原水に接触させて溶解させる必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1に記載のオゾン処理装置では、単にノズルからのオゾンガスを混合させた原水を、邪魔板に叩き付けて飛沫を発生させることで、オゾンガスを原水に溶解させているため、オゾンガスと原水との接触頻度が少なく、高濃度の溶解水は得られ難いものと推定される。
【0008】
また、特許文献2に記載の下降溶解型オゾン処理装置においては、原水にオゾンガスを混合させた混合水が、反応槽の下降溶解部へ流下し、反応槽の底部を通り上昇部を上昇する間が、原水とオゾンガスとの接触期間となるため、やはり充分とは言えず、高濃度な溶解水が得られ難いものと思われる。
例えば、反応槽の深さを深くすることで、混合水が下降溶解部と上昇部とを通過する時間を長くなるようにすることも考えられる。しかし、反応槽が大きくなることで装置規模が大型化するおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、気体が原水に溶解するのに十分な接触を確保することで高濃度の溶解水を得ることができると共に、装置の大型化を抑制することができる高濃度溶解水生成装置および高濃度溶解水生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の高濃度溶解水生成装置は、導入口から取り入れられた原水に微細気泡を接触させることで生成された溶解水が、排出口から取り出される筒状の気液接触槽と、前記気液接触槽への微細気泡を発生する気泡発生装置と、前記気液接触槽の上部に一端が接続され、下部に他端が接続され、前記気液接触槽の溶解水が通水する循環路と、前記循環路に設けられ、前記気液接触槽の溶解水を循環させる循環ポンプとを備えたことを特徴とする。
本発明の高濃度溶解水生成装置は、気泡発生装置により発生させた微細気泡が気液接触槽の導入口から取り入れられた原水に接触することで溶解水を生成し、排出口から取り出すことができるものである。この溶解水は、循環ポンプにより循環路を介して気液接触槽を循環する。従って、原水は循環する度に気泡発生装置からの微細気泡と接触するので、十分な接触時間を確保することができる。従って、循環する度に原水に微細気泡が溶解して徐々に濃度を上昇させることができるので、高濃度の溶解水を得ることができる。
【0011】
前記循環ポンプは、前記気液接触槽の上部から下部へ向かって溶解水を送水する、または前記気液接触槽の下部から上部へ向かって溶解水を送水するものであるのが望ましい。循環ポンプが気液接触槽の上部から下部へ向かって溶解水を送水する向流の場合には、微細気泡の浮上速度を低下させることができるので、微細気泡と原水との接触期間を長くすることができる。また、循環ポンプが気液接触槽の下部から上部へ向かって溶解水を送水する並流の場合には、微細気泡の直径がミリオーダ程度の大きさのときに、微細気泡同士の間隔を広げ、微細気泡同士の結合を抑止することができる。
【0012】
前記循環路の他端が接続された溶解水流入口は、前記気液接触槽の内周面の円周方向に沿って水流が流れるように配置されているのが望ましい。
溶解水流入口からの微細気泡を含む水流が、気液接触槽の下部にて、気液接触槽の内周面の円周方向に沿って水流が同方向に流れることで、気液接触槽の下部で軸心を中心とした旋回流が発生する。旋回流は時間の経過と共に、上部まで拡がり気液接触槽内部で全体的な大きな旋回流となる。微細気泡は、旋回流と共に気液接触槽の内周面に沿って旋回をしているが、次第に軸心付近に密集した状態となることで、浮上速度が低下する。従って、微細気泡の接触時間を増大することができるので、更に高濃度の溶解水を効率よく得ることができる。
【0013】
前記導入口は、前記溶解水流入口からの水流と同方向に、前記気液接触槽の内周面の円周方向に沿って流れるように配置されているのが望ましい。導入口からの原水が気液接触槽の内周面の円周方向に沿って、溶解水流入口からの水流と同方向に流れることで、旋回流となっている溶解水流入口からの水流と合わさって、より強い回転力を発生させることができる。従って、より微細気泡を軸心付近に密集した状態とすることができるので、更に、微細気泡の接触時間を増大させることができる。
【0014】
前記気泡発生装置からの微細気泡を導入する吐出口が前記気液接触槽の下部の軸心位置に配置されていると、気液接触槽の下部から導入され微細気泡が、上昇すると共に発生した旋回流により軸心中心に軸周りに回転させ密集させることができるので、微細気泡を集約させやすい状態とすることができる。
