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明細書 :対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5048247号 (P5048247)
公開番号 特開2007-188279 (P2007-188279A)
登録日 平成24年7月27日(2012.7.27)
発行日 平成24年10月17日(2012.10.17)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
発明の名称または考案の名称 対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム
国際特許分類 G06K  17/00        (2006.01)
H04B   5/02        (2006.01)
H04B   1/59        (2006.01)
FI G06K 17/00 L
G06K 17/00 F
H04B 5/02
H04B 1/59
請求項の数または発明の数 3
全頁数 14
出願番号 特願2006-005599 (P2006-005599)
出願日 平成18年1月13日(2006.1.13)
審査請求日 平成21年1月7日(2009.1.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506301140
【氏名又は名称】公立大学法人会津大学
発明者または考案者 【氏名】石山 晶一
【氏名】一澤 泰平
【氏名】土佐 雅人
【氏名】程 子学
個別代理人の代理人 【識別番号】100118094、【弁理士】、【氏名又は名称】殿元 基城
審査官 【審査官】村田 充裕
参考文献・文献 特開2004-294338(JP,A)
特開2004-287718(JP,A)
特開平07-020237(JP,A)
調査した分野 G06K 17/00
H04B 1/59
H04B 5/02
B42D 15/10
特許請求の範囲 【請求項1】
無線ICタグとのデータ交信に用いられるアンテナと対象物の存在を検出する対物検出センサとが一体に形成された複数のセンサ・アンテナユニットと、
前記無線ICタグに対し、前記アンテナを介してタグ情報の読み込みまたは書き込みを行う、前記センサ・アンテナユニットの数より少ない数の複数のタグ情報読み書き手段と、
前記複数のセンサ・アンテナユニットアンテナと前記複数タグ情報読み書き手段とが接続手段を介してそれぞれ接続され、該接続手段により接続状態が切り替えられることにより、一のアンテナと一のタグ情報読み書き手段とを一組として接続させることができ、異なる組み合わせで複数組の接続を同時に行うことが可能なマトリックス式のアンテナ接続手段と、
該アンテナ接続手段の前記接続手段を制御することにより接続状態の切り替えを行う処理手段と、
を備え、
前記対物検出センサは、前記センサ・アンテナユニットを識別するための識別情報を有し、
前記処理手段は、前記対物検出センサが前記対象物を検出した場合に当該対物検出センサより前記識別情報を取得し、取得した識別情報に基づいて前記接続手段を制御することにより、前記対象物を検出した対物検出センサにおける前記センサ・アンテナユニットのアンテナと、いずれかの前記タグ情報読み書き手段とを接続させて、前記タグ情報の読み込み動作または書き込み動作を行わせること
を特徴とする無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム。
【請求項2】
前記複数のセンサ・アンテナユニットの配設位置と前記複数のセンサ・アンテナユニットの識別情報とが関連づけられた配設位置変換テーブルを記録する変換テーブル記録手段と、
前記タグ情報読み書き手段により読み出された前記無線ICタグのタグ情報を前記対象物に関するタグ情報として記録する情報記録手段とを備え、
前記処理手段は、前記対象物を検出した前記対物検出センサより取得された前記識別情報と、前記配設位置変換テーブルの配設位置の情報とに基づいて、前記対象物を検出した前記対物検出センサの配設位置を前記対象物の位置情報として特定し、前記情報記録手段に、前記対象物に関する前記タグ情報と前記位置情報とを関連づけて記録すること
を特徴とする請求項1に記載の無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム。
【請求項3】
前記処理手段は、
前記対象物に関する前記タグ情報と前記位置情報とに加えて、前記タグ情報の検出時間を時間情報として関連づけて記録させることにより、前記情報記録手段に履歴情報を記録させ、
前記タグ情報に基づいて特定される前記対象物の移動速度を、前記情報記録手段に記録される位置情報と時間情報との履歴情報に基づいて算出し、
