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明細書 :学習支援システム及び学習支援方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4579634号 (P4579634)
公開番号 特開2006-098603 (P2006-098603A)
登録日 平成22年9月3日(2010.9.3)
発行日 平成22年11月10日(2010.11.10)
公開日 平成18年4月13日(2006.4.13)
発明の名称または考案の名称 学習支援システム及び学習支援方法
国際特許分類 G09B   7/04        (2006.01)
FI G09B 7/04
請求項の数または発明の数 6
全頁数 19
出願番号 特願2004-283213 (P2004-283213)
出願日 平成16年9月29日(2004.9.29)
審査請求日 平成19年8月15日(2007.8.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506301140
【氏名又は名称】公立大学法人会津大学
発明者または考案者 【氏名】程 子学
【氏名】孫 勝国
【氏名】甘泉 瑞応
【氏名】程 同軍
個別代理人の代理人 【識別番号】100091904、【弁理士】、【氏名又は名称】成瀬 重雄
審査官 【審査官】古川 直樹
参考文献・文献 特開2004-259140(JP,A)
特開2003-122235(JP,A)
特開2002-244545(JP,A)
特開2003-006348(JP,A)
特開平09-006222(JP,A)
特開2002-196658(JP,A)
特開2004-177704(JP,A)
調査した分野 G09B 1/00 - 9/56
G09B 17/00 - 19/26
G06Q 50/00
特許請求の範囲 【請求項1】
学習指導要求データベースと、学習行動履歴データベースと、収集部と、照合部と、支援部と、支援方策データベースと、心理モデルデータベースと、分析部と、出力部とを備え、
前記学習指導要求データベースは、学習者に対する学習指導要求を記録するものであり、
前記学習行動履歴データベースは、前記学習者の学習行動の履歴を記録するものであり、
前記収集部は、前記学習行動履歴データベースに入力される前記学習者の学習行動を収集するものであり、
前記照合部は、前記学習指導要求データベースに記録された学習指導要求と、前記学習行動履歴データベースに記録された学習行動履歴とを照合して、その結果を前記支援部に送るものであり、
前記支援方策データベースは、学習者に対する基本支援と、学習者の心理状態に対応して支援内容を変更するための心理支援とを記録するものであり、
前記心理モデルデータベースは、前記学習者における葛藤のタイプと大きさとを示す指標を記録するものであり、
前記分析部は、前記学習行動履歴データべースに記録された特徴的な動作に基づいてポイントを付与することによって、葛藤の大きさをタイプ毎に推定し、その結果を示す指標を前記心理モデルデータベースに記録するものであり、
前記支援部は、前記照合部における照合結果に基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記学習者に対する前記基本支援を特定するものであり、
かつ、前記支援部は、前記心理モデルデータベースに記録された前記葛藤のタイプ及び大きさに基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記基本支援に適用されるべき前記心理支援を特定するものであり、
さらに、前記支援部は、前記特定された前記心理支援に基づいて、前記基本支援の内容を変更するものであり、
前記出力部は、変更された前記基本支援の内容を前記学習者に提示するものである
ことを特徴とする学習支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の学習支援システムであって、
前記心理モデルデータベースは、前記学習者のタイプを示す指標をさらに記録するものであり、
前記分析部は、前記学習行動履歴データべースに記録された特徴的な動作に基づいてポイントを変化させることによって、学習者のタイプを推定し、その結果を示す指標を前記心理モデルデータベースにさらに記録するものであり、
前記支援部は、前記心理モデルデータベースに記録された前記学習者のタイプにさらに基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記基本支援に適用されるべき前記心理支援を特定するものである
ことを特徴とする学習支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の学習支援システムであって、
この学習支援システムは、学習スタイルデータベースと、学習指導要求設定部とをさらに備えており、
前記学習スタイルデータベースは、学習指導要求の入力者に対して呈示される入力用テンプレート又は入力支援情報を、前記学習者の学習スタイル毎に記録するものであり、
前記学習指導要求設定部は、前記学習スタイルデータベースに記録された入力用テンプレート又は入力支援情報を、前記学習者の学習スタイル毎に入力者に呈示し、かつ、入力者からの学習指導要求の入力を受け付けるものである
ことを特徴とする学習支援システム。
【請求項4】
前記支援部における支援の項目数が一定のしきい値を超えた時に、前記学習指導要求データベースにおける学習指導要求を変更することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の学習支援システム。
【請求項5】
