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明細書 :ヒト幹細胞を肝細胞へと分化誘導する化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5704554号 (P5704554)
公開番号 特開2011-219435 (P2011-219435A)
登録日 平成27年3月6日(2015.3.6)
発行日 平成27年4月22日(2015.4.22)
公開日 平成23年11月4日(2011.11.4)
発明の名称または考案の名称 ヒト幹細胞を肝細胞へと分化誘導する化合物
国際特許分類 A61K  31/055       (2006.01)
A61K  31/352       (2006.01)
A61K  31/341       (2006.01)
A61K  31/265       (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P   1/16        (2006.01)
C12N   5/0775      (2010.01)
FI A61K 31/055
A61K 31/352
A61K 31/341
A61K 31/265
A61P 43/00 111
A61P 1/16
C12N 5/00 202H
請求項の数または発明の数 7
全頁数 64
出願番号 特願2010-092948 (P2010-092948)
出願日 平成22年4月14日(2010.4.14)
審査請求日 平成25年4月9日(2013.4.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
発明者または考案者 【氏名】汐田 剛史
【氏名】森本 稔
【氏名】星川 淑子
【氏名】松本 則子
【氏名】松見 吉朗
【氏名】手塚 祐太
【氏名】アン アフィダ アスラ
【氏名】新垣 雄大
個別代理人の代理人 【識別番号】110001139、【氏名又は名称】SK特許業務法人
【識別番号】100130328、【弁理士】、【氏名又は名称】奥野 彰彦
【識別番号】100130672、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 寛之
審査官 【審査官】吉田 佳代子
参考文献・文献 国際公開第2011/116930(WO,A1)
再生医療,2009年,VOL.8, NO.1,P.95-103, 12-14
BIOCHEM.BIOPHY.RES.COMM.,2008年,VOL.367,P.342-348
MOL.PHARMACOL.,2006年,VOL.70,P.960-966
BIOCHEM.BIOPHY.RES.COMM.,2005年,VOL.328,P.227-234
MOL.CELL.BIOL.,2006年,VOL.26, NO.16,P.6024-6036
CANCER CELL,2004年,VOL.5,P.91-102
MEDICAL TORCH,2013年 2月28日,VOL.9, NO.1,P.30-35
調査した分野 A61K 31/00-33/44
A61K 38/00-38/58
A61L 27/00-27/60
C12N 1/00- 7/08
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)


特許請求の範囲 【請求項1】
間葉系幹細胞の肝細胞への分化誘導剤であって、
Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を含み、
前記有機低分子量化合物が、ヘキサクロロフェン、ケルセチン、イオノマイシン、PKF115-584からなる群から選ばれる1種以上の化合物である、分化誘導剤。
【請求項2】
請求項1記載の分化誘導剤において、
前記有機低分子量化合物が、式(1)~式(4)に示す化合物群から選ばれる1種以上の有機低分子量化合物である、分化誘導剤。
【化1】
JP0005704554B2_000006t.gif
【化2】
JP0005704554B2_000007t.gif
【化3】
JP0005704554B2_000008t.gif
【化4】
JP0005704554B2_000009t.gif

【請求項3】
請求項1又は2記載の分化誘導剤において、
前記間葉系幹細胞が、骨髄由来細胞または臍帯血由来細胞である、分化誘導剤。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の分化誘導剤において、
前記間葉系幹細胞におけるアルブミン、C/EBPα、CYPA1/A2およびAFPからなる群から選ばれる1種以上の蛋白質の発現を誘導する、分化誘導剤。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の分化誘導剤において、
前記間葉系幹細胞におけるグリコーゲン生産能または尿素合成能を増強する、分化誘導剤。
【請求項6】
間葉系幹細胞から肝細胞をインビトロで分化誘導する方法であって、
間葉系幹細胞を請求項1乃至5いずれかに記載の分化誘導剤で処理する工程を含む、分化誘導方法。
【請求項7】
請求項6記載の分化誘導方法において、
前記分化誘導剤で処理する工程が、前記間葉系幹細胞を前記分化誘導剤で8日以上処理する工程を含む、分化誘導方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、間葉系幹細胞の肝細胞への分化誘導剤、それを用いる肝細胞の生産方法、その生産方法による肝細胞、肝組織および肝臓に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓病はわが国の国民病と言われ、多数の患者が肝臓病に苦しんでいる。また、肝細胞癌による年間死亡者数は約3万4千人に上る。最近では肝細胞癌は治療法の進歩により治療成績が向上しているが、進行癌の増加に伴い、合併する肝硬変の肝機能低下による、いわゆる肝不全死が増加している。肝不全治療は、肝移植が理想的であるが、わが国では十分なドナーを得ることは困難であり、幹細胞による肝再生治療の開発が必要である。
【0003】
肝細胞への分化する可能性のある幹細胞として、骨髄細胞、臍帯血細胞などの組織幹細胞が期待できる。そのため、多くの研究機関が、慢性肝不全患者への肝細胞移植治療による再生医療の実現のため、ヒト組織幹細胞を機能性肝細胞へ分化させる、真に臨床応用可能な効率的な分化誘導技術を開発することを目標に研究開発を行っている。
【0004】
例えば、鳥取大学医学研究科の汐田教授の研究室では、ヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化誘導時にWnt/β-カテニン経路が抑制されており、この経路をRNA干渉により抑制すれば肝細胞へ分化することを報告している(非特許文献1および非特許文献3~5)。また、他の研究機関でも同様の分野の研究が行われている(非特許文献2、特許文献1~2)。
【0005】
一方、最近、4,000種類以上の大規模化合物ライブラリーのスクリーニングから、Wnt/β-カテニン経路抑制性の低分子化合物5種類が同定されている(非特許文献6~9)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表2009-535035号公報
【特許文献2】特開2010-75631号公報
【0007】

【非特許文献1】Atsushi Yanagitani et al., “Retinoic Acid Receptor Dominant Negative Form Causes Steatohepatitis and Liver Tumors in Transgenic Mice”, HEPATOLOGY, Vol. 40, No. 2, 2004, p. 366-375
【非特許文献2】Seoyoung Park et al., “Hexachlorophene Inhibits Wnt/β-Catenin Pathway by Promoting Siah-Mediated β-Catenin Degradation”, Mol Pharmacol Vol. 70, No. 3, 960?966, 2006
【非特許文献3】Yoko Yoshida et al., “A role of Wnt/β-catenin signals in hepatic fate specification of human umbilical cord blood-derived mesenchymal stem cells”, Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 293: G1089?G1098, 2007
【非特許文献4】Shimomura T et al., “Hepatic differentiation of human bone marrow-derived UE7T-13 cells: Effects of cytokines and CCN family gene expression”, Hepatol Res., 37, 1068-79, 2007
【非特許文献5】Ishii K et al., “Hepatic differentiation of human bone marrow-derived mesenchymal stem cells by tetracycline-regulated hepatocyte nuclear factor 3beta” Hepatology, 48, 597-606, 2008
【非特許文献6】Maina Lepourcelet et al., “Small-molecule antagonists of the oncogenic Tcf/β-catenin protein complex”, CANCER CELL, JANUARY 2004, VOL. 5, 91-102
【非特許文献7】Emami KH et al., “A small molecule inhibitor of beta-catenin/CREB-binding protein transcription”, Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Aug 24;101(34):12682-7.
【非特許文献8】Jufang Shan et al., “Identification of a Specific Inhibitor of the Dishevelled PDZ Domain”, Biochemistry. 2005 Nov 29; 44 (47): 15495-503
【非特許文献9】Trosset JY et al., “Inhibition of protein-protein interactions: the discovery of druglike beta-catenin inhibitors by combining virtual and biophysical screening”, Proteins. 2006 Jul 1; 64 (1): 60-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、特許文献1~2では、非肝幹細胞から幹細胞を誘導するための蛋白質について説明されているが、分化誘導剤として蛋白製剤を用いているため、安定性・安全性などの面でさらなる改善の余地があった。
【0009】
第二に、非特許文献1および非特許文献3~5では、ヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化誘導時にWnt/β-カテニン経路が抑制されており、この経路をRNA干渉により抑制すれば肝細胞へ分化することを報告しているが、分化誘導剤としてSiRNAを用いているため、同様に安定性・安全性などの面でさらなる改善の余地があった。
【0010】
第三に、非特許文献2では、ヘキサクロロフェンがWnt/β-カテニン経路を抑制するか検討しているが、ヘキサクロロフェンがヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化を誘導するか検討していない。そのため、非特許文献2を参照しても、ヘキサクロロフェンがヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化を誘導するかどうかについては不明である。
【0011】
第四に、非特許文献6~9では、5種類の低分子化合物がWnt/β-カテニン経路を抑制するか検討しているが、5種類の低分子化合物がヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化を誘導するか検討していない。そのため、非特許文献6~9を参照しても、5種類の低分子化合物がヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化を誘導するかどうかについては不明である。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、間葉系幹細胞から肝細胞への分化を誘導する有効な低分子化合物を選択し、間葉系幹細胞から肝細胞への分化効率に優れる安全な分化誘導法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、間葉系幹細胞の肝細胞への分化誘導剤であって、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を含む、分化誘導剤が提供される。
【0014】
この構成によれば、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いるので、蛋白製剤や核酸製剤に比べ安定性・安全性などの面で優れており、間葉系幹細胞から肝細胞への分化効率に優れる安全な分化誘導法を実現できる。
【0015】
また、本発明によれば、間葉系幹細胞から肝細胞を生産する方法であって、間葉系幹細胞を上記の分化誘導剤で処理する工程を含む、生産方法が提供される。
【0016】
この方法によれば、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いるので、蛋白製剤や核酸製剤に比べ安定性・安全性などの面で優れており、間葉系幹細胞から肝細胞への分化誘導を効率よく安全に行うことができる。
【0017】
また、本発明によれば、間葉系幹細胞から分化誘導された肝細胞であって、間葉系幹細胞を上記の分化誘導剤で処理してなる、肝細胞が提供される。
【0018】
この幹細胞は、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いて間葉系幹細胞から分化誘導されるので、蛋白製剤や核酸製剤を用いて分化誘導される場合に比べ製造時の安定性・安全性などの面で優れている。
【0019】
また、本発明によれば、再生医療用の肝組織または肝臓であって、上記の肝細胞を含む肝組織または肝臓が提供される。
【0020】
この肝組織または肝臓は、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いて間葉系幹細胞から分化誘導される幹細胞を用いるので、蛋白製剤や核酸製剤を用いて分化誘導される幹細胞を用いる場合に比べ製造時の安定性・安全性などの面で優れているため、再生医療用の肝組織または肝臓として好適に使用できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いるので、蛋白製剤や核酸製剤に比べ安定性・安全性などの面で優れており、間葉系幹細胞から肝細胞への分化誘導を効率よく安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】β-catenin/TCF4/ルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定発現するヒト間葉系幹細胞の樹立方法について説明するための概念図である。
【図2】ヘキサクロロフェンによる細胞増殖能およびWnt/β-catenin活性への影響を説明するためのグラフである。
【図3】ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導について説明するための電気泳動写真である。
【図4】ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導(day8)について説明するための蛍光顕微鏡写真である。
【図5】ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導(day16)について説明するための蛍光顕微鏡写真である。
【図6】ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導能(PAS染色)について説明するための顕微鏡写真である。
【図7】ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導能について説明するためのグラフである。
【図8】ヘキサクロロフェンによる分化誘導サンプルの尿素合成能(day8)について説明するためのグラフである。
【図9】ヘキサクロロフェンによる分化誘導サンプルの尿素合成能(day16)について説明するためのグラフである。
【図10】ケルセチンによる細胞増殖能およびWnt/β-catenin活性への影響(UE7T-13)について説明するためのグラフである。
【図11】ケルセチンによる肝細胞分化誘導能(UE7T-13)について説明するための電気泳動写真である。
【図12】ケルセチンによる細胞増殖能およびWnt/β-catenin活性への影響(UCBTERT細胞)について説明するためのグラフである。
【図13】ケルセチンによる肝細胞分化誘導能(UCBTERT細胞)について説明するための電気泳動写真である。
【図14】ケルセチンによる肝細胞分化誘導(UCBTERT細胞)について説明するための電気泳動図である。
【図15】ケルセチンによる肝細胞分化誘導(day24)について説明するための蛍光顕微鏡写真である。
【図16】ケルセチンによる肝細胞分化誘導について説明するためのグラフである。
【図17】ケルセチンによる細胞分化:尿素合成能(day24)について説明するためのグラフである。
【図18】イオノマイシンによる細胞増殖能およびWnt/β-catenin活性への影響について説明するためのグラフである。
【図19】PKF-115-584による細胞増殖能およびWnt/β-catenin活性への影響(UCBTERT細胞)について説明するためのグラフである。
【図20】PKF-115-584の肝細胞分化誘導について説明するための電気泳動写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<間葉系幹細胞の肝細胞への分化誘導剤>
本実施形態に係る間葉系幹細胞の肝細胞への分化誘導剤は、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を含む、分化誘導剤である。この構成によれば、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いるので、蛋白製剤や核酸製剤に比べ安定性・安全性などの面で優れており、間葉系幹細胞から肝細胞への分化効率に優れる安全な分化誘導法を実現できる。

