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明細書 :超伝導回転機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5446199号 (P5446199)
公開番号 特開2010-093886 (P2010-093886A)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
発行日 平成26年3月19日(2014.3.19)
公開日 平成22年4月22日(2010.4.22)
発明の名称または考案の名称 超伝導回転機
国際特許分類 H02K  55/04        (2006.01)
H02K   9/08        (2006.01)
H02K   7/14        (2006.01)
FI H02K 55/04
H02K 9/08 B
H02K 7/14 B
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2008-259347 (P2008-259347)
出願日 平成20年10月6日(2008.10.6)
審査請求日 平成23年9月30日(2011.9.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
発明者または考案者 【氏名】岡 徹雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100137800、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 正義
【識別番号】100119312、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 栄松
審査官 【審査官】安池 一貴
参考文献・文献 特表平09-502859(JP,A)
特開平4-145863(JP,A)
特開平9-291880(JP,A)
調査した分野 H02K 55/04
H02K 7/14
H02K 9/08
特許請求の範囲 【請求項1】
回転子とこの回転子を冷却する冷凍機とを備え、前記回転子と前記冷凍機は、共通の中心軸を有しこの中心軸を中心に一体に回転するように構成され、前記冷凍機は、前記回転子を冷却する冷凍部と、伝熱部を介して前記冷凍部を冷却する駆動部と、この駆動部に冷媒を圧縮して供給する圧縮部とを備え、前記回転子と前記冷凍部は、真空断熱構造を有する本体の内部に収容されるととともに、前記伝熱部は、前記本体に設けられた封止軸受を通じて前記本体の外部に通じ、前記駆動部と前記圧縮部は、前記本体の外部に配置されたことを特徴とする超導回転機。
【請求項2】
前記圧縮部を2つ備え、前記圧縮部は、それぞれ前記中心軸の方向と一致した方向に往復運動をするボイスコイルモータを有するとともに、それぞれの前記ボイスコイルモータの往復運動が相互に反対向きに同期するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の超伝導回転機。
【請求項3】
磁気カップリングを備え、前記回転子の回転力が前記磁気カップリングを介して前記本体の外部に取り出されるように構成されたことを特徴とする請求項2記載の超導回転機。
【請求項4】
前記回転子は、超伝導線材を備え、この超伝導線材に超伝導導体、高温超伝導電流リード、導線が順に接続され、前記超伝導導体と前記高温超伝導電流リードは、前記本体の内部に収容されるとともに、前記導線は、前記本体に設けられた封止軸受を通じて前記本体の外部に通じて回転子用回転給電機に接続されたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の超伝導回転機。
【請求項5】
前記回転子にトルクチューブが接続され、このトルクチューブに断熱性チューブ、伝達チューブが順に接続され、前記トルクチューブと前記断熱性チューブは、前記本体の内部に収容されるとともに、前記伝達チューブは、前記本体に設けられた封止軸受を通じて前記本体の外部に通じ、前記回転子の回転力が前記トルクチューブ、前記断熱性チューブ、前記伝達チューブを介して前記本体の外部に取り出されるように構成されたことを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項記載の超伝導回転機。
【請求項6】
前記回転子の前記中心軸に垂直な面に対向して電機子が配置され、この電機子から前記回転子に前記中心軸に垂直な面内において回転磁場が印加されるように構成されたことを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項記載の超伝導回転機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導状態を利用して構成される超伝導回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
