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明細書 :有機系基質の酸素化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5300239号 (P5300239)
公開番号 特開2009-073802 (P2009-073802A)
登録日 平成25年6月28日(2013.6.28)
発行日 平成25年9月25日(2013.9.25)
公開日 平成21年4月9日(2009.4.9)
発明の名称または考案の名称 有機系基質の酸素化方法
国際特許分類 C07C  51/16        (2006.01)
C07C  55/14        (2006.01)
C07C  55/02        (2006.01)
C07C  53/122       (2006.01)
C07C 303/22        (2006.01)
C07C 309/44        (2006.01)
C07D 213/36        (2006.01)
B01J  31/22        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07F  15/00        (2006.01)
FI C07C 51/16 CSP
C07C 55/14
C07C 55/02
C07C 53/122
C07C 303/22
C07C 309/44
C07D 213/36
B01J 31/22 X
C07B 61/00 300
C07F 15/00 A
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2007-274439 (P2007-274439)
出願日 平成19年9月24日(2007.9.24)
審査請求日 平成22年9月14日(2010.9.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小島 隆彦
【氏名】福住 俊一
【氏名】平井 雄一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】110000637、【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
審査官 【審査官】坂崎 恵美子
参考文献・文献 第57回錯体化学討論会要旨集,2007年 9月10日,p.93, 2C-02
日本化学会第87春季年会 講演予稿集I,2007年 3月12日,p.569, 2 R3-25
調査した分野 C07C
C07D
C07F 15/00
B01J 31/22
CAplus/REGISTRY/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
水溶液中(ただし、5重量%以下の水溶性有機溶媒が含まれていてもよい。)で、
ビスアクアトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(II)錯塩(ただし、各々の(2-ピリジルメチル)アミン配位子中の2-ピリジル基は、同一又は異なって、1から3の置換基で置換されていてもよい。)、及び、
Ru(bpy)3]3+、(ただし、bpyは、置換されていてもよい2,2’-ビピリジンであり、ビピリジン配位子中の何れのピリジル基は、同一又は異なって、1から3の置換基で置換されていてもよい。)又は、[Fe(bpy)3+(ただし、bpyは、前記の意味である。)を用いて、
有機系基質を酸素化させることを特徴とする、有機系基質の酸素化方法。
【請求項2】
前記有機系基質が、
1~3個の置換基で置換されていてもよいC~C10不飽和炭素環、
1~3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン、又は、
フェニル基又はナフチル基で置換されていてもよい炭素数2~8の第1級アルコールである請求項に記載の有機系基質の酸素化方法。
【請求項3】
前記有機系基質が、
~Cシクロアルケンであって、酸素化されて得られる化合物がジカルボン酸であり、
1~3個の置換基で置換されているベンゼン誘導体であって、酸素化されて得られる化合物がアルデヒド又はケトンで置換されているベンゼン誘導体であり、
フェニル基又はナフチル基で置換されていてもよい炭素数3~6の第1級アルコールであって、酸素化されて得られる化合物がカルボン酸である
