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明細書 :浮遊分離装置及び方法並びにその利用製品の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4802305号 (P4802305)
公開番号 特開2011-020070 (P2011-020070A)
登録日 平成23年8月19日(2011.8.19)
発行日 平成23年10月26日(2011.10.26)
公開日 平成23年2月3日(2011.2.3)
発明の名称または考案の名称 浮遊分離装置及び方法並びにその利用製品の製造方法
国際特許分類 B03D   1/14        (2006.01)
C02F   1/24        (2006.01)
C04B  18/08        (2006.01)
C04B  28/02        (2006.01)
C04B  14/06        (2006.01)
B03D   1/02        (2006.01)
FI B03D 1/14 A
C02F 1/24 C
C04B 18/08 Z
C04B 28/02
C04B 14/06 Z
B03D 1/02 A
請求項の数または発明の数 19
全頁数 16
出願番号 特願2009-168346 (P2009-168346)
出願日 平成21年7月17日(2009.7.17)
審査請求日 平成21年11月27日(2009.11.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】802000031
【氏名又は名称】財団法人北九州産業学術推進機構
発明者または考案者 【氏名】松藤 泰典
【氏名】高巣 幸二
【氏名】達見 清隆
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100109807、【弁理士】、【氏名又は名称】篠田 哲也
審査官 【審査官】関口 哲生
参考文献・文献 特開2003-190708(JP,A)
特開昭51-133962(JP,A)
特開昭51-076668(JP,A)
実公昭30-013302(JP,Y1)
特公昭42-017554(JP,B1)
特開昭48-046150(JP,A)
国際公開第2008/069115(WO,A1)
特開2007-217244(JP,A)
特開平10-059759(JP,A)
特開平03-126652(JP,A)
実公昭52-37908(JP,Y2)
特開昭51-082959(JP,A)
特開昭57-050562(JP,A)
特開平04-317447(JP,A)
特開平11-005040(JP,A)
特開2004-339684(JP,A)
特開2005-034760(JP,A)
特開昭52-124273(JP,A)
特開2010-094594(JP,A)
調査した分野 B03D 1/02, 1/14
C02F 1/24
C04B 14/06,18/08,28/02
B03B 5/28
特許請求の範囲 【請求項1】
下向きに縮小した底部を有し、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を収容する処理槽本体と、
液面付近の該液面より低い位置から上記被処理液を取り出して下向きに縮小する上記底部に帰還させることで該被処理液を循環させると共に、該底部に帰還させる該被処理液を該底部の内周面に沿って流入させることで上記処理槽本体内に渦流を形成する循環手段と、
上記処理槽本体の下部から気泡を上記被処理液に供給する気泡発生装置と、を備え、
上記循環手段により上記渦流を形成しつつ循環させた上記被処理液に上記気泡発生装置により上記気泡を供給することで、上記処理槽本体内で表面濡れ性の差により上記フライアッシュ粒子の未燃カーボンが上記気泡に付着して液面にフロスとして浮上する、浮遊分離装置。

【請求項2】
前記循環手段は前記処理槽本体の上部と下向きに縮小する前記底部とに接続された循環路を備え、前記気泡発生装置は上記循環路に設けられ、循環させる被処理液に気泡を供給してから上記処理槽本体へ帰還させる、請求項1に記載の浮遊分離装置。
【請求項3】
前記気泡発生装置はエゼクタからなる、請求項2に記載の浮遊分離装置。
【請求項4】
前記気泡発生装置はマイクロバブルを発生し得る、請求項1乃至3の何れかに記載の浮遊分離装置。
【請求項5】
前記処理槽本体の上部に前記被処理液を取り出すための循環用出口を備え、前記処理槽本体の下向きに縮小する前記底部には上記循環用出口から取り出した上記被処理液を帰還させるための循環用入口を備え、該循環用入口は被処理液を該処理槽本体の内周面に沿って流入させるように開設されている、請求項1乃至4の何れかに記載の浮遊分離装置。
【請求項6】
前記処理槽本体はフロスを溢流させる手段を備え、該フロスを溢流させる手段は、前記処理槽本体の上部に設けられた上向きに縮小する縮小部と、該縮小部の上端に設けられたフロス溢流口とを備える、請求項1乃至5の何れかに記載の浮遊分離装置。
【請求項7】
前記処理槽本体に加水する手段が設けられ、該加水する手段から該処理槽本体内に加水することで前記被処理液の液面レベルが調整可能である、請求項1乃至6の何れかに記載の浮遊分離装置。
【請求項8】
処理槽本体に、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を収容し、被処理液の一部を循環用出口から取り出して循環用入口より帰還させかつ上記処理槽本体内へ気泡を注入することを継続することで、被処理液を循環させると共に上記処理槽本体内の被処理液に渦流を生じさせかつ上記気泡を被処理液に分散させ、上記気泡を上記未燃カーボンに付着させることで気泡付着未燃カーボンを浮遊させて上記渦流の中心に集め、気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの浮遊堆積を進行させて溢流除去し、上記処理槽本体内に残る上記未燃カーボンを低減した改質フライアッシュを回収するようにした、浮遊分離装置であって、
上記被処理液を貯留し上記渦流を生じさせうる縦円筒槽壁部を有し、かつ下向きに縮小した上記底部を有する上記処理槽本体と、
上記処理槽本体の上端に備えられた上記気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの溢流口と、
上記処理槽本体の上部に液面付近の該液面より低い位置となるように備えられた上記循環用出口と、
上記処理槽本体の下向きに縮小する上記底部に備えられ、上記処理槽本体に貯留する被処理液に渦流を生じさせるように、上記循環用出口から取り出した被処理液を上記処理槽本体の内周面に沿って流入させる上記循環用入口と、
上記循環用出口と上記循環用入口とに接続した被処理液の循環路と、
上記循環路の中途に備えられた循環ポンプと、
上記処理槽本体の上記循環用出口よりも下レベルに備えられ、水源と接続されて被処理液の液面レベルを調整すると共に上記処理槽本体内に残る上記フロスを溢流させるように加水する水入口と、
上記処理槽内の下部へ気泡を供給する気泡発生装置と、
を有してなる、浮遊分離装置。
【請求項9】
前記気泡発生装置は、前記循環路の前記循環ポンプよりも下流側の中途に介設したマイクロバブル発生器と、該マイクロバブル発生器の吸気口に接続した給気量調整弁とからなる、請求項8に記載の浮遊分離装置。
【請求項10】
未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を、下向きに縮小した底部を有する処理槽本体に収容し、
液面付近の該液面よりも低い位置から上記被処理液を取り出して下向きに縮小する上記底部に帰還させることで被処理液を循環させると共に、該底部に帰還させる該被処理液を該底部の内周面に沿って流入させることで処理槽本体内に渦流を形成し、
該渦流を形成しつつ循環させた被処理液に上記処理槽本体の下部から気泡を供給することで、該処理槽本体内で表面濡れ性の差により、上記フライアッシュ粒子の未燃カーボンが上記気泡に付着して液面にフロスとして浮上
該フロスに含まれる未燃カーボンと、上記被処理液に含まれる改質フライアッシュとを分離する、浮遊分離方法。

