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明細書 :蒸発ヘリウムガス回収装置および回収方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3488427号 (P3488427)
公開番号 特開2002-162159 (P2002-162159A)
登録日 平成15年10月31日(2003.10.31)
発行日 平成16年1月19日(2004.1.19)
公開日 平成14年6月7日(2002.6.7)
発明の名称または考案の名称 蒸発ヘリウムガス回収装置および回収方法
国際特許分類 F25J  1/00      
A61B  5/05      
A61B  5/055     
G01R 33/3815    
G21B  1/00      
H01L 39/04      
H05H  7/04      
H05H  7/20      
H05H  9/00      
H05H 13/04      
FI F25J 1/00 C
A61B 5/05
G21B 1/00
H01L 39/04
H05H 7/04
H05H 7/20
H05H 9/00
H05H 13/04
G01N 24/06
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願2000-358764 (P2000-358764)
出願日 平成12年11月27日(2000.11.27)
審査請求日 平成12年11月27日(2000.11.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
発明者または考案者 【氏名】武田 常広
【氏名】高江 勉
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】新居田 知生
参考文献・文献 特開2000-105072(JP,A)
調査した分野 F25J 1/00
F25D 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
磁気シールドルーム内に配置される液体ヘリウム貯留槽に定常状態での蒸発ガスを流す通常ラインと、液体ヘリウム充填時に発生する蒸発ガスを回収する極低温蒸発ガスラインとを接続し、さらに、極低温蒸発ガスライン中にライン中を流れるガスを昇温させるための熱交換器を配置し、両ラインを接続する接続ライン中でかつ磁気シールドルーム外に第1バルブ、第2バルブを設け、前記第1バルブと第2バルブとの間の接続ラインをガス回収手段または大気ラインに接続し、さらに前記熱交換器の上流側にある極低温蒸発ガスラインを耐低温性材料で構成するとともに前記磁気シールドルーム内にある前記通常ラインを非磁性体材料で構成したことを特徴とする蒸発ヘリウムガス回収装置。

【請求項2】
磁気シールドルーム内に配置される液体ヘリウム貯留槽から定常状態で発生する蒸発ガスをガス回収手段に回収するかまたは大気に解放し、また前記液体ヘリウム貯留槽に液体ヘリウム充填時に発生する極低温蒸発ガスを熱交換器によって温度上昇させてから、ガス回収手段に回収するかまたは大気に解放しするようにしたことを特徴とする蒸発ヘリウムガス回収方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、極低温の液体ヘリウムを使用する各種システム(たとえば脳磁気計測システム、心磁図、MRI装置など、極低温における様々の材料物性の開発評価研究等に適用できるシステム)内の装置から蒸発するヘリウムガスを簡便に回収できる蒸発ヘリウムガス回収装置および回収方法に関するものである。

【0002】

【従来の技術】人間の脳から発生する磁界を検出する脳磁気計測システムの開発が進められている。このシステムでは脳の活動を高時空間分解能で非侵襲的に計測できるSQUID(超電導量子干渉素子)が利用されており、このSQUIDは断熱された槽内に貯留されている液体ヘリウムに侵漬され、冷却された状態で用いられる。

【0003】
この脳磁気計測システムの概略構成について図3を参照して説明すると、図中、1は磁気シールドルーム、2は磁気シールドルーム内に配置されている計測装置を収容した断熱製の液体ヘリウム貯留槽である。前記貯留槽1には液体ヘリウム3が貯留されており、また同槽2には、同槽2内に液体ヘリウムを供給するトランスファーチューブ4が接続され、トランスファーチューブ4には液体ヘリウムコンテナ5が接続されている。さらに液体ヘリウム貯留槽2には、同槽内で蒸発したヘリウムガスをガス回収バッグあるいは大気に連通する流路6が接続されている。なお、図中、9、10はバルブである。

【0004】
この脳磁気計測システムでは、液体ヘリウム貯留槽2内で蒸発したヘリウムガスは、蒸発ヘリウムガス流量計7を経由してガス回収バッグ8に回収されるか大気に放出される。一方、液体ヘリウム貯留槽内の液体ヘリウムは蒸発した分だけ減少することになることから、減少した分の液体ヘリウムを補う必要があり、この液体ヘリウム供給方法として、液体ヘリウムコンテナ5からヘリウムガスの背圧を利用して供給する方法等が採用されている。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記システムでは液体ヘリウム貯留槽内で蒸発したヘリウムガスをガス回収バッグあるいは大気側に流す際に次のような問題が発生する。即ち、液体ヘリウム貯留槽2内で蒸発したヘリウムガスは、定常状態では、蒸発ガス温度はほぼ室温(300K程度)であるが、液体ヘリウム貯留槽2内に液体ヘリウムコンテナ5等から液体ヘリウムを充填する際には、液体ヘリウム貯留槽2から蒸発するヘリウムガスは4Kに近い温度まで低下する。

