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明細書 :スイートピーから単離されたメチル化酵素

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5447806号 (P5447806)
公開番号 特開2011-019420 (P2011-019420A)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
発行日 平成26年3月19日(2014.3.19)
公開日 平成23年2月3日(2011.2.3)
発明の名称または考案の名称 スイートピーから単離されたメチル化酵素
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12N   9/10        (2006.01)
C12N   1/15        (2006.01)
C12N   1/19        (2006.01)
C12N   1/21        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C12P  17/06        (2006.01)
A01H   1/00        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12N 9/10
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/00 103
C12P 17/06
A01H 1/00 A
請求項の数または発明の数 10
全頁数 14
出願番号 特願2009-165623 (P2009-165623)
出願日 平成21年7月14日(2009.7.14)
審査請求日 平成24年1月30日(2012.1.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】橋本 文雄
【氏名】清水 圭一
【氏名】坂田 祐介
【氏名】ウレド ラバ イセルモ
【氏名】緒方 潤
【氏名】福田 良絵
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
審査官 【審査官】荒木 英則
参考文献・文献 米国特許出願公開第2002/0081693(US,A1)
米国特許出願公開第2004/0031072(US,A1)
米国特許出願公開第2006/0107345(US,A1)
特表2005-514950(JP,A)
特開2007-306806(JP,A)
調査した分野 C12N 1/00-15/09
C12P 17/00-21/02
A01H 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項2】
請求項1記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号1に示すヌクレオチド配列からなる、請求項2記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項2又は3記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項5】
請求項4記載の組換えベクターで形質転換された形質転換宿主細胞。
【請求項6】
請求項5記載の形質転換宿主細胞を、前記組換えベクターにコードされるポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養すること、及び該ポリペプチドを回収することを含む、請求項1記載のポリペプチドの製造方法。
【請求項7】
非メチル化フラボノイドを含む溶液を、請求項1記載のポリペプチドを用いて酵素処理することを含む、メチル化フラボノイドの製造方法。
【請求項8】
非メチル化フラボノイドを含む溶液は、茶、リンゴ、ブルーベリー、ブドウ、カキ又はイチゴ由来の抽出物である、請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
請求項2又は3記載のポリヌクレオチドを開花植物の細胞若しくは組織培養物に導入することを含む、変異体植物の製造方法。
【請求項10】
開花植物はスイートピーである請求項9記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スイートピー(Lathyrus odoratus)のフラボノイド生合成経路における色素前駆物質のB環の水酸基をメチル化する酵素に関する。
【背景技術】
【0002】
スイートピー(Lathyrus odoratus)はマメ科に属し、地中海のシシリー島からクレタ島を原産とする一年性の草本である。本種は、つる性植物で高さが1~2mに立ち上がり、花は3~5cmの幅で、園芸品種の花色は豊富である。
【0003】
例えば、花色発現にかかわる花色遺伝について、複対立遺伝子が関与しているとの報告がある(特許文献1)。具体的に特許文献1は、「スイートピー(マメ科)花弁色素の分析を行い、各品種系統の花弁色素遺伝子型を調べた。その結果、各品種系統の花弁色素遺伝子型を明らかにした。Dpnの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるマルヴィジン(malvidin、Mv)とペチュニジン(petunidin、Pt)を含み、これらは、いずれもDpnを生成する色素遺伝子型に包含される。更に、Cynの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるペオニジン(peonidin、Pn)を含み、Cynを生成する色素遺伝子型に包含した」と記載している。
【0004】
一方、植物のO-メチル化変換酵素(OMT)はリグニンや種々の二次代謝物質をメチル化する重要な酵素である。OMTは、受容分子中の水酸基をS-アデノシル-メチオニンを介してメチル基への変換を触媒する酵素であり、結果として、メチルエーテル誘導体を生じさせる。スイートピーの花色発現に関わるフラボノイド、特に、アントシアニジンについて、その花弁には、ペオニジン、ペチュニジン、マルヴィジンなどのメチル化アントシアニジンが含まれていることが知られているが(非特許文献1)、スイートピーのOMTをコードする遺伝子については報告されていない。
【0005】
これまで、アントシアニン生合成経路においてアントシアニジンのメチル化に関与する酵素の遺伝子として、ネコメソウのF3',5'MT遺伝子(非特許文献2)、ニチニチソウのF3',5'MT遺伝子(非特許文献3)、シクラメンのF3',5'MT遺伝子(特許文献2)などが知られている。
【0006】
特許文献3には「茶葉から抽出した茶カテキン類抽出液に、上記茶カテキンメチル化酵素を作用させて、茶カテキン類抽出液中の茶カテキン類を茶メチル化カテキン類に変換させることにより、茶メチル化カテキン類を高濃度で含有する茶メチル化カテキン類含有組成物を、効率よく、安価に製造することが可能となる」という記載がある。さらに、「本発明に用いられる茶カテキンメチル化酵素としては、茶カテキン類を茶メチル化カテキン類に合成変換することが可能な酵素であれば、由来等については特に限定されるものではなく、例えば植物由来、動物由来、微生物由来等とすることができる。植物の具体例としては、茶葉等が挙げられ、また動物の具体例としては、ラット肝細胞等が挙げられ、さらに微生物の具体例としては、ストレプトコッカス・グリセウス等を挙げることができる。このような茶カテキンメチル化酵素として具体的には、カテコールO-メチルトランスフェラーゼ(Catechol O-methyl transferase、EC2.1.1.6、以下略称COMTとする)等を用いることができる」という記載がある。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】国際公開WO2004/103065号パンフレット
【特許文献2】特開2005-312388号
【特許文献3】特開2007-306806号
【0008】