【請求項11】
下向きに縮小した底部を有する処理槽本体に、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を液面レベルが循環用出口よりも高くなるように収容し、上記被処理液の一部を液面付近の該液面より低い位置に配置された上記循環用出口から取り出して循環ポンプで下向きに縮小する上記底部の循環用入口より帰還させかつ上記処理槽本体内の下部へ気泡を注入することを継続することで、被処理液を循環させると共に、該底部に帰還させる該被処理液を該底部の内周面に沿って流入させることで上記処理槽本体内の上記被処理液に渦流を生じさせかつ上記気泡を上記被処理液に分散させ、上記気泡上記未燃カーボンが付着した気泡付着未燃カーボンを浮遊させて上記渦流の中心に集め、上記気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの浮遊堆積を進行させて溢流除去し、上記処理槽本体内に残る未燃カーボンを低減した改質フライアッシュを回収する、浮遊分離方法。

【請求項12】
前記フロスの浮遊堆積による溢流が終了した時点で、前記循環ポンプの稼動と並行し、上記処理槽本体内の上記循環用出口よりも下側へ加水し液面レベルを上昇させて処理槽本体に残留するフロスを溢流除去する、請求項11に記載の浮遊分離方法。
【請求項13】
前記フロスの浮遊堆積による溢流が終了した時点で、前記循環ポンプの稼動を停止し、上記処理槽本体内の上記循環用出口よりも下側へ加水し液面レベルを上昇させて処理槽本体に残留するフロスを溢流除去する、請求項11に記載の浮遊分離方法。
【請求項14】
前記処理槽本体から取り出して該処理槽本体に帰還させる中途において前記被処理液に前記気泡を供給する、請求項10乃至13の何れかに記載の浮遊分離方法。
【請求項15】
前記被処理液に供給される前記気泡にはマイクロバブルが含まれる、請求項10乃至14の何れかに記載の浮遊分離方法。
【請求項16】
請求項10乃至15の何れかに記載の浮遊分離方法により分離された前記改質フライアッシュを少なくとも水及びセメントと混練する、利用製品の製造方法。
【請求項17】
少なくともセメント、水、及び骨材を混練してセメント組成物を製造する製造方法であり、請求項10乃至15の何れかに記載の浮遊分離方法により分離され前記改質フライアッシュを上記骨材の少なくとも一部として混練する、利用製品の製造方法。
【請求項18】
下向きに縮小した底部を有する処理槽本体に、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を液面レベルが循環用出口よりも高くなるように収容し、上記被処理液の一部を液面付近の該液面より低い位置に配置された上記循環用出口から取り出して循環ポンプで下向きに縮小する上記底部の循環用入口より帰還させかつ上記処理槽本体内の下部へ気泡を注入することを継続することで、上記被処理液を循環させると共に、該底部に帰還させる該被処理液を該底部の内周面に沿って流入させることで上記処理槽本体内の上記被処理液に渦流を生じさせかつ上記気泡を上記被処理液に分散させ、上記気泡上記未燃カーボンが付着した気泡付着未燃カーボンとして浮遊させて上記渦流の中心に集め、気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの浮遊堆積を進行させて溢流除去し、上記処理槽本体内に残る未燃カーボンを低減したテールを回収し、水分を調整した高濃度テールとし、該高濃度テールを骨材としフライアッシュを含まないセメントと砂と砂利と水とを混練したフライアッシュコンクリートの製造方法。

