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明細書 :燃料品質判定方法および燃料品質判定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第4669931号 (P4669931)
登録日 平成23年1月28日(2011.1.28)
発行日 平成23年4月13日(2011.4.13)
発明の名称または考案の名称 燃料品質判定方法および燃料品質判定装置
国際特許分類 F02D  45/00        (2006.01)
FI F02D 45/00 364K
請求項の数または発明の数 6
全頁数 25
出願番号 特願2010-018474 (P2010-018474)
出願日 平成22年1月29日(2010.1.29)
審査請求日 平成22年4月5日(2010.4.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
【識別番号】506037663
【氏名又は名称】株式会社栄和技研
発明者または考案者 【氏名】冨田 栄二
【氏名】森中 博
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査官 【審査官】有賀 信
参考文献・文献 特開2007-239739(JP,A)
特開昭60-093155(JP,A)
特開2001-329906(JP,A)
特開2001-329905(JP,A)
特開2001-271648(JP,A)
調査した分野 F02D 43/00─45/00
F02D 41/00─41/40
G01M 15/00─15/14
要約 【課題】ディーゼル燃料等の燃料の品質判定において、品質判定の信頼性および精度を向上させる。
【解決手段】判定対象の燃料についての着火遅れの値および火炎拡大率の値を測定し、第一の判定基準である基準線71,72により、着火遅れの測定値が第一の範囲である基準線71以下の範囲または基準線72以上の範囲にある場合は、その第一の範囲により定まる燃料の品質の良否に基づいて判定対象の燃料の品質の良否を判定し、第一の判定基準により、着火遅れの測定値が第二の範囲である基準線71から基準線72の範囲にある場合は、第二の判定基準である直線81により、火炎拡大率の測定値が良品の範囲にあるか否かにより、判定対象の燃料の品質の良否を判定する。
【選択図】図6
特許請求の範囲 【請求項1】
燃料を燃焼室内に噴射して燃焼させ、燃料の燃焼状態に基づいて燃料の品質を判定する燃料品質判定方法であって、
実際に使用された結果の燃焼障害の有無に基づく品質の良否が判明している複数の燃料についての燃料の噴射から着火までの時間である着火遅れの値および燃料の着火直後からの火炎の増大率である火炎拡大率の値それぞれを示す座標軸を有する座標平面上における前記各値の分布に基づき、前記着火遅れについて、該着火遅れの値が所定の値よりも小さい範囲および前記所定の値よりも大きい第二の所定の値よりも大きい範囲の少なくともいずれかの範囲であり、前記着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まる第一の範囲、および前記所定の値と前記第二の所定の値との間の範囲であり、前記着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まらない第二の範囲を区画する第一の判定基準と、
前記複数の燃料についての前記分布に基づき、前記第二の範囲を含む範囲で、前記火炎拡大率について、前記座標平面上の前記着火遅れの値に対応する前記火炎拡大率の値の良品の範囲を区画する第二の判定基準と、を用い、
判定対象の燃料についての前記着火遅れの値および前記火炎拡大率の値を測定し、
前記第一の判定基準により、前記着火遅れの測定値が前記第一の範囲のうち前記所定の値よりも小さい範囲にある場合は、判定対象の燃料の品質を良品と判定し、前記着火遅れの測定値が前記第一の範囲のうち前記第二の所定の値よりも大きい範囲にある場合は、判定対象の燃料の品質を不良品と判定し、
前記第一の判定基準により、前記着火遅れの測定値が前記第二の範囲にある場合は、前記第二の判定基準により、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かにより、判定対象の燃料の品質の良否を判定することを特徴とする燃料品質判定方法。
【請求項2】
記座標平面上に、
前記第一の判定基準を示す基準線と、前記第二の判定基準を示す基準線とを表示させるとともに、
判定対象の燃料についての前記着火遅れの測定値および前記火炎拡大率の測定値から定まる前記座標平面上の点を測定点として表示させることを特徴とする請求項1に記載の燃料品質判定方法。
【請求項3】
前記第二の判定基準による、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かの判定ができない場合、その場合における前記複数の燃料についての前記分布を得た際の前記燃焼室内の温度よりも低い温度で得た前記分布に基づく前記第二の判定基準を用い、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かの判定を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料品質判定方法。
【請求項4】
噴射ノズルから噴射された燃料を燃焼させる燃焼室と、
前記噴射ノズルによる燃料の噴射前に前記燃焼室内の温度を調整するための温度調整手段と、
前記噴射ノズルによる燃料の噴射を制御するための噴射制御手段と、
前記燃焼室内における燃料の燃焼による火炎の光を検出する光検出手段と、
前記燃焼室内を撮像することで前記燃焼室内の燃料の燃焼の様子を含む連続的な画像データを取得する燃焼撮像手段と、
前記光検出手段による前記光の検出に基づいて前記噴射ノズルによる燃料の噴射から着火までの時間である着火遅れを測定する着火遅れ測定手段と、
前記火炎撮像手段により取得された前記画像データに基づいて前記噴射ノズルにより噴射された燃料の着火直後からの前記火炎の増大率である火炎拡大率を測定する火炎拡大率測定手段と、
前記着火遅れ測定手段により測定された前記着火遅れの測定値および前記火炎拡大率測定手段により測定された前記火炎拡大率の測定値に基づいて燃料の品質を判定する解析手段と、
を備え、
前記解析手段は、
実際に使用された結果の燃焼障害の有無に基づく品質の良否が判明している複数の燃料についての前記着火遅れの値および前記火炎拡大率の値それぞれを示す座標軸を有する座標平面上における前記各値の分布に基づき、前記着火遅れについて、該着火遅れの値が所定の値よりも小さい範囲および前記所定の値よりも大きい第二の所定の値よりも大きい範囲の少なくともいずれかの範囲であり、前記着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まる第一の範囲、および前記所定の値と前記第二の所定の値との間の範囲であり、前記着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まらない第二の範囲を区画する第一の判定基準と、
前記複数の燃料についての前記分布に基づき、前記第二の範囲を含む範囲で、前記火炎拡大率について、前記座標平面上の前記着火遅れの値に対応する前記火炎拡大率の値の良品の範囲を区画する第二の判定基準と、を用い、
前記温度調整手段および前記噴射制御手段を制御することで前記燃焼室内の温度を所定の温度として判定対象の燃料を前記噴射ノズルから噴射させて燃焼させて、
前記第一の判定基準により、前記着火遅れ測定手段により測定された判定対象の燃料についての前記着火遅れの測定値が前記第一の範囲のうち前記所定の値よりも小さい範囲にある場合は、判定対象の燃料の品質を良品と判定し、前記着火遅れの測定値が前記第一の範囲のうち前記第二の所定の値よりも大きい範囲にある場合は、判定対象の燃料の品質を不良品と判定し、
前記第一の判定基準により、判定対象の燃料についての前記着火遅れの測定値が前記第二の範囲にある場合は、前記第二の判定基準により、前記火炎拡大率測定手段により測定された判定対象の燃料についての前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かにより、判定対象の燃料の品質の良否を判定する、
燃料品質判定装置。
【請求項5】
前記解析手段は、
記座標平面上に、前記第一の判定基準を示す基準線と、前記第二の判定基準を示す基準線とを表示するとともに、判定対象の燃料についての前記着火遅れの測定値および前記火炎拡大率の測定値から定まる前記座標平面上の点を測定点として表示する表示部を有する、
請求項4に記載の燃料品質判定装置。
【請求項6】
前記解析手段は、
前記第二の判定基準による、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かの判定ができない場合、その場合における前記複数の燃料についての前記分布を得た際の前記燃焼室内の温度よりも低い温度で得た前記分布に基づく前記第二の判定基準を用い、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かの判定を行う、
請求項4または請求項5に記載の燃料品質判定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば舶用のディーゼルエンジン等に使用される重油等の燃料(燃料油)の品質検査に用いられる燃料品質判定方法および燃料品質判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に外航船に用いられる舶用のディーゼルエンジンの燃料(ディーゼル燃料)として、重油が用いられている。重油は、原油の精製にともなって生じる残渣油を高い割合で含む。このような舶用のディーゼル燃料は、バンカー油とも称される。
【0003】
バンカー油は、前記のとおり残渣油を高い割合で含むことから、原油の精製の方式や産地等によって、成分が異なり、品質が一定ではない。このため、自国以外の国の港に寄港して燃料(燃料油)の補給を行う外航船は、寄港した国によって原油の精製の方式等が異なることから、国ごとに品質の異なる燃料の補給を受ける。そして、国によっては外航船に劣悪な燃料が補給される場合がある。最近では特に、バンカー油からもガソリン等を精製する技術が発達していることから、バンカー油からガソリンが抽出されること等に起因して、バンカー油の低品質化が進む傾向にある。
【0004】
劣悪な燃料が補給されることは、エンジンのトラブルを発生させる原因となる。とりわけ、舶用のディーゼルエンジンにおいては、最も深刻なトラブルの一つとしてスカッフィングが挙げられる。スカッフィングとは、エンジンにおいて潤滑油不足の状態でピストン(ピストンリング)がシリンダ(シリンダライナ)に対して摺動することで、シリンダの壁面に傷や亀裂等の損傷が生じることであり、程度によってはエンジンの故障を招く原因となる。
【0005】
スカッフィングが発生するメカニズムは複雑であり、その発生原因にはエンジンの設計、潤滑油の熱耐性、エンジンの運転状況・メンテナンス不良等が考えられるが、主な発生原因の一つに、燃料の品質がある。具体的には、燃料が良質である場合、エンジンの燃焼室内に噴射された燃料は噴射終了後に燃え尽きてすぐに消えるため、ピストンとシリンダとの間の潤滑油が焼き付くことがない。これに対し、燃料が劣悪である場合、燃焼室内に噴射された燃料による高温の火炎が、燃料の噴射終了後においてシリンダの壁面の近くに残るため、ピストンとシリンダとの間の潤滑油が焼き付き、スカッフィングが生じる。このように、スカッフィングは、エンジンにおける潤滑性の悪化により発生する。
【0006】
そこで、エンジンに補給される燃料の品質をあらかじめ検査することができれば、上記のようなエンジンのトラブルを回避することができる。燃料の品質に関し、ディーゼル燃料の場合、着火性が非常に重要である。着火しなければ、燃焼が開始しないからである。しかし、バンカー油(重油)については、一旦燃焼が開始しても、その後の燃焼性が悪い場合がある。このことは、上述したようにバンカー油が残渣油を高い割合で含むものであることや、バンカー油からガソリンが抽出されることによるバンカー油の低品質化が進んでいること等に基づく。
【0007】
詳細には、重油からガソリンが抽出された残渣は、粘度が高すぎて燃料として使い物にならないが、この残渣に、重油からのガソリンの精製にともなって生じる副産物を混入することにより、粘度の調整が可能となる。ここで生じる副産物とは、ライトサイクルオイル等の、粘度が低く、着火性・燃焼性が悪い油成分である。したがって、この副産物の混入により粘度が調整されたバンカー油は、ガソリンが抽出されていないバンカー油に比べて、着火性・燃焼性の面で劣る。
【0008】
このように、バンカー油においては、粘度が同程度であっても、着火性・燃焼性が全く異なる場合がある。このため、粘度や比重等に基づいてバンカー油の品質の検査を行うことは困難である。また、バンカー油は燃料であるので、本来、その成分を分析することで、着火性や燃焼性等の品質が評価されるべきであるが、残渣油を高い割合で含むバンカー油は炭素数が非常に多いため、現状では、成分の分析が技術的に困難である。このため、バンカー油の品質は実際に燃焼させてみないと検査することができないというのが実情である。
【0009】
燃料を実際に燃焼させることで品質の検査を行う方法としては、主に、燃料の燃焼による熱発生率に基づいて品質を判定する方法と、燃料の燃焼にともなう火炎を観察することで燃料の燃焼状態に基づいて品質を判定する方法とがある。
【0010】
前者の方法、つまり燃料の燃焼による熱発生率に基づく方法は、燃料が燃焼させられる燃焼室内の圧力変化を熱力学的に解析し、燃料の燃焼による熱発生率を算出することにより、燃料の燃焼状態を推定するというものである。しかしながら、燃焼室内の圧力変化に基づいて燃料の燃焼状態を推定することによっては、正しく燃料の品質を判定することが難しい。
【0011】
一方、後者の方法、つまり燃料の燃焼状態に基づく方法は、燃焼室内における燃料の燃焼状態(火炎)を、観察窓を介してカメラ等によって直接的に観察することで、燃料の品質を評価するというものである。このように燃料の燃焼状態に基づく方法に、例えば特許文献1および特許文献2に記載されている技術がある。
【0012】
特許文献1の技術は、燃料を噴射させ燃焼させたときの火炎の長さまたは噴射終了後に引き続いて燃焼する後燃え時間を指標とし、あらかじめ測定した良品の燃料についてのデータと、検査対象の燃料についてのデータとを比較することで、燃焼性の良否を判定しようとするものである。また、特許文献2の技術は、着火遅れ(燃料の噴射から着火までの時間)と燃焼開始直後の光量の変化率を指標とし、燃料のグレード分けや品質の判定を行うものである。
【0013】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、燃料の燃焼状態を観察するためのカメラに関し、燃料の品質の判定を行うために十分な時間分解能を得ることがコスト面等から困難であるという問題がある。また、燃料の品質の判定を行うためのデータの数が十分とは言えない。また、特許文献1および特許文献2を含む従来の品質判定は、燃料が実際に外航船等のエンジンにおいて使用された結果のデータに基づくものではない。したがって、従来の品質判定による判定結果は、その判定結果を得た燃料を実際に使用するに際し、信頼性の面で十分であるとは言えない。
【先行技術文献】
【0014】