高温超伝導材料の研究開発の進展にともない、これを利用した回転機が研究開発されている。高温超伝導には線材による超伝導コイル(電磁石)のみならず、超伝導バルクという塊状の永久磁石のように利用される磁石も開発されている。これらは回転界磁方式のブラシレスモータであって、回転子に超伝導コイルや超伝導バルクを利用してその優秀な超伝導特性や磁石性能を利用するものである。これらの部位を超伝導状態に保つためには、界磁のみならず、超伝導コイルによる固定電機子も冷却する場合がある(非特許文献1)。
【0003】
一方、交流モータの回転子の一部を超伝導化して、超伝導モータを構成する研究も進められており、その小型で優秀な性能が注目される(非特許文献2)。ここでも高温超導材料を使った回転子開発の例があり、これらの冷却技術が必要である。
【0004】
高温超伝導材料の冷却技術としては、ボイスコイル型のリニア振動器による圧縮機が知られている(特許文献1)。これは回転型のモータではなくリニア駆動のスターリングサイクル(ST)パルス管冷凍機として利用される。駆動の際の軸の移動方向を対向する圧縮機で同期して反対方向とすることで、圧縮の効率と静粛性、振動低減の効果を得ている。小型軽量に構成できるため、圧縮機ならびに冷凍機部分の双方を容易に回転させることができるという利点を有する。
【0005】
超伝導回転機の実現に必要な低温を得るための一般的な方法は、回転機全体を液体窒素などの寒剤に漬けることである(特許文献2)。しかし、この方法は、(1)温度が液体以下にできない、(2)軸受が冷えて潤滑性を失い、長時間運転での信頼性に欠ける、(3)軸からの熱侵入が大きく、冷媒の消費がはげしいためコスト高となる、という問題点があった。
【0006】
そこで、回転子の軸の内部に冷媒の通路を設け、ポンプで加圧して超伝導コイルに送り込んで冷却する方法が提案されている(特許文献3)。ここでは、軸内部の回転する配管に外部の回転しないタンクから低温の液体を供給する必要があり、冷媒ガスの遮断、断熱などに複雑かつ、長期信頼性のない構造をとらざるを得ない。低温部分が回転部品の領域外にまで及ぶことに基本的な問題があり、(1)回転軸からの熱侵入があり、断熱構造の効率が悪い、(2)回転軸内部の構造が複雑で高コスト、あるいは信頼性にかける、(3)回転部での封止の不完全性のためガス漏れがおこりやすく信頼性安全性にかける、(4)液体の供給ばらつきによって回転体としての偏心が起こりやすく品質に欠ける、という問題点があった。
【0007】
また、超伝導体を内包する回転子を直接冷却する方法、液体窒素などの液体の寒剤に代わって冷凍機を積極的に利用して寒剤を固体にまで冷却する方式の超伝導回転機が開示されている(特許文献4)。そして、その第3実施形態には、回転子内部に装填した液体窒素を冷凍機で直接固化する構造が示される。しかしながらこの場合も、回転子を冷却するための直接の伝熱ではないため、(1)寒剤の封止が極端に困難で高コストで信頼性に欠ける、(2)回転軸方向の断熱構造が複雑になるため大型で高価である、(3)寒剤の固化による体積変化や偏りが起こり、偏心が起こって回転が安定しない、(4)冷凍機の冷凍部は固体寒剤との接触が不安定で、回転子の温度が安定せず信頼性に欠ける、という問題点がある。

【特許文献1】特開2006-122785号公報
【特許文献2】特開平6-165478号公報
【特許文献3】特開2005-224022号公報
【特許文献4】特開2005-237060号公報
【非特許文献1】新里他「高温超伝導線材を用いたモータの開発」第76回2007年度春季低温工学・超電導学会 講演番号 1A-a06、講演概要集p6.
【非特許文献2】中村他「MOCVD-YBCO線材を適用した高温超伝導かご形誘導/同期モータの基礎特性」第76回2007年度春季低温工学・超電導学会 講演番号 1A-a07、講演概要集p7.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、従来の超伝導回転機において、超導材料を含んで構成される回転子を冷却するために、従来は液体窒素などの寒剤を回転子内部に注入し、これを回転子の回転運動に対して外部の静止した容器から液体を注入するなどの方法が採用されていた。