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明細書 :pHまたは濃度の測定装置及びpHまたは濃度の測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第4452843号 (P4452843)
登録日 平成22年2月12日(2010.2.12)
発行日 平成22年4月21日(2010.4.21)
発明の名称または考案の名称 pHまたは濃度の測定装置及びpHまたは濃度の測定方法
国際特許分類 G01N  27/414       (2006.01)
G01N  27/30        (2006.01)
G01N  27/416       (2006.01)
FI G01N 27/30 301X
G01N 27/30 315Z
G01N 27/46 353Z
G01N 27/30 301A
G01N 27/30 301U
請求項の数または発明の数 4
全頁数 12
出願番号 特願2009-194304 (P2009-194304)
出願日 平成21年8月25日(2009.8.25)
審査請求日 平成21年8月26日(2009.8.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】山田 章
【氏名】中村 通宏
【氏名】毛利 聡
【氏名】成瀬 恵治
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100080621、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 寿一郎
審査官 【審査官】黒田 浩一
参考文献・文献 特開2005-127974(JP,A)
特開2006-132989(JP,A)
山田章ほか,半導体センサISFETを用いた多検体自動pH測定の検討,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2009講演論文集,日本,2009年 5月24日,P.2A2-L04(1)-(3)
調査した分野 G01N 27/414
G01N 27/30
G01N 27/416
JSTPlus(JDreamII)
要約 【課題】低緩衝能の被検体においてもできるだけ短時間で測定可能なpHまたは濃度の測定装置及びpHまたは濃度の測定方法を提供する。
【解決手段】溶液のpHまたは濃度に応じた信号を出力する第1と第2のセンサと、第1のセンサが配設された第1貯留部及び第2のセンサが配設された第2貯留部とが設けられた検査管と、検査管内にベースライン溶液を送給する送給手段と、検査管の第1貯留部内に被検体である検体溶液を注入して第1のセンサに検体溶液に接触させる注入手段とを備えて、検体溶液のpHまたは濃度を測定するpHまたは濃度の測定装置及び測定方法において、第1貯留部内に貯留した検体溶液とベースライン溶液との界面を振動させる振動手段を設ける。
【選択図】図6
特許請求の範囲 【請求項1】
それぞれISFETで構成した第1と第2のセンサと、
先端側に被検体である検体溶液を貯留する第1貯留部を有するとともに基端側にベースライン溶液を貯留する第2貯留部を有する検査管と、
前記検査管の基端側から前記検査管内に前記ベースライン溶液を送給する送給手段と、
前記検査管の前記第1貯留部内に前記検体溶液を注入する注入手段と
を備えて、
前記第1貯留部には前記第1のセンサを測定用のセンサとして設けるとともに、
前記第2貯留部には前記第2のセンサを参照用のセンサとして設け、
前記送給手段で送給した前記ベースライン溶液により前記検査管内を洗浄した後に、前記注入手段で前記第1貯留部内に前記検体溶液を注入することにより、前記第1のセンサに前記検体溶液を接触させる一方で前記第2のセンサに前記ベースライン溶液を接触させて、前記検体溶液のpHまたは濃度を測定するpHまたは濃度の測定装置において、
前記第1貯留部内に前記検体溶液を注入したことにより前記検査管内に形成される前記検体溶液と前記ベースライン溶液との界面を振動させる振動手段を設けたpHまたは濃度の測定装置。
【請求項2】
前記振動手段は、前記第2貯留部内に貯留した前記ベースライン溶液に圧力変動を加えて前記界面を振動させる請求項1に記載のpHまたは濃度の測定装置。
【請求項3】
前記振動手段は、前記界面を0.1Hz以上の周波数で、0.1~60秒間振動させる請求項1または請求項2に記載のpHまたは濃度の測定装置。
【請求項4】
それぞれISFETで構成した第1と第2のセンサのうち、前記第1のセンサに被検体である検体溶液を接触させる一方、前記第2のセンサにベースライン溶液を接触させて前記検体溶液のpHまたは濃度を測定するpHまたは濃度の測定方法において、
前記第1のセンサが配設される第1貯留部と前記第2のセンサが配設される第2貯留部とを設けた検査管内に前記ベースライン溶液を送給した後に、前記第1貯留部内に前記検体溶液を注入することにより前記検査管内に前記検体溶液と前記ベースライン溶液との界面を形成し、この界面を振動させた後に測定するpHまたは濃度の測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、pHまたは濃度の測定装置及びpHまたは濃度の測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体材料を用いて構成した電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)のゲート部分に所定の感応膜を設けたISFET(Ion Sensitive FET)が知られている。このISFETでは、感応膜が所定のイオンと反応することによって生じた電位変動を検出可能としている。
【0003】
このようなISFETにおいて、感応膜に酸化タンタル(Ta2O5)膜などを用いることにより液体中の水素イオンを検出可能としてpHセンサとして機能するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、感応膜の材質を適宜調整することによって各種のイオンを検出することができ、濃度検出用のセンサなどとして用いられることも多い。