【特許文献1】特開2001-329906号公報
【特許文献2】特許第4105742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、燃料が実際に使用された結果としてのエンジンのトラブル発生の有無を反映することができ、品質判定の信頼性および精度を向上させることができる燃料品質判定方法および燃料品質判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の燃料品質判定方法は、燃料を燃焼室内に噴射して燃焼させ、燃料の燃焼状態に基づいて燃料の品質を判定する燃料品質判定方法であって、実際に使用された結果の燃焼障害の有無に基づく品質の良否が判明している複数の燃料についての燃料の噴射から着火までの時間である着火遅れの値および燃料の着火直後からの火炎の増大率である火炎拡大率の値それぞれを示す座標軸を有する座標平面上における前記各値の分布に基づき、前記着火遅れについて、該着火遅れの値が所定の値よりも小さい範囲および前記所定の値よりも大きい第二の所定の値よりも大きい範囲の少なくともいずれかの範囲であり、前記着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まる第一の範囲、および前記所定の値と前記第二の所定の値との間の範囲であり、前記着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まらない第二の範囲を区画する第一の判定基準と、前記複数の燃料についての前記分布に基づき、前記第二の範囲を含む範囲で、前記火炎拡大率について、前記座標平面上の前記着火遅れの値に対応する前記火炎拡大率の値の良品の範囲を区画する第二の判定基準と、を用い、判定対象の燃料についての前記着火遅れの値および前記火炎拡大率の値を測定し、前記第一の判定基準により、前記着火遅れの測定値が前記第一の範囲のうち前記所定の値よりも小さい範囲にある場合は、判定対象の燃料の品質を良品と判定し、前記着火遅れの測定値が前記第一の範囲のうち前記第二の所定の値よりも大きい範囲にある場合は、判定対象の燃料の品質を不良品と判定し、前記第一の判定基準により、前記着火遅れの測定値が前記第二の範囲にある場合は、前記第二の判定基準により、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かにより、判定対象の燃料の品質の良否を判定するものである。
【0017】
また、本発明の燃料品質判定方法は、好ましくは、前記座標平面上に、前記第一の判定基準を示す基準線と、前記第二の判定基準を示す基準線とを表示させるとともに、判定対象の燃料についての前記着火遅れの測定値および前記火炎拡大率の測定値から定まる前記座標平面上の点を測定点として表示させるものである。
【0018】
また、本発明の燃料品質判定方法は、好ましくは、前記第二の判定基準による、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かの判定ができない場合、その場合における前記複数の燃料についての前記分布を得た際の前記燃焼室内の温度よりも低い温度で得た前記分布に基づく前記第二の判定基準を用い、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かの判定を行うものである。
【0019】
本発明の燃料品質判定装置は、噴射ノズルから噴射された燃料を燃焼させる燃焼室と、前記噴射ノズルによる燃料の噴射前に前記燃焼室内の温度を調整するための温度調整手段と、前記噴射ノズルによる燃料の噴射を制御するための噴射制御手段と、前記燃焼室内における燃料の燃焼による火炎の光を検出する光検出手段と、前記燃焼室内を撮像することで前記燃焼室内の燃料の燃焼の様子を含む連続的な画像データを取得する燃焼撮像手段と、前記光検出手段による前記光の検出に基づいて前記噴射ノズルによる燃料の噴射から着火までの時間である着火遅れを測定する着火遅れ測定手段と、前記火炎撮像手段により取得された前記画像データに基づいて前記噴射ノズルにより噴射された燃料の着火直後からの前記火炎の増大率である火炎拡大率を測定する火炎拡大率測定手段と、前記着火遅れ測定手段により測定された前記着火遅れの測定値および前記火炎拡大率測定手段により測定された前記火炎拡大率の測定値に基づいて燃料の品質を判定する解析手段と、を備え、前記解析手段は、実際に使用された結果の燃焼障害の有無に基づく品質の良否が判明している複数の燃料についての前記着火遅れの値および前記火炎拡大率の値それぞれを示す座標軸を有する座標平面上における前記各値の分布に基づき、前記着火遅れについて、該着火遅れの値が所定の値よりも小さい範囲および前記所定の値よりも大きい第二の所定の値よりも大きい範囲の少なくともいずれかの範囲であり、前記着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まる第一の範囲、および前記所定の値と前記第二の所定の値との間の範囲であり、前記着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まらない第二の範囲を区画する第一の判定基準と、前記複数の燃料についての前記分布に基づき、前記第二の範囲を含む範囲で、前記火炎拡大率について、前記座標平面上の前記着火遅れの値に対応する前記火炎拡大率の値の良品の範囲を区画する第二の判定基準と、を用い、前記温度調整手段および前記噴射制御手段を制御することで前記燃焼室内の温度を所定の温度として判定対象の燃料を前記噴射ノズルから噴射させて燃焼させて、前記第一の判定基準により、前記着火遅れ測定手段により測定された判定対象の燃料についての前記着火遅れの測定値が前記第一の範囲のうち前記所定の値よりも小さい範囲にある場合は、判定対象の燃料の品質を良品と判定し、前記着火遅れの測定値が前記第一の範囲のうち前記第二の所定の値よりも大きい範囲にある場合は、判定対象の燃料の品質を不良品と判定し、前記第一の判定基準により、判定対象の燃料についての前記着火遅れの測定値が前記第二の範囲にある場合は、前記第二の判定基準により、前記火炎拡大率測定手段により測定された判定対象の燃料についての前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かにより、判定対象の燃料の品質の良否を判定するものである。
【0020】
また、本発明の燃料品質判定装置においては、好ましくは、前記解析手段は、前記座標平面上に、前記第一の判定基準を示す基準線と、前記第二の判定基準を示す基準線とを表示するとともに、判定対象の燃料についての前記着火遅れの測定値および前記火炎拡大率の測定値から定まる前記座標平面上の点を測定点として表示する表示部を有するものである。
【0021】
また、本発明の燃料品質判定装置においては、好ましくは、前記解析手段は、前記第二の判定基準による、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かの判定ができない場合、その場合における前記複数の燃料についての前記分布を得た際の前記燃焼室内の温度よりも低い温度で得た前記分布に基づく前記第二の判定基準を用い、前記火炎拡大率の測定値が前記良品の範囲にあるか否かの判定を行うものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、燃料が実際に使用された結果としてのエンジンのトラブル発生の有無を反映することができ、品質判定の信頼性および精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る燃料品質判定装置の全体的な構成を示す図。
【図2】燃焼室内の圧力の時間変化を表すグラフを示す図。
【図3】燃焼室内に噴射される燃料の圧力の時間変化を表すグラフを示す図。
【図4】燃焼室内における燃料の燃焼にともなう光量の変化を表すグラフの一例を示す図。
【図5】燃焼室内における燃料の燃焼の様子を表す連続的な撮像画像を示す図。
【図6】本発明の一実施形態に係る燃料品質判定方法についての説明図。
【図7】本発明の一実施形態に係る燃料品質判定方法についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、燃料の着火性および燃焼性をそれぞれ示す指標を用い、これらの指標について、実際に使用されることで品質の良否が既知である燃料の測定データに基づく判定基準をあらかじめ設定し、この判定基準を用いて燃料の品質の良否を評価・判定しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について説明する。