算出された移動速度に基づいて、前記対象物が次に電波取得可能範囲に入りそうなアンテナと前記タグ情報読み書き手段とが接続されるように、前記アンテナ接続手段の接続手段を制御すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグとのデータ交信に用いられるアンテナと、アンテナを介して無線ICタグにタグ情報の読み込みまたは書き込みを行うタグ情報読み書き手段とを有する対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、人や物に関する個体情報等をタグ情報として無線ICタグに記録させ、必要に応じてこれらのタグ情報(個体情報)を非接触で無線ICタグより読み取ることによって、迅速に人や物の認証判断等を行うシステムが開発されている。具体的には、無線ICタグを、無線ICタグの探索動作を行っているRF-IDリーダやRF-IDライタのアンテナに意識的にかざすことによって、無線ICタグの個体情報(タグ情報)がRF-IDリーダ/ライタにより読み込み/書き込みされる構成となっている。
【0003】
RF-IDリーダ/ライタは、一般的にアンテナから10cm程度の近距離でのみ無線ICタグとのデータ交信が可能であり、ユーザが無線ICタグを意識的にアンテナにかざすことによって、データの交信を行うことが可能となっている。
【0004】
一方で、データ交信距離を広げるために、無線ICタグの電波を強くすることによってアンテナから20m程度の中距離までデータ交信が可能な製品が開発されている。さらに、RF-IDリーダ/ライタに対して複数のアンテナを設置することにより無線ICタグとのデータ交信可能範囲を広範囲へ広げようとする試みもなされている。
【0005】
しかしながら、RF-IDリーダ/ライタが複数のアンテナを有する場合には、一のアンテナによりデータの読み書きが行われた無線ICタグが、他のアンテナにおいて再度認識されてしまい、重複したデータの読み書きが行われてしまうおそれがあるという問題があった。このような重複した読み書きを防止するために、RF-IDリーダ/ライタに対して無応答の状態となるディープスリープ状態を無線ICタグに設け、RF-IDリーダ/ライタが他の無線ICタグと通信を行っている場合にその通信の妨害となることを防止すると共に、RF-IDリーダ/ライタにより重複認識されることを防止する方法が考案されている(例えば、特許得文献1参照)。
【0006】
また、複数のRF-IDリーダ/ライタを設けた場合、アンテナの近接するRF-IDリーダ/ライタが同時に動作した場合に電波干渉等が生じてしまい、正しく無線ICタグのタグ情報を読み書きすることができないおそれがあった。このような電波干渉を回避するために、例えば隣り合うアンテナから同時に電波が出力されないように、隣り合うアンテナの動作を交互に切替える方法が考案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
一方で、無線ICタグとRF-IDリーダ/ライタとを用いることによって、対象物(人や物)の空間位置に関する情報(位置情報)を取得しようとする試みがなされている。
【0008】
例えば、無線ICタグとRF-IDリーダ/ライタとのデータ交信に利用される電波の到来方向に基づいて、人や物の位置情報を取得しようとする方法(例えば、特許文献3参照)や、無線ICタグを建物、歩道等に多数設置するとともに、無線ICタグに緯度、経度等の位置情報を記録させ、RF-IDリーダで無線ICタグの位置情報を読み取ることによって現在位置を求める方法などが考案されている(例えば、特許文献4参照)。

【特許文献1】特開2005-102215号公報(第4-5頁)
【特許文献2】特開2005-157645号公報(第3-4頁、第2図)
【特許文献3】特開2005-291916号公報(第3-4頁)
【特許文献4】特開2005-189225号公報(第8-10頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、無線ICタグとRF-IDリーダ/ライタとを用いて位置情報を求める場合においては、電波の到来方向に基づいて対象物の位置情報を求める方法を用いても十分な位置精度を確保することが容易ではなく、RF-IDリーダ/ライタだけを用いて位置情報を求めることが困難であった。
【0010】