したがって、上述のように、回転子を簡便に効率よく、高い信頼性をもって冷却することができないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、寒剤を使用せずに冷凍機のみを使用して構成し、回転子を簡便に効率よく、高い信頼性をもって冷却することのできる超伝導回転機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1記載の超伝導回転機は、回転子とこの回転子を冷却する冷凍機とを備え、前記回転子と前記冷凍機は、共通の中心軸を有しこの中心軸を中心に一体に回転するように構成され、前記冷凍機は、前記回転子を冷却する冷凍部と、伝熱部を介して前記冷凍部を冷却する駆動部と、この駆動部に冷媒を圧縮して供給する圧縮部とを備え、前記回転子と前記冷凍部は、真空断熱構造を有する本体の内部に収容されるととともに、前記伝熱部は、前記本体に設けられた封止軸受を通じて前記本体の外部に通じ、前記駆動部と前記圧縮部は、前記本体の外部に配置されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2記載の超伝導回転機は、請求項1において、前記圧縮部を2つ備え、前記圧縮部は、それぞれ前記中心軸の方向と一致した方向に往復運動をするボイスコイルモータを有するとともに、それぞれの前記ボイスコイルモータの往復運動が相互に反対向きに同期するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3記載の超導回転機は、請求項2において、磁気カップリングを備え、前記回転子の回転力が前記磁気カップリングを介して前記本体の外部に取り出されるように構成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4記載の超伝導回転機は、請求項1~3のいずれか1項において、前記回転子は、超伝導線材を備え、この超伝導線材に超伝導導体、高温超伝導電流リード、導線が順に接続され、前記超伝導導体と前記高温超伝導電流リードは、前記本体の内部に収容されるとともに、前記導線は、前記本体に設けられた封止軸受を通じて前記本体の外部に通じて回転子用回転給電機に接続されたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5記載の超伝導回転機は、請求項1、2、4のいずれか1項において、前記回転子にトルクチューブが接続され、このトルクチューブに断熱性チューブ、伝達チューブが順に接続され、前記トルクチューブと前記断熱性チューブは、前記本体の内部に収容されるとともに、前記伝達チューブは、前記本体に設けられた封止軸受を通じて前記本体の外部に通じ、前記回転子の回転力が前記トルクチューブ、前記断熱性チューブ、前記伝達チューブを介して前記本体の外部に取り出されるように構成されたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6記載の超伝導回転機は、請求項1、2、4のいずれか1項において、前記回転子の前記中心軸に垂直な面に対向して電機子が配置され、この電機子から前記回転子に前記中心軸に垂直な面内において回転磁場が印加されるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1記載の超伝導回転機によれば、回転子と冷凍機は、共通の中心軸を有しこの中心軸を中心に一体に回転するように構成されたので、回転子を簡便に効率よく、高い信頼性をもって冷却することができる。また、回転子と冷凍部は、真空断熱構造を有する本体の内部に収容されるととともに、伝熱部は、本体に設けられた封止軸受を通じて本体の外部に通じ、駆動部と圧縮部は、本体の外部に配置されたので、本体の内部において冷媒を全く使用する必要がなく、本体の内部は真空に保たれ、低温部分が本体の外部に全く現れないことから、回転子を高い冷却効率をもって冷却することができる。
【0017】
本発明の請求項2記載の超伝導回転機によれば、圧縮部は、それぞれ中心軸の方向と一致した方向に往復運動をするボイスコイルモータを有するので、中心軸を中心とした回転運動による遠心力に起因する圧縮性能の低下を防止することができる。また、それぞれのボイスコイルモータの往復運動が相互に反対向きに同期するように構成されたので、振動を相殺して騒音をなくすことができる。
【0018】
本発明の請求項3記載の超導回転機によれば、回転子の回転力が磁気カップリングを介して本体の外部に取り出されるように構成されたので、回転子の回転力を非接触で本体の外部に取り出すことにより断熱性を向上させることができる。
【0019】
本発明の請求項4記載の超伝導回転機によれば、導線は、本体に設けられた封止軸受を通じて本体の外部に通じて回転子用回転給電機に接続されたので、断熱性を向上させることができる。
【0020】
本発明の請求項5記載の超伝導回転機によれば、伝達チューブは、本体に設けられた封止軸受を通じて本体の外部に通じ、回転子の回転力がトルクチューブ、断熱性チューブ、伝達チューブを介して本体の外部に取り出されるように構成されたので、断熱性能を維持しながら回転子の回転力を高トルクで本体の外部に取り出すことができる。
【0021】