前記葛藤の大きさの推定は、葛藤以外を含む特徴的動作に対する全体ポイントと、葛藤の特徴動作に対するポイントとの比率に基づく数値を用いて行われることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の学習支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の学習支援システムを用いた学習支援方法であって、以下のステップを備える:
(1)前記収集部が、前記学習行動履歴データベースに、前記収集部で収集された前記学習者の学習行動の履歴を記録するステップ;
(2)前記照合部により、前記学習指導要求データベースに記録された学習指導要求と、前記学習行動履歴データベースに記録された学習行動履歴とを照合して、その結果を前記照合部が学習状況モデルデータベースに記録し、前記支援部が前記学習状況モデルデータベースから前記照合の結果を参照することによって、前記照合部が前記照合の結果を前記支援部に送るステップ;
(3)前記分析部が、前記学習行動履歴データべースに記録された特徴的な動作に基づいてポイントを付与することによって、葛藤の大きさをタイプ毎に推定し、その結果を示す指標を前記心理モデルデータベースに記録するステップ;
(4)前記支援部が、前記照合部における照合結果に基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記学習者に対する前記基本支援を特定するステップ;
(5)前記支援部が、前記心理モデルデータベースに記録された前記葛藤のタイプ及び大きさに基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記基本支援に適用されるべき前記心理支援を特定するステップ;
(6)前記支援部が、前記特定された前記心理支援に基づいて、前記学習者に提示されるべき前記基本支援の内容を変更するステップ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援システム、学習支援方法およびそのためのコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、確認テストなどで学習者のレベルと進捗状況を把握し、それに応じて、支援を行う学習支援システムがある。例えば、特開2004-5322号公報(下記特許文献1)には、学習者のレベルに応じて、学習者にとって最適な質問を呈示する方法とそのための装置とが提案されている。また、特開平11-84997号公報(下記特許文献2)には、パステストの正解率などによって学習進捗状況を把握する技術が開示されている。
【0003】
また、学習の履歴を利用して、学習を支援する技術も存在する。例えば、特開2000-321965号公報(下記特許文献3)では、学習者の習得履歴をポイント化し、科目毎や分野別の学習状況を図式化することが提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの技術では、いずれも、学習指導要求と実際の学習行動との対応に基づいた学習支援を行うことはできない。
【0005】
一方、学習支援ではないが、経路計算基準を利用者ごとに推論する車両用ナビゲーション・システムも従来から提案されている(特開2001-133281号公報…下記特許文献4)。この技術は、自動車の情報案内システムにおいて、履歴情報を利用して、利用者の好みを把握し、この好みを考慮して情報を呈示するものである。しかしながら、この技術は、学習指導要求と実際の学習行動との対応に基づいた学習支援とは関係がない。
【0006】
さらに、学習者の心理状態を考慮し、学習者に対して、褒めたり、叱ったりするなどの支援メッセージを学習者に呈示することによって、動機づけを行い、学習支援をするという研究(論文:松原、国狭、長町、「ITSにおけるモチベーションシステムとルールの獲得手法FREGA」, 人工知能学会誌、Vol. 10 No. 3…下記非特許文献1)もある。しかし、これも、学習指導要求と実際の学習行動との対応に基づいた学習支援を提案するものではない。
【0007】
また、本発明者のうちの一人は、学習者の学習動作履歴から学習者の心理要素を把握して学習支援を行うシステムを提案した(特開2002-244545号公報…下記特許文献5)。しかし、これも、学習指導要求と実際の学習行動との対応に基づいた学習支援を提案するものではない。
【0008】
さらに、前記した各文献記載の技術は、学習指導要求と学習行動との照合によって、学習指導要求に対する達成の状況を分析して、学習者の心理を推定するものではない。

【特許文献1】特開2004-5322号公報
【特許文献2】特開平11-84997号公報
【特許文献3】特開2000-321965号公報
【特許文献4】特開2001-133281号公報
【特許文献5】特開2002-244545号公報
【非特許文献1】松原、国狭、長町、「ITSにおけるモチベーションシステムとルールの獲得手法FREGA」, 人工知能学会誌、Vol. 10 No. 3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記の状況に鑑みてなされたもので、学習指導要求と実際の学習行動との対応に基づいた学習支援が可能となるシステム、方法及びコンピュータプログラムを提供しようとするものである。
【0010】