【請求項19】
下向きに縮小した底部を有する処理槽本体に、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を液面レベルが循環用出口よりも高くなるように収容し、上記被処理液の一部を液面付近の該液面より低い位置に配置された上記循環用出口から取り出して循環ポンプで下向きに縮小する上記底部の循環用入口より帰還させかつ上記処理槽本体内の下部へ気泡を注入することを継続することで、上記被処理液を循環させると共に、該底部に帰還させる該被処理液を上記底部の内周面に沿って流入させることで上記処理槽本体内の上記被処理液に渦流を生じさせかつ上記気泡を上記被処理液に分散させ、上記気泡上記未燃カーボンが付着した気泡付着未燃カーボンとして浮遊させて上記渦流の中心に集め、気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの浮遊堆積を進行させて溢流除去し、上記処理槽本体内に残る未燃カーボンを低減したテールを回収し、水分を調整した高濃度テールとし、該高濃度テールを骨材としフライアッシュを含まないセメントと砂と水とを混練したフライアッシュモルタルの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、フライアッシュの改質に好適な浮遊分離装置及び方法並びにその利用製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所の微粉炭燃焼ボイラから副産品として大量に産出される石炭灰(フライアッシュ)は、セメント原料のほか、多くの分野で利用されている。コンクリート用フライアッシュは、JIS A 6201でI種~IV種の規格が決められている。I種は未燃カーボンが3wt%以下で、II種は未燃カーボンが5wt%以下と決められている。
【0003】
I種のフライアッシュは種々の利点を有するため、フライアッシュセメント、その他の有用な利用が行われているが、I種以外のフライアッシュは、その価値を減じた利用が行われている。
【0004】
従来、I種以外のフライアッシュを改質して利用価値を高めるために、フライアッシュの改質処理方法が複数提案されている。特に、フライアッシュスラリー中の未燃カーボンと灰分との表面濡れ性の差を利用し浮選分離する方法が複数提案されている。
【0005】
たとえば、特許文献1に記載された、コンクリート用石炭灰の安定化処理方法及び装置は、特許文献1の図3に示された円筒型スラリーミキサー(浮選機)を用いる。このミキサーは、石炭灰を供給する供給管と、注水管と、泡排出管と、空気圧送管と、灰分排出管と、鉄分を排出する移出管と、電磁石を内蔵した有孔回転板からなる攪拌板とを備え、各管には、それぞれ制御弁を備えてなる。
【0006】
この装置では、石炭灰と水(界面活性剤を含む)をミキサー内に注入し、起泡させ、円筒型スラリーミキサー内に空気を圧送しながら磁石を内蔵した攪拌板を、磁石をオンの状態で回転させ、空気中の二酸化炭素で高アルカリ性石炭灰を塩基性を下げた後、泡状灰分を排出し未燃カーボンを泡状の排出灰分に連行させ、かつ鉄分を酸化鉄として分離し、次いで、未燃カーボン含有程度の低い安定化処理されたスラリー状の残留灰分をコンクリートミキサーへ排出した後、攪拌板の磁石をオフにして鉄分を排出する。
【0007】
特許文献2に記載された、原料のフライアッシュ中に含まれている未燃カーボンを除去する方法は、表面親油化(表面改質)による浮選法を用いてフライアッシュ中の未燃カーボンを除去するに当たり、灰分の回収率を向上させ、捕集剤である油の添加量を低減させて、回収灰分中の未燃カーボン量をより少なくするものである。
【0008】
この方法では、まず、フライアッシュに水を加えてスラリー化する。このスラリーを、高速で回転する攪拌羽根を有する表面改質機に供給し、攪拌羽根の剪断力によってフライアッシュ中に含まれている未燃カーボンの表面に活性エネルギーを生じさせて、親油性を付与する。次いで、活性エネルギーにより親油化した未燃カーボンを含むスラリーに捕集剤及び起泡剤を添加して、捕集剤を親油化した未燃カーボンに付着させると共に、発生した気泡に未燃カーボンを付着させて浮選するものである。
【0009】
特許文献2の図4、図5に示された浮選機は、気泡に未燃カーボンを付着させて浮上させ、未燃カーボン(フロス)と、未燃カーボンが除去されたフライアッシュ(テール)とに分離する。この浮選機は、直方形の槽内に隔壁で仕切られた複数の部屋を有し、各部屋内に攪拌機を備え、攪拌機の回転軸の外側に空気導入管とフードとを有する外管を有し、槽の両側に傾斜した底部を有するフロス払い出し路を有し、その谷側に双方のフロス払い出し路に接続するフロス集合路を有し、フロス払い出し路を持つ側壁の上部にモーターと回転軸と複数の水車とからなるフロス掻き出し機を備えている。浮選機は、上流側の端面にスラリー入口を有し、下流側の端面にテール取出口を有し、フロス集合路にフロス(カーボン)取出口を有している。また、各隔壁に連通口を有している。
【0010】
この浮選機によれば、上流側の端面にスラリー入口より供給されたスラリーは、攪拌機で攪拌されるが、空気導入管から空気が吸い込まれて気泡が発生し、気泡の表面に捕集剤を介して未燃カーボンが付着して気泡とともに浮上し、フロス掻き出し機によって槽外に掻き出され、フロス払い出し路内に流下してフロス集合路を経て機外に排出される。槽内に残ったテール(フライアッシュ)は、下流側の端面から水と共に取出口から機外に排出される。この浮選機を4段に接続使用することで、改質フライアッシュ中の未燃カーボンを改質している。
【先行技術文献】
【0011】

【特許文献1】特許第4210358号公報
【特許文献2】特開2007-167825号公報、図4,図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
未燃カーボンを多く含むフライアッシュをコンクリート混和材として利用できるようにするためには、未燃カーボンが3wt%以下となるように改質する必要があるが、特許文献1に記載された技術では、長時間を要し、残留未燃カーボンの十分な生産性を得にくかった。

