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明細書 :離散スペクトルのスペクトル位相計測装置、及び、離散スペクトルのスペクトル位相計測方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5170748号 (P5170748)
公開番号 特開2009-229310 (P2009-229310A)
登録日 平成25年1月11日(2013.1.11)
発行日 平成25年3月27日(2013.3.27)
公開日 平成21年10月8日(2009.10.8)
発明の名称または考案の名称 離散スペクトルのスペクトル位相計測装置、及び、離散スペクトルのスペクトル位相計測方法
国際特許分類 G01J   9/02        (2006.01)
G02F   1/35        (2006.01)
H01S   3/10        (2006.01)
H01S   3/00        (2006.01)
G01J   3/28        (2006.01)
FI G01J 9/02
G02F 1/35
H01S 3/10 C
H01S 3/00 F
G01J 3/28
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2008-076557 (P2008-076557)
出願日 平成20年3月24日(2008.3.24)
審査請求日 平成23年3月24日(2011.3.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
発明者または考案者 【氏名】鈴木 隆行
【氏名】桂川 眞幸
個別代理人の代理人 【識別番号】100067736、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 晃
【識別番号】100096677、【弁理士】、【氏名又は名称】伊賀 誠司
【識別番号】100106781、【弁理士】、【氏名又は名称】藤井 稔也
【識別番号】100113424、【弁理士】、【氏名又は名称】野口 信博
【識別番号】100116126、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 茂
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 澤山純樹,他,“SPIDER法の応用によるラマンサイドバンド光の位相計測”,応用物理学関係連合講演会講演予稿集,2008年 3月27日,Vol.55th No.3,pp.1142
桂川眞幸,“ラマン過程の断熱操作と超短パルス光発生制御技術への展開 ”,応用物理,2007年 2月10日,Vol.76 No.2,pp.125-132
Takayuki Suzuki,他,“Spectral phase measurements for broad Raman sidebands by using spectral interferometry”,Optics Letters,2008年12月 1日,Vol.33,Issue23,pp.2809-2811
調査した分野 G01J3/00-3/52
G01J9/00-9/04
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
被測定光である離散スペクトル発生用の波長のレーザー光を一方の被測定光と他方の被測定光に分離するビームスプリッターと、
上記ビームスプリッターにより分離された一方の被測定光が励起光として入射され、非線形媒質を含み、上記励起光として入射される上記一方の被測定光である上記2波長のレーザー光の上記非線形媒質における差周波数に対応する周波数のコヒーレンスな屈折率変化を誘起して、広帯域離散スペクトルを発生する広帯域離散スペクトル生成用セルと、
上記ビームスプリッターにより分離された他方の被測定光が入射される光遅延器と、
上記一方の被測定光を励起光として上記広帯域離散スペクトル生成用セルにより生成される広帯域離散スペクトルと、上記光遅延器により遅延された上記他方の被測定光が混合されて入射される非線形光学結晶を通過させることにより和周波スペクトルを発生する和周波スペクトル発生器と、
上記光遅延器により上記他方の被測定光に与える遅延量を可変制御する制御部と、
上記和周波スペクトル発生器により発生される和周波スペクトルを分光して観測する観測装置とを備え、
上記制御部により上記光遅延器の遅延量を制御して、上記和周波スペクトル発生器により発生される和周波スペクトルの各スペクトル線が互いに干渉する様子を上記観測装置で観測することにより、各スペクトル線間の位相差から被測定光の位相を見積もることを特徴とする離散スペクトルのスペクトル位相計測装置。