【非特許文献1】Hashimoto F. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 2003年、第67巻, P.396-401.
【非特許文献2】Plant Molecular Biology, (オランダ), 1996年, 第32巻, p.1163-1169
【非特許文献3】Phytochemistry, ( オランダ), 2003年, 第62巻, p.127-137
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の通り、スイートピーの花弁色素が花弁色素遺伝子型で制御されていること、及びスイートピーの花弁にペオニジン、ペチュニジン、マルヴィジンなどのメチル化アントシアニジンが含まれていることが知られているが、スイートピーのO-メチル化変換酵素をコードする遺伝子については報告されていない。
【0010】
そこで本発明は、スイートピーの花色発現に関与するO-メチル化変換酵素、及び該酵素を利用する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、既存の植物で既に知られているO-メチル化変換酵素の配列情報から、比較的保存性の高い領域を特定し、該領域を基にスイートピーの全長O-メチル化変換酵素の特定を試みた。その過程で、イポメア及びメディカルゴのO-メチル化変換酵素遺伝子と類似性を有する1種のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが、各種メチル化フラボノイドの生成を触媒する活性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち本発明は以下の特徴を包含する。
【0013】
(1) 以下の(a)~(d)いずれか記載のポリペプチド。
(a) 配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b) 配列番号2に示すアミノ酸配列において1~複数個のアミノ酸の置換、付加、欠失若しくは挿入を含みかつメチル化フラボノイドの生成を触媒する活性を有するポリペプチド、
(c) 配列番号2に示すアミノ酸配列に対して少なくとも70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなりかつフラボノイドのメチル化を触媒する活性を有するポリペプチド
(d) 配列番号1に示すヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされ、かつフラボノイドのメチル化を触媒する活性を有するポリペプチド
(2) 上記(1)記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
(3) 配列番号1に示すヌクレオチド配列からなる、上記(2)記載のポリヌクレオチド。
(4) 上記(2)又は(3)記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
(5) 上記(4)記載の組換えベクターで形質転換された形質転換宿主細胞。
【0014】
(6) 上記(5)記載の形質転換宿主細胞を、前記組換えベクターにコードされるポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養すること、及び該ポリペプチドを回収することを含む、上記(1)記載のポリペプチドの製造方法。
(7) 非メチル化フラボノイドを含む溶液を、上記(1)記載のポリペプチドを用いて酵素処理することを含む、メチル化フラボノイドの製造方法。
(8) 非メチル化フラボノイドを含む溶液は、茶、リンゴ、ブルーベリー、ブドウ、カキ又はイチゴ由来の抽出物である、上記(7)記載の製造方法。
(9) 上記(2)又は(3)記載のポリヌクレオチドを開花植物の細胞若しくは組織培養物に導入することを含む、変異体植物の製造方法。
(10) 開花植物はスイートピーである上記(9)記載の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、スイートピーの花色発現に関与するO-メチル化変換酵素が提供される。
【0016】
本発明の酵素は、アントシアニジンやカテキンを含む、各種フラボノイドのメチル化形態の生成を触媒することができるため、新花色を有するスイートピーの育種や、メチル化フラボノイドの製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、A:Dp(デルフィニジン)、Cy(シアニジン)、My(ミリセチン)、Qu(クエルセチン)及びKa(ケンフェロール)、並びにB:エピカテキン(ECG)及びエピガロカテキンガレート(EGCG)を基質として酵素反応を行い、メチル化体の生成を確認した図を示す。
【図2】図2は、スイートピー赤色花弁の各開花ステージ(上図)に測定した、Cy(シアニジン)及びPn(ペオニジン)の含量を示す(下図)。
【図3】図3は、スイートピー紫色花弁の各開花ステージ(上図)に測定した、Dp(デルフィニジン)、Pt(ペチュニジン)及びMv(マルヴィジン)の含量を示す(下図)。
【図4】図4は、ステージ4、6、8、10の(a)赤色花弁、(b)紫色花弁のOMTの発現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、スイートピー由来のメチル化変換酵素(以下、OMTポリペプチドとも称する)とその利用方法に関する。

