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明細書 :凝集粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5281296号 (P5281296)
公開番号 特開2009-178699 (P2009-178699A)
登録日 平成25年5月31日(2013.5.31)
発行日 平成25年9月4日(2013.9.4)
公開日 平成21年8月13日(2009.8.13)
発明の名称または考案の名称 凝集粒子の製造方法
国際特許分類 B01J  19/00        (2006.01)
B01J  13/00        (2006.01)
FI B01J 19/00 N
B01J 13/00 A
請求項の数または発明の数 11
全頁数 9
出願番号 特願2008-022668 (P2008-022668)
出願日 平成20年2月1日(2008.2.1)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2007年9月3日 社団法人 日本化学会 コロイドおよび界面化学部会発行の「第60回 コロイドおよび界面化学討論会 講演要旨集」に発表
審査請求日 平成23年1月13日(2011.1.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591243103
【氏名又は名称】公益財団法人神奈川科学技術アカデミー
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】益田 秀樹
【氏名】柳下 崇
【氏名】藤村 涼子
【氏名】西尾 和之
個別代理人の代理人 【識別番号】100091384、【弁理士】、【氏名又は名称】伴 俊光
【識別番号】100125760、【弁理士】、【氏名又は名称】細田 浩一
審査官 【審査官】近野 光知
参考文献・文献 特開昭61-263628(JP,A)
特開昭62-262734(JP,A)
特開2006-027978(JP,A)
特開2009-084293(JP,A)
特開2009-028635(JP,A)
特開2004-008837(JP,A)
特開2000-026283(JP,A)
特開2006-272196(JP,A)
調査した分野 B01J 10/00~19/32
B01J 2/00~ 2/30
B01F 1/00~ 5/26
A61K 9/00~ 9/72
A61K 47/00~47/48
特許請求の範囲 【請求項1】
乳化膜として陽極酸化ポーラスアルミナを用いる膜乳化法における乳化膜の細孔径よりも微細な、凝集粒子形成用の粒子が分散した第1の溶液を、乳化膜の細孔を通して、第1の溶液と混じり合わない第2の溶液中に押し出して第1の溶液の液滴と第2の溶液からなるエマルションを作製し、該エマルションにおける第1の溶液の液滴を乾燥させることにより該液滴内に含まれていた前記微細な粒子からなる凝集粒子を製造することを特徴とする、凝集粒子の製造方法。
【請求項2】
平均直径が1μmから10nmであり、直径のばらつきを示す相対標準偏差が30%以下である凝集粒子を製造する、請求項に記載の凝集粒子の製造方法。
【請求項3】
平均直径が500nmから10nmであり、直径のばらつきを示す相対標準偏差が30%以下である凝集粒子を製造する、請求項に記載の凝集粒子の製造方法。
【請求項4】
平均直径が300nmから10nmであり、直径のばらつきを示す相対標準偏差が30%以下である凝集粒子を製造する、請求項に記載の凝集粒子の製造方法。
【請求項5】
直径のばらつきを示す相対標準偏差が20%以下である凝集粒子を製造する、請求項1~のいずれかに記載の凝集粒子の製造方法。
【請求項6】
直径のばらつきを示す相対標準偏差が10%以下である凝集粒子を製造する、請求項に記載の凝集粒子の製造方法。
【請求項7】
陽極酸化電圧を途中で変化させることにより貫通孔の間隔制御を行った陽極酸化ポーラスアルミナを乳化膜として用いる、請求項1~6のいずれかに記載の凝集粒子の製造方法。
【請求項8】
陽極酸化ポーラスアルミナの細孔内壁に物質のコーティングを行い、細孔径を微細化した乳化膜を用いる、請求項1~7のいずれかに記載の凝集粒子の製造方法。
【請求項9】
第1の溶液における微細な粒子の濃度を変化させることにより凝集粒子のサイズを制御する、請求項1~のいずれかに記載の凝集粒子の製造方法。
【請求項10】
前記エマルションにおける第1の溶液の液滴を第2の溶液中で乾燥させる、請求項1~のいずれかに記載の凝集粒子の製造方法。
【請求項11】