【請求項2】
上記制御部により上記光遅延器の遅延量を制御して、上記他方の被測定光に与える遅延量を掃引することにより、離散スペクトルの周波数間隔の逆数に対応する光学遅延を1周期として全ての和周波成分の干渉条件を変化させて、上記観測装置により上記和周波スペクトル発生器により発生される和周波スペクトルを分光して観測することを特徴とする請求項1記載の離散スペクトルのスペクトル位相計測装置。
【請求項3】
上記広帯域離散スペクトル生成用セルは、非線形媒質としてラマン媒質を含むことを特徴とする請求項1記載のスペクトル位相計測装置。
【請求項4】
被測定光である離散スペクトル発生用の2波長のレーザー光を一方の被測定光と他方の被測定光にビームスプリッターにより分離し、
上記ビームスプリッターにより分離された一方の被測定光を励起光として非線形媒質を含む広帯域離散スペクトル生成用セルに入射して、上記一方の被測定光である上記2波長のレーザー光の上記非線形媒質における差周波数に対応する周波数のコヒーレンスな屈折率変化を誘起して、広帯域離散スペクトルを発生するとともに、
上記ビームスプリッターにより分離された他方の被測定光を光遅延器に入射して、上記他方の被測定光である上記2波長のレーザー光に遅延量を与え、
上記一方の被測定光を励起光として上記広帯域離散スペクトル生成用セルにより生成される広帯域離散スペクトルと、上記光遅延器により遅延された上記他方の被測定光を混合して和周波スペクトル発生器の非線形光学結晶を通過させることにより和周波スペクトルを発生し、
上記光遅延器により上記他方の被測定光に与える遅延量を可変制御して、上記和周波スペクトル発生器により発生される和周波スペクトルの各スペクトル線が互いに干渉する様子を観測装置で観測することにより、各スペクトル線間の位相差から被測定光の位相を見積もることを特徴とする離散スペクトルのスペクトル位相計測方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、波長の励起レーザー光の上記非線形媒質における差周波数に対応する周波数のコヒーレンスな屈折率変化を誘起して、広帯域離散スペクトルを発生する広帯域離散スペクトル発生装置における離散スペクトルのスペクトル位相計測装置、及び、離散スペクトルのスペクトル位相計測方法及び、その周波数制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気体分子の振動や回転状態を断熱的に励起し、特定の二準位間に最大値に迫る高いコヒーレンスを持つ分子を高密度に生成することが可能となった。高いコヒーレンスを持つ分子集団は対応する量子状態間の遷移周波数で周期的に屈折率変化をする媒質として振る舞い、通過する光を高効率に変調できる。この結果、ラマンサイドバンド光と呼ばれる広帯域な離散スペクトルが生成される。
【0003】
ラマンコヒーレンスの生成には、ラマン遷移に対応する周波数差を持つ二種類のレーザー光を同時に入射する。周波数差をラマン遷移の共鳴周波数からわずかに離調することで、断熱的に二準位間の重ね合わせ状態を生成できる。高いコヒーレンスを持つ分子集団による光変調では、周波数の変換効率が高いため、全てのラマンサイドバンド光が励起光と同軸に発生するという特徴を持つ。これはフーリエ合成による超短パルス生成にも有利に働き、超短パルス発生の現実的な新手法として注目されている。
【0004】
また、フェムト秒の超短パルス光は、非線形光学応答を利用した非破壊、非侵襲の物質測定、ガラスや金属や半導体の超精細加工、細胞の切削や操作などに利用できるだけでなく、光の干渉性を利用して物体内部を撮像するOCT(Optical Coherence Tomography)や多光子顕微鏡の光源、X線に代わる検査用電磁波となる波長30μm~3nmのテラヘルツ波発生装置などへの応用が期待されている。
【0005】

【特許文献1】特開2005-251810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ラマン形共鳴からわずかに離調した2波長の高強度レーザー光を分子の照射すると、分子中に高いコヒ-レンスを生成することができ、この結果、ラマンサイドバンド光と呼ばれる広帯域な離散スペクトルを同時且つ同軸に生成できる。このサイドバンド光に適当な位相補償を行えば、スペクトルの離散性に起因する超高速繰り返しの超短パルスを生成することが可能となる。これは従来の超短パルス発生とは本質的に異なり、電気素子の応答限界を超える高い繰り返し周波数が達成できる。広帯域スペクトルから超短パルスを生成するにはパルス圧縮、すなわちスペクトル位相の補償が必要である。しかしこれまでのところ、このような離散スペクトルの位相測定法は確立されていなかったため、高度な分散補償は不可能であった。