本発明の請求項6記載の超伝導回転機によれば、回転子の中心軸に垂直な面に対向して電機子が配置され、この電機子から回転子に中心軸に垂直な面内において回転磁場が印加されるように構成されたので、アキシャル型の動作を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の超伝導回転機の実施例について、添付した図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施例により限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【実施例1】
【0023】
図1に本発明の実施例1を示す。10は超伝導回転機の本体であり、本体10は、超伝導線材11を備えた回転子12を有している。なお、超伝導線材11の代わりに、銀シース法による銀シース線材、気相法によって基材上に成膜されたテープ線材、或いはこれらの材料による形成されたコイル、溶融法で作成される超伝導バルク体を配してもよい。
【0024】
そして、回転子12はその中心に設けられた回転軸13を中心に回転可能に構成されている。回転軸13の一端には、スターリングパルス管式の冷凍機14の冷凍部15の一端が直接接しており、回転軸13と冷凍部15の間の伝熱性が保たれるようになっている。
【0025】
冷凍部15の他端には伝熱部16の一端が一体に接続し、伝熱部16の他端近傍は、封止軸受17により支持されている。封止軸受17は、超伝導回転機の運転中に極低温に冷却されることなく、オーリング、磁性流体などを備えることで伝熱部16との気密を保ち、本体10の内部を真空に保つように構成されている。伝熱部16の冷凍機側の端部のみが低温に冷却され、封止軸受側の端部は冷却されない。
【0026】
伝熱部16は、封止軸受17を通じて本体10の外部へ通じ、伝熱部16の他端には冷凍機14の駆動部18の一端が接合されている。また、駆動部18の他端には、それぞれ対向して対になるように配置された2つの圧縮部19a,19bからなる圧縮機が、結合部品20を介して接合されている。また、駆動部18と圧縮部19a,19bの間には、中心軸1に対して対称位置に配される2本の圧力配管21a,21bが設けられている。さらに、圧縮部19a,19bには、冷凍機14に電力を供給するための回転給電機22が取り付けられている。
【0027】
圧縮部19a,19bは、ボイスコイルモータによる往復運動によって冷媒としてのヘリウムガスを圧縮し、そのヘリウムガスを駆動部18に輸送して冷熱を交換するようになっている。圧縮部19a,19bは、それぞれ往復運動をするボイスコイルモータを内包するとともに、それぞれのボイスコイルモータの往復運動の向きを相互に反対向きに同期させて、振動を相殺するように構成されており、騒音がなく、信頼性の高い構成となっている。そして、圧縮部19a,19bのボイスコイルモータの往復運動の方向は、中心軸1の方向に一致しており、中心軸1を中心とした回転運動による遠心力に起因する圧縮性能の低下が起こらないようになっている。また、圧力配管21は、中心軸1と平行に配置されており、圧力配管21の内部のヘリウムガスの移動が回転運動によって妨げられないようになっている。なお、圧縮機としては、2つの圧縮部19a,19bを有するものに限らず、片方のみの圧縮部を有するものを配置してよい。
【0028】
一方、本体10の内部における回転軸13の他端には、磁気カップリング23が接続し、本体10の外部において、磁気カップリング23と対向する位置に、磁気カップリング24が配置されている。そして、磁気カップリング23,24を介して、回転子12の回転力が非接触で本体10の外部に取り出されるようになっている。
【0029】
そして、回転軸13、冷凍部15、駆動部18、圧縮部19a,19b、回転給電機22、磁気カップリング23,24は、共通の中心軸1を有し、回転軸13、冷凍部15、駆動部18、圧縮部19a,19b、回転給電機22、磁気カップリング23,24により、中心軸1を中心として一体に回転する回転体2が構成されている。
【0030】
回転体2は、本体10の内部と外部において、それぞれ断熱性の樹脂で形成された軸受25,26により支持されている。ここで、極低温に冷却される回転子12から十分に離れた位置に軸受25が配置されており、軸受25の油分の氷結が防止された、安定かつ信頼性の高い軸受構造となっている。また、本体10は、内部の低温を保つために真空断熱構造になっている。そして、本体10の内部を真空にするための減圧口27が真空ポンプ(図示せず)に接続している。本体10及び軸受26は、支持部品28を介して支持台29に固定されている。
【0031】
本体10の内部において、回転子12に回転界磁を与える電機子30が配置されている。電気子30は、回転子12の内部に設けられた超伝導線材11に与える回転磁場を発生するものであって、超伝導コイルからなる。電気子30には、給電口31から駆動電流、冷却口32から液体窒素などの冷媒が供給されるようになっている。なお、電機子30は、超伝導線材による超伝導コイルのほか、銅コイルにより構成してもよい。
【0032】