【0013】
一方、特許文献2に記載された技術では、浮選機が複雑で大型となり易く、全プラントを設置するには極めて大きな設置スペースと設備コストが必要になるなど、中小の生コン工場ではとても設備できないという問題があった。
【0014】
分離除去対象の不純物を含む被処理物は、フライアッシュ以外にも多く存在し、それら被処理物について浮遊分離技術を利用して、コンパクトで簡素な構成で、しかも操作が簡単で効率良く被処理物を分離可能な装置が要望されている。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みて案出されたもので、分離除去対象の不純物を含む被処理物の粒子が分散した被処理液について、不純物と被処理物との表面濡れ性の差を利用して短時間に高効率でフロスとテールとに浮選分離できると共に、コンパクトで簡素な構成を有し、操作が簡単で作業効率に優れた浮遊分離装置を提供することを一目的としている。また、本発明は、短時間に高効率でフロスとテールを浮遊分離する方法を提供することを他の目的とする。
【0016】
また本発明は、フライアッシュの改質装置及び方法に適用でき、未燃カーボンを多く含んでいるフライアッシュを未燃カーボンが3wt%以下になるように改質することができて、コンパクトで簡素な構成を有し、操作が簡単で効率良く被処理物を分離可能な、浮遊分離装置及び方法を提供することを目的としている。
【0017】
さらに本発明は、上記浮遊分離装置を設備し、上記フライアッシュの改質方法を使用することで、環境負荷の観点から好ましい利用形態である、フライアッシュコンクリートの製造方法及びフライアッシュモルタルの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記一目的を達成するため、本発明の浮遊分離装置は、下向きに縮小する底部を有し、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を収容する処理槽本体と、液面付近の該液面より低い位置から被処理液を取り出して下向きに縮小する底部に帰還させることで被処理液を循環させると共に、底部に帰還させる被処理液を底部の内周面に沿って流入させることで処理槽本体内に渦流を形成する循環手段と、処理槽本体の下部から気泡を被処理液に供給する気泡発生装置と、を備え、循環手段により渦流を形成しつつ循環させた被処理液に気泡発生装置により気泡を供給することで、処理槽本体内で表面濡れ性の差により未燃カーボンが気泡に付着して液面にフロスとして浮上するものである。
本発明の他の構成に係る浮遊分離装置は、処理槽本体に、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を収容し、被処理液の一部を循環用出口から取り出して循環用入口より帰還させかつ処理槽本体内へ気泡を注入することを継続することで、被処理液を循環させると共に処理槽本体内の被処理液に渦流を生じさせかつ気泡を被処理液に分散させ、気泡を未燃カーボンに付着させ気泡付着未燃カーボンを浮遊させて渦流の中心に集め、気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの浮遊堆積を進行させて溢流除去し、処理槽本体内に残る未燃カーボンを低減した改質フライアッシュを回収するようにした、浮遊分離装置であって、被処理液を貯留し渦流を生じさせうる縦円筒槽壁部を有し、かつ下向きに縮小した底部を有する処理槽本体と、処理槽本体の上端に備えられた気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの溢流口と、処理槽本体の上部に液面付近の液面より低い位置となるように備えられた循環用出口と、処理槽本体の下向きに縮小する底部に備えられ、処理槽本体に貯留する被処理液に渦流を生じさせるように、循環用出口から取り出した被処理液を処理槽本体の内周面に沿って流入させる循環用入口と、循環用出口と循環用入口とに接続した被処理液の循環路と、循環路の中途に備えられた循環ポンプと、処理槽本体の循環用出口よりも下レベルに備えられ、水源と接続され被処理液の液面レベルを調整すると共に処理槽本体内に残るフロスを溢流させるように加水する水入口と、処理槽内の下部へ気泡を供給する気泡発生装置と、を有する。
処理槽本体は、下記の実施形態で示すように、下部をホッパー形状とし、かつ、仕切弁を備えてテールを取り出す構成が好ましいが、これに限定されず、例えば、処理槽本体を有底の円筒体形状とし、かつ、転倒させてフロス溢流口からテールを回収するタイプとし仕切弁を備えない構成としても良い。また、処理槽本体は、下記の実施形態で示すように、上部を逆さホッパー形状とした構成が好ましいが、上端が開放した円筒体形状とし、周囲に樋を備える構成としても良い。本発明の浮遊分離装置は、フライアッシュの改質に好適である。

【0019】
上記他の目的を達成するため、本発明の浮遊分離方法は、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を、下向きに縮小した底部を有する処理槽本体に収容し、液面付近の液面よりも低い位置から被処理液を取り出して処理槽本体の下向きに縮小する底部に帰還させることで被処理液を循環させると共に、底部に帰還させる被処理液を底部の内周面に沿って流入させることで処理槽本体内に渦流を形成し、渦流を形成しつつ循環させた被処理液に処理槽本体の下部から気泡を供給することで、処理槽本体内で表面濡れ性の差により、フライアッシュ粒子の未燃カーボンが気泡に付着して液面にフロスとして浮上、フロスに含まれる未燃カーボンと、被処理液に含まれる改質フライアッシュとを分離することを特徴とする。
本発明の浮遊分離方法は、下向きに縮小した底部を有する処理槽本体に、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を液面レベルが循環用出口よりも高くなるように収容し、被処理液の一部を液面付近の液面より低い位置に配置された循環用出口から取り出して循環ポンプで下向きに縮小する底部の循環用入口より帰還させかつ処理槽本体内の下部へ気泡を注入することを継続することで、被処理液を循環させると共に底部に帰還させる被処理液を底部の内周面に沿って流入させることで処理槽本体内の被処理液に渦流を生じさせかつ気泡を被処理液に分散させ、気泡未燃カーボンが付着した気泡付着未燃カーボンを浮遊させることで渦流の中心に集め、気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの浮遊堆積を進行させて溢流除去し、処理槽本体内に残る未燃カーボンを低減した改質フライアッシュを回収する。