【0015】
微細気泡を放出する前記吐出口の位置が前記導入口および溶解水流入口より低ければ、微細気泡は旋回流と共に、気液接触槽の内周面に沿って流され、軸心を中心として集約しにくくなるが、前記吐出口の微細気泡を放出する位置が、前記導入口および溶解水流入口より高い位置に配置されていれば、旋回流が直接的に微細気泡を押し流さないので、集約させやすくすることができる。
【0016】
前記気液接触槽が、導入側と排出側との間で並列に複数設けられ、前記複数の気液接触槽の溶解水の通水量を制御する制御装置を備えていると、大量の高濃度の溶解水を生成することができる。
【0017】
前記制御装置が、前記並列に設けられた気液接触槽内の溶解水を同時排出すると、大量の高濃度の溶解水を一度に送出することができる。
また、前記制御装置が前記並列に設けられた気液接触槽内の溶解水を切り替えながら排出すると、高濃度化した溶解水を排出する気液接触槽と、排出を停止して循環させて高濃度化する気液接触槽とに分けることができるので、より高濃度とした溶解水を連続的に生成することができる。
【0018】
前記気液接触槽が、導入側と排出側との間で直列に複数設けられていると、気液接触槽を通過する度に溶解水を高濃度化することができる。
前記気液接触槽には、排出される溶解水を貯留する貯留部が設けられているのが望ましい。気液接触槽から排出される溶解水は貯留部に一旦貯留されることで、送水速度が低下する。従って、貯留部にて残留している微細気泡を溶解水に溶け込ませることができる。
【0019】
本発明の高濃度溶解水生成システムは、本発明の高濃度溶解水生成装置と、前記高濃度溶解水生成装置からの溶解水と前記高濃度溶解水生成装置を迂回させた原水とを混合する混合槽とを備えたことを特徴とする。
本発明の高濃度溶解水生成装置は高濃度の溶解水が得られるので、本発明の高濃度溶解水生成装置を迂回させた原水に高濃度の溶解水を混合槽にて混合しても、原水浄化に必要な濃度を確保した混合水とすることができる。また、高濃度とする原水は必要量の一部なので、本発明の高濃度溶解水生成システムは小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、原水が循環する度に微細気泡が溶解して徐々に濃度を上昇させることができるので、高濃度の溶解水を得ることができ、接触時間を長くするために気液接触槽の大きさを大きくする必要がないので装置の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る浄水処理システム全体の構成を示す図である。
【図2】図1に示す浄水処理システムの高濃度溶解水生成装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る高濃度溶解水生成装置の第1変形例を示す図である。
【図4】図3に示す高濃度溶解水生成装置の導水ユニットを示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図5】(A)~(C)は図3に示す高濃度溶解水生成装置の動作を説明するための図である。
【図6】図4に示す導水ユニットの変形例を示す図であり、(A)は三方から水流が導入される導入ユニットを示す平面図、(B)は(A)の正面図、(C)は四方から水流が導入される導入ユニットを示す平面図、(D)は(C)の正面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る高濃度溶解水生成装置の第2変形例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る高濃度溶解水生成装置を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る高濃度溶解水生成装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る高濃度溶解水生成システムを、浄化処理システムを例に、図面に基づいて説明する。
図1に示す浄化処理システム1は、取水された原水が一旦貯留される着水井10と、凝集剤を投入して、ミキサにより撹拌して均一に分散させフロックを形成する混和池20と、混和池20で形成された小さなフロックをフロキュレータにより緩やかに撹拌して各フロックを更に大きなフロックの塊とするフロック形成池30と、フロックを沈殿させる沈殿池40と、フロックとなった固分と液分とを分離する濾過池50とを備えている。

