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明細書 :不規則なパルス列の信号処理方法および信号処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5699403号 (P5699403)
公開番号 特開2012-042296 (P2012-042296A)
登録日 平成27年2月27日(2015.2.27)
発行日 平成27年4月8日(2015.4.8)
公開日 平成24年3月1日(2012.3.1)
発明の名称または考案の名称 不規則なパルス列の信号処理方法および信号処理装置
国際特許分類 G01R  31/12        (2006.01)
G06F  17/14        (2006.01)
FI G01R 31/12 A
G06F 17/14 S
請求項の数または発明の数 8
全頁数 16
出願番号 特願2010-182790 (P2010-182790)
出願日 平成22年8月18日(2010.8.18)
審査請求日 平成25年8月7日(2013.8.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】599016431
【氏名又は名称】学校法人 芝浦工業大学
発明者または考案者 【氏名】松本 聡
個別代理人の代理人 【識別番号】100109553、【弁理士】、【氏名又は名称】工藤 一郎
審査官 【審査官】藤原 伸二
参考文献・文献 特表2006-523517(JP,A)
特開2009-216605(JP,A)
特開平11-149292(JP,A)
調査した分野 G01R 31/12-31/20
H04N 1/00
G10L 13/00-13/10
A61B 5/04-5/0496
G06F 17/14
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
ランダムな信号成分を含む不規則なパルス列の信号処理方法であって、
測定したパルス信号を受信する受信ステップと、
受信した信号を指数関数、インパルス波、ワイブル確率密度関数、のいずれか一を基底関数としてウェーブレット変換する変換ステップと、
を有する信号処理方法。
【請求項2】
変換ステップにて変換された値を所定の閾値と比較する比較ステップと、
比較ステップでの比較結果が所定の関係にあるものを選択する選択ステップと、
をさらに有する請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項3】
選択ステップでの選択結果を時間軸にマッピングするマッピングステップをさらに有する請求項2に記載の信号処理方法。
【請求項4】
既知の雑音波形をフィルタ関数として用いることにより信号成分から雑音を除去する雑音除去ステップをさらに有する請求項1から3のいずれか一に記載の信号処理方法。
【請求項5】
ランダムな信号成分を含む不規則なパルス列の信号を処理する信号処理装置であって、
測定したパルス信号を受信する受信部と、
受信した信号を指数関数、インパルス波、ワイブル確率密度関数、のいずれか一を基底関数としてウェーブレット変換する変換部と、
を有する信号処理装置。
【請求項6】
変換部にて変換された値を所定の閾値と比較する比較部と、
比較部での比較結果が所定の関係にあるものを選択する選択部と、
をさらに有する請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項7】
選択部での選択結果を時間軸にマッピングするマッピング部をさらに有する請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項8】
既知の雑音波形をフィルタ関数として用いることにより信号成分から雑音を除去する雑音除去部をさらに有する請求項5から7のいずれか一に記載の信号処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ランダムな信号成分を含む不規則なパルス列の信号処理方法、信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不規則なパルス列の信号処理方法は、画像解析や音声処理、脳波の波形解析、電気機器の部分放電信号解析など種々の分野で用いられてきた。
【0003】
これらの信号処理においては、注目する信号成分が複雑な場合や、信号成分の大きさが微弱である場合に解析で苦慮することが多い。特に近年においては、雑音の多い環境下で信号の測定を行うことも多く、これらの雑音との区別も問題となっている。
【0004】
このため、信号処理を施すことによって確実な信号解析を行う技術がさらに求められてきている。従来の信号処理方法としては、時間周波数解析であるウェーブレット解析が知られている。ウェーブレット解析は、特定の時間領域を選択的に取り出して周波数解析や不連続信号の抽出を行える利点を有している。
【0005】
ウェーブレット解析に適した基底関数(マザーウェーブレット)としては、Daubechiesウェーブレット、Haarウェーブレット、Coifmanの基底関数、Baylkinの基底関数が知られている。Harrウェーブレットを用いたパルス列の信号処理方法については、特許文献1において開示されている。
【0006】
一方、基底関数ではないが周波数解析に適したものとして、Gabor関数(Gaussian関数と複素指数関数の積)、Meyerウェーブレット、MexicanHat関数、Shannon関数などが知られている。しかしながら、ランダムな信号成分を含む不規則なパルス列のウェーブレット解析に適したウェーブレット関数については、検討例が少ない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2009-216605
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願においては、ランダムな信号成分を含む不規則なパルス列のウェーブレット解析に適した関数を用いた信号処理方法、信号処理装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために、ランダムな信号成分を含む不規則なパルス列の信号処理方法であって、測定したパルス信号を受信する受信ステップと、受信した信号を奇関数を基底関数としてウェーブレット変換する変換ステップと、を有する信号処理方法を提案する。
【0010】
また、ランダムな信号成分を含む不規則なパルス列の信号を処理する信号処理装置であって、測定したパルス信号を受信する受信部と、受信した信号を奇関数を基底関数としてウェーブレット変換する変換部と、を有する信号処理装置を提案する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の信号処理方法および信号処理装置により、ランダムな信号成分を含む不規則なパルス列の中から、特定の要因による信号成分を精度良く抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1の信号処理装置の機能ブロックの一例を示す図
【図2】ガウス微分関数波とハール基底関数の対比結果を示す図(レベル1)
【図3】ガウス微分関数波とハール基底関数の対比結果を示す図(レベル3)
【図4】ガウス微分関数波とハール基底関数の対比結果を示す図(レベル7)
【図5】実施形態1の信号処理装置のハードウェア構成の一例を示す図
【図6】実施形態1の信号処理方法の処理の流れを示す図
【図7】実施形態2の信号処理装置の機能ブロックの一例を示す図
【図8】実施形態2の信号処理方法の処理の流れを示す図
【図9】実施形態3の信号処理装置の機能ブロックの一例を示す図
【図10】実施形態3の信号処理方法の処理の流れを示す図
【図11】実施形態4の信号処理装置の機能ブロックの一例を示す図
【図12】実施形態4の信号処理方法の処理の流れを示す図
【図13】実施形態3の信号処理方法の処理の流れの他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を実施するための形態について説明する。実施の形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1、5に対応し、実施形態2は主に請求項2、6に対応し、実施形態3は主に請求項3、7に対応し、実施形態4は主に請求項4、8に対応する。なお、本発明はこれら実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施しうる。また、以下の実施形態においては、部分放電信号の解析を例に挙げて説明しているが、その他の信号についても適用することは可能である。