つぎに、作用について説明する。上記の構成において、本実施例の超伝導回転機の回転子12は、本体10の外部から断熱状態に保たれている。冷凍機14は、回転給電機22を通じて給電され、圧縮部19a,19bと駆動部18の間のヘリウムガスの熱伝達によって冷凍部15を冷却する。そして、回転子13に直接接している冷凍部15により、回転子12は超伝導線材11の臨界温度以下に冷却される。そして、回転子12は、電機子30からの回転磁場を受けて、回転軸13、冷凍部15、駆動部18、圧縮部19a,19b、回転給電機22、磁気カップリング23,24と一体に回転する。回転子12の回転動力は、磁気カップリング23,24により取り出される。
【0033】
このとき、回転子12は、冷凍部15により直接冷却された回転軸13からの熱伝導により効率よく冷却されるため、本体10の内部において、冷媒を全く使用する必要がない。また、本体10の内部は真空に保たれ、低温部分が本体10の外部に全く現れないことから、冷却効率がよい。
【0034】
したがって、冷媒が漏れる心配がなく、信頼性の高い長期運転可能な超伝導回転機を提供することができる。また、冷凍機14の性能に応じて液体窒素の温度よりもはるかに低温までの冷却が可能であるため、超伝導性能が向上し、より高性能の超伝導回転機を提供することができる。さらに、冷媒の取り扱いが不要であるため、低温技術における特殊なノウハウが不必要となる。このため、超伝導回転機を広く普及させることができる。
【0035】
本実施例の超伝導回転機は、誘導電流を超伝導線材に誘起するかご型の交流モータ、超伝導バルク磁石を励磁して磁極として用いる磁場同期型回転機、超伝導バルク磁石或いは超伝導コイルの反磁性あるいは磁気抵抗を用いるリラクタンス型回転機に応用することができる。
【0036】
以上のように、本実施例の超伝導回転機は、回転子12とこの回転子12を冷却する冷凍機14とを備え、前記回転子12と前記冷凍機14は、共通の中心軸1を有しこの中心軸1を中心に一体に回転するように構成されたものである。したがって、回転子12を簡便に効率よく、高い信頼性をもって冷却することができる。
【0037】
また、前記冷凍機14は、前記回転子12を冷却する冷凍部15と、伝熱部16を介して前記冷凍部15を冷却する駆動部18と、この駆動部18に冷媒を圧縮して供給する圧縮部19a,19bとを備え、前記回転子12と前記冷凍部15は、真空断熱構造を有する本体10の内部に収容されるととともに、前記伝熱部16は、前記本体10に設けられた封止軸受17を通じて前記本体10の外部に通じ、前記駆動部18と前記圧縮部19a,19bは、前記本体10の外部に配置されたものである。したがって、本体10の内部において冷媒を全く使用する必要がなく、本体10の内部は真空に保たれ、低温部分が本体10の外部に全く現れないことから、回転子12を高い冷却効率をもって冷却することができる。
【0038】
また、前記圧縮部19a,19bを2つ備え、前記圧縮部19a,19bは、それぞれ前記中心軸1の方向と一致した方向に往復運動をするボイスコイルモータを有するとともに、それぞれの前記ボイスコイルモータの往復運動が相互に反対向きに同期するように構成されたものである。したがって、中心軸1を中心とした回転運動による遠心力に起因する圧縮性能の低下を防止することができる。また、それぞれのボイスコイルモータの往復運動が相互に反対向きに同期するように構成されたので、振動を相殺して騒音をなくすことができる。
【0039】
また、磁気カップリング23,24を備え、前記回転子12の回転力が前記磁気カップリング23,24を介して前記本体10の外部に取り出されるように構成されたものである。したがって、回転子12の回転力を非接触で本体10の外部に取り出すことにより断熱性を向上させることができる。
【実施例2】
【0040】
図2に本発明の実施例2を示す。なお、以下、実施例1と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
本実施例においては、回転子12の超伝導線材11に給電するための超伝導導体40が、超伝導線材11に接続している。超伝導導体40は、高温超伝導電流リード41を介して、導線42に接続している。導線42は、封止軸受17の回転部分を貫通して本体10の外部に引き出され、回転子用回転給電機43に接続している。
【0042】
回転子用回転給電機43は、ブラシ44を通して外部の電力機器45に接続している。本実施例の超伝導回転機をモータとして利用する場合は、電力機器45は、回転子12に電力を供給する電源に接続される。また、発電機として利用する場合は、例えば、変圧器や負荷機器に接続される。
【0043】
高温超伝導電流リード41は、常温から極低温までの温度変化に対応して電流を流すとともに、導線42から回転子12へ熱が侵入することを抑えることを目的に配置されている。なお、超伝導導体40の温度の安定を目的として、超伝導導体40の一部を冷凍部15に接触させて冷却するように構成してよい。