【0023】
また、浄化処理システム1は、濾過池50からの原水の一部を原水としてオゾンガスを溶解させ、溶解水として排出する高濃度溶解水生成装置60と、高濃度溶解水生成装置60を迂回させた原水と高濃度溶解水生成装置60からの溶解水とを混合する混合槽として機能するオゾン接触池70と、活性炭により脱臭を行う活性炭吸着塔80と、塩素を混合させて減菌する塩素減菌池90とを備えている。

【0024】
ここで、高濃度溶解水生成装置60について、図2に基づいて詳細に説明する。
高濃度溶解水生成装置60は、導水部61と、オゾン生成部62と、気液接触槽63と、気泡発生装置64と、循環部65とを備えている。

【0025】
導水部61は、原水を一旦貯留するバッファタンク611と、バッファタンク611内の原水を送水する原水ポンプ612と、送水量を調整するコック613と、原水の送水量を測定する流量計614とを備えている。

【0026】
オゾン生成部62は、高純度の酸素を濃縮して送気する酸素濃縮装置621と、圧力制御バルブ622と、送気される圧縮酸素の流量を測定する流量計623と、圧縮酸素からオゾンガスを発生するオゾン発生装置624とを備えている。

【0027】
気液接触槽63は、円筒形状に形成されたタンクユニットを連結したものである。気液接触槽63は、最下端に位置する導水ユニット631と、第1接触ユニット632と、第2接触ユニット633と、最上端に位置する貯留部ユニット634とを連結したものである。
導水ユニット631には、一方に導入口631aが設けられ、導水部61からの原水送水管615が接続されている。また、導水ユニット631には、他方に溶解水流入口631bが設けられ、循環部65の循環路の一部となる溶解水送水管651が接続されている。
第1接触ユニット632には、気泡発生装置64が配置されている。第2接触ユニット633には、上端に溶解水流出口633aが設けられている。また、第2接触ユニット633には、溶解水のオゾン濃度を測定するオゾンメーター66が配置されている。
貯留部ユニット634は、気液接触槽63の第2接触ユニット633から排出される溶解水を貯留する貯留部である。貯留部ユニット634は、第2接触ユニット633より大きい管径により形成されていると共に、第2接触ユニット633の上部に設けられている。貯留部ユニット634内には、第2接触ユニット633の端部が突出している。貯留部ユニット634の排出口634aには、オゾン接触池70へ通じる送水管635が接続されている。

【0028】
気泡発生装置64は、オゾン生成部62からのオゾンガスを微細気泡として気液接触槽63に放出するものである。この気泡発生装置64としては、ディフューザと称される散気管が使用できる。気泡発生装置64は、直径0.1μm~2mm程度の微細気泡を放出する機能を備えている。

【0029】
循環部65は、循環路を形成する溶解水送水管651と、溶解水送水管651に設けられた溶解水を循環させる循環ポンプ652と、溶解水の流量を測定する流量計653と、コック654とを備えている。
溶解水送水管651は、一端が気液接触槽63の上部に位置する第2接触ユニット633の上端に接続され、他端が下部に位置する導水ユニット631に接続されている。

【0030】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る浄水処理システム1の動作を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、集水された汚濁水は、着水井10、混和池20、フロック形成池30、沈殿池40を経て濾過池50を通過することで固分と液分とが分離される。濾過池50から取水した原水の一部が高濃度溶解水生成装置60へ送水される。

【0031】
図2に示すように、原水は導水部61のバッファタンク611へ一旦貯留される。バッファタンク611の原水は、原水ポンプ612によりコック613を経由して導入口631aから気液接触槽63へ流れ込む。気液接触槽63内では、導入口631aからの原水に気泡発生装置64からの微細気泡が吹き出されているので、微細気泡が第1接触ユニット632から第2接触ユニット633へ上昇する間に、微細気泡が原水に溶解して溶解水となる。

【0032】
循環部65では、溶解水送水管651に、微細気泡が原水に溶解した溶解水が、溶解せずに残留した微細気泡と共に、循環ポンプ652の送水により第2接触ユニット633の溶解水流出口633aから流れ込む。溶解水は、溶解水送水管651を流れ、溶解水流入口631bから再び気液接触槽63へ流れて、気泡発生装置64からの微細気泡と接触する。

【0033】
このように溶解水は、循環ポンプ652により、気液接触槽63内から溶解水流出口633aを介して溶解水送水管651へ、そして溶解水流入口631bを通過して再び気液接触槽63内へとなる流れを繰り返すことで、十分な接触を確保することができる。従って、循環する度に原水に微細気泡が溶解して徐々に濃度を上昇させることができるので、高濃度の溶解水を得ることができる。