【0019】
スイートピーOMT遺伝子(以下、OMTポリヌクレオチドとも称する)のヌクレオチド配列の一例を配列番号1に示し、配列番号1に示すヌクレオチド配列によってコードされるOMTポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号2に示す。なお、OMTポリヌクレオチドによりコードされるOMTポリペプチドとしては、配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに限定されず、配列番号2に示すアミノ酸配列において1~複数個のアミノ酸の置換、付加、欠失若しくは挿入を含みかつフラボノイドのメチル化を触媒する活性を有するポリペプチド、又は配列番号2に示すアミノ酸配列に対して70%以上の相同性、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性、最も好ましくは95%以上の相同性を有するポリペプチドからなりかつフラボノイドのメチル化を触媒する活性を有するポリペプチド(以下、これらを「変異型ポリペプチド」と称する)であってもよい。ここで、置換、欠失、付加又は挿入するアミノ酸は、例えば1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~5個とすることができる。相同性の値は、複数のアミノ酸配列間の相同性を演算するソフトウェア(例えば、FASTA、DANASYS、BLAST)を用いてデフォルトの設定で算出した値を意味する。

【0020】
またOMTポリヌクレオチドとしては、配列番号1に示すヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドに限定されず、配列番号1に示すヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、フラボノイドのメチル化を触媒する活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(以下、変異型ポリヌクレオチドとも称する)も含まれる。変異型ポリヌクレオチドは、配列番号2に示すアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、フラボノイドのメチル化を触媒する活性を有する変異型ポリペプチドをコードすることとなる。

【0021】
ここでストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。ストリンジェントな条件下としては、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列相同性を有するポリヌクレオチド同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いポリヌクレオチド同士がハイブリダイズしない条件を挙げることができる。そのような条件は、例えばJ. Sambrook, et al., "Molecular Cloning", Cold Spring HarborLaboratory Press, 1989を参照することにより当業者には自明である。

【0022】
上述した変異型ポリペプチドがメチル化フラボノイドの生成を触媒する活性を有するか否かは、非メチル化フラボノイドを基質として該変異型ポリペプチドを作用させ、メチル化フラボノイドの生成の有無を検出することによって行うことができる。基質として使用することができる非メチル化フラボノイドとしては、これに限定されるものではないが、アントシアニジン(例えばペラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジン)、クエルセチン、及びその配糖体、並びに、ミリセチン、カテキン(例えばエピカテキン(ECG)、エピガロカテキンガレート(EGCG))などのポリフェノールを用いることができる。具体的に、変異型ポリペプチドがメチル化フラボノイドの生成を触媒する活性を有するか否かは、次のようにして試験することができる。すなわち、1.5mlの遠心分離用チューブを用意し、これに1M Tris-HCl(pH8、15μl)、S-アデノシル-L-メチオニン(10mM、10μl)(Sigma-Aldrich, Inc., St. Louis, USA)、10mM基質(10μl)及び変異型ポリペプチドを含む溶液(10μl)を加えて全量50μlの反応液とする。その後、反応液を30℃で30分間反応させた後、反応液にクロロフォルム混液(CHCl3:methanol/1%HCl, 2:1)を50μl加え、強く撹拌して反応を停止させる。その後、遠心分離(10,000g、3分間)行い、上層部(50μl)を新しいチューブに移し替え、高速液体クロマトグラフィーにて色素を同定することで、上記活性の有無を評価することができる。

【0023】
本発明のOMTポリヌクレオチドは、配列番号1に示すヌクレオチド配列情報に基づいて、該配列を特異的に増幅することができるプライマーセットを設計し、スイートピーの花弁から抽出した総DNAを鋳型としてPCR増幅を行うことによって、クローニングすることができる。

