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明細書 :ノイズ発生器、ノイズ発生方法およびノイズ応用機器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4843798号 (P4843798)
登録日 平成23年10月21日(2011.10.21)
発行日 平成23年12月21日(2011.12.21)
発明の名称または考案の名称 ノイズ発生器、ノイズ発生方法およびノイズ応用機器
国際特許分類 H03B  29/00        (2006.01)
H03K   3/84        (2006.01)
H03K   3/38        (2006.01)
H03L   7/08        (2006.01)
FI H03B 29/00
H03K 3/84 Z
H03K 3/38 Z
H03L 7/08 Z
請求項の数または発明の数 27
全頁数 44
出願番号 特願2007-556940 (P2007-556940)
出願日 平成19年1月29日(2007.1.29)
国際出願番号 PCT/JP2007/051838
国際公開番号 WO2007/088987
国際公開日 平成19年8月9日(2007.8.9)
優先権出願番号 2006022118
優先日 平成18年1月31日(2006.1.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年9月16日(2009.9.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者または考案者 【氏名】高田 明雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100120640、【弁理士】、【氏名又は名称】森 幸一
審査官 【審査官】佐藤 聡史
参考文献・文献 特開2004-321424(JP,A)
Takada, A et.al,Range of chaotic state in the Josephson junction driven by a pulse train signal,Applied Superconductivity, IEEE Transactions on,1999年 6月,Volume: 9 , Issue: 2 , Part 3,p.3962 - 3965
Man, K.F. et.al,Chaotic control of PLL for aerospace and land communications,Systems, Man, and Cybernetics, 1999. IEEE SMC '99 Conference Proceedings. 1999 IEEE International Co,1999年10月15日,Volume: 2,p.644 - 649
調査した分野 H03B 29/00
H03K 3/26-3/86
H03L 1/00-7/26
特許請求の範囲 【請求項1】
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000028t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、この比較器の出力が上記アナログスイッチに供給されて上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器には対称波発振器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記対称波発振器により発振される対称波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項2】
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000029t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、この比較器と上記アナログスイッチとの間にフリップフロップが接続されており、上記比較器の出力によりこのフリップフロップが駆動され、最終的にこのフリップフロップの出力により上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器には対称波発振器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記対称波発振器により発振される対称波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項3】
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000030t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、その出力が上記アナログスイッチに供給されて上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記位相同期ループには対称波電流発生装置が接続され、上記位相同期ループはこの対称波電流発生装置により発生される対称波電流信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項4】
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000031t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器および正弦関数電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は上記正弦関数電流変換器および比較器に入力され、上記比較器の出力が上記アナログスイッチに供給されて上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記位相同期ループには対称波電流発生装置が接続され、上記位相同期ループはこの対称波電流発生装置により発生される対称波電流信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項5】
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000032t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
電圧制御発振器、正弦関数信号の発振器が接続された乗算器、低域通過フィルタ、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記電圧制御発振器の入力端子に戻るループが形成され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器には対称波発振器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記対称波発振器により発振される対称波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項6】
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000033t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
電圧制御発振器、正弦関数信号の発振器が接続された乗算器、低域通過フィルタおよび電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記電圧制御発振器の入力端子に戻るループが形成され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記位相同期ループには対称波電流発生装置が接続され、上記位相同期ループはこの対称波電流発生装置により発生される対称波電流信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項7】
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000034t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
演算増幅器の出力端子が抵抗およびコンデンサを介して上記演算増幅器の反転入力端子に接続され、上記演算増幅器の非反転入力端子は接地電位となっており、これにより負帰還増幅回路が形成され、上記演算増幅器の出力端子は、積分器、正弦関数変換器および抵抗を直列接続したものを介して上記演算増幅器の上記反転入力端子に接続され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記演算増幅器の上記反転入力端子には、抵抗を介して対称波発振器が接続され、上記位相同期ループはこの抵抗を介して上記対称波発振器により発振される対称波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項8】
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000035t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
複数のジョセフソン接合が直列接続されたジョセフソン接合アレイの一端にアンテナが接続され、他端は接地され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記アンテナで受信した高周波信号で上記ジョセフソン接合アレイが駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項9】
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000036t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたことを特徴とするノイズ発生方法。
【請求項10】
散逸構造を有する物理系を当該物理系の振る舞いを表す方程式
【数1】
JP0004843798B2_000037t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号または力で駆動してカオス状態とすることによりノイズを発生させるようにしたことを特徴とするノイズ発生方法。
【請求項11】
上記物理系は電子回路、ジョセフソン接合、電荷密度波物質または振り子であることを特徴とする請求項10記載のノイズ発生方法。
【請求項12】
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000038t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、この比較器の出力が上記アナログスイッチに供給されて上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器には対称波発振器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記対称波発振器により発振される対称波電圧信号で駆動されるノイズ発生器を用いたことを特徴とするノイズ応用機器。
【請求項13】
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000039t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、この比較器と上記アナログスイッチとの間にフリップフロップが接続されており、上記比較器の出力によりこのフリップフロップが駆動され、最終的にこのフリップフロップの出力により上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器には対称波発振器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記対称波発振器により発振される対称波電圧信号で駆動されるノイズ発生器を用いたことを特徴とするノイズ応用機器。