【0034】
また、気液接触槽63に対して循環路を形成する溶解水送水管651が、気液接触槽63の上部に一端が接続され、下部に他端が接続されており、循環ポンプ652が気液接触槽63の下から上へと上昇する水流(並流)を作り出しているので、気泡発生装置64から放出された微細気泡は、水流により間隔が広がり結合が抑止される。従って、微細気泡同士が結合することで気泡の直径が肥大し、気泡全体として表面積が減少することで原水との接触面積が低下してしまうことを低減することができるので、接触効率を向上させることができる。

【0035】
このようにして高濃度の溶解水となると、溶解水は気液接触槽63の貯留部ユニット634から送水管635を介してオゾン接触池70へ送水される。
第2接触ユニット633から貯留部ユニット634へ流れ込む際には、貯留部ユニット634にて一旦溶解水が貯留されることで、送水速度が低下する。従って、貯留部ユニット634にて、残留している微細気泡を溶解水に溶け込ませることができる。また、貯留部ユニット634内には、第2接触ユニット633の端部が突出していることにより、第2接触ユニット633からの溶解水は越流となって貯留部ユニット634内へ進入することになる。従って、残留した微細気泡を溶解水に更に溶け込ませることができる。

【0036】
オゾン接触池70では、濾過池50から高濃度溶解水生成装置60を迂回した原水と、高濃度溶解水生成装置60からの高濃度の溶解水とが混合されることで、浄化に十分な濃度の溶解水に希釈される。
浄化処理システム1は、濾過池50からの一部の原水をオゾンガスが溶解した溶解水とするだけでよく、濾過池50からの全部の原水を溶解水としていないので、高濃度溶解水生成装置60を大容量のものとしなくてもよい。従って、浄化処理システム1は小型化を図ることができると共に、省電力化を図ることができる。

【0037】
また、循環部65がなく、オゾンガスが気液接触槽を一回通過するだけでのワンパス接触方式の従来の溶解水生成装置と比較して、高濃度溶解水生成装置60は原水に溶け込まずに廃オゾンガスとなってしまう量が少ないので、従来の溶解水生成装置より少ない量のオゾンガスで同程度の濃度の溶解水を生成することができる。従って、オゾン発生装置624において、オゾンガスを生成するのに必要な電力量を節約することができるので、高濃度溶解水生成装置60は、省電力化を図ることができる。

【0038】
実施の形態1に係る高濃度溶解水生成装置60では、気液接触槽63への流入量をコック613の調整や原水ポンプ612の送水量により気液接触槽63におけるオゾン濃度と気液接触槽63からオゾン接触池70への流出量とを調整したりすることができる。また、循環ポンプ652の送水量やオゾン発生装置624のオゾンガスの発生量によりオゾン濃度を調整することができる。
更に、コック613を閉塞することで気液接触槽63の流入を止め、所定の濃度の溶解水が得られるまで気液接触槽63を循環させた後に溶解水を、気液接触槽63から流出させるためのコックを、送水管635に設けるようにしてもよい。

【0039】
なお、本実施の形態1では、循環ポンプ652は、気液接触槽63の下部から上部へ向かって溶解水を送水しているが、上部から下部へ向かって溶解水を送水する向流としてもよい。その場合には、微細気泡の浮上と反対方向へ溶解水が流れるので、微細気泡の浮上速度を低下させることができる。従って、オゾンガスにより形成された微細気泡と原水との接触期間を長くすることができる。

【0040】
また、本実施の形態1では、貯留部である貯留部ユニット634を第2接触ユニット633に連結することで、貯留部ユニット634を気液接触槽63の一部としているが、貯留部を気液接触槽と別体としてもよい。その場合には、送水速度が貯留部内で減速するように、貯留部と気液接触槽と接続する管径より貯留部内を広く形成するのが望ましい。
更に、本実施の形態1では、気液接触槽63に1本の循環路が形成されているが、気液接触槽63の大きさに応じて複数の循環路を設けてもよい。また、気液接触槽63は円筒形状の各ユニットを連結した塔状としているが、高さに対して直径が太い円柱状、直方体状、立方体状としてもよい。気液接触槽をこれらの形状とする場合には、前述したように周壁面に循環部65を並べて設けるようにしてもよい。