本発明の他の目的は、学習指導要求と実際の学習行動との対応に基づいて、学習者の学習状況と心理状態を把握することができ、学習者の学習状況と心理状態とに応じて、各学習者に適切な学習支援を可能にするということである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の学習支援システムは、学習指導要求データベースと、学習行動履歴データベースと、収集部と、照合部と、支援部と、支援方策データベースと、心理モデルデータベースと、分析部と、出力部とを備えている。前記学習指導要求データベースは、学習者に対する学習指導要求を記録するものである。前記学習行動履歴データベースは、前記学習者の学習行動の履歴を記録するものである。前記収集部は、前記学習行動履歴データベースに入力される前記学習者の学習行動を収集するものである。前記照合部は、前記学習指導要求データベースに記録された学習指導要求と、前記学習行動履歴データベースに記録された学習行動履歴とを照合して、その結果を前記支援部に送るものである。前記支援方策データベースは、学習者に対する基本支援と、学習者の心理状態に対応して支援内容を変更するための心理支援とを記録するものである。前記心理モデルデータベースは、前記学習者における葛藤のタイプと大きさとを示す指標を記録するものである。前記分析部は、前記学習行動履歴データべースに記録された特徴的な動作に基づいてポイントを付与することによって、葛藤の大きさをタイプ毎に推定し、その結果を示す指標を前記心理モデルデータベースに記録するものである。前記支援部は、前記照合部における照合結果に基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記学習者に対する前記基本支援特定するものである。かつ、前記支援部は、前記心理モデルデータベースに記録された前記葛藤のタイプ及び大きさに基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記基本支援に適用されるべき前記心理支援を特定するものである。さらに、前記支援部は、前記特定された前記心理支援に基づいて、前記基本支援の内容を変更するものである。前記出力部は、変更された前記基本支援の内容を前記学習者に提示するものである
【0012】
請求項2記載の学習支援システムは、請求項1記載のものであって、前記心理モデルデータベースが、前記学習者のタイプを示す指標をさらに記録するものである。前記分析部は、前記学習行動履歴データべースに記録された特徴的な動作に基づいてポイントを変化させることによって、学習者のタイプを推定し、その結果を示す指標を前記心理モデルデータベースにさらに記録するものである。前記支援部は、前記心理モデルデータベースに記録された前記学習者のタイプにさらに基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記基本支援に適用されるべき前記心理支援を特定するものである
【0013】
請求項3記載の学習支援システムは、請求項1または2に記載のものであって、学習スタイルデータベースと、学習指導要求設定部とをさらに備えている。前記学習スタイルデータベースは、学習指導要求の入力者に対して呈示される入力用テンプレート又は入力支援情報を、前記学習者の学習スタイル毎に記録するものである。前記学習指導要求設定部は、前記学習スタイルデータベースに記録された入力用テンプレート又は入力支援情報を、前記学習者の学習スタイル毎に入力者に呈示し、かつ、入力者からの学習指導要求の入力を受け付けるものである。
【0014】
請求項4記載の学習支援システムは、請求項1~3のいずれか1項に記載のものであって、前記支援部における支援の項目数が一定のしきい値を超えた時に、前記学習指導要求データベースにおける学習指導要求を変更するものとなっている。
【0015】
請求項5記載の学習支援システムは、請求項1~4のいずれか1項に記載のものであって、前記葛藤の大きさの推定が、葛藤以外を含む特徴的動作に対する全体ポイントと、葛藤の特徴動作に対するポイントとの比率に基づく数値を用いて行われるものである。
【0019】
請求項6記載の学習支援方法は、請求項1に記載の学習支援システムを用いた学習支援方法であって、以下のステップを備えている:
(1)前記収集部が、前記学習行動履歴データベースに、前記収集部で収集された前記学習者の学習行動の履歴を記録するステップ;
(2)前記照合部により、前記学習指導要求データベースに記録された学習指導要求と、前記学習行動履歴データベースに記録された学習行動履歴とを照合して、その結果を前記照合部が学習状況モデルデータベースに記録し、前記支援部が前記学習状況モデルデータベースから前記照合の結果を参照することによって、前記照合部が前記照合の結果を前記支援部に送るステップ;
(3)前記分析部が、前記学習行動履歴データべースに記録された特徴的な動作に基づいてポイントを付与することによって、葛藤の大きさをタイプ毎に推定し、その結果を示す指標を前記心理モデルデータベースに記録するステップ;
(4)前記支援部が、前記照合部における照合結果に基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記学習者に対する前記基本支援を特定するステップ;
(5)前記支援部が、前記心理モデルデータベースに記録された前記葛藤のタイプ及び大きさに基づいて、前記支援方策データベースを検索することにより、前記基本支援に適用されるべき前記心理支援を特定するステップ;
(6)前記支援部が、前記特定された前記心理支援に基づいて、前記学習者に提示されるべき前記基本支援の内容を変更するステップ。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、学習指導要求と実際の学習行動との対応に基づいた学習支援が可能となるシステム、方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、学習指導要求と実際の学習行動との対応に基づいて、学習者の学習状況と心理状態を把握することにより、学習者の学習状況と心理状態とに応じて、各学習者に適切な学習支援が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施形態の構成)
本実施形態に係る学習支援システムは、図1に示されるように、学習指導要求設定部1と、収集部2と、出力部3と、照合部4と、分析部5と、支援部6と、学習内容データベース7と、学習スタイルデータベース8と、学習行動履歴データベース9と、学習指導要求データベース10と、学習状況モデルデータベース11と、心理モデルデータベース12と、支援方策データベース13とを主要な構成要素として備えている。