【請求項14】
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000040t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、その出力が上記アナログスイッチに供給されて上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記位相同期ループには対称波電流発生装置が接続され、上記位相同期ループはこの対称波電流発生装置により発生される対称波電流信号で駆動されるノイズ発生器を用いたことを特徴とするノイズ応用機器。
【請求項15】
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000041t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器および正弦関数電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は上記正弦関数電流変換器および比較器に入力され、上記比較器の出力が上記アナログスイッチに供給されて上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記位相同期ループには対称波電流発生装置が接続され、上記位相同期ループはこの対称波電流発生装置により発生される対称波電流信号で駆動されるノイズ発生器を用いたことを特徴とするノイズ応用機器。
【請求項16】
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000042t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
電圧制御発振器、正弦関数信号の発振器が接続された乗算器、低域通過フィルタ、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記電圧制御発振器の入力端子に戻るループが形成され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器には対称波発振器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記対称波発振器により発振される対称波電圧信号で駆動されるノイズ発生器を用いたことを特徴とするノイズ応用機器。
【請求項17】
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000043t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
電圧制御発振器、正弦関数信号の発振器が接続された乗算器、低域通過フィルタおよび電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記電圧制御発振器の入力端子に戻るループが形成され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記位相同期ループには対称波電流発生装置が接続され、上記位相同期ループはこの対称波電流発生装置により発生される対称波電流信号で駆動されるノイズ発生器を用いたことを特徴とするノイズ応用機器。
【請求項18】
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000044t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
演算増幅器の出力端子が抵抗およびコンデンサを介して上記演算増幅器の反転入力端子に接続され、上記演算増幅器の非反転入力端子は接地電位となっており、これにより負帰還増幅回路が形成され、上記演算増幅器の出力端子は、積分器、正弦関数変換器および抵抗を直列接続したものを介して上記演算増幅器の反転入力端子に接続され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記演算増幅器の上記反転入力端子には、抵抗を介して対称波発振器が接続され、上記位相同期ループはこの抵抗を介して上記対称波発振器により発振される対称波電圧信号で駆動されるノイズ発生器を用いたことを特徴とするノイズ応用機器。
【請求項19】
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、
位相同期ループを方程式
【数1】
JP0004843798B2_000045t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は角周波数、nは2以上の整数、cn はフーリエ級数における第n高調波の係数、θn はフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
複数のジョセフソン接合が直列接続されたジョセフソン接合アレイの一端にアンテナが接続され、他端は接地され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記アンテナで受信した高周波信号で上記ジョセフソン接合アレイが駆動されるノイズ発生器を用いたことを特徴とするノイズ応用機器。
【請求項20】
位相同期ループを方程式
【数2】
JP0004843798B2_000046t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は搬送波角周波数、nは整数、ωm は変調信号波角周波数、Δωa は最大周波数偏移、Jn は第一種ベッセル関数、mf は変調指数でmf =Δωa /ωm
を満たすようにFM波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、この比較器の出力が上記アナログスイッチに供給されて上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器にはFM波発生器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記FM波発生器により発生されるFM波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項21】
位相同期ループを方程式
【数2】
JP0004843798B2_000047t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は搬送波角周波数、nは整数、ωm は変調信号波角周波数、Δωa は最大周波数偏移、Jn は第一種ベッセル関数、mf は変調指数でmf =Δωa /ωm
を満たすようにFM波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、この比較器と上記アナログスイッチとの間にフリップフロップが接続されており、上記比較器の出力によりこのフリップフロップが駆動され、最終的にこのフリップフロップの出力により上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器にはFM波発生器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記FM波発生器により発生されるFM波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項22】
位相同期ループを方程式
【数2】
JP0004843798B2_000048t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は搬送波角周波数、nは整数、ωm は変調信号波角周波数、Δωa は最大周波数偏移、Jn は第一種ベッセル関数、mf は変調指数でmf =Δωa /ωm
を満たすようにFM波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
電圧制御発振器、正弦関数信号の発振器が接続された乗算器、低域通過フィルタ、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記電圧制御発振器の入力端子に戻るループが形成され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器にはFM波発生器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記FM波発生器により発生されるFM波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項23】
位相同期ループを方程式
【数2】
JP0004843798B2_000049t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は搬送波角周波数、nは整数、ωm は変調信号波角周波数、Δωa は最大周波数偏移、Jn は第一種ベッセル関数、mf は変調指数でmf =Δωa /ωm
を満たすようにFM波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
演算増幅器の出力端子が抵抗およびコンデンサを介して上記演算増幅器の反転入力端子に接続され、上記演算増幅器の非反転入力端子は接地電位となっており、これにより負帰還増幅回路が形成され、上記演算増幅器の出力端子は、積分器、正弦関数変換器および抵抗を直列接続したものを介して上記演算増幅器の上記反転入力端子に接続され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記演算増幅器の上記反転入力端子には、抵抗を介してFM波発生器が接続され、上記位相同期ループはこの抵抗を介して上記FM波発生器により発生されるFM波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項24】
位相同期ループを方程式
【数3】
JP0004843798B2_000050t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は搬送波角周波数、ωm は変調信号波角周波数、ma は変調度
を満たすようにAM波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータの出力端子にアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、この比較器の出力が上記アナログスイッチに供給されて上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器にはAM波発生器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記AM波発生器により発生されるAM波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項25】
位相同期ループを方程式
【数3】
JP0004843798B2_000051t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は搬送波角周波数、ωm は変調信号波角周波数、ma は変調度
を満たすようにAM波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