【0024】
本明細書において、「間葉系幹細胞」(mesenchymal stem cell)とは、間葉に由来する体性幹細胞を含む。この間葉系幹細胞は、間葉系に属する細胞への分化能をもつ。この間葉系幹細胞は、近年の骨や血管、心筋の再構築などの再生医療への応用が期待されている。

【0025】
「間葉系幹細胞」(mesenchymal stem cell)には、例えば、骨髄間葉系細胞および臍帯血由来幹細胞が含まれる。間葉系幹細胞は間葉系組織のあるすべての組織に存在すると考えられているが、間葉系組織のなかでも骨髄間葉系幹細胞は、骨髄穿刺で容易に採取でき、培養技術も確立されている。骨髄間葉系幹細胞は骨髄間質細胞の中に含まれており、骨髄間質細胞は骨髄の中で主体となる造血細胞を支える細胞の一種である。一方、臍帯血(さいたいけつ)とは、胎児と母体を繋ぐ胎児側の組織であるへその緒(臍帯;さいたい)の中に含まれる血液を含む。この臍帯血のなかには、臍帯血由来幹細胞(造血幹細胞)が多量に含まれていることが知られている。最近、造血幹細胞以外の体性幹細胞である間葉系幹細胞(臍帯血由来の間葉性幹細胞)が臍帯血中から見出されている。これまで間葉系幹細胞は骨髄中に存在することが報告されていたが、骨髄だけでなく臍帯血も間葉系幹細胞の供給源として、骨や軟骨の組織工学的修復あるいは再生医療への臨床応用へ適用できる可能性が示されている。ここで、間葉系幹細胞は一般にライフスパンが短く、in vitroでの長期培養は必ずしも容易ではないが、既にhTERT遺伝子などを導入し、安定に増殖しうるヒト骨髄由来およびヒト臍帯血由来間葉系幹細胞株が樹立されている。これらの細胞は、安定に増殖するが、染色体異常がなく、コンタクトインヒビションが機能し、免疫抑制動物に移植しても腫瘍を形成しない。また、細胞分化に影響しないことから、間葉系幹細胞の分化研究に有用な細胞である。

【0026】
また、本明細書において、「肝細胞」(Hepatocyte)とは、肝臓を構成する70-80%を構成する約20μm大の細胞を含む。肝細胞はタンパク質の合成と貯蔵、炭水化物の変換、コレステロール、胆汁酸、リン脂質の合成、並びに、内生および外生物質の解毒、変性、排出に関与する。また胆汁の生成と分泌を促進する働きも持つ。

【0027】
本明細書において、「分化」とは、多細胞生物において個々の細胞が構造機能的に変化することを含む。一般的に、多細胞生物の幹細胞から機能性細胞への分化は往々にして不可逆なケースが多い。これまでの知見では、間葉系幹細胞は、分化多能性(Multipotency)を持つとされており、分化可能な細胞系列が限定されているが、多様な細胞種へ分化可能な能力を指す。そのため、一般的に胚葉を超えた分化は行えないが、本実施形態に係る間葉系幹細胞の肝細胞への分化誘導剤は、間葉系幹細胞から肝細胞への胚葉を超えた分化を誘導する点に大きな技術的な特徴があると言える。

【0028】
一般的に、肝再生医療の細胞ソースとして、肝幹細胞を用いるのが自然であるが、肝幹細胞は劇症肝炎などの重症肝障害時にしか出現しないことから、実際の患者からの採取は現実性が低い。そこで、肝臓以外の組織幹細胞やiPS細胞が、肝再生医療の細胞ソースとなると考えられる。近年、間葉系幹細胞はin vitroの条件下で、ある程度の肝機能をもつ細胞に分化しうることが報告されている。すなわち、間葉系幹細胞に種々のサイトカインを添加し、約4週間培養し肝細胞様に分化したと報告されている。間葉系幹細胞は骨髄、腰帯血などに存在し、比較的採取が容易である。骨髄は自己細胞を用いることで免疫拒絶反応を回避できる利点がある。また、臍帯血は通常廃棄されるため、倫理的問題が少ないというメリットがある。以上より、間葉系幹細胞は肝再生医療の有望な細胞ソースといえる

【0029】
本明細書において、「Wnt/β-カテニン経路」とは、脊椎動物および無脊椎動物の発生における細胞運命決定を調節している経路の一種を含む。Wntリガンドは分泌性の、Frizzled受容体に結合する糖タンパクであり、それによりシグナルカスケードを惹起し、結果として、APC/Axin/GSK-3β複合体から多機能性キナーゼ:GSK-3βを解離させる。Wntシグナルがない場合(オフ状態)は、転写共役因子であり、細胞間接着に必須のアダプター蛋白でもあるβ-カテニンが、APC/Axin/GSK-3β複合体による分解標的となる。CK1とGSK-3βの協調作用により適切にリン酸化されると、β-カテニンはユビキチン化され、β-TrCP/SKP 複合体を介してプロテオゾームでの分解を受ける。

【0030】
Wntが結合した場合(オン状態)は、Dishevelled(Dsh)が、一見、少なくとも部分的にはリン酸化されることで活性化し、次いで、分解誘導複合体からGSK-3βを引き離す。これが、β-カテニンレベルを安定、核内輸送、さらにはLEF/TCFのDNA結合因子へのリクルートメントを促し、そこで、β-カテニンはGriucho-HDAC補助抑制因子と置き換わり、転写活性化因子として作用する。

【0031】
さらには、ホメオドメイン因子であるProp1との複合体において、β-カテニンは、転写抑制複合体と同様に状況依存的な活性化により作用することが示されている。重要なのは、いくつかのヒトの癌では、β-カテニンに、制御不能の安定化につながる点変異が見つかり、また、APCとaxinにおいても同様に変異が報告され、この経路の異常な活性化とヒト腫瘍との関連性が強調されていることである。発生過程において、Wnt/β-カテニン経路は、多くの異なる細胞種や組織において、レチノイン酸、FGF、TGF-β、BMPなどの多様な経路からのシグナルを統合する役目を担う。さらに、Wnt/β-カテニン経路の構成単位であるGSK-3βは、グリコーゲン代謝や他の主要な経路においても関連しており、それを阻害することが糖尿病や神経変性疾患には妥当な対処法とされる。

【0032】
本明細書において、「低分子量有機化合物」(low molecular weight organic compound)とは、分子量2000以下の有機化合物を含む。好ましくは、この分子量は1000以下であり、特に好ましくは900以下であり、最も好ましくは800以下である。なぜなら、いわゆる核酸製剤、蛋白製剤を含む高分子は生体内外で分解されやすいため不安定であり、再生医療に活用する上では安全性の面でも不安が残る。これに対して、低分子量有機化合物は、生体内外で分解されにくいため安定であり、再生医療に活用する上では安全性の面でも有利である。また、分子量が小さいほど有機合成も容易であり、安定性、安全性などのフィージビリティにおいて優れている。なお、繰り返しになるが、この低分子量有機化合物からは、ペプチドおよびヌクレオチドが除かれる。なぜなら、ペプチドおよびヌクレオチドは、生体内外で分解されやすいため不安定であり、再生医療に活用する上では安全性の面でも不安が残るからである。

【0033】
そのため、本発明者らは、(1)現在市販されている4種類のWnt/βeta-catenin経路抑制剤(ケルセチン、イオノマイシン、イマチニブ、ヘキサクロロフェン)を入手し、さらに(2)その他の5種類のWnt/βeta-catenin経路抑制性の低分子化合物NSC668036、PKF-115-584、CPG049090、PNU-74654、ICG-001を合成して、肝細胞分化誘導作用を検討することとし、ヒト骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)、ヒト臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞)を用いて、上記の効果を以下の点について、検討した結果、後述する実施例で実証するように、これらのうちの4種類のWnt/βeta-catenin経路抑制剤(ケルセチン、イオノマイシン、ヘキサクロロフェン、PKF115-584)が間葉系幹細胞を幹細胞に分化誘導することを発見したものである。
1.肝特異的転写因子発現
2.肝特異的蛋白発現
3.グリコーゲン合成
4.尿素合成
5.TCF活性によるWnt/βeta-catenin経路のシグナル強度をルシフェラーゼ活性で評価

【0034】
こうして見出された本実施形態に係る間葉系幹細胞の肝細胞への分化誘導剤は、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物(ケルセチン、イオノマイシン、ヘキサクロロフェン、PKF115-584)を含み、これらの低分子化合物は蛋白製剤や核酸製剤に比べ、安定性、安全性などのフィージビリティにおいて優れ、再生医療の実現に有力な方法と期待される。これまでに上記の合成された5種類と既に市販されている3種類の合計8種類のWnt/βeta-catenin経路抑制性の低分子化合物のうち4種類(ケルセチン、イオノマイシン、ヘキサクロロフェン、PKF115-584)について、ヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化誘導能を、RNA干渉と比較検討しており、いずれも優れた分化誘導能を示している。また、当然のことながら、これらの有機低分子量化合物(ケルセチン、イオノマイシン、ヘキサクロロフェン、PKF115-584)RNA干渉の場合に比べて安定性、安全性などのフィージビリティにおいて著しく優れている。

【0035】
すなわち、本実施形態に係る間葉系幹細胞の肝細胞への分化誘導剤は、ヘキサクロロフェン、ケルセチン、イオノマイシン、PKF115-584からなる群から選ばれる1種以上の化合物またはその類縁体を含む、分化誘導剤である。ここで、本明細書において「類縁体」(analog)とは、いわゆる「誘導体」(derivative)を含む概念であり、類似体、類似化合物、類縁化合物などと表現されることもある。つまり、「類縁体」とは、ある化合物と受容体結合特性などの分子生物学的な性質や構造が類似しているが、ある化合物の原子または原子団が別の原子または原子団と置換された組成を持つ別の化合物のことを含む。医薬品化学においては、期待される生理活性を持つ化合物が見つかると、より高い活性を持つ化合物を求めてその化合物の誘導体の探索を行なうことがよくある。このとき、探索の出発点となった化合物をリード化合物、その誘導体をアナログと呼ぶ。もちろん、本明細書において「類縁体」とは、リード化合物に対するアナログを含む概念である。そのため、本明細書において「類縁体」とは、後述する薬理的に許容される誘導体および薬理的に許容される塩を含む。

【0036】
本明細書において「誘導体」(derivative)とは、ある有機化合物を母体として考えたとき、官能基の導入、酸化、還元、または原子の置き換えもしくは原子の付加などによって、母体の構造や性質を大幅に変えない程度の改変がなされた化合物のことを意味する。なおその改変は実際の化学反応として行えることもあるが、机上のものでも構わない。本明細書において「薬理的に許容される誘導体」は、所望の効果を有する化合物であれば限定されず、本発明に係る化合物の薬理的に許容される塩、溶媒和物、異性体、またはプロドラッグ等(例えばエステル)の形態を含む。またこの薬理的に許容される誘導体は、患者に投与すると、本発明に係る化合物またはその活性代謝物もしくはその残基を(直接的または間接的に)提供される任意の他の化合物を含む。そしてこのような薬理的に許容される誘導体は、当業者であれば過度の実験を行なうことなく得ることができる。例えば、[Burger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery, 5th Edition, Vol 1: Principles and Practice]を参照できる。なお好ましくは、本発明に係る化合物の薬理的に許容される塩または溶媒和物である。また所望の効果とは、本発明に係る化合物と実質的に同等の効果を含む。

【0037】
本明細書において「薬理的に許容される塩」は、特に限定されないが、例えば任意の酸性(例えばカルボキシル)基で形成されるアニオン塩、または任意の塩基性(例えばアミノ)基で形成されるカチオン塩である。塩類には無機塩および有機塩を含み、[Berge,BighleyおよびMonkhouse、 J.Pharm.Sci., 1977, 66, 1-19]に記載されている塩が含まれる。

【0038】
本明細書において「溶媒和物」は、溶質および溶媒によって形成される化合物である。溶媒和物については例えば、[J.Honig et al., The Van Nostrand Chemist’s Dictionary P650 (1953)]を参照できる。溶媒が水であれば形成される溶媒和物は水和物である。この溶媒は、溶質の生物活性を妨げないものが好ましい。そのような好ましい溶媒の例として、限定するものではないが、水、エタノール、および酢酸が挙げられる。最も好ましい溶媒は、水である。水和物は、大気に触れるかまたは再結晶するときに水分を吸収し、その結果、本発明化合物又はその塩は、場合によっては、吸湿水を有するか又は水和物となる。