【0025】
図1に示すように、本実施形態の燃料品質判定装置1は、燃焼室2と、予備燃焼調整部3と、燃料供給部4と、フォトセンサ5と、カメラ6と、制御部7とを備える。

【0026】
燃焼室2は、燃料を燃焼させるための燃焼空間10を形成する。本実施形態では、燃焼室2は、略円筒状の定容積容器として構成され、その筒軸方向が上下方向となる姿勢で設置される。そして、燃焼空間10は、直径100mm、高さ330mmの円筒形状の空間として形成される。燃焼室2は、例えばステンレス等の金属製の容器として構成される。

【0027】
燃焼室2には、観察窓11が設けられている。観察窓11は、燃焼室2の内部での燃料の燃焼の様子を燃焼室2の外部から観察するための窓である。観察窓11は、略円筒形状の燃焼室2において燃焼空間10を形成する周壁部分に設けられる。観察窓11は、燃焼室2の外部から石英ガラス12を介して燃焼室2の内部が見えるように構成される。石英ガラス12は、燃焼空間10を形成する周壁部分に装着される。

【0028】
燃焼室2には、燃焼室2内に燃料を噴射するための噴射ノズル13が設けられている。噴射ノズル13は、噴射口が下を向く姿勢で燃焼室2の上部に設けられ、燃焼空間10に対して上方から下方に向けて燃料を噴射する。このように、本実施形態では、燃焼室2は、噴射ノズル13から噴射された燃料を燃焼させる。

【0029】
また、燃焼室2には、点火プラグ14が設けられている。点火プラグ14は、燃焼室2において燃焼空間10を形成する周壁部分に装着され、図示せぬイグナイタに接続される。点火プラグ14は、後述するように予備燃焼調整部3から燃焼室2に供給される混合ガスに点火するためのものである。点火プラグ14の動作は、制御部7により制御される。

【0030】
また、燃焼室2には、燃焼室2内の燃焼ガスを排気するための排気管15が接続されている。排気管15には、排気制御弁16が設けられている。排気制御弁16は、燃焼室2内からの燃焼ガスの排気が行われる排気状態と、燃焼室2内からの燃焼ガスの排気が止められる非排気状態とを切り換えるための弁である。排気制御弁16は、排気管15の燃焼室2に対する接続部分の近傍に設けられる。

【0031】
排気管15は、排気制御弁16の下流側の部分において、燃焼室2内の高圧状態を利用した自然排気を行うための自然排気管15aと、真空ポンプ17による強制的な排気を行うための強制排気管15bとに分岐している。排気管15は、真空ポンプ17による燃焼室2内の燃焼ガスの強制的な排気により、燃焼室2内に燃焼の残渣ができるだけ残留しないように、燃焼室2内の排気を行う。

【0032】
排気管15を構成する自然排気管15aおよび強制排気管15bには、切換用の開閉弁18a,18bが設けられている。これらの開閉弁18a,18bの開閉制御により、燃焼室2内の燃焼ガスの効率良く速やかな排気が行われる。排気管15に設けられる排気制御弁16、および開閉弁18a,18bの動作は、制御部7により制御される。また、燃焼室2には、燃焼室2内の気圧の変化等が生じる状況下において安全を確保するための安全弁19が設けられている。

【0033】
また、燃焼室2には、燃焼室2内の温度を計測するための燃焼室用温度計21と、燃焼室2内の圧力を計測するための燃焼室用圧力計22とが設けられている。燃焼室用温度計21は、例えば熱電対であり、燃焼室用圧力計22は、例えば圧力変換素子である。

【0034】
予備燃焼調整部3は、燃焼室2内の温度、圧力、およびガス成分を含む雰囲気状態を調整するための構成である。つまり、予備燃焼調整部3は、燃焼室2内で燃焼を生じさせることにより、燃焼室2内の雰囲気状態をあらかじめ所定の状態に調整する。

【0035】
予備燃焼調整部3は、調整ガスタンク31とエチレンガスタンク32とを有する。調整ガスタンク31は、窒素を配合した酸素からなる調整ガスを貯溜し、調整ガス供給管33を介して燃焼室2に接続される。エチレンガスタンク32は、燃料ガスとしてのエチレンガスを貯溜し、エチレンガス供給管34を介して燃焼室2に接続される。

【0036】
つまり、予備燃焼調整部3は、調整ガス供給管33を介して調整ガスタンク31内の調整ガスを燃焼室2内に送給するとともに、エチレンガス供給管34を介してエチレンガスタンク32内のエチレンガスを燃焼室2内に送給する。本実施形態では、調整ガス供給管33とエチレンガス供給管34とは、途中で合流した状態で燃焼室2に接続される。

【0037】
調整ガス供給管33およびエチレンガス供給管34には、それぞれマスフローコントローラ35と制御バルブ36とが設けられている。調整ガス供給管33に設けられるマスフローコントローラ35および制御バルブ36により、調整ガスタンク31から燃焼室2に送給される調整ガスの流量が調整される。エチレンガス供給管34に設けられるマスフローコントローラ35および制御バルブ36により、エチレンガスタンク32から燃焼室2に送給されるエチレンガスの流量が調整される。なお、制御バルブ36については、調整ガス供給管33とエチレンガス供給管34とが合流した後の配管部分に、調整ガスとエチレンガスとで共用される制御バルブが設けられる構成が採用されてもよい。

【0038】
このように、予備燃焼調整部3により、流量が調整された調整ガスおよびエチレンガスが燃焼室2内に送り込まれることにより、燃焼室2内において、酸素(O)と窒素(N)とエチレン(C)とが所定の割合で混合された予混合ガスが生成される。なお、調整ガスタンク31内に貯溜される調整ガスとしては、例えば酸素34%、窒素66%の成分比のものが用いられる。

【0039】
燃料供給部4は、燃料品質判定装置1による検査対象の燃料を燃焼室2内に供給するための構成である。燃料供給部4は、燃料タンク41を有する。燃料タンク41は、検査対象の燃料を貯溜し、燃料供給管42を介して噴射ノズル13に接続される。つまり、燃料供給部4は、燃料供給管42を介して燃料タンク41内の燃料を噴射ノズル13に供給する。

【0040】
燃料供給部4は、噴射ノズル13に対して燃料を所定の圧力に加圧して供給するための構成として、コンプレッサ43と燃料ポンプ44とを有する。コンプレッサ43は、燃料タンク41に接続され、燃料タンク41内を加圧する。燃料ポンプ44は、燃料供給管42に設けられ、燃料タンク41から燃料供給管42に送り込まれた燃料を、噴射ノズル13に対して圧送する。