請求項1または請求項2に記載の有機系基質の酸素化方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ルテニウム錯体を触媒として用いる有機系基質の酸素化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過酷化水素あるいは過酸のような活性酸素を酸素源として、有機系基質の触媒的酸化反応が研究されていた。例えば、相間移動触媒存在下、金属オキソ酸を別個の触媒として、過酸化水素を酸化剤として、シクロヘキセンをアジピン酸に酸化する反応が報告されている(非特許文献1)。
【0003】
そこで、過酸化水素などではなく、水を酸素源として、水溶液中で金属-オキソ錯体が酸化活性種となって、炭化水素及びアルコール類の触媒的酸化反応を進行させることが検討された。具体的には、金属ポルフィリン類を用いた有機系基質の酸素化反応が研究された(非特許文献2)。しかし、高原子価金属オキソポルフィリンを使用する有機系基質の触媒的酸素化反応は、これまで活性酸素種(例えば、PhIO、過酸化水素、および過酸)を使用する酸素化に限られており、これらの酸素化反応は、高原子価金属オキソ種を生成することを必要とする。
【0004】
また、水を酸素源としたマンガンポルフィリンによる有機系基質の触媒的酸素化反応も公開されている(特許文献1)。生体内では酸素分子を還元的に活性化することにより、チトクロムP450酵素を用いて有機系基質の酸素化が行われている。この酵素反応活性は、高原子価金属ポルフィリン錯体であることがわかっている。この高原子価金属ポルフィリンオキソ錯体は金属ポルフィリンと過酸化水素あるいは過酸のような活性酸素との反応で得られることもわかっている。

【特許文献1】特開2005-255602(P2005-255602A)
【非特許文献1】Science 1988,281,1646
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.1997,119,6269-6273
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水を酸素源とする有機系基質の触媒的酸素化反応を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究を行った結果、一電子酸化剤である[Ce(NO2-イオン錯塩を用い、電子移動反応によりルテニウム-オキソ錯体を生成させ、有機系基質の酸素化反応が進行することを見出した。水が酸素源となり高選択的にカルボニル化合物が生成することを見いだした。
【0007】
本発明によれば、以下の物質及び方法が提供される。
【0008】
) 水溶液中(ただし、5重量%以下の水溶性有機溶媒が含まれていてもよい。)で、ビスアクアトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(II)錯塩(ただし、各々の(2-ピリジルメチル)アミン配位子中の2-ピリジル基は、同一又は異なって、1から3の置換基で置換されていてもよい。)、及び、[Ru(bpy)3+、(ただし、bpyは、置換されていてもよい2,2‘-ビピリジンであり、ビピリジン配位子中の何れのピリジル基は、同一又は異なって、1から3の置換基で置換されていてもよい。)又は、[Fe(bpy)3+(ただし、bpyは、前記の意味である。)を用いて、有機系基質を酸素化させること
を特徴とする、有機系基質の酸素化方法。
【0009】
前記有機系基質が、
1~3個の置換基で置換されていてもよいC~C10不飽和炭素環、
1~3個の置換基で置換されていてもよいベンゼン、又は、
炭素数2~8の第1級アルコール
である()に記載の有機系基質の酸素化方法。
【0010】
前記有機系基質が、
~Cシクロアルケンであって、酸素化されて得られる化合物がジカルボン酸であり、
1~3個の置換基で置換されているベンゼン誘導体であって、酸素化されて得られる化合物がアルデヒド又はケトンで置換されているベンゼン誘導体であり、
炭素数3~6の第1級アルコールであって、酸素化されて得られる化合物がカルボン酸である
(1)または(2)に記載の有機系基質の酸素化方法
【0011】
(6) 水溶液中(ただし、5重量%以下の水溶性有機溶媒が含まれていてもよい。)で、ビスアクアトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(II)錯塩(ただし、各々の(2-ピリジルメチル)アミン配位子中の2-ピリジル基は、同一又は異なって、1から3の置換基で置換されていてもよい。)、及び、飽和カロメル電極に対する酸化還元電位(SCE)が0.75~1.2Vである一電子酸化剤であって、pH0~2.5で安定である一電子酸化剤を用いて、pH0~2.5の条件で、有機系基質を酸素化させることを特徴とする、有機系基質の酸素化方法。