【0004】
そして、上記したpHセンサを用いて液体のpHを自動測定する装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
このpH自動測定装置では、測定用pHセンサと、参照用pHセンサと、擬似比較電極を内部の所定位置に設けたpHセンサプローブを備えており、測定用pHセンサと、参照用pHセンサと、擬似比較電極をベースライン溶液に浸漬させて各センサでベースライン電位を検出することにより校正を行い、その後、pHセンサプローブ内に被検体の検体溶液を吸引することにより測定用pHセンサを検体溶液に接触させて電位を検出することにより水素イオン濃度を検出して、pHを測定可能としている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平9-178697号公報
【特許文献2】特開2005-127974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、測定用pHセンサをISFETで構成している場合には、たとえばpH緩衝能が0.2mM/pH以下のような低い溶液のpHを測定する際に、図8に示すように、測定開始にともなって測定用pHセンサと参照用pHセンサとの間において大きなオーバーシュート電位が発生し、しかも、その復帰に多大な時間を要することとなっていた。そのため、65秒の時点における最終出力を用いて算出したpHの測定値は、誤差の絶対値で0.12~0.394pHという大きな誤差を含むこととなっていた。
【0008】
特に、このオーバーシュート電位が解消されるまでは、正確な測定をすることができないため、測定に要する時間が極めて長くなり、測定時間の短縮化が困難となっていた。なお、図8においては、被検体の検体溶液がpHセンサプローブ内に吸引されて測定用pHセンサに接触するまでのタイムラグである6秒間の後、測定が開始されている。また、この場合、検体溶液には所定濃度とした塩化カリウム溶液を用いている。特に、各検体溶液は、26μMリン酸一カリウムと、108μMリン酸二カリウムと、低濃度のリン酸塩を含んでおり、これによりpHが6.5~6.6で、緩衝能が0.06mM/pH程度の低緩衝能溶液となっている。
【0009】
本発明者らはこのような現状に鑑み、低緩衝能の被検体においてもできるだけ短時間で測定可能とすべく研究開発を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のpHまたは濃度の測定装置では、それぞれISFETで構成した第1と第2のセンサと、先端側に被検体である検体溶液を貯留する第1貯留部を有するとともに基端側にベースライン溶液を貯留する第2貯留部を有する検査管と、検査管の基端側から検査管内にベースライン溶液を送給する送給手段と、検査管の第1貯留部内に検体溶液を注入する注入手段とを備えて、第1貯留部には第1のセンサを測定用のセンサとして設けるとともに、第2貯留部には第2のセンサを参照用のセンサとして設け、送給手段で送給したベースライン溶液により検査管内を洗浄した後に、注入手段で第1貯留部内に検体溶液を注入することにより、第1のセンサに検体溶液を接触させる一方で第2のセンサにベースライン溶液を接触させて、検体溶液のpHまたは濃度を測定するpHまたは濃度の測定装置において、第1貯留部内に検体溶液を注入したことにより検査管内に形成される検体溶液とベースライン溶液との界面を振動させる振動手段を設けた。
【0011】
さらに、本発明のpHまたは濃度の測定装置では、振動手段によって第2貯留部内に貯留したベースライン溶液に圧力変動を加えて界面を振動させることにも特徴を有し、振動手段によって検体溶液とベースライン溶液の界面を0.1Hz以上の周波数で、0.1~60秒間振動させることにも特徴を有するものである。
【0012】
また、本発明のpHまたは濃度の測定方法では、それぞれISFETで構成した第1と第2のセンサのうち、第1のセンサに被検体である検体溶液を接触させる一方、第2のセンサにベースライン溶液を接触させて検体溶液のpHまたは濃度を測定するpHまたは濃度の測定方法において、第1のセンサが配設される第1貯留部と前記第2のセンサが配設される第2貯留部とを設けた検査管内にベースライン溶液を送給した後に、第1貯留部内に検体溶液を注入することにより検査管内に検体溶液とベースライン溶液との界面を形成し、この界面を振動させた後に測定するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検体溶液に接触させる第1のセンサと、ベースライン溶液に接触させる第2のセンサとを用いて検体溶液のpHまたは濃度を測定する測定装置及び測定方法において、互いに接触させることにより形成される検体溶液とベースライン溶液との界面を振動させることにより、第1のセンサと第2のセンサとの間において生じたオーバーシュート電位を短時間で収束させることができ、pHまたは濃度の測定を速やかに行うことができる。したがって、短時間でpHまたは濃度を測定可能とした測定装置及び測定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態にかかるpHまたは濃度の測定装置の概略模式図である。
【図2】検査管の説明図である。
【図3】洗浄ステップの説明図である。
【図4】測定ステップの説明図である。
【図5】本発明に係るpHまたは濃度の測定装置による測定データの経時変化のグラフである。
【図6】他の実施形態のpHまたは濃度の測定装置の概略模式図である。
【図7】他の実施形態の振動機構の概略模式図である。
【図8】従来のpHまたは濃度の測定装置による測定データの経時変化のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のpHまたは濃度の測定装置及びpHまたは濃度の測定方法は、溶液のpHまたは濃度に応じた信号を出力する第1と第2のセンサを用いるとともに、第1のセンサを被検体である検体溶液に接触させる一方、第2のセンサをベースライン溶液に接触させて、第1と第2のセンサからそれぞれ出力された信号を用いてpHまたは濃度を測定するものである。