【0041】
燃料ポンプ44は、作動油によって動作するピストン44aを有し、作動油の供給を受けることで作動する。燃料ポンプ44に対する作動油の供給は、オイルポンプ45およびアキュムレータ46を含む構成により行われる。オイルポンプ45およびアキュムレータ46は、電磁弁47を介して燃料ポンプ44に接続される。

【0042】
燃料供給部4においては、コンプレッサ43により加圧された燃料が、アキュムレータ46により加圧された作動油を受けて押されるピストン44aによってさらに加圧され、噴射ノズル13に供給される。なお、電磁弁47の動作は、制御部7により制御される。以上のような構成を有する燃料供給部4により、噴射ノズル13からの燃焼空間10に対する安定的な燃料噴射が行われる。

【0043】
また、燃料供給管42と噴射ノズル13との接続部分には、燃料供給部4から噴射ノズル13に供給された燃料のうち余分な燃料を排出するためのドレン管48が接続されている。ドレン管48によって排出された燃料は、ドレンタンク49に貯溜される。ドレン管48には、開閉弁50が設けられている。

【0044】
また、燃料供給管42には、噴射ノズル13から噴射される燃料の温度を計測するための燃料用温度計51と、噴射ノズル13から噴射される燃料の圧力を計測するための燃料用圧力計52とが設けられている。燃料用温度計51は、例えば熱電対であり、燃料用圧力計52は、例えば圧力変換素子である。

【0045】
フォトセンサ5は、燃焼室2内における燃料の燃焼にともなう火炎の光を受光して、その光を検出するためのものである。本実施形態では、フォトセンサ5は、上下方向に所定の間隔を隔てて三箇所に配置されている。図1では説明の便宜上、フォトセンサ5が観察窓11から燃焼室2内に臨むように示されているが、本実施形態では、フォトセンサ5は、例えば燃焼室2において燃焼空間10を形成する周壁部分に埋め込まれた態様で設けられる。

【0046】
フォトセンサ5による検出信号は、制御部7に入力される。フォトセンサ5が用いられることで、燃料の燃焼状態を観察するに際して時間分解能を極めて容易に向上させることができ、燃料の燃焼状態について精度良く確実な計測を行うことができる。このように、本実施形態では、フォトセンサ5が、燃焼室2内における燃料の燃焼による火炎の光を検出する光検出手段として機能する。なお、フォトセンサ5の設けられる個数や配置は特に限定されるものではない。

【0047】
カメラ6は、高速度ビデオカメラであり、燃焼室2内における燃料の燃焼状態についての画像データを取得するためのものである。カメラ6は、燃焼室2の観察窓11に対峙するように配置され、観察窓11を介して燃焼室2内における燃料の燃焼にともなう火炎の挙動を含む燃焼の様子を高い撮影速度で撮影する。

【0048】
カメラ6により取得された画像データは、制御部7に入力される。本実施形態では、カメラ6は、0.5ms(マイクロ秒)の時間間隔で画像データを取得する。つまり、カメラ6は、0.5msごとに燃焼室2内の様子を撮像する。このように、本実施形態では、カメラ6が、燃焼室2内を撮像することで燃焼室2内の燃料の燃焼の様子を含む連続的な画像データを取得する燃焼撮像手段として機能する。

【0049】
なお、カメラ6の設けられる個数や配置は特に限定されるものではない。例えば、観察窓11に対して上部位置と下部位置の二箇所にカメラ6が配置されることで、燃焼室2内における燃料の燃焼状態をより詳しく観察することができる。また、カメラ6とフォトセンサ5との配置関係については、フォトセンサ5が、前記のとおり燃焼室2の周壁部分に埋め込まれた態様で設けられること等により、カメラ6による撮像画像に干渉しないように配置される。

【0050】
制御部7は、所定のプログラムに基づいて燃料品質判定装置1の各部を制御する。制御部7は、プログラム等を格納する格納部、プログラム等に従って所定の演算を行う演算部、演算部による演算結果等を保管する保管部等を有する。制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバス等で接続された構成を有するコンピュータである。

【0051】
制御部7は、予備燃焼調整部3および燃料供給部4を制御することで、燃焼室2で燃料を燃焼させる。制御部7は、燃焼室2での燃料の燃焼についてフォトセンサ5およびカメラ6によって得られるデータに基づいて、燃料の解析、つまり燃料の品質の判定を行う。

【0052】
制御部7は、燃焼室2で燃料を燃焼させるために、まず、燃焼室2内において予混合ガスを燃焼させることにより、燃焼室2内を所定の圧力・温度の疑似空気が充満した状態とする。制御部7は、予備燃焼調整部3および点火プラグ14を制御することにより、燃焼室2内で予混合ガスを燃焼させる。

【0053】
具体的には、制御部7は、予備燃焼調整部3におけるマスフローコントローラ35および制御バルブ36を制御することで、燃焼室2に調整ガスおよびエチレンガスを所定量ずつ送給し、燃焼室2内に、酸素(O)と窒素(N)とエチレン(C)とが所定の割合で混合された予混合ガスを生成する。制御部7は、燃焼室2内に予混合ガスが充填された時点で、予備燃焼調整部3から燃焼室2への調整ガスおよびエチレンガスの供給を停止する。制御部7は、燃焼室2へのガスの供給を停止してから、点火プラグ14に接続されるイグナイタに信号を送信することで点火プラグ14を作動させ、燃焼室2内に充填している予混合ガスを燃焼させる。

【0054】
燃焼室2内で予混合ガスが燃焼することで、燃焼室2内の圧力が増大する。図2に、燃焼室2内の圧力の時間変化を示す。図2に示すように、予混合ガスの燃料により、燃焼室2内の圧力が、値Pの状態から一気に値Pmaxまで上昇する。つまり、図2のグラフにおいて符号H1で示す期間が、燃焼室2内における予混合ガスの燃焼期間である第一の燃焼期間を示しており、この第一の燃焼期間において、燃焼室2内の圧力が値Pから値Pmaxまで上昇する。

【0055】
このように予混合ガスが燃焼することで、燃焼室2内に疑似空気が生成される。本実施形態では、燃焼室2内で生成される疑似空気において酸素が21%程度存在するように、予混合ガスの圧力や成分比等が調整される。ここで、燃焼室2内に生成される疑似空気中の酸素量(酸素濃度)は、予備燃焼調整部3から燃焼室2に供給される調整ガス中の酸素の配合量や、燃焼室2に供給される調整ガスとエチレンガスとの混合比等の調整により、適宜調整される。

【0056】
図2に示すように、予混合ガスの燃焼によって値Pmaxまで上昇した燃焼室2内の圧力は、熱損失によって徐々に低下する。この燃焼室2内の圧力が低下する過程において、所定のタイミングで噴射ノズル13から燃料が噴射されることにより、燃料の燃焼が行われる。つまり、制御部7は、予備燃焼調整部3および点火プラグ14を制御することで燃焼室2内を疑似空気で充満させた状態から、燃料供給部4を制御することにより、所定のタイミングで噴射ノズル13から燃料を噴射させ、燃焼室2において燃料の燃焼を生じさせる。

【0057】
具体的には、制御部7は、燃焼室2内の圧力が値Pmaxから低下する過程において、燃焼室2内の圧力が所定の設定圧力に達した時点で、電磁弁47を切換制御することにより燃料ポンプ44を作動させることで、噴射ノズル13から燃焼室2内に燃料を噴射させる。本実施形態では、制御部7の制御による噴射ノズル13からの燃料の噴射は、例えば、燃焼室2内の圧力が約1.9MPa(メガパスカル)に達した時点で実行される。なお、本実施形態では、燃焼室2内の雰囲気状態について、燃焼室2内の圧力が約1.9MPaの状態で、燃焼室2内の温度が約684Kとなるような調整が行われる。

【0058】
噴射ノズル13から燃焼室2内に噴射された燃料は、燃焼室2内の雰囲気状態によって自己着火し、燃焼を開始する。言い換えると、燃焼室2内への燃料の噴射は、燃焼室2内の圧力が低下する過程において、燃焼室2内の圧力や温度等の雰囲気状態が、噴射された燃料の自然的な着火を生じさせる状態となった時点で行われる。

【0059】
図2に示すように、燃焼室2内で噴射ノズル13から噴射された燃料が燃焼することで、燃焼室2内の圧力が、徐々に低下する過程において一時的に上昇する。つまり、図2のグラフにおいて符号H2で示す期間が、燃焼室2内における燃料の燃焼期間である第二の燃焼期間を示しており、この第二の燃焼期間において、燃焼室2内の圧力が一時的に上昇する。

【0060】
このように燃焼室2内において燃焼する燃料は、燃料供給部4により安定的に供給される。図3に、噴射ノズル13から燃焼室2内に噴射される燃料の圧力(以下「燃料噴射圧力」という。)の時間変化を示す。燃料噴射圧力は、前述したように燃料用圧力計52によって計測される。図3において、時刻t0が燃料噴射の開始時点(Initiation of injection)であり、時刻t1が燃料噴射の終了時点である。燃焼室2内への燃料の噴射は、約30msの間行われる。