(NH[Ce(NO]の電位(SCE)は1.0Vであり、[Ru(bpy)3+(ただし、bpyは、2,2‘-ビピリジンである)の電位(SCE)は1.1Vであり、[Fe(bpy)3+(ただし、bpyは、2,2‘-ビピリジンである)の電位(SCE)は0.81Vである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、これまで酸素源として用いられてきた過酸化水素あるいは過酸のような活性酸素の代わりに安価かつ安全な水を用いて有機系基質の触媒的酸素化ができるようになった。本発明は、従来の技術に比べてコストおよび安全性の面ではるかに優れている。また、本発明によれば、高い選択性をもって、有機化合物中の様々な官能基を酸素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好ましい実施態様においては、水溶液中、ルテニウム錯体を触媒として一電子酸化剤による有機系基質の酸素化を行なう。生成物はMSおよびH-NMRにより同定することができ、カルボニル化合物を効率良く得ることができる。本発明の方法における酸素化反応では水が酸素源として進行している。このことは、重水、即ち、DOを用い、生成物にDで標識された生成物をMSで確認した。一電子酸化剤としては、セリウム(IV)が中心金属であるセリウム錯体、例えば、[Ce(NO2-、[Ru(bpy)3+(ただし、bpyは、置換されていてもよい2,2‘-ビピリジンであり、ビピリジン配位子中の何れのピリジル基は、同一又は異なって、1から3の置換基で置換されていてもよい。)又は、[Fe(bpy)3+が用いられる。
【0014】
本発明の実施態様において、ルテニウム錯体として、ビスアクアトリス[(2-ピリジルメチル)アミンルテニウム(II)錯塩(ただし、各々の(2-ピリジルメチル)アミン配位子中の2-ピリジル基は、同一又は異なって、1から3の置換基で置換されていてもよい。)を用いた。
【0015】
図1に、このルテニウム錯体の化学構造式を示す。式中、Rは、同一又は異なって、1から3の置換基である。これらの置換基は、メタ又はパラ位に位置する。置換基は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-10アルコキシ、-NR(R及びRは、同一又は異なって、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニルである)、-S(O)1-6アルキル(ここでmは0~2から選択される整数である)、C1-6アルキルカルボニル、C2-6アルケニルカルボニル、C2-6アルキニルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルから選択される。これらの置換基の炭化水素部分(hydrocarbon moiety)の炭素原子は、1以上のハロゲン原子またはヒドロキシにより置換されていてもよい。
【0016】
図2に、上記ルテニウム錯体の合成方法を示す。二核錯体は、Inorg.Chem.1998、37、4076に合成方法が記載されている。二核錯体は、溶媒中でその溶媒に溶解する銀塩を反応させる。溶媒は、典型的には、水であるが、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いてもよい。例えば、水が90重量%以上であり、水溶性有機溶媒が10重量%以下である。水溶性銀塩としては、例えば、AgPF、AgClO、AgNOなどが挙げられる。この反応は、典型的には、リフラックスさせて進行させる。例えば、70~120℃で反応させる。反応が終了後に、水に不溶性のAgClが沈殿する。
【0017】
図3に、上記ルテニウム錯体であって、Rが全て水素原子である場合のH-NMRスペクトルを示す。
【0018】
ルテニウム錯体を触媒として一電子酸化剤であるセリウム(IV)が中心金属であるセリウム錯体、例えば、[Ce(NO2-による有機系基質の酸素化を行なう。この反応において、触媒活性種は、図4に示される錯体と考えられる。この触媒活性種では、二つのアクア配位子の一方がオキソ配位子に変換されている。
【0019】
また、セリウム錯体でなくても、[Ru(bpy)3+(ただし、bpyは、置換されていてもよい2,2‘-ビピリジンであり、ビピリジン配位子中の何れのピリジル基は、同一又は異なって、1から3の置換基で置換されていてもよい。)、又は、[Fe(bpy)3+であっても、同様に反応が進行する。
【0020】