【0024】
あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1に示すヌクレオチド配列情報に基づいて、当業者に周知の方法、例えば適当な配列のクローニング及び制限酵素による切断、ホスホトリエステル法(例えばNarangら,1979年,Meth.Enzymol.,第68巻,p90~99参照)、ホスホジエステル法(例えばBrownら,1979年、Meth.Enzymol.,第68巻,p109~151参照)、エチルホスホアミダイト法(例えばBeaucageら,1981年,Tetrahedron Lett.,第22巻,p1859~1862参照)などの方法により、直接的に合成することができる。また市販の自動DNA合成装置を使用することによって合成してもよい。

【0025】
本発明のOMTポリペプチドは、上記のようにしてクローニングしたOMTポリヌクレオチドを利用して、定法に従って製造することができる。例えば、本発明のOMTポリペプチドは、OMTポリヌクレオチドを適当な宿主細胞内で発現させ、培養物からOMTポリペプチドを回収することにより製造することができる。

【0026】
本発明で使用できる宿主細胞としては、これに限定されるものではないが、大腸菌などの原核細胞、酵母、昆虫培養細胞(例えばカイコガ培養細胞)、動物細胞細胞(例えばマウス培養細胞)、植物培養細胞(例えばタバコ培養細胞)などの真核細胞を挙げることができる。

【0027】
具体的に、宿主細胞での発現を誘導するプロモーターの下流に前記OMTポリヌクレオチドを組込んだ組換えベクターを作製し、これを宿主細胞に遺伝子導入することによって宿主細胞を形質転換し、該形質転換宿主細胞を発現調節配列が機能する条件下で培養し、その培養物から本発明のOMTポリペプチドを回収することができる。

【0028】
本発明で使用できるベクターとしては、プラスミドベクター、Tiプラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、YACベクター、ウイルスベクター等が挙げられる。これらベクターは、その後の形質転換に使用する宿主細胞のタイプに応じて、該宿主細胞中でのOMTポリペプチドの発現を調節・補助する追加の配列を含むことができる。そのような配列としては、これに限定されるものではないが、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、SD配列などを挙げることができる。また上記ベクターは、形質転換宿主細胞を選別するための選択マーカー(例えばアンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子など)を含むことができる。

【0029】
上記発現構築物による宿主細胞の形質転換は、当業者に慣用の手法、例えばプロトプラスト法、コンピテントセル法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、アグロバクテリウム法を用いて行うことができる。

【0030】
形質転換宿主細胞の培養は、使用される宿主細胞の培養方法と実質的に同様であってよく、例えば資化しうる炭素源、窒素源、金属塩、ビタミン等を含む培地を用いて適当な条件下で培養すればよい。こうして得られた培養液から、一般的な方法によって分取や精製を行い、必要に応じて、限外ろ過濃縮、凍結乾燥、噴霧乾燥、結晶化等によって、その活性を保持するかたちでOMTポリペプチドを得ることができる。

【0031】
あるいは、本発明のOMTポリペプチドは、無細胞発現系、すなわち上記発現構築物を試験管内で用いて製造することもできる。本発明で使用できる無細胞発現系としてはセルフリーサイエンス社のWEPRO(登録商標)シリーズなどが挙げられる。

【0032】
本発明のOMTポリペプチドは、メチル化形態のフラボノイド、例えばメチル化ポリフェノールの一種であるメチル化ミリセチン、メチル化カテキン((-)-epigallocatechin3-O-gallate、(-)-epicatechin3-O-gallateなど)の生成を触媒する活性を有するものである(図1参照)。

【0033】
したがって、本発明のOMTポリペプチドは、メチル化フラボノイドの製造に使用することができる。

【0034】
本発明のメチル化フラボノイドの製造方法は、非メチル化フラボノイドを含有する溶液を、本発明のOMTポリペプチドを用いて酵素処理することを含んでいる。

【0035】
上記方法に供する溶液は、非メチル化フラボノイドを含有する溶液であれば特に制限されず、天然物からの抽出物であってもよいし、調製した溶液であってもよい。メチル化フラボノイドの中で、メチル化カテキンは、近年、抗アレルギー作用を有する化合物として注目されており、機能性食品や医薬品などの有効成分として有用な化合物であると考えられている。したがって、好ましくは、非メチル化フラボノイドを含有する溶液は非メチル化カテキンを含有する溶液である。カテキンを含有する溶液としては、これに限定されるものではないが、茶、リンゴ、ブルーベリー、ブドウ、カキ、イチゴ由来抽出物等を挙げることができる。