【0044】
また、駆動部18と圧縮部19a,19bの間で冷媒を交換するための圧力配管21は、中心軸1の周囲に螺旋上に配され、回転時の偏心や振動が抑えられるようになっている。
【0045】
以上のように、本実施例の超伝導回転機は、前記回転子12は、超伝導線材11を備え、この超伝導線材11に超伝導導体40、高温超伝導電流リード41、導線42が順に接続され、前記超伝導導体40と前記高温超伝導電流リード41は、前記本体10の内部に収容されるとともに、前記導線42は、前記本体10に設けられた封止軸受17を通じて前記本体10の外部に通じて回転子用回転給電機43に接続されたものである。したがって、断熱性を向上させることができる。
【実施例3】
【0046】
図3に本発明の実施例3を示す。本実施例は、モータとして利用される場合の変形例を示すものである。回転子12の回転力を外部に取り出すための機構として、トルクチューブ50が回転子12に同軸に固着されている。トルクチューブ50は、断熱性チューブ51を介して伝達チューブ52に接続し、伝達チューブ52は封止軸受17の回転部分を通って本体10の外部に通じている。
【0047】
本体10の外部において、伝達チューブ52の端面近傍にはギア54が取り付けられており、ギア54によって回転子12のトルクが外部運動機器55に取り出されるようになっている。
【0048】
断熱性チューブ51は、伝達チューブ52から回転子12へ熱が侵入することを抑えることを目的に配置されている。これにより、効率の良い運転が可能となっている。
【0049】
なお、本実施例の構造では、実施例1のように磁気カップリング23,24を配置した場合と比較して断熱性能は劣るが、高トルク伝達が可能になっている。また、モータに限らず、発電機として利用する場合も、本実施例の構成を採用してもよい。
【0050】
以上のように、本実施例の超伝導回転機は、前記回転子12にトルクチューブ50が接続され、このトルクチューブ50に断熱性チューブ51、伝達チューブ52が順に接続され、前記トルクチューブ50と前記断熱性チューブ51は、前記本体10の内部に収容されるとともに、前記伝達チューブ52は、前記本体10に設けられた封止軸受17を通じて前記本体10の外部に通じ、前記回転子12の回転力が前記トルクチューブ50、前記断熱性チューブ51、前記伝達チューブ52を介して前記本体10の外部に取り出されるように構成されたものである。したがって、断熱性能を維持しながら回転子12の回転力を高トルクで本体10の外部に取り出すことができる。
【実施例4】
【0051】
図4に本発明の実施例4を示す。本実施例は、回転軸13に円盤状回転子70が設けられている。円盤状回転子70は、中心軸に垂直であって中心軸1を中心とした円盤面を有する円盤状に形成され、円盤状回転子70には、超伝導コイル71が配置されている。そして、中心軸1に垂直な円盤状回転子70の面に対向して、電機子72が配置され、円盤状回転子70に対して電機子72から中心軸1に垂直な面内において回転磁場を印加するアキシャル型の動作を行うように構成されている。
【0052】
なお、超伝導コイル71の代わりに超伝導バルク体を配置してもよい。超伝導コイル71の代わりに超伝導バルク体を配置した場合、超伝導導体40、高温超伝導電流リード41、導線42は不要となる。そして、超伝導バルク体が着磁されていれば同期機として、或いは、反磁性や磁気抵抗を用いたリラクタンス機として利用することができる。
【0053】
以上のように、本実施例の超伝導回転機は、前記円盤状回転子70の前記中心軸1に垂直な面に対向して電機子72が配置され、この電機子72から前記円盤状回転子70に前記中心軸1に垂直な面内において回転磁場が印加されるように構成されたものである。したがって、アキシャル型の動作を実現することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施例に限られず、本発明の思想の範囲内で変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の超伝導回転機の実施例1を示す模式図である。
【図2】本発明の超伝導回転機の実施例2を示す模式図である。
【図3】本発明の超伝導回転機の実施例3を示す模式図である。
【図4】本発明の超伝導回転機の実施例4を示す模式図である。
【符号の説明】
【0056】
1 中心軸
11 超伝導線材
12 回転子
14 冷凍機
15 冷凍部
16 伝熱部
17 封止軸受
18 駆動部
19a,19b 圧縮部
23,24 磁気カップリング
40 超伝導導体
41 高温超伝導電流リード
42 導線
50 トルクチューブ
51 断熱性チューブ
52 伝達チューブ
70 円盤状回転子
72 電機子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3