【0020】
上記他の目的を達成するために、本発明の利用製品の製造方法は、上記のような浮遊分離方法により分離されて未燃カーボンが低減されたフライアッシュを、少なくとも水及びセメントと混練することを特徴とし、または、少なくともセメント、水、及び骨材を混練してセメント組成物を製造する製造方法であり、上記浮遊分離方法により分離されて未燃カーボンが低減されたフライアッシュを上記骨材の少なくとも一部として混練することを特徴とする。
この目的を達成するために、本発明の利用製品の製造方法では、下向きに縮小した底部を有する処理槽本体に、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を液面レベルが循環用出口よりも高くなるように収容し、被処理液の一部を液面付近の液面より低い位置に配置された循環用出口から取り出して循環ポンプで下向きに縮小する底部の循環用入口より帰還させかつ処理槽本体内の下部へ気泡を注入することを継続することで、被処理液を循環させると共に、底部に帰還させる被処理液を底部の内周面に沿って流入させることで処理槽本体内の被処理液に渦流を生じさせかつ気泡を被処理液に分散させて未燃カーボンが気泡に付着した気泡付着未燃カーボンとして浮遊させて渦流の中心に集め、気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの浮遊堆積を進行させて溢流除去し、処理槽本体内に残る未燃カーボンを低減したテールを回収し、水分を調整した高濃度テールとし、高濃度テールを骨材としフライアッシュを含まないセメントと砂と砂利と水とを混練することでフライアッシュコンクリートを製造してもよい。

【0021】
また、この目的を達成するために、本発明の利用製品の製造方法では、下向きに縮小した底部を有する処理槽本体に、未燃カーボンを含むフライアッシュ粒子が分散した被処理液を液面レベルが循環用出口よりも高くなるように収容し、被処理液の一部を液面付近の液面より低い位置に配置された循環用出口から取り出して循環ポンプで下向きに縮小する底部の循環用入口より帰還させかつ処理槽本体内の下部へ気泡を注入することを継続することで、被処理液を循環させると共に、底部に帰還させる被処理液を底部の内周面に沿って流入させることで処理槽本体内の被処理液に渦流を生じさせかつ気泡を被処理液に分散させて未燃カーボンが気泡に付着した気泡付着未燃カーボンとして浮遊させて渦流の中心に集め、気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスの浮遊堆積を進行させて溢流除去し、処理槽本体内に残る未燃カーボンを低減したテールを回収し、水分を調整した高濃度テールとし、高濃度テールを骨材としフライアッシュを含まないセメントと砂と水とを混練することでフライアッシュモルタルを製造してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の浮遊分離装置及び方法によれば、分離除去対象の不純物を含む被処理物の粒子が分散した被処理液について、不純物と被処理物との表面濡れ性の差を利用して短時間に高効率でフロスとテールとに浮選分離でき、コンパクトで簡素な構成を有し、操作が簡単で効率が良い浮遊分離装置及び方法を提供することができる。
【0023】
また本発明の浮遊分離装置及び方法によれば、フライアッシュの改質装置及び方法に適用でき、未燃カーボンを多く含んでいるフライアッシュを未燃カーボンが3wt%以下になるように改質することができて、コンパクトで簡素な構成を有し、操作が簡単で効率良く被処理物を分離可能な、浮遊分離装置及び方法を提供することができる。
【0024】
さらに本発明によれば、上記浮遊分離装置を設備し、上記フライアッシュの改質方法を使用することで、環境負荷の観点から好ましい利用形態である、フライアッシュコンクリートや、フライアッシュモルタルを簡単に効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る浮遊分離装置を示す縦断正面図である。
【図2】図1におけるII-II断面図である。
【図3】図1におけるIII-III断面図である。
【図4】図1の浮遊分離装置を用いて二種類の原灰を浮遊選鉱処理し処理時間を異ならせて得られたテールについて強熱減量テストを行った結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る浮遊分離装置及び方法について図面を参照して説明する。この実施形態では、フライアッシュの改質装置及び方法として適用した場合について説明する。この場合、分離除去対象の不純物を含む被処理物がフライアッシュであり、分離除去対象の不純物が未燃カーボンである。続いて、フライアッシュコンクリートの製造方法及びフライアッシュモルタルの製造方法について説明する。
(第1の実施形態:浮遊分離装置及び方法)
図1に示すように、第1の実施形態の浮遊分離装置1は、フライアッシュの改質装置に適用したもので、処理槽本体10を有し、処理槽本体10にフロス溢流口11と循環液出口12と循環液入口13と水入口14とテール回収口15とフロス回収トレイ16とフロス回収口17とを有し、テール回収口15に仕切弁18を備え、循環液出口12と循環液入口13とが循環路19で接続され、循環路19の中途に循環ポンプ20を有し、循環ポンプ20の吐出側の循環路19中途に気泡発生装置21を備えて構成されている。フロス溢流口11は、被処理液の供給口を兼ねている。なお、供給口を別途に備えていても良い。

【0027】
浮遊分離装置1は、被処理液をフロス溢流口11を通して処理槽本体10に貯留する。

【0028】
被処理液は、分離除去対象の不純物を含む被処理物として、未燃カーボンを多く含むフライアッシュを5wt%~30wt%濃度となるように水に分散させかつ未燃カーボンに表面に捕集剤を付着させさらに気泡剤を分散させた液である。