さらに、無線ICタグを建物、歩道等に多数設置するとともに、無線ICタグに緯度、経度等の位置情報を記録させ、RF-IDリーダで無線ICタグの位置情報を読み取ることによって現在位置を求める方法では、無線ICタグを有する対象物(人や物)側に、歩道等に設置された無線ICタグの位置情報を読み取るためのRF-IDリーダ/ライタを設置する必要がある。そのため、対象物(人や物)に関するタグ情報(個体情報)とその対象物の位置情報とを関連づけて記録したい場合には、対象物に設けられたRF-IDリーダ/ライタが読み込んだ位置情報を、対象物のタグ情報とは別に取得する必要が生ずるため、そのシステム構成が複雑になってしまうという問題があった。
【0011】
また、隣り合うアンテナの動作を切り替える方法は、そのアンテナの切り替え制御を一定間隔で積極的に行う必要が生ずるため、処理負担が増大してしまうという問題があった。
【0012】
さらに、アンテナの動作を切り替える場合であっても、いつ無線ICタグがアンテナの読み取り可能範囲に入ってくるかわからないため、RF-IDリーダ/ライタを短い時間周期で常時動作させておく必要があった。しかしながら、RF-IDリーダ/ライタを常時動作させることは、電波資源の利用効率やエネルギー消費量の抑制の観点から好ましいことではなく、また、常時動作するRF-IDリーダ/ライタが、他の機器に対するノイズ発生源となってしまうおそれがあるという問題があった。
【0013】
また、アンテナの動作を切り替える場合であっても、1つのRF-IDリーダ/ライタがアンテナを介して複数の無線ICタグの読み書き動作を行ってしまう場合には、電波干渉を起こして正しくデータの読み書きを行うことができないおそれがあるという問題があった。
【0014】
さらに、無線ICタグの電波を強くすることによって、データ交信距離を広げる場合や、複数のアンテナを設置することによってデータ交信距離を広げる場合には、複数の無線ICタグが同一のアンテナの交信可能範囲内に入ったときに電波干渉を起こしてしまうことを防止するためにアンチコリジョン機能を設ける必要があった。
【0015】
また、無線ICタグに対してディープスリープ状態を設ける方法は、無線ICタグの構造およびその制御が複雑化してしまうと共に、無線ICタグのコストが上昇してしまうため、必ずしも最良の方法とはいえないという問題があった。
【0016】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、無線ICタグを有する人や物等の対象物に関する個体情報(タグ情報)と、その対象物の位置情報とを関連づけて記録し、判断することが可能な対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明に係る対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムは、無線ICタグとのデータ交信に用いられるアンテナと対象物の存在を検出する対物検出センサとが一体に形成されるセンサ・アンテナユニットと、前記無線ICタグに対し、前記アンテナを介してタグ情報の読み込みまたは書き込みを行うタグ情報読み書き手段とを有し、前記タグ情報読み書き手段は、前記対物検出センサにより前記対象物が検出されたことを条件として前記タグ情報の読み込みまたは書き込み動作を開始することを特徴とする。
【0018】
また、対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムは、前記センサ・アンテナユニットを複数配設するとともに、前記対物検出センサが前記対象物を検出した場合に、前記タグ情報読み書き手段に接続されるアンテナを対象物の検出がなされた対物検出センサのアンテナに切り替えるアンテナ切替手段を有するものであってもよい。
【0019】
さらに、対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムは、各対物検出センサが前記センサ・アンテナユニットを識別するための識別情報を有し、さらに、前記対物検出センサが前記対象物を検出した場合に当該対物検出センサより前記識別番号を取得し、当該識別番号に対応する前記センサ・アンテナユニットの配設位置情報に基づいて前記対象物の地位情報を取得するとともに、前記アンテナの切替が行われた前記タグ情報読み書き手段によって読み込まれたタグ情報を取得することにより、前記対象物に関するタグ情報と位置情報とを関連づけて記録する情報記録手段を有するものであってもよい。
【0020】
また、対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムは、前記位置情報と前記タグ情報とを経時的に記録することにより履歴情報を作成する履歴情報作成手段を備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムによれば、無線ICタグとのデータ交信に用いられるアンテナと対象物の存在を検出する対物検出センサとが、センサ・アンテナユニットにおいて一体に形成されるため、無線ICタグを備える対象物を対物検出センサにより確実に検出することができる。また、対物検出センサに一体に形成されるアンテナを介して無線ICタグとデータ交信を行うため、対象物が有する無線ICタグのタグ情報を確実に読み出し/書き込みすることが可能となる。