【0026】
本学習支援システムの利用者には、主に、学習者と指導者がいる。指導者は、学習指導要求を設定する。学習者は、基本的に前記学習指導要求にしたがって、自習の形で学習する。本支援システムは、各学習者の行動履歴を収集し、学習者別に記録し、各学習者の学習指導要求に対する達成状況に基づいて、個人に応じた支援を呈示する。
【0027】
学習指導要求設定部1は、学習スタイルデータベース8に記録された入力用テンプレート又は入力支援情報を入力者に呈示し、かつ、入力者からの学習指導要求の入力を受け付けるものである。学習指導要求設定部1における前記入力者は、指導者と想定される。指導者は、例えば、親、上司、先生などである。また、学習者本人によって自分の学習に対する要求(例えば、学習スケジュール)として、学習指導要求を入力してもよい。学習指導要求設定部1は、例えば、入力用の端末により構成される。学習指導要求設定部1の詳しい動作は、後述する実施形態の動作において説明する。他の構成要素についても同様である。
【0028】
収集部2は、学習行動履歴データベース9に入力される、学習者の学習行動を収集するものである。収集部2は、学習動作収集部21と、操作部22とを備えている。学習動作収集部21は、例えば、カメラ、センサー、RF-IDタグ、RF-IDリーダ/ライタであるが、これらには限られない。学習動作収集部21としては、学習者の行動を取得できるものであればよく、学習動作収集部を学習環境に設置したり、学習の対象物や学習道具自体に組み込んだりして、これによって学習者の動作を自動的に収集することも可能である。
【0029】
操作部22は、学習者の入力動作を受け付けるものであり、たとえばキーボード、マウス、タッチパッド、マイクなどの適宜な入力機器である。
【0030】
収集部2は、収集した学習行動や入力操作を、学習行動履歴データベース9に入力する。もちろん、収集部2と学習行動履歴データベース9との間にサーバやネットワークが介在していても良い。収集部2は、通常は、学習者の部屋に配置される。
【0031】
収集部2によって、例えば、どの学習者がいつからいつまでどこでどういうものを利用して何の学習活動をしたかというような学習者の行動履歴の収集ができる。
【0032】
出力部3は、画像・音声・光・振動などの適宜な手段により、学習者に対して情報を伝達するものである。前記情報は、例えば、学習の内容や学習者への支援情報などである。
【0033】
出力部3は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、ライト、振動装置またはこれらの組み合わせである。さらには、音や光等を出力する学習対象物や学習道具自体により、出力部3を構成しても良い。
【0034】
照合部4は、学習指導要求データベース10に記録された学習指導要求と、学習行動履歴データベース9に記録された学習行動履歴とを照合して、その結果を学習状況モデルデータベース11に記録するものである。照合の結果は、学習者の学習指導要求に対する達成状況を反映している。照合部4は、例えば、サーバ中に、適宜なコンピュータソフトウエアおよびハードウエアを用いて構成される。これに限らず、照合部4は、携帯電話やPDAのような装着型デバイスと、センサ、RF-ID、アクチュエータなどを用いる埋め込み型デバイスとの両方又はいずれかを用いたユビキタス環境によっても構成することが可能である。
【0035】
分析部5は、前記収集部2が収集した学習行動履歴又は前記照合部の照合結果に基づいて、学習者の心理モデル(心理状態)を示す指標を推定し、その結果を心理モデルデータベース12に記録するものである。具体的には、分析部5は、この実施形態においては、葛藤の推定、学習者タイプの推定及び興味の推定を行う。分析部5も、照合部4と同様に、例えば、サーバ中、又は、ユビキタス環境によって構成することが可能である。
【0036】
支援部6は、照合部4における照合結果に基づいて、学習者に対する支援内容を決定するものである。具体的には、支援部6は、照合部4での照合結果に基づいて、支援方策データベース13から支援内容を検索する。検索された支援内容は、出力部3に送られ、出力部3によって学習者に呈示される。また、前記支援内容は、分析部5によって把握された学習者の心理状態によって、選択または加工されることがある。支援部6も、照合部4と同様に、例えば、サーバ中、又は、ユビキタス環境によって構成することが可能である。
【0037】
学習内容データベース7は、学習において行うべき事柄を記録しているものである。学習内容データベース7に記録される事項の一例を図2に示す。ここでは、跳び箱を跳ぶという学習に関する学習内容が記録されている。この例では、学習項目、現状と目的、使い方、指針、注意事項が記載されている。また、類似学習に関する学習内容も記載されている。
【0038】
学習スタイルデータベース8は、学習指導要求の入力者に対して呈示される入力用テンプレート又は入力支援情報を記録するものである。学習スタイルデータベース8に記録される入力支援情報の一例を図3に示す。ここでは、各種の学習スタイル及び学習者のタイプ毎に、どのような指針で学習指導要求を作成すべきかという情報が記録されている。この例では、典型的な学習スタイルの例として、(1)ゴール達成型、(2)探索発見型、(3)基礎付け型、(4)興味中心型が示されている。
【0039】
ゴール達成型とは、受験勉強のように、一定の期間で一定の目標を達成するというスタイルである。探索発見型とは、達成しなければならない具体的な学習目標よりも、探索や発見そのものが目的になっている学習スタイルである。基礎付け型とは、学習する項目(知識)をしっかり身に付けることを目的とした学習スタイルである。興味中心型とは、リラックスしながら、楽しむことを目的とした学習スタイルである。もちろん、これら4つの学習スタイルに限る必要はなく、これらを組み合わせることや、他の学習スタイルを取り入れることも可能である。