【0029】
浮遊分離装置1は、処理槽本体10に貯留した被処理液を循環ポンプ20で循環させることで処理槽本体10内の被処理液に渦流を生じさせ、被処理液に含まれる未燃カーボンと灰分との表面濡れ性の差を利用してバブルを注入し、このバブルに未燃カーボンを付着させて浮選堆積させ、バブル状に浮選堆積するフロスFをフロス溢流口11より溢流させて容器Y2に回収すると共に、テールTをテール回収口15より流下させて容器Y1に回収するように構成されている。

【0030】
処理槽本体10に貯留した被処理液は、循環ポンプ20による循環でバブルとの接触を何度も繰り返す。このため、未燃カーボンは、表面が親油性なので渦流に沿って流れ浮上していく過程でバブルと接触すると付着し、バブルを同伴して浮上し渦流の中心に集まる。バブルと接触しなかった未燃カーボンは、循環ポンプ20による循環で渦流の下部に送られてバブルと接触する機会が繰り返し与えられる。このため、殆どの未燃カーボンがバブルと接触して浮選することができる。灰分は親水性のためバブルと接触しても付着しないのでバブルと離れ渦流に沿って流れる。例えば30分間という極めて短い時間経過で未燃カーボンのバブルとの接触が十分に行われ、バブル付着カーボン(バブル付着不純物)の集合であるフロスが浮上堆積し溢流していく。処理槽本体10に最後に残るフロスについては加水し液面レベルを上げて溢流させる。

【0031】
以下、浮遊分離装置1の構成を詳細に分説する。

【0032】
処理槽本体10は、処理槽下部10aと、処理槽中央部10bと、処理槽上部10cとフロス回収枠部10dと、の四分割体よりなる組立構造体である。処理槽下部10aは、下向きに縮径する円錐部とこの円錐部の下端より延在する円筒部とを有するホッパー形状である。処理槽中央部10bは、被処理液を貯留し渦流を生じさせ得る縦円筒槽壁部を有する円筒形状である。処理槽上部10cは、上向きに縮径する円錐部とこの円錐部の上端より延在する円筒部とを有する逆さホッパー形状である。フロス回収枠部10dは、処理槽上部10cの上面周囲をフロス回収空間として画成している。処理槽本体10は、上記構成に限定されるものでなく、被処理液を貯留し渦流を生じさせ得る縦円筒槽壁部を有していれば足りる。

【0033】
フロス溢流口11は、後述する気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスFのフロス溢流口であり、処理槽上部10cの円筒部の上端開口が該当する。フロス溢流口11は、フロス回収枠部10dによって画成された処理槽上部10cの上面外周にフロス回収トレイ16の中央に位置している。フロス回収トレイ16に回収されるフロスFは、フロス回収枠部10dの一側に備えられたフロス回収口17を通し、フロス回収管22を介して容器Y2に回収される。この浮選分離装置1は、循環ポンプ20のみが駆動源なので、ランニングコストが安くて省エネルギーである。

【0034】
循環液出口12は、処理槽中央部10bの上部に備えられている。循環液入口13は、処理槽下部10aの円錐部の下部に備えられている。循環液入口13は、処理槽下部10aの円錐部における被処理液の流入を内周面に沿わせるように備えられている。循環液入口13は、処理槽下部10aの円錐部の下部に接線方向に備えられるのが良い。循環液出口12と循環液入口13とが循環路19で接続され、循環路19の中途に循環ポンプ20が介設されている。

【0035】
水入口14は、処理槽中央部10bの下部に備えられ水源としての水道水の蛇口と接続される。水入口14は、フロスFをフロス溢流口11から溢流させるために加水する水入口である。この水入口14は、循環液出口12よりも下位レベルに備えられていればよい。

【0036】
テール回収口15は、処理槽下部10aの円筒部の下端開口が該当する。テール回収口15は、フロスを溢流させた後に処理槽本体10内に残るテールTの回収口である。このテール回収口15には仕切弁18が設けられており、仕切弁18を開いてテールTを回収する。

【0037】
気泡発生装置21は、マイクロバブル発生器21aと、このマイクロバブル発生器21aの吸気口に接続した給気量調整弁21bとからなり、気泡が処理槽本体10内の被処理液全体の流れに乗って未燃カーボンと十分に接触するように、気泡の注入を循環路19の循環ポンプ20よりも下流側の中途において行うようになっている。

【0038】
マイクロバブル発生器21aは、詳しい構造について図示しないが、例えば、循環ポンプ20から循環液入口13へ給送される被処理液を通流させるベンチュリ通路と、ベンチュリ通路の小径通路部に臨む先端が開放した複数の細管と、複数の細管の基端と連通し大気連通口を有するマニホールドと、を有してなり、大気連通口に接続される給気量調整弁21bによってベンチュリ通路の負圧発生部である小径通路部にマイクロバブルが送り込まれ、マイクロバブルが被処理液中に注入される構成である。

【0039】
マイクロバブル発生器21aは、例えばエンバイロ・ビジョン株式会社製のYJノズル(商品名)を用いることができる。YJノズルは、気泡径最頻値が30μm~50μmであるマイクロバブルを発生して循環ポンプ20から循環液入口13へ給送される被処理液中に送り込むことができる。なお、気泡発生装置21は、給気量調整弁21bを備えていなくても良い。エンバイロ・ビジョン株式会社製のYJノズル(商品名)は、給気量調整弁21bを備えていなくてもエゼクタ作用を利用してマイクロバブルを大量に送り込むことができる。さらに、循環路19に気泡を注入せずに、処理槽内の下部へ気泡を注入しても良い。