【0039】
本明細書において「異性体」は、分子式は同一だが構造が異なる分子を含む。鏡像異性体(エナンチオマー)、幾何(シス/トランス)異性体、または相互に鏡像ではない不斉中心を1個以上有する異性体(ジアステレオマー)を含む。

【0040】
本明細書において「プロドラッグ」は、前駆体である化合物であって、その化合物を被験体へ投与した際に、代謝過程または種々化学反応によって化学的変化を起こし、本発明に係る化合物またはその塩もしくはその溶媒和物をもたらす化合物を含む。プロドラッグについては、例えば[T. Higuchi and V. Stella, “Pro-Drugs as Novel Delivery Systems”, A.C.S. Symposium Series, Volume 14]を参照できる。

【0041】
(i)ヘキサクロロフェン
本明細書において、「ヘキサクロロフェン」(hexachlorophene)とは、PubChemから引用すると、以下の特性を有する化合物であり、化学式(1)で表される。
Compound ID 3598
IUPAC: 3,4,6-trichloro-2-[(2,3,5-trichloro-6-hydroxyphenyl)methyl]phenol
Molecular Weight 406.90354[g/mol]
Molecular Formula C13H6Cl6O2
XLogP3 7.5
H-Bond Donor 2
H-Bond Acceptor 2

【0042】
【化1】
JP0005704554B2_000002t.gif

【0043】
ヘキサクロロフェンの類縁体としては、特に限定するものではないが、例えばPubChemのCompound Structure Search において類似度(tanimoto係数)95%以上で検索すると、以下の9種類の化合物が類縁体に含まれる。なお、類縁体に含めるtanimoto係数の下限値は、特に限定されず、例えば、90%以上でもよく、91%以上でもよく、92%以上でもよく、93%以上でもよく、94%以上でもよく、95%以上でもよく、96%以上でもよく、97%以上でもよく、98%以上でもよく、99%以上でもよい。類似度(tanimoto係数)が大きければ大きいほどリード化合物に構造・生理活性などが近似した類縁体である可能性が高くなる。なお、tanimoto係数の計算式は以下のとおりであり、ケモインフォマティクスの分野では最も頻繁に使われる権威ある化合物同士の類似係数である。

【0044】
Tanimoto = AB / ( A + B - AB )
Where:
Tanimoto is the Tanimoto score, a fraction between 0 and 1.
AB is the count of bits set after bit-wise & of fingerprints A and B
A is the count of bits set in fingerprint A
B is the count of bits set in fingerprint B

【0045】
ヘキサクロロフェンの類似度(tanimoto係数)95%以上の類縁体一覧
1: CID: 3598
hexachlorophene; pHisoHex; Gamophen
IUPAC: 3,4,6-trichloro-2-[(2,3,5-trichloro-6-hydroxyphenyl)methyl]phenol
MW: 406.903540 g/mol | MF: C13H6Cl6O2
Tested in BioAssays: All: 505, Active: 114
Anti-Infective Agents, Local more

2: CID: 20372044
IUPAC: 3,4,6-trichloro-2-[(3,5-dichloro-2-hydroxyphenyl)methyl]phenol
MW: 372.458480 g/mol | MF: C13H7Cl5O2

3: CID: 23669625
Isobac; Isobac 20; Caswell No. 566A
IUPAC: sodium 3,4,6-trichloro-2-[(2,3,5-trichloro-6-hydroxyphenyl)methyl]phenolate
MW: 428.885370 g/mol | MF: C13H5Cl6NaO2

4: CID: 22088194
MW: 406.903540 g/mol | MF: C13H6Cl6O2-2

5: CID: 74742
CID74742; 3,4,4’,5’,6,6’-Hexachloro-2,2’-methylenediphenol; Phenol, 3,4,4’,5’,6,6’-hexachloro-2,2’-methylenedi-
IUPAC: 2,3,4-trichloro-6-[(2,3,5-trichloro-6-hydroxyphenyl)methyl]phenol
MW: 406.903540 g/mol | MF: C13H6Cl6O2

6: CID: 22954419
MW: 406.903540 g/mol | MF: C13H6Cl6O2

7: CID: 209168
Phenol, 2,2’-methylenebis(3,5,6-trichloro-; 2,2’-Methylenebis(3,5,6-trichlorophenol); CID209168
IUPAC: 2,3,5-trichloro-6-[(3,4,6-trichloro-2-hydroxyphenyl)methyl]phenol
MW: 406.903540 g/mol | MF: C13H6Cl6O2

8: CID: 23349392
IUPAC: 3,4,6-trichloro-2-[(2-hydroxyphenyl)methyl]phenol
MW: 303.568360 g/mol | MF: C13H9Cl3O2

9: CID: 5282359
CID5282359; C14203; 2,2’,3,3’,5,5’-Hexachloro-6-biphenylol
IUPAC: 3,4,6-trichloro-2-(2,3,5-trichlorophenyl)phenol
MW: 376.877560 g/mol | MF: C12H4Cl6O

【0046】
当業者であれば、後述の実施例の実験データを参照すれば、これらの類似度(tanimoto係数)95%以上の9種類の化合物が、当然に間葉系幹細胞の肝細胞への分化を誘導する性質を有することを理解できる。

【0047】
(ii)ケルセチン
本明細書において、「ケルセチン」(Quercetin)とは、PubChemから引用すると、以下の特性を有する化合物であり、化学式(2)で表される。
Compound ID 5280343
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one
Molecular Weight 302.2357 [g/mol]
Molecular Formula C15H10O7
XLogP3 1.5
H-Bond Donor 5
H-Bond Acceptor 7

【0048】
【化2】
JP0005704554B2_000003t.gif

【0049】
ケルセチンの類縁体としては、特に限定するものではないが、例えばPubChemのCompound Structure Search において類似度(tanimoto係数)95%以上で検索すると、以下の233種類の化合物が類縁体に含まれる。なお、類縁体に含めるtanimoto係数の下限値は、特に限定されず、例えば、90%以上でもよく、91%以上でもよく、92%以上でもよく、93%以上でもよく、94%以上でもよく、95%以上でもよく、96%以上でもよく、97%以上でもよく、98%以上でもよく、99%以上でもよい。類似度(tanimoto係数)が大きければ大きいほどリード化合物に構造・生理活性などが近似した類縁体である可能性が高くなる。なお、tanimoto係数の計算式は既述のとおりであり、ケモインフォマティクスの分野では最も頻繁に使われる権威ある化合物同士の類似係数である。

【0050】
ケルセチンの類似度(tanimoto係数)95%以上の類縁体一覧
1: CID: 5280343
quercetin; Sophoretin; Meletin
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7
Tested in BioAssays: All: 281, Active: 55
Antioxidants more

2: CID: 20670067
IUPAC: actinium; 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one
MW: 1437.374435 g/mol | MF: C15H10Ac5O7

3: CID: 5281614
Fisetin; Cotinin; Superfustel
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,7-dihydroxychromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6
Tested in BioAssays: All: 174, Active: 28

4: CID: 5281692
Robinetin; Norkanugin; 5-Deoxymyricetin
IUPAC: 3,7-dihydroxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7
Tested in BioAssays: All: 24, Active: 2

5: CID: 5284452
Quercetin dihydrate; quercetin; Quercetine dihydrate
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one dihydrate
MW: 338.266260 g/mol | MF: C15H14O9
Tested in BioAssays: All: 98, Active: 12
Antioxidants more

6: CID: 10818722
CID10818722; [2,3-dihydroxy-6-(3,5,7-trihydroxy-4-oxo-chromen-2-yl)phenyl]thallium
IUPAC: [2,3-dihydroxy-6-(3,5,7-trihydroxy-4-oxochromen-2-yl)phenyl]thallium
MW: 505.611060 g/mol | MF: C15H9O7Tl

7: CID: 16212154
Quercetin hydrate; MLS001074343; MLS002153851
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one hydrate
MW: 320.250980 g/mol | MF: C15H12O8
Tested in BioAssays: All: 132, Active: 14

8: CID: 16213065
Fisetin; 5-Deoxyquercetin; Natural Brown- 1
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,7-dihydroxychromen-4-one hydrate
MW: 304.251580 g/mol | MF: C15H12O7

9: CID: 24187083
NSC58588; 7255-55-2
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one; zirconium
MW: 393.459700 g/mol | MF: C15H10O7Zr
Tested in BioAssays: All: 1, Active: 0

10: CID: 25031947
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one; selenium
MW: 381.195700 g/mol | MF: C15H10O7Se

11: CID: 12305312
IUPAC: 6,8-dideuterio-3,5,7-trihydroxy-2-(2,3,6-trideuterio-4,5-dihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 307.266509 g/mol | MF: C15H10O7

12: CID: 21600688
IUPAC: 3,5,7-trihydroxy-2-(2,3,6-trideuterio-4,5-dihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 305.254185 g/mol | MF: C15H10O7

13: CID: 23105025
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5-dihydroperoxy-7-hydroxychromen-4-one
MW: 334.234500 g/mol | MF: C15H10O9

14: CID: 5281672
myricetin; Cannabiscetin; Myricetol
IUPAC: 3,5,7-trihydroxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 318.235100 g/mol | MF: C15H10O8
Tested in BioAssays: All: 277, Active: 48

15: CID: 12309893

IUPAC: 8-deuterio-3,7-dihydroxy-2-(2,3,6-trideuterio-4,5-dihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 290.260947 g/mol | MF: C15H10O6

16: CID: 25201643
myricetin
IUPAC: 2,6-dihydroxy-4-(3,5,7-trihydroxy-4-oxochromen-2-yl)phenolate
MW: 317.227160 g/mol | MF: C15H9O8-

17: CID: 5280445
luteolin; Luteoline; Luteolol
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,7-dihydroxychromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6
Tested in BioAssays: All: 258, Active: 41

18: CID: 5321864
5,7,2’,3’-Tetrahydroxyflavone; LMPK12110137; CID5321864
IUPAC: 2-(2,3-dihydroxyphenyl)-5,7-dihydroxychromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

19: CID: 18471844
ZINC14644152
IUPAC: 5,7-dihydroxy-2-(2,3,4-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

20: CID: 22339062
IUPAC: 3,5-dihydroxy-2-(2,3,4-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

21: CID: 25201972
luteolin; 5734-TETRAHYDROXYFLAVONE; 3’,4’,5,7-Tetrahydroxyflavone
IUPAC: 4-(5,7-dihydroxy-4-oxochromen-2-yl)-2-hydroxyphenolate
MW: 285.228360 g/mol | MF: C15H9O6-

22: CID: 26034
5,7-Di-O-methylquercetin; BRN 0344074; CID26034
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3-hydroxy-5,7-dimethoxychromen-4-one
MW: 330.288860 g/mol | MF: C17H14O7

23: CID: 5281604
Azaleatin; 5-O-Methylquercetin; Quercetin 5-methyl ether
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,7-dihydroxy-5-methoxychromen-4-one
MW: 316.262280 g/mol | MF: C16H12O7

24: CID: 5281638
6-Hydroxykaempferol; CHEBI:563476; LMPK12112860
IUPAC: 3,5,6,7-tetrahydroxy-2-(4-hydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

25: CID: 5281691
Rhamnetin; 7-Methoxyquercetin; 7-Methylquercetin
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5-dihydroxy-7-methoxychromen-4-one
MW: 316.262280 g/mol | MF: C16H12O7
Tested in BioAssays: All: 117, Active: 6

26: CID: 10598612
CID10598612; 2-(3,4-dihydroxy-2-iodo-phenyl)-3,5,7-trihydroxy-chromen-4-one
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxy-2-iodophenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one
MW: 428.132230 g/mol | MF: C15H9IO7

27: CID: 15233950
LMPK12112802
IUPAC: 3,5,6,7-tetrahydroxy-2-phenylchromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

28: CID: 17840574
IUPAC: (3,5,6,7-tetrahydroxy-2-phenylchromen-4-ylidene)oxidanium
MW: 287.244240 g/mol | MF: C15H11O6+

29: CID: 24721675
IUPAC: 3,7-dihydroxy-2-(2,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

30: CID: 25205335
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one; platinum(4+); dichloride
MW: 568.219700 g/mol | MF: C15H10Cl2O7Pt+2

31: CID: 25206803
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one; platinum(4+); chloride; hydrochloride
MW: 569.227640 g/mol | MF: C15H11Cl2O7Pt+3

32: CID: 5322065
7,3’,4’-Trihydroxyflavone; 3’,4’,7-Trihydroxyflavone; BRN 0253031
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7-hydroxychromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5