【0036】
また使用するOMTポリペプチドの形態は特に制限されず、精製ポリペプチドの他、粗製ポリペプチド(例えば該ポリペプチドを発現する宿主細胞からの抽出物など)を用いることができ、またOMTポリペプチドを発現する宿主細胞を用いてもよい。粗製酵素を使用する場合には、本発明のOMTポリペプチドの酵素活性を阻害する因子を含まないようにする点に留意する。

【0037】
また本発明において、上記ポリペプチドは担体に固定化して使用することができる。本発明に使用し得る固定化ポリペプチドの調製方法には、担体結合法(物理的吸着法、イオン結合法、共有結合法、生化学的特異結合法など)、架橋法及び包括法等の当業者に周知の方法が含まれる。担体結合法は、酵素を水不溶性の担体に結合させる方法であり、この場合、セルロース、デキストラン、アガロースなどの多糖類の誘導体、ポリアクリルアミドゲル、ポリスチレン樹脂、イオン交換樹脂などの合成高分子、多孔性ガラス、金属酸化物などの無機物質などを担体として使用できる。架橋法は官能基を2個以上もった試薬と酵素とを反応させて、酵素間で架橋化を行うことで固定化する方法であり、架橋試薬として、グルタルアルデヒド、イソシアン酸誘導体、N,N-エチレンビスマレイミド、ビスジアゾベンジシン、N,N-ポリメチレンビスヨードアセトアミドなどが使用できる。包括法は天然高分子や合成高分子のゲルマトリックスの中に酵素を閉じ込める格子型等を含み、その際に用いる高分子化合物として、ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルアルコール、光硬化性樹脂、デンプン、コンニャク粉、ゼラチン、アルギン酸、カラギーナンなどが含まれる。

【0038】
酵素反応の条件は特に制限されないが、例えばフラボノイド基質10mM当たり、本発明のOMTポリペプチドを1~10ユニット使用し、5~30分間反応を行えばよい。また反応温度及びpHは、本発明のOMTポリペプチドの至適温度及び至適pH近位の値を採用するものとし、具体的には25~30℃の温度、pH6.5~8.5の条件を用いればよい。なお、OMTポリペプチドは、1M Tris-HCl(pH8、15μl)、S-アデノシル-L-メチオニン(10mM、10μl)(Sigma-Aldrich, Inc., St. Louis, USA)、10mM シアニジン(10μl)及びポリペプチド溶液(10μl)を加えて全量を50μlからなる反応液において、1分間に1mMモルのペオニジンを生成する量を1ユニットと定義する。

【0039】
また本発明のOMTポリペプチドは、メチル化形態のフラボノイド、例えばスイートピーの花色に関与するメチル化アントシアニジン(ペチュニジン、マルヴィジン、ペオニジンなど)、イソラムネチン、メチル化クエルセチン、を生成する活性を有するものである(図1参照)。

【0040】
したがって本発明のOMTポリヌクレオチドは、変異体植物の製造に使用することができる。本発明でいう「変異体植物」とは、外的に導入したOMTポリヌクレオチドの発現の結果、野生型とは異なる花色を有している開花植物である。また本発明で変異体植物の製造対象となる開花植物は、花色発現にフラボノイドのメチル化が関与している植物であれば特に制限されない。本発明において、変異体植物の製造対象となる開花植物は、好ましくはスイートピーである。

【0041】
具体的に、変異体植物の製造は、当業者に公知のトランスジェニック技術を用いて、本発明のOMTポリヌクレオチドを、必要に応じて該ポリヌクレオチドを含む植物発現用ベクターの形態で、開花植物の細胞若しくは組織培養物に導入することによって行うことができる。

【0042】
本発明に使用することができるトランスジェニック技術として、例えばアグロバクテリウム(Agrobacterium)を利用した形質転換を挙げることができる。簡潔に説明すると、植物感染性であるアグロバクテリウムからプラスミドを取り出し、該プラスミドのT-DNA遺伝子を本発明のOMTポリヌクレオチドで置換し、これをアグロバクテリウムに戻して植物組織の感染に利用する。その際、OMTポリヌクレオチドと共に当業者に公知の選択マーカー遺伝子を挿入することで、OMTポリヌクレオチドが導入されている植物を選択することができる。そのような選択マーカー遺伝子として、例えばカナマイシン、テトラサイクリン、リファンピシン、スペクチノマイシン、カルベニシリン、ゲンタマイシンなどの抗生物質に対する耐性を付与する遺伝子などを使用することができる。アグロバクテリウムを利用した形質転換の実例は、例えばモデル植物の実験プロトコール、イネ・シロイヌナズナ編、細胞工学別冊、植物細胞工学シリーズ4、島本功・岡田清孝監修 (1996)や米国特許第5,188,958号などに記載されている。