【0014】
<実施形態1>

【0015】
<概要>

【0016】
本実施形態の信号処理方法および信号処理装置は、測定対象から測定した電流や電圧あるいは電磁波などの電気信号のパルス信号に対して奇関数を基底関数としてウェーブレット変換を行うことにより、信号を精度良く解析することが可能になる。

【0017】
<構成>

【0018】
図1は、本実施形態の信号処理装置の機能的構成の一例を示す図である。この図に示すように、本実施形態の「信号処理装置」(0100)は、「受信部」(0101)と、「変換部」(0102)を有する。以下、各構成について説明する。

【0019】
「信号処理装置」は、ランダムな信号成分を含む不規則なパルス列の信号を処理する装置である。これらの信号としては、例えば電気機器から生じる部分放電信号などが挙げられる。なお、部分放電とは、電気機器内の絶縁体中に空隙などが存在すると、電圧をかけた際にその空隙部分に発生する部分的な放電である。当該部分放電が繰り返し起こると、絶縁破壊を引き起こすことが知られている。

【0020】
部分放電を検出する手段としては、例えば、測定対象の電気機器の接地線に高周波CTなどを接続し、電流や電圧などのパルス信号(電気信号)を測定することが考えられる。また、上記接地線法のほかに、アンテナ法、結合コンデンサ法、平衡検出法も可能である。

【0021】
「受信部」は、測定対象(電気機器など)から測定したパルス信号を受信するよう構成されている。

【0022】
本実施形態の受信部は、測定対象から測定した電流や電圧などの電気信号のパルス信号を受信する。測定対象から電気信号のパルス信号を測定する手段としては注目する信号成分(例えば、部分放電信号など)を測定可能なものであれば特段制限されない。

【0023】
例えば、部分放電信号を検出したい場合などは、電気機器の接地線に高周波変流器を接続してアナログ信号を測定し、当該アナログ信号を信号変換器でパルス信号に変換することでパルス信号を測定してもよい。また、画像信号や音声信号が測定対象である場合は、画像装置や音声出力装置などから有線又は無線の通信回線を通じて受信することが考えられる。

【0024】
受信部は、前記パルス信号をリアルタイムで信号変換器から受信してもよいし、または、信号変換器で変換したパルス信号を保存可能な記憶装置などから一定数のデータをまとめて受信してもよい。