【0022】
また、アンテナと対物検出センサとを一体に形成することにより、アンテナと対物検出センサとを別々に設置する場合に比べて設置負担を軽減することが可能となる。
【0023】
さらに、対物検出センサにより対象物が検出されたことを条件として、タグ情報読み書き手段がタグ情報の読み書き動作を開始するので、タグ情報読み書き手段を常時作動させる必要がなくなり、電波資源の利用効率向上やエネルギー消費量の抑制を図ることが可能となる。
【0024】
また、対物検出センサにより対象物が検出されたときに、タグ情報読み書き手段が動作を開始するため、他のタグ情報読み書き手段が近接して設けられている場合であっても互いのタグ情報読み書き手段が同時に動作してしまう可能性が低くなり、電波干渉等が発生しにくくなる。
【0025】
さらに、本発明に係る対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムによれば、センサ・アンテナユニットが複数配設されるため、無線ICタグを認識することが可能な範囲を広めることができると共に、アンテナ切替手段によりタグ情報読み書き手段のアンテナが対象物の検出がなされたセンサ・アンテナユニットのアンテナへと切り替えられるため、不要に他のアンテナからデータ交信用の電波が出力されることを防止することができる。
【0026】
また、アンテナ切替手段によりタグ情報読み書き手段のアンテナが対象物の検出がなされたセンサ・アンテナユニットのアンテナへと切り替えられるため、複数のアンテナが設置される場合であっても、対象物に最も近いアンテナを用いて無線ICタグとのデータ交信を行うことが可能となる。
【0027】
さらに、本発明に係る対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムは、対物検出センサより取得した識別番号に基づいて対象物の地位情報を判断するので、高い位置精度で対象物の位置を把握することが可能となる。さらに、タグ情報読み書き手段は、対象物を検出した対物検出センサと一体に設置されるアンテナを介してタグ情報を取得するので、位置情報を取得した対象物のタグ情報を確実に取得することができ、同一対象物のタグ情報と位置情報とを関連づけて記録・判断することが可能となる。
【0028】
また、本発明に係る対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムでは、履歴情報作成手段が、前記位置情報と前記タグ情報とを経時的に記録することにより履歴情報を作成するので、履歴情報に基づいて対象物の移動状況(位置情報の経時的変化)等を推測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムを、図面を用いて詳細に説明する。
【0030】
図1は、無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムに用いられるセンサ・アンテナユニット2を示した斜視図である。センサ・アンテナユニット2は、アンテナ3と対物検出センサ4とを有している。アンテナ3は、RF-IDリーダ/ライタが、人や物等の対象物に設けられた無線ICタグとデータ交信を行う際に利用される。
【0031】
なお、無線ICタグには、タグ情報として対象物に関する個体情報が記録されている。例えば、対象物が人の場合には名前、生年月日、所属部署名など人を特定するための情報や人に固有の情報が記録され、対象物が物である場合には、物の名称、型番、製造年月日等の物を特定するための情報や物に固有の情報等が記録される。
【0032】
一方で、対物検出センサ4は、対象物の存在を検出するためのセンサであり、本実施形態においては、センサに加えられる圧力に基づいて対象物の有無を判断する圧力センサを用いるものとする。なお、対物検出センサは必ずしも圧力センサに限定されるのもではなく、CCD等の撮像手段により撮影された画像に基づいて対象物の存在を検出するものであってよい。対物検出センサ4は、光学センサ(cdsセル、赤外線センサ、フォトトランジスタ、CCD等)や、力学センサ(機械式押スイッチ、変位センサ、圧力センサ、衝撃センサ等)や、音センサ(マイク、超音波マイク、振動センサ等)や、電波式センサ(ドップラーセンサ等)のように、人や物などの対象物の存在や移動状態を検知することが可能なセンサであればどのようなセンサを用いてもよく、センサの種類には限定されない。
【0033】
