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明細書 :金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法並びにそれを用いた半導体集積回路装置の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5747406号 (P5747406)
公開番号 特開2012-163392 (P2012-163392A)
登録日 平成27年5月22日(2015.5.22)
発行日 平成27年7月15日(2015.7.15)
公開日 平成24年8月30日(2012.8.30)
発明の名称または考案の名称 金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法並びにそれを用いた半導体集積回路装置の製造方法
国際特許分類 G01N  23/20        (2006.01)
H01L  21/66        (2006.01)
H01L  21/3205      (2006.01)
H01L  21/768       (2006.01)
H01L  23/522       (2006.01)
FI G01N 23/20
H01L 21/66 N
H01L 21/88 S
請求項の数または発明の数 4
全頁数 13
出願番号 特願2011-022414 (P2011-022414)
出願日 平成23年2月4日(2011.2.4)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成22年9月26日 社団法人日本金属学会主催の「日本金属学会 2010年秋期(第147回)大会」において文書をもって発表
審査請求日 平成26年1月20日(2014.1.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
発明者または考案者 【氏名】稲見 隆
【氏名】大貫 仁
個別代理人の代理人 【識別番号】100074631、【弁理士】、【氏名又は名称】高田 幸彦
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 特開2008-270250(JP,A)
井田隆,「粉末X線回折ピーク形状における有限な結晶サイズの効果」,名古屋工業大学 セラミックス基盤工学研究センター年報,2004年 3月31日,Vol.3,p.23-35
井田隆,粉末回折法の使い方(5) -物質の同定と定性分析,データベースの利用-,Journal of Flux Growth,2010年12月,Vol.5 No.2,pp.48-
井田隆,回折ピーク形状分析による粒度分布評価,セラミックス,2008年11月 1日,Vol.43 No.11,pp.917-921
調査した分野 G01N 23/00-23/227
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
多数個の領域に区分され、区分された領域が素子チップ領域及びモニターチップ領域となり、少なくとも前記素子チップ領域にはpn接合が形成された半導体ウエハを準備する工程、
前記半導体ウエハの前記素子チップ領域上に絶縁膜と結晶組織を有し特定の面方位においてX線回折ピークを持つ金属からなる配線層を交互に成膜し、前記モニターチップ領域上に前記絶縁膜と前記金属層を必要数成膜する工程、
前記半導体ウエハの前記モニターチップ領域上に形成された前記金属層にX線を照射して得られるX線回折ピークから前記金属層の結晶粒径及び粒径分布を評価する工程、を備え、
前記結晶粒径及び粒径分布を評価する工程が、前記金属層にX線を照射して回折ピークを入手する第1のステップと、前記回折ピークに基づいて面積平均コラム長及び体積平均コラム長を求める第2のステップと、前記面積平均コラム長及び前記体積平均コラム長から結晶粒径の対数正規分布を求める第3のステップと、から成る、
ことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属層がアルミニウム、銅又はそれらを主成分とする合金から選ばれた金属である、
ことを特徴とする請求項記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項3】