前記エマルションにおける第1の溶液の液滴を濾過した後、該第1の溶液の液滴を乾燥させる、請求項1~10のいずれかに記載の凝集粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集粒子の製造方法に関し、とくに膜乳化法により微細で均一なサイズの凝集粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイズがナノメーターからサブミクロンスケールである微細粒子は、触媒や分離、光学デバイスなど様々な分野への応用が期待できる材料であることから、近年、その重要度が増してきている。微細粒子を用いたデバイスの作製を行う上で、その特性を最適化するためには、サイズおよび形状が制御された単分散微細粒子の作製が求められることが多いが、このような微細粒子がある程度凝集して形成された凝集粒子が要求されることも多く、一般に、このような凝集粒子にも、微細で均一なサイズが求められる。
【0003】
微細凝集粒子の作製法に関しては、これまでにも、様々な手法が提案されてきているが、サイズ制御性やサイズ均一性の制御は十分ではなかった。単分散微細粒子に関しては、本発明者らは、これまでに、高規則性ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスにより、サイズ均一性にすぐれた液滴、さらには得られた液滴を固化することで単分散固体微粒子の作製を行う試みに関し検討を行ってきた(非特許文献1)。膜乳化プロセスは、均一なサイズの細孔を有する乳化膜を介して、分散相を連続相中に押し出すことにより、単分散した液滴の形成が可能な手法である(非特許文献2)。
【0004】
ところが、従来の通常の膜乳化法では、細孔径が数μmから数十μmの多孔質膜が用いられているため、マイクロメータースケール以下のサイズの液滴を得ることは困難である。この点、陽極酸化ポーラスアルミナは、アルミニウムを酸性浴中で陽極酸化することによって得られるホールアレー構造材料であるが、ナノメータースケールの高アスペクト比の直行細孔が膜面に対して垂直に配向したホールアレーがメンブレン状で得られることから、膜乳化法の乳化膜として有望であると考えられる。すなわち、ナノメータースケールの細孔が規則配列したナノホールアレー構造材料である高規則性ポーラスアルミナを乳化膜として適用すれば、サブミクロンからナノメータースケールのサイズの単分散エマルションの形成を行うことが可能であると考えられる。加えて、ポーラスアルミナは、細孔径をナノメータースケールで制御することが可能であることから、目的に応じて得られる液滴サイズを高精度に制御することが可能であると期待できる。これまでの検討において、ポーラスアルミナを用いた膜乳化で得られた液滴を反応場として利用することにより、サイズ均一性にすぐれたSiO2 ナノ粒子の合成が可能であることを報告してきた。しかしながら、化学反応を伴う微粒子形成プロセスでは、実験工程が複雑になるという問題点があり、工業的に反応条件等を安定して確立することが難しい場合が多いという問題点があった。

【非特許文献1】T. Yanagishita, Y. Tomabechi, K. Nishio, and H. Masuda, Langmuir 2004, 20, 554.
【非特許文献2】T. Nakashima, M. Shimizu, and M. Kukizaki, Key Eng. Matter. 1991, 61, 513.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、液滴が浮遊したエマルションを用いる微粒子作製法によれば、液滴径に対応したサイズの微粒子を比較的容易に得ることができる。そのため、任意のサイズに制御された単分散エマルションを、微粒子合成の鋳型や反応場として用いれば、比較的容易にサイズ均一性に優れた微粒子を得ることができる。このように、膜乳化法を用いれば、単分散エマルションの形成は可能であるが、従来、ナノメーターサイズの均一なサイズの細孔を有する乳化膜の入手が困難であったことから、サブミクロンスケール、特に100nm以下のサイズを有する単分散エマルションの形成を行うことは困難であった。
【0006】