アンテナ3と対物検出センサ4とは、図1に示すように、中央部に円形状凹所20aが形成された基台20に一体に形成されており、凹所20aの内周側に沿うようにしてアンテナ3がループ状に設置され、その中央部に検出面4aを上面に向けた状態で対物検出センサ4が設けられている。なお、対物検出センサ4は、圧力を検出し易いように基台20の上面20bに対して対物検出センサ4の検出面(上面)4aがわずかに突出するように設置されることが望ましい。
【0034】
センサ・アンテナユニット2は、設置性を高めるために、図2(a)のようにタイル形状の基台21aによって形成されていてもよく、また図2(b)に示すように、柔軟性の高い基台21bを用いてシート状に形成されていてもよい。
【0035】
図3は、無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1の概略構成を示した図である。無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1は、複数のセンサ・アンテナユニット2と、3台のRF-IDリーダ/ライタ5と、マトリックスアンテナ切替機6と、処理装置7とを有している。なお、本実施例においては、RF-IDリーダ/ライタ5を3台設置した場合を例として説明するが、必ずしもRF-IDリーダ/ライタは3台に限定されるものではなく、1~2台であっても、4台以上であってもよい。また、設置されるセンサ・アンテナユニット2の数も特に限定はなく、1台のRF-IDリーダ/ライタに複数台のセンサ・アンテナユニット2を接続することが可能な台数であれば何台であってもよい。
【0036】
マトリックスアンテナ切替機6には、1台のRF-IDリーダ/ライタに対して接続されるセンサ・アンテナユニット2のアンテナ3接続を切り替える装置である。マトリックスアンテナ切替機6のアンテナ切替動作により、1台のRF-IDリーダ/ライタに対して1台のセンサ・アンテナユニット2だけが接続されるように信号線が接続される。マトリックスアンテナ切替機6は、アンテナ切替線11を介して入力される処理装置7の指示に従って、アンテナの切替動作を実行する。
【0037】
センサ・アンテナユニット2の各対物検出センサ4には、他のセンサ・アンテナユニットとの識別を行うための識別情報が記録されている。各対物検出センサ4は、センサ信号線12を介して処理装置7に接続されており、対物検出センサ4が圧力を感じて対象物(人や物)を検出した場合には、検出が行われたセンサ・アンテナユニット2の識別情報(この識別情報が対象物の検出信号を兼ねている)が処理装置7へ出力される。処理装置7では識別番号を受信することによって対象物の検出が行われたセンサ・アンテナユニット2を特定する。
【0038】
なお、センサ・アンテナユニット2と処理装置7との接続は、センサ信号線12を直列に接続させて検出信号の送出を行う直列転送型の接続方式を用いても、センサ信号線12を各対物検出センサ4から処理装置7に対して並列に接続させて検出信号の送出を行う並列転送型の接続方式を用いてもよい。並列転送型の接続方式を用いる場合には、処理装置7が検出信号の入力されるセンサ信号線を判断することによって、センサ・アンテナユニット2を特定することが可能である。
【0039】
処理装置7には、記録部8が設けられている。記録部8には、識別情報に基づいてセンサ・アンテナユニット2の配設位置情報を求めるための配設位置変換テーブルが記録されている。また、記録部8には、対物検出センサ4より取得得した識別情報と、配設位置変換テーブルに基づいて求められた配設位置情報と、RF-IDリーダ/ライタ5により読み書きが行われたタグ情報等が記録される。
【0040】
処理装置7は、対物検出センサ4より識別情報を取得した場合、記録部8に記録される配設位置変換テーブルを用いることによって、センサ・アンテナユニット2の配設位置を求める。そして、処理装置7は、求められたセンサ・アンテナユニット2のアンテナとRF-IDリーダ/ライタ5とが接続されるようにマトリックスアンテナ切替機6を制御し、RF-IDリーダ/ライタ5が、対象物を検出されたセンサ・アンテナユニット2のアンテナ3を介して無線ICタグの個体情報(タグ情報)を取得することができるようにする。
【0041】
RF-IDリーダ/ライタ5により読み書きされた個体情報は、処理装置7に送出される。処理装置7では、受信した個体情報に基づいて、対象物を判断し、この対象物に関連づけて、求められた個体情報と配設位置情報(つまり、対象物の位置情報)とを検出時間(時間情報)と共に記録して、対象物に関する履歴情報を作成する。
【0042】
処理装置7は、対象物の特定や対象物の個体情報判断に、作成された履歴情報を利用する。
【0043】