【0061】
図3に示すように、燃料噴射圧力は、燃料噴射の開始をともなって上昇し、一旦わずかに低下した後に略一定の値(値Pc参照)で推移する。そして、燃料噴射圧力は、略一定の状態から、制御部7から電磁弁47等に対する燃料の噴射終了の制御信号が発信されることで、急激に低下する。

【0062】
図3に示すグラフは、燃料の噴射30回分のデータを重ねたものである。図3に示すグラフからわかるように、燃料の噴射30回分のデータは、ほぼ同じ波形で重なっている。つまり、燃料品質判定装置1においては、燃料噴射圧力について優れた再現性が得られる。

【0063】
具体的には、燃料の噴射が開始されてから燃料噴射圧力が略一定の値となるまでの期間については、燃料の噴射ごとに燃料噴射圧力が若干ばらつくものの、燃料噴射圧力が略一定の値(値Pc参照)となってからの期間については、燃料噴射圧力は各回の噴射でほぼ同じ変化態様となる。このように、本実施形態の燃料品質判定装置1においては、燃料噴射圧力について理想的な圧力波形を実現することができる。

【0064】
制御部7は、燃焼室2内における燃料の燃焼が終了した後、燃焼室2内の燃焼ガスの排気を行う。制御部7は、燃焼室2内の燃焼ガスの排気として、排気制御弁16および自然排気管15aの開閉弁18aを開弁することによる排気、ならびに排気制御弁16および強制排気管15bの開閉弁18bを開弁するとともに真空ポンプ17を作動させることによる強制排気を行う。

【0065】
以上のように、本実施形態の燃料品質判定装置1においては、予備燃焼調整部3が、噴射ノズル13による燃料の噴射前に燃焼室2内の温度を調整するための温度調整手段として機能する。また、同じく燃料品質判定装置1においては、燃料供給部4が、噴射ノズル13による燃料の噴射を制御するための噴射制御手段として機能する。

【0066】
以上のような構成を備える燃料品質判定装置1により、燃料の品質の判定が行われる。本実施形態の燃料品質判定方法は、燃料の噴射から着火までの時間である着火遅れと、燃料の着火直後からの火炎の増大率である火炎拡大率とを指標として用いる。本実施形態の燃料品質判定方法は、燃料の良否を判定するうえで、着火性を示す着火遅れというパラメータが重要であるという事実を踏まえ、この着火遅れに加え、燃料の着火後の燃焼性を示す火炎拡大率というパラメータに着目することにより、燃料の良否を精度良く判定しようとするものである。

【0067】
本実施形態の燃料品質判定装置1において、着火遅れは、噴射ノズル13による燃料の噴射から着火までの時間、つまり噴射ノズル13により燃料の噴射が開始された時点から、噴射ノズル13から噴射された燃料が着火した時点までの時間である。燃料品質判定装置1においては、着火遅れは、制御部7により測定される。

【0068】
制御部7は、フォトセンサ5から入力される検出信号に基づいて着火遅れを測定する。具体的には、制御部7は、例えば、噴射ノズル13からの燃料の噴射に際して燃料ポンプ44を作動させるための電磁弁47への制御信号等から、噴射ノズル13による燃料の噴射開始時を計測する。また、制御部7は、フォトセンサ5からの入力信号に基づき、噴射ノズル13から噴射された燃料の燃焼開始にともなう火炎の光がフォトセンサ5によって検出された時を、燃料の着火時として計測する。そして、制御部7は、計測した燃料の噴射開始時および燃料の着火時から、着火遅れを測定する。

【0069】
図4に、フォトセンサ5により検出される、燃料の燃焼にともなう光量の変化の一例を示す。図4において、燃料噴射の開始時点である時刻taから、燃料噴射の終了時点である時刻tbまでの期間L1が、燃料の噴射期間(Injection period)である。また、図4に示すグラフにおいて、燃料着火のタイミングは、燃料噴射の開始時点(時刻ta)の後にフォトセンサ5により検出される光量が急激に増加するタイミングである時刻tcに相当する。したがって、図4に示すグラフにおいて、燃料噴射の開始時点である時刻taから、燃料着火のタイミングである時刻tcまでの期間L2が、着火遅れ(ignition delay)に対応する。このような着火遅れが、制御部7によって時間の長さとして測定される。

【0070】
このように、制御部7は、フォトセンサ5から入力される検出信号に基づいて着火遅れを測定するための機能部分を具備する。つまり、本実施形態の燃料品質判定装置1においては、制御部7が、フォトセンサ5による火炎の光の検出に基づいて着火遅れを測定する着火遅れ測定手段として機能する。

【0071】
本実施形態において燃料の品質の判定にパラメータとして用いられる火炎拡大率は、燃料の着火直後からその火炎が安定するまでの間におけるいわば燃焼初期の遷移領域での火炎の広がり具合である。言い換えると、火炎拡大率は、着火直後から時間の経過にともなって増大する火炎の変化率である。火炎拡大率は、燃料の燃焼によって生じた火炎を撮像することで得られる画像データに基づいて測定される。

【0072】
燃焼室2内において、着火した燃料の部分のガス温度が上昇することで、その部分の周囲のガスが着火する。こうしたガスの温度上昇および着火の連鎖によって火炎が成長していくのが、ディーゼル燃焼(ディーゼル燃料の燃焼)である。ディーゼル燃焼については、燃料が最初に着火する時点では雰囲気温度が比較的重要であるが、一旦燃料の着火が開始すると、雰囲気温度よりも周囲の燃焼ガスの温度が重要になる。

【0073】
本実施形態の燃料品質判定装置1においては、燃料の燃焼は、十分大きな容積を持つ燃焼室2内における燃焼であるため、燃焼室2内の圧力は燃焼中にそれほど上昇しない。圧力の上昇は、燃焼終了時で約3%程度の上昇である。これに対し、周囲の燃焼ガスの温度が上昇すると、火炎からの熱放射や熱伝達によってガスの温度が局部的に上昇し、燃料が着火する。このときの燃料の着火のしやすさが、燃料の燃焼性の良さにつながる。つまり、燃料の燃焼性(火炎拡大率)は、周囲のガスの温度の影響を比較的大きく受ける。

【0074】
本実施形態の燃料品質判定装置1において、火炎拡大率は、噴射ノズル13により噴射された燃料の着火直後からの火炎の増大率である。燃料品質判定装置1においては、火炎拡大率は、制御部7により測定される。

【0075】
制御部7は、カメラ6から入力される画像データに基づいて火炎拡大率を測定する。具体的には、制御部7は、火炎拡大率として、噴射ノズル13から噴射された燃料の着火直後からの所定時間における火炎の面積の時間変化率を測定する。つまり、カメラ6により取得される画像データにおける火炎の面積A(cm)について、その時間変化率ΔA/Δt(cm/秒)が、火炎拡大率として算出される。本実施形態では、制御部7は、前述したようにカメラ6によって0.5ms間隔で取得される画像データに基づき、燃料の着火時から1.5msの間の火炎拡大率を測定する。

【0076】
したがって、本実施形態では、制御部7において、カメラ6により0.5ms間隔で取得される、燃料の着火開始の時点(0.0ms)、着火開始から0.5ms経過の時点、1.0ms経過の時点、および1.5ms経過の時点の各時点についての合計4枚の連続画像データから、火炎拡大率が測定される。そして、各時点についての画像データにおける火炎の面積の増加率が、火炎拡大率として測定される。

【0077】
ここで、各画像データにおける火炎の面積は、例えば、カメラ6により取得された画像データに二値化処理等の画像処理が施されることにより、画像データにおける火炎の部分が抽出され、その火炎の部分の面積(例えば画素数)に基づいて測定される。また、前記のとおり4枚の画像データに基づく火炎拡大率の測定値としては、例えば、連続する二つの画像データ間における火炎の面積の増加率の平均値等が用いられる。

【0078】
このように、制御部7は、カメラ6から入力される画像データに基づいて火炎拡大率を測定するための機能部分を具備する。つまり、本実施形態の燃料品質判定装置1においては、制御部7が、カメラ6により取得された画像データに基づいて火炎拡大率を測定する火炎拡大率測定手段として機能する。

【0079】
なお、本実施形態では、火炎拡大率として二次元的な火炎の面積の拡大率が採用されているが、例えば燃料の着火の様子を複数台のカメラにより異なる角度から撮像すること等により、三次元的な火炎の拡大率を火炎拡大率として採用することも可能である。ただし、火炎拡大率の測定は燃料の燃焼初期について行われるものであるという観点からは、二次元的な火炎の面積の拡大率で実際の三次元的な火炎の拡大率に十分に対応可能である。また、二次元的な火炎の面積の拡大率を火炎拡大率として採用することは、1台のカメラ6により画像データの取得が行われることから、燃料の燃焼を撮像するための構成の簡素化に貢献する。

【0080】
燃料の品質の判定においては、上述したような着火遅れは、燃料の着火性を評価する上で重要なパラメータである。実際、ディーゼルエンジンにおいては、燃料の着火性の良し悪しがエンジン性能を左右し、通常、着火遅れが短い方が良質な燃料とされる。そして、着火遅れが非常に長い燃料は、燃焼性も良くないとされている。しかし、着火遅れが短い燃料でも、着火後の燃焼性が悪い場合がある。つまり、例えば着火遅れが短い燃料であっても燃焼障害が生じる可能性等があり、着火遅れの長短のみによって燃料の品質の良否を一概に評価・判定することは難しい。ここで、燃焼障害とは、主に燃料の品質不良を原因とするエンジンにおけるスカッフィングの発生である。