ピリジル基の置換基は、3位、4位又は5位に位置することが好ましい。置換基は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-10アルコキシ、-NR(R及びRは、同一又は異なって、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニルである)、-S(O)1-6アルキル(ここでmは0~2から選択される整数である)、C1-6アルキルカルボニル、C2-6アルケニルカルボニル、C2-6アルキニルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルから選択される。これらの置換基の炭化水素部分(hydrocarbon moiety)の炭素原子は、1以上のハロゲン原子またはヒドロキシにより置換されていてもよい。
【0021】
本発明の一実施態様において、水溶液中で、ビスアクアトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(II)錯塩(ただし、各々の(2-ピリジルメチル)アミン配位子中の2-ピリジル基は、同一又は異なって、1から3の置換基で置換されていてもよい。)及びセリウム(IV)が中心金属であるセリウム錯体を用いて、有機系基質を酸素化させる。
【0022】
水溶液には、微量の水溶性有機溶媒が含まれていてもよいが、典型的には、有機溶媒が含まれていないことが好ましい。有機溶媒が含まれていない方が、環境に優しいからである。
【0023】
10~120℃で反応させることが好ましく、10~80℃で反応させることが更に好ましい。圧力は、約1気圧であることが好ましい。ただし、0.1~10気圧で反応させてもよい。本発明は、室温でも反応が進行することが特徴である。
【0024】
1マイクロモルのビスアクアトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(II)錯塩、即ち、ルテニウム触媒に対して、例えば、10マイクロモル~1モルの基質を用いることができ、100マイクロモル~0.1モルの基質を用いることもできる。
【0025】
1ミリモルの基質に対して、2ミリモル~3ミリモルの一電子酸化剤を用いることができ、2ミリモル~2.5ミリモルの一電子酸化剤を用いることができる。また、ルテニウム触媒に対して、モルを基準として、4~1000倍の一電子酸化剤を用いることができ、100倍以上の有機系基質を用いることができ、1000倍以上の有機系基質を用いることもできる。
【0026】
有機系基質は、1~3個の置換基で置換されていてもよいC~C10不飽和炭素環であってもよく、例えば、C~Cシクロアルケンが酸素化され、ジカルボン酸が得られる。置換基は、例えば、C~C炭化水素基である。置換基は、二重結合のアルファ位以外に位置することが好ましい。アルファ位に置換基が位置するときには、触媒の活性中心、即ち、ルテニウム金属に基質が接近しずらくなり、触媒反応を阻害するからである。
【0027】
有機系基質は、1~3個の置換基で置換されていてもよいベンゼンであり、例えば、1~3個の置換基で置換されているベンゼン誘導体が酸素化され、アルデヒド又はケトンで置換されているベンゼン誘導体が得られる。特に、パラ位が、例えば、-SO(Mは、Na,Kなどのアルカリ金属を意味する。)で置換されていてもよい。
【0028】
有機系基質は、フェニル基又はナフチル基で置換されていてもよい炭素数2~8の第1級アルコールであり、フェニル基又はナフチル基で置換されていてもよい炭素数3~6の第1級アルコールが酸素化され、対応するカルボン酸が得られる。
【実施例】
【0029】
実施例1
[RuCl(TPA)](PF(式中、TPAは、2-ピリジルメチルアミンを意味する)、即ち、クロロトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(II)錯体は、コジマ等、Inorg.Chem.1998,37,4076に記載されている方法で合成した。
[RuCl(TPA)](PFを水溶液中で、6時間、リフラックスさせ、[Ru(TPA)(OH(PFを得た(収率59%)。生成物はH-NMR、吸収スペクトル、元素分析を用いて同定を行った。
【0030】
元素分析計算値:C,29.32;H,2.96;N,7.72。実測値:C,29.40;H,3.29;N,7.62。
【0031】
実施例2
実施例2-1
水又は重水3ml、有機系基質としてシクロヘキセン(0.5mmol、1.7×10-1M)、(NH[Ce(NO](本明細書では、適宜、CANという)(1mmol、3.3×10-1M)、[Ru(TPA)(OH](PF(5μmol、1.7×10-3M)を室温にて、1時間、攪拌した。ヘキサン二酸、即ち、アジピン酸が得られた。
【0032】
あるいは、水又は重水、有機系基質としてシクロヘキセン(1.0×10-1M)、(NH[Ce(NO](9.0×10-1M)、[Ru(TPA)(OH](PF(1.0×10-3M)を室温にて、1時間、攪拌した。アジピン酸が得られた。