例えば、処理装置7は、履歴情報を用いることによって、対物検出センサ4により取得された個体情報の内容が、少し前に同じアンテナを介して取得された個体情報の内容と同じものであると判断した場合、対象物が移動しないで同じ位置に留まっていると判断し、RF-IDリーダ/ライタの動作間隔を一定時間確保したのに無線ICタグとの交信を行う。
【0044】
また、対物検出センサ4により対象物が検出されたことを処理装置7が判断し、マトリックスアンテナ切替機6によるアンテナ切替処理後にRF-IDリーダ/ライタ5を用いて個体情報の読み取り処理を実行したにも拘わらず、無線ICタグから個体情報を取得することができなかった場合には、アンテナ3より出力される電波の干渉や、無線ICタグの高速移動等が生じたものと考えることができる。このような場合、処理装置7は、履歴情報を利用することによって、例えば、履歴情報より対象物の移動速度が遅い傾向にあると判断できる場合には、再度同じアンテナ3を用いて個体情報の読み取り処理を行い、履歴情報より対象物の移動速度が速い傾向にある場合には、その対象物の移動パターンに基づいて次の電波取得可能範囲に入りそうなアンテナ3とRF-IDリーダ/ライタ5とをマトリックスアンテナ切替機6を用いて接続させて、個体情報の読み取り処理を行わせる。このように、履歴情報に基づいて無線IDタグのデータ交信を行うアンテナを切り替えることによって、再度、その対象物が有する無線ICタグのタグ情報を取得することができる可能性を高めることができる。
【0045】
さらに、履歴情報に基づいたアンテナ切替処理等を行った場合であっても無線ICタグより個体情報を読み取ることができない場合には、履歴情報として記録される対象物の以前の情報、例えば、行動履歴データ、時間情報、位置情報、個体情報等を再利用することによって、対象物に関する必要情報を補完することが可能となる。
【0046】
また、履歴情報に記録される対象物の移動パターンと現在、対物検出センサ4により検出されている対象物の移動パターンとを比較することによって、移動パターンの似通った対象物を求め、対物検出センサ4により現在検出されている対象物の個体情報を過去の履歴情報から求めることが可能となる。
【0047】
さらに、対象物が対物検出センサ4により検出されてから、しばらく対物検出センサ4による当該対象物の検出が行われず、しばらくした後に離れた場所において対象物の検出が行われた場合などには、対象物の行動履歴データ等から途中の行動パターンを推測し、その間の情報を過去の履歴情報に基づいて生成し保存することも可能となる。
【0048】
処理装置7には、ケーブルを用いて直接的に、またはネットワーク等を介して間接的にサーバコンピュータ10が接続されている。処理装置7は、記録部8に記録された履歴情報等を、一定時間毎にまたは記録可能容量の減少に応じてサーバコンピュータ10に送出することによって、サーバコンピュータ10に全てのデータを保存管理させる。また、処理装置7は、履歴情報の一部を行動履歴データとして、RF-IDリーダ/ライタ5により無線ICタグへ記録させることも行う。
【0049】
上述したようにして構築される無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1では、無線ICタグとのデータ交信に用いられるアンテナ3と対象物の存在を検出する対物検出センサ4とが、センサ・アンテナユニット2において一体に形成されるため、無線ICタグを有する対象物を対物検出センサ4により確実に検出することができる。
【0050】
また、対物検出センサ4に一体に形成されるアンテナ3を介して無線ICタグとデータ交信を行うため、対象物が有する無線ICタグのタグ情報を確実に読み込み/書き込みすることが可能となる。
【0051】
さらに、アンテナ3と対物検出センサ4とを一体に形成することにより、アンテナ3と対物検出センサ4とを別々に設置する場合に比べて設置負担を軽減することが可能となる。
【0052】
また、対物検出センサ4により対象物が検出されたことを条件として、RF-IDリーダ/ライタ5がタグ情報の読み書き動作を開始するので、RF-IDリーダ/ライタ5を常時作動させる必要がなくなり、電波資源の利用効率向上やエネルギー消費量の抑制を図ることが可能となる。
【0053】
さらに、対物検出センサ4により対象物が検出されたときに、RF-IDリーダ/ライタ5が動作を開始するため、他のRF-IDリーダ/ライタが近接して設けられている場合であっても互いのRF-IDリーダ/ライタが同時に動作してしまう可能性が低くなり、電波干渉等が発生しにくくなる。
【0054】