【0041】
(実施の形態1の第1変形例)
本発明の実施の形態1に係る高濃度溶解水生成装置の第1変形例について、図面に基づいて説明する。なお、図3においては、図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、この第1変形例に係る高濃度溶解水生成装置60aでは、気液接触槽63xの最下端に位置する導水ユニット631xで、旋回流を発生させることを特徴とするものである。

【0042】
導水ユニット631xには、導水部61からの原水送水管615が接続された導入口631aが一方に設けられ、循環部65の循環路の一部となる溶解水送水管651が接続された溶解水流入口631bが他方に設けられている。
この導入口631aと、溶解水流入口631bとは、図4(A)および同図(B)に示すように、軸心に対して直角に交わる同一平面上に設置され、互いに反対方向に位置して、気液接触槽63xの内周面の円周方向に沿って水流が同方向に流れるように配置されている。

【0043】
また、導水ユニット631xには、微細気泡を気液接触槽63xに導入する気泡発生ノズル64bが気液接触槽63xの下部の軸心位置に配置されている。気泡発生ノズル64bは、オゾン発生装置624からのオゾンガスを0.01mm以下からマイクロオーダーの微細気泡に、更にはナノバブルと呼ばれる微細気泡にして原水中に放出するものである。オゾン発生装置624と気泡発生ノズル64bとの間には、オゾン発生装置624からのオゾンガスの圧力を所定圧とする圧力レギュレータ64aが設けられている。第1変形例では、この気泡発生ノズル64bを気泡発生装置64(図2参照)の代わりに設置している。
気泡発生ノズル64bは、微細気泡を吐出する位置が、導入口631aと、溶解水流入口631bとより高い位置としている。

【0044】
次に、第1変形例に係るに係る高濃度溶解水生成装置60aの動作を図面に基づいて説明する。
図3に示すオゾン発生装置624からのオゾンガスが気泡発生ノズル64bの吐出口より微細気泡となって、図5(A)に示すように、気液接触槽63xの下部の軸心位置から気液接触槽63x内に放出される。

【0045】
導入口631aからの微細気泡を含む水流と溶解水流入口631bからの溶解水とが、気液接触槽63xの下部にて、気液接触槽63xの内周面の円周方向に沿って同方向に流れる。そうすることで、図5(B)に示すように気液接触槽63xの下部で軸心を中心とした旋回流が発生する。旋回流は時間の経過と共に上部まで拡がり気液接触槽内部で全体的な大きな旋回流となる。
図5(C)に示すように、気泡発生ノズル64bからの微細気泡は、旋回流と共に気液接触槽の内周面に沿って旋回をしているが、次第に軸心付近に密集した状態となることで、浮上速度が低下する。従って、微細気泡の接触時間を増大することができるので、更に高濃度の溶解水を効率よく得ることができる。

【0046】
また、気泡発生ノズル64bにおいては、吐出口の微細気泡を放出する位置が、原水を導入する導入口631aおよび循環水である溶解水を導入する溶解水流入口631bより高い位置に配置されているので、旋回流が直接的に微細気泡を押し流さないので、集約させやすくすることができる。

【0047】
第1変形例では、気液接触槽63は水平断面がほぼ円形であるため、導入口631aおよび溶解水流入口631bを気液接触槽63の接線方向に沿って配置することにより強い旋回流を発生させている。つまり、導入口631aおよび溶解水流入口631bは気液接触槽63は半径方向に直交する方向に向いて配置されている。そして、導入口631aと溶解水流入口631bとの位置関係は、軸心を中心として点対称となる位置に設けられている。

【0048】
しかし、導入口631aおよび溶解水流入口631bは、旋回流が発生できれば、半径方向に対して鈍角または鋭角となるような傾斜角度を有していてもよい。また、気液接触槽63の円周方向に沿って水流が同方向に流れるように配置されていれば、導入口631aおよび溶解水流入口631bは点対称となる位置でなくてもよい。

【0049】
更に、図6(A)および同図(B)に示すように、導水ユニット631y,631zは、軸心に位置する気泡発生ノズル64bを中心として水流を導入するための配管が所定角度ごとに接続されている。
例えば、図6(A)に示す導入ユニット631yでは、溶解水を導入する溶解水流入口631bが2つと、原水を導入する導入口631aが1つが、120°ごとに設けられている。
また、図6(B)に示す導入ユニット631zでは、溶解水流入口631bが2つと、導入口631aが2つが、90°ごとに交互に設けられている。