前記モニターチップ領域上に形成される前記金属層は前記素子チップ領域上に形成される前記金属層と同じ工程で形成され、前記モニターチップ領域の単位面積当たりの金属層の総質量が銅配線の場合は9×10-6g/cm2以上であり、アルミニウム配線の場合は3.6×10-5g/cm2以上である、
ことを特徴とする請求項又は記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項4】
前記金属層は前記絶縁膜に形成された幅100nm以下のトレンチに形成された配線層である、
ことを特徴とする請求項又は記載の半導体集積回路装置の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は配線導体として広く使用される金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法並びにそれを用いた半導体集積回路装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置はムーアの法則で言われている3年で集積度が4倍になるというハイスピードで高集積度化が進められている。この集積度向上のための目安になっているのが国際半導体技術ロードマップ(International Technology Roadmap for Semiconductor)で、2007年版(ITRS 2007 Edition)のMPU(Micro Processing Unit)の配線を例に挙げると、集積度を向上するために配線幅の目標値が2007年は68nm、2010年は45nm、2013年は32nm、2015年は25nm、2018年は18nmとなっており、高速動作を確保するために抵抗率の目標値は夫々3.43μΩcm、4.08μΩcm、4.83μΩcm、5.58μΩcm、6.70μΩcmとなっている。
【0003】
このように半導体集積回路装置における配線幅の減少に伴いその抵抗が増加し、動作特性特に動作速度が大きく低下する。抵抗増加の原因としては、配線の通電断面積の減少と配線内の結晶粒径の微細化が考えられ、抵抗低減のために結晶粒の粗大化が検討されている。このため、配線内の平均粒径及び粒径分布の評価が重要になり、容易で正確な評価方法が求められている。配線内の粒径分布の評価方法として、集束イオンビーム式断面加工装置により配線層の一部に断面を形成し、これを走査型電子顕微鏡で観察する方法(特許文献1)、半導体チップ上に設けた被測定用配線に電流密度の異なる電流を複数回印加し、電圧モニターにより配線の電圧を測定して抵抗増加量を求め、電流密度及び抵抗増加量に基づいて平均グレインサイズを求める方法(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平4-284641号
【特許文献2】特開平9-210939号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案されている方法では、走査型電子顕微鏡で観察するための試料作製に集束イオンビームを用いた微細配線の切断・研磨など高度な加工技術が必要になること、試料の作製・観察に多くの時間が費やされること、この方法では配線の一部が観察されるのみで配線全体の平均的な評価ができないこと、評価のために製造ラインから取り出す必要があること等の問題がある。
【0006】
特許文献2で提案されている方法では、予めグレインサイズの異なる配線材について電流密度と抵抗増加量との関係を準備する必要があり、事前準備に多大の時間と手数を要すること、半導体チップ上に形成した被測定用配線と事前に準備した配線材が同一のプロセスで作製されたものでないため、測定精度に問題があること、被測定用配線に異なる電流密度の電流を流すために、製造ラインを一時停止するか、半導体チップを製造ラインから取り出す必要があること等の問題がある。
【0007】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解消した金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法並びにそれを用いた半導体集積回路装置の製造方法を提供することにある。