高入力インピーダンスのインバータにアナログスイッチを介して積分器、正弦関数変換器、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記インバータの入力端子に戻るループが形成され、上記積分器の出力は比較器に入力され、この比較器と上記アナログスイッチとの間にフリップフロップが接続されており、上記比較器の出力によりこのフリップフロップが駆動され、最終的にこのフリップフロップの出力により上記アナログスイッチの切り替えが行われるようになっており、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器にはAM波発生器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記AM波発生器により発生されるAM波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項26】
位相同期ループを方程式
【数3】
JP0004843798B2_000052t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は搬送波角周波数、ωm は変調信号波角周波数、ma は変調度
を満たすようにAM波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
電圧制御発振器、正弦関数信号の発振器が接続された乗算器、低域通過フィルタ、加算器および電圧-電流変換器が順次接続され、最終的に上記電圧制御発振器の入力端子に戻るループが形成され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記加算器にはAM波発生器が接続され、上記位相同期ループは上記加算器を介して上記AM波発生器により発生されるAM波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
【請求項27】
位相同期ループを方程式
【数3】
JP0004843798B2_000053t.gif
ただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω1 は搬送波角周波数、ωm は変調信号波角周波数、ma は変調度
を満たすようにAM波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器であって、
演算増幅器の出力端子が抵抗およびコンデンサを介して上記演算増幅器の反転入力端子に接続され、上記演算増幅器の非反転入力端子は接地電位となっており、これにより負帰還増幅回路が形成され、上記演算増幅器の出力端子は、積分器、正弦関数変換器および抵抗を直列接続したものを介して上記演算増幅器の上記反転入力端子に接続され、これにより上記位相同期ループが形成され、上記演算増幅器の上記反転入力端子には、抵抗を介してAM波発生器が接続され、上記位相同期ループは上記抵抗を介して上記AM波発生器により発生されるAM波電圧信号で駆動されることを特徴とするノイズ発生器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、ノイズ発生器、ノイズ発生方法およびノイズ応用機器に関し、特に、ホワイトノイズの発生に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
ホワイトノイズとは、どの周波数成分も同じパワーを持っている、換言すれば、平坦なパワースペクトルを持つノイズであり、一般的なノイズ発生器では容易に発生させることはできない。すなわち、通常、ノイズを発生させると、周波数によってノイズのパワーの偏りが生じてしまう。アークを利用したノイズ発生器はその一例である(例えば、特開平8-204455号公報(文献1)参照。)。
従来のホワイトノイズの発生方法としては、(1)電子ノイズ(Johnsonノイズ、ショットノイズ)を増幅する方法、(2)デジタル的に合成された乱数列を利用する方法、が知られている。(1)の方法は、有限温度下で半導体内部などに発生する微弱な電子ノイズを高倍率で増幅してノイズ源とするもので、NyquistおよびJohnsonによる研究成果に基づくものである(例えば、Physical Review vol.32,pp.110-113(1928)(文献2)およびPhysical Review vol.32,pp.97-109(1928)(文献3)参照。)。(2)の方法は、デジタル的に合成された乱数をD/A(デジタル-アナログ)変換して用いるものである(例えば、特開平5-48405号公報(文献4)参照。)。
しかしながら、(1)の方法では、高利得増幅器が必要とされるため、増幅器の利得帯域幅積が一定である性質上、ノイズを高倍率で増幅すると、利用できるノイズ帯域が大幅に狭められる問題がある。これを避けるためには、増幅器を連結させるなどの手段が必要となり、それが回路構成を大幅に複雑にする原因となる。また、(2)の方法では、デジタルデータの演算装置およびその後段のD/A変換器がそれぞれ必要であるだけでなく、低周波成分を得るために長い繰り返し周期(演算時間)が必要とされる問題がある。
レベル調整機能や周波数帯域の調整機能などを付加したホワイトノイズ発生器が提案されているが(例えば、特開2001-185998号公報(文献5)および特開平4-267608号公報(文献6)参照。)、これらは既存のホワイトノイズ発生源を再利用するものであり、純粋なノイズ発生器とはいえない。
一方、新しい試みとしてカオスによるノイズ発生器が報告されているが(例えば、電子情報通信学会論文誌 A Vol.78,No.3,pp.365-372(1995)(文献7)参照。)、これは、カオスが作るゆらぎはノイズ源になり得る、という1980年代に確立された世界的な常識を一つの実例として示しただけのものであり、ホワイトノイズを発生させる技術との関連性は見当たらない。カオスの発生に関する提案や報告は多数あるが、これらはいずれもカオス現象の観測を目的としたものにすぎず、ノイズ発生器に関する提案や報告はなされていない(例えば、特開2000-215192号公報(文献8)、特開2005-17612号公報(文献9)、特開2004-126488号公報(文献10)、電子通信学会論文誌 A Vol.67,No.12,pp.1162-1167(1984)(文献11)および電子通信学会論文誌 A Vol.69,No.12,pp.1623-1624(1986)(文献12)参照。)。
最近、カオス的な振る舞いが作り出すゆらぎがホワイトノイズとなる系の方程式がKautzにより報告された(Journal of Applied Physics vol.86,pp.5794-5800(1999)(文献13)参照。)。この報告によれば、位相同期ループ(phase locked loop,PLL)と呼ばれる物理系を正弦関数的に時間変化する力で駆動してカオス状態にすることによりホワイトノイズが得られる。この方法により得られるホワイトノイズの特徴として、レベルが十分に高く、周波数帯域は5ディケード以上に及び、さらにはパワースペクトルが平坦であるという三拍子揃った理想的なものであることが数値計算から示唆されていた。しかしながら、その研究はそれ以後進展がなく、あるいは他の機関で発展させられてはいない。その理由としては、上記の方程式の導出は、数値計算に基づいた発見的研究結果であることや実験データが何もないこと、および、実験的にその方法を実現する技術が容易に見出されなかったことがあった。
このような背景の下で、本発明者は、正弦関数的な力で駆動された位相同期ループがある方程式を満たす場合に高品質・広帯域・高レベルのホワイトノイズを発生し得るという上記の理論的な解析報告を踏まえ、本発明者がこれまでジョセフソン接合(超伝導素子)の特性解析用に用いたアナログ電子回路が上記の方程式を満たすことに着目して、実験的にホワイトノイズの発生に成功したことを報告した(第51回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集第174頁29a-YB-9(2004年3月)(文献14)および平成16年度 電気・情報関係学会北海道支部連合大会 講演予稿集第162頁(2004年10月)(文献15)参照。)。この報告によれば、ホワイトノイズは位相同期ループのカオス状態において引き起こされることが実験的に確認され、理論的に予言されたホワイトノイズの品質・帯域・レベルに近いものであることが確認された。
上記の文献14、15で報告された方法は、従来の電子ノイズを増幅する方法を用いる場合に必要な高倍率の増幅器が不要であり、従来のデジタル的に合成された乱数列を利用する方法のようにデジタルデータの演算装置およびその後段のD/A変換器も不要であり、低周波成分を得るために長い繰り返し周期(演算時間)も不要であるという点で優れているが、位相同期ループの駆動信号が正弦波に限られるために様々な制約があるという問題がある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、文献14、15と異なる手法により、高品質・広帯域・高レベルのホワイトノイズを発生させることができ、しかも高倍率の増幅器やデジタルデータの演算装置およびその後段のD/A変換器が不要であるため簡単な構成で済み、低周波成分を得るために長い繰り返し周期(演算時間)も不要であり、さらに駆動信号として方形波や三角波などの各種の波形のものを用いることができるため位相同期ループあるいは物理系の構成の自由度が高く、構成の簡素化も可能なノイズ発生器およびノイズ発生方法ならびにこのノイズ発生器を用いたノイズ応用機器を提供することである。
【発明の開示】
【0003】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、位相同期ループを現実的な物理系で実現し、それを方形波や三角波などの非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態にすることによりホワイトノイズを発生させる方法を見出した。このホワイトノイズの発生方法は、文献14、15のように位相同期ループを正弦波の信号で駆動してカオス状態にすることによりホワイトノイズを発生させる方法とは、ホワイトノイズの発生メカニズムが大きく異なり、この方法から容易に考えられるものではない。この発見的研究結果について以下に詳細に説明する。
この場合のカオス的な振る舞いが作り出すゆらぎがホワイトノイズとなる系の方程式は
JP0004843798B2_000002t.gifである。ここで、tは時間、φは位相、σはダンピング係数(減衰係数)、aは振幅(駆動振幅)、ωは角周波数(駆動角周波数)、nは2以上の整数、cはフーリエ級数における第n高調波の係数、θはフーリエ級数における第n高調波の位相である。(1)式の右辺の第2項が存在することが、駆動信号が非正弦波であることを示す。文献14、15で報告された方法では(1)式の右辺の第2項がなく、
JP0004843798B2_000003t.gifである。
ここで、(1)式の右辺の第2項を加えることを考えることは、決して容易なことではない。すなわち、文献13では、(2)式がなぜホワイトノイズをもたらすのか、つまり出力電圧dφ/dtがガウシアンノイズになるのか、なぜ(2)式の右辺が正弦関数であるべきなのかについて何ら説明がない。実際、文献13では著者のKautz自身、(2)式を導出したことを「発見(Heuristics)」と明確に記述している。このことからわかるように、そもそも(2)式の右辺を他の関数に置き換えようとすること自体考えられず、方形波や三角波などの非正弦関数に置き換えることは、容易に考え出すことができるものではない。
(1)式において位相同期ループをカオス状態または非位相ロック状態にするパラメータはダンピング係数σ、振幅aおよび角周波数ωの三つである。位相同期ループを電子回路で構成する場合、ダンピング係数σは回路の利得や回路部品、例えばコンデンサや抵抗の静電容量(C)や抵抗値(R)で決まり、振幅aおよび角周波数ωは回路を駆動する外部信号で決まる。