【0050】
このように、1つ以上の導入口631aや1つ以上の溶解水流入口631bを組み合わせて、旋回流を発生させるように接続してもよい。2つ以上の導入口631aや2つ以上の溶解水流入口631bに接続する場合には、溶解水送水管651や原水送水管615を2以上に分岐する分岐管を介在させることで接続することができる。

【0051】
(実施の形態1の第2変形例)
本発明の実施の形態1に係る高濃度溶解水生成装置の第2変形例について、図面に基づいて説明する。なお、図7においては、図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
この第2変形例に係る高濃度溶解水生成装置60bでは、第1変形例と同様に、オゾン発生装置624からのオゾンガスの圧力を所定圧とする圧力レギュレータ64aと、オゾン発生装置624からのオゾンガスを微細気泡にして原水中に放出する気泡発生ノズル64bとを、気泡発生装置64(図2参照)の代わりに設置したものである。オゾンガスによる気泡がより微細となることで、接触総面積を増大させることができ、微細気泡の浮上速度も低減するので、より高濃度の溶解水を得ることができる。

【0052】
また、高濃度溶解水生成装置60bでは、循環ポンプ652は、気液接触槽63の上部から下部へ向かって溶解水を送水しているので、更に微細気泡の浮上速度を低下させることができる。従って、オゾンガスにより形成された微細気泡と原水との接触期間を長くすることができる。

【0053】
オゾンガスによる気泡が微細過ぎて浮上速度が遅く、微細気泡が溶解水の流れと共に、気液接触槽63の上部から下部へ、そして溶解水送水管651へ流れ込み、循環するようであれば、循環ポンプ652は気液接触槽63の下部から上部へ向かって溶解水を送水するようにしてもよい。

【0054】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る高濃度溶解水生成装置を図面に基づいて説明する。なお、図8においては、図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態2に係る高濃度溶解水生成装置では、気液接触槽が、導入側と排出側との間で並列に複数設けられ、制御装置が設置されて溶解水の生成を制御していることを特徴としている。

【0055】
図8に示すように、高濃度溶解水生成装置60cには、導水部61と、気液接触槽63と循環部65と気泡発生装置64とを一組として3組が設けられている。それぞれのバッファタンク611には、濾過池50(図1参照)から汲み上げられた原水をそれぞれに分配するために1本の配管が3本に分岐する分配管616が接続されている。また、3基の気液接触槽63のそれぞれには、3本の配管を1本に集合する集約管636が接続されている。

【0056】
このように、高濃度溶解水生成装置60cは、3基の気液接触槽63が導水部61を介して分配管616により濾過池50に接続され、集約管636によりオゾン接触池70に接続されていることで、気液接触槽63が導入側と排出側との間で並列に接続されている。また、それぞれの気泡発生装置64は、オゾンガスを供給するオゾン生成部62を共通させている。
高濃度溶解水生成装置60cに設けられた制御装置67は、3組分の原水送水管615に設けられた電磁弁613aと、送水管635に設けられた電磁弁635aとの流量を制御する。

【0057】
制御装置67は、例えば、3組全部の電磁弁613a,635aを通水状態とすることで、並列に設けられた気液接触槽63内の溶解水を同時排出するように制御してもよい。そうすることで、大量の溶解水を生成することができる。

【0058】
また、制御装置67は、3組の電磁弁613a,635aのうち一つずつ切り替えながら気液接触槽63から溶解水を排出するようにしてもよい。そうすることで、高濃度化した溶解水を排出する気液接触槽63と、排出を停止して循環させて高濃度化する気液接触槽63とに分けることができるので、より高濃度とした溶解水を連続的に生成することができる。

【0059】
なお、制御装置67が切り替える溶解水の排出をする気液接触槽63は、所定時間ごとに切り替えるようにしてもよいし、オゾンメーター66からの濃度情報により切り替えるようにしてもよい。また、気液接触槽63にて、所定時間が経過しても所望とするオゾン濃度の溶解水が得られないときには、溶解水送水管651に設けられた流量計653からの流量情報や、原水送水管615に設けられた流量計614からの流量情報に基づいて、制御装置67が循環ポンプ652や原水ポンプ612の送水量を調整することで、高濃度の溶解水とすることが可能である。