【0025】
「変換部」は、受信した信号を奇関数を基底関数としてウェーブレット変換するよう構成されている。観測信号をx(t)とすると、ウェーブレット変換の式は、以下のように表される。
【数1】
JP0005699403B2_000002t.gif

【0026】
ここで、次式で定義される関数は、基底関数Ψ(t)をスケールパラメータaにより拡大縮小し、シフトパラメータbにより平行移動した局所的な参照関数(ドゥターウェーブレット)である。
【数2】
JP0005699403B2_000003t.gif

【0027】
基底関数は、少なくとも信号が有する零の周波数を通過させないことが必要であり、次式が成り立つ必要がある(コンパクトサポート)。
【数3】
JP0005699403B2_000004t.gif

【0028】
上記数3の式を満たす基底関数としては、以下のような奇関数が考えられる。

【0029】
(1)指数関数波
【数4】
JP0005699403B2_000005t.gif

【0030】
(2)インパルス波
【数5】
JP0005699403B2_000006t.gif
上記インパルス波は、指数関数の組み合わせで定義できる関数である。ここで、α、βは波形を定める定数である。

【0031】
(3)ワイブル確率密度関数波
【数6】
JP0005699403B2_000007t.gif
上記ワイブル関数波は、引数部分の式の形がウェーブレット関数と同じ形であり、mの値により種々の非振動性のパルスを扱える利点がある。ここで、m、a、bはワイブルパラメータである。

【0032】
(4)ガウス微分関数波
【数7】
JP0005699403B2_000008t.gif
上記の式はガウス関数の一階微分関数であるが、それ以上の高階微分関数もウェーブレット解析の参照関数として用いることが可能である。

【0033】
上記にあげた4つの関数は、パルスの波形に近い関数である。これらの関数を基底関数としてウェーブレット解析を行うと、パルスの信号成分を高い精度で抽出することが可能になる。

【0034】
<比較実測データ>
図2、3、4は、数7で示したガウス微分関数波を参照関数(基底関数)としてウェーブレット解析を行った結果と、ハール基底関数を用いてウェーブレット解析を行った結果を示す図である。なお、ここでの実測データはアンテナ法により計測している。ガウス微分関数は、ハール基底関数よりも自由度(変数)が一つ多いため、波形処理演算を自動化する場合、アルゴリズムに汎用性が増す。今回の対比実験では、ガウス関数の標準偏差を3としてスケーリングを行っている。

【0035】
図2は、ガウス微分関数とハール基底関数のレベル1の対比結果を示す図である。なお、測定信号のサンプリング時間(最大周波数)をレベル1としている。この結果が示すように、元波形の高周波成分はどちらの関数でも検出できているが、ガウス微分関数の方が高周波のノイズが少ない(SN比が大きい)。これは、ガウス関数の標準偏差を3としたことに起因している。

【0036】
また、図3は、ガウス微分関数とハール基底関数のレベル3の対比結果を示す図である。レベル3では2の3乗、すなわち8がハールスケーリング関数で設定される。この結果が示すように、元波形の後半部分に含まれる振動成分は、ハール基底関数ではこの段階で検出することができていないが、ガウス微分関数ではこの段階で検出できている。

【0037】
また、図4は、ガウス微分関数とハール基底関数のレベル7の対比結果を示す図である。レベル7では2の7乗、すなわち128がハールスケーリング関数で設定される。この結果が示すように、ハール基底関数では元波形に含まれる低周波成分を検出することができていないが、ガウス微分関数では検出できている。

【0038】
図2、3、4の対比結果から、ガウス微分関数のもつ自由度1の変数を利用して元波形に適したスケーリング関数を構成することができているといえる。同様のことは、数6で示したワイブル関数についてもいえる。また、数5で示したインパルス波形は自由度が2つ大きいため同様のことがいえるが、パラメータの設計に工夫が必要である。

【0039】
<本実施形態のハードウェア構成>

【0040】
図5は、上記機能的構成をハードウェアとして実現した際の構成の一例を表す図である。

【0041】
以下に、図5のハードウェア図を用いて、本実施形態を実現する手段の一例を説明する。この図に示すように、本信号処理装置は、「受信部」、「変換部」などを構成する「CPU」(0501)、「主記憶装置」(0502)、「プログラム記憶装置」(0503)、「2次記憶装置」(0504)、「ユーザI/F」(0505)、「外部機器I/F」(0506)、「出力I/F」(0507)、「バス」(0508)などを備えている。