【0081】
燃料の着火性および燃焼性と、燃焼障害の有無との関連性について、図5に示す解析結果例を用いて説明する。本例は、それぞれ典型的な特性を有する4種類の燃料(燃料A、燃料B、燃料C、および燃料D)についての解析を行ったものである。

【0082】
図5(a)~(d)は、それぞれカメラ6により取得される、燃焼室2内における燃料の着火時を含む合計41枚の(20msの間の)連続的な撮像画像(画像データ)を示す。図5(a)~(d)のそれぞれにおいて、長方形で区切られる各部分が1枚の撮像画像(画像データ)であり、各撮像画像における白い部分が火炎の部分を表し、黒い部分が背景を表す。また、図5(a)~(d)の画像データは、燃料の噴射タイミングを基準として時間軸を共通にする。

【0083】
図5(a)は、燃料Aについての画像データである。図5(a)に示される火炎の出現タイミングおよび燃料の着火からの火炎の面積の変化の様子(火炎の成長度合い)からわかるように、燃料Aは、着火遅れが比較的短く、着火性が良好であり、火炎拡大率が比較的大きく、燃焼性も良好である。このように着火性および燃焼性が良好な燃料Aは、実際に使用された結果燃焼障害を生じさせなかった。つまり、燃料Aは良品と言うことができる。

【0084】
図5(b)は、燃料Bについての画像データである。図5(b)に示される火炎の出現タイミングおよび燃料の着火からの火炎の面積の変化の様子(火炎の成長度合い)からわかるように、燃料Bは、着火遅れが比較的長く、着火性は不良であるが、火炎拡大率が比較的大きく、燃焼性は良好である。このように着火性は不良であるが燃焼性は良好な燃料Bは、実際に使用された結果燃焼障害を生じさせなかった。つまり、燃料Bは良品と言うことができる。

【0085】
図5(c)は、燃料Cについての画像データである。図5(c)に示される火炎の出現タイミングおよび燃料の着火からの火炎の面積の変化の様子(火炎の成長度合い)からわかるように、燃料Cは、着火遅れが比較的短く、着火性は良好であるが、火炎拡大率が比較的小さく、燃焼性は不良である。このように着火性は良好であるが燃焼性は不良な燃料Cは、実際に使用された結果燃焼障害を生じさせた。つまり、燃料Cは不良品と言える。

【0086】
図5(d)は、燃料Dについての画像データである。図5(d)に示される火炎の出現タイミングおよび燃料の着火からの火炎の面積の変化の様子(火炎の成長度合い)からわかるように、燃料Dは、着火遅れが比較的長く、着火性が不良であり、火炎拡大率が比較的小さく、燃焼性も不良である。このように着火性および燃焼性が不良な燃料Dは、実際に使用された結果燃焼障害を生じさせた。つまり、燃料Dは不良品と言える。

【0087】
以上の解析結果例からわかるように、着火性が良くても(着火遅れが短くても)、着火後の燃焼性が悪ければ問題がある場合があり、逆に、着火性が悪くでも(着火遅れが長くても)、着火後の燃焼性が良ければ問題がない場合がある。したがって、着火性の良し悪し、つまり着火遅れの長短だけでは、燃料の良否が必ずしも正確に評価・判定できない場合がある。そこで、本実施形態の燃料品質判定方法においては、着火遅れに加え、燃料の燃焼性を示す火炎拡大率を採用している。

【0088】
燃料品質判定装置1においては、制御部7により、着火遅れおよび火炎拡大率に基づいて燃料の品質の判定が行われる。つまり、制御部7は、前述したように着火遅れを測定するための機能部分および火炎拡大率を測定するための機能部分を具備するとともに、その各機能部分によって測定した着火遅れおよび火炎拡大率に基づいて燃料の品質を判定する機能部分を具備する。このように、本実施形態の燃料品質判定装置1においては、制御部7が、その各機能部分によって測定した着火遅れの測定値および火炎拡大率の測定値に基づいて燃料の品質を判定する解析手段として機能する。

【0089】
本実施形態の燃料品質判定方法は、燃料を燃焼室2内に噴射して燃焼させ、燃料の燃焼状態に基づいて燃料の品質を判定するものであり、着火遅れについての判定基準である第一の判定基準と、着火遅れの値に対応する火炎拡大率についての判定基準である第二の判定基準とを用いる。

【0090】
第一の判定基準は、着火遅れについて、着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まる第一の範囲、および着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まらない第二の範囲を区画する。第一の判定基準は、着火遅れの値が明らかに小さい場合にはその燃料は良品であり、逆に着火遅れの値が明らかに大きい場合にはその燃料は良品に該当しないという観点から、着火遅れの値について、着火遅れの値が所定の値よりも小さい範囲および所定の値よりも大きい範囲の少なくともいずれかの範囲を、それ以外の範囲と区画する。

【0091】
具体的には、第一の判定基準は、例えば、図6に示すように、着火遅れの値について、3ms以下の範囲(基準線71参照)、6ms以上の範囲(基準線72参照)を第一の範囲とし、3msを上回り6ms未満の範囲(符号S1参照)を第二の範囲としてこれらを区画する。つまり、着火遅れの値が3ms以下の範囲については、着火遅れが短くその燃料は良品ということで燃料の品質の良否が一義的に定まり、着火遅れの値が6ms以上の範囲については、着火遅れが長くその燃料は不良品ということで燃料の品質が一義的に定まる。

【0092】
第二の判定基準は、実際に使用された結果品質の良否が判明している複数の燃料についての着火遅れおよび火炎拡大率の値の分布に基づいて設定される。図6には、着火遅れの値を示す座標軸である第一座標軸61、および火炎拡大率の値を示す座標軸である第二座標軸62を有する座標平面60が示されている。この座標平面60上に、着火遅れおよび火炎拡大率の値の分布の一例を示す。

【0093】
着火遅れおよび火炎拡大率の値の分布は、実際に使用された結果品質の良否が判明している多数の(多種類の)燃料について、例えば本実施形態の燃料品質判定装置1により測定された着火遅れの値と火炎拡大率の値とから得られる測定点の分布である。以下、図6に示すような着火遅れおよび火炎拡大率の値の分布を示すデータを「分布データ」という。

【0094】
分布データを得るために着火遅れおよび火炎拡大率が測定される各燃料についてあらかじめ判明している品質の良否は、その燃料が実際にエンジンの燃料として使用された場合の燃焼障害の有無に基づく。本例に係る分布データは、舶用のディーゼルエンジンの燃料として用いられた結果、燃焼障害の有無が既知となった燃料についての着火遅れおよび火炎拡大率の測定結果である。

【0095】
図6に示す分布データは、燃焼室2内の圧力が1.8MPa、温度が648Kの雰囲気状態のもと、着火遅れおよび火炎拡大率の測定が行われた場合のものである。図6に示す分布データにおいて、「●」(黒丸)は良品(燃焼障害なし)の燃料のデータであり、「▲」(黒三角)は不良品(燃焼障害あり)の燃料のデータである。本例に係る分布データは、29サンプル分の良品の燃料のデータ(「●」)、および15サンプル分の不良品(燃焼障害)の燃料のデータ(「▲」)を有する。

【0096】
なお、図6に示す分布データにおける「△」(白ぬき三角)は、実際に使用された結果、燃料の品質(主に燃焼性)による燃焼障害以外の何らかの理由(例えばメンテナンス不良等)によるエンジンのトラブルが発生した燃料のデータである。本例に係る分布データは、13サンプル分の燃焼障害以外の不良品の燃料のデータ(「△」)を有する。

【0097】
このような分布データにおいては、各サンプルのデータは、座標平面60において良品と不良品とで分かれて分布する。このことは、良品の燃料が、着火遅れが比較的短い、および火炎拡大率が比較的大きいという傾向を有し、また、不良品の燃料が、着火遅れが比較的長い、および火炎拡大率が比較的小さいという傾向を有することに基づく。

【0098】
したがって、図6に示す分布データにおいては、着火遅れによるデータの分布(第一座標軸61方向についてのデータの分布)に着目すると、良品のデータ(「●」)は、着火遅れが短い方に(左側に)重点的に分布し、不良品のデータ(「▲」)は、着火遅れが長い方に(右側に)重点的に分布する。しかし、着火遅れの値から品質の良否が一概に定まらない範囲、つまり前述したような第一の判定基準による第二の範囲(符号S1参照)においては、着火遅れの値にかかわらず良品のデータと不良品のデータとが混在する。

【0099】
一方で、図6に示す分布データにおいて、火炎拡大率によるデータの分布(第二座標軸62方向についてのデータの分布)に着目すると、良品のデータ(「●」)は、火炎拡大率が大きい方に(上側に)重点的に分布し、不良品のデータ(「▲」)は、火炎拡大率が小さい方に(下側に)重点的に分布する。そこで、分布データを表す座標平面60上において、着火遅れについて少なくとも第二の範囲を含む範囲で、良品のデータと不良品のデータの分布に基づき、良品の領域と不良品の領域とを区画するように、第二の判定基準が設定される。