第1図は(1)式で振る舞いが表される系を電気回路で実現する場合の等価回路を示す。(1)式の左辺の第1項はコンデンサを流れる電流CdV/dt、第2項は抵抗を流れる電流V/R、第3項は電圧制御型電流源から供給される電流、右辺の第1項および第2項は外部から供給する電流にそれぞれ対応する。ただし、Vは出力電圧である。電圧制御型電流源は
JP0004843798B2_000004t.gifと表される。ここで、位相φは
JP0004843798B2_000005t.gifであり、出力電圧Vは
JP0004843798B2_000006t.gifである。
実際に回路に流れる電流は
JP0004843798B2_000007t.gifである。
(1)式で振る舞いが表される物理系としてはジョセフソン接合もある。
第2図は理想的なジョセフソン接合J.J.を示す。理想的なジョセフソン接合を流れる電流Iは次式で表される。
JP0004843798B2_000008t.gifここで、Iは臨界電流、φはジョセフソン接合における両電極間の巨視的な波動関数の位相差を表す。
一方、電圧Vとφとの関係として
JP0004843798B2_000009t.gifったものを表す。
以上のことを踏まえ、(1)式が、高周波(RF)駆動されたジョセフソン接合における電流式と等価であることを証明する。ここで、もしこれが証明されれば、高周波駆動されたジョセフソン接合を用いてもノイズ発生器を実現できることがわかる。
ジョセフソン接合の等価回路は、第3図に示すように、静電容量C、常伝導抵抗Rおよび理想的なジョセフソン接合J.J.が互いに並列に接続されたモデルで表すことができる。このジョセフソン接合を流れる電流Iは、それぞれの要素を流れる電流の総和として表すことができるから、
JP0004843798B2_000010t.gifが成立する。ここで、(8)式の左辺第1項および第2項は、それぞれ静電容量Cおよび常伝導抵抗Rに流れる電流を表し、第3項は理想的なジョセフソン接合を流れる電流を表している。
(7)式を(8)式に代入し、さらに次の(9)式のように、時間tを規格化時間τに置き換えれば、
JP0004843798B2_000011t.gifが得られる。ここで、
JP0004843798B2_000012t.gifとしている。
第3図に示されるジョセフソン接合を角周波数ωの高周波電流で駆動する。すなわち、
JP0004843798B2_000013t.gifという電流を(8)式に代入すれば、
JP0004843798B2_000014t.gifとなり、さらにこの式に(7)式および(9)式を代入すれば、
JP0004843798B2_000015t.gifが得られる。ここで、
JP0004843798B2_000016t.gifとしている。
最後に、ジョセフソン接合を流れる電流式(14)式において次のような置換を行う。すなわち、
JP0004843798B2_000017t.gifとすれば、
JP0004843798B2_000018t.gifが得られる。すなわち、(1)式が得られる。ジョセフソン接合を高周波信号駆動した場合の振る舞いは(1)式と完全に等価であり、これは、ジョセフソン接合がノイズ発生器として利用できることを意味する。(1)式においてωを1GHzに相当する角周波数にすると、ホワイトノイズの帯域の上限がこの周波数程度となるため、ジョセフソン接合ではマイクロ波帯にまで広がる超広帯域のノイズ発生器を実現し得る。
(1)式で振る舞いが表される物理系は、上記の電子回路やジョセフソン接合に限られず、一般的には散逸構造を有する物理系であればよく、例えば電荷密度波物質や振り子なども含まれる。
さらなる研究の結果、(1)式の右辺の駆動信号の代わりに、FM(周波数変調)波またはAM(振幅変調)波からなる駆動信号を用いても、同様にホワイトノイズを発生させることができることがわかった。
駆動信号としてFM波を用いる場合の(1)式に相当する式は
JP0004843798B2_000019t.gifである。ここで、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ωは搬送波角周波数、nは整数、ωは変調信号波角周波数、Δωは最大周波数偏移、Jは第一種ベッセル関数、mは変調指数でm=Δω/ωである。
同様に、駆動信号としてAM波を用いる場合の(1)式に相当する式は
JP0004843798B2_000020t.gifである。ここで、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ω搬送波角周波数、ωは変調信号波角周波数、mは変調度である。(18)式の右辺はa(1+m sinωt)sinωt、a(1+m sinωt)cosωtあるいはa(1+m cosωt)sinωtと表してもよい。
上述のように駆動信号としてFM波あるいはAM波を用いる場合、搬送波および変調波とも正弦波を用いるのが一般的であるが、搬送波または変調波として方形波や三角波などを用いてもよく、場合によってはノイズを用いてもよい。
この発明は、上記の発見的研究結果に基づいてさらに検討を行った結果、案出されたものである。
すなわち、第1の発明は、
位相同期ループを非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたことを特徴とするノイズ発生器である。
第2の発明は、
位相同期ループを非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたことを特徴とするノイズ発生方法である。
第1および第2の発明において、非正弦波の信号で駆動する位相同期ループをカオス状態または非位相ロック状態とするパラメータは、(1)式で振る舞いが表される系では、ダンピング係数σ、振幅aおよび角周波数ωの三つであり、これらの組み合わせによりホワイトノイズを発生させることができる。この非正弦波の信号としては、典型的には、対称三角波、対称方形波、対称鋸歯状波などの対称信号を用いるが、これに限定されるものではない。この非正弦波の信号としては、FM波信号またはAM波信号を用いることもでき、この場合、系の振る舞いは(17)式または(18)式で表される。位相同期ループは各種の物理系により構成することができるが、例えば、電子回路やジョセフソン接合により構成される。
上記のノイズ発生器あるいはノイズ発生方法は、例えば、電気工学、電子工学、通信工学、機械工学、音響工学、情報工学などの分野で各種の測定、評価、チェックなどの用途に使用することが可能であり、具体例を挙げると次のとおりである。
・電子回路、電子機器、伝導線路(ケーブルを含む)のビットエラーレート(ビット誤り率)の測定
・電子回路、電子機器、伝導線路(ケーブルを含む)の周波数伝達関数の測定
・電子回路、電子機器、伝導線路(ケーブルを含む)の周波数帯域の測定
・送受信機のノイズマージン測定
・電子機器および電子回路(例えばフィルタなど)の周波数特性測定
・電子部品の性能評価
・騒音計の校正や動作チェック
・ノイズ吸収材の特性評価
・デジタル・アナログ混在信号発生器
・デジタル機器の耐ノイズ性評価
・擬似ランダム信号発生
・電子回路、電子機器のSN比測定
・ノイズ試験装置
(静電ノイズ試験、高周波ノイズ試験、電源ノイズ試験、輻射ノイズ試験、EMC(electro-magnetic compatibility)ノイズ試験、電磁波ノイズ試験、グランドノイズ試験)
・ノイズシミュレータ
・環境ノイズ評価
・音響ノイズ発生、試験
・振動試験
・音声ノイズ発生、試験、評価
・ノイズ電力評価
・映像ノイズ発生、試験、評価
・騒音評価
・受話器のノイズ試験
・特殊音声源(楽器、玩具)
・特殊映像源(楽器、玩具)
・生体(動植物)への刺激信号、試験信号、治療用信号
・教材
・変調用信号、復調用信号
・ニューラルネットワークへの注入用ノイズ源
第3の発明は、
散逸構造を有する物理系を当該物理系の振る舞いを表す方程式
JP0004843798B2_000021t.gifただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ωは角周波数、nは2以上の整数、cはフーリエ級数における第n高調波の係数、θはフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号または力で駆動してカオス状態とすることによりノイズを発生させるようにしたことを特徴とするノイズ発生器である。
第4の発明は、
散逸構造を有する物理系を当該物理系の振る舞いを表す方程式
JP0004843798B2_000022t.gifただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ωは角周波数、nは2以上の整数、cはフーリエ級数における第n高調波の係数、θはフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号または力で駆動してカオス状態とすることによりノイズを発生させるようにしたことを特徴とするノイズ発生方法である。
第3および第4の発明において、物理系は、例えば、電子回路、ジョセフソン接合、電荷密度波物質、振り子などの機械系などであるが、これに限定されるものではない。(19)~(21)式は、電子回路系、ジョセフソン接合、電荷密度波物質などでは電流式、振り子のような機械系では運動方程式である。
第5の発明は、
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、位相同期ループを非正弦波の信号で駆動してカオス状態または非位相ロック状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器を用いたことを特徴とするものである。
第6の発明は、
一つまたは複数のノイズ発生器を有するノイズ応用機器において、
少なくとも一つの上記ノイズ発生器として、散逸構造を有する物理系を当該物理系の振る舞いを表す方程式
JP0004843798B2_000023t.gifただし、tは時間、φは位相、σはダンピング係数、aは振幅、ωは角周波数、nは2以上の整数、cはフーリエ級数における第n高調波の係数、θはフーリエ級数における第n高調波の位相
を満たすように非正弦波の信号または力で駆動してカオス状態とすることによりノイズを発生させるようにしたノイズ発生器を用いたことを特徴とするものである。
第5および第6の発明において、ノイズ応用機器には各種のものが含まれ、例えば、電子機器、機械、音響機器などである。
第3、第4および第6の発明における、散逸構造を有する物理系の振る舞いを表す方程式(19)式、(20)式および(21)式の代わりに、(17)式または(18)式を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
第1図はこの発明によるノイズ発生器において用いられる位相同期ループを構成する電子回路の等価回路図である。
第2図はこの発明によるノイズ発生器において用いられる位相同期ループを構成するジョセフソン接合を示す回路図である。
第3図はこの発明によるノイズ発生器において用いられる位相同期ループを構成するジョセフソン接合の等価回路図である。
第4図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器を示すブロック図である。
第5図A、第5図Bおよび第5図Cはこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に用いられる非正弦波の波形の例を示す略線図である。
第6図A、第6図Bおよび第6図Cはこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称三角波および対称方形波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定したときにホワイトノイズが得られる駆動角周波数の範囲および参考例として正弦波を用いた場合に同様にσ=0.1、a=0.46を固定したときにホワイトノイズが得られる駆動角周波数の範囲を示す略線図である。
第7図は第6図Aの一部を拡大して示す略線図である。