【0042】
主記憶装置は、プログラム実行中に動的にデータを書き換え可能な記憶装置である。主記憶装置はプログラム記憶装置に記憶されているプログラムを実行するために必要なワーク領域を提供する。また主記憶装置は、パルス信号受信プログラムに従い受信したパルス信号や、ウェーブレット変換プログラムに従い演算した結果のウェーブレット変換データなどを保持したりする。

【0043】
2次記憶装置はプログラム実行中に動的にデータを書き換え可能な記憶装置であり、信号処理装置の電源が切れても記憶しているデータは消去されない。

【0044】
ユーザI/Fを介して利用者などが入力したパルス信号を受信する指示信号を受け取ると、CPUは、プログラム記憶装置に保存しているパルス信号受信プログラムを取り出し、主記憶措置のワーク領域に展開して、プログラムを実行する。

【0045】
まず、パルス信号受信プログラムの受信命令に従い、外部機器I/Fを制御してパルス信号を受信し、主記憶装置のデータ領域に格納していく。この時、外部機器I/Fには、測定対象から測定したアナログ信号をリアルタイムでパルス信号に変換している変換器に接続されていてもよいし、または、測定対象から測定したアナログ信号をパルス信号に変換したデータを保存している記憶装置などに接続されていてもよい。

【0046】
その後、ユーザI/Fを介して利用者などが入力したパルス信号を処理する指示信号を受け取ると、CPUは、プログラム記憶装置に保存しているウェーブレット変換プログラムを取り出し、主記憶措置のワーク領域に展開して、プログラムを実行する。

【0047】
主記憶装置のデータ領域に格納している、受信したパルス信号を取り出すと、プログラムに従いウェーブレット変換する。そして、その結果をウェーブレット変換データとして主記憶装置のデータ領域に格納する。
<処理の流れ>

【0048】
本実施形態の処理の流れの一例を図6のフローチャートに示す。まず、ステップS0601において、測定対象から測定したパルス信号を受信する(受信ステップ)。次にステップS0602において、受信した信号を奇関数を基底関数としてウェーブレット変換する(変換ステップ)。

【0049】
<発明の効果>
本実施形態の信号処理方法および信号処理装置により、測定対象から測定したパルス信号の中から、特定の要因による信号成分を精度良く抽出することが可能となる。

【0050】
<実施形態2>

【0051】
<概要>
本実施形態の信号処理方法および信号処理装置は、測定対象から測定した電流や電圧あるいは電磁波などの電気信号のパルス信号に対して、奇関数を基底関数としてウェーブレット変換を行うことにより、特定の要因による信号成分を精度良く抽出することが可能になる。さらに、ウェーブレット変換された値を所定の閾値と比較して、所定の関係にある周波数成分を選択することにより、信号の解析をより容易に行うことが可能になる。

【0052】
<構成>
図7は、本実施形態の信号処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。この図に示すように、本実施形態の「信号処理装置」(0700)は、「受信部」(0701)と、「変換部」(0702)と、「比較部」(0703)と、「選択部」(0704)を有する。以下、実施形態1との相違点である「比較部」と「選択部」について説明する。

【0053】
「比較部」は、変換部にて変換された値を所定の閾値と比較するよう構成されている。変換部にて変換された値とは、ウェーブレット変換により、所定の周波数帯に分解されたデータのピーク値である。比較部では、前記ピーク値と所定の閾値を比較する。

【0054】
具体的には、ピーク値の絶対値と所定の閾値の大小を比較する。ここで、所定の閾値は任意の値であり、例えばウェーブレット変換後のデータの数を約1割程度に絞り込むように定められる。

【0055】
閾値を定める手段としては、例えば、ウェーブレット変換した後の全データのピーク値に基づいて演算式により算出してもよい。なお、比較部において、最も低い周波数帯のデータには注目するパルス信号は含まれていないと仮定して、最も低い周波数帯のデータの値は所定の閾値と比較しないように構成してもよい。

【0056】
「選択部」は、比較部での比較結果が所定の関係にあるものを選択するよう構成されている。具体的には、比較結果が所定の閾値より大きいものを選択するように構成してもよい。又は、比較結果が所定の閾値以上のものを選択するように構成してもよい。

