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明細書 :呼吸心拍監視装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4863047号 (P4863047)
公開番号 特開2007-061587 (P2007-061587A)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
発行日 平成24年1月25日(2012.1.25)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
発明の名称または考案の名称 呼吸心拍監視装置
国際特許分類 A61B   5/08        (2006.01)
A61B   5/11        (2006.01)
FI A61B 5/08
A61B 5/10 310A
請求項の数または発明の数 8
全頁数 13
出願番号 特願2005-291717 (P2005-291717)
出願日 平成17年9月1日(2005.9.1)
審査請求日 平成20年8月29日(2008.8.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506301140
【氏名又は名称】公立大学法人会津大学
発明者または考案者 【氏名】陳 文西
【氏名】朱 欣
【氏名】根本 鉄
審査官 【審査官】冨永 昌彦
参考文献・文献 特開2005-205023(JP,A)
王鋒,田中真美,長南征二,PVDFセンサを用いた睡眠時呼吸・心拍の無拘束無侵襲計測について,日本機械学会2001年度年次大会講演論文集(IV),日本,社団法人 日本機械学会,2001年 8月22日,2001,Vol.4,PAGE.263-264
調査した分野 A61B 5/08
A61B 5/11
特許請求の範囲 【請求項1】
計測された呼吸による圧力変化、及び心臓拍動による圧力変化の信号を収集し、ウェーブレット変換処理手法を用いて、収集した信号を分解するフィルタと再構成するフィルタを設け、呼吸関連の信号成分A6と心臓拍動関連の信号成分D4+D5に分離し、雑音を除去することによって呼吸数検出用の信号成分と心拍数検出用の信号成分を構成することを特徴とする呼吸心拍監視装置。
【請求項2】
複数のセンサから計測された信号に含まれる有用成分の波形パターンとの類似性が一番高いウェーブレット関数を用いて、高精度な結果が得られるように最適な信号分解用フィルタと構成用フィルタを備えたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸心拍監視装置。
【請求項3】
複数のセンサによって収集した呼吸と心臓拍動による圧力変化の信号に対してSQI(Signal Quality Index)を求め、SQIの最も高い信号を選択し、その出力を用いて呼吸数と心拍数を推定するよう構成し、体動によるアーチファクトが生じるSQIの低い信号に対して、呼吸数と心拍数の検出が不能な場合に、SQIの高い呼吸数と心拍数を用いて検出不能な呼吸数と心拍数を補間するように構成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の呼吸心拍監視装置
【請求項4】
一本のチューブを折り返し、このようなチューブ複数本を交互に配列したセンサユニットを設けることを特徴とする請求項3に記載の呼吸心拍監視装置。
【請求項5】
一本のチューブの折り返し幅を、被験体の大きさより広いよう構成することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の呼吸心拍監視装置。
【請求項6】
複数本のチューブを用いる場合、チューブの配置幅を被験体の大きさより間隔を狭く配置するよう構成することを特徴とする請求項3乃至請求項5に記載の呼吸心拍監視装置。
【請求項7】
呼吸運動と心臓拍動による圧力変化を頭部、小腿部、足部、臀部から検知するため、枕の下、小腿部、足部周辺、椅子およびその他の圧力変動が検知できる部位に設置するよう構成することを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の呼吸心拍監視装置。
【請求項8】
座位を取っている際に、椅子の背もたれ、椅子の座に設置するよう構成することを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の呼吸心拍監視装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、圧力検知素子を用いて検出された呼吸運動と心臓拍動に由来する圧力変化から呼吸数と心拍数を検出する監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベッド等のような寝具に複数個の振動検知型呼吸センサを敷いて、無拘束に呼吸信号を測定する。この呼吸信号の自己相関係数を求め、ある所定値以上になったら、呼吸信号が確実に計測されていることを判断した後、呼吸周期と呼吸数を解析し、睡眠時に発生する呼吸障害である無呼吸症を的確に判定する。