第8図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称三角波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.704としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第9図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称三角波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.72としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第10図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器と同様な構成のノイズ発生器において位相同期ループの駆動に正弦波を用いた参考例の場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.776としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第11図A、第11図Bおよび第11図Cは第8図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
第12図A、第12図Bおよび第12図Cは第9図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
第13図A、第13図Bおよび第13図Cは第10図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
第14図A、第14図Bおよび第14図Cはこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称三角波および対称方形波を用いた場合にσ=0.1、a=1.2を固定したときにホワイトノイズが得られる駆動角周波数の範囲および参考例として正弦波を用いた場合に同様にσ=0.1、a=1.2を固定したときにホワイトノイズが得られる駆動角周波数の範囲を示す略線図である。
第15図は第6図Bの一部を拡大して示す略線図である。
第16図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称方形波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.62としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第17図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称方形波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.67としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第18図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称方形波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.68としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第19図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称方形波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.70としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第20図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称方形波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.736としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第21図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称方形波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.78としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第22図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に対称方形波を用いた場合にσ=0.1、a=0.46を固定してω=0.86としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第23図はこの発明の第2の実施形態によるノイズ発生器を示すブロック図である。
第24図はこの発明の第3の実施形態によるノイズ発生器を示すブロック図である。
第25図はこの発明の第4の実施形態によるノイズ発生器を示すブロック図である。
第26図はこの発明の第5の実施形態によるノイズ発生器を示すブロック図である。
第27図はこの発明の第6の実施形態によるノイズ発生器を示すブロック図である。
第28図はこの発明の第7の実施形態によるノイズ発生器を示す略線図である。
第29図はこの発明の第8の実施形態によるノイズ発生器を示す略線図である。
第30図Aおよび第30図Bはこの発明の第9の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動にFM波を用いた場合にσ=0.1、a=0.8を固定したときにホワイトノイズが得られる駆動角周波数の範囲および参考例として正弦波を用いた場合に同様にσ=0.1、a=0.8を固定したときにホワイトノイズが得られる駆動角周波数の範囲を示す略線図である。
第31図Aおよび第31図Bはこの発明の第9の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に用いるFM波の波形の一例および正弦波の波形を示す略線図である。
第32図はこの発明の第9の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動にFM波を用いた場合にσ=0.8、a=0.1を固定してω=0.34、ω=0.14、m=2としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第33図はこの発明の第9の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動にFM波を用いた場合にσ=0.8、a=0.1を固定してω=0.42、ω=0.14、m=2としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第34図はこの発明の第9の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動にFM波を用いた場合にσ=0.8、a=0.1を固定してω=0.66、ω=0.14、m=2としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第35図はこの発明の第9の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動にFM波を用いた場合にσ=0.8、a=0.1を固定してω=0.92、ω=0.14、m=2としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第36図はこの発明の第9の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に正弦波を用いた場合にσ=0.8、a=0.1を固定してω=0.4としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第37図はこの発明の第9の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に正弦波を用いた場合にσ=0.8、a=0.1を固定してω=0.46としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第38図A、第38図Bおよび第38図Cは第32図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
第39図A、第39図Bおよび第39図Cは第33図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
第40図A、第40図Bおよび第40図Cは第34図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
第41図A、第41図Bおよび第41図Cは第35図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
第42図A、第42図Bおよび第42図Cは第36図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
第43図A、第43図Bおよび第43図Cは第37図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
第44図はこの発明の第10の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動にAM波を用いた場合にσ=0.8、a=0.1を固定してω=0.6、ω=0.2、m=1としたときのパワースペクトルの測定結果を示す略線図である。
第45図はこの発明の第10の実施形態によるノイズ発生器において位相同期ループの駆動に用いるAM波の波形を示す略線図である。
第46図A、第46図Bおよび第46図Cは第44図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を時刻を変えて測定した結果を示す略線図である。
【符号の説明】
【0005】
11 インバータ
12 アナログスイッチ
13 積分器
14 正弦関数変換器
15 加算器
16 電圧-電流変換器
17 比較器
18 対称波発振器
19 抵抗
20 コンデンサ
21 フリップフロップ
22 対称波電流発生装置
23 正弦関数電流変換器
24 電圧制御発振器
25 発振器
26 乗算器
27 低域通過フィルタ
28 演算増幅器
29 抵抗
30 抵抗
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
第4図はこの発明の第1の実施形態によるノイズ発生器を示す。
第4図に示すように、このノイズ発生器においては、高入力インピーダンスのインバータ11にアナログスイッチ12を介して積分器13、正弦関数変換器14、加算器15および電圧-電流変換器16が順次接続され、最終的にインバータ11の入力端子に戻るループが形成されている。積分器13の出力は比較器17に入力され、この比較器17の出力がアナログスイッチ12に供給されてこのアナログスイッチ12の切り替えが行われるようになっている。これにより、位相同期ループ(PLL)が形成されている。加算器15には対称波発振器18が接続されている。この位相同期ループは加算器15を介して対称波発振器18により発振される対称波電圧信号で駆動されるようになっている。この対称波電圧信号の振幅、周波数ならびにインバータ11に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などを調節することにより、出力電圧がホワイトノイズとなる。インバータ11の入力抵抗はこれらの抵抗19およびコンデンサ20のインピーダンスに比べて非常に高くなっているため、このインバータ11の入力に流れ込む電流は無視できるほど小さい。