33: CID: 5393164
7,3,4,5-tetrahydroxyflavone; CHEBI:519698; LMPK12110051
IUPAC: 7-hydroxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

34: CID: 10517292
CID10517292; 3-hydroxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
IUPAC: 3-hydroxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

35: CID: 16662883
IUPAC: 2-(2,3-dihydroxyphenyl)-7-hydroxychromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5

36: CID: 21158518
IUPAC: 7-hydroxy-2-(2,3,4-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

37: CID: 5281701
Tricetin; Spectrum_001591; SpecPlus_000826
IUPAC: 5,7-dihydroxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7
Tested in BioAssays: All: 63, Active: 9

38: CID: 12359024
IUPAC: 3,6,8-trideuterio-5,7-dihydroxy-2-(2,3,6-trideuterio-4,5-dihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 292.273271 g/mol | MF: C15H10O6

39: CID: 12359025
IUPAC: 3-deuterio-5,7-dihydroxy-2-(2,3,6-trideuterio-4,5-dihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 290.260947 g/mol | MF: C15H10O6

40: CID: 627207
CHEBI:347700; CID627207; 3-Hydroxy-2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7-methoxy-4H-chromen-4-one
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3-hydroxy-7-methoxychromen-4-one
MW: 300.262880 g/mol | MF: C16H12O6

41: CID: 5280417
3,7-Di-O-methylquercetin; CHEBI:18010; MolPort-001-742-139
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5-hydroxy-3,7-dimethoxychromen-4-one
MW: 330.288860 g/mol | MF: C17H14O7

42: CID: 5280681
3-O-Methylquercetin; 3-Methoxy quercetin; Quercetin-3-methylether
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,7-dihydroxy-3-methoxychromen-4-one
MW: 316.262280 g/mol | MF: C16H12O7
Tested in BioAssays: All: 234, Active: 11

43: CID: 5281680
Quercetagetin; 6-Hydroxyquercetin; CHEBI:202888
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,6,7-tetrahydroxychromen-4-one
MW: 318.235100 g/mol | MF: C15H10O8

44: CID: 5319492
Flavone der.; AIDS071769; CHEBI:219000
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,6,7-trihydroxychromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

45: CID: 5489501
3,5-Di-O-methylquercetin; LMPK12112730; CID5489501
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7-hydroxy-3,5-dimethoxychromen-4-one
MW: 330.288860 g/mol | MF: C17H14O7

46: CID: 10516160
CID10516160; 3,7,8-trihydroxy-2-phenyl-chromen-4-one
IUPAC: 3,7,8-trihydroxy-2-phenylchromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5

47: CID: 15560442
LMPK12111605
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,7,8-trihydroxychromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

48: CID: 21676161
IUPAC: [2-hydroxy-5-(3,5,7-trihydroxy-4-oxochromen-2-yl)phenyl] sulfate
MW: 381.290960 g/mol | MF: C15H9O10S-

49: CID: 21676163
IUPAC: [2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5-dihydroxy-4-oxochromen-7-yl] sulfate
MW: 381.290960 g/mol | MF: C15H9O10S-

50: CID: 21676164
IUPAC: [2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,7-dihydroxy-4-oxochromen-3-yl] sulfate
MW: 381.290960 g/mol | MF: C15H9O10S-

51: CID: 22239065
LMPK12111601; ZINC12359395
IUPAC: 3,7,8-trihydroxy-2-(4-hydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

52: CID: 24721178
IUPAC: 3,7,8-trihydroxy-2-(2-hydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

53: CID: 25202270
3-methoxyluteolin; 3-O-Methylquercetin; 3’,4’,5,7-Tetrahydroxy-3-methoxyflavone
IUPAC: 4-(5,7-dihydroxy-3-methoxy-4-oxochromen-2-yl)-2-hydroxyphenolate
MW: 315.254340 g/mol | MF: C16H11O7-

54: CID: 25203115
Quercetin 3-sulfate; CPD-1822
IUPAC: [5,7-dihydroxy-2-(3-hydroxy-4-oxidophenyl)-4-oxochromen-3-yl] sulfate
MW: 380.283020 g/mol | MF: C15H8O10S-2

55: CID: 25206804
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one; platinum(4+); tetrachloride
MW: 639.125700 g/mol | MF: C15H10Cl4O7Pt

56: CID: 16113029
LMPK12112522
IUPAC: 3,5,7-trihydroxy-2-(2,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
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57: CID: 15661823
ZINC04349582
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,7-dihydroxy-3-methylchromen-4-one
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58: CID: 6477685
AIDS154808; CHEBI:480357; AIDS-154808
IUPAC: 2-[(E)-2-(3,4-dihydroxyphenyl)ethenyl]-5,7-dihydroxychromen-4-one
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59: CID: 88281
5,3’,4’-Trihydroxyflavone; TNP00056; CHEBI:490257
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5-hydroxychromen-4-one
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Tested in BioAssays: All: 81, Active: 10

60: CID: 17851159
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61: CID: 147651
Quercetin trimethyl ether; ZINC00338058; CID147651
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62: CID: 5280362
Quercetin 3-sulfate; quercetin 3-(hydrogen sulfate); CHEBI:17730
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63: CID: 5280544
Herbacetin; 8-Hydroxykaempferol; LMPK12113149
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Isorhamnetin; 3-Methylquercetin; Isorhamnetol
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Tested in BioAssays: All: 18, Active: 2

65: CID: 5281679
Pinoquercetin; 6-C-Methylquercetin; LMPK12112292
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxy-6-methylchromen-4-one
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66: CID: 5281699
Tamarixetin; 4’-O-Methylquercetin; Quercetin 4’-methyl ether
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67: CID: 5320287
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Tested in BioAssays: All: 61, Active: 1

69: CID: 5362017
8-Hydroxygalangin; 3,5,7,8-Tetrahydroxyflavone; BRN 0295943
IUPAC: 3,5,7,8-tetrahydroxy-2-phenylchromen-4-one
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70: CID: 5388949
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71: CID: 9839293
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72: CID: 10022760
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73: CID: 11012936
CID11012936; 3,5-dihydroxy-2-(3-hydroxy-2-methoxy-phenyl)-7-methoxy-chromen-4-one
IUPAC: 3,5-dihydroxy-2-(3-hydroxy-2-methoxyphenyl)-7-methoxychromen-4-one
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IUPAC: 3,7-dihydroxy-2-(3-hydroxy-4-methoxyphenyl)-5-methoxychromen-4-one
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IUPAC: [3,5-dihydroxy-2-(3-hydroxy-4-sulfonatooxyphenyl)-4-oxochromen-7-yl] sulfate
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81: CID: 23670118
CHEBI:604112; potassium 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,7-dihydroxy-4-oxo-4H-chromen-3-yl sulfate
IUPAC: potassium [2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,7-dihydroxy-4-oxochromen-3-yl] sulfate
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82: CID: 25164913
IUPAC: [2-hydroxy-4-(3,5,7-trihydroxy-4-oxochromen-2-yl)phenyl] hydrogen sulfate
MW: 382.298900 g/mol | MF: C15H10O10S

83: CID: 25202413
Isorhamnetin; 3-Methylquercetin; 3’-Methoxyquercetin
IUPAC: 5,7-dihydroxy-2-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-4-oxochromen-3-olate
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84: CID: 25206967
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85: CID: 44472542
IUPAC: azane; 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxychromen-4-one; platinum
MW: 531.374740 g/mol | MF: C15H16N2O7Pt

86: CID: 5319731
5-Methylmyricetin; LMPK12112555; CID5319731
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87: CID: 14376433
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IUPAC: 3,5,6,7-tetrahydroxy-2-(2,3,4-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
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88: CID: 44259636
LMPK12112664
IUPAC: 3,5-dihydroxy-7-methoxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 332.261680 g/mol | MF: C16H12O8

89: CID: 5280616
2’-hydroxypseudobaptigenin; CID5280616; C03662
IUPAC: 7-hydroxy-2-(2,3,4,5-tetrahydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

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MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5
Tested in BioAssays: All: 120, Active: 30
Prostaglandin Antagonists more

91: CID: 5281642
6-Hydroxyluteolin; Demethylpedalitin; 6-OH-Luteolin
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,6,7-trihydroxychromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

92: CID: 5281697
Scutellarein; Isocarthamidin; Flavonoid
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MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

93: CID: 5318214
Hydroxygenkwanin; 7-O-Methylluteolin; MEGxp0_000798
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94: CID: 5702782
baicalein; 5,6,7-Trihydroxyflavone; OR1525T
IUPAC: 5,6,7-trihydroxy-2-phenylchromen-4-one hydrate
MW: 288.252180 g/mol | MF: C15H12O6
Prostaglandin Antagonists more

95: CID: 13964548
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,7-dimethoxychromen-4-one
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96: CID: 13964550
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97: CID: 18372862
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3-hydroxy-5-methoxychromen-4-one
MW: 300.262880 g/mol | MF: C16H12O6

98: CID: 5281649
Isoetin; LMPK12110940; 5,7,2’,4’,5’-Pentahydroxyflavone
IUPAC: 5,7-dihydroxy-2-(2,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

99: CID: 6477684
AIDS154807; CHEBI:480359; AIDS-154807
IUPAC: 2-[(E)-2-(3,4-dihydroxyphenyl)ethenyl]-7-hydroxychromen-4-one
MW: 296.274180 g/mol | MF: C17H12O5

100: CID: 10636768
CHEBI:185726; CID10636768; 2-(3,4-Dihydroxy-benzyl)-7-hydroxy-chromen-4-one
IUPAC: 2-[(3,4-dihydroxyphenyl)methyl]-7-hydroxychromen-4-one
MW: 284.263480 g/mol | MF: C16H12O5

101: CID: 12417670
IUPAC: 2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5

102: CID: 22507438
IUPAC: 2-(2,3,4-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5

103: CID: 628780
CID628780; 3-Hydroxy-2-(3-hydroxy-4-methoxyphenyl)-7-methoxy-4H-chromen-4-one
IUPAC: 3-hydroxy-2-(3-hydroxy-4-methoxyphenyl)-7-methoxychromen-4-one
MW: 314.289460 g/mol | MF: C17H14O6

104: CID: 4125009
CID4125009; 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxy-6,8-bis(3-methylbut-2-enyl)chromen-4-one
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxy-6,8-bis(3-methylbut-2-enyl)chromen-4-one
MW: 438.469740 g/mol | MF: C25H26O7

105: CID: 5280402
Quercetin 3,3’-bissulfate; CHEBI:17875; LMPK12112308
IUPAC: [5,7-dihydroxy-2-(4-hydroxy-3-sulfooxyphenyl)-4-oxochromen-3-yl] hydrogen sulfate
MW: 462.362100 g/mol | MF: C15H10O13S2

106: CID: 5280403
Quercetin 3,4’-bissulfate; CHEBI:18030; LMPK12112309
IUPAC: [5,7-dihydroxy-2-(3-hydroxy-4-sulfooxyphenyl)-4-oxochromen-3-yl] hydrogen sulfate
MW: 462.362100 g/mol | MF: C15H10O13S2

107: CID: 5280647
Gossypetin; Articulatidin; Equisporol
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7,8-tetrahydroxychromen-4-one
MW: 318.235100 g/mol | MF: C15H10O8
Tested in BioAssays: All: 54, Active: 8

108: CID: 5316900
Quercetin der.; 3,3’-Dimethylquercetin; 3,3’-Dimethoxyquercetin
IUPAC: 5,7-dihydroxy-2-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-3-methoxychromen-4-one
MW: 330.288860 g/mol | MF: C17H14O7

109: CID: 5378244
LMPK12111569; CID5378244; 3,7-Dihydroxy-2-(3-hydroxy-4-methoxyphenyl)-4H-chromen-4-one
IUPAC: 3,7-dihydroxy-2-(3-hydroxy-4-methoxyphenyl)chromen-4-one
MW: 300.262880 g/mol | MF: C16H12O6

110: CID: 5380905
ACon1_001466; CHEBI:221146; MolPort-001-741-117
IUPAC: 5,7-dihydroxy-2-(3-hydroxy-4-methoxyphenyl)-3-methoxychromen-4-one
MW: 330.288860 g/mol | MF: C17H14O7
Tested in BioAssays: All: 1, Active: 0

111: CID: 5481966
Gancaonin P; AIDS095976; CHEBI:565528
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxy-6-(3-methylbut-2-enyl)chromen-4-one
MW: 370.352720 g/mol | MF: C20H18O7

112: CID: 5482101
Geraldol; SPECTRUM1505149; BIDF1020
IUPAC: 3,7-dihydroxy-2-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)chromen-4-one
MW: 300.262880 g/mol | MF: C16H12O6
Tested in BioAssays: All: 52, Active: 3