【0003】
特許文献2には、枕またはその近傍に複数の圧力センサを設置して、生体の呼吸に伴う頭部の動きに対応する圧力変化を検出する。検出された圧力変化の信号を処理して、生体の呼吸状態を間接的に検出することで、生体に負担をかけずに就寝者の呼吸状態の測定を可能にした。
【0004】
特許文献3には、睡眠の快適さを測定するため、枕に圧力センサを埋め込む。この圧力センサから検出された生体信号をLPF(Low Pass Filter)(カットオフ周波数=0.8Hz)、BPF(Band Pass Filter)(カットオフ周波数=0.8Hz~10Hz)とHPF(High Pass Filter)(カットオフ周波数=10Hz)を通過して、それぞれのフィルタの出力から呼吸の信号成分、心臓拍動の信号成分と体動やいびきの信号成分を抽出し、呼吸数、心拍数と体動レベルを算出して、睡眠の深さ、交感神経の活動度と副交感神経の活動度を算出し、睡眠の快適さを判定する。
【0005】

【特許文献1】特開平8-131421号公報
【特許文献2】特開2002-119496号公報
【特許文献3】特開2004-113329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
睡眠時呼吸、心拍と体動情報を収集するマット型や枕型の装置は圧力検知素子を用いて、増幅された圧力信号をLPF、BPF、HPFフィルタに通過させて、呼吸数、心拍数と体動レベルを検出する。しかし、上記のような複数の生体信号はスペクトルに重なり合う部分があるので、伝統的なアナログフィルタやデジタルフィルタ、周波数解析は、効果的に2つの信号を分離することは難しい。また、呼吸と心拍によるそれぞれの圧力変化は計測センサまでの伝達ルートが異なり、時間の遅れが発生するため、瞬時的な混合モデルに適用するICA(Independent Component Analysis)手法を用いて、呼吸関連成分と心拍関連成分を分離することも期待している良い結果が得られない。
【0007】
この発明は、ウェーブレット変換などのデジタル信号処理手法と特別な圧力センサユニット構造を用いて、座位、仰臥位や側臥位の姿勢を取っている際の呼吸運動と心臓拍動による圧力変化を感度良く計測し、最適な圧力信号を選択し、ビートバイビートの呼吸数と心拍数を高精度かつリアルタイムに推定すると同時に、推定した呼吸数と心拍数の信頼性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明では、計測された呼吸による圧力変化、及び心臓拍動による圧力変化の信号を収集し、ウェーブレット変換処理手法を用いて、収集した信号を分解するフィルタと再構成するフィルタを設け、呼吸関連の信号成分A6と心臓拍動関連の信号成分D4+D5に分離し、雑音を除去することによって呼吸数検出用の信号成分と心拍数検出用の信号成分を構成することを特徴とする。
【0011】
この発明では、複数のセンサから計測された信号に含まれる有用成分の波形パターンとの類似性が一番高いウェーブレット関数を用いて、高精度な結果が得られるように最適な信号分解用フィルタと構成用フィルタを備える
【0013】
この発明では、複数のセンサによって収集した呼吸と心臓拍動による圧力変化の信号に対してSQI(Signal Quality Index)を求め、SQIの最も高い信号を選択し、その出力を用いて呼吸数と心拍数を推定するよう構成し、体動によるアーチファクトが生じるSQIの低い信号に対して、呼吸数と心拍数の検出が不能な場合に、SQIの高い呼吸数と心拍数を用いて検出不能な呼吸数と心拍数を補間するように構成することを特徴とする
【0014】
この発明では、一本のチューブを折り返し、このようなチューブ複数本を交互に配列したセンサユニットを設けることを特徴とする一本のチューブの折り返し幅を、被験体の大きさより広いよう構成することを特徴とする
【0015】
この発明では、複数本のチューブを用いる場合、チューブの配置幅を被験体の大きさより間隔を狭く配置するよう構成する
【0017】
この発明では、呼吸運動と心臓拍動による圧力変化を頭部、小腿部、足部、臀部から検知するため、枕の下、小腿部、足部周辺、椅子およびその他の圧力変動が検知できる部位に設置するよう構成することを特徴とする。座位を取っている際に、椅子の背もたれ、椅子の座に設置するよう構成することを特徴とする
【0018】