【0043】
本発明で使用することができる他のトランスジェニック技術として、これに限定されるものではないが、ウイルスベクターを介した形質転換、エレクトロポレーション及びパーティクルガンなどを挙げることができる。パーティクルガンを利用した形質転換の実例は、例えば米国特許第5,204,253号などに記載されている。

【0044】
本発明のOMTポリヌクレオチドで形質転換された細胞又は組織培養物は、その後、当業者に公知の技術によって植物体まで再生させることができる。植物体の再生は、当業者に公知の手法に従って行えばよい。また変異体植物を効率よく製造するために、形質転換に用いられる標的組織が高い再生能を有していることが好ましく、そのような組織として子葉、胚軸組織、葉、茎、花器官、根、胚、未熟胚、葯、子房、胚珠、胚乳、雌蕊、雄蕊などを挙げることができる。

【0045】
以下、本発明の一例を実施例として詳細に説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
材料
スイートピーとして、園芸市販品種「カスバートソンMIX」を用いた(タカギ種苗株式会社、京都)。2005年12月に播種し、2006年春に開花した種子を採集した。採集した種子を2006年12月に再度播種し、2007年春に開花した自殖系統の各種花色を有する花弁を花色測定及び色素分析に供試した。赤色自殖系統で色素を主としてシアニジンとペオニジンを含む系統の種子を、2007年春に開花した自殖系統から採集した。また、紫色自殖系統で色素を主としてデルフィニジン、ペオニジン、マルヴィジンを含む系統の種子を、2007年春に開花した自殖系統から採集した。採集した種子を2007年12月に播種し、2008年春に開花させ、開花した花弁を花色測定及び色素分析に供試した。
【実施例】
【0047】
開花したスイートピーの花弁、つぼみ、葉を採集後、直ちに重量を測定し、そのまま液体窒素で凍結し、-80℃で冷凍庫に保存し、用時冷凍庫から取り出して実験に使用した。
【実施例】
【0048】
[実施例1]
O-メチル化変換酵素(OMT)のクローニング
全RNAは、RNeasyマキシキット(Qiagen)を用いて、比較的幼若なスイートピーの紫色系統の花弁から抽出した。ポリ(A)RNAは、Oligotex-dT30<Super>(タカラバイオテック)のキットを用いて全RNAから精製し、mRNAを得た。cDNAは、GeneRacerキット(Invitrogen)を用いてmRNAから合成した。いずれも製品に添付されたプロトコールに従って実験を行った。
【実施例】
【0049】
次に、上記の合成したcDNAを鋳型とし、Bruglieraら(2003年)に報告されている各遺伝子の配列を参考に設計した下記プライマーを用いて、5'RACE(Rapid amplification of cDNA ends)及び3'RACE法により、スイートピーOMT遺伝子の5’末端及び3’末端を含む断片をPCR増幅した:プライマーA、5’-GTAGTTCACGTAGTTGCTCTTRTCNGCRTC-3’; プライマーB、5’-CGCCGGCAGAAGGTGANNCCRTCNCC-3’; プライマーC、5’-CCGGGAGCACGAGCACYTNAARGARYT-3’; プライマーD、5’-ACCATCGAGATCGGCGTNTTYCANGG-3’。具体的に、希釈された1μlを含むcDNAと、10pmolのA又はB及びC又はDのプライマーを各組み合わせで用いて反応させた。PCR反応は、0.4 unitのKOD plus(TOYOBO)を含む反応溶液を94℃で1分間インキュベートし、その後、熱変性後(94℃で30秒間)、アニーリング(50℃で30秒間)、伸長反応(68℃で1分間)を1サイクルとし、35回のサイクルを繰り返した。次いで、増幅されたcDNA断片をpBluscript SKプラズミドに挿入し、クローンを得た。塩基配列の決定は鹿児島大学遺伝子実験施設のDNAシークエンスサービスを利用して行った。
【実施例】
【0050】
決定された配列情報からこのヌクレオチド配列がコードする推定アミノ酸配列(配列番号2)を取得し、最終的に、第一番目のメチオニン残基のATG塩基配列を含む5’プライマー(プライマーSPMT1LIC5: GACGACGACAAGATGACCGCAAATAAAAAC)及び終止コドンを含む3’プライマー(プライマーSPMT1LIC3: GAGGAGAAGCCCGGTTCAATGCGCACGCC)を用いて、スイートピーOMTのコード領域の全長cDNAをPCRによって増幅した。
【実施例】
【0051】
[実施例2]
スイートピーOMTタンパク質のE.coliによる組換え生産と抽出