これまでは、適当なパルス生成後に自己相関計測を行う手法で評価されることがほとんどであったが、ある程度のパルス化がされないと評価できない、位相情報までは正しく評価できないなどの問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の実情に鑑み、離散スペクトルのスペクトル位相を高速かつ高感度に測定可能な離散スペクトルのスペクトル位相計測装置、及び、離散スペクトルのスペクトル位相計測方法を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施に形態から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、2つの周波数成分由来の離散スペクトルの位相を2種類の和周波スペクトル間の干渉から評価する。例えば、ラマンサイドバンドと、その発生に用いる波長の基本波との和周波スペクトルを発生させ、二つの和周波スペクトル間の干渉を利用してスペクトル位相を測定する。基本波の遅延を制御すると離散スペクトルの各成分間の干渉条件を連続的に掃引でき、その干渉の様子からスペクトル位相を見積もることができる。
【0010】
すなわち、本発明は、離散スペクトルのスペクトル位相計測装置であって、被測定光である離散スペクトル発生用の2波長のレーザー光を一方の被測定光と他方の被測定光に分離するビームスプリッターと、上記ビームスプリッターにより分離された一方の被測定光が励起光として入射され、非線形媒質を含み、上記励起光として入射される上記一方の被測定光である上記2波長のレーザー光の上記非線形媒質における差周波数に対応する周波数のコヒーレンスな屈折率変化を誘起して、広帯域離散スペクトルを発生する広帯域離散スペクトル生成用セルと、上記ビームスプリッターにより分離された他方の被測定光が入射される光遅延器と、上記一方の被測定光を励起光として上記広帯域離散スペクトル生成用セルにより生成される広帯域離散スペクトルと、上記光遅延器により遅延された上記他方の被測定光が混合されて入射される非線形光学結晶を通過させることにより和周波スペクトルを発生する和周波スペクトル発生器と、上記光遅延器により上記他方の被測定光に与える遅延量を可変制御する制御部と、上記和周波スペクトル発生器により発生される和周波スペクトルを分光して観測する観測装置とを備え、上記制御部により上記光遅延器の遅延量を制御して、上記和周波スペクトル発生器により発生される和周波スペクトルの各スペクトル線が互いに干渉する様子を上記観測装置で観測することにより、各スペクトル線間の位相差から被測定光の位相を見積もることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る離散スペクトルのスペクトル位相計測装置は、例えば、上記制御部により上記光遅延器の遅延量を制御して、上記他方の被測定光に与える遅延量を掃引することにより、離散スペクトルの周波数間隔の逆数に対応する光学遅延を1周期として全ての和周波成分の干渉条件を変化させて、上記観測装置により上記和周波スペクトル発生器により発生される和周波スペクトルを分光して観測する。
【0012】
また、本発明に係る離散スペクトルのスペクトル位相計測装置では、例えば、上記広帯域離散スペクトル生成用セルは、非線形媒質としてラマン媒質を含む。
【0013】
本発明は、離散スペクトルのスペクトル位相計測方法であって、被測定光である離散スペクトル発生用の2波長のレーザー光をビームスプリッターにより一方の被測定光と他方の被測定光に分離し、上記ビームスプリッターにより分離された一方の被測定光を励起光として非線形媒質を含む広帯域離散スペクトル生成用セルに入射して、上記一方の被測定光である上記2波長のレーザー光の上記非線形媒質における差周波数に対応する周波数のコヒーレンスな屈折率変化を誘起して、広帯域離散スペクトルを発生するとともに、上記ビームスプリッターにより分離された他方の被測定光を光遅延器に入射して、上記他方の被測定光である上記2波長のレーザー光に遅延量を与え、上記一方の被測定光を励起光として上記広帯域離散スペクトル生成用セルにより生成される広帯域離散スペクトルと、上記光遅延器により遅延された上記他方の被測定光を混合して和周波スペクトル発生器の非線形光学結晶を通過させることにより和周波スペクトルを発生し、上記光遅延器により上記他方の被測定光に与える遅延量を可変制御して、上記和周波スペクトル発生器により発生される和周波スペクトルの各スペクトル線が互いに干渉する様子を観測装置で観測することにより、各スペクトル線間の位相差から被測定光の位相を見積もることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、離散スペクトルのスペクトル位相を高速かつ高感度に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