この発明では、微小な圧力検知素子として、圧電素子、ストレインゲージ、キャパシティセンサなどが何れも使用可能である。使用状況に応じて、最適なものを選べば良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に図面を参照して、この発明の実施形態を説明する。
【0020】
この発明の監視装置は、コアとなる部分が特別な構造を持つセンサユニットと、このセンサユニットによって計測された信号を処理する手法である。
【0021】
センサユニットは図1に示してあるように、2枚のアクリル板1の間に2本のチューブ2が平行に配置され、圧力変化を感知する。チューブは非伸縮性のビニール製素材を用いて、中に脱気した水、または低粘度の油などの液体を充填した。チューブの一端に設置された圧力検知素子21の特定はしないが、感度とS/N性能の良いものを使えば良い。例えば、オムロンの微圧センサD8M-A1が一つの選択肢として考えられる。このようにして、広範囲にわたって圧力のセンシングが可能になる。
【0022】
図2に示してあるように、呼吸・心拍監視装置にセンサユニット20と電子回路がある。センサユニット20は2本のチューブとその中の圧力変化を感知する圧力検知素子21と、圧力検知素子21からの出力信号をそれぞれ増幅する圧力アンプ31と、増幅された圧力信号を処理するためのフロセッサ、このプロセッサが実行するコンピュータ・プログラムを格納する第1のメモリ(ROM)、およびプロセッサによる処理結果を記憶する第2のメモリ(RAM)を備える、監視装置に内蔵するデータ処理装置と、を備える。
【0023】
この発明によると、圧力検知素子によって検出された信号が内蔵の処理装置によって処理される。ユーザの呼吸動作と心臓拍動によるアクリル板に加わった微小な圧力変動が2本のチューブに検知され、圧力検知素子によって電気信号に変換され、A/D変換回路を経て、デジタル信号処理を施し、ユーザの呼吸数と心拍数をリアルタイムモニタリングすることができる。
【0024】
さらにこの発明の一形態においては、監視装置は、複数の圧力検知素子からの圧力変化信号が、それぞれの信号品質を表す指標SQIが計算され、SQIの最も高い圧力検知素子からの出力信号が選択され、その信号を用いて、ユーザの呼吸数と心拍数を解析することによって、最高の信頼性を持つ解析結果を得ることができる。SQIは計測された圧力変化信号のスペクトルのパターンによって決められる。即ち呼吸関連成分を表す0.1~0.3Hzの帯域にあるピークSPrと心拍成分を表す0.5~2.5Hzの帯域にあるピークSPhとの比率として定義されている。SQI=SPr/SPhの値が1に近いほど信号品質が良い。睡眠中に頭が枕から外れる際に、心拍数や呼吸数の計測は不可能となる。また、動きが激しい時も、アーチファクトが多く混入したため、計測値の信頼性が落ちてしまう。このような問題の対策として、SQIを用いて、計測された信号の信頼性を推定し、呼吸数と心拍数の推定結果の後処理に最適な方法を適用する。
【0025】
この発明の一形態においては、センサユニットは、枕の下に、又は椅子の背もたれや椅子の座に設置することができる。このようにして、ユーザは座位や臥位(仰臥位、側臥位)の何れの姿勢にしても、その呼吸数と心拍数を無拘束にモニタリングすることができる。
【0026】
この発明の一実施例においては、監視装置は、ユーザの携帯電話または携帯端末装置と通信する通信手段を備え、前記プロセッサによる処理の結果、該ユーザに異常が検出されるとき、該通信手段を起動して、データを前記携帯電話または携帯端末装置を介してヘルスケア等のような情報処理センタのコンピュータに送信するよう構成されている。
【0027】
さらに、この発明の一形態では、情報処理センタのコンピュータは、監視装置から送られてくるユーザの呼吸や心拍に関連する情報の受信に応じて、リアルタイムでこのデータを処理してユーザの状況を判定し、睡眠時、無呼吸症状が疑われたら、ユーザに助言メッセージを即時に送信することができる。また、車両(電車、バス、普通乗用車など)の運転席に設置し、運転手の呼吸や心拍をリアルタイムモニタリングすることによって、交通の安全を確保することができる。
【0028】
図3は、この発明の実施例に係るセンサユニットの枕式としての利用形態を示す。ユーザが普段の使用している枕4をセンサユニットの上に置き、ユーザが仰臥位や側臥位にしている際、睡眠時の呼吸動作と心臓拍動による微小な圧力変化が枕を通してアクリル板に伝え、アクリル板の間にある2本のチューブに検知され、信号品質指標SQIの最も高い圧力検知素子からの出力を用いて、呼吸数と心拍数を検出する。
【0029】
図4は、この発明の実施例に係るセンサユニットの椅子式としての利用形態を示す。
【0030】