また、無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1では、センサ・アンテナユニット2が複数配設されるため、無線ICタグを認識することが可能な電波受信可能範囲を広めることができると共に、マトリックスアンテナ切替機6によりRF-IDリーダ/ライタ5のアンテナが対象物の検出がなされたセンサ・アンテナユニット2のアンテナへと接続されるので、切替が行われたアンテナ3からのみデータ交信用の電波を出力することができ、他のアンテナから不要な電波を出力させてしまうことを防止することができる。
【0055】
さらに、マトリックスアンテナ切替機6によりRF-IDリーダ/ライタ5のアンテナ3が対象物の検出がなされたセンサ・アンテナユニット2のアンテナへと切り替えられるため、複数のアンテナが設置(配設)される場合であっても、対象物に最も近いアンテナ3を用いて無線ICタグとのデータ交信を行うことが可能となる。
【0056】
また、マトリックスアンテナ切替機6によりアンテナの切替制御が行われるため、複数のRF-IDリーダ/ライタ5を設け、各RF-IDリーダ/ライタ5が同時に動作する場合であっても、各RF-IDリーダ/ライタ5に適したアンテナ切替をRF-IDリーダ/ライタ5毎に行うことができるので、複数の無線ICタグへの読み書きが可能となると共に、データの読み書き処理の遅延等が生じにくくなる。さらに、一度に読み書きがなされる無線ICタグの個数に応じて、RF-IDリーダ/ライタ5の設置数の最適化を容易に図ることができる。
【0057】
さらに、無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1は、対物検出センサ4より取得した識別番号に基づいて対象物の地位情報を判断するので、高い位置精度で対象物の位置を把握することが可能となる。さらに、RF-IDリーダ/ライタ5は、対象物を検出した対物検出センサ4と一体に設置されるアンテナ3を介してタグ情報を取得するので、位置情報を取得した対象物のタグ情報を確実に取得することができ、同一対象物のタグ情報と位置情報とを関連づけて記録・判断することが可能となる。
【0058】
例えば、部屋の入り口と部屋中央にRF-IDリーダ/ライタ用のアンテナを設置してアンテナを介して対象物のタグ情報を取得すると共に、人感センサを室内に設置することによってセンサを用いて対象物の位置情報を取得して、対象物のタグ情報と対象物の位置情報とを関連づけて管理するシステムがある場合、このシステムでは無線ICタグを携帯した2つの対象物同士を密着させた後に離すと、どちらの無線ICタグの情報がどちらの対象物のものであるかを判断することが困難となってしまう。これに対して、本発明に係る無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1では、アンテナとセンサとを一体とし、アンテナおよびセンサを複数設置するので、センサによる対象物の検出とその対象物の無線ICタグとを常に関連づけて把握することが可能となる。
【0059】
また、無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1では、処理装置7が、位置情報とタグ情報とを経時的に記録することにより履歴情報を作成するので、履歴情報に基づいて対象物の移動状況(位置情報の経時的変化)等を推測することが可能となる。
【0060】
次に、本発明に係る無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1を用いた具体的な実施例について説明する。
【0061】
例えば、センサ・アンテナユニット2を床面に配置し、靴やスリッパに無線ICタグを附着させることによって、本発明に係る無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1を、病院の情報案内に使用することができる。診療患者が診療室や検査室等へ移動する場合に、処理装置7が診療患者の無線ICタグを読み取り、診療患者の現在の位置情報と次に向かうべき診療室に関する個体情報とに基づいて、患者がどこに向かっているかを特定することができ、さらに必要に応じて、診療患者が向かうべき診療室へ診療患者を誘導するための案内を、診療患者の近くにある表示板等に表示させることが可能となる。このように、患者の行動とその患者に関する情報とを関連づけて判断することができるので、診察スケジュールの自動化に利用したり、入院患者の夜間徘徊チェックに利用したり、不審者のチェックに利用したりすることができる。
【0062】
また、同様にセンサ・アンテナユニット2を床面に配置し、無線ICタグを附着した靴やスリッパの着用を義務づけることによって、監視カメラ等では顔を撮影しにくく個人を特定しにくい場合であっても、容易に個人を特定することが可能となる。特に、秘密保持が求められる現場に本システムを使用することによって、機密保持性を高めることが容易となる。
【0063】