【0016】
特に、本発明のpHまたは濃度の測定装置及びpHまたは濃度の測定方法では、第1のセンサに検体溶液を接触させた際に形成される検体溶液とベースライン溶液との界面を、適宜の振動手段によって振動させているものである。

【0017】
本発明者らは、このように振動手段によって検体溶液とベースライン溶液との界面を振動させることによって、第1のセンサと第2のセンサとの間において生じたオーバーシュート電位を短時間で収束させることを知見し、短時間での測定を可能としているものである。

【0018】
以下において、図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。図1は、本実施形態の測定装置の概略模式図である。

【0019】
本実施形態の測定装置は、pHの自動測定装置であって、検体溶液11がそれぞれ貯留される複数個の検体ウェル12を備えた検体プレート10と、各検体溶液11に先端部を浸漬させてpHを測定するプローブとなっている検査管20と、この検査管20内に送給配管31を介して溶液タンク32からベースライン溶液を送給するポンプ30と、後述するように検査管20内に設けた各センサ及び電極を用いてpHを検出するための駆動電圧の供給及び信号検出を行う駆動回路40と、この駆動回路40で検出された信号を解析する解析装置50と、検査管20を移動操作する移動機構60とで構成している。

【0020】
検査管20は、図2に示すように、送給配管31の一端が接続される接続部21を有する第1基体22と、この第1基体22に基端側を着脱自在に取り付けるとともに先端側を基端側よりも小径として全体として先細り状とした円筒状の第2基体23と、第2基体23の内側で第2基体23の先端寄りに設けた第1のセンサである測定用pHセンサ24と、第1基体22の内側に設けた第2のセンサである参照用pHセンサ25と、参照用pHセンサ25の近傍に設けた擬似比較電極26とで構成している。