図4(1)ではセンサユニット20は、椅子の背もたれに設置してある様子を示す。センサユニットは硬い椅子の背もたれに密着して固定する。ユーザの背中とセンサユニットの間に低反発スポンジ5を挟む。ユーザの呼吸動作と心臓拍動による微小な圧力変化がスポンジとの接触部よりスポンジを通してアクリル板に伝え、アクリル板の間にある2本のチューブに検知され、信号品質指標SQIの最も高い圧力検知素子からの出力を用いて、呼吸数と心拍数を検出する。
【0031】
図4(2)ではセンサユニット20は、椅子の座に設置してある様子を示す。センサユニットは硬い椅子の座に密着して固定する。ユーザの大腿・臀部とセンサユニットの間に低反発スポンジ5を挟む。ユーザの呼吸動作と心臓拍動による微小な圧力変化がスポンジとの接触部よりスポンジを通してアクリル板に伝え、アクリル板の間にある2本のチューブに検知され、信号品質指標SQIの最も高い圧力検知素子からの出力を用いて、呼吸数と心拍数を検出する。
【0032】
図5は、センサユニット20にある圧力検知素子から出力された圧力変化信号の2つの波形例を示す。第1チューブからの出力に呼吸リズムが見られるが、心臓拍動と関連リズムの信号成分が見当たらない。また、高周波雑音が混入されている。第2チューブからの出力に呼吸関連リズムと心拍関連リズムとも良く見られる。しかも、混入した高周波雑音が少ない。このように、信号品質の高い圧力検知素子からの出力を用いて、ウェーブレット変換処理を行い、呼吸数と心拍数を推定する。
【0033】
ウェーブレット変換の数学記述は下記の通りである。
JP0004863047B2_000002t.gif 但し、Wx(t)は変換後の信号を示す。x(τ)は元の信号を示す。Φ(t-τ/s)はウェーブレットの基底関数を示す。
【0034】
上記の連続式ウェーブレット変換を実際の応用時に以下の離散式で行う。
【0035】
圧力検知素子から検知された圧力変動成分はウェーブレット変換の入力信号として、D1とA1成分に分解される。次にA1成分はD2とA2に分解される。類似なプロセスを繰返して、最終的にDnとAnまで分解する。それから雑音を除去して、再び信号を構成する。再構成したAi(i≦n)の信号成分を用いて呼吸数の検出に使用する。再構成したDj(j≦n)とDk(k≦n,k≠j)の合成成分を用いて心拍数を検出する。
【0036】
信号分解用フィルタh、gと構成用フィルタh、gの係数は唯一ではなく、異なる方法によって設計されたフィルタはその係数も処理性能も違う。高精度な結果が得られるように最適なフィルタの係数を試行錯誤で決定する。計測された信号に対して、多数のウェーブレット関数を試み、その中から一番良い結果が出られるような関数を選択し、フィルタの係数を計算する。
【0037】
検出結果のパフォーマンスに影響の大きい要素としては、ウェーブレット関数と計測信号に含まれる有用成分の波形パターンとの類似性である。この類似性が高ければ高いほど、より良い検出パフォーマンスが期待できる。
【0038】
呼吸数を検出するための最適なA成分と心拍数を検出するための最適なD成分の決定は信号のサンプリング周波数に依存する。つまり、サンプリング周波数によって信号の構成用A成分とD成分は異なる。一例として、信号のサンプリング周波数は100Hzの場合、信号分解・構成用フィルタの係数h、gとh、gは下記の表1のように用いる。
【0039】
【表1】
JP0004863047B2_000003t.gif

【0040】
A成分の分解に下記の式を用いる。
JP0004863047B2_000004t.gifD成分の分解に下記の式を用いる。
JP0004863047B2_000005t.gif但し、Ax(n)は生計測信号を示す。
【0041】
図6は、D6とA6まで分解した場合のウェーブレット変換処理による圧力信号の分解プロセスを示す。
【0042】
雑音除去はソフト閾値法を用いて、下記の式で計算される。
y=sgn(x)(x・sgn(x)-th)
D5の閾値th=0.25σ(x)、D4の閾値th=0.75σ(x)。
但し、xは入力信号を示す。σは標準偏差を示す。
雑音を除去してから、信号の再構成を行う。
A成分の構成に下記の式を用いる。
【0043】
JP0004863047B2_000006t.gif 図7は、圧力信号をバッチ処理するフローチャートを示す。センサユニットからの増幅された圧力信号は量子化された後、デジタル信号処理を行う。2つの圧力検知素子からの生計測信号SとSを順次に処理器に取り込み71、それぞれの信号品質指標SQIとSQIを求め72、その中からSQIの高い信号を選択し73、解析信号として用いる74。解析信号にウェーブレット変換を行って75、D4とD5の雑音を除去した後76、逆ウェーブレット変換による信号を合成する77。A6を用いて呼吸関連の信号成分を構成し、呼吸数を求める。D4とD5を用いて心拍関連の信号成分を構成し、心拍数を求める78。