【0006】
一方、前述した液体ヘリウム貯留槽2内に収納されている計測装置は、超高感度磁気センサーであるため、磁気シールドルーム内に収容するとともに構成する材料は配管を含めて非磁性体材料を使用する必要がある。しかし、液体ヘリウム充填時等において、極低温のヘリウムガスを非磁性体材料(プラスチックや木材)からなる配管、バルブ等を通過させると、低温脆性によりこれらが破壊される可能性があり、このため、蒸発ヘリウムガスを回収するための配管および流路切替バルブなどは、種々の条件(例えば、非磁性体材料でありながら極低温にもたえる耐低温性材料を使用するなど)を考慮して設計する必要があった。

【0007】
そこで本発明は、蒸発ガス回収ラインを、定常状態での蒸発ガスを流す通常ラインと、液体ヘリウム充填時に発生する蒸発ガスを回収する極低温蒸発ガスラインとに分け、定常状態で発生する蒸発ガスは通常ラインを通して大気解放あるいはガス回収バッグに流し、液体ヘリウム充填時に発生する極低温蒸発ガスは極低温蒸発ガスライン内に配置した熱交換器を介して温度上昇させてから、ガス回収バッグに流すかあるいは大気に解放する。そして、定常状態で発生する蒸発ガスを通す通常ラインは磁気シールドルーム内のみにおいて非磁性体材料で構成し、液体ヘリウム充填時等に使用する極低温蒸発ガスラインは熱交換器より上流側では耐低温性材料を、また、それより下流側では通常の安価な材料を使用して構成し、これらによって装置コストの低減化を図ることができる蒸発ヘリウムガス回収装置を提供し、上述の問題点を解決することを目的とする。

【0008】
本発明では、極低温蒸発ガスを回収する極低温蒸発ガスライン中に熱交換器を配置し、その熱交換器によって極低温蒸発ガスを室温程度にまで上昇させ下流側に流すようにしているため、熱交換器の上流側の極低温蒸発ガスラインのみを耐低温性材料で構成し、熱交換器の下流側のラインは、一般的な安価な材料からなる配管、バルブ等を使用することができ装置のコストを低減することができる。また、極低温蒸発ガスラインは計測システムが非作動中においてのみ使用するラインであるため、非磁性体材料を使用する必要がなく、この点からも材料コストの低減等を図ることができる。

【0009】

【課題を解決するための手段】本発明が採用した課題解決手段は、磁気シールドルーム内に配置される液体ヘリウム貯留槽に定常状態での蒸発ガスを流す通常ラインと、液体ヘリウム充填時に発生する蒸発ガスを回収する極低温蒸発ガスラインとを接続し、さらに、極低温蒸発ガスライン中にライン中を流れるガスを昇温させるための熱交換器を配置し、両ラインを接続する接続ライン中でかつ磁気シールドルーム外に第1バルブ、第2バルブを設け、前記第1バルブと第2バルブとの間の接続ラインをガス回収手段または大気ラインに接続し、さらに前記熱交換器の上流側にある極低温蒸発ガスラインを耐低温性材料で構成するとともに前記磁気シールドルーム内にある前記通常ラインを非磁性体材料で構成したことを特徴とする蒸発ヘリウムガス回収装置である。また、磁気シールドルーム内に配置される液体ヘリウム貯留槽から定常状態で発生する蒸発ガスをガス回収手段に回収するかまたは大気に解放し、また前記液体ヘリウム貯留槽に液体ヘリウム充填時に発生する極低温蒸発ガスを熱交換器によって温度上昇させてから、ガス回収手段に回収するかまたは大気に解放しするようにしたことを特徴とする蒸発ヘリウムガス回収方法である。

【0010】

【実施の形態】以下図面を参照して本発明に係わる蒸発ヘリウムガス回収装置について説明すると図1は同装置の概略構成図、図2は図1中の配管構成図であり、図3と同じ部材には同じ符号を使用している。

【0011】
図1において、1は磁気シールドルーム、2は磁気シールドルーム内に配置されている計測装置を収容した断熱製の液体ヘリウム貯留槽である。前記貯留槽2には前述した装置と同様に液体ヘリウムが貯留されており、また同槽2には、同槽2内に液体ヘリウムを供給する不図示のトランスファーチューブが接続され、トランスファーチューブから従来装置と同様に液体ヘリウムを同槽内に充填できるようになっている。さらに液体ヘリウム貯留槽2には、定常状態での蒸発ガスを流す非磁性材料で構成されている通常ライン11と、液体ヘリウム充填時に発生する蒸発ガスを回収する極低温蒸発ガスライン12とが接続され、極低温蒸発ガスラインには熱交換器13が取付られており、この熱交換器13は図に示すようにシールドルーム1内(図中一点鎖線で示す位置)あるいはシールドルーム1外に配置されている。

