TOP > 国内特許検索 > ベルト長さ調整具 > 明細書

明細書 :ベルト長さ調整具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4437229号 (P4437229)
公開番号 特開2007-167574 (P2007-167574A)
登録日 平成22年1月15日(2010.1.15)
発行日 平成22年3月24日(2010.3.24)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
発明の名称または考案の名称 ベルト長さ調整具
国際特許分類 A45C  13/30        (2006.01)
F16G  11/14        (2006.01)
FI A45C 13/30 G
F16G 11/14 A
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願2005-373072 (P2005-373072)
出願日 平成17年12月26日(2005.12.26)
審査請求日 平成18年11月24日(2006.11.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】今戸 啓二
【氏名】三浦 篤義
審査官 【審査官】鈴木 誠
参考文献・文献 実公昭47-029892(JP,Y1)
実開昭56-117146(JP,U)
調査した分野 A45C 13/30
F16G 11/14
特許請求の範囲 【請求項1】
ベルトの被調節側の一端を固定し、他端を操作側としてフリーにし、その間に、前記操作側と被調節側への各変向ベルトループ部とメインベルトループ部を有するS字巻きベルトループを形成し、前記S字巻きベルトループにおける前記操作側と被調節側への各変向ベルトループ部を該操作方向側に配置しその各々に変向ベルトループを形成する被調節側変向用第一サブリール軸と操作側変向用第二サブリール軸とを平行に設け、この第一と第二サブリール軸間の被調節側にメインベルトループ部を配置し、その形成用のメインリール軸を前記サブリール軸と平行に設け、前記第一サブリール軸と前記メインリール軸の軸心配置関係及び又は外周面配置関係を、前記第一サブリール軸から前記ベルト固定端に亘るベルトにテンションを掛けるとそのベルトの一部が前記メインリール軸外周に巻きついているベルト部に圧接する位置にしたことを特徴とするベルト長さ調節具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトの使用長さを任意の長さで自己固定保持するベルト長さ調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般的に使用されているベルトの長さ調整具は、ズボン用のベルトのようにバックルと呼ばれ、ベルトの固定端部にバックル枠の一辺を連結し、バックル枠の該一辺中央部に後部を回転可能に取り付け先端を該一辺の対向辺に係合して回転止めする止めピンを設けたものであり、ベルトの操作端側にベルトの使用長さの調節領域を設けこれに所定間隔で穴を設け、この調節領域をバックル枠内に通して止めピンの先端を該穴に挿して固定する厄介なものである。
従って、該ベルトの使用長さの調節は、穴の設置領域に限られ狭い。しかも穴の設置間隔単位でしか調節が実施できず、連続的可変調節は不可能である。
そして該穴は止めピンの挿入出とベルトの引っ張り力で経年拡張劣化損傷し固定長さが変位すると共に、ベルト寿命が短い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、この問題を解決するものであり、簡単な機構によりベルトの使用長さを任意の長さに容易に迅速にしかも連続的に可変調節でき、長さ調節後はその状態を強固に固定維持するベルト長さ調整具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は前記課題を解決する優れたベルト長さ調節具でありその特徴は次の通りである。
ベルトの被調節側Bbの一端を固定し、他端を操作側Baとしてフリーにし、その間に、前記被調節側と操作側への各変向ベルトループ部S1、S2とメインベルトループ部S3を有するS字巻きベルトループSを形成し、前記S字巻きベルトループSにおける前記操作側Baと被調節側Bbへの各変向ベルトループ部S1、S2を該操作方向側に配置しその各々に変向ベルトループを形成する被調節側変向用第一サブリール軸101と操作側変向用第二サブリール軸102とを平行に設け、この第一と第二サブリール軸間の被調節側にメインベルトループ部S3を配置し、その形成用のメインリール軸103を前記サブリール軸101、102と平行に設け、前記第一サブリール軸101と前記メインリール軸103の軸心配置関係及び又は外周面配置関係を、前記第一サブリール軸101から前記ベルト固定端B2に亘るベルトBbにテンションを掛けるとそのベルトの一部が前記メインリール軸103外周に巻きついているベルト部に圧接する位置にしたことを特徴とするベルト長さ調節具。
【発明の効果】
【0005】