このノイズ発生器の動作について説明する。このノイズ発生器の位相同期ループは(1)式と等価な(5)式の電流式にしたがって駆動される。
出力端子の電圧はインバータ11を通過した後、アナログスイッチ12を経由して積分器13に入力される。この際、積分された電圧が飽和してしまうのを防ぐため、この積分器13の出力の電圧値が比較器17で検知され、電圧の絶対値が設定値を超えようとした瞬間にアナログスイッチ12が切り替えられ、電圧値がリセットされる。具体的には、積分器13の出力が電圧θボルトとすると、この電圧の絶対値がある値を超える場合には、リセット機能が働いてθボルトの電圧はπ-θボルトに変換され、電圧の飽和が防止される。この変換によって正弦関数変換器14の出力が影響されることはない。それは三角関数の恒等式sinθ=sin(π-θ)から明らかである。
積分器13の出力電圧は次段の正弦関数変換器14に入力されるが、この出力電圧はこの正弦関数変換器14の出力の正弦関数電圧の位相となる。すなわち、結果的に積分器13の出力端子の電圧が正弦関数電圧の位相となる。
一方、同時に対称波発振器18によって発振される対称波電圧信号が加算器15に加えられ、電圧-電流変換器16によって電流に変換される。この電流は出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20に流れる。この電流が位相同期ループを駆動する。
(5)式との対応は次のとおりである。出力端子の電圧をVとすると、抵抗値Rの抵抗19を流れる電流はV/R、コンデンサ20を流れる電流はCdV/dtとなる。正弦関数変換器14の出力電圧は-V sin(k∫Vdt)となる。対称波発振器18によって発振される対称波電圧信号はV sinωt+ΣV sin(nωt+θ)である。ここで、Σはn=2~∞について取るものとする。加算器15の出力電圧はV sinωt+ΣV sin(nωt+θ)-V sin(k∫Vdt)となる。電圧-電流変換器16の出力電流はI sinωt+ΣI sin(nωt+θ)-I sin(k∫Vdt)となる。出力端子にキルヒホッフの電流則を適用すれば(5)式が得られる。
結果として、出力端子に発生する電圧信号が対称波発振器18の出力電圧信号の位相にロックする場合としない場合とがある。これらの二つの信号が位相ロックしている場合には、両電圧信号の周波数は互いに等しいか、もしくは整数比となる。これに対し、上記二つの信号が位相ロックしていない場合には、出力端子に現れる電圧はホワイトノイズとなる。この位相のロックおよび非ロックは、用いる対称波電圧信号の周波数、振幅ならびに出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などに依存する。
対称波発振器18から出力される対称波電圧信号の波形としては、例えば、対称三角波(第5図A)、対称方形波(第5図B)、対称鋸歯状波(第5図C)などを用いることができる。
実施例について説明する。
第6図Aおよび第6図Bは位相同期ループをそれぞれ対称三角波電圧信号および対称方形波電圧信号で駆動する場合に、ダンピング係数σ=0.1、駆動振幅a=0.46(小駆動振幅の場合)を固定して、位相同期ループがカオス状態となってホワイトノイズが発生する駆動角周波数ωの範囲を示したものであり、この範囲が黒く示されている。ωをこの範囲内に選ぶことにより容易に位相同期ループをカオス状態としてホワイトノイズを発生させることができる。参考のために、第6図Cに位相同期ループを正弦波電圧信号((1)式のc=0の場合)で駆動した場合の同様な駆動角周波数ωの範囲も示す。
第7図は第6図Aの一部を拡大して示したものである。第7図の黒く示される範囲内に含まれるω=0.704およびω=0.72の場合に得られるノイズのパワースペクトルをそれぞれ第8図および第9図に示す。第8図および第9図からわかるように、0.5~100Hz(2ディケード以上)の範囲でノイズレベルがほぼ-60~-50dBにあり、高品質・広帯域・高レベルのホワイトノイズが得られている。また、第7図の黒く示される範囲内に含まれないω=0.776の場合に得られるノイズのパワースペクトルを第10図に示す。第10図からわかるように、ホワイトノイズは得られていない。
第8図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面(φ-dφ/dt(φドット)平面)を第11図A、第11図Bおよび第11図Cに示す。これらの第11図A、第11図Bおよび第11図Cに示す位相平面は同じ回路を用いて同じ条件下で測定したものであり、測定した時刻のみ異なる。第11図A、第11図Bおよび第11図Cに示すように、測定する時刻で軌道が変化していることから、カオス的振る舞いをしていることがわかる。第9図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する同様な位相平面を第12図A、第12図Bおよび第12図Cに示す。第12図A、第12図Bおよび第12図Cに示すように、この場合も、測定する時刻で軌道が変化していることから、カオス的振る舞いをしていることがわかる。第10図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する同様な位相平面を第13図A、第13図Bおよび第13図Cに示す。第13図A、第13図Bおよび第13図Cに示すように、この場合は、軌道が一本の線になるばかりでなく、測定する時刻で形が変化せず、一定の曲線が得られていることから、カオス的振る舞いをしておらず、安定した位相ロック状態になっていることがわかる。
第14図Aおよび第14図Bは位相同期ループをそれぞれ対称三角波電圧信号および対称方形波電圧信号で駆動する場合に、ダンピング係数σ=0.1、駆動振幅a=1.2(大駆動振幅の場合)を固定して、位相同期ループがカオス状態となってホワイトノイズが発生する駆動角周波数ωの範囲を示したものであり、この範囲が黒く示されている。ωをこの範囲内に選ぶことにより容易に位相同期ループをカオス状態としてホワイトノイズを発生させることができる。参考のために、第14図Cに位相同期ループを正弦波電圧信号((1)式のc=0の場合)で駆動した場合の同様な場合の駆動角周波数ωの範囲も示す。
第14図A(a=1.2の場合)を第6図A(a=0.46の場合)と比較するとわかるように、駆動振幅aを大きくすると、ホワイトノイズを発生させることができる駆動角周波数ωの範囲を大幅に増加させることができる。
第15図は第6図Bの一部を拡大して示したものである。第15図の黒く示される範囲内に含まれるω=0.62、ω=0.67、ω=0.68、ω=0.70、ω=0.736およびω=0.78の場合に得られるノイズのパワースペクトルをそれぞれ第16図~第21図に示す。第16図~第21図からわかるように、0.5~100H(2ディケード以上)の範囲でノイズレベルがほぼ-60~-50dBにあり、高品質・広帯域・高レベルのホワイトノイズが得られている。また、第15図の黒く示される範囲内に含まれないω=0.86の場合に得られるノイズのパワースペクトルを第22図に示す。第22図からわかるように、第16図~第21図に示すようなホワイトノイズは得られていない。
具体例について説明する。
第4図に示す回路の出力端子に接続されている抵抗19の抵抗値Rが500Ω、同じく出力端子に接続されているコンデンサ20の静電容量Cの値が6.36μFであるとする。
この回路の出力端子の電圧Vとこの回路の発振周波数fとの間にはf=V/Φの関係が成立する。ここで、Φ=4Vmaxは回路の出力電圧と発振周波数との変換係数である。Vmaxは比較器17の基準電圧の絶対値、RおよびCは積分器13の抵抗およびコンデンサの抵抗値および静電容量の値である。R=2kΩ、C=2500pF、Vmax=5Vとすると、Φ=1×10-4V/Hzとなる。
規格化された交流電流の最大値を
JP0004843798B2_000024t.gifとする。ここで、Iはこの回路を駆動する交流電流の最大値、Iはこの回路の出力端子がゼロ電圧を保ったまま流すことができる電流の最大値である。ここでは、I=1mAとする。
ダンピング係数σは
JP0004843798B2_000025t.gifと表される。また、規格化された交流電流の角周波数ω
JP0004843798B2_000026t.gifと表される。ここで、fACはこの回路を駆動する交流電流の実際の周波数(H)である。
R=500Ω、C=6.36μF、I=1mAから、
JP0004843798B2_000027t.gifとなる。この回路をfAC=500Hzで駆動した場合には、ω=1となる。σ=0.1である限り、aとは無関係にこのωとfACとの関係が成立する。
以上のように、この第1の実施形態によれば、位相同期ループを電子回路で構成し、この位相同期ループを(5)式を満たすように非正弦波の対称信号で駆動してカオス状態にすることにより高品質・広帯域・高レベルのホワイトノイズを容易に発生させることができる。このノイズ発生器は、従来のノイズ発生器と異なり、高倍率の増幅器やデジタルデータの演算装置およびその後段のD/A変換器が不要であるため簡単な構成で済み、低周波成分を得るために長い繰り返し周期(演算時間)も不要である。また、駆動信号として対称方形波や対称三角波などの各種の波形のものを用いることができるため、位相同期ループの構成の自由度が高く、構成の簡素化が可能である。さらに、例えば、駆動信号として方形波を用いた場合には、デジタル機器やICの出力をそのまま駆動信号として使うことができるため、回路設計が容易になり、またシステムの簡素化が可能となる。特にICでは、例えばTTLやC-MOSの出力を利用することができる。
次に、この発明の第2の実施形態によるノイズ発生器について説明する。このノイズ発生器を第23図に示す。
第23図に示すように、このノイズ発生器においては、比較器17とアナログスイッチ12との間にフリップフロップ21が接続されており、比較器17の出力によりフリップフロップ21が駆動され、最終的にこのフリップフロップ21の出力によりアナログスイッチ12の切り替えが行われるようになっている。
このノイズ発生器の上記以外の構成および動作は第1の実施形態によるノイズ発生器と同様である。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第3の実施形態によるノイズ発生器について説明する。このノイズ発生器を第24図に示す。
第24図に示すように、このノイズ発生器においては、高入力インピーダンスのインバータ11にアナログスイッチ12を介して積分器13、正弦関数変換器14および電圧-電流変換器16が順次接続され、最終的にインバータ11の入力端子に戻るループが形成されている。積分器13の出力は比較器17に入力され、その出力がアナログスイッチ12に供給されてこのアナログスイッチ12の切り替えが行われるようになっている。これにより、位相同期ループが形成されている。この位相同期ループには対称波電流発生装置22が接続されている。この位相同期ループはこの対称波電流発生装置22により発生される対称波電流信号で駆動されるようになっている。この対称波電流信号の振幅、周波数ならびにインバータ11に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などを調節することにより、出力電圧がホワイトノイズとなる。インバータ11の入力抵抗はこれらの抵抗19およびコンデンサ20のインピーダンスに比べて非常に高くなっているため、このインバータ11の入力に流れ込む電流は無視できるほど小さい。
このノイズ発生器の動作について説明する。このノイズ発生器の位相同期ループは(1)式と等価な(5)式の電流式にしたがって駆動する。