本発明は、例えば図1に示すような構成の離散スペクトルのスペクトル位相計測装置10に適用される。
【0017】
このスペクトル位相計測装置10は、被測定光である離散スペクトル発生用の波長のレーザー光L1,L2を一方の被測定光L1a,L2aと他方の被測定光L1b,L2bに分離するビームスプリッター11と、上記ビームスプリッター11により分離された一方の被測定光L1a,L2aが励起光として入射される広帯域離散スペクトル生成用セル12と、上記ビームスプリッター11により分離された他方の被測定光L1b,L2bが入射される光遅延器13と、上記一方の被測定光L1a,L2aを励起光として上記広帯域離散スペクトル生成用セル12により生成される広帯域離散スペクトルと、上記光遅延器13により遅延された上記他方の被測定光L1b,L2bを合成して和周波スペクトルを発生する和周波スペクトル発生器14と、上記光遅延器13により上記他方の被測定光L1b,L2bに与える遅延量を可変制御する制御部15と、上記和周波スペクトル発生器14により発生される和周波スペクトルを分光して観測する観測装置16とを備える。
【0018】
上記被測定光である離散スペクトル発生用の2波長のレーザー光L1,L2を入射するレーザー光源20は、例えば、第1の周波数f1のレーザー光L1を発生する第1のレーザー光源20Aと、第2の周波数f2のレーザー光L2を発生する第2のレーザー光源20Bと、上記第1のレーザー光源20Aにより発生された第1のレーザー光L1と上記第2のレーザー光源20Bにより発生された第2のレーザー光l2を混合して波長の励起レーザー光として出射する光学系20Cからなる。
【0019】
上記広帯域離散スペクトル生成用セル12は、非線形媒質12Aを含んでおり、上記一方の被測定光L1a,L2aを励起光として、上記2波長のレーザー光L1a,L2aの上記非線形媒質12Aにおける差周波数に対応する周波数のコヒーレンスな屈折率変化を誘起して、広帯域離散スペクトルを発生する。上記非線形媒質12Aとして、例えば、ラマン媒質(パラ水素)を用いられ、上記2波長のレーザー光L1a,L2aが入射されることにより、ラマン過程を経て高次のサイドバンドを発生させ、広帯域離散スペクトルを発生させる。
【0020】
上記光遅延器13は、上記制御部15による制御信号に応じて、上記他方の被測定光L1b,L2bが通過する光路長を可変することにより、上記他方の被測定光L1b,L2bに与える遅延量を可変することができる。
【0021】
そして、上記和周波スペクトル発生器14は、上記一方の被測定光L1a,L2aを励起光として上記広帯域離散スペクトル生成用セル12により生成される広帯域離散スペクトルと、上記光遅延器13により遅延された上記他方の被測定光L1b,L2bを混合する光学系14Aと、この光学系14Aにより混合された上記広帯域離散スペクトルと遅延された上記他方の被測定光L1b,L2bが入射される非線形光学結晶14Bとからなる。
【0022】
この和周波スペクトル発生器14では、上記広帯域離散スペクトルと遅延された上記他方の被測定光L1b,L2bを上記光学系14Aにより混合して上記非線形光学結晶14Bを通過させることにより和周波スペクトルを発生させる。このとき、2つの励起光のそれぞれに由来する2つの異なる和周波スペクトルが同時に生成される。これを観測装置16において分光器で分光して観測すると、和周波の各スペクトル線が周波数空間で重なり、互いに干渉する様子が観測できる。干渉の強め合い、もしくは弱め合いの条件は各スペクトル線間の位相差に対応し、これから被測定光の位相を見積もることができる。
【0023】
すなわち、例えば図2に示すように、異なる位相で干渉の強弱が現れ、この情報からスペクトル位相がわかる。遅延を与えた向きと干渉スペクトルの変化の向きを解析すると2次の非線形効果でありながら超短パルスの前後方向に関しても情報を引き出すことができる。
【0024】
したがって、このスペクトル位相計測装置10では、上記制御部15により上記光遅延器13の遅延量を制御して、上記他方の被測定光L1b,L2bに与える遅延量を掃引すると、離散スペクトルの周波数間隔の逆数に対応する光学遅延を1周期として全ての和周波成分の干渉条件が変化する。
【0025】