【0040】
上記のように構成された浮遊分離装置1を使用してフライアッシュを改質する方法を説明する。

【0041】
まず、浮遊分離装置1の処理対象のフライアッシュ及び被処理液について説明する。

【0042】
処理対象のフライアッシュは、未燃カーボンを多く含むフライアッシュである。フライアッシュ中の未燃カーボンが3wt%位の低濃度のものから25wt%位の高濃度のものまで広く処理対象となりうる。ただし、本発明で使用可能な未燃カーボンの含有量を上記の濃度に限定する趣旨ではない。従来引き取り手が無く未利用であったフライアッシュも含まれる。

【0043】
処理対象の被処理液は、未燃カーボンを多く含むフライアッシュを水に分散状に含ませて前処理した懸濁液である。詳しくは、フライアッシュを水と混練し、さらに捕集剤、例えば灯油を加えて混練してスラリーとし、さらにスラリーに水を加え攪拌してフライアッシュを例えば5wt%~20wt%の濃度で水に分散させ、かつ気泡剤、例えばパイン油を加えてなる懸濁液である。

【0044】
浮遊分離装置1を稼動する場合、仕切弁18を閉じて被処理液をフロス溢流口11を通して処理槽本体10に給送し、液面レベルが循環液出口12よりも例えば数cm高くなるように貯留する。液面レベルを処理槽中央部10bの上端付近とすれば良い。処理槽本体10に貯留した被処理液の液面レベルが循環液出口12よりも低いときは、水入口14から加水して液面レベルを循環液出口12よりも数cm高くする。処理槽上部10cの空間は気泡付着未燃カーボンが浮上堆積するための空間となる。なお、処理槽本体10に被処理液を入れるための供給口を別途に備えても良い。

【0045】
処理槽本体10に被処理液を貯留したら、循環ポンプ20を稼動する。循環ポンプ20は、処理槽本体10に貯留する被処理液を循環液出口12を通してポンプ内に取り込み、被処理液を圧送し循環液入口13より処理槽下部10aの円錐部の下部に帰還させる。この際、循環液入口13が、図3に示すように、流入方向案内機能により、被処理液を処理槽本体10の内周面に沿ってかつ上向きに流入させる。循環ポンプ20による被処理液の循環は、処理槽本体10内の被処理液に渦流を生じさせる。循環ポンプ20による循環量は、特に限定は無いが、例えば、1分間で処理槽本体10内の被処理液の0.5~2.5倍の容量の循環量となるように調整する。

【0046】
循環ポンプ20の稼動と同期して給気量調整弁21bを稼動し、マイクロバブル発生器21aへ給気する。マイクロバブル発生器21aは、気泡径最頻値が例えば30μm~50μmであるマイクロバブルを循環ポンプ20から循環液入口13へ給送される被処理液中に多量に連続注入することができる。マイクロバブルは、内圧が高く被処理液中に長く滞留することができ、被処理液中に分散するバブル数、合計表面積、未燃カーボンとの接触割合が通常のバブルに比べてはるかに大きい。このため、処理槽本体10内の被処理液の極めて緩やかな渦流に乗ったバブルは、被処理液中に分散する未燃カーボンと接触すると、未燃カーボンの表面が親油性であるので未燃カーボンに付着する。
図2に示すように、バブル付着未燃カーボンは、渦流が極めて緩やかなので引き剥がされずにバブルの浮力によって上昇しながら渦流の中心に集まり、被処理液の液面に到達する。被処理液の液面に到達したバブル付着未燃カーボンは、遅れて液面に到達する後続のバブル付着未燃カーボンにより押し上げられる。
こうして集合したバブル付着未燃カーボンであるフロスFは、処理槽上部10cの内空間がバブル付着未燃カーボンで満杯になり、さらに後続のバブル付着未燃カーボンが多量に浮上するので、フロス溢流口11から溢流することができる。

【0047】
フロス溢流口11を溢れ出て処理槽上部10cの上面を流れ落ちフロス回収空間に受容されるフロスFは、フロス回収枠部10dの一側に備えられたフロス出口10eを通して容器Y2に回収される。処理槽本体10内に残った未燃カーボンを低減したテールTは、仕切弁18を開いて容器Y1に回収する。
本実施形態の浮遊分離装置1を用いることで、後述する実施例1で示すように、僅か約30分の処理時間で未燃カーボンが2%以下のテールTを得ることができる。

【0048】
マイクロバブル発生器21aより処理槽本体10に大量に送り込まれマイクロバブルとしての空気に含まれるCO2は被処理液中で炭酸になり、フライアッシュに起因するpH11~pH12の被処理液をpH8~pH9に下げることができる。このため、空気中の大量のCO2をコンクリートやモルタル中に中和化合物として固定できるので、フライアッシュの改質装置及び方法は、地球の環境負荷を軽減する有用技術に位置づけられる。
〔第2の実施形態:フライアッシュコンクリートの製造方法〕
図1に示す浮遊分離装置1及び方法を用いて製造されたフライアッシュでフライアッシュコンクリートを製造することができる。フライアッシュコンクリートを製造する場合、前処理として浮遊分離装置1で処理する被処理液を作る。この被処理液は、フライアッシュと水とフライアッシュ中の未燃カーボンの捕集剤とを混練してなる粘流動状のスラリーにさらに水と気泡剤を加えて攪拌し、分散した被処理液とするものである。
処理槽本体10に、被処理液を、液面レベルが循環液出口12よりも高くなるように収容し、被処理液の一部を循環液出口12から取り出して循環ポンプ20で下部の循環液入口13より帰還させることを継続すると共に、処理槽本体10内の下部へ気泡、たとえばマイクロバブルを注入することを継続する。これによって、処理槽本体10内の被処理液全体に渦流を生じさせる。この気泡を被処理液中に十分に分散させて表面が親油性の未燃カーボンに付着させることで、気泡付着未燃カーボンとする。そして、この気泡付着未燃カーボンを浮遊させて渦流の中心に集め、気泡付着未燃カーボンの集合であるフロスFの浮遊堆積を進行させることで溢流除去する。