【0100】
このように、図6に示す分布データにおいては、例えば着火遅れに着目した場合、着火遅れが3~4ms程度と短く一見良品の燃料と見えるデータに、燃焼性が悪く実船においても燃焼障害を起こした不良品のデータ(「▲」)が含まれる。逆に、着火遅れが6ms程度と少々長く一見不良品の燃料と見えるデータに、燃焼性が良く実船においても燃焼障害を起こさなかった良品のデータ(「●」)が含まれる。そこで、実船で燃焼障害を発生させた燃料および燃焼障害を発生させなかった燃料のそれぞれについてのデータの分布から、座標平面60上における良品の領域と不良品の領域とを区画する境界が、第二の判定基準として設定される。

【0101】
図6に示すように、本例に係る分布データにおいては、第二の判定基準は、良品のデータが分布する領域と不良品のデータが分布する領域とを区画する直線81として設定される。本例においては、直線81は、座標平面60上において正の(右上がりの)傾きを有する。

【0102】
座標平面60上における第一の判定基準による第二の範囲(符号S1参照)については、第二の判定基準としての直線81よりも上側(火炎拡大率が大きい側)が良品の領域(範囲)であり、直線81よりも下側(火炎拡大率が小さい側)が不良品の領域(範囲)である。ここで、直線81上は、良品の領域(範囲)または不良品の領域(範囲)として適宜設定される。

【0103】
以上のように、本実施形態においては、第二の判定基準である直線81は、実際に使用された結果品質の良否が判明している複数の燃料についての分布データに基づき、第一の判定基準による第二の範囲(符号S1参照)を含む範囲で、火炎拡大率について、着火遅れの値に対応する火炎拡大率の値の良品の範囲を区画する。なお、分布データを構成する各サンプルの着火遅れおよび火炎拡大率の値のデータについては、例えば複数回の測定値の平均値等が用いられることで、第二の判定基準による判定精度を向上させることができる。

【0104】
以上のように燃料の品質の判定に用いられる第一の判定基準および第二の判定基準は、本実施形態の燃料品質判定装置1が備える制御部7においてあらかじめ設定され記憶される。つまり、前述したように燃料の品質を判定する解析手段として機能する制御部7は、第一の判定基準および第二の判定基準を用いて、燃料の品質の良否を判定する。

【0105】
以下では、本実施形態に係る燃料品質判定方法による燃料の品質の判定手順の一例について説明する。本実施形態の燃料の品質の判定においては、まず、判定対象の燃料についての着火遅れの値および火炎拡大率の値(ΔA/Δtの値)が測定される。

【0106】
すなわち、燃料品質判定装置1においては、制御部7は、着火遅れおよび火炎拡大率の測定に際し、予備燃焼調整部3および燃料供給部4を制御することで燃焼室2内の温度を所定の温度として判定対象の燃料を噴射ノズル13から噴射させて燃焼させる。そして、制御部7は、噴射ノズル13から噴射させた判定対象の燃料についての着火遅れおよび火炎拡大率を測定する。なお、判定対象の燃料についての着火遅れおよび火炎拡大率の測定は、分布データを得る際の燃焼室2内の雰囲気状態と略同じ雰囲気状態のもとで行われる。

【0107】
本実施形態の燃料の品質の判定においては、次に、第一の判定基準により、着火遅れの測定値が第一の範囲にある場合は、その第一の範囲により定まる燃料の品質の良否に基づいて判定対象の燃料の品質の良否が判定される。

【0108】
図6に示すように、本実施形態では、着火遅れの測定値が、第一の範囲に含まれる3ms以下の範囲にある場合(例えば「☆」(星印)で示す測定点91参照)は、その判定対象の燃料は着火遅れが明らかに短いことから良品と判定される。また、着火遅れの測定値が、同じく第一の範囲に含まれる6ms以上の範囲にある場合(例えば「☆」で示す測定点92参照)は、その判定対象の燃料は着火遅れが明らかに長いことから不良品と判定される。

【0109】
一方、第一の判定基準により、着火遅れの測定値が第二の範囲にある場合は、第二の判定基準により、火炎拡大率の測定値が良品の範囲にあるか否かにより、判定対象の燃料の品質の良否が判定される。

【0110】
図6に示すように、本実施形態では、着火遅れの測定値が、第二の範囲である、3msを上回り6ms未満の範囲(符号S1参照)にある場合は、第二の判定基準としての直線81が用いられて品質の良否の判定が行われる。具体的には、座標平面60における着火遅れが第二の範囲である領域において、火炎拡大率の値が、第二の判定基準である直線81を基準として大きい範囲にある場合(例えば「☆」で示す測定点93参照)は、その判定対象の燃料は良品と判定される。

【0111】
また、座標平面60における着火遅れが第二の範囲である領域において、火炎拡大率の値が、第二の判定基準である直線81を基準として小さい範囲にある場合(例えば「☆」で示す測定点94参照)は、その判定対象の燃料は不良品と判定される。

【0112】
このような燃料の品質の良否の判定は、燃料品質判定装置1において制御部7により行われる。なお、本実施形態では、燃料の品質の判定に用いる第一の判定基準について、着火遅れの値から燃料の品質の良否が一義的に定まる第一の範囲として、3ms以下、6ms以上という取り方が採用されているが、第一の範囲の取り方は、本実施形態に限定されない。第一の範囲としては、例えば、着火遅れの値が明らかに大きい側の範囲(例えば6ms以上の範囲)のみを設定したり、着火遅れの値が明らかに小さい側の範囲(例えば3ms以下の範囲)のみを設定したりすることもできる。

【0113】
前者の場合、例えば着火遅れの値が6ms以上である範囲が、燃料が不良品であることが一義的に定まる第一の範囲となる。そして、着火遅れの値が6ms未満の範囲(0~6msの範囲)が、第二の判定基準が設定される第二の範囲となる。一方、後者の場合、例えば着火遅れの値が3ms以下である範囲が、燃料が良品であることが一義的に定まる第一の範囲となる。そして、着火遅れの値が3msを上回る範囲が、第二の判定基準が設定される第二の範囲となる。

【0114】
また、第一の判定基準は、分布データに基づいて設定されてもよい。つまり、第一の判定基準は、分布データによらずに例えば燃焼室2内の温度等に応じてあらかじめ設定されてもよく、また、第二の判定基準と同様に分布データに基づいて設定されてもよい。

【0115】
以上のような本実施形態の燃料の品質判定によれば、燃料の燃焼状態の評価の指標として、燃料の着火性を示す着火遅れというパラメータに加え、燃料の着火直後の燃焼性を示す火炎拡大率というパラメータを導入したことで、燃料の着火性と燃焼性との両面から燃料の品質をとらえることができ、精度の良い品質の判定を行うことができる。さらに、着火遅れおよび火炎拡大率についての判定基準が、実際に船用のエンジン等において使用され燃焼障害を起こしたか否かが判明している燃料のサンプルデータ(分布データ)に基づいて設定されることから、燃料の品質の良否に大きく関係する燃焼性の良否の評価が明確になり、品質判定の信頼性の向上が図れる。

【0116】
特に、本実施形態の燃料の品質判定においては、実際に使用された燃料の評価結果が加わることで燃料の品質の良否の線引きが可能となる点が特徴的である。かかる特徴点によれば、従来のように燃焼室内の圧力変化に基づいて熱発生率から燃料の燃焼状態を推定する方法等との比較において、燃料の品質の判定精度の向上が図られる。そして、着火遅れおよび火炎拡大率についての判定基準の設定に際し、品質の良否が既知である燃料のサンプルデータ(分布データ)のデータ数を増やしていくことで、判定精度を高めていくことができる。以上のように、本実施形態の燃料の品質判定によれば、燃料が実際に使用された結果としてのエンジンのトラブル発生の有無を反映することができ、品質判定の信頼性および精度を向上させることができる。

【0117】
また、本実施形態の燃料の品質判定においては、複数の異なる燃焼室2内の温度状態で取得された分布データに基づいて、燃料の品質の判定を行うこともできる。このことは、前述したように燃料の燃焼性(火炎拡大率)が周囲のガスの温度の影響を比較的大きく受けることに基づく。

【0118】
具体的には、燃焼室2内の温度が低いほど、着火遅れおよび火炎拡大率についての良品の燃料の傾向および不良品の燃料の傾向が大きくなり、分布データによる良品の領域と不良品の領域の区分けが明瞭となる。逆に言うと、燃焼室2内の温度が高いほど、分布データによる良品の領域と不良品の領域の区分けが不明瞭となる。

【0119】
そこで、燃焼室2内がある温度の状態で得られた分布データに基づくと第二の判定基準の設定が困難である場合、第二の判定基準による判定は、燃焼室2内の温度がより低い状態で得られた分布データに基づく判定基準によって行われてもよい。

【0120】
図7に、燃焼室2内の圧力が1.9MPa、温度が684Kの雰囲気状態のもとで得られた分布データを示す。図7に示す分布データは、図6に示す分布データとの関係において、同じ燃料で、燃焼室2内の雰囲気温度が比較的高い場合のデータである。