113: CID: 6452329
M7HEQ; 7-O-beta-Hydroxyethylquercetin; 7-O-(beta-Hydroxyethyl)quercetin
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5-dihydroxy-7-(2-hydroxyethoxy)chromen-4-one
MW: 346.288260 g/mol | MF: C17H14O8

114: CID: 9799499
CHEBI:420898; ZINC03918592; CID9799499
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxy-8-(3-methylbut-2-enyl)chromen-4-one
MW: 370.352720 g/mol | MF: C20H18O7

115: CID: 9949390
CHEBI:303634; CID9949390; 2-(3,4-Dihydroxy-phenyl)-3-hydroxy-7-(2-hydroxy-ethoxy)-chromen-4-one
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3-hydroxy-7-(2-hydroxyethoxy)chromen-4-one
MW: 330.288860 g/mol | MF: C17H14O7

116: CID: 10004518
CID10004518; 3,5-dihydroxy-2-(3-hydroxy-4-sulfooxy-phenyl)-4-oxo-7-sulfooxy-chromene
IUPAC: [3,5-dihydroxy-2-(3-hydroxy-4-sulfooxyphenyl)-4-oxochromen-7-yl] hydrogen sulfate
MW: 462.362100 g/mol | MF: C15H10O13S2

117: CID: 10050405
CID10050405; 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7-dodecoxy-3,5-dihydroxy-chromen-4-one
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7-dodecoxy-3,5-dihydroxychromen-4-one
MW: 470.554660 g/mol | MF: C27H34O7

118: CID: 10895435
CHEBI:565814; CID10895435; 5,7,3’,4’-tetrahydroxy-6-geranylflavono
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-6-[(2E)-3,7-dimethylocta-2,6-dienyl]-3,5,7-trihydroxychromen-4-one
MW: 438.469740 g/mol | MF: C25H26O7

119: CID: 12988287
LMPK12112307
IUPAC: [2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5-hydroxy-4-oxo-3-sulfooxychromen-7-yl] hydrogen sulfate
MW: 462.362100 g/mol | MF: C15H10O13S2

120: CID: 15895793
LMPK12111579
IUPAC: 3,7-dihydroxy-2-(4-hydroxy-3,5-dimethoxyphenyl)chromen-4-one
MW: 330.288860 g/mol | MF: C17H14O7

121: CID: 17918606
IUPAC: 3,5,6,7,8-pentahydroxy-2-(2-hydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 318.235100 g/mol | MF: C15H10O8

122: CID: 21633676
LMPK12112866
IUPAC: 3,5,6,7-tetrahydroxy-2-(4-methoxyphenyl)chromen-4-one
MW: 316.262280 g/mol | MF: C16H12O7

123: CID: 23320229
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3-ethoxy-7-hydroxychromen-4-one
MW: 314.289460 g/mol | MF: C17H14O6

124: CID: 24206515
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,7-dihydroxy-3-methoxychromen-4-one trihydrate
MW: 370.308120 g/mol | MF: C16H18O10

125: CID: 25201917
334578-HEXAHYDROXYFLAVONE; 3,3’,4’,5,7,8-Hexahydroxyflavone; 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7,8-tetrahydroxy-chromen-4-one
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7-trihydroxy-4-oxochromen-8-olate
MW: 317.227160 g/mol | MF: C15H9O8-

126: CID: 44259330
LMPK12112314
IUPAC: [4-(3,5-dihydroxy-7-hydroxysulfonothioyloxy-4-oxochromen-2-yl)-2-hydroxyphenyl] hydrogen sulfate
MW: 478.427700 g/mol | MF: C15H10O12S3

127: CID: 44259518
LMPK12112520
IUPAC: 3,5,7-trihydroxy-2-(3-hydroxy-2,4-dimethoxyphenyl)chromen-4-one
MW: 346.288260 g/mol | MF: C17H14O8

128: CID: 44260065
LMPK12113327
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,6,7,8-pentahydroxychromen-4-one
MW: 334.234500 g/mol | MF: C15H10O9

129: CID: 24721651
IUPAC: 5-hydroxy-3,7-dimethoxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 346.288260 g/mol | MF: C17H14O8

130: CID: 25087106
Peflavit; Pentahydroxyflavone; 54077-18-8
IUPAC: 3,5,6,7,8-pentahydroxy-2-phenylchromen-4-one
MW: 302.235700 g/mol | MF: C15H10O7

131: CID: 25202871
quercetin-3,4-bissulfate; quercetin-3,4’-bissulfate; QUERCETIN-34-BISSULFATE
IUPAC: [2-hydroxy-4-(7-hydroxy-5-oxido-4-oxo-3-sulfonatooxychromen-2-yl)phenyl] sulfate
MW: 459.338280 g/mol | MF: C15H7O13S2-3

132: CID: 44259709
LMPK12112779
IUPAC: 5,7-dihydroxy-3-methoxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chromen-4-one
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133: CID: 676310
TNP00054; CHEBI:473681; CID676310
IUPAC: 7,8-dihydroxy-2-(3-hydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5
Tested in BioAssays: All: 81, Active: 10

134: CID: 688798
7,8,3’,4’-tetrahydroxyflavone; 3’,4’,7,8-Tetrahydroxyflavone; CHEBI:473674
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7,8-dihydroxychromen-4-one
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Isoscutellarein; 8-Hydroxyapigenin; LMPK12111361
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sec-Butyl benzoate; 3’,4’-Dimethoxyquercetin; LMPK12112411
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CID10357421; 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5-dihydroxy-7-methyl-chromen-4-one
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213: CID: 14016780
LMPK12110734
IUPAC: [2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5-hydroxy-4-oxochromen-7-yl] hydrogen sulfate
MW: 366.299500 g/mol | MF: C15H10O9S

214: CID: 15293760
LMPK12110728
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5,7-dihydroxy-6-methylchromen-4-one
MW: 300.262880 g/mol | MF: C16H12O6

215: CID: 21725619
IUPAC: [2-hydroxy-4-(5-hydroxy-4-oxo-7-sulfonatooxychromen-2-yl)phenyl] sulfate
MW: 444.346820 g/mol | MF: C15H8O12S2-2

216: CID: 44258151
LMPK12110735
IUPAC: [5-(5,7-dihydroxy-4-oxochromen-2-yl)-2-hydroxyphenyl] hydrogen sulfate
MW: 366.299500 g/mol | MF: C15H10O9S

217: CID: 44258152
LMPK12110736
IUPAC: [4-(5,7-dihydroxy-4-oxochromen-2-yl)-2-hydroxyphenyl] hydrogen sulfate
MW: 366.299500 g/mol | MF: C15H10O9S

218: CID: 44608109
IUPAC: 7-butoxy-2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5-hydroxychromen-4-one
MW: 342.342620 g/mol | MF: C19H18O6

219: CID: 44610310
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7-hydroxy-5-octoxychromen-4-one
MW: 398.448940 g/mol | MF: C23H26O6

220: CID: 44610311
IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7-hydroxy-5-propoxychromen-4-one
MW: 328.316040 g/mol | MF: C18H16O6

221: CID: 44610312

IUPAC: 5-decoxy-2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7-hydroxychromen-4-one
MW: 426.502100 g/mol | MF: C25H30O6

222: CID: 44610313

IUPAC: 2-(3,4-dihydroxyphenyl)-5-hexoxy-7-hydroxychromen-4-one
MW: 370.395780 g/mol | MF: C21H22O6

223: CID: 44610474

IUPAC: 5-butoxy-2-(3,4-dihydroxyphenyl)-7-hydroxychromen-4-one
MW: 342.342620 g/mol | MF: C19H18O6

224: CID: 1880
7,8-dihydroxyflavone; FLAVONE; 7,8-Dihydroxy-flavone
IUPAC: 7,8-dihydroxy-2-phenylchromen-4-one
MW: 254.237500 g/mol | MF: C15H10O4
Tested in BioAssays: All: 92, Active: 8

225: CID: 676309
TNP00055; CHEBI:490243; CID676309
IUPAC: 7,8-dihydroxy-2-(2-hydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5
Tested in BioAssays: All: 80, Active: 18

226: CID: 688853
7,8,4-trihydroxyflavone; CHEBI:246131; ZINC00057915
IUPAC: 7,8-dihydroxy-2-(4-hydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5

227: CID: 9814421
CID9814421; 2-(2,4-dihydroxyphenyl)-7,8-dihydroxy-chromen-4-one
IUPAC: 2-(2,4-dihydroxyphenyl)-7,8-dihydroxychromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

228: CID: 18778789
IUPAC: (2E)-2-[(3,4-dihydroxyphenyl)methylidene]-7-hydroxychromen-4-one
MW: 284.263480 g/mol | MF: C16H12O5

229: CID: 17840570
IUPAC: (3,5,6-trihydroxy-2-phenylchromen-4-ylidene)oxidanium
MW: 271.244840 g/mol | MF: C15H11O5+

230: CID: 17840571
IUPAC: 3,5,6-trihydroxy-2-phenylchromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5

231: CID: 23064865
IUPAC: 2-(2,3,4,6-tetrahydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 286.236300 g/mol | MF: C15H10O6

232: CID: 5393165
ZINC00057845; CID5393165
IUPAC: 3,7-dihydroxy-2-(3-hydroxyphenyl)chromen-4-one
MW: 270.236900 g/mol | MF: C15H10O5

233: CID: 20977459
IUPAC: [3,5,7-trihydroxy-2-(3-hydroxyphenyl)chromen-4-ylidene]oxidanium chloride
MW: 322.697240 g/mol | MF: C15H11ClO6

【0051】
当業者であれば、後述の実施例の実験データを参照すれば、これらの類似度(tanimoto係数)95%以上の233種類の化合物が、当然に間葉系幹細胞の肝細胞への分化を誘導する性質を有することを理解できる。

【0052】
(iii)イオノマイシン
本明細書において、「イオノマイシン」(Ionomycin)とは、PubChemから引用すると、以下の特性を有する化合物であり、化学式(3)で表される。
Compound ID 44134784
IUPAC: calcium 19,21-dihydroxy-22-[5-[5-(1-hydroxyethyl)-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-11-oxido-9-oxodocosa-10,16-dienoate
Molecular Weight 747.0671 [g/mol]
Molecular Formula C41H70CaO9
H-Bond Donor 3
H-Bond Acceptor 9

【0053】
【化3】
JP0005704554B2_000004t.gif

【0054】
イオノマイシンの類縁体としては、特に限定するものではないが、例えばPubChemのCompound Structure Search において類似度(tanimoto係数)95%以上で検索すると、以下の20種類の化合物が類縁体に含まれる。なお、類縁体に含めるtanimoto係数の下限値は、特に限定されず、例えば、90%以上でもよく、91%以上でもよく、92%以上でもよく、93%以上でもよく、94%以上でもよく、95%以上でもよく、96%以上でもよく、97%以上でもよく、98%以上でもよく、99%以上でもよい。類似度(tanimoto係数)が大きければ大きいほどリード化合物に構造・生理活性などが近似した類縁体である可能性が高くなる。なお、tanimoto係数の計算式は既述のとおりであり、ケモインフォマティクスの分野では最も頻繁に使われる権威ある化合物同士の類似係数である。

【0055】
イオノマイシンの類似度(tanimoto係数)95%以上の類縁体一覧
1: CID: 6446270
Ionomycin, calcium salt; MolPort-003-983-599; CID6446270
IUPAC: calcium (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-19,21-dihydroxy-22-[(2S,5S)-5-[(2R,5S)-5-[(1R)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-11-oxido-9-oxodocosa-10,16-dienoate
MW: 747.067100 g/mol | MF: C41H70CaO9

2: CID: 24839624
LS-84163
IUPAC: calcium; (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(2S,5S)-5-[(2R,5S)-5-[(1R)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 749.082980 g/mol | MF: C41H72CaO9

3: CID: 42602091
IUPAC: calcium (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(2R,5R)-5-[(2S,5R)-5-[(1S)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 749.082980 g/mol | MF: C41H72CaO9+2

4: CID: 44120021
BII0123
IUPAC: calcium (4S,6R,8R,10Z,12S,14S,16E,18S,19S,20R,21S)-19,21-dihydroxy-22-[(2R,5S)-5-[(2S,5S)-5-[(1R)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-11-oxido-9-oxodocosa-10,16-dienoate
MW: 747.067100 g/mol | MF: C41H70CaO9

5: CID: 44134784
ionomycin; 56092-82-1
IUPAC: calcium 19,21-dihydroxy-22-[5-[5-(1-hydroxyethyl)-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-11-oxido-9-oxodocosa-10,16-dienoate
MW: 747.067100 g/mol | MF: C41H70CaO9
Ionophores more