すなわち、このスペクトル位相計測装置10では、被測定光である離散スペクトル発生用の2波長のレーザー光L1,L2をビームスプリッター11により分離し、上記ビームスプリッター11により分離された一方の被測定光L1a,L2aを励起光として非線形媒質12Aを含む広帯域離散スペクトル生成用セル12に入射して、上記一方の被測定光である上記2波長のレーザー光L1a,L2aの上記非線形媒質12Aにおける差周波数に対応する周波数のコヒーレンスな屈折率変化を誘起して、広帯域離散スペクトルを発生するとともに、上記ビームスプリッター11により分離された他方の被測定光L1b,L2bを光遅延器13に入射して、上記他方の被測定光である上記2波長のレーザー光L1b,L2bに遅延量を与え、上記一方の被測定光L1a,L2aを励起光として上記広帯域離散スペクトル生成用セル12により生成される広帯域離散スペクトルと、上記光遅延器13により遅延された上記他方の被測定光を混合して和周波スペクトル発生器14の非線形光学結晶14Aを通過させることにより和周波スペクトルを発生し、上記制御部15により上記光遅延器13により上記他方の被測定光L1b,L2bに与える遅延量を可変制御して、上記和周波スペクトル発生器14により発生される和周波スペクトルの各スペクトル線が互いに干渉する様子を観測装置16で観測することにより、各スペクトル線間の位相差から被測定光の位相を見積もる。
【0026】
ここで、図3のフローチャートに示す手順に従って実行される初回の測定と、図4のフローチャートに示す手順に従って実行される2回目以降の測定によって、周波干渉スペクトルからスペクトル位相を特定することができる。
【0027】
初回の測定では、先ず、和周波干渉スペクトルを基本波の遅延時間を掃引し測定する(ステップS1)。
【0028】
次に、各和周波スペクトルがそれぞれもっと強くなる、すなわち、干渉し強めあう遅延時間を記録する(ステップS2)。
【0029】
そして、上記ステップS2の遅延時間は元の離散スペクトルの隣り合う2つのスペクトル線間の位相差を表すので、それぞれの遅延時間tと離散スペクトルの周波数間隔df(例えば10.6THz)とから、各位相差を2pi dftと一義的に導き出す(ステップS3)。
【0030】
2回目以降の測定では、和周波干渉スペクトルをある適当な遅延時間で測定する(ステップS11)。
【0031】
初回の測定ですでにわかっている干渉スペクトルの最大値と最小値を用い、測定されたスペクトル線の強度を-1~1の範囲にする(ステップS12)。
【0032】
規格化された干渉スペクトル強度のアークコサインをとると符号抜きで位相が求まる(ステップS13)。
【0033】
さらに、先程と違う遅延時間((1/4f)だけずらした場合が最も効率がよい)で再度干渉スペクトルを測定し、先程との変化を見ることで位相の符号を特定する(ステップS14)。
【0034】
スペクトルの測定時間は、非常に短く(ミリ秒)、2回目以降は準リアルタイムの高速計測を行うことができる。
【0035】
したがって、上記スペクトル位相計測装置10では、離散スペクトルのスペクトル位相を高速かつ高感度に測定することができる。
【0036】
本発明よれば、離散スペクトルのスペクトル位相を高速かつ高感度に測定することができるので、離散スペクトルから超短パルスを高次分散の影響も考慮して補償することができようになる。スペクトルの離散性のために、高い繰り返し周波数を持つパルス列は、従来の超短パルスの単発の効果を短時間に集約することができる。これを化学反応の選択性の制御に応用すれば任意の反応性生成物を効率よく短時間に生成することもできる。
【0037】
また、位相情報を用いて高次分散を補償することで、フーリエ変換限界の超短パルスが生成できる。
【0038】
また、超短パルスの時間波形を任意に制御することにも応用でき、光領域のシンセサイザーに応用できる。
【0039】
さらに、離散スペクトルの発生過程で付加される位相など、物理化学過程の解明に関して新たな知見を得ることができる。
【0040】
なお、本発明は、以上の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明適用した離散スペクトルのスペクトル位相計測装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】上記スペクトル位相計測装置で観測されたスペクトルの例を示す図である。
【図3】上記スペクトル位相計測装置において、周波干渉スペクトルからスペクトル位相を特定するための初回の測定での処理手順を示すフローチャートである。
【図4】上記スペクトル位相計測装置において、周波干渉スペクトルからスペクトル位相を特定するための二回目以降の測定での処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
10 スペクトル位相計測装置、11 ビームスプリッター、12 広帯域離散スペクトル生成用セル、12A 非線形媒質、13 光遅延器、14 和周波スペクトル発生器、14A 光学系、14B 非線形光学結晶、15 制御部、16 観測装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3