【0021】
図1及び図2では、説明の便宜上、測定用pHセンサ24及び参照用pHセンサ25を大きく描いているが、実施には、測定用pHセンサ24及び参照用pHセンサ25は0.5mm幅程度の極めて微少なセンサであり、市販のpH-ISFETを用いている。

【0022】
第1基体22には、上下方向に貫通させて設けた第1流路22aと、接続部21部分を貫通して一端を第1流路22aに連通連結するとともに他端を送給配管31に連通連結させる第2流路22bを設けており、送給配管31から送給されたベースライン溶液を第2流路22bから第1流路22aに導いている。

【0023】
第1基体22には、第1流路22aにおける上部の開口部分に閉塞体22cを装着し、実質的にL字状の流路を形成している。

【0024】
第2基体23は、基端側を第1基体22に螺着することにより着脱自在に取り付けて、第1流路22aの下部の開口部分と連通連結し、第1流路22aに導かれたベースライン溶液を第2基体23内に導いている。

【0025】
特に、第2基体23は先細り状としているので、第2基体23内においてベースライン溶液が貯留されることとなっており、第2基体23では、検体溶液11を吸引した時、吸引された検体溶液によって占有され、かつその中に測定用pHセンサ24が設けられている端寄りの部分を第1貯留部23aとし、それよりも基端寄りの部分を第2貯留部23bとしている。

【0026】
pH-ISFETで構成した測定用pHセンサ24及び参照用pHセンサ25は、それぞれ配線によって閉塞体22cに吊り下げ状に装着しており、配線の長さを調整することにより所定位置に配置している。

【0027】
擬似比較電極26も所定の配線によって閉塞体22cに吊り下げ状に装着しており、配線の長さを調整することにより参照用pHセンサ25の近傍に配置している。

【0028】
本実施形態では、第2基体23の基端寄りの部分を第2貯留部23bとしているが、第1基体22内を第2貯留部としてもよい。ただし、参照用pHセンサ25及び擬似比較電極26は、第2流路22bよりも下流側に配置することにより、ベースライン溶液中に確実に浸漬した状態となるようにしている。

【0029】
閉塞体22cを介して検査管20から引き出された各配線は駆動回路40に接続しており、この駆動回路40によって測定用pHセンサ24及び参照用pHセンサ25を駆動させるとともに、測定用pHセンサ24及び参照用pHセンサ25のそれぞれの電位と擬似比較電極26の電位の電位差を出力信号として増幅して、解析装置50に入力している。

【0030】
解析装置50は、本実施形態ではパーソナルコンピュータなどの電子計算機であって、駆動回路40から入力された信号を解析してpHを測定している。

【0031】
また、解析装置50では、検査管20にベースライン溶液を送給したり、検体溶液11を吸引したりするポンプ30の駆動制御を行っており、解析装置50による制御に基づいて検査管20にベースライン溶液を送給している。

【0032】
さらに、解析装置50では検査管20を移動操作する移動機構60も制御しており、移動機構60によって検査管20を上下左右に移動させて、検体プレート10の所定の検体ウェル12に貯留された検体溶液11のpHを順次測定している。

【0033】
移動機構60は、本実施形態では、上下方向に進退するロッド61を備えたアクチュエータ62と、このアクチュエータ62を水平方向に移動させるX-Yテーブル63とで構成しており、ロッド61の先端に検査管20を装着している。なお、移動機構60は、検査管20を上下左右に移動させることができればどのような形態であってもよい。

【0034】
検体プレート10には、複数個の検体ウェル12を設けており、異なる検体溶液11をそれぞれ収容して、移動機構60により検査管20を移動させながら連続的に測定できるようにしているとともに、検査管20の洗浄を行うための排液ウェル13を設けている。なお、検体溶液を収容する検体容器としては、検体ウェル12の代わりにサンプルチューブを用いてもよく、また移動機構としては、X-Yテーブルの代わりにターンテーブルを用いてもよい。