本発明のベルト長さ調節具は、前記構成により、被調節ベルト部の任意の長さ固定が簡単にできる。これは被調節ベルト部に引っ張り力を作用させるのみで、被調節ベルト部の一部が前記メインリール軸外周に巻きついているベルト部に圧接してその摩擦力により確実に行うことができるものである。この摩擦力については、被調節ベルト部の一部が、前記メインリール軸外周ループに接触して成す変更角度を、被調節側変向用の第一サブリール軸自体を第二サブリール軸側に変位させるか、或いは前記メインリール軸を該接触している被調節ベルト部側に変位させることにより急峻に設定し、以って被調節ベルト部が、メインリール軸外周のベルトに巻付く長さを増加させ、ベルト同士の接触面の増大を図り摩擦力を増強設定することができるものである。
これにより引っ張り力が強いほど及びメインリール軸による該変更角が大きいほど、指数関数的に該巻付力が増大し摩擦力が増強され固定力が増加する。またベルト自体の材質は必要な摩擦係数が得られるものに任意に選択することができる。
また本発明のベルト長さ調節具は、前記構成により、S字巻きベルトループと固定端間の被調節ベルト部の長さの短縮・伸張調節は、被調節側ベルトを緩めて、本調節具自体をベルトに沿って移動させてS字巻きベルトループ位置を変位させることにより、又は被調節側ベルトを緩めて、ベルトの前記操作側を引っ張ることにより極めて迅速容易にしかも連続的に変位調節することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のベルト長さ調節具において、ベルトとベルト長さ調節具の位置関係は、位置固定したベルト長さ調節具からのベルトの被調節側方向部と操作側方向部は略反対側に延在させる。
ベルト長さ調節具のメインベルトループ部を形成するメインリール軸は軸径を大径にし、その他のS字ループ両側の変向ループを形成する第一サブリール軸と第二サブリール軸は軸径を小径にすることによりコンパクトでしかも前記したメインリール軸周面のベルトループ外周面と被調節側ベルトとの接触面を有利に増大させることができる。
また第一サブリール軸、第二サブリール軸及びメインリール軸
の使用時の相対位置関係は固定することを前提として前記特徴とする構成にするものである。
しかし、その固定前は、前記した摩擦力の調節、圧接接触面の調節等のため、第一サブリール軸、第二サブリール軸及びメインリール軸の一部又は全部を相対位置変更可能に設けても良い。
また第一サブリール軸、第二サブリール軸及びメインリール軸の
軸受けリールは軸の両端を軸支してよい。また一端のみを軸支して、S字ループ形成時のベルト掛けを無支持側から簡単に実施できるようにしても良い。
【実施例1】
【0007】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、実施例1の側断面説明図である。
図1において、本例のベルト長さ調節具は、被調節側の一端B2を固定し他端B1を操作側としてフリーにしたベルトBの中間に配置する。ベルト長さ調節具の構成は、S字巻きベルトループSを形成する小径の被調節側変向用第一サブリール軸101と小径の操作側変向用第二サブリール軸102と大径のメインリール軸103を平行に設け、これらの一端を軸受けする軸受けリール201を設けたものである。
メインリール軸103は、調節側変向用第一サブリール軸101と操作側変向用第二サブリール軸102間の被調節側に配置する。
S字巻きベルトループSは、被調節側変向用第一サブリール軸101と操作側変向用第二サブリール軸102により、前記操作側ベルトBaと被調節側ベルトBbヘの各変向ベルトループ部S1とS2を形成し、メインリール軸103により、メインベルトループ部S3を形成する。
また前記メインリール軸102の軸心102cの位置は、前記第一サブリール軸101の軸心101cとベルトBの被調節側の固定端B2の中心を結ぶ直線より図に向かって左側に固定配置し、前記第一サブリール軸101から前記ベルト固定端B2に亘るベルトBbにテンションを掛けるとそのベルトBbの一部が前記大径のメインリール軸103外周のベルトS3に巻きついてメインベルトループ部S3の外周面に強く圧接しその摩擦力で、前記第一サブリール軸101から前記ベルト固定端B2に亘るベルトBbの長さを固定保持する。
図2には、介護者が装着し弾性体の復元力により介護者の介護力を助勢するように構成した特願2004-1554号発明「腰部負担軽減具」に図1のベルト長さ調節具を採用した例を示す。
【0008】
図2において、上記腰部負担軽減具は、リュックサックのように手軽に人が背負うもので、介護者用の左右の肩ベルト301と布製の網状背当て部302を有し、側面視でくの字型のフレ-ム300と、そのフレーム300の下端つまり人の腰部の当たる位置の反腰部側に突起部400を突出し、突起部400のシャフト401にベルトBを介してゴムチューブ等の弾性材501に接続し、弾性材501の他端を下肢にベルト体502を装着した下肢脱着具500に連結することによって、人の前屈とともに伸びる弾性材501からの反発力を突起部400でモーメントに変換しその復元力を利用して腰部にかかる負担を軽減する装具である。