【0121】
図7に示すような分布データが得られる環境において、本実施形態に係る燃料の品質判定が行われる場合、まず、第一の判定基準として、例えば着火遅れの値が4ms以上という範囲(基準線73参照)が設定される。つまり、判定対象の燃料について測定された着火遅れの値が4ms以上の場合、着火遅れが明らかに長いとして、その着火遅れの値が得られた燃料の品質は不良と判定される。

【0122】
一方で、判定対象の燃料について測定された着火遅れが4ms未満の場合、図7に示す分布データにおいて、例えば直線82として設定された第二の判定基準が用いられることとなる。本例においては、直線82は、図6に示す第二の判定基準である直線81と同様に、座標平面60において正の(右上がりの)傾きを有する。

【0123】
しかし、直線82によると、不良品の領域(直線82よりも下側の領域)に、良品の燃料のデータが含まれている(例えばデータDa、Db参照)。つまり、燃焼室2内の雰囲気温度が684Kと比較的高い状態での分布データにおいては、第二の判定基準の設定が困難であり、燃料の実際に使用された結果(燃焼障害の有無)が十分に反映されない場合がある。

【0124】
そこで、図7に示すような分布データが得られた場合、例えば図6に示すような比較的低い温度(648K)で得られた分布データが用いられて、燃料の品質の判定が行われる。図6に示す分布データにおいては、前記のとおり着火遅れおよび火炎拡大率についての良品の燃料の傾向および不良品の燃料の傾向が大きくなり、分布データによる良品の領域と不良品の領域の区分けが明瞭となる。このため、図7に示すように燃焼室2内の温度が比較的高い温度で得られた分布データでは、座標平面60において第二の判定基準である直線82よりも下側に位置した良品のデータ(例えばデータDa、Db参照)が、燃焼室2内の温度が低くなることにより、図6に示すように、座標平面60において第二の判定基準である直線81よりも上側、つまり良品の領域に位置する。

【0125】
したがって、燃焼室2内がある所定の温度の状態で得られた分布データに基づく第二の判定基準の設定が困難な場合(第二の判定基準による、火炎拡大率の測定値が前述した良品の領域(範囲)にあるか否かの判定ができない場合)、その温度よりも低い温度で得られた分布データに基づく判定基準が用いられて、燃料の品質の判定が行われる。図6および図7に示す分布データの場合は、図7に示す分布データにおいて、判定対象の燃料について測定された着火遅れが4ms未満の場合、燃焼室2内の温度が比較的低い、図6に示す分布データに基づく第一の判定基準および第二の判定基準が用いられて、燃料の品質の判定が行われる。なお、第一の判定基準については、異なる複数の燃焼室2内の温度状態で共通の第一の判定基準が用いられてもよく、また、各温度状態の分布データに対応する第一の判定基準が用いられてもよい。

【0126】
このように、本実施形態の燃料の品質判定においては、第二の判定基準である直線82による、火炎拡大率の測定値が良品の範囲にあるか否かの判定ができない場合、その場合における分布データを得た際の燃焼室2内の温度(684K)よりも低い温度(648K)で得た分布データに基づく第二の判定基準である直線81が用いられ、火炎拡大率の測定値が良品の範囲にあるか否かの判定が行われてもよい。ここで、第二の判定基準による、火炎拡大率の測定値が良品の範囲にあるか否かの判定ができない場合とは、例えば前述したように、第二の判定基準である直線82よりも下側に良品のデータ(例えばデータDa、Db等)が存在する場合等である。

【0127】
このように、本実施形態の燃料の品質判定においては、燃焼室2内の温度が低いほど、分布データにおいて良品と不良品とのデータの分布の区分けが明瞭となる。ここで、図6および図7に示す分布データからは、燃焼室2内の温度が下がるほど、座標平面60において第二の判定基準として設定される直線の傾きは小さくなるといえる。なお、本実施形態においては、第二の判定基準が座標平面60において直線として設定されているが、第二の判定基準は曲線であってもよく、また、閉じた領域を区画する線であってもよい。

【0128】
また、第一の判定基準および第二の判定基準は、複数の異なる燃焼室2内の温度状態で取得した分布データに基づき、あらかじめ燃焼室2内の温度ごとに複数設定されてもよい。この場合、燃焼室2内の温度ごとに設定される複数の第一の判定基準および第二の判定基準は、例えば、各判定基準を設定するための分布データを取得した際の燃焼室2内の温度が、判定対象の燃料を燃焼させる際の燃焼室2内の温度と同じかあるいは最も近い温度となるように用いられる。

【0129】
具体的には、図6および図7に示す分布データを用いて説明すると、燃焼室2内の温度が比較的低温である648Kの状態で取得された分布データ(図6)に対応する第一の判定基準および第二の判定基準と、燃焼室2内の温度が比較的高温である684Kの状態で取得された分布データ(図7)に対応する第一の判定基準および第二の判定基準との、2組の判定基準が設定される。そして、比較的低温の分布データに対応する第一の判定基準および第二の判定基準が用いられる場合は、判定対象の燃料を燃焼させる際の燃焼室2内の温度が、比較的低温(648K)となるように調整される。同様に、比較的高温の分布データに対応する第一の判定基準および第二の判定基準が用いられる場合は、判定対象の燃料を燃焼させる際の燃焼室2内の温度が、比較的低温(684K)となるように調整される。

【0130】
以上のように、燃料の品質の判定を行うための判定基準を、燃焼室2内の温度に応じて利用・設定することにより、品質判定の信頼性および精度をより向上させることができる。

【0131】
また、本実施形態の燃料の品質判定においては、燃料の品質の判定を行うための第一の判定基準および第二の判定基準、ならびに判定対象の燃料について測定されたデータとしての測定点が、所定の表示手段において表示されることが好ましい。

【0132】
本実施形態では、図6に示すように、着火遅れの値を示す第一座標軸61および火炎拡大率の値を示す第二座標軸62を有する座標平面60上に、第一の判定基準を示す基準線71,72と、第二の判定基準を示す基準線である直線81とが表示させられる。また、判定対象の燃料についての着火遅れの測定値および火炎拡大率の測定値から定まる座標平面60上の点が測定点91,92,93,および94として表示させられる。また、図7においても同様に、座標平面60上に、第一の判定基準を示す基準線73と、第二の判定基準を示す基準線である直線82とが表示させられるとともに、判定対象の燃料についての着火遅れの測定値および火炎拡大率の測定値から定まる座標平面60上の点が測定点として表示させられる。

【0133】
このため、本実施形態の燃料品質判定装置1においては、図1に示すように、制御部7が、図6や図7に示すような座標平面60の表示を行うための表示部8を有する。つまり、表示部8は、座標平面60上に、第一の判定基準を示す基準線(基準線71等)と、第二の判定基準を示す基準線(直線81等)とを表示せるとともに、判定対象の燃料についての着火遅れの測定値および火炎拡大率の測定値から定まる座標平面60上の点を測定点(測定点91等)として表示させる。

【0134】
制御部7が有する表示部8としては、コンピュータに付属の液晶ディスプレイや、外部接続されるディスプレイや、CRT(陰極線管)や、テレビジョン等、適宜の表示手段が用いられる。

【0135】
このように、燃料の品質の良否判定を行うための第一の判定基準および第二の判定基準、ならびに判定対象の燃料についての測定点の表示が行われることで、燃料の品質の判定結果を視覚的に容易に把握することが可能となる。また、上記のような表示が行われることで、品質の良否の判定結果のみならず、第一の判定基準および第二の判定基準と測定点との関係がわかることから、判定対象の燃料がどの程度の着火性および燃焼性を有するかという観点から燃料の品質を評価することが可能となり、燃料のグレード分け等を行うことが可能となる。

【0136】
また、表示部8においては、図6や図7に示すような分布データも適宜表示される。これにより、着火遅れおよび火炎拡大率、ならびに燃焼障害の有無が既知であるデータと、判定対象の着火遅れおよび火炎拡大率との関係を把握することができ、判定対象の燃料についてより詳細な解析を行うことが可能となる。

【0137】
以上説明した本発明の実施の形態においては、判定対象としての燃料が舶用エンジンのディーゼル燃料(バンカー油)であるが、本発明は、ディーゼル燃料を含む石油系燃料のほか、バイオディーゼル燃料、アルコール系燃料、その他の合成燃料等の液体燃料の品質検査に広く適用可能である。したがって、本発明は、船舶工学の分野や機械工学の分野等、燃料の品質の評価が必要な技術分野において広く展開される。
【符号の説明】
【0138】
1 燃料品質判定装置
2 燃焼室
3 予備燃焼調整部(温度調整手段)
4 燃料供給部(噴射制御手段)
5 フォトセンサ(光検出手段)
6 カメラ(燃焼撮像手段)
7 制御部(着火遅れ測定手段、火炎拡大率測定手段、解析手段)
8 表示部
13 噴射ノズル
71 基準線(第一の判定基準を示す基準線)
72 基準線(第一の判定基準を示す基準線)
81 直線(第二の判定基準を示す基準線)
91,92,93,94 測定点
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図5】
6