本発明の目的を具体的に言えば、非破壊かつオンラインで金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法並びにそれを用いた半導体集積回路装置の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は実施例の設明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法の特徴とするところは、結晶組織を有し特定の面方位においてX線に対して回折ピークを持つ金属層にX線を照射して得られる回折ピークを入手する第1のステップと、回折ピークに基づいて面積平均コラム長及び体積平均コラム長を求める第2のステップと、面積平均コラム長及び体積平均コラム長から結晶粒径の対数正規分布を求める第3のステップとを具備する点にある。X線としては銅の管球を用いた銅Kα線を使用し、試料から得られる回折パターンに含まれる回折ピークKα1、Kα2からKα2を除去すると共に、回折装置に起因するピークの広がりを補正する処理をして評価精度を向上している。本発明は半導体集積回路装置の金属配線として使用されているアルミニウム、銅及びこれらを主成分とする合金が結晶組織を有しX線に対して回折ピークを持つことから、回折ピークを上述の工程で演算することにより、結晶粒径及び粒径分布を計測評価できることに着目してなされたものである。
【0009】
本発明金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法に適した金属層としては、X線回折の(111)方位及び(200)方位においてピークを持つ銅、アルミニウム及びそれらを主成分とする合金から選ばれた金属であることが望ましい。
【0010】
上記目的を達成する本発明半導体集積回路装置の製造方法の特徴とするところは、多数個の領域に区分され、区分された領域が素子チップ領域及びモニターチップ領域となり、少なくとも素子チップ領域にはpn接合が形成された半導体ウエハを準備する工程、半導体ウエハの素子チップ領域上に絶縁膜と結晶組織を有し特定の面方位においてX線回折ピークを持つ金属からなる配線層を交互に成膜し、モニターチップ領域上に絶縁膜と金属層を必要数成膜する工程、半導体ウエハのモニターチップ領域上に形成された金属層にX線を照射して得られるX線回折ピークから金属層の結晶粒径及び粒径分布を評価する工程を備え、結晶粒径及び粒径分布を評価する工程が、金属層にX線を照射して回折ピークを入手する第1のステップと、回折ピークに基づいて面積平均コラム長及び体積平均コラム長を求める第2のステップと、面積平均コラム長及び体積平均コラム長から結晶粒径の対数正規分布を求める第3のステップから成っている点にある。モニターチップ領域上に形成される絶縁膜と金属層は素子チップ領域上に形成される絶縁膜及び配線層と同じ材料を用いて同じプロセスで同じ寸法に形成されている。これによって、モニターチップ領域上に形成された金属層は配線層と同じ結晶粒径及び粒径分布を有するものとなり、モニターチップ領域上に形成された金属層を用いて配線層の結晶粒径及び粒径分布評価を高精度で実施できる。モニターチップとしては、素子チップ領域の第1層目の配線層を形成した第1のモニターチップ、第2層目の配線層を形成した第2のモニターチップというように、配線層毎にモニターチップを準備することが望ましい。
【0011】
上記目的を達成する本発明半導体集積回路装置の製造方法の他の特徴とするところは、モニターチップ領域上に形成される金属層は素子チップ領域上に形成される金属層と同じ工程で形成され、モニターチップ領域の単位面積当たりの金属層の総質量が銅配線の場合は9×10-6g/cm以上、アルミニウム配線の場合は3.6×10-5g/cm以上にした点にある。回折ピークの解析をするためには所定のピーク強度が必要であり、そのためにはX線強度を大きくする必要があるが、本発明では試料としての配線金属の総質量を一定値以上にすることにより、所定の解析ピークを得ることを見出した。それが、銅配線の場合は9×10-6g/cm以上であり、アルミニウム配線の場合は3.6×10-5g/cm以上である。配線の総質量を一定値以上にする手段は、同一絶縁層に形成する配線層の間隔を素子チップ領域とモニターチップ領域とで異ならせる、即ちモニターチップ領域の配線間隔を素子チップ領域のそれより狭くすることである。換言すれば、モニターチップ領域の配線数を素子チップ領域のそれより多くすることである。これによって、素子チップ領域とモニターチップ領域の配線幅及び配線厚を同じに形成しても、モニターチップ領域の配線を構成する金属層の総質量を一定値以上にできるのである。
【0012】