6: CID: 3733
ionomycin; CID3733; 56092-81-0
IUPAC: 11,19,21-trihydroxy-22-[5-[5-(1-hydroxyethyl)-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9
Ionophores more

7: CID: 3611369
CID3611369; CID 3611369
IUPAC: 19,21-dihydroxy-22-[5-[5-(1-hydroxyethyl)-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-11-oxido-9-oxodocosa-10,16-dienoate
MW: 706.989100 g/mol | MF: C41H70O9-2

8: CID: 6434517
ionomycin; CID6434517; LS-84162
IUPAC: (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(5S)-5-[(5S)-5-[(1R)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9
Ionophores more

9: CID: 6711156
ionomycin; MolMap_000033; CID6711156
IUPAC: (4R,6S,8S,12R,14R,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(2R,5R)-5-[(2R,5S)-5-[(1R)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9
Ionophores more

10: CID: 6912226
ionomycin; CHEBI:566812; HSCI1_000207
IUPAC: (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(2S,5S)-5-[(2R,5S)-5-[(1R)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9
Ionophores more

11: CID: 9831149
CID9831149; CID 9831149
IUPAC: (10Z,16E)-11,19-dihydroxy-20-[5-[5-(1-hydroxyethyl)-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-2,4,6,8,12,14,18-heptamethyl-9-oxoicosa-10,16-dienoic acid
MW: 664.952420 g/mol | MF: C39H68O8

12: CID: 10372625
ionomycin; CID10372625
IUPAC: (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(2R,5R)-5-[(2S,5R)-5-[(1S)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9
Ionophores more

13: CID: 12967103
NCGC00162460-01
IUPAC: (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(2S,5S)-5-[(5S)-5-[(1R)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9
Tested in BioAssays: All: 34, Active: 1

14: CID: 16219538
I9657_SIGMA; Ionomycin from Streptomyces conglobatus
IUPAC: (4S,6R,8R,10Z,12S,14S,16E,18S,19S,20R,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(5S)-5-[(5S)-5-[(1S)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9

15: CID: 16759612
NCGC00162463-01
IUPAC: (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-19,21-dihydroxy-22-[(2S,5S)-5-[(2R,5S)-5-[(1R)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-11-oxido-9-oxodocosa-10,16-dienoate
MW: 706.989100 g/mol | MF: C41H70O9-2
Tested in BioAssays: All: 34, Active: 0

16: CID: 24742080
nchembio.79-comp37; 4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-Trihydroxy-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-22-[(2S,2’R,5S,5’S)-octahydro-5’-[(1R)-1-hydroxyethyl]-2,5’-dimethyl[2,2’-bifuran]-5-yl]-9-oxo-10,16-docosadienoic acid calcium salt
IUPAC: (4S,6R,8R,10Z,12S,14S,16E,18S,19S,20R,21S)-19,21-dihydroxy-22-[(5S)-5-[(5S)-5-[(1S)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-11-oxido-9-oxodocosa-10,16-dienoate
MW: 706.989100 g/mol | MF: C41H70O9-2

17: CID: 25134244
ionomycin; nchembio.146-comp9
IUPAC: (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(5S)-5-[(5S)-5-(1-hydroxyethyl)-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9
Ionophores more

18: CID: 44120022
IUPAC: (4S,6R,8R,10Z,12S,14S,16E,18S,19S,20R,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(2R,5S)-5-[(2S,5S)-5-[(1R)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9

19: CID: 44120023
BII0421
IUPAC: (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18S,19S,20R,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(2S,5S)-5-[(2S,5R)-5-[(1S)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9

20: CID: 44560066
CHEBI:546782; (3R,5S,7S,9Z,11R,13R,15E,17R,18R,19S,20S)-1-carboxy-18,20-dihydroxy-21-((2S,5S)-5-((2R,5S)-5-((S)-1-hydroxyethyl)-5-methyl-tetrahydrofuran-2-yl)-5-methyl-tetrahydrofuran-2-yl)-3,5,7,11,13,17,19-heptamethyl-8-oxohenicosa-9,15-dien-10-olate
IUPAC: (4R,6S,8S,10Z,12R,14R,16E,18R,19R,20S,21S)-11,19,21-trihydroxy-22-[(2S,5S)-5-[(2R,5S)-5-[(1S)-1-hydroxyethyl]-5-methyloxolan-2-yl]-5-methyloxolan-2-yl]-4,6,8,12,14,18,20-heptamethyl-9-oxodocosa-10,16-dienoic acid
MW: 709.004980 g/mol | MF: C41H72O9

【0056】
当業者であれば、後述の実施例の実験データを参照すれば、これらの類似度(tanimoto係数)95%以上の20種類の化合物が、当然に間葉系幹細胞の肝細胞への分化を誘導する性質を有することを理解できる。

【0057】
(iv)PKF115-584
本明細書において、「PKF115-584」とは、非特許文献6(Maina Lepourcelet et al., “Small-molecule antagonists of the oncogenic Tcf/β-catenin protein complex”, CANCER CELL, JANUARY 2004, VOL. 5, 91-102)から引用すると、以下の特性を有する化合物であり、化学式(4)で表される。
【化4】
JP0005704554B2_000005t.gif

【0058】
PKF115-584の類縁体としては、特に限定するものではないが、例えば類似度(tanimoto係数)95%以上の化合物が類縁体に含まれる。なお、類縁体に含めるtanimoto係数の下限値は、特に限定されず、例えば、90%以上でもよく、91%以上でもよく、92%以上でもよく、93%以上でもよく、94%以上でもよく、95%以上でもよく、96%以上でもよく、97%以上でもよく、98%以上でもよく、99%以上でもよい。類似度(tanimoto係数)が大きければ大きいほどリード化合物に構造・生理活性などが近似した類縁体である可能性が高くなる。なお、tanimoto係数の計算式は既述のとおりであり、ケモインフォマティクスの分野では最も頻繁に使われる権威ある化合物同士の類似係数である。

【0059】
当業者であれば、後述の実施例の実験データを参照すれば、これらの類似度(tanimoto係数)95%以上の化合物が、当然に間葉系幹細胞の肝細胞への分化を誘導する性質を有することを理解できる。

【0060】
なお、本実施形態において、分化誘導剤の候補物質である有機低分子量化合物が、間葉系幹細胞を肝細胞に分化誘導する性質を有するかどうか判断するには、間葉系幹細胞におけるアルブミン、C/EBPα、CYPA1/A2およびAFPからなる群から選ばれる1種以上の蛋白質の発現を誘導するかどうかが重要な指標となる。なぜなら、一般的には、肝細胞ではこれらのアルブミン、C/EBPα、CYPA1/A2およびAFPからなる群から選ばれる1種以上の蛋白質が多量に発現しているのに対して、間葉系幹細胞ではこれらのアルブミン、C/EBPα、CYPA1/A2およびAFPからなる群から選ばれる1種以上の蛋白質が少量しか発現していないからである。

【0061】
この場合、どの程度多量にこれらのアルブミン、C/EBPα、CYPA1/A2およびAFPからなる群から選ばれる1種以上の蛋白質が発現していれば間葉系幹細胞を肝細胞に分化誘導すると判断すべきかが問題になるが、例えば、これらの発現量が候補物質による処理後の間葉系幹細胞で所定の閾値を超えていれば、候補物質が間葉系幹細胞を肝細胞に分化誘導すると判定することができる。一方、これらの発現量が所定の閾値を下回れば、候補物質が間葉系幹細胞を肝細胞に分化誘導する性質を有さないと判定することができる。この閾値は、例えば処理前の間葉系幹細胞の発現量のアルブミン、C/EBPα、CYPA1/A2およびAFPのそれぞれの平均値の1.5倍以上に設定してもよく、2倍以上に設定してもよく、5倍以上に設定してもよく、10倍以上に設定してもよい。また、この閾値は、例えば処理前の間葉系幹細胞の発現量のアルブミン、C/EBPα、CYPA1/A2およびAFPのそれぞれの平均値よりも標準偏差の2倍以上大きい場合に設定してもよく、標準偏差の5倍以上大きい場合に設定してもよく、標準偏差の10倍以上大きい場合に設定してもよい。

【0062】
あるいは、候補物質で処理された間葉系幹細胞におけるアルブミン、C/EBPα、CYPA1/A2およびAFPのいずれかの発現量が、例えば処理前の間葉系幹細胞の発現量に比べて有意差が認められるほど大きいかどうかで判定してもよい。有意差があるかどうかの判定としては、例えば母集団が正規分布に従うと仮定できる場合にはパラメトリック検定であるスチューデントのt検定(Student’s t-test)において有意差があれば好ましい。すなわち、スチューデントのt検定において片側検定でp<0.05となればよく、より好ましくは片側検定でp<0.03となればよく、最も好ましくは片側検定でp<0.01となればよい。なお、スチューデントのt検定は特に片側検定に限定するわけではなく、両側検定で行っても良い。さらに、母集団が正規分布に従うと仮定できない場合には、ノンパラメトリック検定として、マン・ホイットニーのU検定などを行って有意差の有無を検定してもよい。

【0063】
また、本実施形態において、分化誘導剤の候補物質である有機低分子量化合物が、間葉系幹細胞を肝細胞に分化誘導する性質を有するかどうか判断するには、間葉系幹細胞におけるグリコーゲン生産能または尿素合成能を増強するかどうかが別の重要な指標となる。なぜなら、一般的には、肝細胞ではこれらのグリコーゲン生産能または尿素合成能が増強yされているのに対して、間葉系幹細胞ではこれらのグリコーゲン生産能または尿素合成能が増強されていないからである。この場合、どの程度これらのグリコーゲン生産能または尿素合成能が増強されていれば間葉系幹細胞を肝細胞に分化誘導すると判断すべきかが問題になるが、例えば、上記のアルブミン、C/EBPα、CYPA1/A2およびAFPのいずれかの発現量による判断の場合と同様の方法を用いて閾値または有意差によって判断することができる。

【0064】
<間葉系幹細胞から肝細胞を生産する方法>
本実施形態に係るから肝細胞を生産する方法は、間葉系幹細胞を上記の分化誘導剤で処理する工程を含む、生産方法である。この方法によれば、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いるので、蛋白製剤や核酸製剤に比べ安定性・安全性などの面で優れており、間葉系幹細胞から肝細胞への分化誘導を効率よく安全に行うことができる。

【0065】
この場合、どのような条件で処理すればよいかが問題になるが、処理時間については、後述する実施例で実証されているように、間葉系幹細胞を分化誘導剤で8日以上処理する工程を含むことが好ましい。なぜなら、間葉系幹細胞から肝細胞への分化は生物的なプロセスであるため、細胞内での各種分子生物学的変化が進行するのにその程度の期間がかかってしまうからである。このとき、本実施形態にかかる分化誘導剤は有機低分子量化合物であるため安定性に優れているので、8日以上という長期にわたる処理において分解されてしまう可能性は低い。しかしながら、間葉系幹細胞の生存・増殖・変化に必要な栄養素を供給するためには培地を適宜交換することが好ましく、その際には新しく交換される培地にも交換前の培地と同程度の有機低分子量化合物を添加しておくことが好ましい。また、処理温度についても、本実施形態にかかる分化誘導剤は有機低分子量化合物であるため安定性に優れているので、温度の高低によって分解されてしまう可能性は低い。しかしながら、間葉系幹細胞の生存・増殖・変化に必要な環境を維持するためには培地を哺乳動物細胞の生存に適した温度にすることが好ましく、具体的には20~45℃の範囲内にしておくことがよく、特に30~40℃の間に維持することが好ましく、36~38℃前後に設定することが最も好ましい。

【0066】
この場合、間葉系幹細胞の培養方法は特に限定されないが、例えば温度感受性細胞シートなどの上で哺乳動物細胞の生存に適した培地中で有機低分子量化合物に接触されることが好ましい。例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle modeium;DMEM)やヒト間葉系幹細胞専用培地(Mesenchymal Stem Cell Basal Medium;MSCBM)などの培地を好適に用いることができる。

【0067】
その際、温度感受性細胞シートとしては、温度応答性ポリマー(PIPAAmなど)やメチルセルロースを表面に重合させた培養皿などを用いることが好ましい。なぜなら、温度を低下させるのみで細胞に損傷を与えることなく、かつ細胞間の接着を保ったまま回収することが可能だからである。

【0068】
<再生医療上の用途>
このようにして分化誘導された肝細胞は、肝細胞移植などの移植医療、薬の薬効や副作用を評価する創薬などの用途に好適に用いることができる。また、この肝細胞は、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いて間葉系幹細胞から分化誘導されるので、蛋白製剤や核酸製剤を用いて分化誘導される場合に比べ製造時の安定性・安全性などの面で優れている。