【0035】
排液ウェル13では、図3に示すように、排液ウェル13内に検査管20の先端を挿入した状態でポンプ30を駆動することにより、検査管20の先端からベースライン溶液を送り出して、検査管20及び測定用pHセンサ24をベースライン溶液で洗浄している。

【0036】
排液ウェル13にはオーバーフロー管14を設けており、このオーバーフロー管14を介して排液ウェル13からオーバーフローさせたベースライン溶液及び各検体溶液を排出している。

【0037】
このように構成した測定装置でpHの測定を行う場合には、まず、洗浄ステップとして排液ウェル13で検査管20を洗浄する。この洗浄ステップにおいて、検査管20内はベースライン溶液で満たされ、測定用pHセンサ24と参照用pHセンサ25は、ともにベースライン溶液と接触し、それぞれ所定の信号を出力することとなる。この信号を用いて零点校正を行っている。なお、この時、検査管20の先端部外壁に付着した検体溶液も洗浄される。

【0038】
ついで、測定ステップとして、測定装置は、移動機構60によって検査管20を所定の検体ウェル12の上方に移動させるとともに、検査管20を降下させて、図4(a)に示すように、検査管20の先端を所定の検体溶液11に浸漬させ、その状態でポンプ30を逆転駆動させることにより検査管20のベースライン溶液を逆流させて、図4(b)に示すように、検査管20の第1貯留部23aに検体溶液11を吸引し、測定用pHセンサ24に検体溶液11を接触させている。

【0039】
さらに、測定装置では、ポンプ30の正転駆動と逆転駆動とを交互に繰り返させることにより、図4(c)に示すように、検査管20内のベースライン溶液と第1貯留部23aの検体溶液11とによって形成されている界面Rを矢印のように振動させている。すなわち、本実施形態では、ポンプ30を、界面Rを振動させる振動手段として用いている。

【0040】
特に、振動手段のポンプ30は、正転駆動と逆転駆動を交互に繰り返すことにより、検査管20の第2貯留部23bのベースライン溶液に圧力変動を加えているものであり、極めて容易に界面Rを振動させることができる。

【0041】
界面Rを振動させる際には、界面Rの振動中に測定用pHセンサ24は常に検体溶液11と接触するとともに、参照用pHセンサ25は常にベースライン溶液と接触して、界面Rが測定用pHセンサ24及び参照用pHセンサ25の位置を超えないようにしている。

【0042】
具体的には、界面Rは、測定用pHセンサ24と参照用pHセンサ25の間であって、測定用pHセンサ24と参照用pHセンサ25の間の距離の約10%以内の振幅で振動させることが望ましい。

【0043】
この場合、界面Rの振動にともなって、界面R近傍の検体溶液11とベースライン溶液が撹乱されること、あるいは検体溶液11とベースライン溶液が混ざり合うことがオーバーシュート電位の解消のためには必要である。明確な界面を維持したままでの単なる振動、あるいは往復動はオーバーシュート電位の解消には有効ではない。

【0044】
振動する界面Rの周波数は0.1Hz以上の周波数であればよく、好適には1~100Hz程度の周波数であればよい。また、振動時間は0.1~60秒間程度であればよい。本実施形態では、第1貯留部23aへの検体溶液11の吸引後、約2.0Hzで約30秒間振動させた。

【0045】
図5に示すように、界面Rを振動させることにより、測定開始にともなって生じたオーバーシュート電位を短時間で収束させることができ、pHまたは濃度の測定を速やかに行うことができる。したがって、短時間でpHまたは濃度を測定可能とした測定装置及び測定方法を提供できる。なお、この場合でも検体溶液11には、図8に示した測定結果と同様の所定濃度とした塩化カリウム溶液を用いている。この場合のpHの測定誤差の絶対値は、0.010~0.060pHであって、図8の場合と比較して大幅に改善された。