上記目的を達成する本発明半導体集積回路装置の製造方法の更に他の特徴とするところは、金属層が前記絶縁膜に形成された幅100nm以下のトレンチに形成された配線層である点にある。配線の深さ方向における粒径を評価する場合、配線幅が狭くなるほどTEM用試料として幅方向の研磨が難しくなることから、X線回折ピークを使用する非破壊で結晶粒径及び粒径分布を評価する本発明方法が優れている。また、線幅100nm以下の銅配線においては、抵抗増大の支配的な因子として結晶粒の大きさが考えられている。更に、結晶粒径の平均値よりも、銅における平均自由行程に近い40nm以下の大きさの結晶粒が存在する割合が抵抗増大に大きく影響することが報告されている。従って、銅配線の抵抗評価においては、線幅100nm以下では平均粒径だけではなく粒径分布を評価することが重要となる。これはアルミニウム配線についても言える。よって、本発明は線幅100nm以下の銅配線及びアルミニウム配線の結晶粒径及び粒径分布評価において効果を発揮するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、X線に対して回折ピークを持つ金属層にX線を照射して金属層からの回折ピークを入手し、回折ピークに基づいて結晶粒径の対数正規分布を演算することにより結晶粒径及び粒径分布を非破壊かつ短時間で正確に測定評価することができる。また、本発明は金属層の結晶粒径及び粒径分布を非破壊かつオンラインで短時間に評価できるので、半導体集積回路装置の製造ラインに適用することにより、所望の結晶粒径及び粒径分布を有する金属層を配線として備える半導体集積回路装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法を説明する概略工程図である。
【図2】銅配線層のX線回折パターンを示す図である。
【図3】A(L)とSbの関係を示す図である。
【図4】フーリエ係数の結晶子サイズの項As(L)とコラム長さLの関係を示す図である。
【図5】銅配線層の回折ピークから演算により得られた粒径分布図である。
【図6】本発明半導体集積回路装置の製造方法で使用する半導体ウエハの一実施例を示す概略平面図である。
【図7】図6の半導体ウエハの素子チップ領域上に形成された配線の状況を示す概略断面図である。
【図8】図6のモニターチップ領域上に形成された金属層の状況を示す概略断面図及び概略平面図である。
【図9】はモニターチップ領域の変形例を示す概略断面図である。
【図10】モニターチップ領域の異なる変形例を示す概略断面図である。
【図11】モニターチップ領域の単位面積当たりの銅の質量と回折ピーク強度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
半導体集積回路装置を製造する際に多数の素子チップ領域を形成する半導体ウエハに素子チップ領域と同じ寸法、材質、プロセスで製造した配線層を有するモニターチップ領域を少なくとも1個形成し、配線層の形成後にモニターチップ領域の配線層の結晶粒径及び粒径分布を評価する。配線層の結晶粒径及び粒径分布を評価する方法は、結晶組織を有し特定の面方位においてX線に対して回折ピークを持つ試料にX線を照射して得られる回折ピークを入手するステップ、回折ピークに基づいて面積平均コラム長及び体積平均コラム長を求めるステップ、面積平均コラム長及び体積平均コラム長から結晶粒径の対数正規分布を求めるステップからなっている。これによって、半導体集積回路装置を製造ライン上において、非破壊で配線層の結晶粒径及び粒径分布を評価でき、所望の結晶粒径及び粒径分布を有する配線層を備える半導体集積回路装置を製造することが出来る。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法を説明する概略工程図で、本発明の評価方法は、結晶組織を有し特定の面方位においてX線に対して回折ピークを持つ金属層にX線を照射して得られる回折ピークを入手するステップA、回折ピークに基づいて面積平均コラム長及び体積平均コラム長を求めるステップB、及び面積平均コラム長及び体積平均コラム長から結晶粒径の対数正規分布を求めるステップCから成っている。結晶粒は原子の結び付きで構成されたコラムの集合体で形成され、各コラムは様々の大きさを有している。各コラム領域の長さをその領域の面積を考慮して平均した値が面積平均コラム長、各コラム領域の長さをその領域の体積を考慮して平均した値が体積平均コラム長と称す。
【実施例1】
【0017】