そこで本発明の課題は、サブミクロンから数十ナノメータースケールの微小で均一なサイズの細孔を有する乳化膜、とくに陽極酸化ポールラスアルミナを用いて、細孔径より微細なナノ粒子が分散した溶液を分散相として用い、ポーラスアルミナ膜を介して連続相中に押し出すことで単分散状に液滴形成を行い、そののち、得られた液滴を乾燥することによりサイズが揃った微細な凝集粒子の製造を行う手法を提供することにある。加えて、ポーラスアルミナの細孔周期等の構造を制御することにより、隣接する細孔から形成された液滴同士の合一を抑制し、安定した膜乳化プロセスを実現するための手法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る凝集粒子の製造方法は、乳化膜として陽極酸化ポーラスアルミナを用いる膜乳化法における乳化膜の細孔径よりも微細な、凝集粒子形成用の粒子が分散した第1の溶液を、乳化膜の細孔を通して、第1の溶液と混じり合わない第2の溶液中に押し出して第1の溶液の液滴と第2の溶液からなるエマルションを作製し、該エマルションにおける第1の溶液の液滴を乾燥させることにより該液滴内に含まれていた前記微細な粒子からなる凝集粒子を製造することを特徴とする方法からなる。乳化膜としては、とくに、ナノメータースサイズの微細で均一な細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを用いることが好ましい。
【0008】
このような方法では、陽極酸化ポーラスアルミナを膜乳化法の乳化膜として用い、細孔径より微細な粒子が分散した第1の溶液を、ポーラスアルミナ膜を介して、混じり合わない第2の溶液中に押し出し液滴の形成を行う。得られた液滴を後処理により乾燥固化することで、微細で均一なサイズの凝集粒子を得ることができる。膜乳化法では、得られる液滴サイズを乳化膜の細孔径で制御することが可能であることから、本手法では、用いる乳化膜、とくに陽極酸化ポーラスアルミナの細孔径を変化させることで、例えば平均直径が10nmから1μmの範囲で、さらには500nmから10nmの範囲で、さらには300nmから10nmの範囲で、制御することが可能である。また、このとき得られた微細凝集粒子のサイズ(直径)のばらつきを示す相対標準偏差の値は30%以下とすることが可能であり、好ましくは20%以下とすることもでき、さらに好ましくは10%以下とすることもできる。
【0009】
また、より微細な液滴を作製しより微細な凝集粒子を製造するために、より微細な細孔径を有する陽極酸化ポーラスアルミナを用いることも可能である。一般に、より微細な細孔を有するポーラスアルミナを得るためには、より低電圧で陽極酸化を行うことにより所望の細孔サイズのポーラスアルミナを得ることが可能である。しかしながら、低電圧で陽極酸化を行うと、細孔径の微細化とともに、細孔周期も微細化されるため、結果として細孔間隔が狭くなる。細孔間隔が狭すぎるポーラスアルミナを用いた場合、隣接する細孔から形成された液滴同士の合一が問題となることから、微細な液滴の作製においては、ポーラスアルミナを作成する際の陽極酸化電圧を途中で変化させることで、貫通孔に形成される細孔の間隔制御を行うことが可能である。
【0010】
また、陽極酸化ポーラスアルミナの細孔内壁に物質のコーティングを行い、細孔径を微細化した乳化膜を用いることも可能である。例えば、細孔間隔は一定で細孔サイズのみを微細化したポーラスアルミナを乳化膜として用いることができる。
【0011】
さらに、分散相溶液である上記第1の溶液における微細な粒子の濃度を変化させることにより凝集粒子のサイズを制御することも可能である。
【0012】
凝集粒子を得るための乾燥ステップについては、例えば、上記エマルションにおける第1の溶液の液滴を第2の溶液中で乾燥させる(つまり、液中乾燥)こともできるし、上記エマルションにおける第1の溶液の液滴を濾過した後、例えばフィルター上で該第1の溶液の液滴を乾燥させることもできる。後者の場合には、乾燥前の凝集粒子に第2の溶液が付着していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明に係る凝集粒子の製造方法によれば、膜乳化法における乳化膜の細孔径よりも微細な粒子が分散した第1の溶液を、乳化膜の細孔を通して、第2の溶液中に微細で均一なサイズの液滴の形態で押し出して該液滴が浮遊したエマルションを作製し、その第1の溶液の液滴を乾燥させることにより該液滴内に含まれていた上記微細な粒子からなる凝集粒子を作製するようにしたので、微細でサイズの揃った凝集粒子を容易に製造することができるようになる。とくに、サブミクロン以下数十ナノメーターサイズの凝集粒子を容易に安定して製造できるようになり、このような凝集粒子が求められる各産業分野に大いに貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す方法では、本発明における乳化膜として、微細な細孔2が高規則性をもって形成された陽極酸化ポーラスアルミナ1を用い、微細な粒子が分散した分散相の第1の溶液3(例えばゾル溶液)を、膜乳化法により各細孔2を通して、微細で均一なサイズの液滴4の形態で連続相である第2の溶液5中に押し出し、液滴4が浮遊したエマルション6を作製する。このエマルション6を例えば加温し、第2の溶液5中にて液滴4を液中乾燥させて液滴4に含まれていた微細な粒子の凝集粒子7を製造する。さらに、図1に示すように、凝集粒子7を第2の溶液5に対して濾過によりフィルター8上にトラップし、それをさらに乾燥固化するようにしてもよい。