【0069】
また、このようにして分化誘導された肝細胞は、温度感受性培養皿やポリ-乳酸(PLA)、ポリエチレングリコール酸(PGA)などの生分解性合成ポリマーを使用した合成ポリマースキャフォールドなどの基材を用いて所望の形態に成長させて再生医療用の肝組織または肝臓としても用いることができる。このようにして立体構造を形成された再生医療用の肝組織または肝臓は、肝細胞移植などの移植医療、薬の薬効や副作用を評価する創薬などの用途に好適に用いることができる。また、この肝組織または肝臓は、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いて間葉系幹細胞から分化誘導されるので、蛋白製剤や核酸製剤を用いて分化誘導される場合に比べ製造時の安定性・安全性などの面で優れている。

【0070】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0072】
本実施例では、Wnt/β-catenin経路抑制性低分子化合物のヒト間葉系幹細胞へ及ぼす効果について、2種類の細胞(骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)、臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞))をヘキサクロロフェン、ケルセチン、イオノマイシン、PKF-115-584の4種類の低分子化合物で処理した場合について(1)増殖能(毒性)の検討、(2)Wnt/β-catenin経路抑制能の検討、(3)肝細胞分化能の検討を検討項目とした。
【実施例】
【0073】
<実施例1>
Luciferase発現ベクター安定導入株の構築(UE7T-13)
図1は、β-catenin/TCF4/ルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定発現するヒト間葉系幹細胞の樹立方法について説明するための概念図である。図1に示すように、Luciferase発現ベクターを用いてpTCF4-CMVpro-GL4.20プラスミドを構築した。TCF4-CMVpro-GL4.20プラスミドは、3回繰り返しのTCF4配列CCTTTGATCをCMVプロモーターの上流に含み、luciferaseを発現する。また、pCMVpro-GL4.20プラスミドをコントロールとして構築した。得られたプラスミドをそれぞれ線状化し、UE7T-13にエレクトロポレーションによって導入し、培地中に加えたPuromycin(0.25μg/ml)によって選別した。Puromycin耐性の細胞はクローン化し、luciferaseアッセイに用いることにした。
【実施例】
【0074】
<実施例2>
ヘキサクロロフェンによる分化誘導
本発明者らは、骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)をヘキサクロロフェンで処理した場合について(1)増殖能(毒性)の検討、(2)Wnt/β-catenin経路抑制能の検討、(3)肝細胞分化能の検討を検討項目とした。
【実施例】
【0075】
(1)増殖能(毒性)の検討(MTTアッセイ(UE7T-13))
ヒト間葉系幹細胞株UE7T-13を細胞密度が9.0x10cells/cmになるように96well plate(底面積:0.3cm)に播種し、10%ウシ胎児血清(FBS,JRH Biosciences,INC)、100U/ml penicillin、100ug/ml streptomycin(Nacalai Tesque)を含むDulbecco’s Modified Eagle’s Medium (DMEM,ニッスイ)にて培養した。この時点をday0とする。翌日(day1)、ヘキサクロロフェンなどの低分子化合物を含むDMEMにメディウムチェンジした。以降、day2、day4、day8にTetraColor one(生化学工業)を用いて測定を行い、UE7T-13の細胞増殖への影響を検討した。培養液に含まれるDMSOは、終濃度が0.1%となるようにした。
【実施例】
【0076】
骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)をヘキサクロロフェンで処理した場合の結果を図2に示す。図2は、ヘキサクロロフェンによるWnt/β-catenin活性への影響を説明するためのグラフである。ヘキサクロロフェンで処理した場合には骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)の増殖が有意に抑制されたが、増殖能自体は抑制された状態ではあるが維持されていた。すなわち、ヘキサクロロフェンによる骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)への細胞毒性は十分に低く、分化誘導剤として使用可能な水準であることが判明した。特に、2μMでのヘキサクロロフェンによる骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)への細胞毒性は非常に低いことが判明した。
【実施例】
【0077】
(2)Wnt/β-catenin経路抑制能の検討(Luciferaseアッセイ(UE7T-13))
24well plateにLuciferase発現ベクター安定導入株を播種し、37℃で培養した。翌日、MTTアッセイの結果から細胞増殖に影響の無い濃度のヘキサクロロフェンなどの低分子化合物を含むメディウムに交換し、37℃で培養した。その後、1,4,8日後にluciferase活性をLuciferase Assay System(Promega)を使用し、556nmの波長を蛍光プレートリーダー(ARVIO)で測定した。
【実施例】
【0078】
骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)をヘキサクロロフェンで処理した場合の結果を図2に示す。その結果、pTCF4-CMVルシフェラーゼプラスミドによるレポーターアッセイにより、0.8μMでのヘキサクロロフェンによる骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)を処理すると、ヘキサクロロフェン処理8日後にはWnt/β-cateninシグナルは有意に抑制されていることを確認した。
【実施例】
【0079】
(3)肝細胞分化能の検討
(3-1) 分化誘導(UE7T-13)
6well plateに細胞密度が9.0x10cells/cmになるように播種し、37℃で24時間培養した。24時間後に、Luciferaseアッセイにより検討した濃度のヘキサクロロフェンなどの低分子化合物を含むメディウムに交換した。以降、週に2回培地交換し、週に1回継代して細胞数を9.0x10cells/cmに調整した。誘導開始から8、16、24日目にTotal RNAを回収した。
【実施例】
【0080】
(3-2) Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction(UE7T-13)
Total RNAは、TRIzol試薬で抽出した。抽出後、DNAを完全に除くため、Deoxyribonucleaseを加えて37℃で1時間インキュベートした。逆転写反応には、SuperScript First-Stand Synthesis System for RT-PCR(Invitrogen)を使用し、1μgのRNAをOligo dT PrimerにてcDNAへ変換した。PCRには、cDNAを5倍希釈し、そのうち1μlを使用した。PCR反応には、Taq DNA polymerase,recombinat(Invitrogen)を使用した。ヒトアルブミンのプライマーは、5’-TTGGAAAAATCCCACTGCAT-3’(配列番号:1)と5’-CTCCAAGCTGCTCAAAAAGC-3’(配列番号:2)を用いた。PCR反応は、95℃2分で1サイクル、95℃30秒、58℃30秒、72℃30秒で35サイクル施行した。内部対照としてヒトglyceradehyde 3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)を用いた。GAPDHプライマーは、5’-GTCTTCTCCACCATGGAGAAGGCT-3’(配列番号:3)と5’-CATGCCAGTGAGCTTCCCGTTCA-3’(配列番号:4)を用いた。PCR反応は、95℃2分で1サイクル、95℃30秒、60℃30秒、72℃30秒で20サイクル施行した。PCR産物は、エチジウムブロマイドの入った2%アガロースゲルで30分間電気泳動し、トランスイルミネ—ターを用いて写真を撮った。
【実施例】
【0081】
図3は、ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導について説明するための電気泳動写真である。ヘキサクロロフェンによる処理の結果、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミン、AFP、GS、CYP1A1、TDO2などのマーカーの発現量がいずれもコントロールにくらべて明らかに増大していた。
【実施例】
【0082】
(3-3)Immunocytochemistry(UE7T-13)
6well plateに70% EtOHで滅菌したカバーガラス(22x22mm,MATSUNAMI)を入れ、その上に細胞を播種し、ヘキサクロロフェンなどの低分子化合物を含む培地で培養した。培養開始から8,16,24日後にPBSで2回洗浄した後、4%パラホルムアルデヒド/PBSで細胞を20分間処理してカバーガラスに固定した。その後、0.2% Triton X-100で10分間透過処理した。3% BSA/PBSで30分間処理してブロッキングした。一次抗体としてanti-albumin antibody, anti-C/EBP antibody, anti-AFP antibody, anti-CYP1A1 antibodyを用い、4℃で一晩インキュベートした。次に、二次抗体としてAlexa Fluoro 488 goat anti-mouse antibody、Alexa Fluoro 594 goat anti-rabbit antibodyを用い、室温で1時間インキュベートした。核染色にDAPIを用いた。カバーガラスをPBSで希釈した50% glycerolで封入し、共焦点レーザー顕微鏡下で観察した。0.1% DMSOで培養した細胞をコントロールとした。
【実施例】
【0083】
図4は、ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導(day8)について説明するための蛍光顕微鏡写真である。ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導を行った結果、ヘキサクロロフェンによる処理8日後には、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミン、C/EBPα、AFP、CYP1A1、TDO2などのマーカーの発現量がいずれもネガティブコントロール(0.1%DMSO)にくらべて明らかに増大して、ポジティブコントロール(肝癌細胞のHuH7)に近い量になっていた。図5は、ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導(day16)について説明するための蛍光顕微鏡写真である。ヘキサクロロフェンによる処理16日後についても、同様の結果を得た。
【実施例】
【0084】
(3-4)Periodic Acid-Schiff(PAS)染色(UE7T-13)
6well plateに70% EtOHで滅菌したカバーガラス(22x22mm,MATSUNAMI)を入れ、その上に細胞を播種し、ヘキサクロロフェンなどの低分子化合物を含む培地で培養した。培養開始から8,16,24日後にPBSで2回洗浄した後、4%パラホルムアルデヒド/PBSで細胞を20分間処理してカバーガラスに固定した。陰性対照として、10mg/mlのα-アミラーゼ(10mg/ml,0.1M リン酸緩衝液,pH6.8)で1時間、37℃でインキュベートしてグリコーゲンを消化した。1%過ヨウ素酸水溶液で10分間酸化処理した後、Schiff試薬で15分間処理してグリコーゲンを染色し、亜硫酸水溶液で3回、蒸留水で3回洗浄した。Mayer’s hematoxylinで核染色した後、カバーガラスをPBSで希釈した50% glycerolで封入し、光学顕微鏡下で観察した。0.1% DMSOで培養した細胞をコントロールとした。
【実施例】
【0085】
図6は、ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導能(PAS染色)について説明するための顕微鏡写真である。ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導能(PAS染色)を行った結果、細胞内のグリコーゲンの蓄積量がいずれもネガティブコントロール(0.1%DMSO)にくらべて明らかに増大して、ポジティブコントロール(肝癌細胞のHuH7)と同等になっていた。
【実施例】
【0086】
図7は、ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導能について説明するためのグラフである。図4、図5、図6の結果を定量化したうえで図7にまとめて示すが、ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導能(PAS染色)を行った結果、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミン、C/EBPα、CYP1A1などのマーカーの発現量がいずれもネガティブコントロール(0.1%DMSO)にくらべて明らかに増大して、ポジティブコントロール(肝癌細胞のHuH7)と同等になっていることにくわえて、ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導能(PAS染色)を行った結果、細胞内のグリコーゲンの蓄積量がいずれもネガティブコントロール(0.1%DMSO)にくらべて明らかに増大して、ポジティブコントロール(肝癌細胞のHuH7)と同等になっていることがわかる。これは、単に肝細胞マーカーを有するのみでなく、機能性肝機能としての能力をもつことを示している。
【実施例】
【0087】
(3-5)Ureaアッセイ(UE7T-13)
細胞を24well plateに播種し、ヘキサクロロフェンなどの低分子化合物を含む培地で培養した。メディウムに塩化アンモニウム(終濃度5mM)を加え、48,72,96時間培養後にメディウム中の尿素量をQuantiChrom Urea Assay Kit(BioAssay Systems)を使用し、520nmの波長を蛍光プレートリーダー(TECAN)を用いて測定した。
【実施例】
【0088】
図8は、ヘキサクロロフェンによる分化誘導サンプルの尿素合成能(day8)について説明するためのグラフである。ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導能(尿素合成能測定)を8日間行った結果、細胞の尿素合成能がいずれもネガティブコントロール(0.1%DMSO)にくらべて明らかに増大して、ポジティブコントロール(肝癌細胞のHepG2)と同等になっていることがわかる。図9は、ヘキサクロロフェンによる分化誘導サンプルの尿素合成能(day16)について説明するためのグラフである。ヘキサクロロフェンによる肝細胞分化誘導能(尿素合成能測定)を16日間行った場合にも同様の結果が得られている。これは、単に肝細胞マーカーを有するのみでなく、機能性肝機能としての能力をもつことを示している。
【実施例】
【0089】
<実施例3>
ケルセチンによる分化誘導
本発明者らは、2種類の細胞(骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)、臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞))をケルセチンで処理した場合について(1)増殖能(毒性)の検討、(2)Wnt/β-catenin経路抑制能の検討、(3)肝細胞分化能の検討を検討項目とした。なお、実施例2のヘキサクロロフェンでの実験と同様の点については説明の煩雑を避けるために省略している。
【実施例】
【0090】
増殖能(毒性)の検討
(1-1)骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)の場合
図10は、ケルセチンによるWnt/β-catenin活性への影響(UE7T-13)について説明するためのグラフである。なお、実験方法は実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。ケルセチンで処理した場合にも骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)の増殖が有意に抑制されたが、増殖能自体は抑制された状態ではあるが維持されていた。すなわち、ケルセチンによる骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)への細胞毒性は十分に低く、分化誘導剤として使用可能な水準であることが判明した。特に、5μMでのケルセチンによる骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)への細胞毒性は非常に低いことが判明した。