【0046】
上述したように界面Rの振動をポンプ30で行う場合には、ポンプ30を精度よく駆動制御する必要があるために、ポンプ30が高価となるおそれがある。

【0047】
そこで、ポンプ30でベースライン溶液を往復させる代わりに、図6に示すように、ポンプ30の下流側の送給配管31に界面Rを振動させるための振動機構70を介設してもよい。

【0048】
本実施形態の振動機構70では、先端を送給配管31に連通連結したシリンダ71と、このシリンダ71内に設けたピストン72と、このピストン72を進退駆動させるアクチュエータ73とで構成している。

【0049】
この振動機構70は検体溶液11の吸引用として兼用してもよい。すなわち、アクチュエータ73は解析装置50で駆動制御しており、洗浄ステップの際にはピストン72を前進させた状態とし、測定ステップの際にはピストン72を後退させることにより、検査管20の第1貯留部23aに検体溶液11を吸引している。

【0050】
このようにシリンダ71とピストン72を備えた振動機構70とした場合、ピストン72の後退量によって第1貯留部23aに吸引される検体溶液11の量を調整できるので、検体溶液11の吸引量をより正確に制御することができる。

【0051】
さらに、アクチュエータ73によってピストン72を所定の振幅、及び所定の周波数で所定時間振動させることにより、第2貯留部内23bに貯留したベースライン溶液に所定の圧力変動を加えて、検体溶液11とベースライン溶液との界面Rを振動させることができる。

【0052】
このように振動機構70を設けることにより界面Rの振動を制御しやすく、しかもポンプ30は一方向だけにベースライン溶液を押し流すだけでよいので安価なポンプを利用でき、測定装置を安価とすることができる。

【0053】
なお、振動機構70は、上述したシリンダ71と、ピストン72と、アクチュエータ73とで構成する形態に限定するものではなく、第2貯留部内23bに貯留したベースライン溶液に所定の圧力変動を加えることができれば、適宜の形態とすることができる。

【0054】
すなわち、たとえば図7に示すように、ベースライン溶液を送給している送給配管31の一部を、可撓性を有するゴム管81で構成するとともに、このゴム管81を挟んで配置さしてゴム管81を断続的に狭窄する狭窄用カム82,82を設けて、振動機構としてもよい。

【0055】
図示しないが、この振動機構では、各狭窄用カム82をそれぞれ回転駆動させる駆動モータを設けており、解析装置50によって駆動制御している。2つの狭窄用カム82は互いに逆回転させることとしており、狭窄用カム82には円周状の外周縁に所定間隔で膨出状の凸部82aを複数設けて、狭窄用カム82を回転させることにより凸部82aでゴム管81を狭窄することとしている。

【0056】
特に、ゴム管81を挟んで対向させて配置した2つの狭窄用カム82,82は、凸部82aをゴム管81に押しつける際に同時に押しつけるように各凸部82aの位置を同期させている。

【0057】
このように送給配管31の一部をゴム管81で構成し、ゴム管81を狭窄することによりゴム管81内のベースライン溶液に圧力変動を生じさせて検体溶液11とベースライン溶液との界面Rを振動させた場合には、振動機構部分において空気のかみ込みを生じさせにくく、安定的に動作可能な振動機構とすることができる。

【0058】
上述した実施形態では、測定用pHセンサ24及び参照用pHセンサ25にpH-ISFETを用いたpH測定装置としているが、所定の濃度を測定可能とした測定用pHセンサ及び参照用pHセンサを用いることにより、濃度測定装置とすることもできる。
【符号の説明】
【0059】
10 検体プレート
11 検体溶液
12 検体ウェル
13 排液ウェル
14 オーバーフロー管
20 検査管
21 接続部
22 第1基体
22a 第1流路
22b 第2流路
22c 閉塞体
23 第2基体
23a 第1貯留部
23b 第2貯留部
24 測定用pHセンサ
25 参照用pHセンサ
26 擬似比較電極
30 ポンプ
31 送給配管
32 溶液タンク
40 駆動回路
50 解析装置
60 移動機構
61 ロッド
62 アクチュエータ
63 X-Yテーブル
70 振動機構
71 シリンダ
72 ピストン
73 アクチュエータ
R 界面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7