スイートピーOMTの全長cDNAのクローンをpET vector (Promega)に組み込むことによりスイートピーOMTコード領域の全長cDNAのクローンを発現するベクターを得た。次いで、このベクターをE.coliBL21(DE3)(Novagen)に導入し、スイートピーOMTタンパクを発現する組み換え体E.coli BL21(DE3)を、カナマイシン(50μg/ml)を含む2YT液体培地中、37℃で一晩培養した後、引き続き、IPTG(400μM)を加え30℃で6時間培養した。E.coli細胞を遠心分離(10,000g, 30秒間)で回収し、50mM K-Pi緩衝液(pH7.0、500μl)に懸濁し、再び同条件で遠心分離した。ペレット試験管に同様の緩衝液(300μl)と2-メルカプトエタノール14mMを加え懸濁し、超音波破砕機(Brandson SonifierModel 250, BRANDSON ULTRASONICS, Danbury, CT. USA )を用いて大腸菌細胞を溶解させた。細胞残片を遠心分離(12,000g、20分間、4℃)で除去し、粗たんぱく溶液を得た。得られた粗たんぱく溶液は、-20℃で保存した。
【実施例】
【0052】
[実施例3]
酵素(粗たんぱく)の機能性検定
粗たんぱく溶液の酵素活性検定は以下の方法に従った。1.5mlの遠心分離用チューブを用意し、これに1M Tris-HCl(pH8、15μl)、S-アデノシル-L-メチオニン(10mM、10μl)(Sigma-Aldrich, Inc., St. Louis, USA)、10mM 基質(10μl)及び粗たんぱく溶液(10μl)を加えて全量を50μlとした。溶液を30℃で30分間反応させた。反応後、溶液にクロロフォルム混液(CHCl3:methanol/1%HCl, 2:1)を50μl加え、強く撹拌して反応を停止した。遠心分離(10,000g、3分間)行い、上層部(50μl)を新しいチューブに移し替え、高速液体クロマトグラフィーにて色素を同定した。標準品として、メチル化フラボノイドのペオニジン、ペチュニジン、マルヴィジン、イソラムネチンを用いた。また基質として、非メチル化フラボノイドのシアニジン、デルフィニジン、ミリセチン、クエルセチン、ケンフェロール(Extrasynthese, Genay, France)、並びにポリフェノールであるエピカテキン(ECG)、エピガロカテキンガレート(EGCG)を用いた。
【実施例】
【0053】
結果を図1に示す。図1Aから明らかな通り、Dp(デルフィニジン)からPt(ペチュニジン)、Mv(マルヴィジン)が生成し、Cy(シアニジン)からPn(ペオニジン)が生成し、My(ミリセチン)からMt-My(メチル化ミリセチン)、Qu(クエルセチン)からIs(イソラムネチン)及びMt-Qu(メチル化クエルセチン)の生成が確認された。このように、スイートピーから得られた上記粗たんぱく(酵素)は、フラボノイド類をメチル化する機能を有することが立証された。また、当該粗たんぱくは、ECG、EGCGのようなポリフェノールと反応させた結果、図1Bに示したようにメチル化ポリフェノールを含むいくつかのピークが観察されたため、メチル化を含む様々な活性を持っている可能性が示された。
【実施例】
【0054】
[実施例4]
スイートピー花弁の成長に伴うアントシアニンの蓄積の定量分析
花器から花弁のみを切除し、重量を測定後、液体窒素により凍結した。凍結花弁を粉砕機で粉状に粉砕した。各サンプルの花弁フラボノイドを1%塩酸-メタノール溶液(v/w)で抽出し、これを3回繰り返した。抽出液をまとめ、遠心分離して上澄み液を分取した。全てのサンプル溶液を0.16g/mlの濃度に調整した。この各抽出溶液を2ml正確に分取し、2N塩酸水溶液(4ml)を加え、100℃で加水分解した(2時間)。加水分解残渣溶液をエバポレーターで濃縮乾固し、1%塩酸-メタノール(2ml)を加えて溶解し、Dismic-25HP(0.45μm, ADVANTEC, Toyo Roshi Kaisha Ltd. Japan)でろ過後、各サンプル溶液を高速液体クロマトグラフィー(20μl、HPLC)で定量分析した。装置と分析条件は以下のとおりである。HPLCシステム、Jasco HPLC System;送液系、4液のgradient pump model PU-2089 plus;ダイナミックミキサー、model Mx-2080-32;ダイオード検出器、multiwavelengthdetector model MD-2010 plus; オートサンプラー、model AS-2051 plus;カラムオーブン、model CO-2080 plus;データシステム、ChromNAVchromatography Data Station (Jasco Co. Tokyo, Japan)。