【0040】
さらに、学習スタイルデータベース8における入力用テンプレートの一例を図4(a)~(e)に示す。この例では、学習スタイル、学習者タイプ、イベント種類、時間の規制、場所等の入力事項を、出力部3における画面上に示すことができるようになっている。さらに、この例では、これらの入力事項を、プルダウンメニューで示すようになっている。また、各画面において参照ボタンを押すと、学習指導要求データベース10における記録内容を参照できるようになっている。学習スタイルと学習者のタイプに対応して異なるテンプレートを提供することも可能である。
【0041】
ここで、前記イベントとは、所定の時間と場所で行われる学習活動のことである。例えば、15:00から16:00まで自宅で数学の宿題をやることや17:00までにピアノの練習をするなどである。習いごと、体育活動、遊戯なども、広い意味で学習のイベントと考える。
【0042】
学習行動履歴データベース9は、収集部2から送られた学習者の学習行動履歴を記録するものである。学習行動履歴データベース9の具体例を図5に示す。この例では、イベント毎に、学習者、時間、場所、使用した物(アイテム)、完成状況が記録されている。もちろん、記録する内容はこれらに限らない。
【0043】
学習指導要求データベース10は、学習者に対する学習指導要求を記録するものである。学習指導要求データベース10の具体例を図6に示す。この例では、イベント毎に、イベント開始の締め切り時刻、最早の開始時間、最短の学習時間、最長学習時間、他のイベントとの前後関係や順番、場所、使用すべき物(アイテム)、注意・禁止事項、重要度などの情報が記録されている。学習指導要求は、各学習イベントに関して学習時間、場所、制限などの適宜な条件を指定するものである。また、学習指導要求は、イベント間の順番を指定する学習スケジュールも含んでいる。
【0044】
学習状況モデルデータベース11は、照合部4で照合した結果を記録するものである。学習状況モデルデータベース11の具体例を図7に示す。この例では、学習行動の開始が適切であったかどうか、実際の学習時間が適切であったかどうか、イベントの前後順番に関する指定を守っているかどうか、場所の間違いや使用するものの間違いがあるかどうか、または、禁止事項に対する違反があるかについての判断結果などを記録している。もちろん、学習状況モデルデータベース11は、他の情報(例えば、学習イベントの開始を促すべきかどうかについての判断結果など)を記録していても良い。
【0045】
心理モデルデータベース12は、学習者の心理モデル(心理状態)を示す指標(一般的には定量的指標であるが定性的指標であってもよい)を記録するものである。心理モデルデータベース12は、この例では、葛藤を示すモデル、学習者タイプを示すモデル、興味を示すモデルを含んでいる。つまりこの例では、心理モデルを示す指標として、葛藤と学習者タイプと興味とを示す指標が選択されている。
【0046】
葛藤を示すモデルの一例を図8に示す。この例では、葛藤に関する各種の数値を、短期でのものと長期でのものに分けて記録している。数値の大きさは葛藤の大きさを示している。葛藤を示す数値は、収集部2で収集された学習者の行動や、学習指導要求の達成状況を反映する前記照合部4の照合結果や、学習者へのアンケートをポイント化し、そのポイントを集計して算出している。短期とは、例えば、当日のことであり、長期とは、例えば、3ヶ月間のことである。数値は、「葛藤の特徴動作ではないものに対するポイントを含む全体ポイント」に対して、葛藤の特徴動作に付与するポイントが占める比率で示されている。さらに、短期でのものと長期でのものの平均値で葛藤の程度を表す。もちろん、他の方法で(例えば、長期と短期のものに重みを付けて)総合判断をしてもよい。
【0047】
葛藤のタイプの意味は以下の通りである。
・接近・接近型:2つのゴールがあり、どちらもやりたくて、迷っている状況である。例えば、大好きなピアノを練習するか、楽しいゲームをやるかという場合である。
・回避・回避型:2つのゴールがあり、どちらもやりたくない状態である。例えば、ランドセルの片づけは面倒くさく感じ、やりたくないが、放置するならしかられる心配がある場合である。
・接近・回避型:一つのゴールしかなく、そのゴールを実現したいが、実現するには困難と感じる状況である。例えば、跳び箱を飛びたいが、段が高くなるにつれて、怖くて飛べる自信がなくなるという場合である。
・複合型:以上の1つ以上のタイプを複合するタイプである。
【0048】
学習者タイプを示すモデルの一例を図9に示す。この例では、学習者タイプに関する各種の数値を、短期でのものと長期でのものに分けて記録している。数値の大きさは、学習者タイプに属する度合いを示している。学習者タイプを示す数値は、収集部2で収集された学習者の行動や、学習指導要求の達成状況を反映する前記照合部の照合結果や、学習者へのアンケート結果をポイント化し、そのポイントを集計して算出している。短期・長期の意味は葛藤の場合と同様である。数値は、各タイプの全体の合計ポイントに対して、各タイプに付与されるポイントが占める比率で示されている。さらに、短期でのものと長期でのものの平均値の最大値を用いて、タイプを推定する。
【0049】
学習者タイプの意味は以下の通りである。
・生真面目タイプ:真剣さが高いが、自信度が低いタイプである。
・無頓着タイプ:自信度が高いが、真剣さが欠けているタイプである。
・好奇心タイプ:自信度と真剣さがともに高いタイプである。
・無気力タイプ:自信度と真剣さがともに低いタイプである。
・普通タイプ:上記のいずれでもないタイプである。
【0050】
興味を示すモデルの一例としては、以下のものがある。
・数学の学習: 3;
・ゲームの遊戯: 5;
・ピアノの練習: 2;
・国語の学習: -1。
【0051】