出力端子の電圧はインバータ11を通過した後、アナログスイッチ12を経由して積分器13に入力される。積分器13の出力電圧は次段の正弦関数変換器14に入力され、この出力電圧がこの正弦関数変換器14の出力の正弦関数電圧の位相となる。この正弦関数変換器14の出力電圧は電圧-電流変換器16によって電流に変換される。一方、同時に対称波電流発生装置22によって発生される対称波電流信号が位相同期ループに加えられる。この電流は出力端子部に接続された抵抗19およびコンデンサ20に流れる。これらの電流が位相同期ループを駆動する。
(5)式との対応は次のとおりである。出力端子の電圧をVとすると、抵抗値Rの抵抗19を流れる電流はV/R、コンデンサ20を流れる電流はCdV/dtとなる。正弦関数変換器14の出力電圧は-V sin(k∫Vdt)となる。電圧-電流変換器16の出力電流は-I sin(k∫Vdt)となる。対称波電流発生装置22によって発生される対称波電流信号はI sinωt+ΣI sin(nωt+θ)である。ここで、Σはn=2~∞について取るものとする。したがって、位相同期ループに流れる電流はI sinωt+ΣI sin(nωt+θ)-I sin(k∫Vdt)となる。出力端子にキルヒホッフの電流則を適用すれば(5)式が得られる。
結果として、出力端子に発生する電圧信号が対称波電流発生装置22の出力電流信号の位相にロックする場合としない場合とがある。これらの二つの信号が位相ロックしている場合には、両信号の周波数は互いに等しいか、もしくは整数比となる。これに対し、上記二つの信号が位相ロックしていない場合には、出力端子に現れる電圧はホワイトノイズとなる。この位相のロックおよび非ロックは、用いる対称波電流信号の周波数、振幅ならびに出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などに依存する。
対称波電流発生装置22により発生される対称波電流信号の波形としては、例えば、対称三角波(第5図A)、対称方形波(第5図B)、対称鋸歯状波(第5図C)などを用いることができる。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第4の実施形態によるノイズ発生器について説明する。このノイズ発生器を第25図に示す。
第25図に示すように、このノイズ発生器においては、第3の実施形態によるノイズ発生器における正弦関数変換器14および電圧-電流変換器16を一体化した正弦関数電流変換器23が用いられている。積分器13の出力電圧はこの正弦関数電流変換器23に入力され、この出力電圧が電流に変換されるとともに、この正弦関数電流変換器23の出力の正弦関数電流の位相となる。
このノイズ発生器の上記以外の構成および動作は第3の実施形態によるノイズ発生器と同様である。
この第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第5の実施形態によるノイズ発生器について説明する。このノイズ発生器を第26図に示す。
第26図に示すように、このノイズ発生器においては、電圧制御発振器24、正弦関数信号の発振器25が接続された乗算器26、低域通過フィルタ27、加算器15および電圧-電流変換器16が順次接続され、最終的に電圧制御発振器24の入力端子に戻るループが形成されている。これにより、位相同期ループが形成されている。加算器15には対称波発振器18が接続されている。この位相同期ループは加算器15を介して対称波発振器18により発振される対称波電圧信号で駆動されるようになっている。この対称波電圧信号の振幅、周波数ならびに出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などを調節することにより、出力電圧がホワイトノイズとなる。
このノイズ発生器の動作について説明する。このノイズ発生器の位相同期ループは(1)式と等価な(5)式の電流式にしたがって駆動する。
出力端子の電圧は電圧制御発振器24に入力されて発振周波数の制御が行われた後、乗算器26により正弦関数信号の発振器25の発振周波数(電圧制御発振器24の自走発振周波数と等しくする)による乗算が行われ、低域通過フィルタ27によりその出力電圧から低周波成分が取り出され、これが加算器15に加えられる。
一方、同時に対称波発振器18によって発振される対称波電圧信号が加算器15に加えられる。そして、この加算器15の出力電圧が電圧-電流変換器16によって電流に変換される。この電流は出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20に流れる。この電流が位相同期ループを駆動する。
(5)式との対応は次のとおりである。出力端子の電圧をVとすると、抵抗値Rの抵抗19を流れる電流はV/R、コンデンサ20を流れる電流はCdV/dtとなる。電圧制御発振器24は、その入力電圧Vにより角周波数ω+2πk∫Vdtで発振する。ここで、ωは自走発振周波数、kは電圧-周波数変換利得を示す。また、電圧制御発振器24の出力の位相をφとすればω=dφ/dt=2πkVが得られる。したがって、2πk=k´とおけばdφ/dt=k´Vが成立する。また、電圧制御発振器24の自走発振周波数ωと発振器25の発振周波数とを等しくすれば、低域通過フィルタ27の出力は、sin(k∫Vdt)に比例した電圧信号V sin(k∫Vdt)となる。対称波発振器18によって発振される対称波電圧信号はV sinωt+ΣV sin(nωt+θ)である。ここで、Σはn=2~∞について取るものとする。加算器15では、この対称波電圧信号と、低域通過フィルタ27の出力電圧信号V sin(k∫Vdt)の極性を反転したものとが加算される。この結果、加算器15の出力電圧はV sinωt+ΣV sin(nωt+θ)-V sin(k∫Vdt)となる。電圧-電流変換器16の出力電流はI sinωt+ΣI sin(nωt+θ)-I sin(k∫Vdt)となる。出力端子にキルヒホッフの電流則を適用すれば(5)式が得られる。
結果として、出力端子に発生する電圧信号が対称波発振器18の出力電圧信号の位相にロックする場合としない場合とがある。これらの二つの信号が位相ロックしている場合には、両電圧信号の周波数は互いに等しいか、もしくは整数比となる。これに対し、上記二つの信号が位相ロックしていない場合には、出力端子に現れる電圧はホワイトノイズとなる。この位相のロックおよび非ロックは、用いる対称波電圧信号の周波数、振幅ならびに出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などに依存する。
この第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第6の実施形態によるノイズ発生器について説明する。このノイズ発生器を第27図に示す。
第27図に示すように、このノイズ発生器においては、電圧制御発振器24、正弦関数信号の発振器25が接続された乗算器26、低域通過フィルタ27および電圧-電流変換器16が順次接続され、最終的に電圧制御発振器24の入力端子に戻るループが形成されている。これにより、位相同期ループが形成されている。この位相同期ループには対称波電流発生装置22が接続されている。この位相同期ループはこの対称波電流発生装置22により発生される対称波電流信号で駆動されるようになっている。この対称波電流信号の振幅、周波数ならびに出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などを調節することにより、出力電圧がホワイトノイズとなる。
このノイズ発生器の動作について説明する。このノイズ発生器の位相同期ループは(1)式と等価な(5)式の電流式にしたがって駆動する。
出力端子の電圧は電圧制御発振器24に入力されて発振周波数の制御が行われた後、乗算器26により正弦関数信号の発振器25の発振周波数による乗算が行われ、低域通過フィルタ27によりその出力電圧から低周波成分が取り出され、これが電圧-電流変換器16によって電流に変換される。この電流は出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20に流れる。一方、同時に対称波電流発生装置22によって発生される対称波電流信号が位相同期ループに加えられる。この電流は出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20に流れる。これらの電流が位相同期ループを駆動する。
(5)式との対応は次のとおりである。出力端子の電圧をVとすると、抵抗値Rの抵抗19を流れる電流はV/R、コンデンサ20を流れる電流はCdV/dtとなる。電圧制御発振器24は、その入力電圧Vにより角周波数ω+2πk∫Vdtで発振する。電圧制御発振器24の自走発振周波数ωと発振器25の発振周波数とを等しくすれば、低域通過フィルタ27の出力は電圧信号V sin(k∫Vdt)となる。電圧-電流変換器16では、低域通過フィルタ27の出力電圧信号V sin(k∫Vdt)の極性を反転したものが電流に変換されるようになっている。この電圧-電流変換器16の出力電流は-I sin(k∫Vdt)となる。対称波電流発生装置22によって発生される対称波電流信号はI sinωt+ΣI sin(nωt+θ)である。ここで、Σはn=2~∞について取るものとする。したがって、位相同期ループに流れる電流はI sinωt+ΣI sin(nωt+θ)-I sin(k∫Vdt)となる。出力端子にキルヒホッフの電流則を適用すれば(5)式が得られる。
この第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第7の実施形態によるノイズ発生器について説明する。このノイズ発生器を第28図に示す。
第28図に示すように、このノイズ発生器においては、演算増幅器(OPアンプ)28の出力が抵抗19およびコンデンサ20を介してこの演算増幅器28の反転入力端子に接続されている。一方、この演算増幅器28の非反転入力端子は接地電位となっている。これによって負帰還増幅回路が形成されている。さらに、演算増幅器28の出力は、積分器13、正弦関数変換器14および抵抗29を直列接続したものを介してこの演算増幅器28の反転入力端子に接続されている。これにより位相同期ループが形成されている。
演算増幅器28の反転入力端子には、抵抗30を介して対称波発振器18が接続されている。この位相同期ループは抵抗30を介して対称波発振器18により発振される対称波電圧信号で駆動されるようになっている。この対称波電圧信号の振幅、周波数ならびに演算増幅器28の反転入力端子と出力端子との間に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などを調節することにより、出力電圧がホワイトノイズとなる。演算増幅器28の入力インピーダンスは抵抗19およびコンデンサ20、さらには他のブロックのインピーダンスに比べて非常に高くなっているため、この演算増幅器28に流れ込む電流は無視できるほど小さい。
このノイズ発生器の動作について説明する。このノイズ発生器の位相同期ループは(1)式と等価な(5)式の電流式にしたがって駆動される。
出力端子の電圧は積分器13に入力される。積分器13の出力電圧は次段の正弦関数変換器14に入力されるが、この出力電圧はこの正弦関数変換器14の出力の正弦関数電圧の位相となる。すなわち、結果的に積分器13の出力端子の電圧が正弦関数電圧の位相となる。
一方、同時に対称波発振器18によって発振される対称波電圧信号が抵抗30を介して演算増幅器28の反転入力端子に加えられるが、この演算増幅器28の入力インピーダンスが高いこと、および仮想短絡という性質から、対称波電圧信号は入力される抵抗30の抵抗値との比で決まる電流に変換される。この電流が位相同期ループを駆動する。