【実施例】
【0015】
以下、実施例により更に本発明を詳細に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されるものではない。
実施例1〔TiO2・SiO2・ZrO2凝集粒子の作製〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、500 nm周期で突起が規則的に配列した構造を持つSiC製モールドを押し付け、表面に微細な凹凸パターンを形成した。テクスチャリング処理を施したアルミニウム板を、0.1 Mの濃度に調整したリン酸水溶液中で、浴温0℃において直流200Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、地金部分をヨウ素飽和メタノール溶液中で溶解除去し、ポーラスアルミナの細孔底部をアルゴンイオンミリング装置を用いて除去することによりスルーホールメンブレン(細孔が貫通孔として形成された膜)を得た。作製したポーラスアルミナスルーホールメンブレンをシリンジの先端にエポキシ樹脂を用いて貼り付け膜乳化用の乳化膜とした。このポーラスアルミナ膜を介して、シリカ(SiO2)およびジルコニア(ZrO2)で表面コーティングされたチタニア(TiO2)粒子(直径10nm)が分散したゾル溶液を分散相として、界面活性剤(”span80”)を2wt%溶解したケロシン溶液中に押し出した。膜乳化により形成されたエマルション溶液を70度条件下で30分加温し、エマルション中の液滴中の水を乾燥させ固化粒子を形成した。得られた固化粒子をフィルター状にトラップし電子顕微鏡で観察した結果を図2に示す。サイズが微細で均一な凝集粒子が形成されている様子が観察できる。また、図3には、固化処理前の液滴のサイズ分布と固化粒子のサイズ分布を比較した結果を示す。どちらもサイズ均一性に優れた分布を示していることがわかり、液滴の乾燥過程で、凝集等によりサイズのばらつきが劣化しないことがわかった。
【0016】
実施例2〔100nm 以下のTiO2・SiO2・ZrO2凝集粒子の作製〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、100 nm周期で突起が規則的に配列した構造を持つSiC製モールドを押し付け、表面に微細な凹凸パターンを形成した。テクスチャリング処理を施したアルミニウム板を、0.3 Mの濃度に調整したシュウ酸水溶液中で、浴温17℃において直流40Vの条件下で120分間陽極酸化を行った。その後、地金部分をヨウ素飽和メタノール溶液中で溶解除去し、ポーラスアルミナの細孔底部をアルゴンイオンミリング装置を用いて除去することによりスルーホールメンブレンを得た。作製したポーラスアルミナスルーホールメンブレンをシリンジの先端にエポキシ樹脂を用いて貼り付け膜乳化用の乳化膜とした。実施例1で用いたゾル溶液を分散相として、界面活性剤(”span80”)を2wt%溶解したケロシン溶液中に押し出した。膜乳化により形成されたエマルション溶液を70度条件下で30分加温し、液滴中の水を乾燥させ固化粒子の形成を行った。得られた固化粒子をフィルター上にトラップし電子顕微鏡で観察した結果を図4に示す。平均粒子径50~80nm程度の単分散状の凝集粒子が形成されている様子が観察できる。図5は、ポーラスアルミナの細孔径と得られる微細凝集粒子サイズの関係を示した結果であるが、乳化膜として用いるポーラスアルミナの細孔径を変化させることで、固化粒子のサイズ制御を行うことが可能であることがわかる。また、相対標準偏差は15%以内に収められていることがわかり、つまり十分に30%以内に、とくに十分に20%以内に収められていることがわかり、10%以内も可能であることが示されている。
【0017】
実施例3〔様々なゾル溶液を用いた凝集粒子の作製〕
実施例1の方法で作製したポーラスアルミナ膜を用い、分散相に、それぞれ酸化スズ、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化チタンのゾル溶液を用いて、界面活性剤を溶解したケロシン溶液中に膜乳化を行った。得られた溶液を70度条件下で30分加温し液滴中の水分を乾燥させることで固化粒子を得た。図6(A)~(D)には、得られた固化粒子の観察結果を示す。このように、本プロセスは、様々なゾル溶液に適用可能であり、サイズ均一性に優れた微細凝集粒子の作製が可能であることがわかった。
【0018】
実施例4〔Ag粒子の作製〕
実施例1の方法で作製したポーラスアルミナ膜を用い、直径6nmのAg粒子が分散した水溶液を、乳化膜を介して界面活性剤を添加したケロシン溶液中に押し出しエマルションを形成した。得られたエマルションを70度条件下で30分間加温し、乾燥することでAg凝集粒子を得た。観察結果を図7に示す。