カラムは、TSK-Gel ODS-80Ts QA(5μm、4.6mmx15.0cm、TOSHO Co. Tokyo, Japanを用いた。送液系は、A液をTFA: H2O(5:995)、B液をacetonitrile:TFA:H2O (500: 5:495)とし、初期設定をB液20%とし、25分間でB液を60%とし、引き続き15分間でB液を100%とする、直線的グラジエント濃度勾配法で行った。流速を0.8 ml/minに設定し、525nmの波長でアントシアニンを、340nmの波長でフラボノールを同時に検出した。フラボノイドの評品は、アントシアニンとしてデルフィニジン、シアニジン、ペオニジン、ペラルゴニジン、ペチュニジン、マルヴィジンを用い、フラボノールとしてケンフェロール、クエルセチン、ミリセチン及びイソラムネチンを用いた。
【実施例】
【0055】
結果を図2及び図3に示す。図2からスイートピー赤色花弁ではステージ7から急速にCy(シアニジン)とPn(ペオニジン)が生成されることが分かる。また図3からスイートピー紫色花弁ではステージ6から急速にDp(デルフィニジン)及びMv(マルヴィジン)が生成され、Pt(ペチュニジン)はステージ9で最大値の含量であることがわかる。
【実施例】
【0056】
このように、赤色花弁及び紫色花弁で、ステージごとにメチル化アントシアニン含量が増えることが分かった。
【実施例】
【0057】
[実施例5]
mRNA転写の定量的解析
mRNAは、図2及び図3に示す各ステージのスイートピーのつぼみと、栄養系器官(葉)から調整した。各材料のmRNA(1μg)は、下記プライマーセットを用いて前述の方法でcDNAから逆転写することによって取得した:5’-TTCATGGGCACTGCGCCTGATG-3’;及び5’-ATGCCACAGTTCCACCCCAAAG-3’。なお、後者のプライマーは、400bpまでの断片を増幅して得られた配列をもとに設計した。
【実施例】
【0058】
7300/Fast Real-Time PCR System (Applied Biosystems)を用いて、定量的逆転写RT-PCRを行い、スイートピーの花弁の各ステージのmRNAの変化を測定した。反応は3回繰り返し行い、その条件は以下の通りであった。各反応液(20μl)には、希釈したcDNA(2μl)を加え、前記の各プライマーを200nMの濃度に設定し、SYBER PermixEx Taq溶液(10μl)及びROX Referance Dye(0.4μl)をさらに加えた。本溶液をSYBER Premix Ex Taq (TAKARA)の取り扱い説明に従ってFast Optical 96-穴プレート(BMBio, Tokyo, Japan)を用いて測定した。熱変性のサイクル条件は、95℃で10秒間の1サイクルの後、95℃で5秒間と60℃で31秒間の40サイクル、並びに、95℃で15秒間、60℃で1分間と95℃で15秒間の1サイクルで行った。その結果を図4に示す。
【実施例】
【0059】
遺伝子の転写は、目的とする遺伝子のサイクル限界値(CT)と比較しながら、18S rRNAを平準化することによって定量した。RT-PCRの結果を見ると、全てのステージでOMTが発現しているが、葉(L)での発現は認められないことから、本発明のOMTは花で多く発現していると考えられる。また、リアルタイムPCRの結果を見ると、花弁の発育ステージは進むにつれてOMTの発現の増加が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、スイートピーの花色発現に関与するO-メチル化変換酵素が提供される。
【0061】
本発明に係るO-メチル化変換酵素をコードするDNA配列を、公知の方法によって、スイートピーの種内に単独で若しくは他の遺伝子と組合せて同時に導入するか、又は他の植物種に単独で若しくは他の遺伝子と組合せて導入することにより、その植物中でフラボノイド及びポリフェノールの生合成を改変または制御することができ、これによってその植物中で生理活性物質を産生すること及び花色に多様性や新たな機能を付与した植物を開発することが可能になる。
【0062】
また、本発明に係るO-メチル化変換酵素遺伝子を大腸菌などの適当な宿主で発現させたり、公知の方法により無細胞生物系で発現させて、精製タンパク質を取得し、これを触媒としてフラボノイドやポリフェノールの化学構造を変化させて新たな機能をもたせることが可能になると期待できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3