ステップAを詳述するに、このステップAはX線ディフラクトメータにより銅Kα線(管電圧40kV、管電流40mA)を用いて例えば線幅100nmの銅配線膜の回折パターンを測定するステップである。銅配線層の回折パターンは図2に示すように、(111)配向が強いため(111)回折ピークと(222)回折ピークのみが観察される。(222)回折ピークについては回折強度が弱いため、計数時間を長くして測定する。銅Kα線はX線の生成メカニズムに基づき僅かにエネルギーの異なるKα1、Kα2と呼称される2種類のX線を持ち、回折ピークにもこれに対応する2種類のピークが含まれている。この回折ピークを使用するとプロファイルが左右対称にならず、装置によるピークの広がりを補正するStokes法における処理が複雑になる。これを避けるために、Rachingen法を用いて銅配線層の回折パターンからKα2線に起因するプロファイルを除き、Kα1線に起因するプロファイル(以下Kα1プロファイルと称す)のみを求める。図2はKα1プロファイルを示している。このステップAと同様の方法により、結晶粒が十分大きく歪の影響がない標準試料として、十分に焼鈍した高純度銅メッシュのKα1プロファイルを準備する。これは回折装置に依存するピークの広がりを除くために次ステップBにおいて使用される。
【実施例1】
【0018】
ステップBを詳述するに、先ず銅配線層及び標準試料の(111)及び(222)回折ピークのKα1プロファイルをフーリエ解析し、それぞれのピークについてコラム長さLに対するフーリエ係数A(L)を求める。Stokes法により回折装置によるピークの広がりを補正したA(L)は、補正した後、Warren-Averbach法により面積平均コラム長L(area)及び体積平均コラム長L(Vol)を算出する。フーリエ係数A(L)はの結晶子サイズの項As(L)と歪の項AD(L)の積として表される。
【数1】
JP0005747406B2_000002t.gif
ここで、両辺の対数をとると、歪の項の対数はlnAD(L)=-2πL2<εL2>Sb2として表され、数式(2)に整理される。
【数2】
JP0005747406B2_000003t.gif
ここで、εLはコラム長さ方向の歪(=ΔL/L)、Sb2=(h2+k2+l2)/a2、hklは面指数、aは格子定数である。
(111)及び(222)回折ピークについては、L=2.2~77.0Åにおける数式(2)の関係を図3に示す。それぞれのLにおける直線の切片からAs(L)が求められ、傾きからは<εL2 >が求められる。得られたAs(L)とLの関係が図4になる。
図4において、As(L)-Lの関係でL=0の近傍における接線と横軸の切片よりL(area)が実線で示したAs(L)-Lの近似曲線と縦横軸間の面積の2倍としてL(Vol)がそれぞれ求められる。
【実施例1】
【0019】
ステップCを詳述する。結晶粒の大きさが対数正規分布をとると仮定すると、大きさDの結晶粒の対数正規分布gLN(D)は数式(3)で表される。
【数3】
JP0005747406B2_000004t.gif

ここで、D及びσはそれぞれ平均粒径及び標準偏差を表す。結晶粒を球と仮定すると、D及びσとL(area)及びL(Vol)の関係が数式(4)及び数式(5)で与えられる。
【数4】
JP0005747406B2_000005t.gif

【数5】
JP0005747406B2_000006t.gif

ステップBで求めたL(area)及びL(V0l)から数式(4)及び数式(5)を用いてD及びσを決定し、結晶粒径の対数正規分布を求める。このようにして決定した線幅100nmの銅配線層の粒径分布を透過型電子顕微鏡による観察から求めた結果と比較して図5に示す。
【実施例1】
【0020】
本発明結晶粒径及び粒径分布評価方法は、上述したように結晶組織を有し特定の面方位においてX線に対して回折ピークを持つ金属層に適用できる。本発明において重要なことは、例えば金属層を形成する場合その下地となるシード層が結晶組織を有することで、かつ特定の面方位を有することである。
【実施例1】
【0021】
図5は本発明結晶粒径及び粒径分布評価方法で得た粒径分布図とTEMで得た粒径分布図で、本発明で評価した平均粒径Dは63nm、粒径分布σは1.51であるに対し、TEMで評価した平均粒径Dは76nm、粒径分布σは1.57であり、両者は良く一致していることが解る。このことは、本発明結晶粒径及び粒径分布評価方法は、評価精度はFIBとTEMを組み合わせた評価方法と同程度の高精度を有し、評価対象の試料を加工することなく非破壊で試料全体に亘って評価できる点でFIBとTEMを組み合わせた評価方法より優れていることを意味している。
【実施例2】