【0044】
図8は、生計測信号から「心拍成分」と「呼吸成分」をバッチ処理で分解・再構成した結果と、心拍数と呼吸数を検出するための検出特徴点を示す(マーク“●”)。また、検出結果を検証するため、リファレンス信号として指脈波と鼻熱流センサを用いて同時計測した結果も示してある。
【0045】
再構成した心拍成分からピーク検出法(波形の最大値)を用いて心拍数の検出特徴点“●”を求める。再構成した呼吸成分からゼロクロス法(信号の波形とゼロ基線との交差点を検出する手法)を用いて呼吸数の検出特徴点“●”を求める。
【0046】
図9は、リアルタイム処理フローを示す。一例として、サンプリング周波数は100Hzの場合、信号分解用フィルタの係数h、gと構成用フィルタの係数h、gは下記の表2の通りである。
【0047】
【表2】
JP0004863047B2_000007t.gif

【0048】
A成分の分解に下記の式を用いる。
JP0004863047B2_000008t.gifD成分の分解に下記の式を用いる。
JP0004863047B2_000009t.gif但し、Ax(n)は生計測信号を示す。H(・)はAx(n)またはDx(n)のZ変換、H(・)はhのZ変換、G(・)はgのZ変換。
【0049】
雑音除去はソフト閾値法を用いて、下記の式で計算される。
y=sgn(x)(x・sgn(x)-th)
D5の閾値th=0.25σ(x)、D4の閾値th=0.75σ(x)。
但し、xは入力信号を示す。σは標準偏差を示す。
雑音を除去してから、信号の再構成を行う。
A成分の構成に下記の式を用いる。
JP0004863047B2_000010t.gif(・)はhのZ変換、G(・)はgのZ変換。
【0050】
ウェーブレット変換の理論によると、信号分解用フィルタと構成用フィルタは以下の関係が成立する。
(Z)=-G(-Z)
(Z)=H(-Z)
さらに、リアルタイム処理をより高速に行うため、再構成のフィルタリング処理を行わず、直接にA6を呼吸成分として、呼吸数を求める;D4とD5成分それぞれの雑音を除去した後、位相のずれを調整してから、両者の和信号を心拍成分として、心拍数を求める。
【0051】
図10は、生計測信号から「心拍成分」と「呼吸成分」をリアルタイムに分解・再構成した結果と、心拍数と呼吸数を検出するための検出特徴点を示す(マーク“●”)。
【0052】
図11は、2本のチューブ111を折りまわして構成されたセンサユニットを示す。被験体113とセンサの位置が一定でないため、2本のチューブを折りまわし配列することにより、被験体113の位置が固定しなくても常に計測できる状態を維持できる。なお、チューブの折り返し幅(同じチューブの最小間隔)Aは、被験体の大きさCより広いよう配置されるため、同じチューブは被験体の2箇所と接触することはないよう構成される。一方、異なるチューブの最小間隔Bは、被験体の大きさCより狭いよう配置されるため、被験体は常に複数のチューブを跨って接触し、複数の圧力信号を検知できるよう構成される。チューブの数は限定されるものではない。
【0053】
図12は、複数(例えば、4×4)の圧力検知素子122から構成されたマトリックス型のセンサユニットを示す。圧力検知素子の数は限定されるものではない。圧力検知素子の種類は、圧電素子、ストレインゲージ、キャパシティセンサなどが何れも利用可能である。使用状況に応じて、最適なものを選べば良い。
【0054】
以上に、この発明の詳細を説明したが、上記の記述に例として挙げたフィルタの係数とサンプリング周波数は限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】センサユニット。
【図2】呼吸・心拍監視装置。
【図3】枕式監視装置。
【図4】(1)椅子(背もたれ)式監視装置。(2)椅子(座)式監視装置。
【図5】2つの圧力検知素子からの出力信号の例。
【図6】ウェーブレット変換による信号の分解プロセスにおける各信号成分。
【図7】バッチ処理フロー。
【図8】バッチ処理による心拍数と呼吸数の検出特徴点とリファレンス信号。
【図9】リアルタイム処理フロー。
【図10】リアルタイム処理による心拍数と呼吸数の検出。
【図11】複数のチューブ(例えば、2本)から構成される折りまわし型のセンサユニット。
【図12】複数の圧力検知素子(例えば、4×4)から構成されるマトリックス型のセンサユニット。
【符号の説明】
【0056】
1、112、121…アクリル板
2,111…チューブ
3…電子回路
4…枕
5…スポンジ
20…センサユニット
21,122…圧力検知素子
113…被験体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11