ベルト長さ調節具は、突起部400のシャフト401の両側部(左右)に一対を設けたものであり、その片側のみを拡大して図3に示す。シャフト401を共通のメインリール軸103にし、その各々は、ベルト長さ調節具の第一サブリール軸101からのベルトBbのベルト固定端B2を、長さ調節可能な弾性材501に連結し、第二サブリール軸102からの前記操作側ベルトBaを網状背当て部302の止めタックを通してくの字型フレ-ム300の肩側から介護者の胸元に延長させて垂らしておく。
図1、図3において、ベルトBの操作側ベルトBaを張った状態の時、操作側ベルトBaにかかる力をT5、固定側(被調節側)ベルトBbにかかる力をT1とするとT1>>T5である。これで固定側ベルトBbとメインベルトループS3との重なり部に大きな固定力が生まれる。この重なり部の所謂ベルト変更角度部の変更角度を変えるとこの固定力を変化させることができる。重なり部を弛めるだけでT5に小さな引っ張り力を与えるだけで簡単に固定側ベルトBbの長さを調節できる。
参考に操作側ベルトBaの張力T5に対する固定側ベルトBbの張力T1の拡大率と介護者Mの前屈角度θとの関係を図4のグラフに示す。これはベルトBを図5に示す状態でS字ループを形成した場合、メインベルトループS3とメインループ軸103と間の摩擦係数μ=0.1、固定側ベルトBbとメインベルトループS3のベルト同士の摩擦係数μb=0.15として、次式の数1により求めたものであり、介護者Mの前屈角度θの増大とともに固定側ベルトBbの張力T1の拡大率が急増することを示すものである。
【0009】
【数1】
JP0004437229B2_000002t.gif
但し、
μ:ベルトとリ-ルとの摩擦係数
μb:ベルト同士の摩擦係数
P1:ベルトとメインリ-ル103に巻かれた内側ベルトとの接触境界点
P2:ベルトとメインリ-ル103に巻かれた内側ベルトとの接触境界点
P3:ベルトとサブリ-ル101との接触境界点
P4:ベルトとサブリ-ル101との接触境界点
P5:ベルトとメインリ-ル103との接触境界点
P6:ベルトとメインリ-ル103との接触境界点
P7:ベルトとサブリ-ル102との接触境界点
P8:ベルトとサブリ-ル102との接触境界点
θ1-θ2:P1~P2までのベルト同士の重なり部の接触範囲角
JP0004437229B2_000003t.gifθ6-θ5:図中に示す角θ6と角θ5との差
JP0004437229B2_000004t.gifθ2-θ5:図中に示す角θ2と角θ5との差
T1:固定側ベルトBbの張力
T2:P2~P3の間のベルト張力
T3:P4~P5の間のベルト張力
T4:P6~P7の間のベルト張力
T5:操作側ベルトBaの張力
ここでT1はT2の関数、T2はT3の関数、T3はT4の関数、T4はT5の関数であるので、最終的には前記数1の式のようにT1はT5の関数になる。
この腰部負担軽減具の場合、通常ベルトBbの長さ調節は、ベルトBbを緩めておき、介護者が操作側ベルトBaの垂れた下端を引き下げることにより短縮させ、介護者が膝を曲げてベルトBbを緩め、メインリール軸103外周のメインベルトループS3との接触を解除し、その状態を維持して更にベルトBbを後ろ側下方に引っ張ることにより伸張することができるものである。図3中第一サブリール軸101に装着の101bはボルトで固定のストッパーリング(ワッシャー)でループ外れを防止する。
以上の構成により、ベルトBbの長さを任意に自由に調節して弾性材501による反発力の調整を簡単に行うものである。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明のベルト長さ調整具は、前記の効果に記載の通り、簡単な機構によりベルトの使用長さを任意の長さに容易に迅速にしかも連続的に可変調節でき、長さ調節後はその状態を強固に固定維持するものであり、産業上の利用分野としては、介護作業用品のみならず、スポーツ用品、救命道具、荷役機械等に効果的に活用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ベルト長さ調整具の実施例1を示す断面説明図である。
【図2】ベルト長さ調整具を用いた腰部負担軽減具の詳細斜視図である。
【図3】図2の円内Zの要部拡大斜視説明図である。
【図4】図1、図3、図5に示す操作側ベルトBaの張力T5に対する固定側ベルトBbの張力T1の拡大率と介護者Mの前屈角度θとの関係を示すグラフである。
【図5】図4のグラフを前記数1で求めた際のベルトB で形成したS字ループ状態の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0012】
B ベルト
Ba 操作側ベルト
Bb 被調節(固定)側ベルト
S S字巻きベルトループ
S2,S1 変向ベルトループ部
S3 メインベルトループ部
101 被調節側変向用第一サブリール軸
102 操作側変向用第二サブリール軸
103 メインリール軸
201 軸受けリール
301 肩ベルト
302 網目状背当て部
400 突起部
300 くの字型のフレ-ム
501 ゴムチューブ等の弾性材
500 下肢脱着具
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4