また、右足左足に別々の無線ICタグを貼り付けた靴やスリッパの着用させることによって、対象となる人がどちらを向いているか等を判断することが容易となる。
【0064】
さらに,移動速度から対象物が歩いているのか走っているのかを判断することができるため、走る必要がない現場で走っている人を検出した場合には、その人に非常業務が発生したものと判断(認識)することが可能となる。
【0065】
また、センサにより対象物を検出しているのに、無線ICタグからタグ情報を取得することができない場合には、無線ICタグを携帯していないものが進入したものと判断することができるので、外部侵入者を早期に発見し、迅速に警報を発令させることも可能となる。
【0066】
高層ビル工事現場、原子力発電所等の放射線を扱う区域、鉱山など危険を伴う現場で本発明に係る無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1を使用する場合には、天井にセンサ・アンテナユニット2を設置し、ヘルメットに無線ICタグを附着することにより、感度良く無線ICタグのタグ情報を取得することができ、作業員の行動を容易に把握することが可能となる。
【0067】
さらに、対象物が移動すべきところで長時間移動していない場合や急にセンサ・アンテナユニット2の認識可能範囲から離れた場合は、事故等が起きたものと推測することができるとともに、履歴情報を検査することによってから誰がどのような状態を経てどのような事故に遭ったかを理解し易くなるため、人命救助や事故防止に役立てることが可能となる。
【0068】
以上、本発明に係る対象物のタグ情報と位置情報とを特定するための無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム1について、図面を用いて説明を行ったが、本発明係る無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムは、上述したものに限定されるものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0069】
例えば、センサ・アンテナユニットにおいて、図4(a)に示すようにアンテナの周りにアース線18を配置したり、基台の表面をアース面19により構成するようにしてもよい。このように構成することによって近接するアンテナ同士の電波干渉やノイズを低減させることが可能となる。また、センサの設置位置も、実施形態に示すように必ずアンテナの中央部に配設する必要はなく、図4(b)に示すように、対物検出センサ4のループアンテナ3の中央だけでなく、ループアンテナ3の周外側に設置するようにしてもよい。
【0070】
また、無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムに用いられる信号線として、図5(a)に示すように、同軸ケーブルやシールド線で信号軸部を覆ったケーブル14を用いたり、図5(a)に示すように、平板状を呈する信号軸部15の上下に平面形状をなすアース線16を挟み込んだケーブル17を用いたりすることにより、信号線へのノイズの影響を少なくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】センサ・アンテナユニットを示した斜視図である。
【図2】(a)はタイル状に形成したセンサ・アンテナユニットを示した斜視図であり、(b)はシート状に形成したセンサ・アンテナユニットを示した斜視図である。
【図3】本実施形態に係る無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムの概略構成を示したブロック図である。
【図4】(a)は図1に示すセンサ・アンテナユニットに対してアース線等を設置した構成を示す斜視図であり、(b)は図1に示すセンサ・アンテナユニットのおける対物検出センサの設置位置を変更したセンサ・アンテナユニットを示す斜視図である。
【図5】無線ICタグ用タグ情報読み書きシステムに用いられる信号線の構成例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 …無線ICタグ用タグ情報読み書きシステム
2 …センサ・アンテナユニット
3 …アンテナ
4 …対物検出センサ
4a …検出面
5 …RF-IDリーダ/ライタ
6 …マトリックスアンテナ切替機
7 …処理装置
8 …記録部
10 …サーバコンピュータ
11 …アンテナ切替線
12 …センサ信号線
14、17 …ケーブル
15 …信号軸部
16、18 …アース線
19 …アース面
20、21a、21b …基台
20a …円形状凹所
20b …(基台の)上面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4