【0049】
フロスの浮遊堆積の進行が止まり、溢流が止まった時点で、処理槽本体10内の循環液出口12よりも下側へ加水して液面レベルを上昇させ、浮遊堆積するフロスFを溢流除去する。
次いで、処理槽本体10内に残った未燃カーボンを低減したテールTを回収して、フライアッシュ濃度が60%~80%となるように水分を除去した高濃度テールとし、該高濃度テールを骨材とし、フライアッシュを含まないセメントと砂と砂利と水とを混練し、フライアッシュコンクリートを製造するものである。未燃カーボンが多いフライアッシュを強熱減量3wt%以下に改質すれば、その価値に応じてコンクリート混和材として利用できる。

【0050】
このフライアッシュコンクリートは、空気中のCO2がフライアッシュに起因する塩基性中和に大量に消費されるので、電力を必要としかつCO2を多量に排出するキルンにより製造されるフライアッシュセメントを用いたフライアッシュコンクリートに比べて環境負荷が小さい。そのため、全国の生コン工場(約3900工場)がこの浮遊分離装置及び方法を設備し、このフライアッシュコンクリートを製造し、フライアッシュセメントの使用量が減じられれば、環境負荷を小さくする上で非常に有用である。またこのフライアッシュコンクリートは、通常のコンクリートの製造におけるセメントの使用量と同等でありながら、フライアッシュを含んでいることに起因して高強度になる。このフライアッシュコンクリートが、通常のコンクリートに比べてセメントの使用量が約2倍である高強度コンクリートに替えて使用され、高強度コンクリートの使用量が減じれば、セメントの使用量を削減できるので、環境負荷を小さくする上で非常に有用である。

【0051】
この実施形態によれば、小さな消費エネルギーで短時間に未燃カーボンが3wt%(=強熱減量3wt%)以下になるように改質することを、単一の簡素な構成の低コストの装置で実現でき、中小の生コン工場でも設備することが容易となり、きわめて優れた浮遊分離装置と、フライアッシュコンクリートを得ることができる。
〔第3の実施形態:フライアッシュモルタルの製造方法〕
図1に示す浮遊分離装置1及び方法を用いて製造されたフライアッシュで、フライアッシュモルタルを製造することができる。フライアッシュモルタルの製造方法は、上記浮遊分離装置及び方法を用い、被処理液を浮遊選鉱させて高濃度テールを得るまでの工程は、フライアッシュコンクリートの製造方法と同一であるので説明を省略する。相違点は砂利の有無である。フライアッシュモルタルの製造方法では、高濃度テールを骨材としフライアッシュを含まないセメントと砂と水とを混練し、フライアッシュモルタルを製造するものである。
【実施例1】
【0052】
表1は、図1の浮遊分離装置を用い、沖縄の火力発電所で生産されたフライアッシュ(原灰)と、旭化成第3火力発電所でそれぞれ生産されたフライアッシュ(原灰)について、浮遊分離処理を行い、これによって30分経過時、60分経過時、120分経過時、180分経過時の各テールを取り出し、各テールについて強熱減量テストを行って消失した未燃カーボンの量(wt%)を測定したものである。
【実施例1】
【0053】
【表1】
JP0004802305B2_000002t.gif
【実施例1】
【0054】
図4に示すグラフは、横軸に処理時間、縦軸に強熱減量(未燃カーボン含有率;wt%)を取って、表1の結果をグラフにしたものである。
【実施例1】
【0055】
図4に示すグラフによれば、未燃カーボンの含有量が7.72wt%のオーストラリア・モーラ炭の原灰が僅か30分の浮遊分離処理で強熱減量1.61wt%を得られ、また未燃カーボンの含有量が6.84wt%の旭化成第3火力発電所0808の原灰が僅か30分の浮遊分離処理で強熱減量2.39wt%を得られた。
【実施例1】
【0056】
これによって、図1の浮遊分離装置によれば、極めて短時間にかつ分離除去対象の不純物を含む被処理物の粒子が分散した被処理液について、不純物と被処理物との表面濡れ性の差を利用して短時間に高効率でフロス(不純物)とテールと浮選分離できることが実証された。
〔その他の実施形態及び実施例〕
本発明は上記の実施形態及び実施例の例示に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載した技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
【実施例1】
【0057】
本発明に係る装置及び方法は、被処理液として、フライアッシュを含む懸濁液に限定されない。重金属物質を含む被処理物を懸濁粒子、コロイド粒子、分子、イオンなどの粒子が分散した形態で含む被処理液にも適用される。
【実施例1】
【0058】
本発明によれば、微粒子が分散した懸濁液、例えば一般排水、その他の排水などに適用して微粒子に気泡を付着させて浮遊選鉱により気泡付微粒子を除去すること、ヘドロに加水して懸濁液として分散状の微粒子を取り除くこと、重金属を含む産業廃棄液から重金属の微粒子、その他の微粒子に気泡を付着させて浮遊選鉱させることができる重金属の微粒子を取り除くこと、などに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 浮遊分離装置
10 処理槽本体
11 フロス溢流口
12 循環液出口
13 循環液入口
14 水入口
15 テール回収口
18 仕切弁
19 循環路
20 循環ポンプ
21 気泡発生装置
21a マイクロバブル発生器
21b 給気量調整弁
図面
【図3】
0
【図4】
1
【図1】
2
【図2】
3