【0057】
当該選択部での処理により、ウェーブレット変換後のデータの中から、所定の閾値以上のピーク値を有するデータのみを選択することができる。なお、選択部は、最も低い周波数帯のデータには注目するパルス信号は含まれていないとみなして、最も低い周波数帯のデータを選択しないように構成してもよい。

【0058】
<本実施形態のハードウェア構成>

【0059】
本実施形態の信号処理装置の具体的な構成は、図5で示した実施形態1の信号処理装置の具体的な構成と同様である。ただし、本実施形態の信号処理装置は、抽出プログラムを有することを特徴とする。以下、当該抽出プログラムに関する処理について説明する。

【0060】
CPUは、プログラム記憶装置に保存している抽出プログラムを取り出し、主記憶措置のワーク領域に展開して、プログラムを実行する。

【0061】
具体的には、比較サブルーチンを実行し、主記憶装置のデータ領域に格納しているウェーブレット変換データのピーク値と所定の閾値について大小比較の処理をする。そして、選択サブルーチンを実行し、前記大小比較の結果を示す比較結果に従って、所定の関係のウェーブレット変換データを選択し、選択データとして主記憶措置のワーク領域に格納する。
<処理の流れ>

【0062】
本実施形態の処理の流れの一例を図8のフローチャートに示す。まず、ステップS0801において、測定対象から測定したパルス信号を受信する(受信ステップ)。次にステップS0802において、受信した信号を奇関数を基底関数としてウェーブレット変換する(変換ステップ)。次にステップS0803において、変換ステップにて変換された値を所定の閾値と比較する(比較ステップ)。次にステップS0804において、比較ステップでの比較結果が所定の関係にあるものを選択する(選択ステップ)。

【0063】
<発明の効果>
本実施形態の信号処理方法および信号処理装置により、測定対象から測定した電気信号のパルス信号の中から、特定の要因による信号成分を精度良く、かつ容易に抽出することが可能となる。

【0064】
<実施形態3>

【0065】
<概要>
本実施形態の信号処理方法および信号処理装置は、測定対象から測定した電流や電圧あるいは電磁波などの電気信号のパルス信号に対して、奇関数を基底関数としてウェーブレット変換を行うことにより、信号を精度良く解析することが可能になる。さらに、ウェーブレット変換された値を所定の閾値と比較して、所定の関係にある周波数成分を選択し、選択結果を時間軸にマッピングすることにより、信号の解析をより容易に行うことが可能になる。

【0066】
<構成>
図9は、本実施形態の信号処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。この図に示すように、本実施形態の「信号処理装置」(0900)は、「受信部」(0901)と、「変換部」(0902)と、「比較部」(0903)と、「選択部」(0904)と、「マッピング部」(0905)を有する。以下、実施形態1、2との相違点である「マッピング部」について説明する。

【0067】
「マッピング部」は、選択部での選択結果を時間軸にマッピングするよう構成されている。ここで、選択部で選択されたそれぞれのデータがいずれのレベルの周波数帯に属するか識別可能なようにマッピングする構成が考えられる。例えば、周波数帯のレベルごとに色分けしてマッピングすることが考えられる。このようにマッピングすることで、強いピークを有するパルス信号の周波数帯と、その信号が発生した時間帯も容易に認識することができる。前記時間・周波数情報を得るためには、元データのそれぞれのサンプリング時間毎の値を基に連続ウェーブレット変換、あるいは離散ウェーブレット変換を用いて時間・周波数情報として演算することができる。

【0068】
上記のマッピングデータを利用することにより、所定の閾値以上のピーク値を有する信号が、パルス信号の波形中のどこに表れているかを容易に判別することが可能になる。

【0069】
<本実施形態のハードウェア構成>

【0070】
本実施形態の信号処理装置の具体的な構成は、実施形態2の信号処理装置の具体的な構成と同様である。ただし、本実施形態の信号処理装置は、マッピングプログラムを有することを特徴とする。以下、当該マッピングプログラムに関する処理について説明する。

【0071】
CPUは、プログラム記憶装置に保存しているマッピングプログラムを取り出し、主記憶措置のワーク領域に展開して、プログラムを実行する。

【0072】
具体的には、マッピングサブルーチンを実行し、2次記憶装置よりグラフデータを取り出し、そこに前記選択データをマッピングする処理を行う。そして、マッピングしたデータを主記憶措置のワーク領域に格納する。その後、表示サブルーチンを実行し、出力I/Fを制御し、前記マッピングデータを出力する処理を行う。