この例では、興味のモデルは、「興味の項目」と「興味の度合いを表す数値」とのペアのリストによって示されている。数値の大きさは興味の大きさを示している。マイナスの数字は、嫌いな程度を示している。興味を示す数値は、収集部2で収集された学習者の行動や、学習指導要求の達成状況を反映する前記照合部の照合結果や、学習者へのアンケートをポイント化し、そのポイントを集計して算出している。
【0052】
支援方策データベース13は、学習者に対する支援内容を記録するものである。支援方策データベース13の具体例を図10に示す。支援方策データベース13は、例えば、学習者が予告時刻または締切時刻または警告時刻までに学習イベントを開始していない場合に、予告、催促、または、警告する方策を記録している。同様に、他の状況(例えば、学習場所の間違いや使用するものの間違いまたは忘れがある場合)に対しても、指摘などの支援方策を記録している。また、学習者の学習の状況に応じてスコアを付与する方法(基準ないし算出式)も記録している。ここで、スコアとは、休憩時間、遊戯時間、その他の褒美(ゲームソフトなど)などの賞罰内容を選択又は加工するための指標である。スコアは、学習者にインセンティブを与える手段の一つである。
【0053】
ここでは、さらに、学習者のタイプに対応して、種々の支援方策が格納されている。支援方策の一例は以下の通りである。
・生真面目タイプの学習者に対する予告:「予告です」
・無頓着タイプの学習者に対する予告:「忘れていませんか」
【0054】
この実施形態では、支援方策データベース13は、支援内容の呈示方法も記録している。呈示方法の一例を図11(a)および(b)に示す。イベントの重要度及び緊急度に応じて、学習者に対する呈示方法を、これらの図に示すように変更することができる。前記イベントの重要度は、学習指導要求において指定されたものである。前記緊急度は、締切時刻を用いて算出される。また、各種の支援に優先順位を設けることができる。例えば、適切な学習行動の強化をするために、賞賛の支援は最優先に行われることが好ましい。
【0055】
前記した各種のデータベースは、例えばサーバ中に構築されていても良いし、ネットワークを介して分散配置されていても良い。それに限らず、各データベースは、携帯電話やPDAのような装着型デバイスと、センサ、RF-ID、アクチュエータなどを用いる埋め込み型デバイスとの両方又はいずれかを用いたユビキタス環境によっても構成することが可能である。要するに、これらのデータベースは、コンピュータにより利用可能になっていれば良い。
【0056】
(実施形態の動作)
つぎに、前記構成のシステムを用いた学習支援方法について説明する。この方法の全体的な流れを図12に示す。以下においては、図12での流れに沿って、各ステップについて詳述する。
【0057】
(ステップ12-1:学習指導要求の設定)
まず、学習指導要求データベース10に、学習者に対する学習指導要求を記録する。この動作の一例を図13に示す。
【0058】
ステップ12-1においては、まず、学習スタイルデータベース8を用いて、テンプレートや入力指針を、学習指導要求設定部1を介して指導者に呈示する(ステップ13-1)。指導者は、テンプレートや入力指針を活用して、学習指導要求を入力する(ステップ13-2)。入力された学習指導要求を記録することにより、指導者の指導要求に対応した学習指導要求データベース10を構成することができる(ステップ13-3)。
【0059】
(ステップ12-2:学習動作の収集)
つぎに、収集部2により、学習者の学習動作を収集する。収集部2は、収集された各種の動作や入力結果などの情報を、学習行動履歴データベース9に記録する。ステップ12-2における収集や記録の動作は、後述のステップにおいても継続され、別途設定される終了時期が来た時に終了する。例えば、学習者のすべての学習活動が終了した場合に、収集が終了する。学習活動が再開すると、収集が再開する。
【0060】
(ステップ12-3:学習指導要求と学習動作との照合)
つぎに、照合部4は、学習指導要求と学習動作とを照合する。この動作の一例を図14に示す。具体的には、照合部4は、学習行動があった場合、または、所定の時刻が到来した場合に照合動作を行う(ステップ14-1)。すなわち、照合部4の動作には、イベントドリブンで動作する場合と、タイムドリブンで動作する場合とがある。
【0061】
始めに、タイムドリブンでの照合動作の例を示す。
・イベント開始の判断:所定の時刻が到来した時に、学習指導要求に記録された学習動作を行っているかどうかの照合を行う(ステップ14-2)。学習動作を行っているかどうかの判断は、例えば、学習者と学習アイテムとの距離、学習者からの入力状況などの情報に基づいて行うことができる。照合した結果は、学習状況モデルデータベース11に記録される(ステップ14-3)。前記所定の時刻とは、イベントの開始時刻やイベント開始の予告時刻(例えば、締切時刻の30分前)や締切時刻後の警告時刻(例えば30分後)などを含む。
・所要時間の判断:イベントが開始された後、終了すべき時間が到来した時に、その時の動作と学習指導要求とを照合する(ステップ14-2)。照合した結果は、前記と同様に、学習状況モデルデータベース11に記録される(ステップ14-3)。例えば、所要時間を超えて学習動作が続いていると、その旨を学習状況モデルデータベース11に記録する。
【0062】
同様に、他の学習動作についても、同様の照合動作を行う。
【0063】
タイムドリブンによる照合の結果は、例えば、学習者が予告時刻または締切時刻または警告時刻までに学習イベントを開始したかどうか、または、実際の学習時間が学習指導要求に指定された最長時間を超えたかどうかなどを示すものである。前記照合の結果は、学習状況モデルデータベース11に記録される。図7(b)は、図6の学習指導要求の例と図5の学習行動履歴の例に基づいたタイムドリブンによる照合の結果の例を示している。
【0064】
イベントドリブンでの照合動作の例を以下に示す。