【0060】
本実施の形態2では、3基の気液接触槽63を並列に接続しているが、2基でも4基以上でも、溶解水の供給量に応じて気液接触槽63の数を減少させたり、増加させたりすることができる。また、制御装置67は、3基の気液接触槽63を1基ずつ切り替えることの他に、4基の気液接触槽63が並列接続されていたり、6基の気液接触槽63が並列接続されていたりした場合には、2基ずつ切り替えたり、3基ずつ切り替えたりすることができる。従って、本実施の形態2に係る高濃度溶解水生成装置60cは、拡張性に優れている。

【0061】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る高濃度溶解水生成装置を図面に基づいて説明する。なお、図9においては、図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態3に係る高濃度溶解水生成装置では、気液接触槽が、導入側と排出側との間で直列に複数設けられていることを特徴としている。

【0062】
図9に示すように、高濃度溶解水生成装置60dには、気液接触槽63と循環部65と気泡発生装置64とを一組として2組が設けられ、貯留部ユニット634からの送水管635を、次の気液接触槽63の導入口631aに接続することで、直列接続されている。気液接触槽63が直列接続されていることで、それぞれの気液接触槽63内を循環して高濃度となった溶解水が、次段の気液接触槽63で更にオゾンガスの微細気泡が投入されるので、溶解水が気液接触槽63を通過する度に溶解水を高濃度化することができる。

【0063】
本実施の形態3では、2基の気液接触槽63が直列接続されているが、所望とする濃度に応じて3基以上を直列接続することが可能である。

【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、実施の形態1の第2変形例では、実施の形態1に係る高濃度溶解水生成装置60と気液接触槽63内を流れる溶解水の水流方向が反対となっているように、実施の形態2,3に係る高濃度溶解水生成装置60c,60dにおいても、循環ポンプ652による送水を反対方向とすることが可能である。また、実施の形態2,3に係る高濃度溶解水生成装置60c,60dに第1変形例で説明した旋回流を発生する送水ユニット631xを適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の高濃度溶解水生成装置および高濃度溶解水生成システムは、微細気泡をオゾンガスとすることで浄水場の浄化装置として好適であるが、オゾンガスによる高濃度の溶解水が得られるので、河川湖浄化やヘドロの対策、水族館、プール、上水処理、食品業界や農林水産業、医療分野、精密電子機器分野等にも利用することができる。
【0066】
また、微細気泡を他の気体とし、様々な高濃度の溶解水を生成することも可能である。例えば、二酸化炭素とメタンガスとの混合ガスを本発明の高濃度溶解水生成装置に導入して、原水に二酸化炭素ガスを溶解させて混合ガスから除去することでメタンガスを選択的に抽出してハイカロリーなガスとすることも可能である。そうすることで、本発明の高濃度溶解水生成装置をバイオ天然ガス生成装置として機能させることができる。また、二酸化炭素ガスを溶解除去することにより、下水廃水処理や化石燃料使用産業、美容健康業界などでも利用可能である。
【0067】
更に、本発明の高濃度溶解水生成装置により、酸素ガスを原水に溶解させることで、食品業界や農林水産業、医療分野、美容健康業界でも利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 浄化処理システム
10 着水井
20 混和池
30 フロック形成池
40 沈殿池
50 濾過池
60,60a~60d 高濃度溶解水生成装置
61 導水部
611 バッファタンク
612 原水ポンプ
613 コック
613a 電磁弁
614 流量計
615 原水送水管
616 分配管
62 オゾン生成部
621 酸素濃縮装置
622 圧力制御バルブ
623 流量計
624 オゾン発生装置
63、63x 気液接触槽
631,631x,631y 導水ユニット
631a 導入口
631b 溶解水流入口
632 第1接触ユニット
633 第2接触ユニット
633a 溶解水流出口
634 貯留部ユニット
634a 排出口
635 送水管
635a 電磁弁
636 集約管
64 気泡発生装置
64a 圧力レギュレータ
64b 気泡発生ノズル
65 循環部
651 溶解水送水管
652 循環ポンプ
653 流量計
654 コック
66 オゾンメーター
67 制御装置
70 オゾン接触池
80 活性炭吸着塔
90 塩素減菌池
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8