【0022】
本発明金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法を適用した半導体集積回路装置の製造方法の一実施例を説明する。半導体集積回路装置は、大面積の半導体ウエハに所望の回路素子を有する多数の区分を形成する工程、半導体ウエハ上に多層配線層を形成する工程、半導体ウエハを区分とその上に形成された配線層と共に多数のチップに分割する工程、チップ毎にパッケージ内に封止する工程を経て製造されるが、この実施例では配線層の結晶粒径及び粒径分布評価方法を適用する工程に限定して説明する。
【実施例2】
【0023】
図6は半導体ウエハの概略平面図で、例えば直径12インチの円板形状を有する半導体ウエハWに、多数個の方形状領域に区分され、多数個の方形状領域のうち白表示の領域W11が半導体集積回路装置となる素子チップ領域、黒で塗り潰した領域W12がモニターチップ領域となっている。モニターチップ領域W12はこの図では半導体ウエハWの中心部にW12a、周縁部にW12bを1個づつ配置形成してあるが、この位置についてはこの実施例では特別な意味はない。しかしながら、半導体集積回路装置製造者の意思で半導体ウエハの中心部と周辺部で配線層の形成条件が多少相違し、それに伴って粒径に相違が生じるか否かを把握するという目的を持って形成する位置を選定する場合がある。本発明ではモニターチップ領域の数及び設ける位置を特定するものでなく、必要に応じて任意の数を任意の位置に設けることが出来る。例えば、モニターチップ領域W12を中央部と周辺部にそれぞれ複数個づつ設けても、周辺部に一定間隔で複数個設けても良い。
【実施例2】
【0024】
図7は素子チップ領域W11の一部の概略断面図で、説明の都合上配線層を2層構成にした例を示している。図において、1は一方の主表面1aに隣接してpn接合によって多数個の回路素子(図示せず)が形成された半導体基体、2は半導体基体1の一方の主表面1a上に形成された例えばシリコン酸化物層からなる第1絶縁層、2aは第1絶縁層2に形成されたスルーホール、3はスルーホール2a内に形成された例えばタングステンからなるプラグ、3aはスルーホール2aとプラグ3との間に形成された例えばTiN(窒化チタン)からなるバリア層、4は第1絶縁層2及びプラグ3上に例えば窒化シリコン層41を介して形成された例えばシリコン酸化物層42からなる第2絶縁層、4aは第2絶縁層4に形成された第1トレンチ、5は第1トレンチ4a内に形成された第1銅配線層、5aは第1トレンチ4aと第1銅配線層5との間に形成された例えばTaN(窒化タンタル)/Ta(タンタル)からなるバリア層、6は第2絶縁層4及び第1銅配線層5上に例えば窒化シリコン層61を介して例えばシリコン酸化物層62からなる第3絶縁層、6aは第3絶縁層6形成されたコンタクトホール、7は第3絶縁層6上に例えば窒化シリコン層71を介して例えばシリコン酸化物層72からなる第4絶縁層、7aはコンタクトホール6a上の第4絶縁層7に形成された第2トレンチ、8はコンタクトホール6a及び第2トレンチ7a内にバリア層8aを介して形成された第2銅配線層である。
【実施例2】
【0025】
図7に示す素子チップ領域W11の配線層は、概略次のようなデュアルダマシンプロセスを用いて製造される。まず、一方の主表面1aに隣接してpn接合によって多数の回路素子(図示せず)が形成された半導体基体1を準備し、半導体基体1の一方の主表面1a上に第1絶縁層2をCVD(Chemical Vapor Deposition)法により堆積し、配線層を形成する予定の領域となる第1絶縁層2の一部をエッチングしてスルーホール2aを形成し、このスルーホール2a内にバリア層3aを介してプラグ3を形成する。次に、第1絶縁層2、バリア層3a及びプラグ3の露出面上に第2絶縁層4をCVD法により堆積し、配線層を形成する予定の領域となる第2絶縁層4をエッチングすることにより第1トレンチ4aを形成する。この第1トレンチ4aは幅が100nm以下、深さは50~300nmの範囲から通電容量によって選択された値を有している。第2絶縁層4上の窒化シリコン層41はシリコン酸化物層42をエッチングするときのストッパーとして利用される。第1トレンチ4a内にバリア層5aを介して第1銅配線層5を形成する。バリア層5aはスパッタ法又はCVD法によって形成し、第1銅配線層5はバリア層5a上に形成した図示しない極く薄い銅シード層上に硫酸銅めっき浴、アノードに銅電極を用いて電解めっき法により形成する。