(5)式との対応は次のとおりである。出力端子の電圧をVとすると、抵抗値Rの抵抗19を流れる電流はV/R、コンデンサ20を流れる電流はCdV/dtとなり、演算増幅器28の反転入力端子(仮想接地端子)に流れ込む。さらに、正弦関数変換器14の出力電圧はV sin(k∫Vdt)となるが、正弦関数変換器14の出力が抵抗29を介して演算増幅器28の反転入力端子に接続されているので、この正弦関数変換器14の出力から、演算増幅器28の反転入力端子までI sin(k∫Vdt)なる電流が流れる。一方、対称波発振器18によって発振される対称波電圧信号はV sinωt+ΣV sin(nωt+θ)である。ここで、Σはn=2~∞について取るものとする。対称波発振器18の出力が抵抗30を介して演算増幅器28の反転入力端子に接続されているので、この抵抗30を流れる電流はI sinωt+ΣI sin(nωt+θ)となる。演算増幅器28の反転入力端子にキルヒホッフの電流則を適用すれば(5)式が得られる。
結果として、出力端子に発生する電圧信号が対称波発振器18の出力電圧信号の位相にロックする場合としない場合とがある。これらの二つの信号が位相ロックしている場合には、両電圧信号の周波数は互いに等しいか、もしくは整数比となる。これに対し、上記二つの信号が位相ロックしていない場合には、出力端子に現れる電圧はホワイトノイズとなる。この位相のロックおよび非ロックは、用いる対称波電圧信号の周波数、振幅ならびに出力端子に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などに依存する。
対称波発振器18から出力される対称波電圧信号の波形としては、例えば、対称三角波(第5図A)、対称方形波(第5図B)、対称鋸歯状波(第5図C)などを用いることができる。
この第7の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第8の実施形態によるノイズ発生器について説明する。
第29図に示すように、このノイズ発生器においては、複数のジョセフソン接合が直列接続されたジョセフソン接合アレイ31の一端にアンテナ32が接続され、他端は接地されている。ジョセフソン接合アレイ31を構成するジョセフソン接合としては各種のものを用いることができるが、具体的には、例えば、Nb/AlO/Nb接合を用いたものや、NbGe/a-Si/Pb接合を用いたものを用いることができる。
このノイズ発生器においては、(1)式と等価な(14)式を満たすように、アンテナ32で受信した高周波信号でジョセフソン接合アレイ31を駆動してカオス状態にすることにより出力電圧としてホワイトノイズを発生させる。
この第8の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第9の実施形態によるノイズ発生器について説明する。
このノイズ発生器においては、第4図に示す対称波発振器18の代わりにFM波発生器を用いる。FM波発生器は、対称波発振器の次段に電圧制御発振器を接続したもので実現できる。そして、このFM波発生器により(17)式の右辺のFM波電圧信号を発生させ、これを駆動信号として用いる。このFM波電圧信号の振幅a、角周波数ω、変調信号波角周波数ω、変調指数mならびにインバータ11に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などを調節することにより、出力電圧がホワイトノイズとなる。
このノイズ発生器の上記以外の構成および動作は第1の実施形態によるノイズ発生器と同様である。
実施例について説明する。
第30図Aは位相同期ループをω=0.14、m=2のFM波電圧信号で駆動する場合に、ダンピング係数σ=0.1、駆動振幅a=0.8を固定して、位相同期ループがカオス状態となってホワイトノイズが発生する駆動角周波数ωの範囲を示したものであり、この範囲が黒く示されている。ωをこの範囲内に選ぶことにより容易に位相同期ループをカオス状態としてホワイトノイズを発生させることができる。広範囲のωでホワイトノイズを発生させることができることがわかる。参考のために、第30図Bに位相同期ループを正弦波電圧信号((1)式のc=0の場合)で駆動した場合の同様な駆動角周波数ωの範囲を示す。位相同期ループの駆動に用いたFM波電圧信号の波形の一例(ω=0.92、ω=0.14、m=2の場合)を第31図Aに示す。同様に、位相同期ループの駆動に用いた正弦波電圧信号の波形を第31図Bに示す。
第30図Aの黒く示される範囲内に含まれるω=0.34、ω=0.42、ω=0.66およびω=0.92の場合に得られるノイズのパワースペクトルをそれぞれ第32図~第35図に示す。また、第30図Bの黒く示される範囲内に含まれないω=0.4の場合および第30図Bの黒く示される範囲内に含まれるω=0.46の場合に得られるノイズのパワースペクトルをそれぞれ第36図および第37図に示す。位相同期ループが安定状態、すなわち位相ロック状態である場合の第36図に示すパワースペクトルから、バックグラウンドノイズが約-100dBであることがわかる。一方、位相同期ループがカオス状態となる第37図に示すパワースペクトルでは、約-43dBのノイズレベルが確認され、明らかにカオス的なゆらぎが発生しており、ホワイトノイズが発生している。これらのことを考慮すると、第32図~第35図では、ホワイトノイズが発生していることが明らかであり、そのノイズレベルは、1~100Hの範囲でほぼ-55~-40dBにあり、高品質・広帯域・高レベルのホワイトノイズが得られている。
第32図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を第38図A、第38図Bおよび第38図Cに、第33図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を第39図A、第39図Bおよび第39図Cに、第34図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を第40図A、第40図Bおよび第40図Cに、第35図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を第41図A、第41図Bおよび第41図Cに、第36図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を第42図A、第42図Bおよび第42図Cに、第37図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を第43図A、第43図Bおよび第43図Cに示す。これらの位相平面は同じ回路を用いて同じ条件下で測定したものであり、測定した時刻のみ異なる。第38図A、第38図Bおよび第38図C、第39図A、第39図Bおよび第39図C、第40図A、第40図Bおよび第40図C、第41図A、第41図Bおよび第41図C、第43図A、第43図Bおよび第43図Cに示すように、測定する時刻で軌道が変化していることから、カオス的振る舞いをしていることがわかる。これに対し、第42図A、第42図Bおよび第42図Cに示すように、この場合は、軌道が一本の線になるばかりでなく、測定する時刻で形が変化せず、一定の曲線が得られていることから、カオス的振る舞いをしておらず、安定した位相ロック状態になっていることがわかる。
この第9の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第10の実施形態によるノイズ発生器について説明する。
このノイズ発生器においては、第4図に示す対称波発振器18の代わりにAM波発生器を用いる。AM波発生器としては、トランジスタを使ったコレクタ変調回路やベース変調回路、さらには乗算器に搬送波と変調波とを入力した回路などを用いることができる。そして、このAM波発生器により(18)式の右辺のAM波電圧信号を発生させ、これを駆動信号として用いる。このAM波電圧信号の振幅a、搬送波角周波数ω、信号波角周波数ω、変調度mならびにインバータ11に接続された抵抗19およびコンデンサ20の抵抗値Rおよび静電容量Cの値などを調節することにより、出力電圧がホワイトノイズとなる。
このノイズ発生器の上記以外の構成および動作は第1の実施形態によるノイズ発生器と同様である。
実施例について説明する。
第44図は位相同期ループをω=0.6、ω=0.2、m=1のAM波電圧信号で駆動する場合に、ダンピング係数σ=0.1、駆動振幅a=0.8を固定して、位相同期ループがカオス状態となってホワイトノイズが発生した状態におけるノイズのパワースペクトルを示す。第44図からわかるように、1~100Hの範囲でノイズレベルがほぼ-50dBにあり、高品質・広帯域・高レベルのホワイトノイズが得られている。位相同期ループの駆動に用いたAM波電圧信号の波形を第45図に示す。
第44図に示すパワースペクトルが得られる状態に対応する位相平面を第46図A、第46図Bおよび第46図Cに示す。これらの位相平面は同じ回路を用いて同じ条件下で測定したものであり、測定した時刻のみ異なる。第46図A、第46図Bおよび第46図Cに示すように、測定する時刻で軌道が変化していることから、カオス的振る舞いをしていることがわかる。
この第10の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
以上、この発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、構成などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構成などを用いてもよい。
また、例えば、第23図、第26図または第28図に示す対称波発振器18の代わりに、FM波発生器またはAM波発生器を用いてもよい。
以上説明したように、この発明によれば、位相同期ループあるいは(1)式、(17)式、(18)式などで振る舞いが表される物理系をカオス状態にすることにより高品質・広帯域・高レベルのホワイトノイズを発生させることができる。この位相同期ループあるいは物理系を用いるノイズ発生器は、従来のノイズ発生器と異なり、高倍率の増幅器やデジタルデータの演算装置およびその後段のD/A変換器が不要であるため簡単な構成で済み、低周波成分を得るために長い繰り返し周期(演算時間)も不要である。また、位相同期ループあるいは物理系の駆動信号として方形波や三角波などの各種の波形のものを用いることができるため、位相同期ループあるいは物理系の構成の自由度が高く、構成の簡素化が可能である。例えば、駆動信号として方形波を用いることができることにより、回路をマルチバイブレータ(フリップフロップ)で駆動することができ、あるいは、デジタル機器やICの出力をそのまま駆動信号として使うことができるため、回路設計が容易になり、またシステムの簡素化が可能となる。特にICでは、例えばTTLやC-MOSの出力を利用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5A】
4
【図5B】
5
【図5C】
6
【図6A】
7
【図6B】
8
【図6C】
9
【図7】
10
【図8】
11
【図9】
12
【図10】
13
【図11A】
14
【図11B】
15
【図11C】
16
【図12A】
17
【図12B】
18
【図12C】
19
【図13A】
20
【図13B】
21
【図13C】
22
【図14A】
23
【図14B】
24
【図14C】
25
【図15】
26
【図16】
27
【図17】
28
【図18】
29
【図19】
30
【図20】
31
【図21】
32
【図22】
33
【図23】
34
【図24】
35
【図25】
36
【図26】
37
【図27】
38
【図28】
39
【図29】
40
【図30A】
41
【図30B】
42
【図31A】
43
【図31B】
44
【図32】
45
【図33】
46
【図34】
47
【図35】
48
【図36】
49
【図37】
50
【図38A】
51
【図38B】
52
【図38C】
53
【図39A】
54
【図39B】
55
【図39C】
56
【図40A】
57
【図40B】
58
【図40C】
59
【図41A】
60
【図41B】
61
【図41C】
62
【図42A】
63
【図42B】
64
【図42C】
65
【図43A】
66
【図43B】
67
【図43C】
68
【図44】
69
【図45】
70
【図46A】
71
【図46B】
72
【図46C】
73