・学習イベント開始時刻の判断:学習動作が行われたことを検知すると、照合部は、その開始時間が、学習指導要求データベース10の中の学習指導要求に適合するかを照合する(ステップ14-2)。学習動作が行われたかどうかの判断は、例えば、学習者と学習アイテムとの距離、学習者からの入力状況などの情報に基づいて行うことができる。照合した結果(例えば「早すぎる」)は、タイムドリブンの場合と同様に、学習状況モデルデータベース11に記録される(ステップ14-3)。
【0065】
同様に、他の学習動作(例えば、学習場所、使用する物、間違いの有無、禁止事項の有無、イベント間の順番等)についても、学習動作が発生した時に、照合部4が照合動作を行う。
【0066】
イベントドリブンによる照合の結果とは、例えば、
・学習行動の開始が適切であったか、早すぎたか、ぎりぎりであったか、または、遅れたか
・学習時間が過度に短いかどうか、
・学習場所の間違いや使用するものの忘れと間違いがあるかどうか、
・イベント間の順番は間違っているかどうか
などである。図7(a)は、図6の学習指導要求の例と図5の学習行動履歴の例に基づいたイベントドリブンによる照合の結果の例を示している。
【0067】
(ステップ12-4:行動分析)
一方、この実施形態では、照合動作や後述の支援動作に並行して、分析部5による行動分析が行われる。行動分析の概略的な流れを図15に示す。まず、ステップ12-2に記載したように学習動作が取得され、学習動作が学習行動履歴データベース9に記録される。すると、分析部5は、この実施形態では、葛藤の推定(ステップ15-1)、学習者タイプの推定(ステップ15-2)及び興味の推定(ステップ15-3)という三種類の分析を行う。分析の種類や数はこれらに限定されない。分析の結果は、数値化されて(つまり指標として)、心理モデルデータベース12に記録される(ステップ15-4)。この実施形態では、分析部5は、心理モデルデータベース12を介して、分析結果を支援部6に送っていることになる。以下においては、それぞれの推定動作の概略を説明する。
【0068】
(葛藤の推定)
まず、葛藤の推定方法の一例を図16に示す。この方法においては、学習行動履歴データベース9に記録された行動を評価する。例えば、葛藤の発生しやすい状況があったときや葛藤の特徴動作を行った場合に、その状況と動作に基づいて、ポイントを付与する。そのポイントの合計値を用いて、葛藤の有無と程度を推定する。例えば、ポイントが一定の敷居値を超えた場合に葛藤状態であると推定し、ポイントが大きいほど、葛藤の程度が高いと推定する。同様に、葛藤における各種のタイプでの特徴的動作を行った場合に、その動作に基づいて、葛藤の各タイプにポイントを付与する。各ポイントの合計値に基づいて、葛藤のタイプを推定することができる(図8参照)。葛藤の推定においては、学習者タイプに基づく補正値をポイントに導入することもできる。
【0069】
(学習者タイプの推定)
学習者タイプの推定方法の一例を図17に示す。ここに示されるように、学習行動履歴データベース9において、学習者の各タイプに特徴的な動作が記録されたときに、当該タイプの評価値を増減する。各タイプの合計値を用いて、学習者タイプの推定を行うことができる(図9参照)。
【0070】
(興味の推定)
興味の推定方法の一例を図18に示す。ここに示されるように、学習行動履歴データベース9において、興味度の増減に関係する所定の動作が記録されたときに、当該イベントにおける興味度を増減する。興味度の合計値を用いて、イベントに関する興味の推定を行うことができる。
【0071】
(ステップ12-5:支援)
つぎに、この実施形態では、ステップ12-3における照合の結果と、ステップ12-4における行動分析の結果とに基づいて、学習者への支援が支援部6により行われる。支援の概略的な流れを図19に示す。
【0072】
まず、学習状況モデルの記録又はその更新が行われると(ステップ19-1)、支援部6は、学習状況(具体的には学習動作、開始時間、経過時間など)に対応した基本学習支援を生成する(ステップ19-2)。基本学習支援の生成は、学習状況に対応した支援を支援方策データベース13から抽出することにより行うことができる。基本学習支援の例を以下に示す。
・学習イベント(例えば、宿題)を要求通りに完成した時:賞賛
・学習イベント開始後、完了予定時刻の10分前:終わるように催促
・学習イベントの開始が早すぎた、ぎりぎりであった、または、遅れた場合:状況の指摘・学習時間が過度に短い場合:さらなる学習の促し
・学習者が予告時刻または締切時刻または警告時刻までに学習イベントを開始していない場合:予告、催促、または、警告、必要な場合に指導者への連絡
【0073】
前記学習支援とともに、賞賛の場合に、スコアの増加を、指摘や促しや警告などの場合にスコアの減少を行う(図10参照)。
【0074】
生成された基本支援は、キューに格納される。
【0075】
ついで、支援部6は、基本支援に対して心理支援を適用する(ステップ19-3)。このステップにおいては、支援部6は、心理モデルデータベース12に記録された、学習者の心理モデル(すなわち葛藤、学習者タイプ及び興味)に基づいて、基本支援の内容や口調を加工し、又は、スコアの増減の程度を変更する。
【0076】
前提として、支援方策データベース13には、葛藤や学習者タイプに対応して、その支援情報をどのように加工するかの指針(図10)と、どのように呈示するかの指針とが記録されている。この支援の呈示指針としては、例えば図11に示されているが、他には、次のようなものがある。
・学習者タイプが生真面目である場合:促しは弱くする;賞賛は強くする;不十分であるとの指摘は出さない;間違いの指摘は弱くするなど。
・学習者タイプが無頓着である場合:促しは強くする;賞賛は弱くする;不十分であるとの指摘は頻繁に出す;間違いの指摘は強くするなど。
【0077】
他の学習者タイプについても、同様に、対応する指針が記録されている。また、学習者タイプ以外の心理モデルについても、対応する指針が記録されている。
【0078】