次いで、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により第1トレンチ4a部分においてはその深さを超える部分の銅層、並びに第2絶縁層4及びバリア層5aを除去して第1トレンチ4a内にのみ第1銅配線層5となる銅層及びバリア層5aを残す。次に、第2絶縁層4及び第1銅配線層5上に第3絶縁層6及び第4絶縁層7を順次CVD法により堆積し、第1銅配線層5上方の第4絶縁層7をエッチングして第2トレンチ7aを形成し、更に第3絶縁層6をエッチングにより除去してコンタクトホール6aを形成する。次いで、第2トレンチ7a内及びコンタクトホ-ル6aの表面に例えばTa/TaN/Ta積層体からなるバリア層8aをスパッタ法またはCVD法により数nmから10nm程度の厚さ堆積し、バリア層8a上に薄い銅シード層(図示せず)を図7と同じをスパッタ法により形成し、第1銅配線層5と同様の方法により第2トレンチ7a及びコンタクトホール6a内に深さを超える厚さの銅層を形成する。しかる後、CMPにより第2トレンチ7a部分においてはその深さを超える部分の銅層、並びに第4絶縁層7上の銅層及びバリア層7aを除去して、第2トレンチ7a内にのみ第2銅配線層8となる銅層及びバリア層7aを残し、2層構造の銅配線が完成する。この実施例では2層構造の銅配線の製造方法を説明したが、3層以上の配線構造にする場合には、第2銅配線層を形成した工程を繰り返すことで実現できる。
【実施例2】
【0026】
図8はモニターチップ領域W12を説明する概略平面図及び概略断面図である。(a)は図7のモニターチップ領域W12aに、(b)は図7のモニターチップ領域W12bにそれぞれ対応している。図において、1、2、4、6及び7は図7と同じ半導体基体、第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層及び第4絶縁層、91は第2絶縁層2に形成された第1トレンチ4a内にバリア層91aを介して形成された第1モニター用銅配線層、101は第4絶縁層4に形成された第2トレンチ7a内にバリア層101aを介して形成された第2モニター用銅配線層で、これらは素子チップ領域W11と同時に同じ寸法、材料、プロセスで形成されている。従って、第1モニター用銅配線層91及び第2モニター用銅配線層101は素子チップ領域W11の第1銅配線層5及び第2銅配線層8と線幅、線厚及び結晶状態が同一になっている。当然のことながら、バリア層91a及び101aは図6のバリア層5a、8aと同時に形成され、その上に図示しない銅シード層が形成されている。
図から理解されるように、モニターチップ領域W12aには第1モニター用銅配線層91が、モニターチップ領域W12bには第2モニター用銅配線層101が形成され、換言すればモニターチップ領域W12aは素子チップ領域W11の第1銅配線層5の結晶粒径及び粒径分布評価に、モニターチップ領域W12bは素子チップ領域W11の第2銅配線層8の結晶粒径及び粒径分布評価にそれぞれ使用される。
【実施例2】
【0027】
半導体集積回路装置の製造において、図8に示すモニターチップ領域W12aを図7に示す半導体ウエハWに作り込むことにより、第1銅配線層5が完成した時点において第1モニター用銅配線層91のX線回折ピークを入手して上述した金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法を用いて、非破壊で第1モニター用銅配線層91の結晶粒径及び粒径分布を評価し、第1銅配線層5が所望の結晶粒径及び粒径分布を有しているか否かを判定する。所望の結晶粒径及び粒径分布を有している場合には次の製造工程に移行し、所望の結晶粒径及び粒径分布を有していない場合には結晶粒径及び粒径分布を修正するプロセスを実施するか、修正が困難な場合には廃棄処分する。第2銅配線層8が完成した時点において第2モニター用銅配線層101のX線回折ピークを入手して上述した金属層の結晶粒径及び粒径分布評価方法を用いて、非破壊で第2モニター用銅配線層101の結晶粒径及び粒径分布を評価し、第2銅配線層8が所望の結晶粒径及び粒径分布を有しているか否かを判定する。判定結果に基づいて行う対応は第1銅配線層5の場合と同様である。このように配線層数に対応したモニターチップ領域を準備することにより、配線数に応じて結晶粒径及び粒径分布評価を繰り返すことにより、所望の結晶粒径及び粒径分布を有する銅配線層を備える半導体集積回路装置を実現できる。
【実施例2】
【0028】