【0012】
そして前記通常ライン11は少なくともシールドルーム内では非磁性体材料(例えばプラスチック等)で構成されており、また、前記極低温蒸発ガスライン12は、熱交換器13の上流側では極低温蒸発ガスが流れることから耐低温性の材料で構成し、熱交換器13の下流側では昇温されたガスが流れるために通常材料を使用して構成してある。なお極低温蒸発ガスライン12は、非計測状態で行う液体ヘリウム充填時にのみ使用するラインであることから、通常ラインのような非磁性体材料を使用する必要はない。

【0013】
前記熱交換器13は水を流すことにより熱交換できるものが良いが、高温ガスなどを利用し、極低温蒸発ガスを昇温させることができる熱交換器も利用可能である。またシールドルーム1の外側には非磁性材料からなる操作ボックス14が取付られており、この操作ボックス14内に、流路を切り換える非磁性材料からなる第1バルブ16、第2バルブ17が配置されている。

【0014】
図2において、操作ボックス14内では極低温蒸発ガスライン12と定常状態での蒸発ガスを流す通常ライン11とが接続されており、この接続ライン中に第1バルブ16と第2バルブ17とが取付られ、第1バルブ16と第2バルブ17との間のラインは大気解放ライン15に連通されている。大気解放ライン15の末端には必要に応じてガス回収手段(ガス回収バッグあるいは施設の低温ガスセンター等)が接続可能に構成されており、また、大気解放ラインには、安全弁18が取付られている。

【0015】
上記のように構成された蒸発ヘリウムガス回収装置の作動について説明すると、通常運転時においては、第1バルブ16を閉じ、第2バルブ17を開いておく。この結果、液体ヘリウム貯留槽内で蒸発した室温に近いヘリウムガスは、非磁性材料からなる通常ライン11、第2バルブ17を通って大気解放ライン15にながれ、必要に応じてガス回収バッグ等に回収されか、そのまま大気に解放される。この時、通常ライン11、第2バルブ17ではライン内を流れるガス温度が高いため低温脆性破壊は発生しない。

【0016】
液体ヘリウムをコンテナから液体ヘリウム貯留槽2に充填する際には、第1バルブ16を開き、第2バルブ17を閉じ、熱交換器13を作動する。この結果、液体ヘリウム貯留槽2内から出てくる極低温蒸発ヘリウムガスは、熱交換器13で室温近くまで昇温され、第1バルブ16を通って大気解放ライン15にながれ、必要に応じてガス回収バッグに回収されるか、そのまま大気に解放される。この時、熱交換器13の上流側の極低温蒸発ガスライン12は耐低温性の材料で構成されているため低温脆性破壊を起こすことがなく、また、熱交換器の下流側では昇温されたガスが流れるために通常材料を使用しても低温脆性破壊は発生しない。

【0017】
以上のように本発明では、蒸発ガス回収ラインを、定常状態での蒸発ガスを流す通常ラインと、液体ヘリウム充填時に発生する蒸発ガスを回収する極低温蒸発ガスラインとに分け、定常状態で発生する蒸発ガスは通常ラインを通してガス回収手段あるいは大気に流し、液体ヘリウム充填時に発生する極低温蒸発ガスは極低温蒸発ガスライン内に配置したヒータを介して温度上昇させてから、ガス回収手段あるいは大気に流すようにしている。このため、通常ラインには耐低温性を備えた材料を使用する必要がなくなり、また極低温蒸発ガスラインでは熱交換器より下流では極低温蒸発ガスに接することがないため一般的、かつ安価な材料からなる配管、バルブ等を使用することができる。また、極低温蒸発ガスラインは非計測状態で行う液体ヘリウム充填時にのみ使用するラインであることからシールドルーム内であっても非磁性体材料を使用する必要がなく、この点からも材料コストの低減等を図ることが可能となる。

【0018】
以上、本発明に係る蒸発ヘリウムガス回収装置について説明してきたが、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。

【0019】

【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれば、蒸発ガス回収ラインを、定常状態での蒸発ガスを流す通常ラインと、液体ヘリウム充填時に発生する蒸発ガスを回収する極低温蒸発ガスラインとに分け、液体ヘリウム充填時に発生する極低温蒸発ガスを極低温蒸発ガスライン内に配置した熱交換器によって昇温させてから、大気解放あるいはガス回収バッグに流すようにしたため、通常ラインでは耐低温性を備えた材料を使用する必要がなくなり、また、熱交換器より下流の極低温蒸発ガスラインには、一般的で、かつ安価な非磁性体材料(プラスチックや木材)からなる配管、バルブ等を使用することができ、装置全体のコストの低減を図ることができる。また配管の自由度が増し、装置本体の小型化、装置の低コスト化を図ることができる、低温脆性によるラインやバルブの破壊を防止できる等の優れた効果を奏することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2