【0019】
実施例5〔ゾル濃度の変化による微粒子サイズの制御〕
実施例1の方法で作製したポーラスアルミナ膜を用い、実施例1で使用したゾル溶液を5倍に蒸留水で希釈し、これを分散相として同様に微粒子の作製を行った。図8には、ゾル濃度を変化させて作製した微細凝集粒子の粒度分布を示す。希薄なゾル溶液を用いた場合では、得られる粒子のサイズも微細化する様子が観察できる。
【0020】
実施例6〔貫通細孔密度を制御したポーラスアルミナによる膜乳化〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、100 nm周期で突起が規則的に配列した構造を持つSiC製モールドを押し付け、表面に微細な凹凸パターンを形成した。テクスチャリング処理を施したアルミニウム板を、0.3Mの濃度に調整したシュウ酸水溶液中で、浴温17℃において直流40Vの条件下で120分間陽極酸化を行った。その後、試料を電解浴を0.1Mの濃度に調整したリン酸水溶液に換え、浴温0℃において直流195Vの条件下で3時間陽極酸化を行った。その後、地金部分をヨウ素飽和メタノール溶液中で溶解除去し、ポーラスアルミナの細孔底部をアルゴンイオンミリング装置を用いて除去することによりスルーホールメンブレンを得た。得られたスルーホールメンブレンを、5wt%リン酸水溶液中に30分間浸漬し、孔径拡大処理をほどこし、細孔径の調節を行った。作製したポーラスアルミナスルーホールメンブレンをシリンジの先端にエポキシ樹脂を用いて貼り付け膜乳化用の乳化膜とした。作製した貫通孔密度を制御したポーラスアルミナを乳化膜として、実施例1に記載のゾル溶液を分散相として、同様に微細凝集粒子の作製を行ったところ、より確実に所望サイズの単分散状の凝集粒子が得られた。
【0021】
実施例7〔細孔径を微細化したポーラスアルミナ乳化膜の作製〕
純度99.99%のアルミニウム板表面に、500 nm周期で突起が規則的に配列した構造を持つSiC製モールドを押し付け、表面に微細な凹凸パターンを形成した。テクスチャリング処理を施したアルミニウム板を、0.1 Mの濃度に調整したリン酸水溶液中で、浴温0℃において直流200Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、70 mol%の四塩化ケイ素を含む四塩化炭素溶液に試料を一分間浸漬し、四塩化炭素とクロロホルムを用いて試料を洗浄したのちエタノールに浸漬することで加水分解反応に伴う細孔内壁へのシリカの析出を行った。この操作を8回繰り返すことで、細孔径を130nmから80nmに微細化した。その後、地金部分をヨウ素飽和メタノール溶液中で溶解除去し、ポーラスアルミナの細孔底部をアルゴンイオンミリング装置を用いて除去することによりスルーホールメンブレンを得た。得られたスルーホールメンブレンを、シリンジの先端にエポキシ樹脂を用いて貼り付け膜乳化用の乳化膜とした。このような方法により、細孔の周期は一定にしたまま、細孔のサイズだけ微細化したスルーホールメンブレンを容易に作製できることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係る凝集粒子の製造方法は、とくにサブミクロン以下数十ナノメーターサイズの凝集粒子が求められるあらゆる分野に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明における凝集粒子製造の一例を示す概略工程フロー図である。
【図2】実施例1におけるTiO2・SiO2・ZrO2凝集粒子を電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図3】実施例1における膜乳化で形成された液滴と固化処理後の微細凝集粒子の粒度分布図である。
【図4】実施例2における100nm以下の微細凝集粒子を電子顕微鏡像で観察した結果を示す図である。
【図5】実施例2におけるポーラスアルミナの細孔径と平均粒子径、相対標準偏差の関係図である。
【図6】実施例3における膜乳化プロセスで得られた様々な微細凝集粒子を電子顕微鏡像で観察した結果を示す図である。
【図7】実施例4における膜乳化プロセスで作製したAg微細凝集粒子を電子顕微鏡像で観察した結果を示す図である。
【図8】実施例5における濃度の異なるゾル溶液を用いて形成した微細凝集粒子の粒度分布図である。
【符号の説明】
【0024】
1 陽極酸化ポーラスアルミナ
2 細孔
3 第1の溶液
4 液滴
5 第2の溶液
6 エマルション
7 凝集粒子
8 フィルター
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7