図9は図8に示すモニターチップ領域W12の変形例を示す概略断面図である。(a)は図7のモニターチップ領域W12aに、(b)は図7のモニターチップ領域W12bにそれぞれ対応している。図8のモニターチップ領域と相違する点は、第1モニター用銅配線層91の下方にプラグ33を、第2モニター用銅配線層101の下方にコンタクトホール6aを夫々形成して第1銅配線層5及び第2銅配線層8に近似した配線構造になっている点である。これによって、第1モニター用銅配線層91及び第2モニター用銅配線層101の結晶粒径及び粒径分布が第1銅配線層5及び第2銅配線層8のそれに近似したものとなり、高精度の結晶粒径及び粒径分布評価が可能になるという利点が期待できる。
【実施例2】
【0029】
図10は図8及び図9に示すモニターチップ領域W12と異なる変形例を示す概略断面図である。このモニターチップ領域W12の特徴は、第1モニター用銅配線層91と第2モニター用銅配線層101の双方を備えている点にある。このため、第1モニター用銅配線層91によって第1銅配線層5の結晶粒径及び粒径分布評価をすることが出来る点は図8及び図9と同じであるが、第2モニター用銅配線層101を用いて評価する時は第1モニター用銅配線層91と第2モニター用銅配線層101の双方を重ね合わせた配線を評価することになる。このモニターチップ領域W12を用いる利点は、銅配線層の形成の都度評価をしないで、最後に纏めて評価することで半導体集積回路装置の製造プロセス数を低減できる点である。(a)はプラグ及びコンタクトホールを形成していないので製造が容易であり、(b)はプラグ及びコンタクトホールを形成していて素子チップ領域W11と同じ構造であり、素子チップ領域の評価が可能になる。
【実施例2】
【0030】
図8、図9及び図10に示すモニターチップ領域W12を半導体ウエハに作り込む場合に重要な点は、第1モニター用銅配線層91及び第2モニター用銅配線層101の総質量を所定値以上にすることである。図11はモニターチップ領域W12の各配線層における単位面積あたりの配線層を形成している銅の総質量とX線回折ピーク強度との関係を測定した結果を示している。この結果によれば、単位面積当たりの銅の総質量が1×10-5g/cm以上であれば回折ピークの解析が可能になるが、それ未満であれば解析が出来たり出来なかったりし、3×10-6g/cm以下になると解析が不可能になることを確認した。このことは、本発明金属膜の結晶粒径及び粒径分布評価方法を使用する場合には、銅配線層の総質量が1×10-5g/cm以上であることを必要としている。従って、モニターチップ領域W12の各銅配線層における単位面積あたりの銅配線層の総質量を1×10-5g/cm以上にするために、第1モニター用銅配線層91及び第2モニター用銅配線層101の数を図8(c)に示すように線幅100nmの銅配線層を1400nm間隔で多数併設してある。
【実施例2】
【0031】
半導体集積回路装置の配線層としてアルミニウムを使用する場合のモニター用アルミニウム配線層の総質量について説明する。粉末結晶試料における回折強度を求める一般数式(6)があり、この式を用いて銅及びアルミニウムの(111)面の回折強度Iを見積もることが出来る。
【数6】
JP0005747406B2_000007t.gif

式(6)で考慮されている種々の因子を算出し、銅のKα線を用いた場合の銅及びアルミニウムの(111)面の回折強度を求めてみると強度比がICu:IAl=100:28となり、銅と同程度の回折強度を得るためにアルミニウムでは約3.6倍の質量が必要であることが分かる。従って、モニター用アルミニウム配線層を用いてX線回折ピークを利用して結晶粒径及び粒径分布評価するためには、単位面積当たりの総質量は3.6×10-5g/cm2以上にすることが望ましい。
【符号の説明】
【0032】
W 半導体ウエハ
W11 素子チップ領域
W12 モニターチップ領域
1 半導体基体
1a 一方の主表面
2 第1絶縁層
2a スルーホール
3 プラグ
4 第2絶縁層
4a 第1トレンチ
41 窒化シリコン層
42 シリコン酸化物層
5 第1銅配線層
5a バリア層
6 第3絶縁層
6a コンタクトホール
61 窒化シリコン層
62 シリコン酸化物層
7 第4絶縁層
7a 第2トレンチ
71 窒化シリコン層
72 シリコン酸化物層
8 第2銅配線層
8a バリア層。
91 第1モニター用銅配線層
101 第2モニター用銅配線層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10