【0073】
<処理の流れ>
本実施形態の処理の流れの一例を図10のフローチャートに示す。まず、ステップS1001において、測定対象から測定したパルス信号を受信する(受信ステップ)。次にステップS1002において、受信した信号を奇関数を基底関数としてウェーブレット変換する(変換ステップ)。次にステップS1003において、変換ステップにて変換された値を所定の閾値と比較する(比較ステップ)。次にステップS1004において、比較ステップでの比較結果が所定の関係にあるものを選択する(選択ステップ)。次にステップS1005において、選択ステップでの選択結果を時間軸にマッピングする(マッピングステップ)。
なお、図13に示すように、マッピングにおいては、比較ステップを省略しても良い。この場合、選択ステップは、変換ステップにて変換された値をすべて選択する。

【0074】
<発明の効果>
本実施形態の信号処理方法および信号処理装置により、測定対象から測定した電気信号のパルス信号の中から、特定の要因による信号成分を精度良く、かつ容易に抽出することが可能となる。また、直感的かつ容易に異常信号の有無を認識できる。

【0075】
<実施形態4>

【0076】
<概要>
本実施形態の信号処理方法および信号処理装置は、測定対象から測定した電流や電圧あるいは電磁波などの電気信号のパルス信号に対して、奇関数を基底関数としてウェーブレット変換を行うことにより、信号を精度良く解析することが可能になる。さらに、既知の雑音波形をフィルタ関数として用いることにより信号成分から雑音を除去し、信号をさらに精度良く解析することが可能になる。

【0077】
<構成>
図11は、本実施形態の信号処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。この図に示すように、本実施形態の「信号処理装置」(1100)は、「受信部」(1101)と、「変換部」(1102)と、「雑音除去部」(1103)を有する。以下、実施形態1から3との相違点である「雑音除去部」について説明する。

【0078】
「雑音除去部」は、既知の雑音波形をフィルタ関数として用いることにより信号成分から雑音を除去するよう構成されている。

【0079】
例えば、部分放電の現地測定で問題となる半導体制御装置からのノイズについては、規則性や波形の形が既知であるので、相似相関検出用フィルタ関数として用いることにより、信号成分から半導体制御装置からのノイズを除去することが可能である。当該既知の雑音波形のデータは予め記憶装置に保持しておく構成が考えられるが、適宜入力機器や通信装置を介して取得可能な構成としておくことも可能である。

【0080】
なお、本実施形態において、実施形態2、3で説明した比較部や選択部、マッピング部をさらに設ける構成も可能である。この場合、雑音除去部にて除去される信号成分については、比較の対象や選択の対象、マッピングの対象から外すことが考えられる。また、マッピングする際において、雑音成分であることが判別可能なようにすることも考えられる。例えば、色分けをしたり、線種を変えたりすることが考えられる。

【0081】
<本実施形態のハードウェア構成>

【0082】
本実施形態の信号処理装置の具体的な構成は、図5で示した実施形態1の信号処理装置の具体的な構成と同様である。ただし、本実施形態の信号処理装置は、雑音除去プログラムを有することを特徴とする。以下、当該雑音除去プログラムに関する処理について説明する。

【0083】
CPUは、プログラム記憶装置に保存している雑音除去プログラムを取り出し、主記憶措置のワーク領域に展開して、プログラムを実行する。

【0084】
具体的には、既知の雑音波形を示すデータを2次記憶装置より取り出し、当該雑音波形のデータをフィルタ関数として用いることにより信号成分から雑音を示す周波数帯データを除去する処理を行う。

【0085】
<処理の流れ>
本実施形態の処理の流れの一例を図12のフローチャートに示す。まず、ステップS1201において、測定対象から測定したパルス信号を受信する(受信ステップ)。次にステップS1202において、受信した信号を奇関数を基底関数としてウェーブレット変換する(変換ステップ)。次にステップS1203において、既知の雑音波形をフィルタ関数として用いることにより信号成分から雑音を除去する(雑音除去ステップ)。

【0086】
<発明の効果>
本実施形態の信号処理方法および信号処理装置により、測定対象から測定した電気信号のパルス信号の中から、特定の要因による信号成分を精度良く、かつ容易に抽出することが可能となる。
【符号の説明】
【0087】
0101…受信部、0102…変換部、0703…比較部、0704…選択部、0905…マッピング部、1103…雑音除去部
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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