例えば、予定された宿題の開始時刻が近づいて学習を開始しなければならないと思いながら、やっているゲームをやめたくないという葛藤に対して、学習の催促とゲームの終了の促しをより強くする。ゲームの時間の超過に対してスコアの減点幅を上げ、学習の開始に対してスコアを増加する。さらに、興味の項目などを利用して、過去において類似する宿題に対する面白い経験を呈示し、内的な動機づけをおこなうことも可能である。
【0079】
支援部6は、心理モデルデータベース12の内容に基づいて、支援において採用すべき指針を取得し、この指針に基づいて、キューに格納された基本支援を変更(選択又は加工)する。変更の内容は、例えば次の通りである。
・キューに格納された支援の順序を変更する。
・キューに格納された支援を削除する。
・支援の表示方法を変更する(例えば音量を増やす、発光を付随させる、警告音を出すなど)。
・タイプや葛藤の状況に応じて、スコアの増減幅を変更する。
【0080】
また、支援部6は、スコアの値に対応して、学習者への賞罰内容を選択したり、内容を加工したりすることができる。
【0081】
さらに、支援部6は、このようにして最終的にキューに格納されている支援内容を、キューの先頭からの順序で、一定の時間間隔を置いて、出力部3を介して学習者に呈示する(ステップ19-4)。
【0082】
既に学習指導要求におけるスケジュールが組まれていたとしても、実際には、実行困難な場合がある。例えば、体調の不具合や予想外のできごとなどでスケジュールの遂行に大きな影響を起こした場合または葛藤の程度が大きい場合などである。そのときに、学習行動が学習指導要求に追いつかなく、キューに支援項目が増え続ける。そのとき、頻繁に支援を呈示すると、逆に学習を妨げることがある。それを防ぐために、支援部6は、キューにおける支援項目数が一定のしきい値を超えたときに、学習指導要求データベース10における学習指導要求を動的に変更(例えば、繰下げ、削除など)することができる。
【0083】
以上の各ステップの処理は、学習者の学習活動が続いている間、絶えず行われるものである。また、各ステップは、平行に動作するモジュールとして実装され、並行に処理が行われてよい。そのときに、各ステップの処理結果は、上記のように、ステップ間にデータベースを介して渡されて、処理がパイプラインのように行われるものである。
【0084】
本実施形態の支援方法によれば、前記した通り、学習指導要求と実際の学習行動との対応に基づいた学習支援が可能となるという利点がある。
【0085】
また、本実施形態の支援方法によれば、学習者の行動を分析し、その結果(心理モデル)に応じた学習支援を行うことができるという利点もある。
【0086】
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0087】
例えば、前記した各構成要素は、機能ブロックとして存在していればよく、独立したハードウエアとして存在しなくても良い。また、実装方法としては、ハードウエアを用いてもコンピュータソフトウエアを用いても良い。さらに、本発明における一つの機能要素が複数の機能要素の集合によって実現されても良く、本発明における複数の機能要素が一つの機能要素により実現されても良い。
【0088】
また、機能要素は、物理的に離間した位置に配置されていてもよい。この場合、機能要素どうしがネットワークにより接続されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態における学習支援システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】学習内容データベースに記録される内容の一例を示す図である。
【図3】学習スタイルデータベースに記録される入力支援情報の一例を示す図である。
【図4】図(a)~(e)は、学習スタイルデータベースにおける入力用テンプレートの一例を示す図である。
【図5】学習行動履歴データベースに記録される学習行動履歴の一例を示す図である。
【図6】学習指導要求データベースに記録される学習指導要求の一例を示す図である。
【図7】学習状況モデルデータベースに記録される学習状況モデルの一例を示す図である。
【図8】葛藤を示すモデルの一例を示す図である。
【図9】学習者タイプを示すモデルの一例を示す図である。
【図10】支援方策データベースの一例を示す図である。
【図11】図(a)及び(b)は、呈示方法の一例を示す図である。
【図12】一実施形態における学習支援方法の全体的な流れを示すフローチャートである。
【図13】学習指導要求データベースに、学習者に対する学習指導要求を記録するための手順を説明するためのフローチャートである。
【図14】学習指導要求と学習動作とを照合する動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】行動分析の概略的な流れを説明するためのフローチャートである。
【図16】葛藤の推定方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図17】学習者タイプの推定方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図18】興味の推定方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図19】支援部による支援の概略的な流れを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1 学習指導要求設定部
2 収集部
21 学習動作収集部
22 操作部
3 出力部
4 照合部
5 分析部
6 支援部
7 学習内容データベース
8 学習スタイルデータベース
9 学習行動履歴データベース
10 学習指導要求データベース
11 学習状況モデルデータベース
12 心理モデルデータベース
13 支援方策データベース
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18