【0033】
実施例2-2
水又は重水、有機系基質としてシクロオクテン(1.0×10-1M)、(NH[Ce(NO](9.0×10-1M)、[Ru(TPA)(OH](PF(1.0×10-3M)を60℃にて、4.5時間攪拌し、オクタン二酸が得られた。
【0034】
実施例2-3
水又は重水、有機系基質としてビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1.0×10-1M)、(NH[Ce(NO](8.0×10-1M)、[Ru(TPA)(OH](PF(1.0×10-3M)を室温にて、1時間、攪拌した。パラスルフォナトベンズアルデヒドが得られた。
【0035】
実施例2-4
水又は重水、有機系基質としてヒドロキシメチルベンゼン(1.0×10-1M)、(NH[Ce(NO](3.0×10-1M)、[Ru(TPA)(OH](PF(1.0×10-3M)を室温にて、1時間、攪拌した。パラスルフォナトベンズアルデヒドが得られた。
【0036】
実施例2-5
水又は重水、有機系基質として1-プロパノール(1.0×10-1M)、(NH[Ce(NO](6.0×10-1M)、[Ru(TPA)(OH](PF(1.0×10-3M)を室温にて、1時間、攪拌した。プロピオン酸が得られた。
【0037】
実施例2-6
水又は重水、有機系基質として、パラスルフォナトエチルベンゼン、即ち、エチルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1.0×10-1M)、(NH[Ce(NO](6.0×10-1M)、[Ru(TPA)(OH](PF(1.0×10-3M)を室温にて、1時間、攪拌した。パラスルフォナトアセトフェノンが得られた。
【0038】
【表1】
JP0005300239B2_000002t.gif
【表1】
【0039】
実施例3
ルテニウム触媒の耐久性について、実験した。[Ru(TPA)(OH](PF(5.0×10-4M)、シクロヘキセン(0.1M)、(NH[Ce(NO](1.2x10-2M)の水溶液を室温にて攪拌した。115分経過後、及び、165分経過後、(NH[Ce(NO]を初期と同量、添加した。
【0040】
実施例4
(NH[Ce(NO]の代わりに、[Ru(bpy)3+(ただし、bpyは、2,2‘-ビピリジンである)を用いた。ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムが酸素化され、パラスルフォナトベンズアルデヒドが得られた(収率100%)。
【0041】
実施例5
(NH[Ce(NO]の代わりに、[Fe(bpy)3+(ただし、bpyは、2,2‘-ビピリジンである)を用いた。パラスルフォナトエチルベンゼン、即ち、エチルベンゼンスルホン酸ナトリウムが酸素化され、パラスルフォナトアセトフェノンが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述したとおり、本発明の酸素化反応は、水を電子源とする全く新しいタイプの酸素化反応であり、同位体の導入も容易になり、応用価値が非常に高いものである。
【0043】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】 ビスアクアトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(II)錯塩(Rは、同一又は異なって、置換基である)の化学構造式である。
【図2】 ビスアクアトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(II)錯塩の合成方法である。
【図3】 上記ルテニウム錯塩であって、Rが全て水素原子であり、かつ、対イオンがPFである場合のCDCN中のH-NMRスペクトルを示す。
【図4】 アクアオキソトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(IV)錯体(Rは、同一又は異なって、置換基である)の化学構造式である。
【図5】 脂肪族C-H結合の酸素化、DO中のH-NMRスペクトルなどである。
【図6】 一級アルコールの酸素化、DO中のH-NMRスペクトルなどである。
【図7】 ルテニウム触媒の耐久性についてのグラフである。
【図8】 アクアオキソトリス[(2-ピリジルメチル)アミン]ルテニウム(IV)錯体(Rは、同一又は異なって、置換基である)の共鳴ラマンスペクトルである。
【図9】 pHと飽和カロメル電極に対する酸化還元電位(SCE)との関係を示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8