【実施例】
【0091】
(1-2)MTTアッセイ (UCBTERT-21)
ヒト臍帯血由来間葉系幹細胞株UCBTERT-21を細胞密度が2.0x10cells/cmになるように96well plate(底面積:0.3cm)に播種し、10%ウシ胎児血清(FBS,JRH Biosciences,INC)を含むMSCGM(三光純薬)にて培養した。この時点をday0とする。翌日(day1)、ケルセチンなどの低分子化合物を含むDMEMにメディウムチェンジした。以降、day2、day4、day8にTetraColor one(生化学工業)を用いて測定を行い、UCBTERT-21の細胞増殖への影響を検討した。培養液に含まれるDMSOは、終濃度が0.1%となるようにした。
【実施例】
【0092】
図12は、ケルセチンによる細胞増殖能への影響(UCBTERT-21)について説明するためのグラフである。ケルセチンで処理した場合にも臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞)の増殖が有意に抑制されたが、増殖能自体は抑制された状態ではあるが維持されていた。すなわち、ケルセチンによる臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞)への細胞毒性は十分に低く、分化誘導剤として使用可能な水準であることが判明した。特に、6μMでのケルセチンによる臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞)への細胞毒性は非常に低いことが判明した。
【実施例】
【0093】
(2)Wnt/β-catenin経路抑制能の検討
(2-1)骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)の場合
図10は、ケルセチンによるWnt/β-catenin活性への影響(UE7T-13)について説明するためのグラフである。なお、実験方法は実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。TCF4-CMVルシフェラーゼプラスミドによるレポーターアッセイにより、1μMでのケルセチンによる骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)を処理するとケルセチン処理8日後にはWnt/β-cateninシグナルは有意に抑制されていることを確認した。
【実施例】
【0094】
(2-2)Luciferaseアッセイ(UCBTERT-21)
24well plateにUCBTERT-21を細胞密度が2.0x10cells/cmになるように播種し、37℃で24時間培養した。翌日、MTTアッセイの結果から細胞増殖に影響の無い濃度のケルセチンなどの低分子化合物を含むメディウムに交換し、37℃で培養した。その後、1,4,8日後にレポーター遺伝子をトランスフェクションした。トランスフェクションにはFugene6 Transfection Rreagent(Roche)を用いた。さらに24時間後に、luciferase活性をDual Luciferase Assay System(Promega)を使用してルシフェラーゼ活性を測定した。
【実施例】
【0095】
図12は、ケルセチンによるWnt/β-catenin活性への影響について説明するためのグラフである。ケルセチンで処理した場合にも臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞)の増殖が有意に抑制されたが、増殖能自体は抑制された状態ではあるが維持されていた。すなわち、ケルセチンによる臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞)への細胞毒性は十分に低く、分化誘導剤として使用可能な水準であることが判明した。特に、5μMでのケルセチンによる臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞)への細胞毒性は非常に低いことが判明した。また、pTCF4-CMVルシフェラーゼプラスミドによるレポーターアッセイにより、1μMでのケルセチンによる臍帯血由来細胞(UCBTERT-21細胞)を処理するとケルセチン処理8日後にはWnt/β-cateninシグナルは有意に抑制されていることを確認した。
【実施例】
【0096】
(3)肝細胞分化能の検討
(3-1)骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)の場合
図11は、ケルセチンによる肝細胞分化誘導能(UE7T-13)について説明するための電気泳動写真である。なお、実験方法は実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。ケルセチンによる処理の結果、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミンの発現量がいずれもコントロールにくらべて明らかに増大していた。
(3-2)分化誘導(UCBTERT-21)
6well plateに細胞密度が2.0x10cells/cmになるように播種し、37℃で24時間培養した。24時間後に、Luciferaseアッセイにより検討した濃度のケルセチンなどの低分子化合物を含むメディウムに交換した。以降、週に2回培地交換し、週に1回継代して細胞数を2.0x10cells/cmに調整した。誘導開始から8、16、24日目にTotal RNAを回収した。
【実施例】
【0097】
(3-3)Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction(UCBTERT-21)
Total RNAは、RNeasy Micro Kit(QIAGEN)を用いて抽出した。逆転写反応には、SuperScript First-Stand Synthesis System for RT-PCR(Invitrogen)を使用し、0.5μgのRNAをOligo dT PrimerにてcDNAへ変換した。PCRには、cDNAを5倍希釈し、そのうち1μlを使用した。PCR反応には、Taq DNA polymerase,recombinat(Invitrogen)を使用した。ヒトアルブミンのプライマーは、5’-TTGGAAAAATCCCACTGCAT-3’(配列番号:5)と5’-CTCCAAGCTGCTCAAAAAGC-3’(配列番号:6)を用いた。PCR反応は、95℃2分で1サイクル、95℃30秒、58℃30秒、72℃30秒で35サイクル施行した。内部対照としてヒトglyceradehyde 3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)を用いた。GAPDHプライマーは、5’-GTCTTCTCCACCATGGAGAAGGCT-3’(配列番号:7)と5’-CATGCCAGTGAGCTTCCCGTTCA-3’(配列番号:8)を用いた。PCR反応は、95℃2分で1サイクル、95℃30秒、60℃30秒、72℃30秒で20サイクル施行した。PCR産物は、エチジウムブロマイドの入った2%アガロースゲルで30分間電気泳動し、トランスイルミネ—ターを用いて写真を撮った。
【実施例】
【0098】
図13は、ケルセチンによる肝細胞分化誘導能(UCBTERT細胞)について説明するための電気泳動写真である。ケルセチンによる処理の結果、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミン、AFP、GS、CYP1A1、TDO2などのマーカーの発現量がいずれもコントロールにくらべて明らかに増大していた。図14は、ケルセチンによる肝細胞分化誘導能(UCBTERT細胞)について説明するための電気泳動写真である。ケルセチンによる処理の結果、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミン、EpCAMの発現量がコントロールにくらべて明らかに増大していた。
【実施例】
【0099】
(3-4)Immunocytochemistry(UCBTERT-21)
図15は、ケルセチンによる肝細胞分化誘導(day24)について説明するための蛍光顕微鏡写真である。なお、実験方法はUE7T-13およびUCBTERT-21で共通であり、実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。ケルセチンによる肝細胞分化誘導を行った結果、ケルセチンによる処理24日後には、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミン、C/EBPαなどのマーカーの発現量がいずれもネガティブコントロール(0.1%DMSO)にくらべて明らかに増大して、ポジティブコントロール(肝癌細胞のHuH7)に近い量になっていた。図16は、ケルセチンによる肝細胞分化誘導について説明するためのグラフである。図15の結果を定量化して示すと、ケルセチンによる処理24日後には、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミン、C/EBPαなどのマーカーの発現量がいずれもネガティブコントロール(0.1%DMSO)にくらべて明らかに増大していた。
【実施例】
【0100】
(3-5)Ureaアッセイ(UCBTERT-21)
図17は、ケロセチンによる分化誘導サンプルの尿素合成能(day24)について説明するためのグラフである。なお、実験方法はUE7T-13およびUCBTERT-21で共通であり、実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。ケロセチンによる肝細胞分化誘導能(尿素合成能測定)を24日間行った結果、尿素合成時間が48時間、ケロセチン投与量が5μMの条件では、細胞の尿素合成能がネガティブコントロール(0.1%DMSO)にくらべて有意に増大して、ポジティブコントロール(肝癌細胞のHepG2)と同等になっていることがわかる。これは、単に肝細胞マーカーを有するのみでなく、機能性肝機能としての能力をもつことを示している。
【実施例】
【0101】
<実施例4>
イオノマイシンによる分化誘導
本発明者らは、骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)をイオノマイシンで処理した場合について(1)増殖能(毒性)の検討、(2)Wnt/β-catenin経路抑制能の検討、(3)肝細胞分化能の検討を検討項目とした。なお、実施例2のヘキサクロロフェンまたは実施例3のケルセチンでの実験と同様の点については説明の煩雑を避けるために省略している。
【実施例】
【0102】
(1)増殖能(毒性)の検討
図18は、イオノマイシンによる細胞増殖能への影響(UE7T-13)について説明するためのグラフである。なお、実験方法は実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。イオノマイシンで処理した場合にも骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)の増殖が有意に抑制されたが、増殖能自体は抑制された状態ではあるが維持されていた。すなわち、イオノマイシンによる骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)への細胞毒性は十分に低く、分化誘導剤として使用可能な水準であることが判明した。特に、0.1μMでのイオノマイシンによる骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)への細胞毒性は非常に低いことが判明した。
【実施例】
【0103】
(2)Wnt/β-catenin経路抑制能の検討
図18は、イオノマイシンによるWnt/β-catenin活性への影響(UE7T-13)について説明するためのグラフである。なお、実験方法は実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。TCF4-CMVルシフェラーゼプラスミドによるレポーターアッセイにより、0.01μMでのイオノマイシンによる骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)を処理するとイオノマイシン処理8日後にはWnt/β-cateninシグナルは有意に抑制されていることを確認した。
【実施例】
【0104】
(3)肝細胞分化能の検討
図11は、イオノマイシンによる肝細胞分化誘導能(UE7T-13)について説明するための電気泳動写真である。なお、実験方法は実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。イオノマイシンによる処理の結果、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミンの発現量がいずれもコントロールにくらべて明らかに増大していた。
【実施例】
【0105】
<実施例5>
PKF-115-584による分化誘導
本発明者らは、骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)をPKF-115-584で処理した場合について(1)増殖能(毒性)の検討、(2)Wnt/β-catenin経路抑制能の検討、(3)肝細胞分化能の検討を検討項目とした。なお、実施例2のヘキサクロロフェン、実施例3のケルセチンまたは実施例4のイオノマイシンでの実験と同様の点については説明の煩雑を避けるために省略している。
【実施例】
【0106】
(1)増殖能(毒性)の検討
図19は、PKF-115-584による増殖能への影響(UE7T-13)について説明するためのグラフである。なお、実験方法は実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。PKF-115-584で処理した場合にも骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)の増殖が有意に抑制されたが、増殖能自体は抑制された状態ではあるが維持されていた。すなわち、PKF-115-584による骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)への細胞毒性は十分に低く、分化誘導剤として使用可能な水準であることが判明した。特に、5nMでのPKF-115-584による骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)への細胞毒性は非常に低いことが判明した。
【実施例】
【0107】
(2)Wnt/β-catenin経路抑制能の検討
図19は、PKF-115-584によるWnt/β-catenin活性への影響(UE7T-13)について説明するためのグラフである。なお、実験方法は実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。TCF4-CMVルシフェラーゼプラスミドによるレポーターアッセイにより、3nMでのPKF-115-584による骨髄由来細胞(UE7T-13細胞)を処理するとPKF-115-584処理8日後にはWnt/β-cateninシグナルは有意に抑制されていることを確認した。
【実施例】
【0108】
(3)肝細胞分化能の検討
図20は、PKF-115-584による肝細胞分化誘導能(UE7T-13)について説明するための電気泳動写真である。なお、実験方法は実施例2で既に説明したので繰り返さず結果のみ説明する。PKF-115-584による処理の結果、肝細胞への分化誘導の代表的なマーカーであるアルブミン、AFPの発現量がいずれもコントロールにくらべて明らかに増大していた。
【実施例】
【0109】
<結果の考察>
上記の実施例の実験結果から、本発明者らは、Wnt/β-カテニン経路を抑制する有機低分子量化合物を用いてヒト間葉系幹細胞を機能性肝細胞へ分化誘導可能であることを明らかにした。つまり、肝再生医療の実現化に向けて、間葉系幹細胞は肝再生医療の細胞ソースとして有用であり、さらに分化誘導時に有機低分子量化合物によるWnt/β-cateninシグナルの抑制が有効であることを明らかにした。これらは、真に臨床応用可能な肝再生医療の開発をしていく上で重要な知見であり、今後さらなる研究の進展が必要である。
【実施例】
【0110】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【実施例】
【0111】
たとえば、上記実施例では、4種類の有機低分子化合物に限定して説明したが、その他のWnt/β-cateninシグナルの抑制能を有する有機低分子化合物を用いてもよい。この場合にも、既に4種類の有機低分子化合物によって間葉系幹細胞を幹細胞に分化誘導できることが示されているので、当業者であればその他のWnt/β-cateninシグナルの抑制能を有する有機低分子化合物でも同様に間葉系幹細胞を幹細胞に分化誘導できることを理解できる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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